エコエコアザラク的世界から分離したてるてるあした。
『吉祥天女』が『六番目の小夜子』を生んだように、『てるてるあした』も何かから生まれているはずだ。
制作サイドの言うように『雨と夢のあとに』はそのひとつであり、当然映画『ゴースト』や『黄泉がえり』のようなダークじゃないファンタジーの「のほほんお化け路線の流れ」にも乗っている。
木村多江の『ささらさや』路線はまあ、『ニューヨークの幻』なので、おくとして、『てるてるあした』はまず、『トイレの花子さん』であり、座敷童である。すると、当然、『エコエコアザラク』が浮かび上がってくる。エコエコアザラクをぬるま湯にひたせばきっとてるてるあしたが出来上がるのだ。このお湯である「佐々良の町」はおそらくコミック『まんだら屋の良太』の九鬼谷温泉だろう。そこにおそらく北村薫の《円紫師匠と私シリーズ》要素が温泉の素的に潜んでいる。間違いない。
で、『てるてるあした』(テレビ朝日060428PM1115~)原作・加納朋子、脚本・成井豊、真柴あずき、演出・二宮浩行を見る。前作が凝りに凝った『時効警察』だけにのんびり見ることのできる「某使い込み公狂放送の朝ドラやドラマ愛の詩」タッチは実に楽な感じがする。遊びといえば開始から19分ぐらいで、ラブホテルに女性が男性を連れ込む背景のショットくらい。しかもあまり裏を想像しなくてもよいほんのお遊びである。
この世界では酔っ払ったオヤジが女性を襲うために不埒なふるまいにおよんでも、お小言ですむ。その息子が未成年少女にわいせつな行為を強要した場合はさすがに警察沙汰になるのだが、重要な証拠と思われるわいせつ画像は少女たちが川原で証拠隠滅して、なかったことにしてしまう。揺る~いルールに縛られている。
黒川智花(KEN-ONGroup)は絶世の美少女ではないので、無自覚な黒井ミサとしてふつうの生活を送っていく。しかし、バックに福田麻由子(フラーム)がついているので、ピンチの時には黒魔術的世界から緊急援助がある。当然、福田さんが描写されるときはファンタジーというよりもホラーの色彩を強めるのだが、そこはあくまでひきだ。最終回までお楽しみを引っ張るつもりなのであろう。ま、わが娘を攫われてついには異国の大統領にもすがらなければならないような現世を逃れて、しばし弛緩するにはいいドラマだと思う。
佐々良の町に対峙する現世を彷徨うダーティーな母親役が荻野目慶子さん。ナイスキャスティング!!
日曜日に見る予定のテレビ『情熱大陸』(TBSテレビ)
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