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2006年4月26日 (水)

過食で母を拒食で子を亡くした女の魂の物語

読売新聞の番組紹介のまとめが、「その子の描写が美点ばかりに終始したのはいかがなものか」であった。系列局の視聴率的に苦戦しているワクに対するコメントとはおもえない暴言に、よほどの勇気の持ち主か、単なるバカかと考えたのだが、どうやら後者のようだった。

子育てに失敗した母の物語である。この前提がすでに美点ではない。番組欄記者はそんな読取能力もないのである。私は故・鈴木その子さんがなぜ幽霊のように感じるのか。生前からずっと疑問だった。その疑問に答え、生きながらダイエットに葬られた一人の女性の生涯を描いた、優れた作品だと思う。

政治的に考えれば、鈴木式ダイエットは油および油製品の消費量低下につながる思想であり、メーカーとしては許せないということなのかもしれないが・・・。そのような妄想的陰謀説に立つとすればそういうスポンサーの圧力に抗してこその勇気ではあるまいか。そんなこと大新聞の記者に言っても無駄か。

で、『DRAMA CONPLEX ダイエットの女王 鈴木その子』(日本テレビ060425PM9~)脚本・佐伯俊道、井上登紀子、脚本協力・古川かおり、演出・長沼誠、ドキュメントブロック構成・武田隆、同演出・前田展宏を見る。加賀さんは少し、ダイエットの必要があり、坂下さんはもう少しふっくらしていた方がよりリアルに感じたと思うが、まあ、過ぎた欲望ですね。

ドキュメントと再現ドラマの組み合わせはやや複雑な構成だが、『金スマ』で充分に発展した見せ方であり、それに慣れた視聴者なら充分に視聴することができるだろう。スタジオの受けがない部分は再現ドラマの豪華なキャスティングが補完していると思う。

栄養失調の時代に実母を過食で失い、過食の時代に息子を拒食症で失う。鈴木その子さんは経済的に恵まれたために時代を先行するという受難をする。その子さんはキッドの母と同年齢であるため環境は違うが母と重なる部分もある。結婚はその子さんの方が早く、そのため、逝去した長男はキッドよりかなり年上だ。しかし、挫折する階級闘争や、離脱してのイギリス留学が彼に与えた精神的ダメージは充分に想像できる。

そういう要因が母から息子を奪うのであるが、そこで鈴木その子さんも一緒に死ぬのだ。そして執念に動かされて生きている怨霊になるのである。そういう人間に愚かな生身の人間が立ち向かえるはずはない。だから鈴木式ダイエットは大成功を収めるのである。彼女がテレビに登場したとき、幽霊のように白いのは単に演出だったのではないはずだとキッドは感じる。子育ての失敗とそれによる愛息の喪失。これは悲しい母の美しい物語である。彼女は過食と拒食にはさまれてバランスを考えた。そして結局、カロリーに殺される。彼女は人よりもカロリーを消費したのだ。消費量がはげしいのだからもっと食べてもよかったのだ。・・・とキッドは涙を流して考えました。

この形式で西原理恵子の土佐女子高校飲酒退学事件をやってもらいたいと思う。新聞欄コメントは「高校生のくせに飲酒して退学になってそれで裁判を起こすなんて馬鹿げてる」ぐらい薄い認識だとまた噛みつけるし。

木曜日に見る予定のテレビ『医龍』(フジテレビ)

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