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2006年5月31日 (水)

1-1=0が理解できない人の喪失感。

キッドは難聴でテレパシストである。日常生活にまったく不自由はしないのだが、他人に迷惑をかけることがある。それは・・・。

声が大きい。

・・・ということだ。声が大きいことは自己中心的であると理解されることが多い。よって人の心が分からない。空気が読めないという指摘をよく受ける。テレパシストに向かって誤解も甚だしいのだが、ま、一般人の言うことだからあきらめるしかない。

挨拶をしたのに返事もしない。まったく礼儀を知らない人だ。とおばさんが憤慨しているのを目撃したことがある。しかし、その相手は聴覚障害者なのである。不自由さを感じさせない不自由な人たちはどこに潜んでいるか分からないので、本当に優しくありたい人は疑いの心を持って人と接するべきだろう。たとえば『君が代』を否定する教育者や『日の丸』を否定する教育者もただ単に心のビョーキであるだけかもしれない。もちろん、そういう人間に教育をまかせてよいのかどうかという問題もあるな。昔は「キチガイに刃物」という分かりやすいたとえがあったのだが、なぜか最近は使われていないようだし、キッドが「キチガイと天才は紙一重」と言われなくなったことと何か関係があるのかな。しかし、ビョーキの人に教育されたのでは差し障りがあるという表現にはピッタリの比喩だと思うのですがね。ついでに「キチガイは自分のことをキチガイだと思わない」というのも説得力のある言葉だと思う。そういう意味でビョーキと正気の境界線は本当に曖昧模糊としているのです。

で、『ハートをつなごう~発達障害(2)』(NHK教育060530PM8~)キャスター・堀尾正明、その他の名もないスタッフ(プロデューサーくらいクレジットすればいいのに)を見た。ソニンや石田衣良、そして蛭子能収さんがコメンテーター、アドバイザーとして梅永雄二教授(宇都宮大学専攻くらいクレジットすればいいのに)が配置されている。トークゲストは発達障害の皆さんとその家族で「しゃべり場」展開である。

四月から始まった新しい福祉の番組で月末に四日連続というどんなに変則なんだという放送形式である。四月は認知症(痴呆のこと)の特集で五月は発達障害(知恵おくれのこと)がテーマになっている。つまり、昔から存在するが最近呼称が変わったものについての情報番組である。呼称を変えるのはおそらくその筋の専門家や役人、圧力団体などであるのだが、キッドは呼称変更を肯定もするし否定もする。細分化を喜ぶキッドもいれば、意味の拡散を悲しむキッドもいるからだ。たとえぱ、言葉に不自由な人がせっかく、分裂症と言う言葉を覚えたのに今日から統合失調症になりましたと言われたら可哀相だなあと思う。

心理学という流動性の高い学問と大脳生理学などのある程度固定的な学問の衝突がある。脳の機能性という問題に即して具体的な事実があれば昨日までは「性格」の問題だったのが今日からは「病理」になるわけである。しかもまだ学者の合意さえもが道半ばだ。発展途上の社会がハンディキャップのバランスをとるのは困難なことだが、「こんな頭なんて壊れてしまえばいい」と苦しむ人を「なんとかして助けてあげたい」という人々の善意は信じたいと思う。それは時には本人や家族にはどうにもならない困った問題なのだから。発達障害をかかえる子供たちと発達障害とは知らずに育った大人たち。そして理解しようという周囲の人々。その人たちのハートは確かにつながっていくようだ。この人たちが「馬鹿は死ななきゃなおらない」なんて言っちゃダメと言い出さない限り、キッドも暖かく見守っていきたいと考える。

算数が苦手な子供。国語が苦手な子供。理科が苦手な子供。社会が苦手な子供。体育が苦手な子供。音楽が苦手な子供。図画工作が苦手な子供。総合学習が苦手な子供。そして人間が苦手な子供。みんな、面白いぞ。キッドはみんなを大好きでいたいと思うんだ。

木曜日に見る予定のテレビ『ダウンタウンDX』(日本テレビ)

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2006年5月30日 (火)

ゴ~ン。深田恭子。ゴ~ン。土屋アンナ。

遅い夕食中の皆さんにご注意申し上げます。4分で牛フン。8分で篠原涼子ゲロ。12分で宮迫博之のオナラがあります。

茨城県民の皆さんが全員狂っているような発言がありますが、地球には60億人以上の発狂者がいますので多数派に属しているということで安心してください。

ベルピーチは実在のベルサーチとは無関係です。ジャスコは実在しているような気がしますが、気のせいです。

本編縮小のための多数のカット(おみだらや丸くや学校生活など)があり、本編おタクには不満も発生しますが勝ち組と思うことで納得した方が身のためです。イチゴと桃子と桃子の幼女時代(福田麻由子)にキャベツを心から捧げましょう。しかし、よくもオンエアできたものだ。火災、心臓病、拉致の三連打は大笑いなのだからな。

で、『下妻物語(2004年劇場公開オリジナル102分)』(TBSテレビ060529PM9~)原作・獄本のばら、音楽・菅野よう子、脚本・監督・中島哲也を見た。監督は黒ラベル温泉卓球やSMAPガッチャマンのCMクリエーターの人です。深キョンが舞い上がるシーンを見れば納得ですよね。当然、着眼点は満載で今日はそこそこ祭り模様でした。映画をテレビでやる意味、テレビがある意味、10パーセントでも一千万人の意味が喜ばしく輝くひとときでした。

キッドも密林を出て貴族の森にミルクティーを飲みに行きたい気分です。なにしろ、「あなたにとって夢を育む店でありますように」と言われて盗んだバイクで走り出すのです。あ、その場合はパチンコ屋で一角獣(阿部サダヲ)に遭遇する可能性大ですが。一角獣は岸田森のような生瀬勝久と愛を交換します。玉も交換してくれます。ああ、イメージを文化するだけで狂気の世界に彷徨っていくなんて誠にもって万歳です。

ヤンキーとロリータの友情物語ですから基本設定がすでに大ボケです。で、レディースがらみで伝説というボケがさらに加速します。小池栄子がヘッドですが、説教がボケの前兆になっています。史上最愛のめがねっこも大ボケです。樹木希林は本当にボケています。常磐線の駅員もボケます。ボケたセリフをひとつあげろといわれても・・・どのセリフも素晴らしく・・・いいえ、「てめえ、目から何出した」が最高です。ついでですが深田恭子さんにオードリー・ヘップバーンが何度か憑依します。とにかく、この作品を見た後は負ける気がしなくなるのです。

こうなるともうどうでもいいことですが、『湘南爆走族』の江口は手芸部でした。暴走族が刺繍好きなのは直球なのか、変化球なのか。いえ、魔球なのです。さらに2006年のカンヌJr.フェスティバルで『下妻物語』日本映画として初のグランプリを受賞したことを蛇足ながら付け加えておきます。孤高って素晴らしい。

木曜日(水曜深夜)見る予定のテレビ『堂本剛の正直しんどい』(テレビ朝日)

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2006年5月29日 (月)

山内一豊の馬、いや妻の仲間由紀恵の例の馬の話。

昨日、スカシの話で何なのだが。さあ、きましたね。山内一豊夫妻の見せ場。馬揃え・・・ってナシかよ。

スカシついでに悩める三津五郎光秀が和久井お濃の膝枕の舘信長を刺し殺す夢を見る。夢オチもまたスカシの一形態なのですね。

予算不足と脚本家の趣味で戦闘シーンがスカされまくる大河ドラマですが、それなりに面白い。今回は特にかなりアクロバットな展開でしたが、司馬遼太郎的な一豊一家と、ある意味大河ドラマ『信長』(津本陽的といえる)を意識した信長、そして脚本家がのめりこむお濃・光秀愛その三くらいが渾然一体となりいい味出してました。さすがに次々回「本能寺」はスカシなしでお願いしますよ。もう信長おタクはソワソワとお祭り気分で集まりはじめているのですから。是非なし、弓取って、人生50年舞って、本当はそこにはいない老女おのうがなぎなたで、お寺炎上をセットでね、神様、仏様、大石様~。

で、『功名が辻』(NHK総合060528PM8~)脚本・大石静、演出・梛川善郎を見た。山内一豊の妻のもっとも有名なエピソード。へそくりで馬を買うの巻である。なかなか可愛い馬だったねえ。養い親の津川・多岐川夫婦の回想シーンつきですから、どうしても泣かせないといけない。・・・泣きました。もちろん、仲間千代も泣きますが、こちらは女の武器としての涙ちょちょぎれる嘘泣きです。ああ、こんな風に操られる一豊って幸せ者だなあ。BGM は『夢芝居』(作詞作曲・小椋佳)が心の中で鳴り響きます。まあ、一豊夫妻の場合、上川一豊が一方的に操られ続けるのですが。

琵琶湖周辺には長浜-安土間を女性が馬で往復できるほど平和が満ちている。これは信長が修羅の果てに勝ち取った平和なわけですが、そういう大局がつかめない人々には信長のその場その場の狂気が恐ろしい。特にお姫様育ちのお濃は信長の今に馴染めない。しかし、一豊と千代の夫婦げんかと仲直りを垣間見ることで眠っていた信長への愛情に火が灯る。うーん。ロマンチックだ。・・・もちろん、濃姫は現実には斉藤滅亡の際から後には消息不明なのですが・・・。これで本能寺の変で夫とともに初恋の人に殺されるという前フリが整ったわけです。こういう点には力はいってるな。

仲間由紀恵は呼吸が上手ですねえ。冒頭、踊りの輪に加わる場面。あわてて転ぶ場面。一豊に怒られて泣き出す場面。お濃の登場に驚く場面、ハッと仕方が実に多彩だ。新・視聴率の女王様の秘密のひとつだと思いますね。まあ、キッドもようやくこの人が喜多嶋舞ではないのだということが分かってきました。

紅葉散る光秀と帰蝶(お濃)の密会。で、次々回に本能寺となると、武田本家殲滅戦や中国最前線水攻めなんか、もう飛ばしまくる予感。ねえ、今年の大河は戦国シリーズですよねえ。戦まだあ。・・・ま、いいか。今回、「開運の馬」の話は単発でも見れるほどの完成度だったしなあ。

火曜日に見る予定のテレビ『ハートをつなごう』(NHK教育)

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2006年5月28日 (日)

音無小夜が不在だとイライラしない。

ボケの一種とも番外とも言える「スカシ」について語りやすいアニメなのだな。ボケはボケだけに定義不能なのだが、「するべきことをしない」という側面がある。「スカシ」は「ボケるところをボケない」というボケである。

ポーカーフェイスは「スカシ」である。悪い手が来ている時にいやな顔をするのがボケだとすると心を顔に出さないのは「スカシ」なのである。ダウンタウンの松本さんなどはこの「スカシ」という「ボケ」の名手なのであるな。人間大砲で弾なのに打ち出されない。街角で天使にあっても驚かない。面白いと評する本を読んでいないのである。

残酷な場面で大人が子供の目を塞ぎ「見るな」と言う時に「スカシ」は発生する。この時、その手が邪魔だと思う子供には「スカシ」はなかなかにイライラさせるものだ。「スカシ」は「格好つけていること」でもある。昔はおしゃれな人を「すかしてる」と冷やかしたのだが、そこには揶揄のひびきがある。つまり「愛」とか「自由」とか「平和」とかをストレートに口に出せない事情とそういう事情への配慮のなさがお笑いの神様を出現させ、おちょくりたくなるということである。そういう「スカシ」は失敗した「スカシ」なのである。

で、『BLOOD+』(TBSテレビ060527PM6~)脚本・森田繁、絵コンテ・佐野隆史、演出・浜崎賢一を見た。なにしろ、スカシ続けるからね。このアニメは。すでに第3シーズンも中盤を越えて、前回は主人公側の需要人物が決定的なダメージを受けて、主人公も圧倒的な不利の状況に追い込まれ、孤立無援のピンチで引いたのだが。つまり、「つづく」になったのだが・・・。

今回、いきなり一年後である。か~。またスカシかよ。キッドが小学生なら泣いちゃうよ。アクションシーンが売り物のアニメでアクションシーンを視聴者の想像におまかせするなんてどんなスカシなんだ。そして、まあ、ともかく、舞台はロンドンに移る。ロンドンの地下道では怪物が繁殖している。主人公チームの生き残りがハンターとして怪物に挑む。という冒頭シーン。おお、心を入れ替えて描写するのかよ。と思うと地下道の現場を見せないカメラに切り替わり、音響だけが響く。そして数時間後のファーストフード店前に。またスカシだあ。

とは言うものの今回はストーリーはテンポよく進行する。なにしろストーリーさえスカシの場合があるからな。組織の壊滅でひきこもりになったリーダーへのケアとか、別組織が着々と陰謀を進行中とか、話が早い。これは主人公が不在だからだ。つまりこの物語の主人公というのはスカシの性格なのである。誰よりも戦うべきときに戦わない。それは戦いなんて嫌いだから。という設定でどこまで不戦を貫けるかという「スカシ」にこだわっているのである。

そういうこだわりの元では後半のアクションにもスカシが続くのだが、ともかく、主人公がいないので戦いは続く。急所を狙わなかったり、止めを刺さなかったり、軽いスカシを伴いながらなので、当然、戦況は悪化する。そして絶体絶命のピンチに主人公復帰。そして「つづく」である。おい、本当に続くのか。来週はまた、一年たってるんじゃないだろうな。

心優しい吸血鬼といえば、深読みすれば、『吸血鬼ドラキュラ』(B・ストーカー)だってそうなのかもしれないが、ブラッドベリに影響を受けた萩尾望都の『ポーの一族』が思い浮かぶ。しかし、けして「スカシ」ではなかった。『呪われた町』(S・キング)や『ドラキュラ紀元』(k・ニューマン)よりは「スカシ」の『ヴァンパイア・レスタト』でさえこれほどスカシはしない。あんまりすかすとスカ(ハズレ)になっちゃうと思いますよ。

月曜日に見る予定のテレビ『下妻物語』(TBSテレビ)

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2006年5月27日 (土)

ザ・ピーナッツはなっちとあさみん。

インファント島の小美人(ザ・ピーナッツ)は言葉を発する前にお互いの顔を見合わせるしぐさをする。そしてユニゾンでしゃべり始める。これは「せーの」というアイコンタクトを交わしているのだと思うが、このみつめあってからしゃべりだすイメージがキッドのザ・ピーナッツのコアにある。だから安倍姉妹がこのポーズを決めた時は嬉しかった。

番組内番組の『ザ・ヒットパレード』でザ・ピーナッツは箱から飛び出るのだが、この箱は明らかにモスラのマユであった。しかし、『ザ・ヒットパレード』は1959年スタート。映画『モスラ』は1961年公開なので、これはきっとシャレなのであろう。まあ、研究資料がVTRではなく、フィルムだったからと想像もしてしまうのだが。

昔のテレビは本当にシャボン玉のようであった。一度見たらもう二度とは見れない。今のようにどうでもいいドラマまで即DVDになって無駄に積まれているのを思うとちょっと複雑な気持ちになる。それはさておき、テレビ黄金期の回顧が始まると、ああ、通夜もまだなのに「デジアナになります」という巨大なビジネスが葬式を早々と始めている気にもなり、つい涙目になってしまう東京タワーと同い年のキッドなのであった。

で、『ザ・ヒットパレード~芸能界を変えた男・渡辺晋物語~前編』(フジテレビ060526PM9~)脚本・矢島正雄、演出・鈴木雅之を見た。渡辺晋は柳葉敏郎、渡辺美佐を常盤貴子が演じている。実在の美佐さんは美人なので常盤さんはピッタリの配役だと思うが、もう少し昔のお嬢様なしゃべり方でもよかったと思う。女子大生時代と実業家時代でおきゃんさの差別化はできていたが、もはや大女優なのでもう一歩踏み込む演技を期待してしまう。

中村八大(ふかわりょう)、宮川泰(近藤芳正)、すぎやまこういち(原田泰造)と作曲家だけでも神様のような人たちの登場である。近藤芳正さんは時々谷啓を演じているのかと思うほどだったが、葬式の時に『宇宙戦艦ヤマト』のテーマで出棺してくれと遺言した人のおかしさをがんばって再現していたようだ。ザ・ピーナッツのレッスンの時の軽いボケは伝わったかどうかギリギリだったが。

ドラマとしては『ザ・ヒットパレード』のタイトルをめぐる渡辺晋のこだわりが前編のクライマックスになる。ほぼ天才のすぎやまこういちのアイディアに対して渡辺晋がねばる。このギリギリまでOKを出さないリーダーというのは下っ端にとっては大迷惑なのであるが、このもうワンランク上を狙う姿勢が創作の基本中の基本なのであるなあ。困ったすぎやまこういちが目先を変えた瞬間、渡辺晋は憎まれ役の甲斐があったと思うのである。キッドは頭が下がるのであるがお茶の間には伝わったのだろうか。

明らかにレッスンの時と声質の違うなっちとあさみんの素晴らしい名曲で幕となる前編はほぼ美談。展開に不満が残る人もいるだろうが、あの時代を掘り下げだしたらどんな地獄がでてくるか、分かったもんじゃありませんから。でも予告編では山下敬二郎が別のプロダクションに・・・のシーンが。

何も知らなくて恥ずかしい時代というのはある。キッドは山下敬二郎さんと初めて会った時に家族の話をしていて「お父さんのお仕事は何ですか」と質問してしまったことがある。大落語家・柳家金語楼さんの次男に対してである。山下さんはにこやかに笑って教えてくれた。ロカビリー一筋の山下さんは優しい大人だった。そんな山下さんが結構、ワルとして描かれている。若いって面白くてやっぱり恥ずかしいものなのだな。

日曜日に見る予定のテレビ『功名が辻』(NHK総合)

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2006年5月26日 (金)

村上弘明VS杉本哲太はブラボー!

島原の乱といえば戦国時代の終焉を告げる最後の局地戦。ここに柳生十兵衛と荒木又右衛門がからんでくるとなるともはや時代劇というよりSFなのである。

津本陽さんといえば資料使いで実在の手紙などでじっくり歴史をあぶりだすというスタイルの作家なのだが、相手が裏柳生がらみとなるとさすがに空想の翼全開。さらに原案を使ってドラマスタッフも相当に羽ばたいている。

なにしろ、病没している酒井阿波守忠行(布施明)が陰謀の中心人物。出自さえ怪しい公家円条寺業平(杉本哲太)に由比正雪(和泉元彌)が実行部隊とこれでもか状態です。さすが柳生十兵衛。すべての人々を異次元空間に投げ込んでいくのですな。そして、今日は第2シリーズの最終回。ガンダムシリーズなみの決着の嵐が吹きまくるに違いない。

で、『柳生十兵衛七番勝負~島原の乱』(NHK総合060525PM8~)原案・津本陽、脚本・池田政之、演出・吉村芳之を見た。息もつかせぬ展開、怒涛の最終回である。前シリーズは宮本武蔵との対決が白眉だったが今回は荒木VS十兵衛、大納言(哲太)VS十兵衛、そして父・宗矩(夏八木勲)VS十兵衛と殺陣の連打。そしてまさに奇想天外な虚構史実の連打。すごいぞ。これは。

その中でも哲太がものすごい存在感で成田三樹夫(映画『柳生一族の陰謀』)状態に。白塗りしていれば烏丸少将文麿リスペクトかと思う。強い。そして不敵に笑う。笑い方も何パターンもある。フヒャヒャヒャ。オッホッホッホ。ヌハッハッハ。・・・などである。こりゃあ、敵役として最高ランクである。怪しい京なまりも不気味だし、最後に一度目を落としてカメラ視線は演出のアイディアかもしれないが演技としても斬新だった。

演出と演技の工夫と言えば、宗矩が忠行に剃髪か切腹かを迫るシーンでの夏八木勲の頭撫でて腹撫でるしぐさも絶品だった。布施の受けと合わせて注目できる表現である。・・・っていうか、このぐらいで注目しなければならないほど他のドラマは「自然な演出」に流れすぎていると思うのです。

もちろん、村上弘明は最初から最後まで黙々とかっこいいのです。紅一点の三田由奈(サラプロ・・・中学生日記出身)がネタバレになるかもしれませんがある事情で男になってしまうのでこの最終回、ほとんど男だらけに。こんなドラマ最近、見たことないよ。チャンバラもリアルと剣舞のほどよい加減で見せますし。第3シリーズお願いします。

柳生十兵衛光厳が急死するのが、慶安3(1650)年、由比正雪が謀反発覚で自刃するのが慶安4(1651)年。このスタッフにかかれば十兵衛が寿命を何年か延ばすのはたやすいこと。十兵衛はこの時点で43歳だから、まだまだやれますよねえ。村上さんは島原の乱(当時31歳)を演じたわけですから。実年令に近づくんですもの。和泉さんとの決着見せてください。

土曜日に見る予定のテレビ『BLOOD+』(TBSテレビ)

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2006年5月25日 (木)

いぬかみ!にサトシ(メガネ)が来襲!

コミック『うる星やつら』に『鉄腕アトム』のパロディーがあったはずなのだが、どうしても見つからない。ノース2号の触手が変換するシーンのパクリだったのだが。・・・うーんと、それじゃ、小説『不思議の国のアリス』でもいいや。多次元世界の入り口となるドアの作り手たちのウサギ。あれはアリスのウサギである。

『うる星やつら』はそのような原典探しのおタク心をくすぐるイメージに満ちた作品だった。弁天様に雪女、神や妖怪が跋扈するストーリーでもある。アニメ化された時に作り手がおタク心を増幅してかなりアレンジ。心のせまい原作ファンをすでに怒らせたりしている。

その代表とも言えるのがアニメにおいて原作にはない過剰な出番を与えられ、準主役にまで登りつめたメガネことサトシ(声優・千葉繁)である。彼はデブじゃないおタクの典型として今もなおカリスマを維持しているらしい。

で、『いぬかみ!』(テレビ東京060525PM1~)原作・有沢まみず、脚本・久島一仁、演出・三宅和男を見る。今回、同人誌おタクである河原崎直己というキャラが登場するのだが、これがメガネにくりそつ! 声優は千葉繁(特別出演)さんである。

もちろん、アニメ『いぬかみ!』はアニメ『うる星やつら』のイメージにみちあふれた作品なのだという話である。主人公男女は色餓鬼でいろいろな異性にもてたい男の子啓太と、妖怪変化の類で独占欲の強い女の子ようこである。まさにメイン設定、あたるとラム。男の子は乙女心が分からないと女の子に火炎や電撃でちゅどーんっと制裁されてしまう。『うる星やつら』の原作者・高橋留美子さんは現在『犬夜叉』を手がけているが、犬神のようこはまさに男女入れ替えワザのようだ。

今回、コスプレタイム(制限2時間)を呪うにわとりとようこに横恋慕する河原崎が手を組み、町はコスプレパニックに陥る。犬神使いの啓太はねこ耳スクール水着、ようこは魔法少女、河原崎はセーラームーン系、町の人々はメイド喫茶系だの、特撮ヒーローだの、巫女さんだの、バレリーナだの、ミニスカポリスだの・・・はなかったか・・・にコスプレされてしまうのだった。制限時間が来るとコスプレは消去されて全裸。男子中心の象さんオチである。

ま、パクリだろうが、オマージュだろうが、楽しければいいのではないかとキッドは考える。なにしろ、格闘シーンで『あしたのジョー』がいまだに受け継がれているというのは伝統文化を語る上でも肯定的にとらえたい。著作権者としては気持ち悪いかもしれないが。ここは大人の度量で・・・。

河原崎の捨て台詞は「お兄ちゃんと呼んでほしかった」・・・グッドジョブ。

エンディングテーマは「大変大変とみんなで騒ぐと悲しいことも忘れちゃう」(『友情物語』)である。「変と変を合わせてもっと変に」してもらいたいのである。もちろん、時代は変遷する。ラムの乙女心とようこの乙女心は微妙に違う。この違いがおタクにはまたとてーも愛しいのであります。

関連するキッドのブログ『迷える魂、シューティングとシミュレーションの間で。』

金曜日に見る予定のテレビ『ザ・ヒットパレード芸能界を変えた男・渡辺晋物語』(フジテレビ)

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2006年5月24日 (水)

太宰治、宮沢賢治、そして宮藤官九郎。

石ノ森章太郎、寺山修司、そして宮藤官九郎。でもいい。東北地方は時々、とんでもない天才を生む。連なるのである。クドカンはあきらかにこれらの著名人に連なっている。当然、天才に無用の人たちには理解不能なのだ。「おっさんにはわからん」のが当然なのでありますね。

だから視聴率はとれないのである。だって東北の天才は不遇に決まっている。しかし、「わかるよ。クドカン。わかるよ~」という人たちには極めてフィットなのです。よってDVDはそこそこ売れる。もちろん、『ロケットボーイ』(フジ)や『ぼくの魔法使い』(日テレ)のようなすれちがいもありますが、TBSならほぼ大丈夫。

もう一つ。アイドル再生においても文学的アプローチによってクドカンは光る。森下愛子、加藤あい、酒井若菜、薬師丸ひろ子、篠原涼子、井川遥、小泉今日子、伊東美咲、蒼井優とアイドルが女優としての輝きを放つきっかけをクドカンは作る。もちろん、アイドル側に文学的素養がないとNGなんですがね。

で、『愛の劇場・吾輩は主婦である』(TBSテレビ060523PM1~)脚本・宮藤官九郎、演出・高成麻畝子を見る。今回は斉藤由貴(66)と竹下景子(53)という実年令差13才の嫁姑がクドカンのアイドル再生ターゲットになっている。

この二人の面倒くさい愛の対象が夫であり息子でもあるミッチーこと及川光博(69)さん。ミュージカルおタクであり、音楽ディレクターなのだが、脱サラする夢追い人という面倒な人。この人が会社を辞めるシーンで担当中の歌手のポスターがいたるところに貼られている。『しおりのとことん節』である。しおりは馬渕英俚可(ホリプロキャラバン17thグランプリ)さんだ。前回、妊娠(相手は尾美としのり)が発覚しているのだが、ゲストなのか。

子供は一姫二太郎である。長女は東亜優(キャラバン29th特別賞)さんで、これもターゲット範囲(15才でもう再生対象かよ)であるな。前回、「まだまだつぼみのつぼみです」今回、「明けない夜はない」でいいセリフをもらっているつぼみは能世あんな(TEN CARAT)さんが、おおっ、ここに実在の美人三姉妹(モデルのえれな、女優の香里奈で松岡伶子バレエ団の能瀬三姉妹)かあ。・・・と豪華にアイドルがちりばめられている。これはプロたちがエサの投げ方が上手ということですが。

斉藤さんはジャンプおすわりなど軽くフィジカル技を披露したり、足がつったりと面白キャラクターを演じつつ、壊れる瞬間に向かっている途上。竹下さんは多くの謎を秘めつつ、コミカルに拍手をし続ける。演出も省略の技法がなかなかいい。セリフの前ノリは常套。査定といいつつ査定の場面をカット。買い物といいつつねぎを持って帰宅。このぐらいのテンポで置いていかれる人は放置してよいね。

主題歌は「ねえ聞いて お母さん 好きな人がいるの それはね お父さん ・・・言っちゃった」というバカヤローソング『家庭内デート』である。トレビアン。今日の文学的メモは「ベランダでケータイが鳴る あなたの不在を知らせるために 私はここよ あなたはどこなの」である。ゴージャス。漱石引用は「会社はまだない」(ミッチー)である。ファンタスティック。キッドはこのドラマに賛辞を惜しまない。

関連するキッドのブログ『心に焼き付ければいつでも見えるよ。(宮崎あおい)』

木曜日に見る予定のテレビ『柳生十兵衛七番勝負 島原の乱』(NHK総合)

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2006年5月23日 (火)

マジシャンで、美人で、三姉妹は理想だよ。しかも魔女って。

魔女かよ。はあくまで三村のツッコミなので、魔女じゃなくていいのですが、キーワードが「イッツミラクル」「いきます」ってのはちょっとね。「イッツミステイク」のフリオチと下ネタ連想系かよ。

チャームド魔女三姉妹のためか、昔からの風習か、先月の西ヤンのドラマに続いて美人マジシャン三姉妹の登場です。今度は実在系ですが、長女KASSY(1975)さんはKassy&Madokaで母娘マジシャン、次女MAYUさんは真優で綺麗系マジシャン、三女PERUさんは個性派マジシャンぺる、コンビでぺるまゆというユニットも組んでいて、三人とも東京都荒川区西日暮里にある魔法招会のメンバーです。マジック寿司チェーン、『すし常』に出演していますって・・・これ、番組的には黒歴史だよな。

まあね。美女できれば美少女で、三姉妹で、マジシャンで魔女でなんて要求は自然界では無理なんですよ。

で、『さまぁ~ず&美川憲一美人マジシャン三姉妹お前ら魔女かよSP!!』(テレビ朝日060522PM7~)構成・安達元一(他)、マジック監修・ヒロサカイ、ディレクター・五十嵐優人、総合演出・新村幸三郎を見た。設定は魔法学校の卒業試験で三姉妹が卒業試験を受けるということなのだが、カッシー(KASSY)留年しすぎだろう。

115分スペシャルなのでネタ数は満載である。ほぼサクラ系(観客もマジシャン側)のネタなので、のんびりと楽しむにはいい感じになっている。ハリポタや魔女宅急のテイストでもう少し味をつけると個人的にはもっといいのですが。せめて呪文系で遊ぶとかね。まあ、キーワードは「いきます」「イッツミラクル」の繰り返しの方が効くといえば効くのですが、マジシャンと魔女の間を三人がさまよってキッドは悪酔いしました。

舞台となるレストラン、ブティック、ランジェリーショップ、釈由美子のいる楽屋、公園、お笑い芸人のいる楽屋、デヴィ夫人のお部屋、幼稚園・・・にサクラが満開となるのですが、純真な子供たちに「みんなこれからマジックをやるけど世の中をびっくりさせようね」と前説するディレクターの姿が目に浮かび、いい教育的指導だと思いました。できればみどり幼稚園にはもう少し生活環境の良さそうな水槽を一週間くらい前から仕込んでおいてほしかったと思います。かやのちゃんはサクラちゃんでいいですから。一座の子供に生まれた運命ってことで。それなのに子役たちいい表情作りすぎ。

それから、ブラジャー脱衣のサクラさんはギャルサーのメンバーにいてもおかしくないくらい、ちょっといい感じだと思いました。

あっと言う間の2時間でしたが新作ネタがあった記憶がないのがちょっぴり残念。山形県出身のカッシーは年上なのに一番初々しかった。テレビ慣れしてない感じ、順応性のないかたくなさ、次回があったら卒業していませんように。それから2時間ドラマでも美人マジシャン三姉妹やってくれないかな。長女米倉、次女綾瀬、三女沢尻みたいな感じで~。

水曜深夜(木曜日)に見る予定のテレビ『いぬかみっ!』(テレビ東京)

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2006年5月22日 (月)

さかなクンとトオルちゃんで木更津簀立て責め。

先々週、視聴率トップは『旭山動物園物語』だったらしいが、それを見越してか、トップネタに組み込まれている。

『わくわく動物ランド』から考えれば相当の老舗であるこの番組。動物でクイズで司会はみのもんたさん。非常にはずしようのない番組なのに、さらにこういうネタ構成をするところがちょっとずるい。

それにもましてマレビトというか、キワモノ系の二人が初顔合わせと言うのが憎い。さかなクンとトオルちゃん。初対面なのかよ。どんなコンビネーションなんだ。うわ、こりゃあたまらん。

で、『どうぶつ奇想天外』(TBSテレビ060521PM8~)構成・シマダ秀樹(他)、演出・保津章二(他)、総合演出・西岡浩太郎を見た。ネタは「ゴリ(ガレッジセール)の旭山動物園レポート」「さかなクンと山咲トオルの簀だて漁レポート」「ケニアマサイマラのマタネットプライド(オスライオンがメスライオンにリンチされる)レポート」「カリフォルニア湾の海洋生物レポート」である。

おお、全部のレポートが面白いではないか。旭山動物園はやはりロケポイントか抱負だし、トラを見せるだけでこんなに楽しいのはすごいな。もちろん、大地震が来て、あのアクリルが破砕されることをどうしても想像してしまうのだが。照屋林助さんの孫は本当にいいタレントになったなあと思うし。

そしてさかなクンである。やはり、ボケはさかなクンだったのだな。山咲トオルはすっかり引き気味のツッコミ役に。トオルちゃんをノーマルに追いやるとは。もちろん、フィールドが東京湾金田海岸じゃしょうがねえか。地の利、さかなクンにありすぎ。

貝からイイダコ引っ張り出し、アカエイの毒針手掴み、ヒガンフグの歯をカチカチさせ、ふくらんだフグから水を吐き出させ、あげくのはてはドチザメにわきの下を噛み付かせ狂喜乱舞のさかなクン。噛み付いたサメは神。っていうかナイス編集。トオルちゃんはすっかりリアクションアイドル・・・オカマキャラだから間違っていないのだが・・・に徹していた。とにかく楽しい。

と、すっかりお腹いっぱいなのだが、さらに「ケニアのライオン大家族モノ」が来るのだ。まず、雄ライオンお昼寝。可愛い。そして夜間メスと子供グループ十数頭が狩りに。草食動物息の根止め。生存競争丸出し残酷お食事タイム。素敵。さらに若い一匹雄ライオンのうっかり縄張り荒らし。メス全頭迎撃モード。囲んでリンチ。若者血だるま退場。すげえ。野生の王国全開です。しかもタイトな編集で素晴らしい。

カリフォルニア湾のお魚さんたちはデザート感覚でした。チンアナゴで軽く笑わせてフィニッシュなのです。老舗あなどれんなあ。

火曜日に見る予定のテレビ『我輩は主婦である』(TBSテレビ)月曜から見るけどね。

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2006年5月21日 (日)

こわれた樋口可南子とセラピー犬。

主婦と犬の物語といえば、篠田節子さんの小説『逃避行』が思い浮かぶ。自分>ペットの犬>人間の傑作だが、今回はペットの犬>自分の物語になりそう。

なにしろ樋口可南子さんは精神年齢12才くらいの幼い大人の役どころである。この壊れ加減が非常に素晴らしい。一歩間違えば、近所の子供を殺してしまうような危うい精神状態でありながら・・・もちろん、そういう描写はありません。あくまでキッドの妄想です・・・常識の殻が彼女をなんとか守っている。

この傷つきやすい大人、刺激的に言えばあまったれた成人女性が保健所で処理されそうになった捨て犬を拾うところから物語は始まる。

で、『土曜ドラマ・ディロン~運命の犬』(NHK総合060520PM9~)原案・井上こみち、脚本・寺田敏雄、演出・岡崎栄を見た。日常生活には支障はないが、深く心を病んでいる専業主婦の不安に満ちた精神世界を樋口可南子が繊細に演じている。これは素晴らしい。夫の何気ない一言。夫の母の存在そのものを恐怖と感じてしまう心の闇。痛々しい役どころを発狂ギリギリのところで踏みとどまり、狂気ではないようにみせて最後にやはりすこし狂ってるんだなあと完結させる第一夜である。っていうか、そう見なければ単にちょっと臆病な女性なんですが。

犬はゴールデンレトリバーである。人の心がわかる犬であるが、超能力犬ではない。だから、処分される檻の中で大人しくしている。まあ、つまり人に優しい犬なのである。動物に癒されるタイプの人にとっては人の心がわかる犬ということなのである。そういう犬が実在することについては動物の心がわかるキッドには特に不思議なことではない。

しかし、心の病んだ主人公にとってはまるで不思議の国から来た犬に感じられる。このあたりの主人公の独白的ナレーションはもしも樋口可南子さんでなかったら、かなりイタイ展開だったと思う。

主人公が自分の狂気に気がついていないように装いながら全開の異常行動を積み重ね、最後に破綻する第一回。甘えられることでエサがもらえるならディロン(オス4才・宮訓練所)もまあまあハッピーです。今後はこの犬が介助犬として成長していくらしい。

視聴率的には一桁の続く土曜ドラマの第4弾。『氷壁』はもうひとつだったが、『繫がれた明日』は傑作だったし、『マチベン』は江角を復活させた。今回、動物ものということで、スタッフが視聴率的に少しいやされたらいいなあと思うのである。

月曜日に見る予定のテレビ『美人マジシャン三姉妹お前ら魔女かよSP』(テレビ朝日)

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2006年5月20日 (土)

太田光が田中に解説してもらえないボケ。

お笑いをどの程度、お客さんに分かってもらったらいいか。という問題がある。漫才というのは初心者向けのお笑いという側面を持つ。ボケが面白いことを云う。しかし、面白さをお客が理解できるとは限らない。そこでツッコミが笑いのツボを解説するというスタイルである。スポーツ中継の実況アナと解説者も同じスタイルだ。

知らない人もいるかもしれないので一応言っとくと、爆笑問題の太田光はボケなのです。

と、私がボケた時にすかさず、田中くんが、「今時、そんな奴いないだろう」とツッコミを入れるわけです。このように漫才とはお笑いと言うものを知らない子供にもこういう風に笑うんだよと教えてくれる優しいシステムなわけです。ツービートという漫才師からビートたけしが生まれたのはこのシステムの延長線上にツッコミの甘さに対してボケがさらにツッコミを入れるというひねりがあったからなのです。太田くんは残念なことに甘いツッコミを持たないので時々、ボケっぱなしという荒技にチャレンジしています。ま、ほとんどの場合、笑えないのですけどね。

で、『太田光の私が総理大臣になったら・・・秘書田中』(日本テレビ060519PM8~)構成・桜井慎一(他)、ディレクター・松山和久(他)、演出・三浦伸介(他)を見た。タレントが擬似議会で擬似法案を提出し、タレントの擬似議員に賛否を問うという企画。

今日の法案は「太田光提案・アメリカ政府には今後ビタ一文払いません」「橋下徹提案・昼間に家のカーテンを閉じることを禁止します」である。

太田のボケは「日本は米国に金を恐喝されている」で始まる。「世界で一番危険なのはアメリカなのだからアメリカは武装解除するべきだ」「日本は戦争をしないのだから軍隊はいらない」「日本は戦争をしないのだから防衛はしない」「日本は戦争しないのだから全国民が殺されても抵抗しない」「日本はアメリカに占領されているのだから中国や韓国にも占領してもらった方が公平だ」「侵略戦争をしているのはアメリカだけで中国のベトナム侵略や旧ソ連のアフガン侵略は嘘だ」「日本はアメリカの奴隷をやめて全世界の奴隷になるべきだ」「アメリカ的な民主主義ですごい競争するよりも共産党独裁下の開放経済でちょっとだけ競争した方がいい」・・・ま、大江健三郎の障害児を持つ父親視点の絶対的平和主義、野坂昭如の殺されたほたるのための非武装中立滅亡論とほぼ同じ方向のボケなのであるが、キッドは大笑いでした。しかし世の中のほとんどの人はボケが理解できなかったのではとも考えます。法案は賛成10、反対13で否決されました。

橋下のボケは賛成8、反対13で否決されましたが、日本テレビアナウンサーの盗撮問題、さらに事件を実名報道しない問題で騒ぎのある中、すでに収録してしまったのでこのタイミングでオンエアされたことが、お笑いの神様降臨の証となりました。ま、キッドとしては「隠されているから覗きたい」のだと思いますが。隠し味とかね。雪隠とか。・・・いかん、いかん、変態であることが明らかではないか。

視聴率は10%の手前ということなので、田中をどうからませていくかがもう一考ですね。もちろん、それじゃ、他の番組と差別化できないというこだわりもあるでしょうが。でも太田光のコラムほどには笑えないですからね。それでは目先を変えてる意味がないのでは。もっとも今日あたりは2chではだいぶ釣られているようでしたけど。そうなると毎回日本戦略ネタなのか。

日曜日に見る予定のテレビ『どうぶつ奇想天外!』(TBSテレビ)

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2006年5月19日 (金)

迷える魂、シューティングとシミュレーションの間で。

データ化された都市というアイディアにキッドが初めて触れたのは小説『百億の昼と千億の夜』(光瀬龍1967)だったと思う。テーマそのものが死と生きるものとの永遠の戦いを描いた作品であり、都市ごとデータ化された人々が滅びから逃れられないというイメージはショッキングだった。

それからざっと40年。映画『ブレードランナー』『マトリックス』を経てデータの生命化と生命のデータ化は現実世界にも影を落とし始めている。

もちろん、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』もその流れに属していると言えるだろう。ゼーガペインもまた同じ流れの中にあるが最もストレートに流れに乗っている。なにしろ、もはや人類はデータの中だけの存在なのだ。

で、『ゼーガペイン』(テレビ東京060518PM6~)脚本・久保田雅史、演出・雄谷将仁を見る。子供は心がせまいものだが、キッドが子供なら即座にエヴァとマトリックスみたいと決定してしまうだろう。しかし、もっと子供なら空ということもあるのでショックを受けるかもしれない。そのぐらいには面白い。

夏にはシューティングゲームになる。だから戦闘シーンは必要だ。ハルヒやスクランの流行を考えると学園コメディーも必要だ。ちょっと計算高い構成になっている。もちろん、エヴァだって同じ構成なのだが、作り手ののめりこみ度が違うのだった。大衆的なメッセージが大衆の心を捉えず、個人的なメッセージが大衆の心を捉えるという逆の一例である。

ヴァーチャル恋愛を求める者には戦闘シーンが邪魔で、巨大人型兵器を求めるものにはラブコメが邪魔という展開になっているのではないか。いや、本当に心がせまいな。千葉県舞浜市が舞台である。廃墟になった世界で一番有名なネズミのテーマパークはキッドも見たいと思うのだが。今回は水族館だった。

必要な情報も不必要な情報も過剰な世の中だ。今世紀の子供たちは本当に大変だと思う。キッドが今の子供なら情報に溺れてしまうことはほぼ確実だ。その中で彼らの心をつかみ、かつ彼らの生きる糧になる情報とは何か。エンターティメントのクリエーターたちは一晩くらいじっくりと考えてみるべきだと思う。

世界は常に滅びの危機に瀕している。しかし、世界はなかなかに滅びない。このアニメを見ようと思ったのはメカの色がキッドの好きなグリーンだったからだが、今回、肝心のメカは主力ではないのだった。うわあ、来週もこれを見るのかよ。世界が滅ばないときっと見てしまうぞ。

関連するキッドのブログ『SAMRAI7~サムライ7(2004)~七人の侍(1954)』

土曜日に見る予定のテレビ『ディロン・運命の犬』(NHK総合)

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2006年5月18日 (木)

安室奈美恵と眞鍋かをりの2本立てって。

一週間、この番組しか見てないとしたら豪華な組合せなんですけど。二人ともカリスマがあるし。もっとも安室(ヴィジョンファクトリー77)さんは新曲キャンペーン中なので結構露出がありますよね。ちなみに眞鍋(アバンギャルド81)さんはダイエット中です。

安室さんは空手、眞鍋さんは剣道。二人とも武道をたしなんでいる。この辺もキッドにはカリスマだ。安室さんにはヒップホップが、眞鍋さんにはブログがついている。この辺もカリスマだ。学歴社会の上下では二人は対照的なのだが、劇的ということでは甲乙つけがたい人生を歩んでいる。この辺もカリスマなのである。

しかし、番組の構成上二人は顔をあわせることなくすれ違う。キッドはそこにドラマチックなものを感じます。

で、『水10!』(フジテレビ060517PM10~)『ワンナイR&R』構成・松井洋介(他)、ディレクター・小仲正重(他)、演出・渡辺琢。『ココリコミラクルタイプ』構成・樋口卓治(他)、ディレクター・渡辺剛(他)、演出・金子傑、プロデュース・石井浩二を見た。

基本的にはコント番組だが、ワンナイはトークショーをやめていて、ココミラは受けのフリートークがある。またココミラはネタが投稿という建前である。当然、安室はコントにゲスト参加。眞鍋はトークショーに参加という変化がつく。

安室はスターのカリスマで全編を支配していく。芸人によるいじり、芸人に対するリアクションだけで番組が持ってしまうのである。もちろん歌手としての彼女はパフォーマンスの主題をそこに持っていないからそれでいいのだが、お笑いの神様の信者としてはもったいないなあと言う気持ちもある。安室がその気になったらすごく笑わせてくれると思う。ま、絶対にその気にならないと思うのでそう書くだけだが。

眞鍋は流行系というテーマの切り口で全編に寄り添う形。にきびに悩むひきこもり、同志社大学合格のグラビアアイドル、メガネキャラ、開放的酒豪と様々な顔を切り替えながら、エロかっこいい、ウィニー、エアギター、ブス恋といった流行しているんだかしていないんだか分からない話題にそつなくコメントしていく。これはこれでダンスなのである。

キッドにとって二人は明らかに女神である。その二人をさりげなく配置したこの番組はすごいと思うのである。それが偶然なのか。必然なのか。もちろん、どちらでもよいのである。村上さんがドラマ主演(先週春ドラマ視聴率2位)でもてるようになったかどうかと同じくらいに。

金曜日に見る予定のテレビ『太田光の私が総理大臣になったら・・・秘書田中』(日本テレビ)

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2006年5月17日 (水)

今井翼でさよなら西湖くん。

ジャニーズ系の美少年たちが演技力に磨きをかけながら、小芝居ファンをも取り込もうとする企画。

ウジャウジャいる小劇団のクリエーターたちはメジャーの匂いに目がくらむのか、あっさりと魂を切り売りするのジャー。

・・・などとキッドはこれっぽっちも思わない。コラボレーション素敵じゃないですか。

で、『劇団演技者。~さよなら西湖クン①~』(フジテレビ060517AM0108~)原作・脚本・蓬莱竜太(モダンスイマーズ)、演出・窪田崇、座長・今井翼を見た。モダンスイマーズ公演05年12月で小椋毅が演じた飯島を翼。古山憲太郎が演じた西湖を海東健。『3年B組6』や『花より男子』の佐藤めぐみ(スターダスト)が津村知与支の演じた米田というキャスティングである。

お話は地方都市の高校野球部OBたちの草野球チームに一人だけプロになった西湖クンが闖入して展開する。どちらが先か知らないが木更津キャッツアイを想起してしまう話だ。西湖くんはピッチャーだし、翼はキャッチャーである。しかも県大会決勝で負けて甲子園に行けなかった過去って。オマージュなのか。早いな。

せめてサッカー部にしとけばいいのに。と無責任に考える。しかし、高校球児の数だけ失われた青春の物語はあるのだから、別にいいか。甲子園で優勝する物語もたくさんあるのだから、優勝しなかった物語は100倍くらいあってもいいのだな。高校の部活がバレー部だった青春も囲碁部だった青春もひきこもりの青春もあるのだからな。もっともっと青春の物語があってよく、そのうちのひとつがたまたま栄光に輝く人と輝かなかった人の軋轢を描く元野球部の物語だったということで。

翼くんは鬱屈したキャッチャー。ヤンキー。キャプテン。エラー。そしてちょっとまじめな傍観者というメンバーで集う埋もれた若者たち。話題は遠回りしながら西湖くんのこと。じらされてもう辛抱たまらんところに海東健登場。つづくで残り3回である。

客のいないところで芝居やってて面白いのか。とキッドは金輪際思ったりしない。じっくり見せるドラマ。素晴らしいです。

木曜日に見る予定のテレビ『ゼーガペイン』(テレビ東京)

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2006年5月16日 (火)

心霊探偵八雲は全編CGにすればいいのに。

と思うくらいオープニングはファイナルファンタジーの映画のような画質だ。

テレビ東京の深夜ホラーといえば『佐伯日菜子のエコエコアザラク』が金字塔でそれ以後はドロドロですねえ。愚かな現実に撃たれてあれが封印されてしまい、『奈良沙緒里のHeartBeat』は遊びが過ぎたし、『ウルトラQ』は回顧が過ぎたし、『ヴァンパイヤホスト』は消化不良。『上野なつひのエコエコアザラク』も出来はまずまずだったのですが、スピードが足りなかった。『ソニンの一番暗いのは夜明け前』は引っ張りすぎ。

もちろん、脚本が悪いのだと思います。特に今回はひ、ひ、ひどい。

で、『心霊探偵八雲』(テレビ東京060516AM0230~)原作・神永学、脚本・監督・山本清史を見た。山本さん、ごめんなさい。確かに主役の輿真司郎(AAA)さんが標準語もままならない演技力だということも分かる。石井めぐるも、石坂ちなみ(JMO)もグラビア系だ。原作はヒット作だからそれなりに縛られる。しかし、どうせ逸脱するならそれなりの方法論があると思うのです。

まず、世の中にあふれるやがて地獄に落ちる心霊家たちを研究するべきだ。彼や彼女たちのまがまがしさに対する、批評というものが根底になければフィクションの霊能力者は造型できません。彼や彼女たちにはできない本当の霊能力というものを表現しなければならないのですから。

主人公グループは絶対的に善でなければならず、善ゆえの逸脱を設定していかなければ筋は通らないのです。

まず、霊視能力者は常に赤い目を光らせているべきです。都会は霊の坩堝なんですから。それは解釈の問題ですから。『木更津キャッツアイ』なんて主人公を含めて全員死者と読み取れるほど笑えるホラーになってましたから。

井戸なんてあの現場をセットするだけで、もう力尽きてる気がするんですけど・・・。あそこからこわくしていかなければならないのです。そのもう一手間が大切だと思うのです。

・・・ちょっと取り乱しました。少女編②です。中盤ですから、今日は面白くなくていい。という姿勢で見なければいけないドラマというのはちょっと寂しすぎたものですから。この枠の灯を消すな。

水曜日に見る予定のテレビ『水10!』(フジテレビ)

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2006年5月15日 (月)

円楽さん、お疲れ様でした。

昨日は北千住にひとみュータントがやってきた。

キッドはねんど教室に参加して終了証書をもらいました。

岡田ひとみ先生ありがとうございました。

で、『笑点40周年だよ!さらば円楽スペシャル!』(日本テレビ060514PM0530~)構成・新倉イワオ(他)、ディレクター・中西健(他)を見た。

30年近く前、この番組の下働きをしていたキッドは一度もお目にかかったことのない円楽さんに連絡する用事が出来た。そこで電話をするといきなり、ご本人が「はい、円楽です」と言うのである。円楽さんの家に電話しているから当たり前なのだが、びっくりしてしまい、しばらく絶句した。未熟というのは恐ろしい。

引退の口上を述べる円楽さんの声は絞り出すようで時々高音にシフトする。最初に話した時の円楽さんの声は低音で落ち着いて深く優しい声色だった。お笑いの神様は時に哀愁を身に纏う。歳月は切ない。

ケーシー高峰さんの「あらかわしずか」ネタはいぶし銀の味わいでした。

火曜深夜(水曜日)に見る予定のテレビ『劇団演技者~さよなら西湖クン①~』(フジテレビ)

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2006年5月14日 (日)

戸田恵梨香のダブルブッキングをどうしよう。ま、いいか。

ギャルサー戸田もメイン展開の日だったのに旭川では準主役って。ま、旬ということですか。

もっとも火曜日には室井滋さんが松本清張スペシャルとブスの瞳でダブルブッキングしてましたが。も、ゆるゆるなんですかね。裏も表も録画できる時代とはいえ、オンエアしか見られない貧しいファンを裏切っていることは間違いないと思うんですが。でも自由業者は稼げる時に稼がなきゃいけないですし。命は不平等ですしね。

でも戸田恵梨香さんも室井さんも良き演技者なので引っ張りだこということで。納得しておきます。

で、『土曜プレミアム特別企画ドラマスペシャル(だからかぶってるって)奇跡の動物園・旭山動物園物語(やはりわざとか)』(フジテレビ060513PM9~)脚本・相良敦子、プロデュース・大辻健一郎を見た。演出不在のなかなか大胆なスタッフ構成である。

賠償千恵子さんが、入園客として客演。一瞬だが、そつのない客を演じていた。寅さんがないので久しぶりに老いてなお可愛いご尊顔を拝めうれしく感じる。

あの有名な旭山動物園の苦労物語を津川雅彦さん、伊東四郎さん、山口智充さんらが園関係者を演じてわかりやすくみせてくれる。人間の命も動物の命も平等だという主張には賛同しないが~キッドの命>キッドの大切な人の命>動物の命>人の命なので~動物園からつっかえされた捨て子犬が保健所で処理されたイメージが浮上したことには黙祷しておきたい。

冬の北海道の動物園で動物の温もりが人の心を溶かすというシチュエーションは非常に素晴らしいと思う。寒い日に猫とうずくまっていると種の境界を忘れる瞬間はキッドにもある。もちろん、人の温もりだってよろしいのだが、夏になると人に寄り添われて暑いと感じることがあるのに対し、猫はそもそも寄ってこないので、やはり人より素敵だ。

アクリルの強度問題で業者が悩むシーンがあるが、ペンギンが飛ぶところを見れるのだから地震で破砕して溺れたとしても入園客は本望ではないかと考える。

面白い、楽しいは命と引き換えのギリギリのところにあるという示唆がいたるところに散りばめられた素敵な観光案内だった。もちろん、成功者は模倣される。上野動物園がいろいろ似てきていることも報告しておきたい。そして上野にはパンダもいます。

読み直すとやや批判的な文章になっている気がするが、楽しかったためにノリが良かっただけで番組はギャルサーよりもマチベンよりも観光案内としては面白かったことを付け加えておきます。

月曜深夜(火曜日)に見る予定のテレビ『心霊探偵八雲』(テレビ東京)

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2006年5月13日 (土)

SAMURAI7~サムライ7(2004)~七人の侍(1954)

主題歌が変更されているが他メディア作品『サムライ7』のほぼ再放送である。

映画『七人の侍』のアニメ化であり、『荒野の七人』が西部劇、『宇宙の七人』が宇宙SFであったように舞台を遠未来SFに移行している。連続作品として登場人物とストーリーは水増しされている。

様々な作品の原点となっている『七人の侍』であるが、その原点を映画で探せば『駅馬車』(1939)と云っていいだろう。日本の古典では「桃太郎説話」が無力な民、異人と仲間集め、鬼退治と原典としての要素を備えている。傭兵という意味では『モロッコ』や『外人部隊』の影響も認められるし、防御戦闘を主とした攻城戦史に多くの材を得ていると思われる。時代背景として、階級闘争や再軍備の問題もそこはかとなく漂う。エロスからの妄想としては純愛から妻を略奪され性的奴隷にされてしまうという泥沼まで展開されている。

で、『SAMURAI7』(NHK総合060513AM0030~)原作・黒澤明、シリーズ構成・冨岡淳広、脚本・高橋ナツコ、演出・多田俊介、監督・滝沢敏文を見た。第5話『お粗末!』で黒澤作品では千秋実の演じたヘイハチ=平八が仲間になる。「苦しい時には救いになる男」だが最初に討ち死にして勘兵衛に「これから苦しくなるというのに・・・」と嘆かせた男である。本当に子供の頃のキッドはこの場面とても悲しく思ったのだが、今ではちょっとしたギャグだったのかもと思える。

とにかく、原作が良いので、話は持つのだが、ハリウッドの『荒野の七人』は別格として、原典を越えた作品に仕上がったためしのないこのパクリ系。その中ではシリーズ展開という手法でなかなかの作品になっている予感がある。登場人物の誰もが主役と云える原典でキッドの主役はなんといっても菊千代なのだが、本作品では表情のない機械の侍として描かれている。階級闘争を背景として芽生える勘兵衛と菊千代の心の交流、そして菊千代が最後を迎えた時の勘兵衛の絶叫。キッドの最も愛する1 シーンが裏切られぬことなく描写されるといいのだが・・・。

カンベーとシチロージの同性愛濃度が濃くなっていたり、カンベーが意味もなく戦闘中に相手の股間をにぎったりと、かなり不思議な展開も見せる本作品。そういう部分は穿った解釈としてキッドにフィットしているので大丈夫のような気もする。

しかし、勝四郎の恋愛相手が志乃から、キララというオリジナルキャラクターに変更されているあたりに一瞬危惧を覚えたりもする。

好きな女を見知らぬ男たちにいいようにされている利吉的な心情を味わうキッドなのだった。

プライド高いプロフェッショナル、そして無用の男たち。彼らの負け戦は永遠に続くのである。

関連するキッドのブログ『上戸彩VS名探偵コナン、4年前の約束って。』

日曜日に見る予定のテレビ『笑点40周年だよ!さらば円楽スペシャル!』(日本テレビ)

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2006年5月12日 (金)

劇団ひとりと吹石一恵と細モノ8後半戦。

この組合せはちょっとお腹いっぱいな感じ。

キッドがとんねるずと最初にあった時、打ち合わせでお願いしたのがランキング形式の形態模写ネタだった。サンダーバードをやってもらった記憶がある。

創作の基本は模倣であるし、オリジナルというのは模倣の成果である。そういう意味でものまね選手権は見逃せないし、ひらめきと修練の両方を芸人から感じることのできる楽しい時間だ。優香のリアクションも楽しいが。

で、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ060511PM9~)企画・石橋貴明・木梨憲武、構成・秋元康/遠藤察男(他)、ディレクター・竹内誠(他)、演出・太田一平を見た。ネタは「博士と助手細かすぎて伝わらないモノマネ選手権8後半戦」と「新食わず嫌い王決定戦吹石VSひとり」である。

360°モンキーズ杉浦双亮(太田プロ)の「内角攻めに苦しめられる台北リーグ張泰山選手」で後半戦開始。「客を見送った後の赤坂見附のキャバクラ嬢」ガリットチュウ福島喜成(吉本興業)、「朝まで飲んで草野球に行きリアルに吐く人」サワー沢口(太田)、「調子が悪く神経質なマリナーズ城島健司選手」リングサイドきたけんじ(吉本)、「天山と言うところを蝶野と言う蝶野選手」糸賀清和(仙台KYODO)、「アニマル浜口に足を引っ張られリングアウト負けになるアントニオ猪木」アントニオ小猪木(西口プロレス)、「山瀬まみにガッテンを求める立川志の輔」どんぴしゃ森本のりひさ(吉本)、「天達キャスターにテンションをあげて渡す小倉智昭」シューレスジョー(吉本)、「バス界の初代大統領ラリー・ニクソン」くじら(オフィスインディーズ)、「天和であがる高品格」古賀シュウ(太田)、「165と言う落合博満」牧田智丈さん(一般参加)、「はとぽっぽを歌う平泉成」山崎末吉末吉くん(太田)、「空気を読めと云う空手の師範代」ずんのやす(浅井企画)、「サケの稚魚がイクラから飛び出す瞬間」Bコースハブ八郎(吉本)、「ビートルズになりたくてヤザワになってしまった人は海が好きと説明する矢沢永吉」マキタスポーツ(オフィス北野)、「警視庁24時飲酒検問で£△※$Ω・・・の人」次長課長河本準一(吉本)、「申し訳なさそうに値段を言うトーカ堂北社長」博多華丸(吉本)で予選終了。

優勝は360°モンキーズ杉浦・山内の「元ヤクルトのホッジスと元巨人の小田」でした。牧田さんの落合は凄かったけどなあ。

劇団ひとりは「ハリウッドスターにインタビューするハルキ」というネタを準備しておいてもよかったかな。勺が難しいか。五木くらいの勺で、できればね。

キッドとしては吹石さんはギリギリでミムラさんと顔の区別がつくようです。

土曜日に見る予定のテレビ『土曜プレミアム特別企画ドラマスペシャル(かぶりまくり)奇跡の動物園・旭山動物園物語(わざとか)』(フジテレビ)

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2006年5月11日 (木)

Check it out you all !!  勿忘草をあなたによ。

深夜ドラマ枠が新規設定されたのだな。それが映画連動企画となると年に4本青春映画をやるつもりか。フジテレビは。若者争奪戦をするからにはそのくらいの戦略があってもいいと思うが。

映画番組宣伝としては大丈夫か? と思っていたのだが、今回はストーリーもヒロインもサブキャラクターのからみもクライマックスのラップも落ち度なく、秀逸だった。映画の入りもまずまずなようなので、関係者はホッとしているかもしれない。

今回のヒロインは平田薫(アミューズ1989-)さん演ずるお花を愛するメガネッ娘美里ちゃん。加治将樹くんが恋に落ちる。すると突然、彼女は転校に。すっごい時期はずれ、一体、彼女の家庭になにが・・・。もちろん、そういう事情は一切、語られませんが。

で、『青春★ENERGY~チェケラッチョin TOKYO』(フジテレビ060511AM0045~)脚本・上杉隆之、演出・小林和宏を見る。東京の高校生としては素朴な感じがするが、東京も広いからね。川田(ガレッジセール)演じる喜屋武先生は映画と連動しているキャラクターだが、無理なくとけこんでいる。いや、溶け込みすぎている。ここは・・・東京なのだよな。

フジテレビには『翔んだカップル』(1980)があり、ほぼそのテイストで作られている感じ。テレビ東京金曜深夜のどエロ青春ドラマと差別化する上でもこれは好ましい。同時にソフトエロ路線であってもほしいと思う。心のせまい若者に微妙と感じられるくらいでいいのではないか。純愛エロ路線ぐらいでもいい。だってどエロはネット線上にあふれているのだから。

彼女が誰にも告げずにひっそりと転校していこうとする昼休みの校内食堂で作りかけのラップを彼は歌いだす。放送部仲間も食堂の一同も手拍子足拍子・・・。

「みんな聞いてくれ、チェケラッチョ ! yo yo   オレらがそろえばそれが放送部  叩いて痛いの後頭部、(yo- yo-) オレらのラップこんな感じ どんな感じ ? (あ はい 楽しい感じ) 黙っていくなんて寂しい感じ オレら一緒に笑った仲でしょ 見送る言葉くらい言ってもいいでしょ 転校しても元気でやれよ 素敵な笑顔忘れんなよ 花を愛する優しい心 ちょっとドジな可愛いところ すげェいいじゃんて気づいた今頃 (yoX8) 花を愛する優しい美里 ドジをするけど可愛い美里」

愛の告白である。エピローグもハッピーエンド。この調子でやっておいて次の作品をちょっとどす黒くするとやつらのハートをつかめるかしれん。

映画版の井上真央、市原隼人たちが合流する展開はフィナーレあたりかな。心のせまい8 mileヲタやオレンジレンジヲタ、アンチヲタやヒポヲタ、あるいはハルヒヲタやアニヲタをもくすぐりながら楽しくまきこんであげてほしいものだ。

土曜日(金曜深夜)に見る予定のテレビ『SAMURAI7』(NHK総合)

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2006年5月10日 (水)

昔、井川遙。今、蛯原友美、そして村上知子。

キターッ!!『電車男』の女性版と思ったのだが、そうでもないようだ。

かといって『ふぞろいの林檎たち』における中島唱子・柳沢慎吾のピックアップでもない。もちろん、フィクションとしての鈴木おさむと大島美幸夫妻のビジュアルを知る人間にとっては違和感いっぱいのキャスティングですが、そんなことは些少な問題ですよね。『OLヴィジュアル系』の鈴木紗理奈とも違うし、『101回目のプロポーズ』の武田鉄矢とも・・・ん、これはかなり近いか。なるほど先行系はこれで男女入れ替えワザということで。

顔の区別の苦手なキッドだが、MEGUMIと優香と村上知子の区別はつくのだった。大島と村上はブスとしてはタイプが違うのではとも考える。

しかし、主演はあくまで稲垣吾郎なのでブスの恋という側面はあまりないのかもしれない。好きになった人がたまたまブスだったと。そういうこと?

で、『ブスの瞳に恋してる』(フジテレビ060509PM10~)原作・鈴木おさむ、脚本・マギー、演出・本橋圭太を見た。サブキャラクターとして、怪しい占い師ミセス熊岡を清水ミチコが演じていてこのパターンを高橋ひとみか未唯で見た記憶があるのだがいつどこでだかどうしても思い出せない。…年だなあ。誰か教えてくれ。

(ブスな)女の格言ということで、(ドラマ内番組で)コーナーを作ることになり、スタッフが考えたのが「身を捨ててこそ浮かぶブスもあり」「ブスの魂百まで」「苦しい時のブス頼み」「泣きっ面にブス」「残り物にはブスがある」「すべての道はブスに通ず」「目は口ほどにブスという」「彼は人なり我はブスなり」などとホワイトボードに記されている。

これに対して村上が稲垣のために徹夜で書いた女の格言の手紙にはぎっしり数枚に渡り「上を向いて歩こう正面から見られないために」「情けはブスのためならず」「涙は恋の調味料フラれて初めて味がつく」「能あるブスは顔を隠す」「ブスが西向きゃ俺東」「井の中のブス大海を知らず」「合言葉は女は性格」などとあり、中には重複するものもあるが、これは量で村上の想いを表現するために仕方のないことであろう。

稲垣の心が動くのは「幸せのパスポートに顔写真はいらない」というフレーズ。

そして、井川の登場で稲垣が取り落とした手紙には「あなたといれば毎日がハッピーブースデ」・・・とあった。なかなかそつのない演出であった。

私ってブスだったの? と多くの人々が思う。俺ってチビだったの? 僕ってデブだったの? 自己を認識するのは難しい。もちろん本作品は自分を客観的に見るために、役に立つドラマではありません。だから、どうして稲垣が井川や蛯原でなく村上を選ぶのか。視聴者を納得させることをあまり考えず、そういうこともあるよなあという姿勢でドラマを作ってもらいたい。稲垣は変わってる人というイメージがありますから。どんな展開でも視聴者はそこそこ理解できると考えます。

木曜日に見る予定のテレビ『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ)

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2006年5月 9日 (火)

上戸彩VS名探偵コナン、4年前の約束って。

上戸彩というフィクションと名探偵コナンというフィクションが融合するのだが。

やはり、名探偵コナンの世界に上戸彩がまぎれこんでしまったので、上戸彩は名探偵コナン線上の彩になってしまっている。これをMの彩としておく。Mの彩は4年前に工藤優作(コナンの父)原作の2時間ドラマ『女子高生探偵ユキの事件簿』(日売テレビ・共演・愛内里菜、三枝夕夏)に初主演しているのだ。上戸彩の2002年は『3年B組金八先生』『渡る世間は鬼ばかり』『マイリトルシェフ』(いずれもTBSテレビ)で2時間ドラマはおろか、日本テレビのドラマにもよみうりテレビのドラマにももちろん日売テレビのドラマにも出演歴がない。

ま、確かに2002年は上戸彩にとって人気爆発の始まりであったのだが、お遊びとしては非常に残念だ。また、小学館の『少女コミック』には『上戸彩物語』(2005)がある。キャラクターはここからもってきてコナン世界アレンジをした方が笑えたと思う。ま、あごが四角。身長がメインキャラより高い。目と目の距離がデフォルメしすぎとそこそこ笑えるキャラには仕上がっていましたがね。

で、『名探偵コナン』(日本テレビ060508PM0730~)原作・青山剛昌、脚本・古内一成、演出・佐藤真人を見る。サブタイトルは『上戸彩と真一 4年前の約束』である。

ストーリーは企画成立からオンエアの時間を想像すると良くできていると思える。ただし、要素を盛り込みすぎたので、構成上のわかりにくさが気になった。

挿入される劇中劇である『女子高生ユキの事件簿』は事件発生、伏線、主人公の危機のフラッシュカットで説明なしでスタートする。そのため、4年前の再放送、上戸の近所の仲良しの老婆が見ていた、ロケ現場が工藤宅の近隣にあったといった作品内容が推理のキーポイントになるのだが、そういうドラマであると推理することを視聴者に要求しているためにまことに不親切。子供には泣いちゃうほど分かりにくいのではないか。

ああ、これはそういうドラマでこのMの彩は架空の上戸彩なのね。ともう少し丁寧に描くべきだったな。ナレーション処理でもいいし、掃除を始める前にコナンたちも再放送を視聴していたことにしていてもいい。そうなると当然杓は不足してくるが、なんなら前後編でやってもよかったじゃん。どうせ、特別企画なんだから。

・・・これも10周年か。ポケモンも10周年(ゲームが、アニメは来年)だし、そろそろいいろいろなことが潮目だよなあ。関係ないけど酒井若菜の小野妹子をもっと見たいぞ。

関連するキッドのブログ『NANA。今夜は二人ともX指定です。バスタブでじゅっ。』

水曜深夜(木曜日)に見る予定のテレビ『青春★ENERGYチェケラッチョ!!in TOKYO』(フジテレビ)

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2006年5月 8日 (月)

こんにちは! 朝だね。というお笑いが無視されている件。

6周年なのだな。キッドが密林にひきこもり、4年目くらいに始まったのだ。

それからずっと視聴しているのだなあ。おそろしいことだ。日曜日の昼前。こんなに継続して視聴しているのは『宇宙大作戦』《日本テレビ》『宇宙パトロール』《フジテレビ》以来のことなのだな。もちろん、一番のお気に入りコーナーは「ミニモニ。ぴょ~ん星人」(01~02)で本格的にはここから継続視聴だ。つまり、日曜の昼前に宇宙ものというのがフィットしたのだな。

もうひとつ、『スター誕生!』(日本テレビ)という流れもある。日曜昼前のアイドルオーディション番組だ。これもまた、この番組がフィットする理由だろう。肩を並べるためには後6年。う~ん。がんばってもらいたい。

で、『ハロー! モーニング。』(テレビ東京060507AM1130~)企画・川口勇吉(他)、構成・海老原靖芳(他)、ディレクター・野中哲也(他)を見た。構成的には正統派のバラエティーショーである。歌とトークとコントなのだから。もちろん、基本的にアイドルだけで構成されているのでトークはからきし弱い。弱いのだが、そこがまた魅力なのである。

最近では歌も弱い。どうせ視聴者は300万人前後なのだから、新曲告知以外にもっと歌わせてもいいのではないか。スマスマをやればいいのであるし。で、もちろん、若い女の子の集団を管理するのは大変で、コントも弱い。コントは問題あったときに編集が大変だからなあ。・・・うわあ、強いところがない。・・・のだがそこがまた魅力なのである。

そこで目先を変える二つの流れがある。ロケで情報系をからめてお遊び。スタジオでゲーム的お遊びである。毎週が試行錯誤という展開がここ3年ほど続いている。早い話がモー娘。がらんでいればなんでもいいだろう。という投げやりなフォーマットだ。そこがまた魅力なのである。

今回はチャーミー石川とハロモニ幼稚園+北斗晶で世界のミニゲーム(不味いジュース罰ゲーム付き)がメインディッシュ。コント要素で囲い、そこそこ楽しいレクレーションゲームという展開で、最近では一番、もしもスタッフだったら胃が痛くならないよなあという内容だった。良かった。本当はこの手をマンネリするまでできるといいのだが、女の子たちにはお約束が通じないので次回はリアクションが弱くなるというジレンマに支配されているのだな。そこがまた魅力なのである。

来週はいよいよヨッシーの天狗コントが見られるらしい。しかし、アイドルに天狗って。そこがまた魅力なのだなあ。

火曜日に見る予定のテレビ『ブスの瞳に恋してる』(フジテレビ)

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2006年5月 7日 (日)

妖しい松下由樹の呻き声、妖しい佐藤仁美の高笑い。

おとり捜査官シリーズもついに第10弾だ。今回、怪しいのは佐藤仁美、国分佐智子、水沢アキ、来栖あつこ、赤沢美代子、浅田好未(引退していなかったのかパイレーツ)、林マヤ(違うだろうな)、男では山崎樹範、岡田浩暉である。ま、バレバレなんですが。

脚本は共同脚本だが本シリーズ2本目の外村朋子(とのむらともこ)さん。元テレビ局の美術スタッフ、2時間ドラマ新しい切り口を見つけたいと放送作協の新入会員紹介で抱負を述べている。がんばってください。

これまで痴漢を装った愛、変態を隠すためのバラバラ殺人、ストレートに羊、美人令嬢連続、ナース連続・・・といったややアブノーマルな犯人たちを追い詰めるおとり捜査官なのだが、もちろん、殺人を犯すのでアブノーマルは当たり前だろうという意見をキッドは却下。まともな人の殺人行為はあると思うし、アブノーマルは別に悪ではない。本シリーズにはあえて「アブノーマルな人が殺す」というこだわりがあるのだと思う。

で、『土曜ワイド劇場おとり捜査官・北見志穂10左手を盗まれた美女連続殺人』(テレビ朝日060506PM9~ナイターややおし)原作・山田正紀(原作はすでにネタぎれなのでオリジナル)、脚本・外村朋子、脚本・監督・長谷部安春を見た。

ノーマルアブノーマルと善悪をからめ、最後に虎口に囮が飛び込むこのパターン。今回も変態が次々に登場する。まず、手フェチである。今回、手は重要な要素だから、当然だ。それから車で女性追跡マニア、近親相姦的な母と息子、横取り愛好家、ネイルマニア、ナルシストと連続登場。ここまで登場するとノーマルに装っている人が犯人であることは間違いないだろう。なにしろ、囮捜査官はプロファイリングをするのだからオタク、蟹江敬三は娘を殺されても捜査をやめない刑事捜査中毒と取り締まる側もアブノーマルなのだから。

導入部で手の静脈による個人判別のテクノロジーが挿入され、ミスリードを誘おうとするのだが、犯人にその気がないので、やや、的外れ。やはり、手フェチの秘密パーティーの方がしっくりくる。個人判別テクノロジーマニアがからんでこないとダメですよ。

マネキン工房の廃屋で不気味に鳴り響く笑い声。ああ、ゲストに菅野美穂で、アブノーマルな犯人もお願いしたい。もちろん、映画『バウンスkoギャル』以来のファンであるキッドにとって今回の犯人には大満足なんですがね。

もうすぐ10年になるこのシリーズ。20代の終わりから主役を張っている松下由樹さん。まだまだ囮でいけるというのも不思議な女優さんだ。ずっと続けて欲しいな。

それにしても長谷部監督、映画『すけばん刑事 ダーティーマリー』(1974)の味わいを今も残すとは、すんげえアブノーマルだと思うな。天才は死ぬまで成長するのですね。

月曜日に見る予定のテレビ『名探偵コナン』(日本テレビ)

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2006年5月 6日 (土)

下北半島・・・でなくGLORY DAYS・・・。

昨日は子供の日だったのでファミリーで南千住唯一の観光地『尾花』に行きました。妹撮影のうな重。・・・を食べたので、心がおだやかだ。

で、『下北 GLORY DAYS』(テレビ東京060506AM0012~)原作・大谷じろう、脚本・遠藤彩見、演出・小山田雅和を見る。瀬戸早妃(サンズエンタテインメント)はもちろんフットサルもやっているのだが『はるか17』『花より男子』からここだ。ここでいいのかどうか。ま、いいのか。そう言えばテレビ東京は初めて取り上げたのか。初めてがこれか。これでいいのか。ま、いいか。・・・というようなリフレインを遠い昔、故・堀江しのぶさんでやった記憶がよみがえる。北千住のグランドでそっくりさんオールスター運動会をやって彼女が桜金造とレポートをしていて選手が競技を終える度に「次も目がはなせません」というのだがキッドの目をはなさなかったのはしのぶさんの・・・つまり、このドラマもピンチをのりこえるというリフレインで構成されているということだ。

いや、もちろん、エロ、エロじゃないのリフレインで捉えても問題ないです。

お笑いの神様が降りてきてもいいのだが、あと一歩。脚本で現場で編集で、もう一粘りがあるといいのだが、ま、エロの限度に神経を使うので、きっと無理ですよね。なにしろスケジューラーが演出しているような修羅場ですからね。

昨日のドラマとこのドラマが同じ媒体に所属するというのが日本のアナログテレビの醍醐味なんだよなあ。いつまでもそうであってほしいよなあ。病的な健全に犯されたらいやだなあ。しかし、現場の人たちから勇気も根性も失われているというウワサだからなあ。命知らずってわけにもいかんのだろうなあ。そういう意味では野田社長にはしのぶさんのリフレインをいつまでもがんばってもらいたいです。

テレビじゃないけどNHK-FMの『アニソン三昧』第三部(PM11~)はほとんど別スタッフだったのだなあ。まあ、リフレインの調味料である、裏切りとして考えれば、それもありだけど。ちょっと限度を越えたかもな。

日曜日に見る予定のテレビ『ハロー! モーニング。』(テレビ東京)

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2006年5月 5日 (金)

嘘くさい実話に基づいた本当のドラマ。

2004年のホリプロタレントスカウトキャラパンのグランプリ受賞者・佐藤千亜紀(17)さん。なかなかに美少女である。顔の区別の苦手なキッドには南野陽子かなと思える角度がある。2002グランプリの石原さとみがフィーバーしたのでなかなか出番が回ってこない感じだが、ま、まだ年令的に残りがあるからな。

で、その父親が小林薫。機械メーカーの社員である。その会社の関係者たちが國村準、段田安則、渋谷哲平、宝田明、宮崎将。う~ん。豪華な脇役陣だな。さらに山本學。怪しい陰謀が渦巻いてもおかしくないのだが、もちろん、うずまかない。

母親の亡霊に導かれて突然、チェロを弾きはじめた娘が魔法の音色で倒産した会社を復活させるというファンタジーなのだが、これが実話だとすると世の中はついに狂いだしたのだな。

で、冗談はさておき、『特集ドラマ父に奏でるメロディー』(NHK総合060504PM10~)作・相良敦子、チーフディレクター・西谷真一を見る。チェロが主役なので音楽に菅野よう子、チェロ演奏に溝口肇を配している。音楽ファンが楽しめるかどうかは微妙だが、キッドは楽しめた。

フィクションとノンフィクションについて考察するにはちょうどいいドラマだろう。キッドはこの世はすべてフィクションだと思っているので、まず、フィクション>ノンフィクションであることを念頭に置いてもらいたい。つまり「やらせ」に腹をたてるというのは教養がない人ということだ。そこで実話に基づいたフィクションであるということわりである。意味ない。このドラマはフィクションです。ということわりよりもさらに意味ない。しかし、こういう言葉を用意しなければならないというのが「いやなフィクションであるこの世」というものなのです。

ドラマは「本当のような嘘」であっても「嘘のような本当」であってもドラマにすぎない。

このドラマを見て、「ちぇっ、そんなウマイ話あるかよ」といらだつ恵まれない人に対し、「いえいえ、これは本当にあった話なんですよ」と追い討ちをかけてどうするのだろうか。心を癒す夢なら夢でいいじゃないかとキッドは思うのだった。

もちろん、このドラマはセリフもよく、それぞれの演技もよどみなく、それなりの感動はありました。労働者諸君は、「ちぇっ、そんな格好で現場にたてるかよ。リアリティーがねえなあ」と思うかもしれませんが、これはあくまでドラマですから。

裏では『弁護士のくず』(TBSテレビ)で殺された被害者・妊娠したAV出演女子高生、容疑者・妊娠させたもてもての自己中心的な若者、真犯人・娘と肉体関係のあった義理の父親(ネタばれだけどミエミエだからいいでしょう)というドロドロのフィクションが展開されていた。娘を夫に殺され残された奥さんは経営する中華料理店をどうするのかと「この世のどこにもいない人の人生」についつい気を揉んでしまうキッドなのであった。

土曜日に見る予定のテレビ『土曜ワイド劇場おとり捜査官北見志穂⑩』(テレビ朝日)

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2006年5月 4日 (木)

森口瑤子似の高田万由子似の羽田美智子さん。

ああ、誰が誰だかわからないのだ。でも、今回は羽田美智子さんだ。

で、あとは、ユースケ・サンタ・・・じゃなくて目幅(タテ)がジャニ規定違反のイノッチこと井ノ原快彦さんが出ている。人の顔の区別がつかないキッドだが、なぜか、主演の渡瀬恒彦さんが渡哲也さんでないことは一目でわかるのだな。この辺りが不思議だ。

制作東映・・・という感じの刑事ドラマである。

で、『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日060503PM0915~)脚本・深沢正樹、監督・吉田啓一郎を見た。コンビネーションというものを研究するには良い素材である。構成の基本である二分割を代表するコンビ。そういう意味で刑事の二人組は分かりやすいのだ。

まず渡瀬さんとイノッチで上司と部下、あるいは年輩者と若者。場合によってはのんびりとせっかち。津田寛治と羽田美智子で男と女、あるいは婚約者ありと恋人あり。田口浩正と吹越満でデブとやせ、あるいは妻帯者と同棲者。・・・とこのように差別化することにより、それだけで会話や物語が発生しやすい条件が整っているわけである。

そのような意味で今回のチーム編成は見事なのだが、ちょっと複雑でうるさいという気持ちがしないでもない。ただし、こういうものは見続けるといい味が出てくるのは確実なのである。そこまで主役の「能ある鷹は爪を隠す」路線の渡瀬さんをその他の全員が「変な人」という目で見る大枠のコンビネーションが、物語を引っ張っていけるかどうかが問題です。

今のところ、まあまあだと思うのですが、キッドは10年ぶりに密林を出てラジオの仕事をして、ちょっとヘロヘロなので判断が間違っていたらごめんなさい。

金曜日に見る予定のテレビ『ドラマ24下北GLORY DAYS』(テレビ東京)

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2006年5月 3日 (水)

アテンションプリーズ、上戸VS相武VS上原。

おお、5月になってようやく、『アテンションプリーズ』にたどりついた。

リメイクであるが、どちらかといえば、『スチュワーデス物語』で、風間杜夫が真矢みきに置換されているのがミソ。マイフェアレディーからプリティーウーマンの流れ。木村カエラの主題歌はいい。ま、上戸彩さんのコスプレに目を奪われているせいかもしれませんがね。

そして相武紗季さんは錦戸亮(関ジャニ∞)くんにまたもや懸想しているのだった。このちょっとファニーな悲しい片思いパターンが人気を静かに押し上げているのかもしれない。一途な女の子というのは分かりやすいからな。

で、『アテンションプリーズ』(フジテレビ060502PM9~)脚本・後藤法子、演出・佐藤祐一を見た。連日の小泉である。小泉孝太郎はなぜか、クラブをクラ♭ブと発音する。上戸や上原はクラブなのに、小泉だけがクラ♭ブである。さすがに御曹司。クラブにはいかず、若い頃からクラ♭ブでオネエチャンたちと豪遊していたのかとあらぬ妄想が浮かぶが、単純にクラブとは縁がなく、まじめに部活をしていたのかもしれない。っていうか、クラブは所詮、下流社会の溜り場ってことですかね。

御曹司はエレベーターに閉じ込められ失禁。そういう役所で本当にいいのか。

上戸は得意分野のフィジカルな訓練に劣等生を脱し勇躍する。いつもカバーにあたっていた友達たちが苦労するのだが、有頂天になった上戸はそれを思いやることができない。ここではチームワークの大切さと非常事態に対する準備の大切さが同時に説かれるのだが、ちょっと散漫になってしまう。真矢が「教師」としてどれほど愛を持って教えているかを描くチャンスでもあるのだが、「まあ、失敗は誰にでもある」という井上順(特別出演)の展開は、そりゃ違うだろうと思わず身を乗り出すほどだ。

ま、それがゆとり教育による現状といえばそれまでだが、どうしようもなく幼い子供たちの、それでも懸命な訓練振りを見ていると、わけもなく、涙がでてくる。ま、水に濡れた白シャツの二の腕といったフェチ部分も邪な目は見逃さないのですが。

いかに優しい世の中であろうとしても、自然は厳しいもの。子供たちを歪みなくたくましく育てるのは本当に難しい。ヨットスクールの人が娑婆に帰ってきてさらにそう思う。スパルタと過保護の狭間に本当に着地点はあるのでしょうか。

木曜日に見る予定のテレビ『特集ドラマ・父に奏でるメロディー』(NHK総合)

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2006年5月 2日 (火)

たけしさん、夏次郎見たよと小泉総理は云った。

遠い昔。とあるスタジオで深夜放送のラジオ番組のパイロット版のトークを聞いていた。ディレクターが言う。「こんなに面白いのに上の方はわからないんだよ」すでに別の局ではたけしさんのトークショーが始まっていた。「企画はうちの方が早かったのにな」と未練たっぷりにディレクターはぼやく。キッドは別のテレビ局で、『みのもんたの家族対抗芸能クイズ』が『ツービートのクイズマガジン80』に変わり、クイズ出題者として、死ぬほどクイズを作らせておきながら、座付きの作家がいるからという理由で初回収録だけでクビにされたうらみがあったので、日の目を見なかったたけしさんのしゃべりを上の空で聞いていた。

それから、数年後、『天才たけしの元気が出るテレビ』がスタートして、7年くらいの間、毎日、たけしさんのことを考える日々がくる。誰かを思うことを愛と呼ぶのなら、キッドはたけしさんを愛していると思う。毒舌ということでは日本一の芸人であると思う。たけしさんは「ツッコミはボケの一種」であるということをキッドに示してくれた芸人さんだ。そして20世紀末を代表するお笑いおタクの一人だろう。漫才ブームの中、関西圏の方言がインパクトを与える中、標準語ではなく、東京場末の職人言葉でボケていたことがすごいと思うのだ。

ま、いろいろなことがあって世界のたけしになったり、とんでもないことをしたりでフォーエバーヤングのたけしさんだが、今、持っているテレビのレギュラー番組の中で毒舌がコンスタントに発揮されるのはこの番組だと思う。

で、『たけしのTVタックル祝・・・小泉総理5周年』(テレビ朝日060501PM9~)構成・橋克弘(他)、ディレクター・佐藤文彦(他)、演出・高橋尚樹を見た。大竹さんが休みで阿川佐和子さんとたけしさんがMCである。もちろん、話題は小泉総理だ。

キッドは小泉総理が好きだ。だって面白い。小泉総理が日本を良くしたのか、悪くしたのかというのは誰にも解析不能だと思うが、少なくとも小泉総理はメディアにおける自分を客観視している政治家だと思う。亀井や野中にはそれがない。自分が悪人顔だという自覚が足りないのである。そういう意味で小沢はちょっぴり自覚的なのだと思う。たとえば森前総理はそういう意味で大ボケなのか。役者なのか一番判断に困る。ただ云えるのは「神の国」ではなく、「神様がたくさんいる国」という表現力はないのだった。

同じボケでも小泉総理は『菊次郎の夏』という映画のタイトルを監督本人に『夏次郎』見たよと云ってしまうという楽しいエピソードにする。とたけしさんは言う。そしてそれは職人言葉的であると。

冷戦(第三次世界大戦)終了後、対テロ戦争(第四次世界大戦)に突入しているという自覚があるかないかで、職人言葉の意義は変わってくる。大賄賂首相の娘さんにはこの自覚がないから失脚したと言える。戦争なんかないと目をそらしていれば、捕虜なんかいないということになるし、敵中に乗り込んでたとえ一部分でも敵から捕虜開放をすることはできないだろう。職人言葉の論理、現場の論理だから、完璧ではないが、やれることはやるという姿勢が生まれるのである。

たけしさんは職人言葉仲間の小泉総理を短く論評した。これぞ、毒舌なのだな。ま、『菊次郎の夏』は映画監督としては『夏次郎』じゃいやだという気持ちもあったのかもしれませんが。

腕のいい職人が9月に現場を離れると、日本はどうなってしまうのかなあ。ま、それはそれで楽しみだ。

関連するキッドのブログ『格納庫のB-2爆撃機がかわいかった件』

水曜日に見る予定のテレビ『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日)

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2006年5月 1日 (月)

情熱大陸でマタギが共存なんて嘘だと言う。

情熱大陸は人間百科であるが、どちらかといえばスポーツ選手、芸能人の回が多い。

今年になってからでも、芸能人8人、スポーツ関係者3人、医者2人、その他3人である。その他は劇画家、料理家、絵描きだった。まあ、視聴者の興味がそこにあると言われればそれまでだが。

そこにマタギである。これは見ざるをえない。もっとも直木賞作家・熊谷達也の小説『相克の森』のモデルになったマタギということで、まったく名なしのマタギではないのだが・・・。

で、『情熱大陸』(TBSテレビ060430PM11~)構成・岩井十朗、演出・松村亮一、ナレーション・窪田等を見る。情熱の人は大滝国吉さん、45歳、新潟県山熊田のマタギの親方である。

マタギは簡単に言うと猟師さんです。大滝さんには4人の子供がいて、中学生の娘が2人、小学生の息子が2人というような編成。後はお母さんと奥さん。亡父も亡祖父もマタギであり、代々マタギ。しかし、幼い長男はマタギは継がないという。理由は熊は怖いからだった。・・・そう、マタギは熊を撃たねばならぬのだ。

12月の新潟県北部。山は銀世界である。散弾銃を肩に、マタギは雪の山中を走る。ウサギを撃ち、テンを撃ち、ヤマドリを撃ち、タヌキを撃ち、カモを撃ち、・・・獣の皮をはぎ、獣の肉を食う。骨までしゃぶりつくす。家でタヌキを平たくしていると血の色が生々しい。子供の目には不安がある。家族でなべをかこむ。骨を手にした子供の目にも不安は残る。この不安の色は難解だ。マタギの子供の不安。

やがて、巻狩りという手法で熊を獲る。十数人が参加する集団狩猟である。5歳の月の輪熊が撃たれた。死んだ熊は小さく感じられる。「かわいそうと思ったら、撃てない。自然というものは強いものが命を獲りながら、生きていくということ。それは痛いことだ。熊を殺した時、俺も半分死ぬ」・・・マタギの目にも、不安がある。ただその不安は老練なのだった。

山の神としての熊がマタギと命をやりあう。小説なら『凍樹の森』(谷甲州・徳間文庫)のように楽しめる。しかし、情熱大陸には不安がつきまとうのである。それは人がみな忘れん坊だからだろう。

火曜日に見る予定のテレビ『アテンションプリーズ』(フジテレビ)

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