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2006年5月19日 (金)

迷える魂、シューティングとシミュレーションの間で。

データ化された都市というアイディアにキッドが初めて触れたのは小説『百億の昼と千億の夜』(光瀬龍1967)だったと思う。テーマそのものが死と生きるものとの永遠の戦いを描いた作品であり、都市ごとデータ化された人々が滅びから逃れられないというイメージはショッキングだった。

それからざっと40年。映画『ブレードランナー』『マトリックス』を経てデータの生命化と生命のデータ化は現実世界にも影を落とし始めている。

もちろん、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』もその流れに属していると言えるだろう。ゼーガペインもまた同じ流れの中にあるが最もストレートに流れに乗っている。なにしろ、もはや人類はデータの中だけの存在なのだ。

で、『ゼーガペイン』(テレビ東京060518PM6~)脚本・久保田雅史、演出・雄谷将仁を見る。子供は心がせまいものだが、キッドが子供なら即座にエヴァとマトリックスみたいと決定してしまうだろう。しかし、もっと子供なら空ということもあるのでショックを受けるかもしれない。そのぐらいには面白い。

夏にはシューティングゲームになる。だから戦闘シーンは必要だ。ハルヒやスクランの流行を考えると学園コメディーも必要だ。ちょっと計算高い構成になっている。もちろん、エヴァだって同じ構成なのだが、作り手ののめりこみ度が違うのだった。大衆的なメッセージが大衆の心を捉えず、個人的なメッセージが大衆の心を捉えるという逆の一例である。

ヴァーチャル恋愛を求める者には戦闘シーンが邪魔で、巨大人型兵器を求めるものにはラブコメが邪魔という展開になっているのではないか。いや、本当に心がせまいな。千葉県舞浜市が舞台である。廃墟になった世界で一番有名なネズミのテーマパークはキッドも見たいと思うのだが。今回は水族館だった。

必要な情報も不必要な情報も過剰な世の中だ。今世紀の子供たちは本当に大変だと思う。キッドが今の子供なら情報に溺れてしまうことはほぼ確実だ。その中で彼らの心をつかみ、かつ彼らの生きる糧になる情報とは何か。エンターティメントのクリエーターたちは一晩くらいじっくりと考えてみるべきだと思う。

世界は常に滅びの危機に瀕している。しかし、世界はなかなかに滅びない。このアニメを見ようと思ったのはメカの色がキッドの好きなグリーンだったからだが、今回、肝心のメカは主力ではないのだった。うわあ、来週もこれを見るのかよ。世界が滅ばないときっと見てしまうぞ。

関連するキッドのブログ『SAMRAI7~サムライ7(2004)~七人の侍(1954)』

土曜日に見る予定のテレビ『ディロン・運命の犬』(NHK総合)

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