嘘くさい実話に基づいた本当のドラマ。
2004年のホリプロタレントスカウトキャラパンのグランプリ受賞者・佐藤千亜紀(17)さん。なかなかに美少女である。顔の区別の苦手なキッドには南野陽子かなと思える角度がある。2002グランプリの石原さとみがフィーバーしたのでなかなか出番が回ってこない感じだが、ま、まだ年令的に残りがあるからな。
で、その父親が小林薫。機械メーカーの社員である。その会社の関係者たちが國村準、段田安則、渋谷哲平、宝田明、宮崎将。う~ん。豪華な脇役陣だな。さらに山本學。怪しい陰謀が渦巻いてもおかしくないのだが、もちろん、うずまかない。
母親の亡霊に導かれて突然、チェロを弾きはじめた娘が魔法の音色で倒産した会社を復活させるというファンタジーなのだが、これが実話だとすると世の中はついに狂いだしたのだな。
で、冗談はさておき、『特集ドラマ父に奏でるメロディー』(NHK総合060504PM10~)作・相良敦子、チーフディレクター・西谷真一を見る。チェロが主役なので音楽に菅野よう子、チェロ演奏に溝口肇を配している。音楽ファンが楽しめるかどうかは微妙だが、キッドは楽しめた。
フィクションとノンフィクションについて考察するにはちょうどいいドラマだろう。キッドはこの世はすべてフィクションだと思っているので、まず、フィクション>ノンフィクションであることを念頭に置いてもらいたい。つまり「やらせ」に腹をたてるというのは教養がない人ということだ。そこで実話に基づいたフィクションであるということわりである。意味ない。このドラマはフィクションです。ということわりよりもさらに意味ない。しかし、こういう言葉を用意しなければならないというのが「いやなフィクションであるこの世」というものなのです。
ドラマは「本当のような嘘」であっても「嘘のような本当」であってもドラマにすぎない。
このドラマを見て、「ちぇっ、そんなウマイ話あるかよ」といらだつ恵まれない人に対し、「いえいえ、これは本当にあった話なんですよ」と追い討ちをかけてどうするのだろうか。心を癒す夢なら夢でいいじゃないかとキッドは思うのだった。
もちろん、このドラマはセリフもよく、それぞれの演技もよどみなく、それなりの感動はありました。労働者諸君は、「ちぇっ、そんな格好で現場にたてるかよ。リアリティーがねえなあ」と思うかもしれませんが、これはあくまでドラマですから。
裏では『弁護士のくず』(TBSテレビ)で殺された被害者・妊娠したAV出演女子高生、容疑者・妊娠させたもてもての自己中心的な若者、真犯人・娘と肉体関係のあった義理の父親(ネタばれだけどミエミエだからいいでしょう)というドロドロのフィクションが展開されていた。娘を夫に殺され残された奥さんは経営する中華料理店をどうするのかと「この世のどこにもいない人の人生」についつい気を揉んでしまうキッドなのであった。
土曜日に見る予定のテレビ『土曜ワイド劇場おとり捜査官北見志穂⑩』(テレビ朝日)
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