村上弘明VS杉本哲太はブラボー!
島原の乱といえば戦国時代の終焉を告げる最後の局地戦。ここに柳生十兵衛と荒木又右衛門がからんでくるとなるともはや時代劇というよりSFなのである。
津本陽さんといえば資料使いで実在の手紙などでじっくり歴史をあぶりだすというスタイルの作家なのだが、相手が裏柳生がらみとなるとさすがに空想の翼全開。さらに原案を使ってドラマスタッフも相当に羽ばたいている。
なにしろ、病没している酒井阿波守忠行(布施明)が陰謀の中心人物。出自さえ怪しい公家円条寺業平(杉本哲太)に由比正雪(和泉元彌)が実行部隊とこれでもか状態です。さすが柳生十兵衛。すべての人々を異次元空間に投げ込んでいくのですな。そして、今日は第2シリーズの最終回。ガンダムシリーズなみの決着の嵐が吹きまくるに違いない。
で、『柳生十兵衛七番勝負~島原の乱』(NHK総合060525PM8~)原案・津本陽、脚本・池田政之、演出・吉村芳之を見た。息もつかせぬ展開、怒涛の最終回である。前シリーズは宮本武蔵との対決が白眉だったが今回は荒木VS十兵衛、大納言(哲太)VS十兵衛、そして父・宗矩(夏八木勲)VS十兵衛と殺陣の連打。そしてまさに奇想天外な虚構史実の連打。すごいぞ。これは。
その中でも哲太がものすごい存在感で成田三樹夫(映画『柳生一族の陰謀』)状態に。白塗りしていれば烏丸少将文麿リスペクトかと思う。強い。そして不敵に笑う。笑い方も何パターンもある。フヒャヒャヒャ。オッホッホッホ。ヌハッハッハ。・・・などである。こりゃあ、敵役として最高ランクである。怪しい京なまりも不気味だし、最後に一度目を落としてカメラ視線は演出のアイディアかもしれないが演技としても斬新だった。
演出と演技の工夫と言えば、宗矩が忠行に剃髪か切腹かを迫るシーンでの夏八木勲の頭撫でて腹撫でるしぐさも絶品だった。布施の受けと合わせて注目できる表現である。・・・っていうか、このぐらいで注目しなければならないほど他のドラマは「自然な演出」に流れすぎていると思うのです。
もちろん、村上弘明は最初から最後まで黙々とかっこいいのです。紅一点の三田由奈(サラプロ・・・中学生日記出身)がネタバレになるかもしれませんがある事情で男になってしまうのでこの最終回、ほとんど男だらけに。こんなドラマ最近、見たことないよ。チャンバラもリアルと剣舞のほどよい加減で見せますし。第3シリーズお願いします。
柳生十兵衛光厳が急死するのが、慶安3(1650)年、由比正雪が謀反発覚で自刃するのが慶安4(1651)年。このスタッフにかかれば十兵衛が寿命を何年か延ばすのはたやすいこと。十兵衛はこの時点で43歳だから、まだまだやれますよねえ。村上さんは島原の乱(当時31歳)を演じたわけですから。実年令に近づくんですもの。和泉さんとの決着見せてください。
土曜日に見る予定のテレビ『BLOOD+』(TBSテレビ)
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