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2006年6月14日 (水)

加地千尋VS佐藤栞菜。子供たちの戦争。

ま、ここはストレートにいきたいのだが、正確なロリータコンプレックスは山下規介(義理の父親)と佐藤栞菜(妻の連れ子)の間に成立する。今さら、コンプレックスを劣等感と訳す人はいないと思うが、心理学におけるコンプレックス(複合体)は「複雑な感情的しこり」とも言うべきもの。妻の連れ子であるロリータ(義理の娘)に対する義理の父親の性的感情を含む複雑な気持ちがロリコンなのである。

現代社会においてはこの性的感情を抑圧しないと様々に困ったことになるのであり、よってロリコンは恥ずかしい気持ちであると定義せざるを得ない。しかし、本能的に言えば、若い女性に性的関心をよせるのは男性の正しい欲望であって、ま、可哀相なのである。

幼女に対する性的嗜好とロリコンはあまり関係がないということをロリコンという言葉の立場に立って主張してみた。これに対しエディプスコンプレックスのうちのファザコンは割りと好ましい感情として扱われているようだ。ほのぼのと「お父さんが好き」というイメージだ。しかし、これも「母親を殺し父親の妻になる」という本来の欲望のままにすれば相当困ったことになるのである。これを克服するために少女たちは思春期に父親を嫌悪するようになるのであるが、ま、やっぱり父親は可哀相なのであるな。

で、『新キッズ・ウォー2』(TBSテレビ060613PM0130~)脚本・畑嶺明、演出・佐藤和成を見た。元暴走族(レディース)の学校の先生が子連れ再婚する。主役は大河内奈々子さんである。新シリーズの第2シリーズで前作の小学校から中学に舞台は移り、かっての教え子は義理の娘になって、またまた教え子である。すごいスライドテクニックである。これに三林京子が兄夫婦との折り合いが悪く姑として加わり、前夫との娘が前夫の後妻との折り合いが悪く合流する。まさに臨戦態勢整っている状況だ。

血縁がないのだが、母(大河内)と義理の娘(加地千尋)の方がスリムなスタイルといい、ざけんじゃねえ性格といい、相似しているのがミソである。この脚本家は血縁的フィクションよりも社会的フィクションの親子関係を重視している傾向がある。当然、個人主義が前提の家族であるという主張が多い。

それに反するといやな性格ということになる。「血のつながっていない母親と違い、おばあちゃんは血縁だから本当に孫を愛している」という姑の主張はいやらしくいやらしく感じるように描かれるのである。わが子の悪は全部許せ、他人の悪は全部許せないなどという教え子の母親も登場し、これもルール上ダメ親として描かれる。

ま、身内贔屓は本番で実力を発揮できない選手(福西とか駒野とか)よりも外人の監督(ジーコ)の作戦を非難するというW杯の国内報道姿勢で王道なルールなんですが。しかし、それではかっこ悪いので、この血縁重視のいやらしい部分を破壊するというのがこのドラマの楽しいところなのだ。

もちろん、程度の差はある。他人の母親の身勝手な言い分にたいしては即座に啖呵を切って撃退するのだが、夫の母親に対しては「買い物を夫まかせにしてはダメ」「料理の味付けが悪い」「洗濯物のたたみ方が悪い」「子供のしつけがなっていない」とたたみかける嫁いびりに耐え、「前妻の方がマシだった」でようやく反撃する。このあたりのバランスが絶妙であるなあ。

ところが、条件整っているので、影の薄いはずの夫が意外に戦争の中心になるのである。ファザコンである加地(ムーン・ザ・チャイルド)は父親をとられまいと佐藤(サンミュージック・アーティスト・アカデミー)に敵意を燃やし、ファザコンである佐藤は恵まれた加地に敵意を燃やす。マザコンであり、ロリコンである山下はすべての欲望を抑圧しつつ血縁的にも社会的にも良き父親像を演じる。家出した義理の娘をボーイフレンドの家まで迎えに行ったりして。う~ん。いい人だ。そしてもちろん可哀相なのである。

金曜日(木曜深夜)に見る予定のテレビ『獣王星』(フジテレビ)

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