岸本加世子(昭和)VSさくら(平成)ぬりえ対決。
昭和回顧であるな。懐古趣味は愛おしい。平成20年くらいにもう一度ピークがくるかな。昭和は良かった・・・。というようなトーンで。昭和40年くらいに「戦前はよかった・・・」的なことがライク・ア・ローリング・ストーンで。
ぬりえというひどくローテクなエンターティメントで庶民史を描くというのはすごく少女的でいい。甘酸っぱい。
もちろん、あれだけ幼女を描き続けたということは「きいちのぬりえ」の作者、蔦谷喜一(1914-2005)という人はチャールズ・ラトウィッジ・ドジソン(ルイス・キャロル)の匂いが感じられるわけで。キッドとしては「あんたも好きねえ」と言わざるをえない。ま、いやらしい。
で、『乙女屋雑貨店』(再放送・NHK総合060615AM0030~)構成・中村結美、演出・正岡裕之を見た。永遠の少女と言える岸本加世子さんが乙女である。ラインで言うと八千草薫、倍賞千恵子に連なる人だ。そろそろ後継者が欲しいのだが、さて、誰がなりますかね。キョンキョンかフカキョンか。まあ、いくつになっても可愛いというのはある意味、恐怖ですが。
架空の雑貨屋になつかしグッズが並ぶ。しかも、少女限定。これは萌・・・素晴らしいシチュエーションだ。少女人形はキッドのテリトリーではないので、定かではないがバービーちゃんと思しきアイテム(リカちゃんではないような気が)並び、さくらがパンツの有無を確認する頃、広田レオナのナレーションがかぶる。
「思い出してみて。ぬりえのあったくらしを。お母さんは夕ご飯の仕度。私は少しそわそわする。だって卓袱台が一人占めできるのはごはんができるまでだから。早く塗って、褒めてもらいたい。でも塗り終わるのももったいない。少女の頃の幸せな記憶がぬりえには息づいている・・・」・・・マジかよっ。と一応ツッコミを入れますが、キッドの少年の頃の思い出もぬりえに無関係ではない。だって女の子と遊ぶのは楽しかったので。そしてきいちのぬりえは不気味でセクシーだったのだ。キッドは塗るのも好きだが、輪郭も好きだ。あの輪郭を真似できずに口惜しかった記憶が蘇る。
もちろん、塗装ということではぬりえで始まる「塗る歴史」はタミヤとかハセガワとかバンダイとかのプラの歴史に男の子の場合、展開していく。もちろん、一部の者がですが。スプレー使って脱脂綿でぼかしテクを使い、ドイツⅡ号戦車の砂漠戦仕様迷彩模様を仕上げるに至る原点が「きいちのぬりえ」にあるのかと思うとこんなおタクに誰がしたと恨みがましい気持ちになるくらいです。
しかし、女の子たちはあくまでさらっと「ぬりえ楽しいね」とノスタルジーにひたる。もちろん、こうした中からプロの画家、漫画家、あるいはアニメの彩色職人が生まれているであろうことも想像できるのですが。クリエーティブという意味ではアニメキャラの塗り絵よりもオリジナル色強い「きいちのぬりえ」がおしゃれなわけですよね。
そうか、顔も塗るのか。お化粧に通じていくのだなあ。女の子は本当に実利的だ。アーティストの野宮真貴(ゲスト)は赤いコートをファンタスティックに青く塗り、さくらは水玉模様で小粋なアレンジ。そして岸本さんはベタな赤で雑に。岸本さん。カワイイ。カワイイよ。
地元荒川区のスポットである『ぬりえ美術館』(館長はきいちの姪金子マサさん)には遠方からは東京メトロや、京成線で来る人もいるだろう。町屋駅から徒歩でもいけるが、最近、事故った都電で一区間だけ乗るのも一興。町屋~町屋二丁目160円である。どうしてこんなものが事故るのかと驚くこと請け合いである。都電沿線の人は全員思ったはずだ。
金曜日に見る予定のテレビ『ケロロ軍曹』(テレビ東京)
| 固定リンク
コメント