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2006年7月 3日 (月)

誰かがいなければ生きていけない人。

閉鎖空間で相手が涼宮ハルヒなら二人きりでも構わない・・・のだが、声優・平野綾だった場合は微妙で、日系3世パット・ハーストだった場合は不条理である。そもそも、キッドはキスを強制されてするような人格でもないしな。女の子が世界を滅亡させると脅しにくるほど自分とのキスを熱烈に願望していればいいのにという若い男の子の願望の話であり、ま、哀愁ですな。

キョン(男子高校生)の一人称で展開されるこの世界はもちろん彼の中の眠れる森で展開される夢であり、涼宮ハルヒはキョンのアニマにすぎないのだが、女性を恋するあまりに一体化を願うキョンの影としてずーっと積極的にオカルトを愛する女の子になっているわけだ。

『うる星やつらビューティフルドリーマー』と『エヴァ』のレイとアスカの影響がかなり強いと感じられる内的宇宙アニメだが、とても上品にまとめられていて、舞台も田舎の県立高校とそつがない。もちろん、実在するサンタクロースとの接点がない人々の語る物語としては最高級の仕上がりだと思います。あんたも転送してもらいたかったのねぇ。

で、『涼宮ハルヒの憂鬱・最終回』(チバテレビ060703AM0~)原作・谷川流&いとうのいぢ、シリーズ構成・涼宮ハルヒと愉快な仲間たち、超監督・涼宮ハルヒ、(監督・石原立也)を見た。とにかくすごい人気である。そして熱狂である。設定がいい。主人公は知的なギャルゲーの一人称高校生。ヒロインは宇宙人、未来人、妖怪、超能力者などの実在を願う美少女おタク(美少女)。そしてその他の主な友達は宇宙人や、未来人、そして超能力者。彼らは正体を隠してこの世界の創造主であるヒロインを監視している。そしてヒロインは主人公に抱かれたいと思っている。・・・という設定である。これで熱狂しなければ一般人だというしかない。

主人公キョンがずっと心の声を語り続けるわけだが、成功の原因はこのモノローグの巧妙さにあるといっていいだろう。ただ一人の一般人で健全な面もあり鬱屈した面もあるという普通の男の子をさりげなく演じており、原作小説の味わいを上手に表現している。そこそこまじめでそこそこムッツリスケベーである。ある意味で控えめな諸星あたる。そして二枚目になったメガネなのであろう。ハルヒはしのぶなのだが、キャラはアスカである。これに対照するヒューマノイド・インターフェイスとしての綾波レイが配置されている。みくるちゃんはおそらく「スーチーパイのウサギ」なのではないかと思う。

もちろん、作者もスタッフも幼少時からこうしたエンターティメントに毒された人々なのであり、それをどのように排出していくかの技量が問われるところなのであるが、これがすんばらしい出来ばえなのですね。『宇宙の戦士』→『ヤマト』『ガンダム』→アニメ『宇宙の戦士』『銀河英雄伝説』といったラインによる記号がとびかう第11回射手座の日なんて、それだけでしばらく釘付けになる展開でしたし、雨の日の読書する長門有希なんてアナログテレビで見てたのにフリーズしたのかと思えるほどにかましてくるのです。トレビアン。

「嫌いな学校だけど好きな人がいるから行く」というのは永遠の青春主題歌ですね。その子が神だったり普通の子だったりしてドラマはさまざまに分かれていくのですが。高校生クイズに参加すればオリエンタルラジオが「あっちゃん風に流されていく~」と皇宮警察に厳重注意されたりするところも目撃できるようですが、普通の高校に入り、好きな女の子が宇宙の中心的存在である確率はどのくらいなんだろう。そして彼女がイライラすると街が巨人に破壊されてしまう確率は。

ま、原典探しはほどほどにしないと現役のおタクたちが白眼視するかもなのでもうやめておこう。とにかく、サンタは実在しないがジュブナイルの主人公たちは実在するのではという希望は切なく美しいものだと考える。ま、実はサンタは実在する。そうじゃないと思う子たちは単に良い子でなかっただけの話だ。キッドはずっと良い子なので未だにサンタがプレゼントをくれるのである。

関連するキッドのブログ『ハニー先輩はウサギになりました。』

火曜日に見る予定のテレビ『結婚できない男』(フジテレビ)

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