もう、いいかい。(もう、いいよ・・・)
日本の夏は・・・やはり死者たちの夏なんですよね。長かった梅雨も終り、広島、長崎、8月15日と一歩一歩死の影が近付いて、サイレンとともにクラゲがわいてくる。日本の夏。蒼い夏。浜日傘ゆらゆら、スラリとのびた長い足。女の子ってやっぱりいいな・・・って吉田拓郎でしめるのかよ。そりや、反則だろう。それでは先生、お願いします。
はい。私の小指もほどけてきますから、映画を紹介しましょうね。日本では一姫二太郎なんていいますが、これは姉アマテラス弟スサノオの影響もあるでしょうね。南の方では兄妹の伝承があります。特に妹が兄を守るという要素が強い霊的伝承ですね。妹は神霊的なパワーを秘めていて、兄を守護するというコンセプトなんです。今回のお話はそういう伝統を踏まえていると非常に分かりやすいのですよ。まず、兄としては美少年であることが大切です。妹が守りたくなるほどの美しさが必要ですから。もちろん、兄妹ですから、世間知らずの妹はほとんどの兄が美しく思えるのがミソです。そして兄は冒険をするのですが、霊的には弱いので妹がお守りをしてあげるという流れです。時には命を捧げて守るのです。せつないせつないせつないことですねぇ。
今回のお話、かわいいかわいいかわいい妹が登場するのですが、そのお兄ちゃんが、ようやくというか、シリーズを通じて初めてというか、かわいいかわいいかわいいお兄ちゃんなんですね。ギュッと抱きしめてあげたい男の子です。この男の子が幽霊の女の子に誘惑されてしまう。これは牡丹灯篭でおなじみの展開ですね。さあ、妹はなんとかしてお兄ちゃんを守らなければなりません。ハラハラしますねえ。ドキドキしますねえ。私もすっかり妹になった気分になりましたよぉ。さあ、どうなることでしょう。それでは映画の後でまたお会いしましょうね。
で、『午後のロードショー・学校の怪談4(1999)』(テレビ東京060727PM0130~)脚本・奥寺佐渡子、音楽・宇崎竜童、VFX監督・橋本満明、監督・平山秀幸を見た。シリーズ前作金子監督に「美少女を見る目がない」と言われてカッとなったのか、6000人をオーディションして選んだのが豊田真唯(当時9歳)である。キッド的にはロリータ(高校生)、プチロリータ(中学生)、アリス(小学校4-6年生)、プチアリス(小学3年以下)という分類があり、プチアリスは限りなく幼女に近いので、美少女というよりは、美幼女だなと思う・・・ってか。感想もヤバイし、分類もヤバイです。キッドってば・・・ま、とにかく、主役は超美少女丸出しです。
シリーズ1-3と4は微妙に違うという人がいますが、ま、決定的なのは赤い服の少女がお休みってことですかね。それにともなって楽しい妖怪がクリオネテケテケと鼻欠け地蔵、少女人形、霊界電車、海底校舎そしてスケルトンフイッシュと激減して、妖怪大好き少年はスカシに不満爆発です。今回はオーソドックスな幽霊譚ですから。ただし、シリーズ最高のロマンス漂う傑作にもなっています。お兄様愛爆発ですから。あえて言うならホラーサスペンスです。霊能美少女探偵弥恵の推理・・・という展開ですから。
重要な役で笑福亭松之助師匠が名演を披露します。津波の時にひとりだけ関西弁の少年がいて、彼が転校生であるという辻褄が見事です。「死んでるんでしょ」「うん・・・失礼な!」というノリツッコミや、糸出現の熱演も流石というか、芸は年季ですねえ。師匠の少年時代を演じる福田亮太も天才てれびくんワイドで三枚目キャラとして人気を博しますが、理にかなってます。「呪い」や「たたり」ではなくアイスが「あたり」です。おごりですから。
さて誰もが納得の昔の少女、ユキコを演じる森安加代子はオカッパ頭が似合いますが、浅野温子版『サザエさん』(フジテレビ)の5-6でワカメ役を演じているのでオカッパも年季です。今回、主人公がスーパー美幼女で恐怖を克服しまくりますので、キャーコワイ要員として登場するのが、竹島由夏。仄暗い水・・・を彷彿とさせる恐怖のしたたりを電話雑音、人形お迎え、酒蔵逃げ回りで堪能できます。竹島と森安は『みにくいアヒルの子』で共演しています。まあ、大村彩子や末永遥そして小出由華に埋もれてひっそりとですが。竹島は仮面ライダークウガ方面に流れていきます。竹島だけに大切にしたいです。竹島とプールサイドでツーショットの皆川優紀はシリーズ2のハルエこと皆川香澄の妹。2と4をつなぐミッシングリングですね。この他に『ミニモニ。でブレーメンの音楽隊』で高橋愛と共演した高橋愛子とか、『マイボスマイヒーロー』に出演中の渋谷桃子とか。・・・えーと、もちろん、原田美枝子さんとか、根岸季衣さんとか女優さんたちも燈籠流したり、ジュース出したり、渋く怖さを醸し出しているのです。
3は絶叫控えめでしたが、4はオーソドックスな絶叫ありです。同時に写真の少女がポーズを変えたり、ランドセルからカニが出たり、廃線で連れ去ったりと静かな恐怖で押していくこともするのですが、恐れを知らぬ妹はすべてをクリアしていきます。最後なんて絶体絶命なのに・・・泳ぐのかよ!ですからぁ。
はい、いかがでしたか。日本の妹最強伝説ですねぇ。日本の男たちは古来、こうして妹に守られていたんですよぉ。下界では少子化問題があるそうですが、一人っ子の問題点は何よりも妹の絶対数が不足するってことなんですねぇ。妹抜きでこわがりで弱虫で頼りない兄が冒険できるわけがないんです。きっと監督はそれが一番一番一番言いたかったんだと思います。さぁ、もう時間がきてしまいました。縁があったらまた、お会いしましょうねぇ。サヨナラっサヨナラっサヨナラ。
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土曜日に見る予定のテレビ『最後のいっぴき物語』(TBSテレビ)
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