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2006年7月31日 (月)

今の子供は身体は大人だし、心も大人だし、でも先生は子供。

口で言うより、手の方が早いのだが、それは禁じられてしまった。口が達者なら、なんとかなるのだが口下手だ。スキンシップをすればセクシャル・ハラスメントだ。まるでゲームを面白くするためにCP側のレベルを最高にしたMのプレーヤーのような展開。それがハゲかけててウザい小学校教諭の立場というものである。ステータスを下げられるだけ下げるためにあらゆる努力を惜しまない世間が追い討ちをかける。一教師が女性の下着を盗めば、全国的なニュースになり、フォローの下手な教育委員会が探られなくてもいい腹を探られる。「どんな先生ならいいの?」に女児たちは「超イケメン」と答える。そんなこと言われてもなあ。

実在する千葉県八街市実住小学校にディレクターが乗り込み、1年間を追いかけた小学6年生物語である。先生も児童も基本的に顔出しだが、モザイクの部分もある。児童が「目上ってただ先に生れただけ」「言ってることがさっきと違う」「なんでも連帯責任にするなよ」「ウザイ」「キモイ」などと教師に向かって発言している場合とか。しかし、モザイクのない部分でもかなり公序良俗を乱す発言、行動を顔出しでオンエアしており、おいおい、大丈夫なのか、オンエアでこれを見た児童、親からクレームくるだろうとどうでもいい心配をしてしまいました。

取材のきっかけは不良児童に追い詰められた精神崩壊の休養教師がいて、別の男性教諭(43)が学級担任になったということ。ところがいきなり冬服スタート。どんな編集なんだとツッコミを入れておきます。春先に元担任が休養したとして、どのくらい出来の悪い教室なのかを見せるシーンが冬服なのはまずいだろうと思います。この後、新担任も児童に手を焼き、追い詰められ、そして・・・という設定が最初に破綻してるじゃん。ま、とにかく、総生徒数1000人、全36クラスのマンモス小学校で奴隷教諭の教室の幕があがるのでした。それは女王の教室がちょっとした人気を博した2005年のドキュメントなのでした。

で、『NNNドキュメント'06~子供たちの心が見えない・・・教師、17年目の苦悩~』(日本テレビ060731AM0025~)ナレーター・増田晋、撮影・ディレクター・蜂谷菜穂を見た。服従しない子供たち問題にとりくむ教師たちのどうしていいかわかりませんドキュメントである。キッドはある意味、落ちこぼれの掃き溜めと言える専門学校で10年講師を務めてきて、一体小学校や中学校や高校の先生たちはどんな教育してんだよぉと怒り心頭に発したこと一万回だったのだが、まあ、あんたも苦労してんのねと思わないでもない現場の話である。

まず、こうなった原因は『発達加速化現象』であるとするひとつの意見を紹介しておこう。この世には発達心理学というフィクションがあって、そこでは食糧事情の変化により、1980年生まれの子供くらいから、身長などの伸びが加速して発達する早熟化が進んでいると考えられている。つまり「早く大人の身体になる」ということである。さらに情報化社会が発達することによって自我の形成も加速して思春期の訪れが早まるという。つまり「早く色気づく」ということである。簡単に言えば中学生のような小学生が出現するといことだ。ま、キッドは基本的に心理学はその場しのぎの学問だと定義しているのでとってつけた考え方だなぁと思うだけですが。

そこへゆとり教育である。昔の小学生より知識のない心も身体も中学生を小学校の教諭たちが相手するという事態であある。そこで教師たちは「昔のやり方が通用しない」という壁にぶちあたることになる。まあ、理屈は合っていますね。だが、それだけではないだろうと考える。まず、教師たちの未成熟が考えられる。何しろ、職場放棄、困れば泣いちゃう、家庭崩壊なのである。あ~あ。ではあるな。

そこに団塊世代の孫たちがやってくる。平和な時代にギラギラと働き、子供たちを放任した世代。放任された子供たちがテラテラと親になった世代。そしてアボーンと生れた子供たちなのである。すでにホラーだな。さらに必然的な格差社会が到来するのである。インターネット環境が与えられた子供とそうでない子供の情報量は違いすぎるし、教育にお金を惜しみなくかける親と給食費が払えない親でも子供の情報量は違う。情報量の違いはコミュニケーションの困難を生み、子供同士の心のつながりも変容する。そして、加齢してしまったものは死ぬまで成長する天才を除いては状況の変化に対応できないのである。ま、ふつうの教師では困難の克服は無理だな。死に物狂いにならないと。

・・・なすすべもなく、子供たちは中学に送り出される。そういう結末である。もちろん、オンエアをしやすいように少しは交流できた児童もいた風な演出になっているのだが、それはもちろん真っ赤なフィクションなのである。「先生の家庭も崩壊してまして、だからみんなには素敵な家庭を築いてもらいたい」なんて論理が子供に通用するかぁ。NHKスペシャルでは「イラク戦争」のドキュメントをしており、ベトナム帰還兵の問題をちょっと論じていた。国のために戦地に行った若者を人でなしあつかいした反省がアメリカにはある。少なくとも「ランボー」が。人を殺してもいい状態があることを教育者は子供に教えなければならない。その上でなるべく人を殺さないでいる方が幸せだということを教えなければならない。それが人が生きていくための最も重要な知識なのであるが、この国の大人はそうは思っていない者も多いのである。少なくとも大切な知識として教育してないよね。ああ、できることなら国民全員を俺様が一から教育したいものだなあ。・・・おいおい、キッド様。

関連するキッドのブログ『真夜中の少女たち

火曜日に見る予定のテレビ『トリプルキッチン』(TBSテレビ)

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コメント

どんなに未熟な先生であっても、先生の言うことを聞かない子供には、制裁を加えるべきである。物理的制裁を悪とするならば、例えば、義務教育であっても退学させる処分を厳格に適用するなどの制度作りが必要である。
子供は大人が思っているほど甘くはない。むしろ、分別やしがらみが無いだけに大人よりも危険である。大人に隙があれば、どんどん付け入る。個人の自由を叫ぶには、義務を果たし、他人に迷惑を掛けないことが大前提であることを、少なくとも小学校低学年までに、叩き込まなければならない。
先生を一致団結してサポートする、真の意味で賢い親がいないことが残念である。正に今の日本は馬鹿が馬鹿を生み育てている状況にある。

投稿: | 2006年8月 8日 (火) 12時19分

義務教育退学処分制度さんへ。
もしもあなたが教師だとしたら、
制度に頼らず個人の工夫と努力が求められています。
もしもあなたが教師でないとしたら、
自分だけは賢い親であったり
親になったり、
するといいですね。
少なくともあなたの子供は賢い親に育てられるのでしょう。

投稿: キッド | 2006年8月 8日 (火) 17時06分

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» NNNドキュメント「子供たちの心が見えない・・・教師17年目の苦悩」(NTV系)を観ました。 [所謂雑感]
昨日の深夜(厳密には今日だが)の放送。内容は小学校の学級崩壊。小学校の学級崩壊は聞いたことがあるが、実際放送を観て衝撃的でした。(先生・児童・親など、モザイクがかかっていないこともあったので)... [続きを読む]

受信: 2006年7月31日 (月) 23時57分

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