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2006年7月16日 (日)

エッフェル塔って富士山より高いのかしら。

牧瀬里穂である。おでこである。美の絶対性を激しく主張するキッドなのだが、昨日、沢尻エリカで今日、牧瀬里穂ということになると、相対的、好み、偏りを指摘される可能性がある。いや、その、別にキッドだけがそう言っているけではないだろう。100人いたら100人が牧瀬里穂を美人じゃないとは言えないはずだ。しかし、そのワクに今は沢尻エリカがいるのである。観月ありさのワクに上戸彩がいて、宮沢りえのワクを石原さとみだの綾瀬はるかだの堀北真希だのが争っているのである。こっちは楽しいけれど向こうは大変だなあ。

えーと、本題からずれているな。ずれついでに・・・このテレビ番組感想文ブログ。一回目は感想していないので、昨日が99本目。今日が100本目である。毎日、毎日、100ものテレビ番組を見ているのかと思うと困ったものだが、楽しいのだから仕方がない。子供の頃からファンレターを書いたことがない。ラジオにはがきを送ったこともない。だから、やらせのハガキを書く時には最初はひどく緊張したものだが、今、キッドがしている作業はファンレターを書くようなもので、それを誰かに公開することが恥ずかしくない年齢にようやくたどり着いたわけなのだな。つまり、キッドの精神年齢は現在、義務教育の中盤あたりにあると思われる。閑話休題。

牧瀬里穂が高嶋政伸の妻役。四人の子持ちである。さらにそれが昭和30年代である。リアリティーを考えるとかなり所帯やつれをしていなければならないのだが、まったくしていない。高校生のような血色である。やつれていないのは牧瀬里穂のせいではない。このドラマがメルヘンだからである。御伽噺の登場人物がやつれていては夢がなくなる。だから、いつまでも可愛い牧瀬里穂で全然OKだ。確認したい人は来週、もはや最終回なのでマイ☆ボスマイ☆ヒーローを見ている人は録画して見てもらいたい。

で、『土曜ドラマ・人生はフルコース』(NHK総合060715PM9~)原作・佐藤陽、脚本・藤本有紀、音楽・千住真理子、演出・赤羽博を見た。帝国ホテル料理長だった村上信夫さんの伝記に基づくフィクションである。脚本家はギャルサーを終えてすぐこっちに来たのだなあ。素早い。ギャルサーもそうだったが、深田恭子主演の『鬼の棲家』(1999フジテレビ)も考えようによってはかなりメルヘンだったわけで、台本作者として参加した劇団カクスコの舞台もメルヘンであり、そう考えるとかなりお笑いの神様に愛されている作者と言えるかもしれない。特に根本におけるノスタルジーの要素(ある意味で現実否定)は強く、それは『ミニモニ。でブレーメンの音楽隊』(2004NHK教育)という傑作を生み出していることからも想像できる。コック修行でフランスに単身赴任した夫への妻の手紙にエッフェル塔のくだりがあるのだが、東京タワーのない時代にフランスに留学していることがもはやメルヘンなのである。ご理解いただけるでしょうか。

番組内番組で『きょうの料理』(1955~NHK)が冨田勲のテーマ曲とともに開始される。在りし日の村上氏が講師を務めたのである。フランスで修行したコックである氏が家庭の主婦むけの料理番組に出演することには内外に抵抗があったのだが、妻の言葉でフロンティア・スピリッツに目覚める展開がある。家庭でできるハンバーグを作り、山のようなファンレターが寄せられる。「先生に教わった料理で姑がほめてくれました」という手紙を読み夫は泣き、妻は微笑む。メルヘンである。そのメルヘンさを強調するのが通りすがりの人々の天の配剤である。夫が家族で買い物、たまたま袖触れ合った子供がテレビを見てコロッケを作り好きな女の子にプレゼントのシーンではカラーレオタードの時代考証性とともにありえないけどまあいいか的展開をしていく。ギャルサーのとんでも展開を裏付ける天才の発露と言ってもいい。あるいはなんか悪い宗教にでもはまっているのではと心配にもなるのである。

カーク・ダグラス主演・製作総指揮の映画『バイキング』(1957アメリカ・日本公開1958)を見て部下がビュッフェ形式のネーミングを思いつくというシーンがある。帝国ホテル(ドラマでは天鳳ホテル)の食べ放題サービスがバイキングと呼ばれる由縁である。ものすごいパクリ秘話である。これも牧瀬が映画のタダ券もらった。高嶋多忙で行けず、部下にプレゼント。部下ネーミングを得るという天の配剤メルヘンに仕上がっている。つまり、牧瀬は天使なのである。違和感なく、このストーリーが飲み込めるのは牧瀬が天使を演じているからに他ならないと考えるのは・・・まあ、多数ではないかな。

牧瀬里穂は手紙で「越中ふんどし60本送ります」と書く。スープシェを勤める高嶋が「スープ濾し器」として使用するためである。首からエプロンのようにかけて局部を包む部分でスープを濾すのだが、このシモネタ展開が脚本家のお気に入りエピソードであることにはキッドは命を賭けられる。高嶋の上司・古谷一行は言う。「悪いことばかりは続かない」と。そして忌野清志郎は言う。「いいことばかりはありゃしねえ」と。二つのセリフの意味は実は同じだ。それは天の配剤なのである。このブログもそうであればいいと願う。

月曜日に見る予定のテレビ『特命!刑事どん亀~最終回』(TBSテレビ)

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