« 身体の傷なら癒せるけれど心の痛手は・・・。 | トップページ | ククククッ・・・クルル曹長です。(北村一輝) »

2006年8月 7日 (月)

なぜかしら、泣きたくなるの。(B-24搭乗員の母)

それはおそらく悲しいからでしょう。カレンダーに拘束されたこの世界ではいよいよ広島、長崎、靖国と血塗られた過去への旅が絶好調になる。誕生日だって何年か前に生れた日にすぎないし、日曜日の後はただ月曜日になるだけだし、みんな記念日なんて幻想なんだぜ。などとカレンダーの神様にたてつくつもりはまったくありません。ただただアナログテレビから流されるピカッときてドンだから今日はヒロシマ記念日じゃけん。のお祭りに酔いしれるばかりです。

で、『NHK平和アーカイブス・NHK特集・爆撃機ローンサム・レディ号~広島原爆秘話~(1978年制作)』(NHK総合060806PM1110~)音楽・三枝成章、演奏・金子マリとバックスバニー、構成・椎野禎文を見た。61年前の広島への原爆投下後33年目のドキュメンタリーの再放送で、過去の過去への旅を見るアーカイブス再放送ならではの気持ち悪さが刺激的。なんといってもル~ル~ルル~の金子マリのジャンル分類不能のスキャットが番組内容を理解不能にしてしまうほどのパワーがある。

広島原爆といえばエノラ・ゲイ(機長の母親の名前を冠したB-29爆撃機)が想起されるが、・・・ついでに広島型原爆の愛称はリトルボーイ、長崎型原爆はファットマンである。つまり、広島ではチビッコに10万以上、長崎ではデブッチョに10万人近く、瞬殺あるいは死んだ方がマシと思われる苦痛の果てに殺されたわけで米国人のネーミングセンスには頭が下がる・・・今回の主役はBー24Jリベレーター爆撃機でその名もローンサム・レディ(孤独な貴婦人)号である。

1945年7月28日早朝、カートライト中尉を機長として乗員10名の貴婦人は三ヶ月の激戦で死傷者20万人を出して占領した沖縄の飛行場を飛び立った。乗員の1人ニール少尉は欠員を補充するためにたまたま同機に搭乗した。攻撃目標は呉軍港停泊中の戦艦榛名だった。すでに壊滅状態にあった帝国海軍の息の根を止める攻撃部隊の一機である。

しかし、貴婦人は不運だった。爆弾投下後、高射砲により被弾してしまったのだ。たちまち失速する機体。炎上する後部銃座のエイブル軍曹が真っ先に脱出。搭乗員たちも次々にパラシュートで降下した。最後に脱出した機長はすでに高度が150メートルほどだったという。乗員の1人はパラシュートが開かず、後に白骨化した遺体が発見される。エイブルをのぞく、乗員たちは近隣の住民たちに武装解除され、広島城の憲兵隊に送られる。そして機長のカートライトだけははさらなる尋問のために東京に護送される。

そして運命の8月6日、1人山奥に潜伏していたエイブル軍曹は空腹に耐えかね投降した。その時、広島では原爆が炸裂、ニール少尉ら拘束されていた乗員たちは自軍の新兵器により全滅する。即死しなかったニールも苦しみながら死んでいった。番組は生き残ったカートライトとエイブルそして遺族たちを尋ねアメリカ大陸を右往左往するドキュメンタリーである。九死に一生スペシャルのような題材だったのですごく面白い。当事者たちの生の声がリアルに感じられだけにエイブルのインタビューに失敗したのが残念だった。

で、『NNNドキュメント'06~被爆カルテ ある町医者の遺言~』(日本テレビ60807AM0025)ディレクター・渡辺由恵を見た。爆心地から9キロの診療所の町医者による原爆被爆者の治療カルテをベースにした原爆その直後の医師たちの苦闘ぶりを描いた小品である。カルテを書いた伴冬樹医師も黒い雨によって被爆。大腸ガンにより死亡している。生存している89歳の医師が語り部となる。(ナレーションは柳生博)

米軍が治療記録を軍事機密として回収したくだりで胸が冷える。まったく人の命をデータだと思ってんのか。オー、イエース。それにしても89歳のおじいちゃん先生、エイズ問題のあべセンセと風貌相似でなんとなく可哀想。

で、『時代への告発~ヒロシマ「対話ノート」~』(フジテレビ060807AM0240~)構成・梅沢浩一、ディレクター・池田俊明を見た。国の重要文化財となった広島平和記念資料館にある来館感想書き込み帳「対話ノート」を題材にした散漫な作品。なにしろ964冊ある様々な書き込みからピックアップしてドキュメンタリーを作るという発想が散漫である。結果、寄贈絵画参画自慢おじさん、九死に一生軍事技術も科学だし平和利用でオーケーじいちゃん、つんく♂、被爆者の息子と原爆科学者の娘が平和アートでコラボ、沖縄戦ツアーガイドのやりすぎで戦争と平和の区別がつかなくなった職業婦人。などという頭の悪い反戦運動集会の出来上がりになっている。アナウンサーの凸凹がノートを読み上げるのだが、もっといいネタなかったの~。本当に全部読んでピックアップしたの~。とおちょくりたくなる要素満載のドキュメンタリーである。原爆忌をなんだと思ってるのさ。

あやまちを二度とくりかえしません。はキッドの座右の銘だが、二度と核攻撃にさらされないためには戦争にまきこまれないようにするか、日本以外を全部核攻撃して消滅させるかの二つに一つではないか。どちらの選択も至難のワザではあるよな。ま、すでにノーモア広島、アゲイン長崎なんですけどね。二度あることは三度あるで第五福竜丸も。

関連するキッドのブログ『ようい、スタアアアァァアアットォ!(黒木和雄)』

火曜日に見る予定のテレビ『がきんちょ』(TBSテレビ)

|

« 身体の傷なら癒せるけれど心の痛手は・・・。 | トップページ | ククククッ・・・クルル曹長です。(北村一輝) »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: なぜかしら、泣きたくなるの。(B-24搭乗員の母):

« 身体の傷なら癒せるけれど心の痛手は・・・。 | トップページ | ククククッ・・・クルル曹長です。(北村一輝) »