格納庫のB-2爆撃機がかわいかった件。
ああ、かわいかったなぁ。夏休みの日高レポートは子供特集なのか。レポートはそこそこに最新兵器のオンパレードである。モデラーにはたまらん、ディティールのアップはサービスショットかよ。しかし、さすがに最高軍事機密、VTRは検閲済みだったようだが、とりわけかわいかったのが、グァム基地の格納庫におさまったB-2爆撃機「暗闇の暗殺者」である。パイロットや整備士に日高氏がインタビューをしている間、背後でじっと見ている。コクピットのウインドウにライトが反射して、両眼に見えているだけなんですが、かわいいのなんのって、とてもコソボ紛争で中国大使館を吹っ飛ばした奴とは思えません。
もちろん、兵器に罪はなく、ただそうすることが彼の役割ですから、・・・スティルス爆撃機の平和利用なんて思い浮かばんものなぁ。なにしろ一機推定1200億円ですから。日高レポート情報ではあの誤爆は「中国大使館の地下秘密基地で中国がセルビア人支援を行っていたから狙撃」が定番です。まあ、そういうルートに乗った情報ということです。ついでに「撃墜された爆撃機の部品を大使館員が拾って大使館内に運び込んだから」という説も紹介しておきましょう。中国人全部が悪と言っているわけではありませんが、中国の工作員がお色気作戦などで様々な情報を集めたがるのは周知の事実ですから、まあ、納得する人も多いでしょう。ま、要するに軍関係者にとっては誤爆も選択肢の一つにすぎないってことです。
そして、中国軍の軍備増強に応じて米軍も着々と増強計画を進めていることがレポートされます。最近、読売新聞では日中戦争の開始から太平洋戦争の終結までを「昭和戦争」と呼称すると決定したそうですが、・・・ま、読売新聞がそう言いたがっているだけなんですが・・・この昭和戦争を第二次世界大戦とすると、米ソ冷戦が第三次世界大戦、そしてソ連崩壊後の現代は対テロ戦争と言う名称の第四次世界大戦であると理解するのも日高レポートの定番です。そして、その最終段階は米中冷戦という形態になるというルートに乗っているわけです。ま、この流れに乗って最終段階で中国が崩壊分割されるのが日本人にとってラッキーであることは言うまでもありませんがね。もちろん、その後には日米再戦という第五次世界大戦の悪夢のシナリオが予測できます。これは悲惨になる可能性大なので、どうか、それまでに天寿が全うできますように。
で、『日高義樹のワシントン・リポート~中国を狙うアサシン・イン・ダーク南の島へ』(テレビ東京060813PM4~)企画・制作・日高義樹、ディレクター・日高正乃を見た。今回は六月に行われた大演習「バリアント・シールド(勇壮な盾)」に即し、演習の仮想敵国である中華人民共和国にたいしてどのように米軍が目を光らせているかを現代大戦略的お宝映像満載でレポートしている。
第一部 軍用機1000機集結。ZZ(沖縄ベース所属機)も来たよ。グァム島アンダーソン飛行場でF-18Eスーパーホーネットに乗っちゃうよ。輸送機も充実、C-17は自衛隊のC-130より速度も二倍、搭載量も二倍だよ。給油機のKC-135もしぶいし、B-52、B-1だってまだまだ健在だよ。全員集合!
第二部 でもね。主役はやっぱりB-2だね。中国の独裁者が地下に隠れても狙い撃ちできるのさ。
第三部 なんてったてB-2さ。世界にたった21機。アフガン戦争でもイラク戦争でも決定打はB-2が撃ったんだもん。
第四部 中国に睨みを効かせるのはやっぱ原子力空母でしょ。最新鋭の「ロナルド・レーガン」や「エイブラハム・リンカーン」があれば中国なんてブルブルガクガクだってーの。もちろん、通常型の「キティ・ホーク」だって役に立つけどさ。
第五部 姑息な中国の潜水艦が太平洋でウロチョロしないように対潜ヘリコプターSH-40の準備もOK。こっちの潜水艦は全部原子力。台湾や朝鮮半島で有事になればテキサスやルイジアナからガンガン戦力増強できるんだぜ。これからグァムの基地はどんどんでかくなる。どっからでもかかってこいってんだ。
夏休み子供向けにキッドがインタビューを一部勝手にふきかえたことをお断り申し上げます。
で、『NHKスペシャル・日中戦争~なぜ戦争は拡大したのか~』(NHK総合060813PM9~)取材・太田宏一(他)、ディレクター・鎌倉英也(他)を見た。今度はアドバンスド大戦略級お宝映像満載である。チェコスロバキア製ZB26軽機関銃とか地味目ですけど。なにしろ、使えるユニット歩兵だけ、敵ゲリラ兵みたいな日中戦争初期の展開中心ですから。
日本の各村から徴兵した兵隊さん(村人)を中国大陸に送り込み、中国のちょっと訓練された村人と殺しあいをさせる。こんなゲームを現実に展開していた1937年。現代から見れば頭のネジが狂っているようにしか見えないが、それが歴史というものなのですな。
盧溝橋事件から始まった日中戦争はもちろん、満州事変のパクリ。満州事変で前例を作った現地の独走、成功したら本部承認のパターン。創業者の石原関東軍参謀は抑える方にまわったのですが、「あんたら先輩だけが上手い汁吸おうたってそうは問屋がおろしません」と後輩たちも投機を続けるわけです。官僚のやるバブル経済、官僚の見逃すエイズ問題、官僚がついうっかり危機管理をプール業者に丸投げ。いつの時代もかわらぬ習性。もちろん、勝てば官軍。マスコミも調子に乗りますし、国民も踊ります。戦死した人間は妙に無口だし。
満州でやめておけば、上海でやめておけば、南京でやめておけばと後悔先に立たず、ギャンブルはすべてを失うまでやめられないんだなぁ。これが。かくて、310万人が戦死し、無条件降伏するまで大日本帝国は暴走したのです。初期において日本はアメリカの、中国はドイツの武器商人に大儲けさせていたのですが、最終的には中国がアメリカと、日本がドイツと同盟してしまう。こういう勝ち運の無さ。気をつけたいものです。もちろん、勝者である蒋介石も毛沢東に破れ、台湾に追われるわけですから面白い。
そして60年。次の勝者はアメリカか、中国か。巻き込まれるのは仕方ないが、勝ち馬だけは当ててもらいたいと考えます。・・・えっ、中立不戦。そんなに世界が甘いなんて本気で思っているんですか。
南京で大虐殺があったのか、どうか、それを問う人は後をたたないでしょう。しかし、戦時の常識と平時の常識を戦わせても意味はない。敗残兵は語ります。「私も1人斬り殺した。それは戦場で銃を交えての殺し合いとはまた別だ。でも、我々だって故郷に帰りたくて帰りたくて仕方なかったのだ」そして当時六歳だった中国人は語ります。「父親は腹を切られて殺された」・・・だから、どうだと言うのでしょう。だってそれが戦争というものではないですか。
関連するキッドのブログ『なぜかしら、泣きたくなるの?(B-24搭乗員の母)』
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