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2006年8月31日 (木)

彼女に似ていると言われて微妙な片思い。(戸田恵梨香)

恋愛を料理にたとえたショートドラマ連作の第一回なのだが、メインディッシュであるセックスについては軽くパス、アプタイザーとしてのキスシーンもないので、・・・ま、戸田だからな、こんな深夜のチョイチョイとしたドラマでいちいちキスしてられっかよ。という態度か・・・スイーツというか、デザートというか、食前のゴブレットに入ったミネラルウォーターというか、コンビニの駄菓子っていうか、そういう食べ心地です。・・・ま、そこそこ文学的ではありますが。

『ギャルサー』(日テレ06春ドラマ)のサキ(戸田)とヨーコ(高瀬友規奈)はこんなところで女子大生になっていたのだなという設定で見ることにする。だから、そんなに偏差値の高くない大学だ。カウボーイ・ハットはもう捨てたのか。学生食堂がまあまあきれいな大学だ。専攻は英文科かな。CIAのエージェントになってシンノスケとスパイ活動を始めるつもりか。

そんな恵梨香が恋をしました。相手は同じゼミの男子学生。しかし、彼には社会人の彼女がいたのです。雑談の中で彼から「そういえば俺の彼女って少しお前に似ている」と言われた恵梨香は「ちょっとうれしかった」りするのでした。

で、『青春★ENERGY~もうひとつのシュガー&スパイスVol.1』(フジテレビ060831AM0045~)原作・山田詠美、脚本・渡辺千穂、演出・松山博昭を見た。映画『シュガー&スパイス~風味絶佳~』の関連作品である。酸いも甘いも恋の味であるから、別にいいのだが、そういう恋は本当はどうでもいいと思うキッドがいたりもする。慰めも言葉もいらないさ。ただぬくもりが欲しいだけ。ま、さっき『セカチュー』(第三回の再放送)見ちゃったからかもねー。

でも恋というエンターティメントをドラマというエンターティメントにするのは本当にむずかしいのだよな。恋は情報処理。愛は記憶だからな。オンエアとDVDぐらい違うからな。だから人は恋を求めて求めて、そして失って失っていくのだな。

恋のシュガーな部分とスパイスの部分の見分けがつかないって、そりゃあたとえとして難しい。シュガー&ソルトなら、まだ分かる。砂糖と塩は似ているからな。でも、砂糖と香辛料の見分けがつかないなんて単にバカだろう。

でも人はバカだからなぁ。今回はそんな恋の一人相撲の話。男の子がふられて、恵梨香は後釜にすべりこむのだが、元カノのことが気になってしょうがない。①料理の味付けをくらべられた ②天気予報とおしゃれの関係など生活態度をくらべられた ③元カノとの思い出の場所に連れて行かれた・・・など恋愛情報番組で「こんなことをしたら恋人を傷つける」というテーマで話を進められている感じ。こんなことをしてしまうのもバカだが、こんなことを気に病むのもバカである。

着信音を恋人専用にしかも恋人の好きな曲に。自分もそうされた→うれしい。彼女にもそうしていた→くやしい。 なのである。ま、こういうことに対してうかつなキッドが言うのもなんなのだが、そういうのなんだか面倒くさいので「結婚できない男」は多いと思うのだなぁ。パッフェルベルのカノンとオアシスのライラどっちが好き?と問われた方がまだマシだぞ。

で、恵梨香は幻想の元カノへの嫉妬に押しつぶされてしまうのだが、そりゃあ、もうビョーキではないのか。本当に好きになったら相手のすべてを受け入れてしまうのではないか。ご主人様と呼べないならそれは愛とは言えないのではないか・・・って、違う、違うよ。キッド。それに今回は恋の話だよ。

そそそそそうでした。ま、嫉妬するなんてかわいいじゃん。とほろ苦い青春をかみしめたいあなたには絶好のドラマであることを保証いたします。恋は欲望ですからね。

しかし、やはりたとえが気になる。シュガーをスパイスと感じたり、スパイスをシュガーと感じたり、それではお料理は失敗しますよぉというお話なのだが、恋なんて本来、ちょっとした誤解ですからね。それよりやはり問題はさじ加減でしょう。

昔、愛人に昔の愛人の写真をすべて捨てられたことがある。そもそも新しい愛人を作る時点で昔の愛人の写真を保持していることが問題なのだという。そんな俺の全人格を否定するような女とつきあっていられるかぁ。まぁ、しばらくはつきあいましたがぁ。

土曜日(金曜深夜)に見る予定のテレビ『マシューズUV』(テレビ朝日)マッチ&綾VS孝之&エリカの対決から逃避しました。夏バテなのです。>>room837さん、復刻投票ありがとうございました。

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2006年8月30日 (水)

汚れた唇を洗い清めてくる。(皇帝ヴェッティ)

『ガラスの艦隊』というタイトルだけでなぜ『ベルサイユのばら』を連想するのか、不思議だ。やはり、『ガラスの仮面』を経由しているのか。『ガラスの風景』は遠いから。やはり、ガラスの仮面(少女マンガ)→宝塚歌劇→『ベルサイユのばら』というルートなのだろうな。で、扉をあけると本当にベルばらなのである。言葉の魔力をそこはかとなく感じる。ガラス→ガラスのパンプス→サファイヤは後藤真希でも良かったのに→リボンの騎士→宝塚歌劇というルートや、ガラス→ガラスの靴→シンデレラ→大人の階段のぼる→思い出がいっぱい→みゆき→銀座みゆき館→東京宝塚劇場というルートはパイパスか。

今回のミシェル(ラシーヌ)の思い出ポエム「人の宿命(さだめ)とは何だろう? 人が背伸びをして運命(さだめ)の星に触れようとすれば 激流の大河に足をすくわれ沈み果ててしまう 我々は寿命(さだめ)という重い鎖に繋がれている その鎖を断ち切ることができるのは 研ぎ澄まされた剣ではなく まして強靭な斧でもない もしあるとすれば それはただ 吹き抜ける風のみ」

(解説)人間はなぜ死ぬのだろうか。チビは星に手が届かない。流れるプールで足が立たないこともある。DNAって軽いけどいっぱいあるから重いのかな。剣や斧では大きすぎて遺伝子の繊細な切断は難しい。放射線のような刺激ならできると思うよ。放射線は目に見えない風のようなもの。ふりかえるとそこにはただ風が吹いている。答えは風に吹かれてる。何のこっちゃ。

で、『ガラスの艦隊・#22修羅のごとく・・・』(テレビ朝日060830AM0240~)脚本・米村正二、絵コンテ・滝沢敏文、演出・白石道太、作画監督・梁炳吉を見た。(これまでのあらすじ)艦隊型領土に居住する人類は艦隊支配者の貴族と貴族が抗争を繰り広げ、革命前夜のヨーロッパの様相を呈していた。旧王家、新皇帝、教会そして人民軍いりみだれての領土争奪戦。楽しい戦いの日々、しかし、深刻な破滅の危機が忍びる。破滅からの逃避に必要な喪失旧世代テクノロジー・タイムマシン戦艦の鍵を握る二人の王子、クレオとヴェッティはかたや海賊、かたや神聖帝国皇帝となり敵味方に分かれて宿命のライバルと化していた・・・。うわあ、こてこてだぁ。

で、今回も艦隊決戦はありませんでした。修羅のごとく、艦隊決戦。宇宙に散華する盛大な花火大会はいつになることやら。どちらかといえばドロドロ情念重視の今回。好きな人にはたまらなかったのでは。皇帝ヴェッテイに利用される十字星教法王の娘・自称愛の神レイチェルはついに恋敵のお小姓ラルフを刺します。「わーい、かわいい、さすがボクですね」を愛の十字の祝福でグサリです。思い込み激しい女の恨み思い知れです。こわいですねぇ。

ついでに預言者ギルティ(顔少女声老婆)をヴェッテイが一刀両断首チョンパしちゃいます。たいした秘密でもないのにもったいぶってるから当然の結末です。どうやら機械の身体だったようです。ヴェッテイにとってレイチェルの裸身もはだかでおひざの上でおねだりも人類の命運も知ったことじゃありません。「俺はお前を倒す」のであります。

一方、ちょっとトーンダウンの主人公・疾風のクレオはヴェッテイに命を捧げようとするのですが、それじゃあ、ストーリーが続かないので姐御アイメルが身を挺します。今だから言える「あたしはあんたが好き」愛の告白挺身隊なのであります。初めての抱擁に幸せを感じつつ崩壊宮殿からの脱出。勝負はお預けです。はたして、アイメルの一命、どうなることになりますか、で、(つづく)のであります。

う~ん。面白いといえば面白いかな。もう少し、なんだけどな。絵コンテ、セリフ、キャラの動き、作画、すべてにわたって情念への情熱が、やはり、老舗、伝統、生身の宝塚歌劇団には遠くおよばないような。石井徹也ガマ親分いかがでしょうかね。「ふん、勉強がたりませんね。毎日劇場に通って」「十年ぐらいでしょうか」「いや、親子二代で通ってやっと序の口ですな」「・・・・・・・・」

関連するキッドのブログ『・・・おいで、バカ。(今井蛍★★★)』

木曜日に見る予定のテレビ『次郎長 背負い富士(最終回)』(NHK総合)

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2006年8月29日 (火)

ウソをついたらばれるというフィクション(虚構)

志に登るということではないだろう。登る志すなわち上昇志向のことであろう。上昇志向がすべての高度成長時代のシンボルなのだから、そういう素直な読みの方が自然だと考える。ひねりさえすればボケが成立すると思ったら大間違いだぜ。

そういう疑問を感じはじめると楽しめないのでなるべく感じないように見る。キッドも遠い親戚に資生堂の関係者がいるのだが、あえて言うと、とりあえずCMと本編は差別化してもらいたい。試みとして最初ぐらいは許すがCMというビジネスと本編というエンターティメントを混然とすることは料理のスープの中に請求書をまぜている行為というたとえで理解していただきたい。しかも、このドラマ本編の中のCMというかくし味もあるのである。しかし、資生堂は肌に合う合わないはともかく自分の「おしゃれ」には自信を持っている。ある意味「わが社の請求書は美味しいのです。お食べください」というほどの態度。鼻につく人はつくよな。キッドはとにかく親戚がいるのでこれ以上の言及はさけますがその姿勢どうよ、うつくしくなくなくな~い。

とにかく、すごく評価しにくい番組。ドラマなのか。杉山登志のCF(コマーシャル・フィルム)の再現メーキングなのか。資生堂の長い長い長い長い長い長いコマーシャルなのか。未だに判別できない。でも藤木直人も、内山理名も、藤竜也もそこそこの演技をしているのである。だから・・・「ウソとは何か」という哲学をめぐる時空を越えたドラマとして見ることにした。

で、『テレビCMの日スペシャルドラマ~伝説のCMディレクター・杉山登志』(TBSテレビ060828PM9~)脚本・長谷川康夫(他)、監督・井坂聡を見た。藤木直人(登志)の妻になる謎の鉛筆はさみ女を香里奈が藤竜也(登志の弟・伝命)の青年時代を平岡祐太が演じている。おもちゃ箱をひっくりかえしたような要素ばらまきの構成である。スタッフはきっと片付けられない症候群なのであろう。ざっと整理すると①現代のかけだしのCMプランナー理名と竜也の援助交際のようなCM制作子弟劇。最後に平泉成がとってつけたようにスポンサー企業を批判する。ただし、資生堂を除く。②1945年終戦後の軍用機が飛ぶような空の下、貧乏なリヤカー兄弟が未来を夢見る幻想 ③1956-1973の杉山登志のエピソードを断片的にスケッチ ④杉山登志のCF作品(モービル石油など) ⑤一社提供の気が狂ったような資生堂CM(でもふられた私の歌はちょっと楽しい)の氾濫と篠原涼子のナビゲーションという区分があり、これがほとんど脈略無く何回もシャッフルされる。そのためほとんど意味不明の番組になっているのだが、辛うじて伝わるメッセージは次の通り。

①杉山登志は不審死した。第一発見者は弟である。②クリエーターが自殺するときの原因は基本的に失恋である。③どんなにウソでも本当だと思い込めばホントになる。④大阪人はタコ焼きが死ぬほど好き ⑤毎日放送としては精一杯のドラマだった ⑥ライブドアや楽天や建設業は批判対象になるが、自社ブランドとスポンサーは死んでも傷つけてはいけないという愛社精神 ⑦したっぱは使い捨てだけど伝説になった場合は何度も利用していい ⑧フィルムとVTRでは現場の緊張度が天と地 ⑨酒場に行けば世の中の動きがすべて分かる時代があった ⑩リッチでハッピーで夢があればウソを楽しめる

メッセージをお預かりしました・・・。

思い出すのは女優のために首をつった監督、奥さんに火をつけられた作家、愛に疲れて飛び降りた監督、同性愛のために首をつった作家、女のため灯油をかぶった作家、・・・みんなバカだな。そしてビョーキだな。だけど、愛しくて愛しくて今夜は泣くと思います。がんばった。だけど死んじゃった。そして生き残った人々は勝手な解釈を積み上げる。やはり生きるものが勝ちなのだ。もちろん、最後は全員、敗北するので、大差はつかない好ゲームなんですよ。人生って奴は。一瞬も一生も面白く。死生道。

木曜日(水曜深夜)に見る予定のテレビ『青春★ENERGY~もうひとつのシュガー&スパイス』(フジテレビ)

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2006年8月28日 (月)

十年後の私なんて判るわけないじゃん。(堀北真希)

恐怖とは何か。恐怖の根源はおそらく「死」なのである。人間は「死ぬのがこわい」のである。なぜ「死ぬのがこわい」のだろうかと問うのは愚かだが、あえて問うと「死んだらどうなるか解らないからだ」という答えが得られる。「不明なことはこわい」のである。ここで恐怖は二つの顔を見せていく。「死ぬのがこわい」と「わからないからこわい」の二つの顔である。どちらに偏っていくかで恐怖の質は変化する。

たとえば幽霊を出せば「死の正体」がある意味で解るので、「死ぬのはこわい」のだが「幽霊になるというのならそれはそれでわかる」ということで「こわさ」は半減するのである。「こわいものみたさ」というのはそういう臆病な構造を持っている。だが、じっくりと考えると「それ」は嘘だと解るので、背中の方からじわりじわりと「不明」がはいあがってきて、結局こわいのである。

子供をコントロールするとき、体罰とならんで有効なソフトは「怪談」である。肉体的な痛みよりも精神的な痛みの方が効き目があることもある。嘘をついたら「針千本飲ます」のと「地獄で閻魔様に舌を抜かれる」のとどっちがこわいかということなのだな。もちろん、死後の世界を信じるキッドと死後の世界を信じないキッドが両立するのがこの世界。美輪明宏様をこよなく愛しく思うキッドがいて江原啓之を限りなく嘘くせ~と思うキッドがいる。そうでないとやっていけないのである。

で、『怪談新耳袋・劇場版(2004)』(TBSテレビ060828AM0220~)原作・木原浩勝(他)、脚本・三宅隆太、監督・吉田秋生(他)を見た。オムニバス形式のテレビ・シリーズの劇場版の放映である。基本的には霊的なものの無力感が漂うのが特徴と言えば特徴のホラーシリーズである。原作が実話怪談集なので「ほんこわ」シリーズと本質的には同じなのだが、あえて実話に基づくところが「幽霊の正体見たり枯れ尾花」に「それを言っちゃあおしまいだよ」的クリエーターの苦慮があるのである。半信半疑だとバカまるだしだしな、大体、霊的な目撃談、体験談は錯誤か、当事者の頭がおかしなことになって・・・ウク゜ッ・・・ええと、不信の方のキッドが創作者にあるまじき言動をしそうなのでバトンタッチします。はい、死後の世界はありますとも。あるに決まってるじゃありませんかぁぁぁ。

「劇場版(2004)」は次のような構成です。①「夜警の報告書」幽霊てんこもりのビルの警備の人たちの物語。竹中直人や嶋大輔は逃亡、林泰文は適応します。暗喩として廃ビルの夜警は汚れ仕事が明白。吉田監督の職業差別容赦なし。②「残煙」温泉宴会を抜け出したOL三人組が霊界流しに遭う。べっぴん女優・坂上香織が車内でスパスパ喫煙し、コギャル女優・佐藤康恵も喫煙、ミラクル女優・坂井真紀は禁煙中と言うことで『嫌煙キャンペーンホラー』である。「タバコ吸うような女はろくな目にあいませんよ」という主張である。ほっといてくれ。嫌煙バカのためにこっちはこそこそと吸うからさぁ。③「手袋」自宅で金縛りプラス生霊もの。だと思うのだが、高岡早紀の元カレ(大沢樹生)が地獄で結婚している可能性もある。④「重いッ!」自宅で金縛りその2なのだが、母子家庭である。母・井上晴美を金縛るのが、出ました、北村一輝のこわい霊です。クーククククッはありません。残念です。真夜中、北村に乗られてみたい人は多いと思う。重いのかな。⑤「姿見」鏡の国のこわい人展開。学校の怪談テイストです。三宅監督なので新耳袋クォリテイーのひとつの証です。とりあえず、最後はお化けを出しとけば何とかなるという信念ですね。⑥「視線」心霊ビデオもの。待ちくたびれちゃったよぉで堀北真希の登場。「ほんこわ」ではカラオケで自殺霊にとりつかれていましたが、今回はビデオ撮ったら戦争で死んだ人が写っちゃったんですけどお、どうしようである。えーい、文化祭で出し物にしちゃえ。おいおい。深田恭子に続きいつまでも制服の似合う女優路線をお願いします。ずぅっとぉ~見ぃてぇいぃてぇあぁげぇるぅ~。腰が抜けて後ずさりを見るならコレ。⑦「約束」小野寺昭殿下登場。ボロボロ大好き雨宮慶太監督なので巨大ゴミ少女も登場します。怪談映画と怪獣映画のボーダーラインを華やかに駆け抜けるのです。クマのぬいぐるみも登場。ロシアのガモワが好きな人にもお勧めです。おっきいの。おっきいの。おっきいのが好きなの。⑧「ヒサオ」烏丸せつこが家政婦は見たシリーズの後継を狙っているのではと思わせる一品。まさに一人舞台。拭いても拭いても水びたしなんですわぁ。愛しすぎて失うのがこわくて失ったらこわいものがなくなりましたから死ぬのなんて平気ですわという錯誤。そうね、人間は「まちがうこと」もこわいんですよね。

関連するキッドのブログ『メアリー・シェリー

凸と凹、●と○、♡と♥、この世を複雑にするもの、二つあるということ。時々、人はそのうざさに耐えられなくなるわけだが、何、楽しいと思えばなんだって楽しいですよ。生きることも楽しいし、死ぬことも楽しいのですよ。そう考えるとなかなか死ねませんねぇ。私、楽しみを最後までとっておくタイプなので。もちろん、そのために獲物を逃がしたりもするのですが、それはそれで楽しいんですから。・・・お前って本当に幸せな奴だな。

水曜日(火曜深夜)に見る予定のテレビ『ガラスの艦隊』(テレビ朝日)

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2006年8月27日 (日)

エスパー伊東一日園長の告知です。

というわけで何事もなければ今日のお台場・めちゃイケランドではパンスト王子(エスパー伊東)を見ることができるのだな。楽しそうだ。キッドも見に行きたいぞ。行かないけどな。

キッドはどちらかといえば「いじめられ芸」は好きではない。辛いもの食べたり、水に落ちたりして笑いをとるのは生理的に嫌なのであるが、エスパー伊東は別格である。エスパー伊東を見るときには飲食をしないと決めている。むせたり、鼻の奥とかに変なものがつまったりする恐れがあるからである。まさにエスパー伊東は生ける凶器なのであり、殺人的超能力の持ち主、そしてお笑いの神の御子なのである。

あの事件以後の初めての収録で準レギュラーのエスパー伊東が降臨するのはまさに困ったときの神頼みであって、もちろん江頭2:50という手もあるだろうが・・・いや、やはり、ここはエスパーか。ヨゴレなのに無垢という彼の特殊性だけがスッキリの局のエレベーターで泣いていた加藤浩次(元極楽とんぼ)をお笑いの光で優しく抱擁するに違いない。だってエスパーは不純な空気なんて読まないから。

で、『めちゃ²イケてるッ!24時間対抗テレビ~絆はお台場を救う~』(フジテレビ060826PM0757~)構成・伊藤正宏(他)、総監督・片岡飛鳥を見た。ま、裏ではアンガールズがマラソン、平原綾香が障害者ピアニストと共演などをして募金呼びかけしているのにお呼びのかからなかったヒマな人たちがエスパー伊東に傷心を託し、超能力ネタの成功に勇気をもらって『サライ』を熱唱するというオチに向かう長いコントです。途中、お台場告知(天才キダタロー(他)登場)、日本代表(濱口優・山本圭壱)を欠くシンクロナイズドティスティングが挿入されました。

シンクロではアメリカ代表のジャネット・オカムラとホイットニー・ハラニシが絶好調で、登場ポーズの脱力でルール拒絶のボケ、「ハラニシさ~ん」呼びかけにかぶせるタイミングのボケ、省略による不在のボケ、サクサク祭りの至芸のポケ、シャキシャキ祭りの新ネタ展開ボケ、硬いKAT-TUNという異種混合のボケ、ハラニシ・ピン芸の裏切りボケ、・・・ベタなボケのバリエーションの教科書のような連打である。

さて「今こそ絆が大切」とエスパー手袋の黄色いシャツに身を包み、佐野瑞樹&西山喜久恵アナのダブル実況で今宵、エスパーが起こす奇跡は・・・。①I amチャッカマン(西山アナの持つマッチに紙やすり箱をかすめて一発着火する超能力)は三度試みて不成功。一発で着火すると宣言しながら三度するところが凄い。②本気(マジ)キックネバーギブアップ(生まれつき痛みを感じない体質のエスパーがムエタイ選手のキックをお尻で受け止めるのだが痛かったら笛を吹く)は笛を咥えるだけでこれほど笑いをとれる人が他にいるかと思わせるのだがちょっと痛かったので不成功。岡村隆史「我々もいろいろあって一発目の収録なので・・・」とエスパーを激励。③爆裂鼻手袋(かってSMAPを笑い狂わせた必殺技、手術用のゴム手袋を顔にかぶり、鼻息で膨らませて爆裂させる)はちょっとした事故でエスパー小道具バックが電飾でボヤり、穴があき、手袋も焦げたがエスパー「こういうこともあろうかと」予備を用意していたので実行。凶悪な渥美清顔とも古谷実の描く変顔ともいえる凄い顔を顔になったエスパーが西山アナの空気もれを防ぐガムテープ張りの手際が悪いと非難。エスパー「飾りじゃないんだから」その時ゴムの破片が首を締め付け「首が首が」「絞まってる絞まってる」と周囲が大騒ぎの中、エスパー少しもあわてずゴムを切る。しかし、超能力としては不成功。④熱々流しそうめん箸要らず~次の人ごめんなさい~(100℃のお湯で流れてくる熱々のそうめんを手づかみで100℃のおつゆで残さず食べる)はとにかくつかめるだけはつかむ食べるだけは食べるエスパーに岡村「ある意味凄い人だよね」と尊敬するが、つかみそこなったそうめんの方が多かったので不成功。⑤激辛ハバネロールニコニコ食い(ハバネロ150g、タバスコ30㏄の激辛太巻き寿司を笑いながら完食)切った巻寿司を様子見で試食しようとするエスパーに矢部浩之「その分、量が増えるだけやで」と指摘。一口食べてキャハハと笑うエスパー。次はクェファファとなり、辛さのために舌がもつれ「ヒャアブァルゥォニャ」と涙目。そこで『サライ』の替え歌『カライ』が流れ出し予定調和の大団円に。

失われた絆は修復されるのか、お笑いの神はただお笑いになっておられた。その後、日本女子バレーは大山加奈抜きだけど成徳トリオ(木村沙織、荒木絵里香、落合真理)によってソウルで韓国にストレート勝ち。4勝目をあげる。あと一勝か。次は2メートルの巨人ガモワのいるロシアかあ。竹下とのツーショットを見るだけでも楽しくなるからなあ。見ちゃうよなぁ。とにかく全日本女子には本当の絆でがんばってもらいたいものだ。

関連するキッドのブログ『泣いて山本を切る。(おだいばZ会)』

月曜日に見る予定のテレビ『TVCMの日SPドラマ~メッセージ~伝説のCMディレクター杉山登志』(TBSテレビ)

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2006年8月26日 (土)

決勝前夜、もんもんとしてしまったのです。(和也)

「南とキスしたらぐっすり眠れそうな気がするんだ」と上杉和也(斉藤慶太)は捨て犬の瞳で哀願するのですが、達也(斉藤祥太)一筋の浅倉南(長澤まさみ)は目をふせるばかり。明日は大事な決勝戦なのに「今夜は眠れない」そして・・・。カッちゃん可哀想。

甲子園の決勝をすかすという野球コミックとしては邪道、ラブコメとしては王道の原作「タッチ」だけにどんなアレンジを加えても大丈夫だと考えたのか、犬童一心、大胆なダイジェスト&リニューアルで実写化に大成功・・・なのかな。

でもね、お聖ドン(田辺聖子)の『ジョゼと虎と魚たち』の映画化は大成功してましたから、ま、短いものをふくらますのが得意なのと長いものをコンパクトにするのが得意なのは違いますからねえ。それから池脇千鶴の薄い胸と長澤まさみの豊かな胸、どちらが好きかという問題もありますし、キッドはギリギリ両方かな。

で、『金曜ロードショー・タッチ(2005東宝系)』(日本テレビ060825PM0903~)原作・あだち充、脚本・山室有紀子、監督・犬童一心を見た。なにしろ、大長編を2時間弱で、である。もう、そりゃ、ぶったぎるしかない。問題は何を残すかだが・・・。起承転結でまとめてみると①南を甲子園に連れてっては幼い頃の夢 ②タッちゃんが南とキス ③カッちゃんがキスできずに死亡  ④タッちゃんが南を甲子園に連れて行く途中で神主題歌『タッチ』を挿入・・・というように犬童はまとめてみたわけです。う~ん。まあまあかな。

ふぇ~ん、み、み、南の新体操はカットですか~。長澤まさみのレオタードはなしですかあ。呼吸が止まりそうです~。・・・失礼しました。ま、日本女子体育短期大学卒でジェビロ磐田の中山雅史夫人の生田智子(実生活で長澤まさみのデビューに関与。長澤は静岡県磐田市の出身)が幻の南ママで登場するところがミソですかねって誰も分からんわい。ま、でも存在すら消滅した新田の妹・由加や西村勇、そして柏葉英一郎・英二郎兄弟に免じてこらえるしかないのだな。何のためにでているのか分からない若槻千夏の気持ちも考えてやらないとな。ダイエットしすぎの松平孝太郎の立場もあるしな。

キーワードは世界史の先生(徳井優)が授業中に語るセリフかな。「モナリザの胸はなかなか豊かに描かれている」ということで。長澤まさみの胸を見ろということなんですな。ああ、女優がハダカになるか、ならないか、それが監督の腕の見せ所という懐かしい時代の香りがほのかに漂ってきます。でも、今はトップスターはチラリズムの時代なんですねぇ。堪能しました。白いソックスを履くんですよね。後ろ姿で屈むんですよね。スカートのすそが閃くんですよね。そして体育の授業でリズム体操サービスなんですよね。大胆な構図のさわやかキスなんですよね。そしてタッチ、タッチ、君にタッチのリズムにのって、アップ、アップ、胸のアップ、ゆれるバストのクローズアップなんですよ~。犬童監督、あなたのサービス確かに納入いたしましたぁ。

ま、風吹ジュン(上杉兄弟の母)が静かに狂いだしていくと方向に行きかけて自制したのは素晴らしかった。よく我慢した。ついでに、長澤まさみは南っぽかったが、妻夫木聡とか、山田孝之が双子であったらもっとそっくりタッチでできたのになあと考えたりもするわけですが・・・。

ちなみに草野球チーム茨城ゴールデンゴールズ監督役で萩本欽一が出演。セリフは「あんなの呼んでくるなよ」である。すっげえ暗示的な一言なのでした。『タッチ』の魅力は達也が天才でしかも彼女のために努力をして超人になっていくというロマンスにあるわけですが、犬童監督はそこを徹底してネグレクトしましたね。ま、人間のドライさをセンチメンタルに描くという離れ業の持ち主を持ってしてもシャクが足りなかったのでしょうな。ちょっと残念だ。

月曜日(日曜深夜)に見る予定のテレビ『怪談新耳袋・劇場版』(TBSテレビ)

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2006年8月25日 (金)

月よ。吾が妹よ。顔色が悪いね。(メアリーの夫)

メアリーはシェリーの二人目の妻である。一人目の妻はハリエット・ウエストブルック。結婚したのはシェリー19才、ハリエット16才。シェリーが22才の頃、16才のメアリーに出会い、不倫、熱愛、駆け落ちである。ハリエットとは離婚し、ハリエットは後に池に身を投げ自殺。メアリーは正式にシェリー夫人になるのだった。

19世紀初頭の過激な夫妻である。その頃、日本は幕末まで半世紀を残していました。シェリーは「世界を俺の手でぶっこわす」「神なんていないってところから始めよう」「愛がすべてさ後は知ったこっちゃねえ」的な危険思想で疾走し、ついた仇名が「きちがいシェリー」ですから素敵。

思想家ゴドゥインの娘でロンドン生まれのメアリー、イングランドの貴族の出身のシェリー、ま、特権階級の夫婦なのですが、シェリーが30才の頃、イタリアに在住。夫は所有していたヨットで遭難。メアリーは若くして未亡人となりました。黒衣の未亡人です。詩人シェリーの妻なのでシェリー夫人と呼ばれていたのですが、夫の詩集よりもメアリーの書いた『フランケンシュタイン』の方がメジャーになるにつれ、メアリー・シェリーの御名が輝くようになったのです。キッドの中ではパーシー・シェリーは最初から、あ、メアリーの死んだ旦那ね。でしたが。

で、『メントーズ・世界の偉人たちからのメッセージ・第44話ホラー作家メアリー・シェリー』(NHK教育060824PM7~)脚本・アリ・マリー・マジスン(他)、演出・ノーム・ファスベンダー、日本語台本・中村久世(他)を見た。タイムマシンものであり、マッドサイエンティストものであり、心霊メカものである。過去や未来の人間を36時間だけ現代に出現させることの出来る超機械「ビジクロン」を使って子供たちが有名人を召喚してしまうという設定である。第2シリーズの44話でようやく、メアリー・シェリー様の出番である。遅いじゃねえか。

ちなみに一般常識に欠ける方のために一言。『フランケンシュタイン』は怪物を生み出した博士の名前です。でも、父フランケンシュタインなら子供もフランケンシュタインでいいのではないかという考え方もあります。フランケンシュタインのモンスターは主に死体から作られます。あと、ちょっとしたメカです。このことから、フラモン(今、略してみました)は人造人間(サイボーグ)である。屍蘇生体(リビングデッド)である。妖怪(ネクロマンシー)である。と科学と魔法の狭間で類別が揺れ動くのですが、とりあえず、フラモンとフラモンの母メアリーはあらゆるその手の話のパクリ元、原型主であると推察できます。平伏します。

ざっと思いついただけでもフラモンをぱくったものとして一連の「フラモン映画」、エイトマンは死んだ刑事復活、ロボコップはそのパクリ、仮面ライダー生きたままフラモン化、鉄人28号そのまんまモンスター、怪物くんフンガー、アンドロイドは電気羊の夢を見るか、さらにそこから生れたブレードランナー、ガンダムではクローン技術導入で、フォウ・ムラサメ~ロザミヤ~プル~プルツー、エヴァならレイ、ハルヒは世界をフラモン化、宮崎アニメなら巨神兵もナウシカも蘇るフラモンヴァリエーション、ゾンビがくるりと輪をかいた、黄泉がえり、ダースベイダー、キューティーハニー、そして木更津キャッツアイ・・・キリが無いのでもうやめよう。忘れちゃいけないゲゲゲの鬼太郎。這い蹲ります。拝みます。

で、フラモンよろしく復活したメアリーを演じるエミリー・パーキンス(映画「IT」の紅一点)が語るのは「知識が邪魔して可能性を見失う」「命あるものが怪物であるはずがない」とほとんど意味不明のお言葉。全世界のメアリー信者激怒これ必然。しかし、フランケンシュタインのモンスターの読書歴として「若きヴェルテルの悩み」(ゲーテ)「英雄伝」(ブルタルコス)「失楽園」(ミルトン)をあげてキーワードとしたことになだめられ・・・なだめられるか。

ま、いいか。偉人として取り上げられたことに意義があるということで。教養とは何かという問題に触れると長くなるもんなあ。パクリ元に自ら触れるメアリーは偉い人。奴隷階級に生れたスパルタカスのような英雄でアダムとイブのように楽園を追われた人間が思春期の恋の病に犯される。それがフラモンだから。フラモンはいじめられっこの復襲劇。でも『ヤングフランケンシュタイン』は巨根導入でご夫人方はメロメロですから。

関連するキッドのブログ『学校の怪談

「となりのトトロのような傑作を期待してたのに」と海の向こうで原作者が怒るゲド戦記。親と子の永遠の葛藤。それがフラモン・クオリテイー。創作の基本は模倣ですが、いつか、原点を越える日を目指して、創作者たちの苦闘は続く。それはフラモンとの果てしなきサバイバルレースなのです。「ふりかえるとエデンの東では天使たちが二人を見ていた。神の剣は正義の炎で燃え上がっていた。二人は涙をぬぐい、手をとりあった。そして、ゆっくりとした足取りで、二人だけの淋しい道を歩み始めた。荒野へ向かって」(『失楽園』より)

土曜日に見る予定のテレビ『めちゃ²イケてるッ!24時間対抗テレビ』(フジテレビ)

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2006年8月24日 (木)

好きな女の子の水着を着用してみること。それが青春。

ま、わざとじゃないんです。ヒロシ(兄)がいけないんです。おみやげだと偽ってブチョー(千代将太)に渡したのだから。でも、かしこ(木南晴夏)なら「ビキニパンツはねえ、男性機能を低下させるんだよ、そんなにタイトじゃ、あんたの最終兵器はおしまいだよ」って言ってくれるかな。くれないよ。

第8話でかしこ図書委員長が延滞貸出図書回収に乗り込んできて空気を一変させて去っていった後ものほほんと続いていた田舎の高校生たちの放課後&夏休みストーリーもついに終了である。いや、ストーリーなんてほとんどなかったのだが、ま、これはこれで。それにしても木南さん(21)はフットワークが軽い。あきらかに優香のラインに乗っているのだが、先行の優香がなかなか息が長いからな、ストッパーがかかった状態か。2001年デビューで「めちゃイケ」スタート。『不幸の法則』のバラエティー内ドラマ幸子役でおなじみになり、『新・科捜研の女・第2シリーズFile.7秘密のキスマーク!祇園祭に渦巻く殺意』(2005)で「ウチはまだ舞妓どすえぇ」の舞妓・神無月でキッドのハートを直撃すると朝ドラ『風のハルカ』でハルカの幼馴染花田万里子、昼ドラ『貞操問答』南條美和子(ペビーエロ)と周辺を機動してなんちゃって高校生でダンドリ。にである。ま、好事家には分かります。芸は売っても身を売らぬ舞妓殺人事件に嘆願書が殺到です。かしこ目当てのダンドリ。仲間に幸あれです。・・・っていうか、明らかに本筋でないですけど。ま、いいじゃないか。・・・かしこあってのダンドリ。ダンドリ。あってのダンドリ娘なんだから。

で、最終回なのだが、特にどうってことなく、終っていき、これは考えようによってはシュールなわけで、とくに燃えるわけでもなく、甲子園でハンカチを使うわけでもなく、夏の高校野球PR女子高生(木南さんはこれに選ばれた)に選ばれるわけでもなく、友達と会って、しゃべって、海に行って、いつの間にか終る青春。ははははは、みんなの青春じゃないか。

で、『青春☆ENERGY・ダンドリ娘・段取り10最終回』(テレビ朝日060824AM0045~)脚本・末安正子、演出・岩田和行を見た。ブチョーの家族が戻り、一人暮らしの終焉なので、夏の思い出作りに海に行きました。小松彩夏と満島ひかりは水着姿を披露。最終回なのに浅木一華は披露しませんでした。あの日だったか? 高校最後の夏なのに。かわいそう。

実は企画に一番しにくい企画なんだよな。何にもない青春が一番等身大なのだが、何にも無いのがドラマです。・・・は通りにくい。レガッタしたり、難病になったり、小劇団に入ったり、チアに熱中したり、広告代理店でバイトしたりしないと青春ドラマの企画としては成立しない・・・ってことになるのだな。

だが、レガッタしても面白くなるとは限らない。何にもしないのがつまらないとは限らないのである。だからダンドリ。よりもダンドリ娘の方が面白いという意見さえ出てくるのである。このあたりがエンターティメントの面白いところなんだなあ。

ブチョーが何の部長だったのか、設定を忘れるほど何もせず、いつも異性とのふれあいについての妄想にひたる男の子や女の子のもやもやだけを、ちっとも面白くないくだらないトークに乗せて、たまにオッパイサービスをまぜて、それなのにそこそこ面白いって・・・。みんなどんだけつまらない日常を送っているのだろう。とふと想像してしまう番組だったな。

一方、本編の『ダンドリ。』はここまで平均視聴率8.7%と超低空を彷徨っている。厚木高校をさつき高校にフィクション化したときの方向性が間違っていたのではないかと思う。ダメを掘り下げるのではなく、善しを掘り下げるべきだったと思うのだ。しかし、これを下回る平均7.9%の『下ネタサンデーズ』、平均5.8%の『サガッタ』があるのかと思うとこれは構造不況なのかもね。結局、さじ加減という曖昧な結論に行き着くわけだが、なんか、この夏のドラマはみんなちょっぴり惜しい感じ。でも木南晴夏は輝いていた。

金曜日に見る予定のテレビ『金曜ロードショー・タッチ』(日本テレビ)

☆☆☆岡田ひとみレポート☆☆☆

岡田ひとみが『はなまるマーケット』(TBSテレビ060823AM0830~)構成・古屋啓子(他)、演出・清宮之禎(他)に登場。AM0929頃からの『水野真紀のカルチャースクール・スタジオマキ』でねんどアートの第一人者として「レッスン#20ねんどアートでにぎり寿司」の講師を務めました。

「ねんどのアイドルでねんドルです」と自己紹介すると「うわあ、自分でアイドルって言っちゃうんだ」とお姉さまたちから激しくツッコミ。ひるまず笑顔で応対にキッドがはなまるをあげておきます。この日、岡江さん誕生日だったのでミニチュアバースディケーキの一つも用意しておくべきだったのかな。

しかし、服部潤さんのナレーションによる「ねんど教室の紹介や工程説明のVTR」も手堅く作られていてお姉さまたちもたちまちねんど細工のとりこに。

岡江久美子さん玉子焼き担当、水野真紀さん穴子担当、海保知里アナまぐろ担当で工作開始。ちなみにヤッくんは夏休み。BGMが『スシ食いねェ!」(シブがき隊)なのにね。

①ねんどとハブラシでしゃりを作る。

海保アナ「みなさんのしゃりの出来具合はどうですか?」岡田「しゃりってきました」

②ねんどと色絵の具でネタを着色する。

海保アナ「みなさんのネタの色具合はどうですか?」岡田「お腹がすいてきました」

③はさみや色画用紙など小道具を使って仕上げにかかる。

海保アナ「みなさん無口になってきましたね」一同「・・・・・・・・・・・・」

ここで講師技を披露。イクラの軍艦巻きでイクラがぽろぽろとこぼれるとお姉さま失笑。しかし、茶漉し器からウニが練りだされるとお姉さま方「きゃー」「おもしろーい」「本物みたい」「食べた-い」と一気にヒートアップ。ウニの軍艦巻き術おそるべし。

最後は「甘エビ」も作りたかったとお姉さまからリクエストまでいただきました。

AM0942頃コーナー終了。ひとみちゃんお疲れ様~。

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2006年8月23日 (水)

降伏しましょう。私たちは女なんだから。(成海璃子)

8月15日を過ぎておめおめと沖縄戦なのであるが、沖縄といえば常夏なのでイメージ的には許されるかなあ。もちろん、来年の8月15日に向けてスタートが切られたと考えれば、まことに艶やかな戦争番組ラインナップであるともいえる。

キャスティングがキッド的には豪華である。主演が成海璃子(反骨アナーキスト・男女平等論者)、ライバルに市川由衣(お国のため優等生)、おとぼけにサエコ(貧乏・夢見る少女)、グズに岩田さゆり(ドジでノロマなカメ)でおまけにお姉さん(長谷川京子)がついてくる。助産婦であり従軍看護婦であるハセキョーは裸身をさらし、配役的に必然の椎名桔平と命のリレー、末期のセックスを敢行するが、願い虚しく味方の銃弾に倒れるというお粗末。もちろん、勇敢な市川が真っ先に死亡するのもお約束の展開である。

基本的に内地から来た日本軍、極悪非道。現地の沖縄県人、優柔不断。敵の米軍兵士、人道主義という設定である。1970年代くらいの歴史観であろうか。もちろん、戦後の沖縄県の苦難、軍と民間の戦後保障の差別を考えれば致し方ないとも言える。ただし、2006年にはこの歴史観は通用しない。しつこいようだが、現代戦は総力戦である。職業軍人と民間人の戦死を差別するようでは勝利できないと断言しておく。そうしたことも含めて法的整備は急がねばならない。護憲の皆さんはそういうことに勢力を注いでもらいたい。

で、『終戦記念特別ドラマ・ひめゆり隊と同じ戦火を生きた少女の記録・最後のナイチンゲール』(日本テレビ060822PM9~)企画・遊川和彦、脚本・武田樹里、演出・猪俣隆一を見た。1945年3月26日、沖縄攻略作戦氷山(アイスバーグ)により連合国(主に米軍)は沖縄上陸を開始する。4月1日には沖縄本島嘉手納海岸に上陸。沖縄本島を分断し、たちまち北部、中部の飛行場を占領する。攻略部隊は史上空前の大艦隊、艦船1213隻、護衛空母艦載機564機、総員45万人である。さらに空母6隻の米機動部隊と空母4隻の英機動部隊がこれを支援するという物量作戦の極みである。

これに対し、帝国守備軍は牛島満中将の陸軍8万6000、現地召集兵2万5000、太田実の海軍1万名であり、正攻法での勝機は見出せず、敵を引き込んでゲリラ戦を行う決定を下し、南部に防御網を構築した。しかし、各地で圧倒的な敵兵力により戦線は寸断され、作戦命令も次々に変更を行う稚拙なものとなった。

この頃、成海璃子たちは学徒看護婦隊として前線に投入されるのである。九州からは陸海軍あわせておよそ2000機の特攻機が出撃したが、ほとんど戦果も残さず撃滅され、4月6日には戦艦大和を主体とする海上特攻作戦を開始。大和を沖縄で浮き砲台とする奇策であったが、大和は出航翌日、沖縄にたどり着くこともできず、空母6隻に袋叩きにされて大爆発、転覆、沈没した。

日本軍は奇襲による抵抗でそれなりに戦果をあげるが、米軍は着々と支配地を広げ、その途中には村ぐるみの全員虐殺なども行っている。軍・民間の区別などないのだから、当然である。日本軍の強要、村民の自主的選択と様々な要因で民間人の自決もあいつぐ。成海璃子の家族はこの頃自決。後退してきた娘に屍を発見されるのだ。4月21日には北部がほぼ占領され、米軍は上陸した重戦車を盾に南下を開始する。日本軍は夜襲を仕掛けるが、撃退され、次々に防御陣地を失っていく。4月下旬から5月5日まで陸軍は戦力を集中して反攻に転ずるが、すべての戦闘に敗退し、首里に篭城することになる。

すでに全島に安全な場所はなく、一寸刻みの空襲、艦砲射撃が非占領地区に行われ、市川由衣が爆撃で生き埋めになり死亡したのはこの頃と思われる。5月31日には首里が完全占領され、日本軍は南へ南へと民間人を巻き込みながら敗走していくのである。すでに看護して送り届ける後方はなく、学徒看護隊には解散命令が下る。6月13日には「沖縄県民かく戦えり、県民に対し後世特別のご配慮賜らんことを」と電文を残した海軍・太田司令官が豊見城村で自決。岩田さゆりが機銃掃射で足を負傷したのはこの頃であろう。6月23日には陸軍・牛島司令官が自決した。

日本軍9万4000、住民9万4000、米軍1万2000が死んで6月下旬には沖縄戦はほぼ終結した。ちなみに上陸部隊司令官バックナー中将も戦死している。その頃、南の崖っぷちに追い込まれた住民たちの多くは投身自殺、しかし、成海璃子は断固投降する。その後、本土では一億玉砕もせず、無条件降伏、昭和天皇は天寿を全うするのだから、正解である。死んで花実が咲くものか、なのである。

「なんくるないさ~」と死んでいく老人を植木等が、市川を死地に追いやる中尉殿を斉藤洋介が、ハセキョー射殺の森少尉を泉谷しげるが、戦場出産を見守る山崎軍曹を柄本明がそれぞれ淡々と演じている。今を生きるものはあやまちがくりかえされないように奮励努力しなければならない。黙祷。

関連するキッドのブログ『ここはアメリカ地獄なのか?(森山未來)』

木曜日に見る予定のテレビ『メントーズ』(NHK教育)

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2006年8月22日 (火)

モロボシ・ダンVSキケロのジョー。

ま、脇役が主役に勝ったというか、先輩が後輩に勝ったというか、キャプテン・ウルトラがウルトラセブンに勝ったというか、・・・ノスタルジーですからあ。ウルトラ警備隊解散以後、ひそかに地球に舞い戻ったモロボシ・ダン(森次晃嗣 ) は悪事を重ねて民自党の国会議員になっており、タイムスリップして地球に漂着したキケロ星人のジョー(小林稔侍)は窓際税務官に身をやつし、巨悪と戦っているわけです。・・・あくまで幻想ですからあ。

タイムカプセルを校庭の庭に埋めちゃう奴はなんだかとっても自分が好き。タイムカプセルを夜中に一人で掘り出しちゃう奴は現在不安を抱えています。タイムカプセルを一人で掘り返して埋めなおす奴はウルトラマンガイアのXIGの千葉参謀(平泉成)です。ついでに綿引勝彦さんはウルトラマンメビウスの15話にアライソ整備長としてゲスト出演している。ああ、なんてウルトラシリーズ色の濃い税務調査官。

で、『税務調査官窓際太郎の事件簿14』(TBSテレビ060821PM9~)脚本・倉成柊一郎、演出・中山史郎を見た。ありものの音楽でちゃっちゃっと作っているドラマだが、時々選曲がいいなあと感じることがある。窓辺太郎がタイムカプセルを掘り出しに行く場面など、勇壮でウルトラホークが発進するのかと思うほどだったぞ。

今回、窓辺が派遣されるのは高知県であり、窓辺が少年時代を過ごしたという設定。仲良し三人組のうち二人が談合にからんだ県会議員と建設会社幹部になっていたという展開で、巨悪を暴くために「悪いことは悪いと言えるのが本当の友達の誓い」を巡って三人の大人になった少年たちが冒険を繰り広げる。一人死亡、一人罪人化で正義と友情は貫かれるのだが。

最初に殺される正義の復讐鬼の恋人が弁当屋の国分佐智子(ちなみに母の母の父・東條英機、世が世なら超お嬢様)である。すっかり寅さんになりつつある窓辺太郎は妄想の中で国分とイチャイチャするのだが、裏ではサプリの亀梨和也と伊東美咲がキスしていて、窓際17.1%VSサプリ14.4%ではあんまりだと思うのだが、まあ、視聴者層が違うということですわねえ。

もちろん、キッドは麻生祐未を見に来ているわけで、以上のことはどうでもいいのです。今回は「ままま窓辺さん」がなくなっていて、単に早口で何を言っているのか分からない女に変化しているわけなのだが、アキハバラ@DEEPの風間くんに対抗して「ママママままままままままままままままままままマママ窓辺さん」ぐらいはやってほしかったな。吃音しない椿薫なんて生姜ぬきの素麺ではありませんか。だだだだだ断固ここここここ抗議すすすすすすするぞ。麻生さんは冬ドラマ『白夜行』(山田孝之の母役)からここなのだが、もっともっとみたいのだな。まあ、キャスティングに際しいろいろな人にかぶっているとは思うのだが、この役、麻生さんなら面白いのになあと思うこと度々。・・・プロデューサーたちィ。

悪童三人組は女風呂を覗いたりして悪事を重ねるのだが、「おちんちんがかたくなっちゃったので泣き出した」のが綿引勝彦である。同窓会で逢うたびにそんなこと言われてたら赤面だが、秀逸のエピソードである。窓辺をトラックでひき殺そうとするのが平泉成で残念だ。綿引だったら「いっつもいっつも勃起で泣いた勃起で泣いたって言いやがって」という展開だったのかもしれないのに。・・・ま、ありえないですか。

木曜日(水曜深夜)に見る予定のテレビ『青春★ENERGY・ダンドリ娘(最終回)』(フジテレビ)

☆☆☆岡田ひとみ情報☆☆☆

明日8月23日(水)『はなまるマーケット』(TBSテレビ)に出演する予定、見てね。

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2006年8月21日 (月)

朝ごはんたべなさい。納豆で。(海老名かよ子様)

遠い遠い昔である。長女みどりさん・峰竜太妻夫の取材のために根岸の林家家を早朝訪問したキッドにおかみさんが朝食を供してくれた。駆け出しの構成作家の貧乏な感じを察してくれたのか、早朝だったためにみどりさんが寝坊したためかは不明だが、ありがたくいただいた。わかめととうふの味噌汁、納豆、のり、胡瓜のつけもの、ご飯である。ご馳走様でした。

すでに林家三平師匠は故人であり、お写真となってキッドを見ていた。「よしこさーん」「どうもスイマセーン」「もう大変なんすから」は幼少時のキッドのものまねレパートリーだったので不思議な気分になった。実在していたのね~。三平さん。でも、もう、いないのね~。三平さん。である。悪いことをしでかして父親にしかられ「どうもスイマセーン」とやって「ふざけるな」と半殺しにされた記憶が去来した。

おかみさんも当然のことだが、現在よりずっと若く菊川怜とそっくりだったような、・・・気がします。冒頭、両親を東京大空襲で失い、孤児となった少女時代のかよ子を演じた斉藤奈々(劇団東俳・大河ドラマ『巧名が辻』のうめ役)がおにぎりを頬張った瞬間、この記憶の連鎖でキッドは不覚にも泣いてしまいました。

で、『ドラマスペシャル・昭和の爆笑王林家三平ものがたり・おかしな夫婦でどーもスィマセーン!』(テレビ東京060820PM9~)原作・海老名香葉子(他)、脚本・洞澤美恵子、監督・水谷俊之を見た。林家三平(山口達也)と妻・かよ子をめぐり、七代目正蔵・三平・九代目正蔵という落語家三代を描くドラマである。三平の初恋の人で愛人柳田ヨシ子は紺野まひる(映画『県庁の星』からここ)が演じ、さすがに宝塚のトップスター忌憚無く、菊川怜より美人の役にはまっていた。やはり戦争の巻き起こす悲喜劇の象徴といえる彼女の存在が凄いのである。

太平洋戦争終戦時、三平はほぼ二十歳。父は七代目林家正蔵(伊東四朗)であり、運よく父子で生き残る。しかし、戦後の混乱の中で、父と妹は相次いで病死。初恋のひなげしの君の呉服屋もつぶれ、借金のために身売りする。ヨシ子さんである。山口とまひるの逢引はなかなかにせつなく描かれており、三平の笑いにひそむ鬱屈を暗示している。この他、正蔵名義の貸借、目をかけてくれた三遊亭歌笑(風間杜夫)の米軍ジープによる轢死、かよ子と見合いした直後の自身の重病、かよ子の発病とまあ、苦難の連続である。

この間にも「お坊さんがいたね」「僧かい」「お坊さんが二人いたね」「和尚がツー」「パンダのエサはなんだい」「パンだ」などと歴史に残り、長男こぶ平(九代目林家正蔵)もあきれるほどのお笑いをつみあげていく。キッドがもっとも尊敬したいお笑いはドラマの中で二つ目なのに真打をつとめた高座で「御婦人のお客さんがクスリとも笑わずそっと涙をこぼしたのを見て、私の芸にそんなに感動しましたかとたずねると、いい年をしてこんなくだらないことをしなければくらしていけないなんてなんてかわいそうな人だろうと泣きました・・・」で高座をのたうちまわるというもの。お笑いの本質の一つをついて過不足がない。山口の再現によってもまったく問題なく三平が伝わってくる。

かよ子の育ての親・三遊亭金馬を立川志の輔が演じているのだが、三平夫婦の祝言で「高砂やこの浦舟に帆をあげて・・・」まで唱ってすかす(この場合は続きにはそれほど期待がかけられていないためハズシとも言える用法)のだが、そうしたある種の作法的なお笑いとはあくまで一線の引かれたお笑いであり、ああ、やっぱり天才だったのだなあ。こうなると長生きはできないのだなあ。ま、キッドは例外だといいなあ。

とにかく、言えることは無性に寄席に行きたくなるドラマなのだった。行かないけどね。

で、さすがに林家三平には勝てないのだが、『超どうぶつ奇想天外!夏休み㊙自由研究スペシャル』(TBSテレビ060820PM7~)構成・恒川省三(他)、演出・酒井祐輔も超面白かったのだな、サカナくんとアニキ(山咲トオル)の海に入ったら出てこないぞ漁シリーズも面白かったし、ガレッジセールと加藤晴彦の新江ノ島水族館もネコザメの卵を堪能。福島県の鳥獣保護センターのムササビ担当スタッフ八幡百合子さんは美人だった。そして生態圏保護のため外来種絶滅(人間をのぞく)を目指す石垣島での自然環境センターvsグリーンイグアナの死闘。筆舌に尽くしがたい。勝ったのは千石先生を刺したヤエヤマキアシナガバチだったが。

火曜日に見る予定のテレビ『終戦記念特別ドラマ・ひめゆり隊と同じ戦火を生きた少女・最後のナイチンゲール』(このタイトルは失敗していると思うぞ日本テレビ)

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2006年8月20日 (日)

一番気持ちのええことはSEXやなかった。(加賀美早紀)

「それは人を愛することやった」と言うのは加賀美早紀(ワタナベエンターティメント)である。映画『プラトニックセックス』でデビューし、『結婚できない男』(フジテレビ)第四話ゲストからここである。20年前の家なき援助交際少女の役なのでイメージとしての実態に合致している。ナイスキャスティングだ。

愛されたのは男の子である。それも血のつながらない母親として、加賀美早紀が一夜をともにした男が捨てた子供をずっと育てるという設定だ。男の子は平野孝世(キリンプロ)くんで成長すると川岡大次郎になる。これは似ている。本当に成長したみたいだ。という意味でナイスキャスティングである。

そこでヒロインの新聞記者がサトエリ(佐藤江梨子)なのだが、うーん、まあ、ギリギリでナイスキャスティングかな。配役に神経を使うスタッフでこうなのだ。やはり、サトエリのキャスティングは難しいのだ。ボディーフィットを上回る敵役はそうないからな。映画『キューティーハニー』はお見事。映画『プレイガール』はまあまあ。ドラマ『相棒』のゲスト殺人鬼でそこそこ。サトエリにピッタリの役。みんな真剣に考えてもらいたい。ちょっとバカな女ゴルゴ13みたいな役がいいと思うぞ。・・・そんな役は無いと思うぞ。キッド。

で、『土曜ドラマ・新・人間交差点』(NHK総合060819PM9~)原作・内海隆一郎(他)、脚本・矢島正雄、演出・本木一博を見た。ドジでグズでノロマでカメで思い込みの激しい新米新聞記者のサトエリと引退して鬱屈している元・新聞記者の仲代達也の凸凹珍道中ものである。凹のサトエリは新聞記者だが人の話を聞かない。凸の仲代は時々食事を忘れて倒れる程度に恍惚としている。という凸凹ぶりを披露する。二人は赤木春恵の弟と孫娘という血縁関係にある。

仲代はサトエリの新聞記者適性のなさにあきれつつ、血筋の思い込んだら突き進む性格にかっての自分を見て指南を始めるのである。舞台は二人のふるさと・出雲とサトエリの勤める新聞社のある大阪。ここでサトエリは血のつながらない母娘ストリートダンサーを取材するのだが、取材相手ととっくみあいのケンカを始めるというなんじゃそりゃーパワーを炸裂させる。かりそめの母が加藤千果(グレース)、かりそめの娘が相園涼夏(キャレス)である。キャレスはダンススクール系の事務所なので涼夏はそこそこ踊る。二人は実はそろって虐待家出少女なのだった。話を聞いた仲代が20年前にも似たような事件があったと記事にならなかった取材メモを取り出し、サトエリはその記事を読んで涙を流して人間性を獲得するのである。

この後は人情の機微に触れて泣かせる展開の連打。20年後、加賀美早紀と平野孝世の母子のアパートを訪ねた凸凹は二人がまだ暮らしつづけ、しかも若年性認知症でボケた母を息子が介護しているという美談を目撃、涙。息子が二人のことを見守っていた仲代の存在を知り涙。サトエリが交通事故死した涼夏の墓で加藤千果と会い、真相を知って涙なのである。こうしてサトエリは知力が1あがった。この展開はグッドジョブだと思う。

「忘れたつもりでも過去は存在する。ある日突然、波のように押し寄せてくる」ボケが進み、田んぼのカエルやら、卓袱台の上のイモリやらに話しかける仲代に一通の手紙が届く。それは遠い昔に別れた息子からの手紙だった。はたして、どんな涙が待ち受けるのか。それは次回のお楽しみ。

メッセンジャー(吉本興業)の黒田有がドラマ初出演。サトエリとコンビを組むカメラマン役であるが、まあ、可もなく不可もない役。どうみても貧乏育ちの悪たれにしか見えないので、この後、サトエリをドス黒い罠にはめたりしてもいいと思うのだが。・・・ないない、そんな展開。キッド~。

月曜日に見る予定のテレビ『月曜ゴールデン・税務調査官 窓際太郎の事件簿14』(TBSテレビ)

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2006年8月19日 (土)

女はわからんが向こうは男を知っている。

勝っちゃった。キューバに勝った。勝っちゃった。ホームで相手は主力故障中だけど、勝ちは勝ちだ。何よりも大山加奈が大活躍である。同級生荒木絵里香もがんばった。木村沙織の女の子走りサーブも健在だ。これで大山未希もいればまるで下北沢成徳軍団だ。いや、東レアローズ軍団だ。バレーボールではなく、ついつい彼女たちに見とれてしまうのだが、やはり勝ってこそ魅力倍増なのだな。

『本当にあったアタックNO.1』では「おまえはハートが腐っている」と菊間コーチ(八王子実践)が相変わらず女の子を泣かせ続ける。実の娘も厳しく指導したのか。反動なのか。それとも親バカだったのか。だが、狩野舞子は泣きすぎ、故障しすぎ、甘すぎだけれど逸材なのでもう少し大切に取り扱うべきだったな。オグラはスポーツ応援団としては一流だが、政治は認識力がなさすぎなのであやまっちゃえばいいのに。「私にはわかりません」の後に「でもギャラもらっちゃってどーもすみません」と続けるだけで印象良くなると思います。

かならずしもレイプをとりあげることに異論はないのだが『タイヨウのうた』にはいらなかったのではと思う。少年院帰りの犯罪者→クスリの売人勧誘→断ると恋人をレイプという図式をここに持ち込むのは安易としか思えない。しかもお手軽に未遂でクリアはいただけない。とってつけたようなバンド展開も不要。じっくりと沢尻エリカと山田孝之の『ある愛の詩』を見せればいいのである。

で、『金曜ロードショー・ROCK YOU(2001米映画)』(日本テレビ060818PM0903~)脚本・監督・ブライアン・ヘルゲランド、翻訳・岸田恵子、日本語版演出・木村絵理子を見た。っていうか、結局、女子バレーも本アタもタイヨウも見ちゃったのだなあ。でも、メインはやっぱり、これだなあ。今の日本人にもっとも必要なもの。守るべきものは守る。断固たる決意。この映画鑑賞を小学校の必須にするべきなんだ。周囲の全員が反対しても「俺はやる」決意。侍たるものと騎士たるもの。その本質は同じであってほしいものよ。

エドワード黒太子が颯爽と登場し、チョーサーがブラブラさせながらブラブラしているので14世紀、日本でいえば南北朝時代の中世ヨーロッパが舞台である。その頃からクイーンの『ウイ・ウイル・ロック・ユー(We Will Rock You)』は名曲だったのだなあ。ブライアン・メイは何歳になるんだ。サッカーだろうが、格闘技だろうが、家電だろうが、飲料水だろうが、この曲が流れれば燃えるのさ。青春の炎がめらめらとね。

大胆な編集で物議をかもすこの枠だが、今回はデビッド・ボーイが軽く処理されている。でも、ま、いいじゃないか。日本語訳はなかなかにいい感じだと思うぞ。「本当に愛があれば負けられるはずよ」「愛しているなら勝って優勝して」美女のわがままにふりまわされることこそ男の生きがいですものね。ま、そういうタフな男は稀有なんですが。

「女につられて馬に乗ったまま神の家に入り込む」生れついての貴族ではないから武芸に秀でていても儀礼に欠けるという主人公の葛藤を暗黙の了解とするかどうかで編集意見の分かれるところですが、まあ、これだけ単純な物語ですから、いいだろうと判断したわけでしょうけれど、この国の人々の理解力は日に日に弱体化していますからね。これでも話が通じない恐怖はありますね。生まれついての騎士でないから、愛を伝えるのももどかしく、親子の名乗りをあげるのももどかしく、戦うことももどかしい主人公の心を汲んであげられない観客。いるとしたらなんてバカなんだ。

略奪、強姦、殺戮は「昔ながらの罪だ。人間は変わらんよ」と生まれついての騎士は言う。その悪辣な所業は目を覆うばかり、しかし、悪こそが正義、秩序を維持するのは我なりとその言葉に耳を傾ければ彼もまた愛すべきキャラクター。みごとな悪役っぷりでした。

「きらびやかな言葉はいらない。クライマックスはありのままで」と山寺宏一チョーサー(カンタベリー物語の著者)が語るほどの王道のクライマックス。そして『ウイ・アー・ザ・チャンピオン(We Are The Campion)』である。「強く信じれば何でもできる。お前の足はお前の行く先を知っているのだ」という言葉に従うものだけが栄光に輝くことができるのだ。

アナハイムの新素材開発技術者か、ナイキの回し者か、いえいえ、鍛冶屋の未亡人ケイトは『タイタス』の娘、レイプされ口から血を吐くラヴィニアです。ローラ・フレイザーです。美女ジョスリン(シャニン・サモン)の「おっぱいは小さかった」と言い切るのですが、あんただって・・・。いえ、好きです。愛してます。

日曜日見る予定のテレビ『超どうぶつ奇想天外!夏休み㊙自由研究SP』(TBSテレビ)と『ドラマスペシャル・昭和を生きた爆笑王林家三平ものがたり』(テレビ東京)どっちかで・・・。

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2006年8月18日 (金)

・・・おいで、バカ。(今井蛍★★★)

★(星)三つはアリス学園の階級制度で星階級と呼ばれているもの。つまり、今井蛍はトリプルという星階級に属するのである。平等神話が崩壊し、隠匿されていた階級社会が前景化してきた現代に相応しい、エリート教育の実効性を世に問う学園コメディーアニメーションを教育テレビでやっていることが恐ろしい。NHK-BS2のおさがり(2004オンエア)であることも怖ろしい。BS化された小学生とされていない小学生の情報格差の放置もまたおぞましい。

ちなみに主人公・佐倉蜜柑は★なしである。大親友である蛍がアリス学園に転校してしまい、蛍に逢いたい一心で追っかけてくる。再会した蜜柑に「抱きついていい?」と聞かれ蛍は「友達に会いたいというだけでこんなところまでやってくるものは、そういないなわね」とクールに分析、タイトルのセリフになる。ちなみに蜜柑はツインテールで、蛍はショートカット。ま、エヴァヲタの目にはアスカとレイの小学生ヴァージョンとしか映らないのでは。・・・あ、うんざりしてると思いますが前後にネタバレ満載ですのでご注意ください。

ちなみにアリスマニア必死のローティーンアニメ(主人公の設定11才)ですが、タイトルのアリスは『不思議の国のアリス』ではなく、この虚構世界の特殊用語で「超能力」を意味します。この「超能力」には「天才的な知能」や「魔法」も含まれ、なんでもありのサイキック大会を展開します。主人公・蜜柑はスペシャル超能力ともいうべき「無効化のアリス」の持ち主。基本的には一人一芸なので、超能力(芸)を無効化する蜜柑は超能力者の天敵。防御的超能力としては最高のアリスを持っているということです。ま、最高の攻撃能力である「願望達成能力」の持ち主が登場すると矛盾というものの説明ができるわけですがね。

で、『学園アリス』(NHK教育060817PM0725~)原作・樋口橘、脚本・横山雅志、絵コンテ中村賢太郎、演出・加藤顕、監督・大森貴弘を見た。ああ、「花とゆめ」である。サイキック専門小学校という設定がすでにサイキック。ジョンベネ殺害事件の急展開がまたシンクロニティーであり、不法占拠ロシア軍による日本人殺害事件がこれまた天の配剤であるかの如しだなあ。もちろん、蛍なら「よりによって一番やっかいなものを相手にして」とクールに分析するでしょうがね。「マザコン擁護」「ロリコン擁護」「愛国擁護」もほどほどにしておかないと本人がビョーキと判断される可能性大ですからねえ。

しかし、母を愛さずにして愛が語れるでしょうか。幼子を愛さずにして強きをくじき弱きをたすける正義がなされるでしょうか、国を愛さずに国籍が維持できるでしょうか。すべてはあまりにも根幹なので邪を生み、邪のクローズアップによって根幹が否定されるという倒錯の阻止のため。そして、悪にのめりこむあまり、悪になる危険を冒してまでキッドは戦うのです。それは戦争が好きだから。・・・違う。違う。違うよ、キッド。

・・・失礼しました。で、異常能力者おタクの究極の妄想世界が展開していきます。炎を操るファイヤースターター小学生(美少年)、動物操るムツゴロウ小学生(美少年)、念力操るフューリー少年(美少年ではない)、バカを殴る馬手袋(鹿手袋も)を発明する天才少女(美少女)、すべてを誘惑するフェロモンを発する理想教師(美青年)など(今回は超能力控えめでお届けしています第二回)なのである。

しかし、「泣かしてやろうと思ってさ」と主人公に覆いかぶさる男子小学生。主人公をうつぶせにして背後からいたぶる男子小学生、あげくの果てに主人公のスカートを脱がし「あばよ、水玉模様ちゃん」とセクハラ言動を残す男子小学生、そしてそれを看過する男性教師と、おいおい子供のやることに限度はないのか。それとも特権階級にはここまでだったら許されるという教育的指導なのかと、うわあこりゃこりゃやってくれちゃった描写満載である。

ドラマ『花より男子』(TBSで再放送中)でも思うことなのだが、この国の創作者たちは明らかに病んでいるし、いじめを否定しながら肯定しているし、性的いやがらせを否定していながら肯定している。もちろん、ポルノグラフィティーは創作の原点だから、当然といえば当然なのだが、どこかにそれを恥とする感覚も維持しなければならない。恥の気持ちがあってのうれし恥ずかしなのだからな。残酷描写=残酷奨励という低脳批判者と同じように性愛描写=性愛堪能という図式に堕ちてはならない。

もちろん、スカート脱げてもパンツは見せずでこのアニメは寸止めが達成されています。・・・のでしょうか。ああ、常時パンチラのウランちゃん(鉄腕アトム・手塚治虫)で幼少期を過ごしたキッドにはいかんとも判別できません。

ともかく、親友との再会を果たし、クラスのボスに目をつけられ、メガネッ子委員長(男子)にも声をかけられて蜜柑のアリス学園での生活がスタート。第三回『アリスなんかにまけてたまるか☆』に続くのであります。

遺書を前にしてダブルツインテールで涙する描写。男尊女卑の匂いは韓国面(ダースベーダーのように列島民衆が堕ちる可能性のある半島文化的誘惑の力)の強さのバロメーターなので要注意。蛇足ですがキッドとしては のの という目の描写が 回回 という目の描写より好きなのでエンディングはグッドでした。

関連するキッドのブログ『女子中学生(姉)と女子小学生(妹)と寡老人(大家)の日。』

土曜日に見る予定のテレビ『新・人間交差点』(NHK総合)

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2006年8月17日 (木)

カレーを作ってあげました。(小田茜)

材料費は1200円くらい。食べた人は金田明夫である。最後まで謎につつまれた二人の関係。しつこいようですがネタバレ満載ですのでご注意ください。

小田茜はテレビ信濃の番組『テレビ社会面』のレポーター兼再現ドラマ女優という役です。レポーターが再現ドラマを演じてしまう、これが地方局のちまちまクォリティーです。再現ドラマなのにカメラをレールにのせて引いたりしてこだわりの映像をお届けするのが都落ちしたコーナーディレクター金田明夫。

小田は金田の自宅の合鍵の隠し場所を知っていて、風邪で寝込んだ金田のために手作りカレーを作ってあげるような監督と女優の関係なのですが、金田が農薬を飲んで死んでしまった時、小田に疑いの目をむけるのが松本中央署の伊吹吾郎警部。二人は男と女の関係に違いないとふむわけです。「やったのか?」「何回くらいやったのだ?」「気持ちよかったのか?」とネチネチ聞いたりはしませんが。そういう演技で表現してくれます。ちなみに伊吹警部は社交ダンスの名手で事件解決の打ち上げの席では余興でワルツを伝授してくれます。

伝授されるのが長野県警捜査一課の中村梅雀警部。そうです、原日出子の夫にしてラストシーンで妻にキスをしまくる男、夏のオンエアでも事件解決の際にはヨレヨレのコートを着用する男。誰のためのサービスなのか必ず入浴シーンを披露する男。そうです。彼こそが信濃のコロンボなのです。

で、『水曜ミステリー9・信濃のコロンボ事件ファイル⑫陰画の構図』原作・内田康雄、脚本・佐伯俊道、監督・江崎実生を見た。もちろん、ゲストスターが小田茜(第4回全日本国民的美少女コンテストグランプリ1990)だから見たわけです。小田茜さんといえばクドカンドラマ『ぼくの魔法使い』(日本テレビ2003)で西村雅彦の秘書で古田新太の愛人のポーカーフェイス美人を不気味なほどに無表情に演じていてキッドのハートをわしづかみしたのですが、おでこ、あご、鶴の首とフェチ・パーツの集合体としても素晴らしい。ああ、ろくろ首をやってもらいたいですぅ。・・・失礼しました。再現ドラマ女優役なので温泉芸者、ナースのコスプレも楽しめます。なんてピッタリの役所なんだ。しかも殺人事件の容疑者です。もちろん、小田茜なのですから、殺人をしていようが、被害者と肉体関係があろうが、その表情からは何一つ読み取ることはできません。パーフェクトなキャスティングだ。

さて、うっかりすると見逃すのですが、番組内番組『テレビ社会面』の別コーナーに『萌えーっ❤株式市況』があります。メイドカフェのコスチュームプレイをするタレントが株式市況をお伝えするという企画です。安易といえば安易ですが、オーソドックス(定番)なもの・・・ここでは株式市況・・・とトレンド(流行)なもの・・・ここでは萌えメイド・・・を組合せるのは企画の基本中の基本なので勉強になります。で、このタレントを演じるのが須藤温子(第7回全日本国民的美少女コンテストグランプリ1997)です。うわあ、国民的美少女グランプリ共演です。テレビ信濃、っていうかテレビ東京、豪華。なのかな。ちなみに須藤さんといえば『シベリア超特急2』のメイファン役が黒歴史ですが、今回は最後、死体を披露します。しかも心中(偽装ですが)死体。殺され役かよ。もちろん、ファン必見です。

ちなみに殺人事件発生のためにオクラ入りになったと思われる次回の再現ドラマのタイトルは『バスガイド涙の犯人逮捕事件』・・・見てみたい。どんな事件だったの。

ま、番組の見所は以上ですかね。再現ドラマのVTRが途中から牛の映像に差し替えられていた。ドラマディレクターが毒殺。ディレクターの知人の自然愛好家の死体が河原で発見。悪名高い産廃業者の影が。疑われた女優がコロンボとともに事件の真相にせまる。するとタレントと別のディレクターが遺書を残して心中。タレントの車からは轢き逃げの痕跡が発見。朱門みず穂(32・柊企画)がちょっとかわいい。産廃業者は某国の工作員でテレビ信濃の上層部とつながっており、驚くべき陰謀がプロデューサーによって語られる。というような展開はありません。最初から怪しい奴が犯人です。信濃発なのに観光地紹介シーンが「日本司法博物館」・・・渋すぎる。

「家計簿は赤字になるほど平和なり」と事件解決の後。金田明夫が「死んだ娘のように思っていた」と小田茜に結婚祝いの遺産を残していたことが判明する泣かせるシーンがあり、小田茜が涙するのですが、もちろん、無表情です。

金曜日に見る予定のテレビ『2006ワールドグランプリ女子バレーボール予選ラウンド日本VSキューバ』に続き菊間アナ抜きなのか『本当にあったアタック№1』(フジテレビ)、映画『ROCK YOU!』(日本テレビ)、そして『タイヨウのうた』(TBSテレビ)・・・ああ、どれも魅力的すぎる。誰か決めてほしい感じ。いっそのこと所→たけし(テレビ東京)さすがに『レガッタ』(テレビ朝日)視聴率4.3%は抜きになるわな。

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2006年8月16日 (水)

昨日は大日本帝国の敗戦記念日。

そして、日本国の終戦記念日です。列島は平穏でしたが、ソビエト連邦は8月28日から北方領土に侵略を開始し、9月5日までに北方領土をすべて占領しました。日ソ中立条約を無視した犯罪的行為です。政治的空白地帯となった朝鮮半島では現地の日本人、朝鮮人、中国人を大量に虐殺、強姦、強奪と暴虐の限りをつくしました。北海道侵攻を米国の圧力で抑制されると日本人(軍人・民間人を問わず)捕虜およそ58万人を拉致・監禁・強制労働させ、およそ6万人を処刑しました。このような国家が滅亡したことはまことに喜ばしいことですが、跡目を相続したロシアが反省・謝罪・不法占拠地の返還の姿勢を見せないことに耐えがたきを耐え、しのびがたきしのぶのが日本国の宿命なのでしょうか。

終戦の日まで日本の領土であった朝鮮半島や日本の同盟国である満州国があった中国東北部はその後、ソ連、北朝鮮人民共和国、大韓民国、中華民国、中国共産党などに分割統治されますが、その後、中華民国と共産党が戦闘をして中華民国が台湾に後退。中華人民共和国が誕生します。あの戦争が終った後に誕生した国家が、あの戦争によって滅亡した国家にどのようにして責任を問うのか甚だしく疑問ですが、日本国には多数の旧大日本帝国国民が生存しており、中華人民共和国には多数の旧中華民国国民がいることに論拠があると考えられます。日本国の歴史が61年。責任能力を20才以上の成人と考えると実質的な責任を負う旧大日本帝国国民の最低年齢は81才です。日本国の平均寿命を考えると、もはや日本国総体に実質的な責任があるとは考えられません。それでも日本国民はたえがたきをたえしのびがたきをしのび謝罪と賠償を続けなければならないのでしょうか。

レジウムチェンジ(政権交代)が行われていても領土と言語あるいは文化による国家の継承が行われていると考えると中華人民共和国は旧清国時代に大日本帝国に対して砲艦外交という武力による威嚇を公然と行いました。この後、日清戦争が勃発、敗北した清国が滅亡したことは言うまでもありません。この後、大日本帝国は欧米勢力との離間の計にかかり、滅亡することになります。その根本は経済界が中国大陸の利権の独占を指向したからです。今、中国に眠ると考えられる巨万の富に目がくらみ、それを最優先することはかって中国で獲得した既得権益の保護を重視するあまり、米英を敵に回した無謀の道を繰り返すことです。

短期的利益を追求する資本主義のもとでは成長する中国経済への投資、利潤の獲得、回収が有効であることは明確です。しかし、そこには多数のリスクがあることを認識しなければなりません。中華人民共和国が崩壊する危機。中華人民共和国が内戦する危機。中華人民共和国と欧米勢力が交戦する危機です。可能性を考えるというよりは歴史的必然と考えるべきです。

日本国が同じあやまちをくりかえさないためには次の点に留意する必要があります。①米英と決して離反しないこと。②そのためには交戦権や軍事同盟における不平等性を排除するための法整備を行う。③国民の情報収集力の統合整備を行い国民が実態にあった情報を共有することです。

もう少し簡単に言うと①強いものを敵にまわさない ②殺されそうになっても戦わない戦争の放棄をやめる ③外国の人々が何を望み、実行しようとしているのか。それが日本国国民にとって有利なのか不利なのかを国民が知ることができるようにする。そして国民はどんな意見に対しても賛成も反対もでき、暴力でこれを封じることは許されないと教育することです。同時にそういう教育をしても暴力はなくならないことを知らしめることです。

そこで靖国神社について政治家もマスコミも何故か語らないことを述べます。

靖国神社で祭られるのは軍神である。

軍神とは国と国に属する人々を守るために命を捨てた人々です。

戦没者とは軍神が守りきれなかった人々です。

しかし、現代においては総力戦が必至なので軍神と戦没者の区別はありません。

軍神は戦没者であり、戦没者は軍神なのです。

そして軍神なき国家は国家とは言えません。

軍神の消えた空白期間、つまり大日本帝国の滅亡から日本国の誕生まで、中国東北部、朝鮮半島、北方領土でどのようなことがくりひろげられたかを知ればそれは明白なことです。

敗残の歴史は軍神のもたらしたものと考えるのはたやすい。しかし、軍神なき歴史がどのような敗残をもたらすのかを平和愛好家は想像しなければなりません。

軍神存在から一歩退くことは平和な日本を北方領土にすることに一歩近付くことなのです。

で、『筑紫哲也NEWS23』(TBSテレビ060815PM1054~)を見た。あえてコメントすることは何もない。っていうかコメントする価値がまったく見当たらない奇妙な番組だ。

昨日、300人の報道陣、2500人の警備体制に見守られて内閣総理大臣小泉純一郎は早朝、靖国神社を公式参拝した。「特定の人物(たとえばA級戦犯)のためではなく幾多の国家のために心ならずも命を落とした人々に哀悼の意を捧げ、不戦の誓いをした」のである。彼は国民に質問している。「私は間違っていますか?」と。死後の世界を信じないキッドはこう答える。「死者はどこにも不在です」と。死後の世界を信じるキッドはこう答える。「あなたは間違っていない。英霊のほとんどはあなたを暖かく見守る。もちろん、へそまがり(悪霊)はどこにでもいるけれど」その夜、小泉の質問に答えないマスメディア(国民の一部で構成されている)を代弁してへそまがりの矢面に立たされた加藤紘一あんたが大将の自宅は何者かによって放火され全焼した。老母が散歩中で無事だったことが善き軍神たちの配慮であることを信じたい。

関連するキッドのブログ『季節はずれの東京大空襲』

木曜日に見るテレビ『学園アリス』(NHK教育)

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2006年8月15日 (火)

頭の悪い女だねえ。・・・お母さん。(渡部篤郎)

ま、嘘ですけどね。久しぶりの渡部篤郎主演なので幻聴が鳴り響きました。他にも「頭の悪い女だねぇ・・・愛人」とか、「頭の悪い女だねぇ、・・・婚約者」とか、もう頭の悪い女に囲まれて、渡部篤郎バンザイです。今さらですが、以下ネタばれ満載です。

ちなみに31年前に夫の教え子とかけおちして10才くらいの渡部を捨てたお母さんが佐久間良子です。判事となった渡部と殺人事件の被告として再会します。上司である渡部の子供を身ごもり捨てられた愛人が藤谷美紀です。手切れ金をつきかえし渡部を守るために傷害事件の犯人になります。親の決めた政略結婚の渡部の婚約者が林美穂です。渡部との情事を楽しみますが渡部の出世の道が閉ざされると親の命ずるままに婚約を破棄します。・・・おっと、林美穂は賢いのか?

幼くして母親が男とかけおち。二人のキスシーンを目撃。約束していた遊園地に母親がこないので雨に打たれて閉演まで待つ。幼い頃の合言葉が「僕はお母さんが一番好き、お母さんは僕が一番好き」・・・現在の職業・裁判官。来ましたね。これは来ました。屈折したエリート。これはもはや、渡部篤郎の世界なのです。

で、『月曜ゴールデン サスペンス特別企画 黙秘』(TBSテレビ060814PM9~)脚本・安井国穂、演出・長谷川康を見た。少年時代の渡部は塩顕治くん。美少年だが、渡部かどうかは意見が分かれるな。で、30年前の佐久間良子も今の佐久間良子も佐久間良子が演じるのだが、いいのかよ。それで。しかも、過去の佐久間を少し照明多めにしたぐらいでほとんど同じメイクアップ。女優はたしかに年をとらないんだけどさ。映画『五番町夕霧楼』(1963=43年前当時23才)とか大河ドラマ『おんな太閤記』(1981=25年前当時41才)とか、やはり・・・ただ今、女に年は聞かないものよ委員会から勧告がありましたのでこの話題を中止します。佐久間良子さんはいつまでも若く美しくて大好きです。

佐久間さんが演じるのは「やるときはやる女」である。昔から「女はしでかす」のであるが、それは美人であればあるほどすごくしでかすのです。で、まず「かけおち」で地方の旅館に住み込みの仲居さん。自棄酒の若い恋人をあやしあやされ30年である。二人とも過去も家族も捨てたのだが、男が死病となり保険金目当ての偽装殺人を計画して自殺。本気で愛した男のために「死体遺棄」。計画がずさんなので「殺人容疑で逮捕」となる。そして下手にしゃべると偽装発覚の可能性があるために「黙秘」なのです。やってくれますよねえ。

そして死体が身元不明では保険金が下りないので、裁判開始とともに正体を明かす予定だったのだが、現れた判事が運命の悪戯か、ご都合主義か、30年も前に捨てたわが子。ああ、愛人との肉欲におぼれつつ抱き続けた約束の遊園地のティケットは新品のごとく。ここで思い悩む演技が見所ですね。そして、告白。佐久間を堪能しましたぁ。

やってくれます。ふつうの人々は佐久間のあまりに身勝手な振る舞いにゲンナリすると思いますが、ま、人間ってものはこういうものです。

渡部は母親に捨てられて人間不信、愛情不信、女性不信に凝固しつつエリートになったわけですが、30年前から音信不通だったとはいえ、身内に殺人容疑者が出たことでエリートコースさえも失ってしまいます。やってくれるよなあ、あんた。俺があんたに何したよ・・・失礼、また幻聴です。永遠の仔の愛なんていらねえよ夏白夜行のケイゾクの誰かが何かをささやいているのです。

夜の道を歩く渡部。時々、手を高くあげたりします。淡々と歩けないのです。渡部です。

「ごめんなさい。母さんを許して」と土下座する佐久間。この後で、渡部笑います。会心の笑みです。渡部です。

「お腹の子供の役に立ちたいんだ」と心のこもらない口ぶりで愛の告白。淡々としかしゃべれないのです。渡部です。

ああ、渡部も堪能しました。逆恨み恐喝者をナイフで刺しそうになる渡部。でも刺すのは藤谷美紀。なぜなら渡部を愛しているからです。母にあやまられ、愛人に誠を見せられて癒される渡部。ああ、やはり世界は渡部のために回るのだ。それでいいのだ。愛されたら愛してしまうしかないのです。愛が成立するのはその場合のみだから。この屈折を体現できるりはやはり渡部なのです。久しぶりの渡部に認知のドーパミン大量放出中。とても幸せです。

佐久間の事件の真相にせまる刑事モト冬樹。聞き込み先で手かがりとなる証言をするエド山口。渡部と佐久間を堪能する最中に兄弟共演でちょっと笑ってしまったことを付け加えておきます。

水曜日に見る予定のテレビ『水曜ミステリー9・信濃のコロンボ・事件ファイル⑫陰画の構図』(テレビ東京)

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2006年8月14日 (月)

格納庫のB-2爆撃機がかわいかった件。

ああ、かわいかったなぁ。夏休みの日高レポートは子供特集なのか。レポートはそこそこに最新兵器のオンパレードである。モデラーにはたまらん、ディティールのアップはサービスショットかよ。しかし、さすがに最高軍事機密、VTRは検閲済みだったようだが、とりわけかわいかったのが、グァム基地の格納庫におさまったB-2爆撃機「暗闇の暗殺者」である。パイロットや整備士に日高氏がインタビューをしている間、背後でじっと見ている。コクピットのウインドウにライトが反射して、両眼に見えているだけなんですが、かわいいのなんのって、とてもコソボ紛争で中国大使館を吹っ飛ばした奴とは思えません。

もちろん、兵器に罪はなく、ただそうすることが彼の役割ですから、・・・スティルス爆撃機の平和利用なんて思い浮かばんものなぁ。なにしろ一機推定1200億円ですから。日高レポート情報ではあの誤爆は「中国大使館の地下秘密基地で中国がセルビア人支援を行っていたから狙撃」が定番です。まあ、そういうルートに乗った情報ということです。ついでに「撃墜された爆撃機の部品を大使館員が拾って大使館内に運び込んだから」という説も紹介しておきましょう。中国人全部が悪と言っているわけではありませんが、中国の工作員がお色気作戦などで様々な情報を集めたがるのは周知の事実ですから、まあ、納得する人も多いでしょう。ま、要するに軍関係者にとっては誤爆も選択肢の一つにすぎないってことです。

そして、中国軍の軍備増強に応じて米軍も着々と増強計画を進めていることがレポートされます。最近、読売新聞では日中戦争の開始から太平洋戦争の終結までを「昭和戦争」と呼称すると決定したそうですが、・・・ま、読売新聞がそう言いたがっているだけなんですが・・・この昭和戦争を第二次世界大戦とすると、米ソ冷戦が第三次世界大戦、そしてソ連崩壊後の現代は対テロ戦争と言う名称の第四次世界大戦であると理解するのも日高レポートの定番です。そして、その最終段階は米中冷戦という形態になるというルートに乗っているわけです。ま、この流れに乗って最終段階で中国が崩壊分割されるのが日本人にとってラッキーであることは言うまでもありませんがね。もちろん、その後には日米再戦という第五次世界大戦の悪夢のシナリオが予測できます。これは悲惨になる可能性大なので、どうか、それまでに天寿が全うできますように。

で、『日高義樹のワシントン・リポート~中国を狙うアサシン・イン・ダーク南の島へ』(テレビ東京060813PM4~)企画・制作・日高義樹、ディレクター・日高正乃を見た。今回は六月に行われた大演習「バリアント・シールド(勇壮な盾)」に即し、演習の仮想敵国である中華人民共和国にたいしてどのように米軍が目を光らせているかを現代大戦略的お宝映像満載でレポートしている。

第一部 軍用機1000機集結。ZZ(沖縄ベース所属機)も来たよ。グァム島アンダーソン飛行場でF-18Eスーパーホーネットに乗っちゃうよ。輸送機も充実、C-17は自衛隊のC-130より速度も二倍、搭載量も二倍だよ。給油機のKC-135もしぶいし、B-52、B-1だってまだまだ健在だよ。全員集合!

第二部 でもね。主役はやっぱりB-2だね。中国の独裁者が地下に隠れても狙い撃ちできるのさ。

第三部 なんてったてB-2さ。世界にたった21機。アフガン戦争でもイラク戦争でも決定打はB-2が撃ったんだもん。

第四部 中国に睨みを効かせるのはやっぱ原子力空母でしょ。最新鋭の「ロナルド・レーガン」や「エイブラハム・リンカーン」があれば中国なんてブルブルガクガクだってーの。もちろん、通常型の「キティ・ホーク」だって役に立つけどさ。

第五部 姑息な中国の潜水艦が太平洋でウロチョロしないように対潜ヘリコプターSH-40の準備もOK。こっちの潜水艦は全部原子力。台湾や朝鮮半島で有事になればテキサスやルイジアナからガンガン戦力増強できるんだぜ。これからグァムの基地はどんどんでかくなる。どっからでもかかってこいってんだ。

夏休み子供向けにキッドがインタビューを一部勝手にふきかえたことをお断り申し上げます。

で、『NHKスペシャル・日中戦争~なぜ戦争は拡大したのか~』(NHK総合060813PM9~)取材・太田宏一(他)、ディレクター・鎌倉英也(他)を見た。今度はアドバンスド大戦略級お宝映像満載である。チェコスロバキア製ZB26軽機関銃とか地味目ですけど。なにしろ、使えるユニット歩兵だけ、敵ゲリラ兵みたいな日中戦争初期の展開中心ですから。

日本の各村から徴兵した兵隊さん(村人)を中国大陸に送り込み、中国のちょっと訓練された村人と殺しあいをさせる。こんなゲームを現実に展開していた1937年。現代から見れば頭のネジが狂っているようにしか見えないが、それが歴史というものなのですな。

盧溝橋事件から始まった日中戦争はもちろん、満州事変のパクリ。満州事変で前例を作った現地の独走、成功したら本部承認のパターン。創業者の石原関東軍参謀は抑える方にまわったのですが、「あんたら先輩だけが上手い汁吸おうたってそうは問屋がおろしません」と後輩たちも投機を続けるわけです。官僚のやるバブル経済、官僚の見逃すエイズ問題、官僚がついうっかり危機管理をプール業者に丸投げ。いつの時代もかわらぬ習性。もちろん、勝てば官軍。マスコミも調子に乗りますし、国民も踊ります。戦死した人間は妙に無口だし。

満州でやめておけば、上海でやめておけば、南京でやめておけばと後悔先に立たず、ギャンブルはすべてを失うまでやめられないんだなぁ。これが。かくて、310万人が戦死し、無条件降伏するまで大日本帝国は暴走したのです。初期において日本はアメリカの、中国はドイツの武器商人に大儲けさせていたのですが、最終的には中国がアメリカと、日本がドイツと同盟してしまう。こういう勝ち運の無さ。気をつけたいものです。もちろん、勝者である蒋介石も毛沢東に破れ、台湾に追われるわけですから面白い。

そして60年。次の勝者はアメリカか、中国か。巻き込まれるのは仕方ないが、勝ち馬だけは当ててもらいたいと考えます。・・・えっ、中立不戦。そんなに世界が甘いなんて本気で思っているんですか。

南京で大虐殺があったのか、どうか、それを問う人は後をたたないでしょう。しかし、戦時の常識と平時の常識を戦わせても意味はない。敗残兵は語ります。「私も1人斬り殺した。それは戦場で銃を交えての殺し合いとはまた別だ。でも、我々だって故郷に帰りたくて帰りたくて仕方なかったのだ」そして当時六歳だった中国人は語ります。「父親は腹を切られて殺された」・・・だから、どうだと言うのでしょう。だってそれが戦争というものではないですか。

関連するキッドのブログ『なぜかしら、泣きたくなるの?(B-24搭乗員の母)』

火曜日に見る予定のテレビ『筑紫哲也NEWS23』(TBSテレビ)

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2006年8月13日 (日)

ようい、スタアアアァァアアットォ!(黒木和雄)

映画監督。2006年4月12日死去。享年75。遺作となった『紙屋悦子の青春』が東京・岩波ホール他で上映中である。

黒木和雄といえば『竜馬暗殺』(1974ATG)である。坂本竜馬(原田芳雄)と中岡慎太郎(石橋蓮司)の暗殺までの三日間を描く不朽の名作だ。キッドを悪くした映画の五本の指に入るな。まず、危険な思想家というものの美しさを描ききった作品だ。刺客の松田優作に慕われてしまう竜馬。桃井かおりに「坂本様はけだものです」と評される竜馬。「ええじゃないか」を踊り狂う民衆に「なにがええんじゃあ!」と吠えかかる狂犬竜馬。あんなにかっこよくなれるなら殺されたっていいと思う子供がここに1人。しかし、殺されることもなくあれから32年かよ。

黒木和雄が生涯に残した作品は15本。少ないような気もするし、多いような気もするし、ちょうどいいような気もする。このさだかでないところが人間というものだ。たとえば映画評論家の佐藤忠雄氏は戦争レクイエム三部作をさして「反戦映画」と語ったりするのだが、そういわれればそうだという気もするし、いやあ違うのではないかという気もするし、どちらともいえない気にもなる。少なくとも佐藤氏のように断言はできず、断言するような薄っぺらな人間を黒木和雄は憎悪するのではないかと想像する。

で、『ETV特集・戦争へのまなざし~映画作家・黒木和雄の世界~』(教育テレビ060812PM10~)語り部・石橋蓮司、証言者・原田知世、本上まなみ(他)を見た。タイトルの撮影開始の掛け声は原田芳雄による黒木監督のものまねを参考にした。監督自身は「よーい、スターァアット」ぐらいのものが素材として使用されていた。在りし日の監督を記憶にとどめるにはほどよいドキュメンタリーであったと考える。

あらゆるものに違和感を覚える性格を『竜馬暗殺』で助長されたキッドとしてはナレーションが示す「黒木監督の映画には戦場が描かれない」という認識にため息をともなった苛立ちを禁じえない。もちろん、それは「真珠湾攻撃」とか、「ミッドウェイ海戦」とかそういう戦闘部隊同士の勝負の世界が描かれていないという意味なのだろうが、制作者の「戦争」に関する認識の低さが露呈している。

たとえば先日テレビ東京でオンエアされたばかりの『TOMORROW/明日』(1988)では1945年8月8日の長崎の市民生活が描かれる。南果歩の結婚式があり、桃井かおりの出産があり、仙道敦子の恋があるのだが、翌日は長崎に原爆が投下されるのである。ここで銃後の人々は恋人を戦地に送り出し、工場で武器を生産する。彼らは戦争をしているのであって、戦争とまったく無関係な人々ではない。もしも戦争が罪のあるものだとしたら、彼らは罪のない人々ではないのである。逆に彼らが罪のない人々だとしたら、A級戦犯も罪のない人々と言えるのである。安易な発言をすれば平和運動家の欺瞞はたちまち暴露される。そして黒木作品はそういう欺瞞をあぶりだす装置なのである。

黒木和雄は日中戦争中の満州から、祖父母のいる宮崎に疎開する。そして太平洋戦争が始まる。中学生で工場に動員されていた時に敵機の機銃掃射を受け、級友がかたわらで絶命する。一瞬、助けを求めた友を見捨て走って逃げた体験が彼の心の傷だった。『美しい夏キリシマ』(2002)はそのようなエピソードの核心を持つ。これもまた戦争の持つ特性なのであり、戦争になればすべての人々が戦争責任から逃れられない。また戦争を反対しようがしまいが開戦にいたれば責任は同じなのである。戦争反対者がサボタージュをして兵器が不良品になり、敵は助かったが味方は死んだというような場合、一体、誰が正しかったと言えようか。

『父と暮らせば』(2004)は広島に原爆が投下されて三年後の物語である。1人生き残り、ひっそりと暮らす宮沢りえは「自分だけが幸せになるなんて許されない」と感じながら、生きている。浅野忠信への恋心もそういう理由で押し殺している。見るに見かねた父親の亡霊(原田芳雄)が手を差し伸べるというストーリーである。この屈折こそが正しい戦争の在り方なのである。戦争は必然である。たとえば戦争をしないで平和的に結婚した国家がその後で分裂するとどうなるか。我々はいやというほど感じている。そして他人がある限り、諍いの種はつきないのである。もしも世界が平和的に統一され、地球が一つになったとしてもその日から内戦が始まるに決まっている。

遺作『紙屋悦子の青春』は永瀬正敏・本上まなみ夫婦の妹・原田知世が特攻隊員(松岡俊介)に恋する物語である。ナガサキ、ヒロシマ、キリシマ、カゴシマ、太平洋戦争は黒木和雄につきぬ映画の種を与えたもうた。キッドは映画を楽しみながら、やはりこう思う。今度、戦争をやるなら勝つ方向で。原爆は落とされるより落とす方向で。特攻隊員には志願しない方向で・・・っていうか、今、戦時中なのを忘れてましたぁ。

関連するキッドのブログ『寝た子を起こせ。・・・火事だから。』

                               『体の傷なら癒せるけれど心の痛手は・・・』

月曜日に見る予定のテレビ『月曜ゴールデンサスペンス特別企画・黙秘』(TBSテレビ)

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2006年8月12日 (土)

冬場ならともかく、この季節はちょっとねぇ。(雪女)

雪女は吉井怜さん。ギリギリ判別可能かな。

すごいカットというか、オンエア編集だったけれど、オンエアしたことに意義がある。

やはり三池崇史は日本一アナーキーな監督。尊敬するぜ。

確認① 「お化けは死なない」これ、大前提。

確認② 「妖怪麒麟ビールとキリンビールは別物。後者では妖怪が見えるようにならない」幻覚を見るようになる場合はあります。

確認③ 「東京まっくら祭りは現在開催されていません」都知事が五輪誘致に切り替えたという噂があります。

で、『金曜ロードショー・妖怪大戦争(2005年公開)』(日本テレビ060811PM0903~)脚本プロデュース・荒俣宏、脚本・沢村光彦(他)、監督・三池崇史を見た。猩猩(近藤正臣)が美少年タダシ(神木隆之介)を麒麟送子(怨霊退散のための戦士)に抜擢。特注の衣装に着替えさせるシーンでショタコンが全滅する。

タダシの姉(成海璃子)が風呂上りなのでプチロリマニアが全滅する。なお、彼女はヨモツモノ東京襲撃のファースト・インパクトでプレスされてしまったものと考えられる。

ろくろ首(三輪明日美)にペロペロしてもらいたい人、砂かけ婆(根岸季衣)に砂をかけてもらいたい人、大首(石橋蓮司)にふーっをしてもらいたい人はほぼ同数と考えられる。

ただの人・佐田(宮迫博之)と大天狗(遠藤憲一)は別人です。

川姫(高橋真唯)の太ももは特殊加工されているので魅力倍増しています。ノーローンでの借り入れの際は計画的に。この映画では彼女は平安時代の陰陽師・阿倍晴明(永澤俊矢)のヒトガタ(紙で作った呪術的使い魔)でしたが、加藤保憲(豊川悦司)に倒され妖怪として再生されます。おそらく、再生の霊的原料は人柱の怨霊(橋などを作った際に川の神に捧げられた生贄)であり、生きたまま犠牲とされた怨念と人工的な奉仕の念の混合人格。「永遠に苦しむ怨霊とされたことを憎みつつ、憎しみは人間的なものなので受け入れられず、人工的な善(清いこと)をつらぬく」という哀れな存在です。哀れなものはエロいというのが定番です。対して川太郎(阿部サダヲ)は水子の霊ですから、本来、人格を持たないのですが、妖怪仲間と接するうちに差別されることに敏感な性格になったようです。つまり、大人になって生きながら葬られた川姫の方が水子よりも年上で長幼の序によって姫>太郎という階級が成立するのであります。

アギ(栗山千明)は悪の組織の矛盾のシンボルです。悪の組織にとって組織への忠誠心や指導者への愛さえもが不純物。悪の組織が必ず崩壊する秘中の秘です。これを恐れて愛を導入すると悪ではなくなってしまうという神の仕組んだ壮大な罠です。だから彼女にとって「愛すること」は「剣を挿入されること」になるわけです。教祖が別のものを挿入するような組織は悪の組織としてもダメダメなんだと認識することが大切です。アギも哀れな存在なのでもちろんエロいです。

日本ではタマがどちらかといえば善、モノがどちらかといえば悪という自己中心的な発想があります。タマシイとモノノケといった用例で明らかです。しかし、古来シマビトはタマもモノの神として崇拝してきました。もちろんさわらぬ神にたたりなしということで。半島や南方からの征服民族が来るたびに怨霊はそれなりに加わるのですが、すべてを水に流すのがシマビトの流儀です。そのシンボルである妖怪たちはいかなる悪の勃興も祭りとして楽しむ習性を持っているのです。

最後に妖怪大翁(水木しげる)が「戦争は腹が減るだけだ」と反戦的なことを言うのですが、これをちくしとかオグラとかトリコエとかの平和ボケ青春左翼脳軟化発言と同様に受け止めてはいけません。南方のジャングルで飢餓とマラリヤに苦しんで片腕を切断し、九死に一生を得て帰還した兵隊さんの有難い体験的感想ですから。

初恋の衝動が小豆洗い(岡村隆史)をふっとばし、除霊効果の高い小豆が混入したため、牛蒡(護法童子のシンボル)による天の配剤か、またしても加藤(帝都物語参照)の野望はくじかれるのですが、平将門の名にかけて、復讐心もまた永遠に不滅です。キッドがいくつになってもスナコスリが見えるのと同じように自明の理なのです。

佐田「あの娘、俺のことなんか言ってた?」タダシ「・・・好きだって言ってた」ウソツキは泥棒の始まりだからカットですかぁ。ま、ちょっと蛇足の感じはありましたから別にいいですけどぉ。難しいですよねぇ。想像力のない人(バカ)たちに想像の産物でエンターティメントを提供するのはねぇ。加減がねぇ。

関連するキッドのブログ『怪談新耳袋・劇場版

日曜日に見る予定のテレビ『ワシントンリポート・B2爆撃機グアムへ』(テレビ東京)&『NHKスペシャル・日中戦争』(NHK総合)

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2006年8月11日 (金)

女子中学生(姉)と女子小学生(妹)と寡老人(大家)の日。

近未来SFである。母を産褥で失い、父に賭博借金返済不能で逃げられた姉妹がアパートで貧乏生活をする。家計を支えるのは姉の新聞配達(中学生も勤労していいらしいし、生活保護等はすべて廃止された世界のようだ)で妹は家事全般をこなす。早起きの高齢視聴者のために老いた大家さんがほぼ主役のアニメである。

姉妹は家賃を待ってもらうために自覚なきエロティシズムで大家を誘惑するが、大家はあくまで家賃を徴収する。しかし、貴重な財源なので追い出すことまではしない。あくまで飼い殺しを目指している。その手際は巧妙で姉妹の情に訴えるため、姉妹は家計をきりつめても家賃を捻出し、ついには大家にほのかな愛情を感じるようになる。

まさに、少女性愛嗜好高齢者のための愛と幻想の因業大家物語である。もちろん、異論のあることは認めます。初回ではО・ヘンリーの『賢者の贈り物』で妹は姉のため、姉は妹のためにお金を使い、誤解のために不和が生じるが最後は愛情を確認しあうという近親相姦ものの要素も強い。もちろん、異論のあることは認めます。姉妹の唯一の娯楽は銭湯「ハワイ」での入浴とされているのだが、期待に応える入浴シーンがあったためしがなく、ドラえもんや苺ましまろを評価する人々をガッカリさせている。もちろん、異論は認められない。

で、『貧乏姉妹物語』(テレビ朝日060811AM0310~)原作・かずといずみ、脚本・和泉鶴、音楽・小坂明子、演出・岡佳広を見た。メインの姉妹の他に富豪姉妹である越後屋金子・銀子姉妹などというキャラもいるのだが、今回は登場しない。今回は大家の過去と姉妹への視点の秘密が明らかにされる濃密な展開である。ま、老人が昔、妻娘を事故でなくし、姉妹にその面影を見ているという1762回ほど見たことのある設定なんですが。小学館原作のこの作品。好みが出ているよなあ。これと対照的なのは講談社『巨人の星』の新ヴァージョン、主役を花形にしている理由が貧乏な星飛雄馬には豊かな子供たちが感情移入しにくいから。ま、どっちもどっちですが。どんだけ貧乏でどんだけ金持ちなのか我が国は。

ま、美少女姉妹が貧乏であってほしい、という欲望は小銭持っていてブサイクな男性の普遍的な欲望ということかもしれません。おいおい、今日、視点に邪なものを感じるんだが。・・・いや、裏で『グリンチ』やっているのでかなりの毒電波が混入しているみたい。しかし、夏休みに『グリンチ』ってどれだけ季節感無視なんだ。このアニメも今、枯葉舞う秋だし、カレンダー反抗期ですか。バン・アレン物故記念ですか。それはそうと木の葉の舞い方が風のフジ丸・木の葉がくれの術を彷彿とさせるのは東映アニメだからでしょうか。いや、キッドの本体がジジイだからだよ。

・・・失礼。ゆるゆる美少女アニメとしては『ARIA・・・』と肩を並べるストーリー展開です。しかし、背景が普通の街、キャラがスクール水着ですから、身のおきどころがない気持ちになります。普通の少年が召喚されて使い魔奴隷になるというようなことは起きませんし、アパートの下に秘密の地下道もないのです。アニメにする必要あったのかよ。

そうだ。実写版にしてもらいたいよ。それだったらキッドにもついていけそうだ。ちょうど金八もないし、中学生美少女もあまっているのではないか、小学生も人材抱負だしな。大家は石橋蓮司にやってもらいたい。大杉漣でもいいよ。小林稔司でもいいのさ。で、姉は成海璃子とか志田未来、あるいは久住小春、思い切って夏焼雅とか。妹は美山加恋、藤本七海、森迫永依、ギリギリだけど福田麻由子でどうでしょう。そして、銭湯ハワイではむふふ、むふふ、くーくくくっ。・・・今、自分が進化したオタクではないことに気がつきました。この一週間、よく正気を失うよな。大丈夫か、キッド。

なんだか、この作品を否定していると思われるとイヤなのでフォローしておきますが、ストーリーもよくできているし、人の幸せって何だろうかと考えさせるテーマも好ましく、なかなかの名作だと思います。つまり、一歩間違えるととんでもないアニメになる作品をすごくまともにまとめているんですよね。一言で言うと良心的な作品だと思うんです。それがとても残念な気がします。・・・あ、コミケの素材なのか。本編がノーマルであればあるほど同人誌ではアブノーマルに。そうか。そういうことなのかっ!

関連するキッドのブログ『誰かがいなければ生きていけない人。』

土曜日に見る予定のテレビ『ETV特集・戦争へのまなざし・黒木和雄の世界』(NHK教育)

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2006年8月10日 (木)

私は青森県の恐山の麓で生まれました。(サトエリ)

ま、ちょっと嘘ですけどね。佐藤江梨子フィーチャーの巻なのでフタケタに戻って欲しいのですが・・・どうでしょうか。とにかく別格になりつつある『レガッタ』を交えてヒトケタ戦争勃発中の『下北』『ダンドリ』『PS』とりあえず『タイヨウのうた』は一回脱出ですが、予断を許さない展開。そうねえ。エンターティメントの基本は現実逃避ですから。時を忘れるドラマであることは大切なんですよね。『レガッタ』は苦行の段階に入ってるし、『下北』は劇中劇につまずく、『ダンドリ』は脚本が破綻(今週は少しまともだった)、『PS』は演技がかみあわない。とふと今、テレビなんかみちゃっているけどこれでいいのかと思わせるポイント多すぎるのかな。

そういう意味で『CA』は笑えないコメディーという弱点があると思うなぁ。なぜ、笑えないのかというと沢村一樹がオヤジギャグを飛ばすのだが、「しょうがないなあ、このオヤジは」という感覚がない。まだ二枚目なのでハゲヅラ装着くらいしないとな。「あんたにオヤジギャグを言われたくないよう」と思ってしまう。谷原章介と観月がツンツンデレデレし始めるとワクワクドキドキしない。恋愛が中途半端なので「いつまでやってんだよぉ」と思ってしまう。職場(緊張)と酒場(弛緩)のメリハリがない。どちらかといえば職場(弛緩)で酒場(緊張)になっている。今回は佐藤江梨子が都会派エリートから田舎の成りあがりであることをお披露目するのだが、意外性がまったくない。つまり、馴染ませるべきところで馴染ませていない。まだサトエリがエリートに見えていないのだ。だからフリなしになりオチない。シェーマ(認識の構図)ができていないのでボケ(構図のズラシ)が成立しないのである。これでは笑えませんとも。

だから、今回、観月が自分ではなく他人を目配りするようになり佐藤の孤独を救うという中学生日記のようなストーリーでそこそこ泣いてもらうことしかできなくなっている。いや、別にそれが悪いってんじゃないんですけどね。たとえば観月が長州小力をぶん投げることができたのはおそらく秋葉原でインド人の怪しい呪い少女に「お前は強くなる」の暗示をかけられたからに違いないとか想像をたくましくすればね。おいおい、視聴者に頼るなよ。

で、『CAとお呼びっ!』(日本テレビ060809PM10~)原作・花津ハナヨ、脚本・梅田みか、演出・南雲聖一を見た。キャンペーンで国際線組が一週間、国内線に乗ることになり、・・・どんなキャンペーンだ・・・国内線組と対決する。機内のサービス合戦のゴングが鳴るのだが、香里奈と西田尚美が前座を勤め、一勝一敗、そして観月がドジをして負ける。そこで合コン勝負へ。えーっ・・・。そこが違う気が。サービス勝負に徹しろよ。ともかくサトエリの意外な過去第一弾(田舎出身)を観月が知る。・・・だから、意外な気がしないって。この合コン勝負ではプロレスシーンがイメージとして合成画面化するのだか、効かない。・・・っていうか。タイアップかよ。

そして勝負の行方は不明のまま、サトエリにストーカー長州小力被害発生。ここでサトエリが病んだ心を発露。CA全員を敵に。観月は意外な過去第二弾(恋人が泥棒)を知る。だから意外な気がしませんってば。・・・キッド、サトエリをどんな目で見ているのだ・・・とにかく、知恵のついてきた観月がサトエリの秘密を全員にばらし、小力を逮捕して事件解決、大団円で、サトエリVS観月の変顔対決で幕と。う~ん。こう書くと面白そうなんだけどな。でも夜の街でサトエリの前向き=胸ゆれ、後ろ向き=お尻しか印象に残らんのは何故なんだ。・・・キッド、それは番組のせいではないだろ。

結局、今回、思ったのはCAじゃなくてもいいのでは。フライトもどこ飛んでるのかわからんし。むしろ、女子プロレラーの方がめちゃめちゃイケていたのかもしれないと思うのだ。観月が沢村の率いるマイナー団体にスカウトされ、谷原率いるメジャー団体の佐藤江梨子と抗争をくりひろげるというドリームな展開で。毎週、観月とサトエリがリングで決着をつけ続ければキッドは夢中で見るな。川原亜矢子と西田尚美の引退デスマッチとか、観月は謎の覆面レスラー、ピンクパンサーマスクとかって設定でもいいし、サトエリの必殺技はハニーフラッシュホールドで・・・ただ今、妄想中。

いや、なんかさ、ちょっと盛りを過ぎたお姉さんたちにはもっともっとすごいことをやらせてもいいと思うんですよ。だって職業ドラマのノウハウもおしゃれな合コンドラマのアイディアも日テレにはないわけじゃないですか。奇想天外ゲテモノドラマと在りし日の全日本プロレス。こういうのでいいじゃないですか。西口プロレスに頼らなくてもね。

金曜日に見る予定のテレビ『金曜ロードショー・妖怪大戦争』(日本テレビ)

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2006年8月 9日 (水)

★あの夏に忘れ物を取りに行こうよ!(美山加恋・他)

『時をかける元・少女(辺見エミリ)』の話である。後半は『時をかける少女(美山)』になるらしいので、これは『時をかける少女』のパクリと言っていいだろう。タイムスリップものというジャンルである。ジャンルとはパクリの集合体の一種である。おタクはジャンルにこだわるのでもう少し区別したい。これは今のところタイムマシンものではない。事故で気を失い、気がついたら過去(2006→1988)だったということから、エスパーの一種であるタイムリーパー(時間跳躍者)ものなのだが、辺見≠美山なので自然現象としてのタイムトンネルものかもしれず、戦国自衛隊のような時震ものの可能性もある。だが、きっと、単なるファンタジーである可能性が一番高いかな。

この手の過去に戻ったり未来に行ったりするファンタジーは大別すると二つになる。一つは過去の改編・未来の確認を目指すヒーローあるいは敵対者が個人の意思として「ああ、あの時に戻れたら」または「未来を見てみたい」という夢をかなえるもの。そしてもう一つは大いなる神の意思として「なんだかわからないけどこんなことに・・・」である。キッドの好みとしては前者に属する「ターミネーター」「バックトゥザフューチャー」「スーパージェッター」を希望なのであるが、残念ながらこのドラマは後者である。T-1000もデロリアンも流星号も出てこないのである。

今のところ、ダメな大人になってしまったマチ(辺見)が過去に戻り、子供の頃からちゃんとした大人だったもも(美山)を見て「ま、いいか」人生を反省するという展開である。これは幸福の追求と知能指数に関する問題なのでこれ以上の言及はさけておく。とにかく、そういうわけで辺見は加山を見て「あんたって一体?」を連発するのである。

で、『ドラマ30・がきんちょ~リターン・キッズ~第七話』(TBSテレビ060808PM0130~)原案・野依美幸、脚本・楠本ひろみ(他)、演出・森一弘を見た。主題歌はタッキー&翼である。ついにこの枠にジャニーさんの触手が・・・。ともかく、ある種の人々にとってウキウキドラマ枠になっているこの枠。キッズウォーよりさらにローなエイジに移動してサービス満載である。人気アイドルなので現実というフィクションを彷彿させるもも(美山加恋)の役所、謎のアイドル・ユニットぱれっとのもう1人のメンバーあおい(前田憂佳)は何処に。そして元アイドル(嘘)現在(昔)美容師のいしのようこの娘鈴木理子(おはキッズ)の立ち位置は本当の主役辺見の子供時代と真の主役美山の幼馴染とかなり複雑。ついでに二代目シスターラビッツモモカの有安杏果もお嬢様で登場と子役ファンの胸をくすぐりまくる展開である。しかし、今のところ、かなりぬるめのファンタジーなんですね。ま、裏番組で明日(原爆投下まで二時間きっている)をやってるからな。

とりわけファンタジーなのは1988年の時代考証である。18年前(27歳→9歳)はカルガリーオリンピックでソウルオリンピックで昭和天皇が秋から病状が悪化し翌年崩御まで特別報道体制、F1でアイルトン・セナが初優勝、ワンレン・ボディコン、光GENJIが絶好調で加護亜衣や戸田恵梨香が生れ、パパブッシュ大統領なのであるが・・・そういう気配は一切ないのである。いや、ひょっとしたら朝シャン流行という伏線が・・・ないない。ま、いいけどね。

さらにファンタジーなのが、「もも」という逃亡アイドルが滞在している街である。他人の家まで取材記者が押しかけるような街なのであるが、山があり、魚のつかみ取りのできる川がある。どこなんだよう。まあ、昔に戻る、おひょいがいる、ノスタルジーといえば、田舎だ、そういえばこの年は「となりのトトロ」公開の年だったな、きっと日本はあんな感じだったんだろう、とにかくカルメラでも焼いとくか。おお、そういえば『虹のかなた』(2004にも)おひょいさんがでていたな。という展開でしょうかね。

ま、SF好きにはものたりないと言えばものたりないのだが、美山加恋ちゃんがたっぷり見れるのでキッドとしては結局満足でした。

昭和の終り(最後の年ではないが)にタイムスリップしたと言う設定をもう少し堪能したい気持ちはあるのだが、辺見エミリの反省と再成長物語としてはよどみなく展開している。都会の人間としてはかなり昔に感じられ、田舎の人間にはつい最近に感じられる世界観を想定しているとしたら、まあ、無難なところだな。登場する子供たちとその家族にもある程度の設定が感じられるが、今のところ一緒に楽しい夏休みを過ごしましょうというのがベースになっているようだ。ところが、何故か今回は金玉高貴くんの八百長スキャンダルや、殺人プール事件がシンクロしてしまい、ヒヤヒヤの回であったな。この辺がTBSなのである。ヒヤヒヤしないようでは非情にハイリスクだと考えます。

関連するキッドのブログ『あの夏の忘れ物は美山加恋があぶりだしで。』

金曜日(木曜深夜)に見る予定のテレビ『貧乏姉妹物語』(テレビ朝日)

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2006年8月 8日 (火)

ククククッ・・・クルル曹長です。(北村一輝)

これほどオンエアチェックに神経質にならざるを得ないドラマがかってあっただろうか。月曜日と火曜日の深夜にオンエア。しかも月曜日だけとか、変則もありである。しかし、第一回を見逃さなかったキッドは偉い。そして初回の北村一輝の快演に引きずられてついに最終回(ドラマではなくメーキング総集編だが)も見てしまった。しかも、これもまた一週おいての変則オンエアである。ドラマの最終話に終マークがついていなかったので気になり番組表をチェックしてなければ見逃すとこだったぞ!

ドラマの最終話で何度も再生してしまった俺ザク(シャア専用ザク風右手グフ左手ズゴック進化したオタクのモビルスーツ)のメーキングもあり、北村クルルの自白証言ありとお宝映像満載のメイキングなわけだが。本来、こういうものをやる時間に本編をやってたというのがすごい。これはオフィスクレシェンド視聴率はとれないけどDVDは売れるの究極の結論なのか。

ある意味、アナログテレビドラマの最終形態なのかもしれん。メーキングを最後にやるっていうのが革新なのか、王道なのか判断に迷うほどだ。でも本編を見てから裏話は正常といえば正常で、ドラマ始まる前に番組宣伝メーキングをしている方が狂気といえば狂気だな。ドラマも映画も予告編はアリだが、番組宣伝はナシということで結論とさせていただきます。

で、『アキハバラ@DEEP(最終回)』(TBSテレビ060808AM0159~)構成・松山佳乃子、演出・高橋洋人(ドラマ本編は原作・石田衣良、脚本・河原雅彦、演出・大根仁)を見た。由緒正しいメーキング番組である。メンバーが素の状態で秋葉原に集合。つまり風間俊介は吃音らず、日村勇紀(バナナマン)は私服だ。ロケ地を見学するというツアーからスタートする。それは2006年1月4日のことだったという。この後は名場面、撮影現場、インタビューを重ねたオーソドックスな作りである。キッドとしては自虐少女隊の木南晴夏の裏話も欲しかったのだった。

イズム役の松嶋初音は『アンフェア』からここなのだが、ほぼドラマ初体験であるといってもいいだろう。素なのか、少しずつ演技を覚え、キャラができあがっていたのか迷っていたのだが、後者であると説明される。なるほど。ここからが難しいところだよなあ。なにしろ、イズムをもっと見たいと思うところまで来てしまったから。スク水裏話はなしだった。

アキラ役の小阪由佳もまた同様である。メイキングでは腹の皮の厚いところを見せていたが、おいおい、そりゃ腹筋だろう。・・・戦う美少女というキャラ、実写版ではなかなかお目にかからないからな。もっともっとあってもいいのにな。二人とも「台本も覚えてないのにプライベートなおしゃべりしてんな!」と叱責されている。かわいそうだが本当だ。どうか、生き残ってもらいたい。ホットな美少女とクールな美少女、ナイス・コンビネーションだった。

風間俊介と生田斗真のジャニーズJr.コンビは代表作になってしまいそうだな。星野源もうまか棒の一気食い伝説になるだろうし、日村はノーメークでモンスターなのでゾンビが似合い過ぎ。ひさしぶりに31時(翌朝午前7時)アップとか聞いて懐かしかったな。ま、ゾンビの回はおふざけということでは伝説の回になるだろうからな。日村といえば一応設楽ヲタだが、打ち上げコメント「秋葉原は意外と上野に近かったな」を記憶にとどめたい。

ついでに本上まなみ、リストカッター役がピッタリすぎてこわいぞ。やはり桜井幸子のラインなのだなあ。もっともこの二人、2歳しか違わないのだが。今、このラインに乗っている女優がいないのだよな。知的で美少女でリストカットしそうな・・・ま、あえて乗らなくてもいいラインだが。

で、DVDで別エンディングとかを匂わす作戦もあっただろうが、しないところが清々しかったです。

北村一輝はこの役のオファーを「シャーのコスプレ」があるから承諾したという。なんという曲者的発言。しかし、中込威の役を北村以外でやってたらクククはなかったわけであり、キッドもおそらくこれほど作品を評価しなかった。そう考えると・・・別にそう考えなくても・・・北村一輝、役者やのう。

水曜日に見る予定のテレビ『CAとお呼び!』(日本テレビ)忘れられた被爆者・原爆小頭症のドキュメンタリーよりもサトエリの出番が多そうなのでこれを見るキッドを許してください。サッカー日本VSトリニダード・トバゴも見るのさ。

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2006年8月 7日 (月)

なぜかしら、泣きたくなるの。(B-24搭乗員の母)

それはおそらく悲しいからでしょう。カレンダーに拘束されたこの世界ではいよいよ広島、長崎、靖国と血塗られた過去への旅が絶好調になる。誕生日だって何年か前に生れた日にすぎないし、日曜日の後はただ月曜日になるだけだし、みんな記念日なんて幻想なんだぜ。などとカレンダーの神様にたてつくつもりはまったくありません。ただただアナログテレビから流されるピカッときてドンだから今日はヒロシマ記念日じゃけん。のお祭りに酔いしれるばかりです。

で、『NHK平和アーカイブス・NHK特集・爆撃機ローンサム・レディ号~広島原爆秘話~(1978年制作)』(NHK総合060806PM1110~)音楽・三枝成章、演奏・金子マリとバックスバニー、構成・椎野禎文を見た。61年前の広島への原爆投下後33年目のドキュメンタリーの再放送で、過去の過去への旅を見るアーカイブス再放送ならではの気持ち悪さが刺激的。なんといってもル~ル~ルル~の金子マリのジャンル分類不能のスキャットが番組内容を理解不能にしてしまうほどのパワーがある。

広島原爆といえばエノラ・ゲイ(機長の母親の名前を冠したB-29爆撃機)が想起されるが、・・・ついでに広島型原爆の愛称はリトルボーイ、長崎型原爆はファットマンである。つまり、広島ではチビッコに10万以上、長崎ではデブッチョに10万人近く、瞬殺あるいは死んだ方がマシと思われる苦痛の果てに殺されたわけで米国人のネーミングセンスには頭が下がる・・・今回の主役はBー24Jリベレーター爆撃機でその名もローンサム・レディ(孤独な貴婦人)号である。

1945年7月28日早朝、カートライト中尉を機長として乗員10名の貴婦人は三ヶ月の激戦で死傷者20万人を出して占領した沖縄の飛行場を飛び立った。乗員の1人ニール少尉は欠員を補充するためにたまたま同機に搭乗した。攻撃目標は呉軍港停泊中の戦艦榛名だった。すでに壊滅状態にあった帝国海軍の息の根を止める攻撃部隊の一機である。

しかし、貴婦人は不運だった。爆弾投下後、高射砲により被弾してしまったのだ。たちまち失速する機体。炎上する後部銃座のエイブル軍曹が真っ先に脱出。搭乗員たちも次々にパラシュートで降下した。最後に脱出した機長はすでに高度が150メートルほどだったという。乗員の1人はパラシュートが開かず、後に白骨化した遺体が発見される。エイブルをのぞく、乗員たちは近隣の住民たちに武装解除され、広島城の憲兵隊に送られる。そして機長のカートライトだけははさらなる尋問のために東京に護送される。

そして運命の8月6日、1人山奥に潜伏していたエイブル軍曹は空腹に耐えかね投降した。その時、広島では原爆が炸裂、ニール少尉ら拘束されていた乗員たちは自軍の新兵器により全滅する。即死しなかったニールも苦しみながら死んでいった。番組は生き残ったカートライトとエイブルそして遺族たちを尋ねアメリカ大陸を右往左往するドキュメンタリーである。九死に一生スペシャルのような題材だったのですごく面白い。当事者たちの生の声がリアルに感じられだけにエイブルのインタビューに失敗したのが残念だった。

で、『NNNドキュメント'06~被爆カルテ ある町医者の遺言~』(日本テレビ60807AM0025)ディレクター・渡辺由恵を見た。爆心地から9キロの診療所の町医者による原爆被爆者の治療カルテをベースにした原爆その直後の医師たちの苦闘ぶりを描いた小品である。カルテを書いた伴冬樹医師も黒い雨によって被爆。大腸ガンにより死亡している。生存している89歳の医師が語り部となる。(ナレーションは柳生博)

米軍が治療記録を軍事機密として回収したくだりで胸が冷える。まったく人の命をデータだと思ってんのか。オー、イエース。それにしても89歳のおじいちゃん先生、エイズ問題のあべセンセと風貌相似でなんとなく可哀想。

で、『時代への告発~ヒロシマ「対話ノート」~』(フジテレビ060807AM0240~)構成・梅沢浩一、ディレクター・池田俊明を見た。国の重要文化財となった広島平和記念資料館にある来館感想書き込み帳「対話ノート」を題材にした散漫な作品。なにしろ964冊ある様々な書き込みからピックアップしてドキュメンタリーを作るという発想が散漫である。結果、寄贈絵画参画自慢おじさん、九死に一生軍事技術も科学だし平和利用でオーケーじいちゃん、つんく♂、被爆者の息子と原爆科学者の娘が平和アートでコラボ、沖縄戦ツアーガイドのやりすぎで戦争と平和の区別がつかなくなった職業婦人。などという頭の悪い反戦運動集会の出来上がりになっている。アナウンサーの凸凹がノートを読み上げるのだが、もっといいネタなかったの~。本当に全部読んでピックアップしたの~。とおちょくりたくなる要素満載のドキュメンタリーである。原爆忌をなんだと思ってるのさ。

あやまちを二度とくりかえしません。はキッドの座右の銘だが、二度と核攻撃にさらされないためには戦争にまきこまれないようにするか、日本以外を全部核攻撃して消滅させるかの二つに一つではないか。どちらの選択も至難のワザではあるよな。ま、すでにノーモア広島、アゲイン長崎なんですけどね。二度あることは三度あるで第五福竜丸も。

関連するキッドのブログ『ようい、スタアアアァァアアットォ!(黒木和雄)』

火曜日に見る予定のテレビ『がきんちょ』(TBSテレビ)

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2006年8月 6日 (日)

身体の傷なら癒せるけれど心の痛手は・・・。

PTSDのPはポストのP。ポスト小泉のPであり、郵便ポストとは直接関係ない。小泉の後ということで「その後で」という意味だ。PTSDのTはトラウマのT。トラウマは虎や馬とは直接関係ない。「心の傷」という意味だ。失恋したりすれば誰でも経験できる。いじめられても経験できるし、お化け屋敷でも経験する人は経験するし、交通事故なんかでも交通事故の目撃でも経験できる。ニュース番組はトラウマの宝庫である。PTSDのSはストレスのS。森高千里-なっちで「ストレスが地球をダメにする」のである。この場合は精神的負担による「心の歪み」を意味する。PTSDのDはディソルダーのDである。馴染みのない英語なので「障害」と直訳しておく。

PTSDのPTは「トラウマその後で」ということで、SDは「シード・ディステニー」ではなく「ストレス障害」である。PTSDは「心の傷を負った後で心の歪みが障害になって現れる」という心の病気だ。日本語訳は「心的外傷後ストレス障害」である。おいおい、ストレスは日本語なのか。トラウマもストレスも理解している人には「はは~ん」な言葉なのだが、一般的にはなんとなく「こんなもんだろ」的に通じ合う言葉といえるだろう。病気なので重症もあれば軽傷もある。基本的にはトラウマが重症ならPTSDも重症になりうると考えられる。

目の前で愛娘が殺人プールに飲み込まれ無惨な死体になって発見された母親は相当なトラウマを負ったはずで、PTSDが心配されるのである。熱狂的な宮崎あおいファンが最近の出来事で負ったトラウマもPTSDを引き起こす可能性はあり、摂理で教祖に処女を捧げたことが間違いだったと気付いた女性のトラウマは確実にPTSDをもたらすだろう。この病気が病気であると認知されたのは1960年代である。ベトナム戦争が大量のPTSD患者を生み出し、研究が進んだのである。戦争はPTSD患者の大量発生源といえる。それはスーパーフリー(2003年に問題となった集団強姦サークル)と同じくらいの悪環境と思われる。

で、『ETV特集・被爆者 心の傷は癒えず ~原爆のトラウマ 1300人の調査から~』(NHK教育060805PM10~)取材・池座利之を見た。61年前に敗戦したあの戦争も当然、多くのPTSD患者を生み出したのだが、61年前にはPTSDそのものが病気として確立していないため、患者は全員放置されたのである。すごく笑える話なのだが笑えない。「心のケア」などは夢のまた夢だ。キッドの母親も悪夢でうなされることがある。横浜大空襲で小学生として逃げ惑い、全身が炎につつまれた老婆が気が狂い、笑い叫びながら追いかけてくるという経験のもたらすトラウマによるものだ。この国には都市部を中心にした空襲PTSDの輪が広がっているのである。「空襲対象にならなかった田舎の人間が戦争に対しそれほど感情的にならないのはこの輪から外れているためだ」と東京深川生まれのキッドの父は言う。そういう意味で輪の中心点の一つであるヒロシマは原爆PTSDと別格あつかいになるほどの拠点なのかもしれない。

被爆者の平均年齢は76歳になると言う。ゆっくりと寿命による消失という全快に向かっている。しかし被爆者へのアンケート調査の回答から直接のPTSD患者はおよそ1/3程度であるという。苦しみは今もなお続いているのだ。心の病なので情報を通じて伝染する。この番組も含めて、あるいはこのブログも含めて、被爆を語ることはPTSDの拡散に他ならない。戦争の悲惨を情報開示することは新たなトラウマを発生させる行為なのである。これはワクチン治療の一種と言えるだろう。弱められた悲惨により悲惨の免疫を作る行為である。それが戦争行為そのものの抑止につながるという発想もあるが、キッドはこれには懐疑的である。戦争のメカニズムはもう少し非情なものだと考える。

戦争は常に総力戦だ。無差別爆撃を非難する声があるが、たとえば、市民は兵器の生産に従事している可能性があり、立派な戦力単位なのである。情報戦ともなれば空爆によって殺された乳幼児さえもが戦力単位と考えられる。このような状態をさけたければ抑止のために消耗しなければならない。ジレンマはあるがそれが現実というフィクションなのである。そして今日もPTSDの患者は大量に発生する。心の傷から逃れるためにアルコールや薬物に依存するもの、宗教に依存するもの、自殺するもの。苦しみの連鎖は果てない。

だが、それでいいのだ。苦しむものがあれば同情し、なんとか癒してあげたいと考え、そのために自分もトラウマを負う。これが人間だ。そういう人間でなければこの世界はつまらない。鬼畜米英の生み出したジャズという文化でひととき、鬱屈を忘れる現代。録画しておいた映画『スウィングガールズ(2004公開)』(フジテレビ060805PM0950~)を見ながらそう思う。

最近、mihimaru GTというグループが『いつまでも響くこのmelody』というシングルを出したが、ここでサンプリングされて使われるメロディーはスウィングのあの名曲『イン・ザ・ムード』(1939グレン・ミラー)である。映画『スウィングガールズ』でも演奏されている。ちなみに『いつまでも・・・』は『怨み屋本舗』のオープニング主題歌だ。1939年、日本はまだ米国とは開戦していなかった。戦後、このメロディーは平和な日本に寄り添ってきたのだな。記憶は愛、そして苦痛。あるいは記憶は苦い、だが愛おしい。どちらも意味は同じだが。

関連するキッドのブログ『日本国国民であることの難しさ』

火曜日(月曜深夜)に見る予定のテレビ『アキハバラ@DEEP(最終回)』(TBSテレビ)

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2006年8月 5日 (土)

笑顔の裏に般若の面。(木下あゆ美)

デカイエロー(特捜戦隊デカレンジャー2004)からここである。役名が怨み屋である。友達だったら「ウラちゃん」とか呼ぶのだろうか。2歳サバ歴があるのだが現在23歳であるらしい。基本的には殺人≠絶対悪のストーリーの主役をはるのだから年齢詐称ぐらいでは後ろ指させない。

「タイヨウのうた」どうだったかなあ。今日は西やんスーさんだったし、戸川純が出ていることぐらいしか面白みのない巻だから、10%台に回復してないとまずい感じ。次は三池崇史の妖怪大戦争があるしなあ。「黒い太陽」なら全裸で土下座抜きでも無風なのになぁ。しかし、金曜日は『若者死んでる」(テレ朝)「若者死にそう」(TBS)「若者成りあがり」(テレ朝)「若者人殺し」(テレ東)のラインで目が離せなくなってしまった。

とにかく「法は死んだ被害者のためではなく生きている加害者のためにある」という不文律に対して、なんだか納得できないという気持ちの文学的アプローチ(原作はコミックだが)のドラマ化である。結構いいスポンサーがついていて、やや心配になる。とりあえず、今日は3000万円で3人殺したからなあ。しかもそれは犯罪ではないという流れらしいし、その通りだと思うのだが、大丈夫かなという気持ちも起こる。その気持ちは前フリにはおさまらん。

で、『怨み屋本舗』(テレビ東京060805AM0012~)原作・栗原正尚、脚本・川嶋澄乃、監督・仁木啓介を見た。批判は二点あるだろう。まず、お互いに殺しあわせるくらいで怨みが晴れるのか。ということ。ちなみに怨みとは若者に拉致され夫の前で性的暴行を受けて殺された人妻と生き残った夫のものである。次にそんなにうまく三人が殺しあって死ぬかということである。キッドの立場としては三人を殺すことは問題としない。殺されて当然であるという立場である。

命というものはそれを持つものにとっては世界と同義語である。生きるという動詞がすべてという名詞に置換されると言ってもいい。死後の世界を信じないキッドとしては死はすべての完了であり、死にいたったものと同時に世界も消滅するのである。これに介入した他者は自分の生について異議申し立てできない。なぜなら、申し立てる世界がすでに消滅しているからである。もちろん、これは死後の世界を信じない信念にまつわるロジックであり、死刑反対論者はこの論理の矛盾をたやすく指摘するだろう。生きる他者が死に介入した生きる者に死を与える根拠はないということだ。その通りである。

しかし、キッドは自分の生のある限り、もしも、このドラマの夫のような立場になったならば必ず相手に死を与えるだろうと確信できる。その場合、エンターティメントではないので、次のように殺す。以下、過激な表現があるので、感情移入の激しい方は気をつけてお読みください。監禁し、裸体にして、肛門から下水掃除に使う器具を挿入する。できれば口腔に達するまで消化器系内臓を通過することが望ましい。しかし、ショック死する可能性があるので、苦痛がなるべくながびくように留意する。次に排尿脱糞する可能性があり、それらはすべて本人に食させる。それから爪を一枚ずつはがす。次に鼻をそぎ、男性器を少しずつ切除する。「あやまれば助ける」といいあやまったら耳をそぐ。くりかえしで片目ずつ抉り出す。すべての作業は程よい間隔をあけておこなう。できれは1年ほどかけることが望ましい。おそらく、途中で殺されつつあるものは狂乱すると思うが、作業に支障のないように留意する。出血のための輸血なども考慮したい。指をすべて切り取った段階でまだ生きているようなら四肢を切断する。まだ息があるようなら火をつける。生命活動の停止を確認してお茶を飲む。

こうした表現はおろか、放送作品にはさまざまな制約があり、三人が殺しあうように仕組む、生き残ったものは誰かが止めを刺しているなどの部分は省略されていると考えるのが正しい視聴姿勢と言えるだろう。また現実世界には「コンクリート殺人事件」や「原爆投下」などといった下手なフィクションの通じない出来事があり、これを表現して米を買う場合、自分の命をかけるほどの覚悟が必要なことは言うまでもないだろう。安易な姿勢だからといって殺されるとは限らないが殺される可能性があることは忘れない方がいいだろう。

復讐は何も生み出さないという言葉があるが、復讐者によっては殺意を生じさせる言葉であることに注意したい。たとえば自分の子供を殺されて法の裁きに委ねる人をキッドは責めないが、キッド自身にはそれは無理だろうなと考える。死んだ人間は戻らないといわれて、殺人者を野放しにしたり、更生させようとする社会を肯定することは一種の病気にすぎない。もちろん、死後の世界を信じるキッドは言うだろう。大丈夫。地獄には地獄の責め苦があり、それは永久に終ることがないのだから・・・と。

日曜日に見る予定のテレビ『NHKアーカイブス・爆撃機ローンサム・レディ号』(NHK総合)、『被爆者カルテ』(日本テレビ)、『ヒロシマ対話ノート』(フジテレビ)

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2006年8月 4日 (金)

約束は守る。それがあなたの善い所です。(岩下志麻)

褒めたーッ! ついに大姉御が褒めました。そこでアネゴが「ほめた」と一言。長いフリオチだったけど、兄(矢部浩之)が一度も褒められなかったのに弟(小山慶一郎)が褒められたのは篠原涼子のお手柄ということでいいのでしょうか。そりゃ、篠原、胸尻、ダブルポッチと一生懸命サービスサービスしてますからねえ。努力が報われることはあってもいい。設定が凝りすぎて、首をしめてるこのドラマ。今回は一番、流れで見ることができるものになっていたようです。それとも、設定(苦い薬)を飲み込まされて理解(観念)した視聴者(キッド)なのかぁ。

ともかく、農家の女主人である大姉御とニセ嫁であるアネゴ、この二人が正面衝突しないで、ドラマを盛り上げようとする設定にしていることの意味がもう一つ不可解なこのドラマ。分かりやすく言うと無駄な設定ありすぎ。しかし、そうしたややこしさもいろいろな事情があるのだろうなぁと想像するしかありませんねぇ。

つい最近豚毛の深キョンが押しかけ農家の嫁ドラマやってるし、とか、嫁姑だけだと昨日のトリプルキッチンがらみとか、農家だけだと地味になりそうだからここは都会のテレビ局でもからめておくかという心配安易つけたし症候群とか。行ったり来たりの列車内で弁当食べる役でどうしても蛭子能収をキャスティングしたかったからとか。グラビアアイドルを水につけてちょっとエッチなシーンをとると同時になんらかのおいしいマージンが発生するといいなあなんて誰かが思ったりとか。ま、そんなところですかーっ。

で、『花嫁は厄年ッ!』(TBSテレビ060803PM10~)原案・青月ぱそる、脚本監修・秦建日子、脚本・松田知子・白石まみ、演出・池添博を見た。おお、設定をいじるだけいじって脚本家逃亡か。おかげで今回すっきりか。でも、岩下志麻さんの存在感を限りなく引き出した「聞くの?」というセリフは秀逸だったとメモリーしておきたい。つまり、完璧主義者でギリギリまで物事を見据えている人間が、どうしようもなくその場主義で、安易で、軽薄な人間におバカな質問された時、「私に聞くの?」「本当に答えていいの?」という逆質問は非常に適切ということなんです。例・・・バカなテレビ局のバカなニュースキャスターが「この国はこのままでいいのでしょうか?」・・・と問いかけたとき、視聴者は心の中で志麻さんになりきり、「聞くの?」と呪文を唱えれば、見たくないのにバちくしてつやカをたまたま見てしまったときの言いようのないストレスから開放されるということです。TBSのTBSによるTBSのための処方箋なのです。

応用としては金玉高貴くんが暫定王者獲得の勝因をほざく時には「語るの?」、摂理の広告塔と名指しされた有閑倶楽部の人が沈黙を守っているときは「語らないの?」、殺人プールの管理責任者には「責任とらないの?」、凍死死体放置の地元警察には「捜査しないの?」、妙に美しい中国の女性にモテだした時には「スパイなの?」・・・ああ、自分が岩下志麻さんではないことに今、気付きました。すみませんにゃ。

やべっちが「福島生まれなのに関西で仕事してたら関西弁に染まってしまった」という設定なんですが、やべっちはその気になれば福島弁をマスターすることはできるでしょう。これはスタッフ側の過剰配慮。昔の恋人の無理な頼みもしぶしぶ受け入れ、極度のマザコンゆえの哀しい自立心、優しい優しいみちのくの男をなかなか上手に演じていると思います。控えめのやべっちですが、役作りについて意見があるときはもう少し積極的に発言してもいいと思いますよ。もう、そういうステータスにあるんだから。今田くんほどではないけれどすでに世界にツッコミを入れてもOKの器になっていると考えます。

原作の『奥様は毒舌』が『奥様は魔女』のもじりと考えるとグラディス・クラビツ(隣家の夫人)の役を小沢真珠が演じていると読める。「あたしゃ見たんだよ、サマンサは魔女なんだってばぁ」を「あたしゃ知ってんだぁ、ニセ嫁なんだってばぁ」とやっているわけである。1人だけ訛り強調は確信犯だな。クラビツの主人役を一家で「また始まったか・・・やれやれ」ということなので小沢が睡眠薬あるいは精神安定剤を飲まされるようになるのは秒読み段階だ。

佐藤仁美もボケではなく、ツッコミ役にまわってしまったが、これも設定過剰のしわ寄せだよなあ。しつこいようだが、映画『バウンス ko GALS』(1997)でアネゴ肌のコギャル以来、映画『リング』(1998)を経て『R-17』(テレビ朝日2001・栗山千明・宮崎あおい・上野なつひ・水川あさみ・三船美佳・黒澤優・・・って集めたなあ)のコギャルあがりの業界人、という流れが彼女にはあり、これが途切れている。渋いワキ役に徹しているのもいいのだが、「昔コギャルだった」大人の女性路線をどっかで爆発させて欲しいものだなぁ。今回も作り話が大好きの設定、消えかけているし。仁美の妄想あるいは虚言癖で周囲を大混乱させる巻、お願いします。もう、無理か。電波真珠で決定か。

とにかく、これでもかと設定しまくり、設定の回収に大童のドラマである。裏とのデッドヒートにやや、失速の気配があった先週、話がまとまった今週でどれだけ盛り返せたかなぁ。とにかく、しっかりと設定を回収し、テンドンの部分(志麻の大きさ小出し、真珠の電波、やべと篠原のヨリ戻しラブなど)をいくつか打ち出せば、もっとそこそこ笑えて楽しめるコメディーになるはずだ。なってほしいと考えます。

土曜日に見るテレビ『ETV特集・被爆者 心の傷は癒えず・1300人のアンケート調査から』(NHK教育)VS『土曜プレミアム特別企画映画・スウィングガールズ』(フジテレビ)いい大人はどちらをみるべきか・・・。深夜には『世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す』(テレビ東京)もあるのだが。

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2006年8月 3日 (木)

これほど後味の悪い番組の記憶がない。

世の中には不正がつきものだし、フェアじゃなくて当たり前だし、贔屓するのが人間だし、インチキでまったくOKだし、汚い、卑怯は敗者のたわごとだし、悪こそものの上手なり、勝てば官軍だし、知らぬが仏だし、客が負けなきゃパチンコ屋は商売にならないし、ましてスポーツではなくて興行なのだから。

でもねえ。中学生の女の子で熱狂的な亀田ファンが試合の後で泣きながら言ってました。「芸能界って本当にドロドロできたないところだ。亀田がかわいそう。亀田はあんな風に勝ちたくなかったはず」って。そんな子供にも見抜かれる猿芝居を試合後のインチキニュースショーまでずーっとやり続けることのできるテレビ局は、あはははははは、やっぱりTBSテレビでしたかぁ。

未成年者にフェアでなくとも勝てばいいのだと教育することはとてもいいことだと思いますが、公明正大なテレビ局様がそれじゃ、まずいのでは。まるで街でチンピラにからまれた一般市民のように手をさすり、シッポをふりふり日本人の9割が敗者と感じた勝者インタビューってどんだけかっこ悪いんじゃぁ。

で、『プロボクシング・WBA世界ライト・フライ級王座決定戦ファン・ランダエタ(27・ベネズエラ)×亀田興毅(19・協栄)』(TBSテレビ060802PM0730~)解説・鬼塚勝也(元WBA世界スーパーフライ級王者)、竹原慎二(元WBA世界ミドル級王者)、畑山隆則(元WBA世界スーパーフェザー級・ライト級王者)、実況・土井敏之を見た。語るに値する試合だったので語る。ちなみに実際の試合は午後9時ごろからで、『劇場版NARUTO-ナルト-大激突!幻の地底遺跡だってばよ!!(2005年公開)』(テレビ東京)を見終わってしまった。このアニメは声優に黒川智花が参加しているのだが、ストーリーは「平和な理想郷を作るためにと子供たちをだまして最終兵器を手にいれようとしたまるでTBSテレビのワイドショーのような悪玉をナルトたちが退治する」という実に香辛料のピリリと効いたシンクロぶりである。

さて、未成年者であることに配慮して名前は伏せるが、金玉高貴くんはいきなり1ラウンドでいいパンチをもらいダウン。ここで10-8という採点を解説者が誰も発言せず、実況も「このラウンドは?」と解説者に求めない。この時点でボクシングではないような気がする。いや、この番組は金玉三兄弟とオヤジのふれあい家族ドキュメントであることを思いだす。そうだよな。プロレスとちがってボクシングはガチと子供の頃から信じてきたけど、テリーが怪しいボクシング理論をしゃべりだした頃から頭を切り替えるべきだったんだよなあ。確かに横浜アリーナで、相手は元WBA世界ミニマム級暫定王者だけれども、これはボクシング中継ではなくてバラエテイー色の強いドキュメンタリーショーというやつなんだから。

それからはほぼ一方的な試合展開、金玉くんのパンチは浅く、相手にダメージを与えられず、相手のパンチは確実にヒットし、ある意味、ボコボコ状態、終盤には限りなく二度目のダウンに近いよろけぶりで立っているのがやっとという状態に。顔面、口内から出血し、無惨な姿に。解説者も「これが世界ですよ。これでいいんです」と発言。たちまちマイクをオフにされる。中盤で相手がフィニッシュに入りかけた時も解説者のボクシング魂がつい「よし、決めろ」と口に出てしまいマイクをオフにされました。そして亀・・・金玉くんの攻撃部分だけをずっとアナウンスし続けた実況の声だけが「今、入りましたね?今入った」と答えられない解説者に問いただす作戦。いや、入った。ボディーが1発。確かに。それ以外はキッドは見逃してしまったようです。だって判定2-1で金玉くんの勝利。「プロの世界もアマチュア的要素が強くなり当たってないけど手数を出した」相手が有利と言っていた実況アナは「金玉くんの積極的な姿勢が評価されていたようです」となんじゃあそりゃあの発言。その時。元世界チャンピオン三人は絶句。あるいはマイクがすべてオフにされていた。

でもね。いいんですよ。それで、解説者の鬼塚さん(元協栄ジム)だって金で買ったチャンプとか、ずーっとインチキ野郎といわれて、でも網膜剥離するまで身体を張って戦って、最後はいい試合で感動をくれたんですから。金玉くんだって血まみれになって戦って勝負は時の運だからジャッジが素人には見えないプロのパンチを判別してたまたま勝者になっただけ。本人が泣くほどの感動をお茶の間に伝えてくれたのだから。それでいいのです。ボクシングファンはちょっと死んだけどねっ。

ずーっとボクシングを見ているわけじゃないけど、ボクシングは好き。だから日の当たらないスポーツに日を当てる企画を提案したし、キッドの企画ではないが『元気が出るテレビ』でボクシング予備校から後の世界チャンプが出たのは本当にうれしかった。だから亀田三兄弟がどんな形でもお茶の間に注目されるのはいいことだと思う。しかし、本番はもう少しアンチを黙らせるようなエレガントな演出ができなかったのでしょうかね。せめて12回のうちイーブンだった5/12を亀田のラウンドと解説しておけば明らかに亀田のラウンドだった2/12とあわせて7/12を亀田が獲り、5/12プラスダウン1/12でランダエタおよばずという図式になるはずです。これを基本に畑山、竹原はダメージを考慮しつつも亀田、鬼塚は出血はたまたまという主張で亀田つまり114VS113の3-0亀田という試合結果予想の演出だって可能だったはず、そうすれば1人のジャッジだけがダメージを重視したんだなあという感触を得ることもできる。できないのはTBSテレビが慣れてなかったということですよね。素人の女子中学生を泣かせるような中継してんじゃないよ。このド素人がぁ。・・・あ、少し気分よくなってきた。

土曜日(金曜深夜)に見る予定のテレビ『怨み屋本舗』(テレビ東京)

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2006年8月 2日 (水)

野際陽子(姑)VS江角マキコ(嫁)VS遼花(孫)。

今期もまた、火曜9時台は悩む時間なんだよな。そこへ、来ました。ダブルキッチン再放送の狙い目が。泉ピン子の芸能界キワモノドラマか(日テレ)。ロンブーでニヤニヤ笑い続けるか(テレ朝)。ダンドリの脚本強化策の結果を見届けるか(フジ)。クワガタマニアしちゃうか(テレ東)。・・・危なく日和ってニュース(NHK)を見てしまいそうになります。でも、まあ、ここは野際陽子さんの姑魂を見ておかんとなぁ。フーテンの阿部さんは録画しといてなぁ。惚れまくる寅さん、ツンデレの阿部さんなんだよなあ。長瀬ドラマとどっちが1位になるのかなぁ。

いや、とりあえず、裏番組は置いといて。しかし、一社スポンサーで、それが在日差別問題の積水ハウスで、山本の相棒の加藤が出演していて、年金問題の江角主演で、靖国騒ぎの中で神社が舞台で、格差社会問題の中で中流豪邸トリプルキッチンって、もうスレスレの奇跡のようなオンエア状態だよな。スタッフ一同冷や汗タラ~リの作品に仕上がっているのだな。

その上、このドラマのスタッフはおふざけをやるからなぁ。もう表現のひとつひとつが手に汗にぎるぞ。いきなりロンドンからの帰郷便、ミニチュアセットで雷雲固形物、ぐるっと宙返り、ドンピシャ落雷って面白すぎるぞ。タクシーを緊急車輌が追い抜いてドカーン、うわぁってなんなんだよぉ。どんなしゃべると吐きそうなもの見たんだ加藤浩次一家は。そして黒パンチラスタートって「おまいらアップするんだろ」狙いなのかぁ。

で、『ドラマスペシャル・トリプルキッチン』(TBSテレビ060801PM9~)企画・貴島誠一郎、脚本・西荻弓絵、演出・吉田秋生を見た。この三人のスタッフは『ダブルキッチン』(1993春ドラマ)と同じ、姑夫婦は野際陽子と伊東四郎と同じだが、花岡家ではなく、今泉家というまったくの別家である。13年も経っているのに野際さん伊東さん、お元気ですねぇ。伊東さんは隠居した元銀行員。野際さんは現役バリバリ女宮司(神主)である。跡取り息子・加藤は銀行員で海外赴任の長い準エリート。嫁が江角である。孫が二人。1人が元シスターラビッツのハルカ(ポンキッキーズ21(フジテレビ)のキャラクター)だった遼花(ジュネス)で帰国子女として英語と日本語をたくみにあやつり、お囃子の太鼓で嫁姑の争いにリズムをつける重要な役をさわやかにこなす。・・・って今回まじめにストーリー紹介かよっ。加藤が準エリートなのは大使館職員に1/15の「娘お受験」で負けるからである。ついでに『ダブルキッチン』ファンのために佐野史郎と横山めぐみがチョイ役で特別出演する。二人の役まわりであった小姑夫婦はさくらと相葉雅紀がネットアイドルとニートプロガーという世相反映役(微妙にズレあり)で登場。相場くん目当てのファンは出番の少なさに卒倒したはずである。でも、まあ、スペシャルにしてはネタつめこみすぎだから。しょうがないよね。石原良純・岡本麗も詰め込まれているし。

で、なにしろ、日本の伝統を重んじる姑と国際人としてロンドンでうどん屋開業を目指す嫁のいざこざの展開。皮肉の応酬である。そして捌け口は姑が「はらいたまえきよめたまえ」と榊の紙垂(祓串)を振り回し、嫁は「カッとなると腰が強くなるのよねえ」とうどん粉をこねるのである。嫁姑でもめるたびにこねるので、毎日がうどんなのである。そりゃぁ、あきるだろ。

あらら、ご神木を蹴ったりしてはいけませんねえ。こりゃあ、死後の世界を信じる方のキッドが黙っていないでしょう。・・・いや、別にいいよ。天に向けて唾吐けば自分の顔にかかるだけ、江角は痛がってたので問題なし。このクニのカミはタマ系としてはコダマの代表するキのカミがいるわけですが、基本はカガミ系と同じで、作用反作用を示します。つまり、人を呪わば穴二つですね。愚かな行為の報いは愚かな行為者にはねかえってくるのです。木を愚かに伐れば土砂崩れ、木を愚かに枯らせば温暖化、カミを軽んじることはヒトを軽んじること。ご神木を蹴ったりすれば天罰覿面で足痛いのですから・・・なるほど。まあ、この国は森羅万象ことごとく神ですからねえ。最近はドラマも時々ネ申になったりしますからねぇ。すごいぞ、神道日本。

脚本家は『ケイゾク』の人、こだわりと妥協のバランス絶妙です。焼肉の対煙完全防御とか、最後のオチのテンドンとか、キッドはしびれました。後提供ベースにうどんで介護ですかあ。見逃さなくてよかったよ。

トリプルキッチンというから、嫁VS姑VS姑の姑というか、皇太子妃VS皇后VS皇太后のようなドラマかと思ったのだが、それだとやはり複雑すぎるのだろうな。敵の敵は味方という理論から嫁と姑の姑が手を組んで姑、中間管理職ドラマになってしまう可能性大なのか。義理の母からいじめられ、義理の娘からいびられる、そんな役ができるのは・・・。まさか、えなりの嫁が来て、泉ピン子が・・・。誰かさんの寿命次第なのかTBS。

木曜日に見る予定のテレビ『花嫁は厄年ッ!』(TBSテレビ)やべっちごめん忘れてた。

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2006年8月 1日 (火)

深田恭子(生者)VS木村佳乃(死者)。

次々に繰り出される豪華ゲスト陣。例・本上まなみ=イメクラ嬢。次々に繰り出される小技の数々。例・金魚が死んじゃった。次々に繰り出される淫靡なセリフ。例・「今度は私が入れてあげる」(木村佳乃)・・・サービスたっぷりなのに平均視聴率7.2%。原因はお茶の間にふさわしくなかったからか。黒歴史に追いやられたドラマが帰ってまいりました。夏休みだし、子供もひっそりと見ることができるぞ。ああ、できることなら幻の第10回も見てみたい。

これも長瀬智也、マイボスマイヒーロー中ヒットのご利益なのでしょうか。フルスイングの空振りだっただけにスタッフ一同DVDボックスの売り上げに懸けたい気分なのかも。とにかく、キッドとしては深田恭子の痛い痛いベッドシーンは見逃せないのであります。

で、前回、無理矢理キスシーン引きの4話、今回がそれを受けてたまたまダブルビンタの5話とはこれは天の配剤か。なにしろ、この回は名挿入曲『5:55』を岡田浩暉が歌い、木村のコンビニ遺影が流れ、目から汁が流れて流れて止まらない最高キュートな回ですから。そして、木村幽霊の出現する唯一ホラーの回ですから。舞台は江ノ島。ああ、冬ドラマではなくて夏ドラマにすればよかったのかも。

で、『彼女が死んじゃった。(再・2004冬ドラマ)』(日本テレビ060731PM0355~)原作・おかざき真里(他)、脚本・一色伸幸、演出・佐藤東弥を見た。おしゃれ恋愛映画の脚本家の渾身の一作なので、名セリフ満載。これも失敗の一因かと思われるほど、恥ずかしいセリフの乱打なのです。死んだ姉が生前に妹のためにひろった貝(全部嘘)を渡しつつ、長瀬は「姉は姉、君じゃない。君は君で、君が好きだ」で深キョンの唇を強奪。ニヤリ。ああ、このニヤリか、このニヤリにお茶の間は不快感を・・・。

それとも深田恭子と赤坂七恵をハブラシで差別したのがいけなかったのか、深田豚毛、赤坂3本100円が別の意味でお茶の間の不快感を・・・。それとも豆知識こと香川照之があまりにもウンチクを披露するのが鼻についたのか。「人は数字が好きなんです。でも人間は1+1=2じゃない。彼女は1+1が100になったり、0になったり・・・彼女が算数だったらよかったのに・・・」これがお茶の間を不快感に・・・。それとも木村が「八月十五日は私の誕生日」と宣言したことが特定のお茶の間を不快感に・・・。それとも小山慶一郎がコンビニの監視ビデオを編集して盗撮ビデオを作っていたのに誰もツッコミを入れないからお茶・・・。

ま、この際、お茶の間はいいか。前回の目玉は木村・深田姉妹の子供時代の回想シーンでした。お供物を姉が盗み、妹に毒見させてから食べる。で、子役が姉・夏帆、妹・小池梨緒です。もういたいけなくていたいけなくて胸がはりされそうでした。この配役なら半分くらい回想シーンでもよかったんじゃないか。しかし、今回は昔の恋人・岡田浩暉がゲスト登場します。ここで長瀬が(穴)兄弟発言をしてお茶・・・。

第一回の出会いを作る『日曜日よりの使者』(ハイロウズ)の木村・長瀬のホニャララ合唱に始まり、「とんちとんちのあおぞら」と長瀬が歌う『とんちたいそう』や、今回、フォーク・グループ道草の歌う「恋は心が下にあるからいつだって下心」などふざけたナンバー満載なのだが、劇中で歌手役の岡田が木村の遺作を歌にした『5:55』(この数字が一応謎を秘めている)は「別れる女を抱くなんて反則よ」という木村のセリフとともに家族とともに聞くには恥ずかしい名曲なのです。「あなたを見ているとあたしをみているようで、あなたには届かない夢ばかりで・・・」と落ち目に乾杯するもの同志の心を揺さぶります。なにしろ彼女は落ちてしまったのです。落ち目以下の豆知識が「日本の女性の自殺率は世界一、メキシコ人は自殺しないけど殺人がトップです。彼女がメキシコ人なら・・・」と発言するのもお茶・・・。

ああ、すんごく面白いのにな。涙もとまらないほどなのにな。どうして受けなかったかなあ。もちろん、粗もあるのだけれど。DVD-VOXには特典映像として「とんちたいそうフルバージョン」「5:55岡田浩暉バージョン」「5:55木村佳乃バージョン」が収録されている模様。スタッフも痛いところをついてくるのだよなあ。このようなショービジネス魂がお茶・・・。それにしても木村佳乃。すでにこの頃から体当たり女優魂爆発だったのだな。

水曜日に見る予定のテレビ『プロボクシング・WBA世界ライト・フライ級王座決定戦』(TBSテレビ)が語るに値しない場合は『劇場版NARUTO ナルト 大激突!幻の地底遺跡だってばよ』(テレビ東京)

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