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2006年8月21日 (月)

朝ごはんたべなさい。納豆で。(海老名かよ子様)

遠い遠い昔である。長女みどりさん・峰竜太妻夫の取材のために根岸の林家家を早朝訪問したキッドにおかみさんが朝食を供してくれた。駆け出しの構成作家の貧乏な感じを察してくれたのか、早朝だったためにみどりさんが寝坊したためかは不明だが、ありがたくいただいた。わかめととうふの味噌汁、納豆、のり、胡瓜のつけもの、ご飯である。ご馳走様でした。

すでに林家三平師匠は故人であり、お写真となってキッドを見ていた。「よしこさーん」「どうもスイマセーン」「もう大変なんすから」は幼少時のキッドのものまねレパートリーだったので不思議な気分になった。実在していたのね~。三平さん。でも、もう、いないのね~。三平さん。である。悪いことをしでかして父親にしかられ「どうもスイマセーン」とやって「ふざけるな」と半殺しにされた記憶が去来した。

おかみさんも当然のことだが、現在よりずっと若く菊川怜とそっくりだったような、・・・気がします。冒頭、両親を東京大空襲で失い、孤児となった少女時代のかよ子を演じた斉藤奈々(劇団東俳・大河ドラマ『巧名が辻』のうめ役)がおにぎりを頬張った瞬間、この記憶の連鎖でキッドは不覚にも泣いてしまいました。

で、『ドラマスペシャル・昭和の爆笑王林家三平ものがたり・おかしな夫婦でどーもスィマセーン!』(テレビ東京060820PM9~)原作・海老名香葉子(他)、脚本・洞澤美恵子、監督・水谷俊之を見た。林家三平(山口達也)と妻・かよ子をめぐり、七代目正蔵・三平・九代目正蔵という落語家三代を描くドラマである。三平の初恋の人で愛人柳田ヨシ子は紺野まひる(映画『県庁の星』からここ)が演じ、さすがに宝塚のトップスター忌憚無く、菊川怜より美人の役にはまっていた。やはり戦争の巻き起こす悲喜劇の象徴といえる彼女の存在が凄いのである。

太平洋戦争終戦時、三平はほぼ二十歳。父は七代目林家正蔵(伊東四朗)であり、運よく父子で生き残る。しかし、戦後の混乱の中で、父と妹は相次いで病死。初恋のひなげしの君の呉服屋もつぶれ、借金のために身売りする。ヨシ子さんである。山口とまひるの逢引はなかなかにせつなく描かれており、三平の笑いにひそむ鬱屈を暗示している。この他、正蔵名義の貸借、目をかけてくれた三遊亭歌笑(風間杜夫)の米軍ジープによる轢死、かよ子と見合いした直後の自身の重病、かよ子の発病とまあ、苦難の連続である。

この間にも「お坊さんがいたね」「僧かい」「お坊さんが二人いたね」「和尚がツー」「パンダのエサはなんだい」「パンだ」などと歴史に残り、長男こぶ平(九代目林家正蔵)もあきれるほどのお笑いをつみあげていく。キッドがもっとも尊敬したいお笑いはドラマの中で二つ目なのに真打をつとめた高座で「御婦人のお客さんがクスリとも笑わずそっと涙をこぼしたのを見て、私の芸にそんなに感動しましたかとたずねると、いい年をしてこんなくだらないことをしなければくらしていけないなんてなんてかわいそうな人だろうと泣きました・・・」で高座をのたうちまわるというもの。お笑いの本質の一つをついて過不足がない。山口の再現によってもまったく問題なく三平が伝わってくる。

かよ子の育ての親・三遊亭金馬を立川志の輔が演じているのだが、三平夫婦の祝言で「高砂やこの浦舟に帆をあげて・・・」まで唱ってすかす(この場合は続きにはそれほど期待がかけられていないためハズシとも言える用法)のだが、そうしたある種の作法的なお笑いとはあくまで一線の引かれたお笑いであり、ああ、やっぱり天才だったのだなあ。こうなると長生きはできないのだなあ。ま、キッドは例外だといいなあ。

とにかく、言えることは無性に寄席に行きたくなるドラマなのだった。行かないけどね。

で、さすがに林家三平には勝てないのだが、『超どうぶつ奇想天外!夏休み㊙自由研究スペシャル』(TBSテレビ060820PM7~)構成・恒川省三(他)、演出・酒井祐輔も超面白かったのだな、サカナくんとアニキ(山咲トオル)の海に入ったら出てこないぞ漁シリーズも面白かったし、ガレッジセールと加藤晴彦の新江ノ島水族館もネコザメの卵を堪能。福島県の鳥獣保護センターのムササビ担当スタッフ八幡百合子さんは美人だった。そして生態圏保護のため外来種絶滅(人間をのぞく)を目指す石垣島での自然環境センターvsグリーンイグアナの死闘。筆舌に尽くしがたい。勝ったのは千石先生を刺したヤエヤマキアシナガバチだったが。

火曜日に見る予定のテレビ『終戦記念特別ドラマ・ひめゆり隊と同じ戦火を生きた少女・最後のナイチンゲール』(このタイトルは失敗していると思うぞ日本テレビ)

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