決勝前夜、もんもんとしてしまったのです。(和也)
「南とキスしたらぐっすり眠れそうな気がするんだ」と上杉和也(斉藤慶太)は捨て犬の瞳で哀願するのですが、達也(斉藤祥太)一筋の浅倉南(長澤まさみ)は目をふせるばかり。明日は大事な決勝戦なのに「今夜は眠れない」そして・・・。カッちゃん可哀想。
甲子園の決勝をすかすという野球コミックとしては邪道、ラブコメとしては王道の原作「タッチ」だけにどんなアレンジを加えても大丈夫だと考えたのか、犬童一心、大胆なダイジェスト&リニューアルで実写化に大成功・・・なのかな。
でもね、お聖ドン(田辺聖子)の『ジョゼと虎と魚たち』の映画化は大成功してましたから、ま、短いものをふくらますのが得意なのと長いものをコンパクトにするのが得意なのは違いますからねえ。それから池脇千鶴の薄い胸と長澤まさみの豊かな胸、どちらが好きかという問題もありますし、キッドはギリギリ両方かな。
で、『金曜ロードショー・タッチ(2005東宝系)』(日本テレビ060825PM0903~)原作・あだち充、脚本・山室有紀子、監督・犬童一心を見た。なにしろ、大長編を2時間弱で、である。もう、そりゃ、ぶったぎるしかない。問題は何を残すかだが・・・。起承転結でまとめてみると①南を甲子園に連れてっては幼い頃の夢 ②タッちゃんが南とキス ③カッちゃんがキスできずに死亡 ④タッちゃんが南を甲子園に連れて行く途中で神主題歌『タッチ』を挿入・・・というように犬童はまとめてみたわけです。う~ん。まあまあかな。
ふぇ~ん、み、み、南の新体操はカットですか~。長澤まさみのレオタードはなしですかあ。呼吸が止まりそうです~。・・・失礼しました。ま、日本女子体育短期大学卒でジェビロ磐田の中山雅史夫人の生田智子(実生活で長澤まさみのデビューに関与。長澤は静岡県磐田市の出身)が幻の南ママで登場するところがミソですかねって誰も分からんわい。ま、でも存在すら消滅した新田の妹・由加や西村勇、そして柏葉英一郎・英二郎兄弟に免じてこらえるしかないのだな。何のためにでているのか分からない若槻千夏の気持ちも考えてやらないとな。ダイエットしすぎの松平孝太郎の立場もあるしな。
キーワードは世界史の先生(徳井優)が授業中に語るセリフかな。「モナリザの胸はなかなか豊かに描かれている」ということで。長澤まさみの胸を見ろということなんですな。ああ、女優がハダカになるか、ならないか、それが監督の腕の見せ所という懐かしい時代の香りがほのかに漂ってきます。でも、今はトップスターはチラリズムの時代なんですねぇ。堪能しました。白いソックスを履くんですよね。後ろ姿で屈むんですよね。スカートのすそが閃くんですよね。そして体育の授業でリズム体操サービスなんですよね。大胆な構図のさわやかキスなんですよね。そしてタッチ、タッチ、君にタッチのリズムにのって、アップ、アップ、胸のアップ、ゆれるバストのクローズアップなんですよ~。犬童監督、あなたのサービス確かに納入いたしましたぁ。
ま、風吹ジュン(上杉兄弟の母)が静かに狂いだしていくと方向に行きかけて自制したのは素晴らしかった。よく我慢した。ついでに、長澤まさみは南っぽかったが、妻夫木聡とか、山田孝之が双子であったらもっとそっくりタッチでできたのになあと考えたりもするわけですが・・・。
ちなみに草野球チーム茨城ゴールデンゴールズ監督役で萩本欽一が出演。セリフは「あんなの呼んでくるなよ」である。すっげえ暗示的な一言なのでした。『タッチ』の魅力は達也が天才でしかも彼女のために努力をして超人になっていくというロマンスにあるわけですが、犬童監督はそこを徹底してネグレクトしましたね。ま、人間のドライさをセンチメンタルに描くという離れ業の持ち主を持ってしてもシャクが足りなかったのでしょうな。ちょっと残念だ。
月曜日(日曜深夜)に見る予定のテレビ『怪談新耳袋・劇場版』(TBSテレビ)
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