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2006年8月 5日 (土)

笑顔の裏に般若の面。(木下あゆ美)

デカイエロー(特捜戦隊デカレンジャー2004)からここである。役名が怨み屋である。友達だったら「ウラちゃん」とか呼ぶのだろうか。2歳サバ歴があるのだが現在23歳であるらしい。基本的には殺人≠絶対悪のストーリーの主役をはるのだから年齢詐称ぐらいでは後ろ指させない。

「タイヨウのうた」どうだったかなあ。今日は西やんスーさんだったし、戸川純が出ていることぐらいしか面白みのない巻だから、10%台に回復してないとまずい感じ。次は三池崇史の妖怪大戦争があるしなあ。「黒い太陽」なら全裸で土下座抜きでも無風なのになぁ。しかし、金曜日は『若者死んでる」(テレ朝)「若者死にそう」(TBS)「若者成りあがり」(テレ朝)「若者人殺し」(テレ東)のラインで目が離せなくなってしまった。

とにかく「法は死んだ被害者のためではなく生きている加害者のためにある」という不文律に対して、なんだか納得できないという気持ちの文学的アプローチ(原作はコミックだが)のドラマ化である。結構いいスポンサーがついていて、やや心配になる。とりあえず、今日は3000万円で3人殺したからなあ。しかもそれは犯罪ではないという流れらしいし、その通りだと思うのだが、大丈夫かなという気持ちも起こる。その気持ちは前フリにはおさまらん。

で、『怨み屋本舗』(テレビ東京060805AM0012~)原作・栗原正尚、脚本・川嶋澄乃、監督・仁木啓介を見た。批判は二点あるだろう。まず、お互いに殺しあわせるくらいで怨みが晴れるのか。ということ。ちなみに怨みとは若者に拉致され夫の前で性的暴行を受けて殺された人妻と生き残った夫のものである。次にそんなにうまく三人が殺しあって死ぬかということである。キッドの立場としては三人を殺すことは問題としない。殺されて当然であるという立場である。

命というものはそれを持つものにとっては世界と同義語である。生きるという動詞がすべてという名詞に置換されると言ってもいい。死後の世界を信じないキッドとしては死はすべての完了であり、死にいたったものと同時に世界も消滅するのである。これに介入した他者は自分の生について異議申し立てできない。なぜなら、申し立てる世界がすでに消滅しているからである。もちろん、これは死後の世界を信じない信念にまつわるロジックであり、死刑反対論者はこの論理の矛盾をたやすく指摘するだろう。生きる他者が死に介入した生きる者に死を与える根拠はないということだ。その通りである。

しかし、キッドは自分の生のある限り、もしも、このドラマの夫のような立場になったならば必ず相手に死を与えるだろうと確信できる。その場合、エンターティメントではないので、次のように殺す。以下、過激な表現があるので、感情移入の激しい方は気をつけてお読みください。監禁し、裸体にして、肛門から下水掃除に使う器具を挿入する。できれば口腔に達するまで消化器系内臓を通過することが望ましい。しかし、ショック死する可能性があるので、苦痛がなるべくながびくように留意する。次に排尿脱糞する可能性があり、それらはすべて本人に食させる。それから爪を一枚ずつはがす。次に鼻をそぎ、男性器を少しずつ切除する。「あやまれば助ける」といいあやまったら耳をそぐ。くりかえしで片目ずつ抉り出す。すべての作業は程よい間隔をあけておこなう。できれは1年ほどかけることが望ましい。おそらく、途中で殺されつつあるものは狂乱すると思うが、作業に支障のないように留意する。出血のための輸血なども考慮したい。指をすべて切り取った段階でまだ生きているようなら四肢を切断する。まだ息があるようなら火をつける。生命活動の停止を確認してお茶を飲む。

こうした表現はおろか、放送作品にはさまざまな制約があり、三人が殺しあうように仕組む、生き残ったものは誰かが止めを刺しているなどの部分は省略されていると考えるのが正しい視聴姿勢と言えるだろう。また現実世界には「コンクリート殺人事件」や「原爆投下」などといった下手なフィクションの通じない出来事があり、これを表現して米を買う場合、自分の命をかけるほどの覚悟が必要なことは言うまでもないだろう。安易な姿勢だからといって殺されるとは限らないが殺される可能性があることは忘れない方がいいだろう。

復讐は何も生み出さないという言葉があるが、復讐者によっては殺意を生じさせる言葉であることに注意したい。たとえば自分の子供を殺されて法の裁きに委ねる人をキッドは責めないが、キッド自身にはそれは無理だろうなと考える。死んだ人間は戻らないといわれて、殺人者を野放しにしたり、更生させようとする社会を肯定することは一種の病気にすぎない。もちろん、死後の世界を信じるキッドは言うだろう。大丈夫。地獄には地獄の責め苦があり、それは永久に終ることがないのだから・・・と。

日曜日に見る予定のテレビ『NHKアーカイブス・爆撃機ローンサム・レディ号』(NHK総合)、『被爆者カルテ』(日本テレビ)、『ヒロシマ対話ノート』(フジテレビ)

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