寝た子を起こせ。・・・火事だから。
草木も眠る丑三つ時も越え、早起きの老人たちも未だまどろみの中に。それが午前三時半~午前四時半。
こんな時間に起きている奴はほとんどいないだろうし、単発のドキュメンタリーだから録画している奴もいないだろう。そういう気持ち以外には考えられないほど、ひっそりと世をはばかりながら、かといって、この問題について知らん顔するわけにもいかないし、とりあえず、言うだけは言いましたから、見逃したのは皆さんなのであって、こっちとしては言ったということで、でも、なるべく見ないでねという気持ちはもちろんありますん。という番組である。
基本的には「寝た子は起こすな」って言うじゃありませんか。今、日韓首脳会議が微妙な段階なんですから、穏便に穏便に穏便にね。ほんのわずかの漁民の生活なんか、この際、些細な問題ですよ。ただし、それを言っちゃあおしまいだから、国民あっての国家ってことがね。だから、ほら、マスメディアだって取り上げるだけは取り上げたってことで。オンエアタイムについては編成上、営業上の問題。なんですよ。信じてくださいよ。・・・あんた誰?
で、『竹島』(フジテレビ060928AM0329~)ディレクター・山根収(他)、プロデューサー・小原千明を見た!!!!!!!!!!! 見ましたとも。「竹島の日」(2月22日)が制定された2005年3月16日からおよそ1年の動きを追ったドキュメントである。1952年に韓国によって不法占拠された竹島をめぐる歴史、島根県の議会、竹島周辺漁場を奪われた漁民の皆さん、日韓の学者、日韓の報道の差異、日韓の官僚の志向の差異などをコンパクトにまとめた竹島問題の基礎知識といった内容である。かって竹島に生息していたニホンアシカ(絶滅種)が不法占拠の間に消えたことは取り上げられなかった。
「占拠完了しました」「日本人を二度と上陸させるな・・・他に問題はないか」「アシカがいます」「どんなアシカだ」「ニホンアシカです」「殺せ!」(いつかどこかでキッドの空想)
ま、ニホンアシカはそれだけの理由で滅んだわけではありませんが。マスコミが「韓国が実効支配」と言うたびに「そりゃ、不法占拠の間違いだろう」とツッコミを入れ続けるのにも疲れてきました。せめて「軍事力にものをいわせて実効支配していると韓国政府が主張している」といったものいいはできないのかね。我が国の報道機関の責任者は。
とにかく、漁場を奪われて50年。韓国に44人もの漁民を射殺され、両国間の何度かの交渉で「日韓共同の漁場」を約束しながら(最近では1999年のEEZの設定)軍事力で日本の漁民を排除してきた無法の韓国政府に対し、耐えに耐えた漁民の声を無視しかね、島根県議会が日本政府に叛旗をひるがえした日、ほとんどの日本人は「竹島ってなあに?」なのであった。
一方、韓国では小学校から「竹島(韓国での通称は独島)は韓国のもの。それを自分のものだと言う日本人はいい人ですか、悪い人ですか」「悪い人~」教育であり、「お互いに固有の領土を主張しているのだから良く話し合いをしよう」などと言おうものなら「悪い人~」状態である。もちろん、心の善悪ではなく、国家としては正しい姿勢なのかもしれないが。
というわけで韓国ではかっては国土全体が大日本帝国の固有の領土であった過去への反作用もあり、「日本さえいなければ我々が東アジアのナンバー2なのだ」運動が勃発するのである。以来、日韓首脳会談を拒否し(日本では靖国問題の方がクローズアップされているが)地方レベルの文化交流(姉妹都市提携)なども一方的に解消、破棄して政治的な圧力をかけまくるのであった。
もちろん、韓国全土が燃えているわけではないのだが、日本の報道陣も「路上で日の丸に放火」などが刺激的であるので選別的に報道し、日本国民に「韓国人ってバカだなぁ」という印象を与えたわけだ。サッカーVS韓国戦だけで感じられた違和感が日常に浸透したのである。つまり、寝た子を起こしたのである。
しかし、そういう状況があまり「お得」でないと考えた人もたくさんいたわけで、必死に子守歌を歌い、燃え上がる炎の消火に走った。2006年竹島の日には国政レベルの政治家も官僚も参加せず、それは一地方が勝手にやったことで日本政府としましては関知しないのであります態度を貫いた。しかし、火種は消えていなかった。
日本海における領海の重複による衝突の前触れが4月に日本の測量船をめぐって、7月に韓国の測量船をめぐって、非常事態寸前まで燃えたことは記憶に新しい。韓国は北朝鮮への太陽政策を続けるうちに汚染され、瀬戸際外交を始めるにまで至ったと思わせるような危機だった。
もとより「和をもって尊しとなす」国家と「事なき事がもっとも大事」国家の火種であるのでなんとか消火に至ったことは皆さんもご存知の通りである。
日本は現在周囲に領土問題を抱えている。ロシアとの北方領土、北朝鮮、韓国との竹島問題、中国・台湾との尖閣諸島問題である。いわゆる六ヶ国協議のうち米国を除くすべての国が潜在的な敵対国なのだ。もちろん、基地問題を入れれば友好国はゼロになるのだが、そして日本の基本的態度は「国民全体の問題でない限り、一部の国民に我慢をしてもらう」である。国民としてはその一部にならないことを祈るばかりなのだな。
漁師の言葉「ホントのこと言ってほしいよ。ホントのこと。問題は漁業のことなんだから」
子供の寝顔はかわいい。昼間の暴れっぷりが嘘のようだ。いい夢を見ているのだなぁ。ああ、でも、火事なのだな。もう火の手がそこまできているのだが、平穏に眠っている子供を起こすのは可哀想。ああ、煙がたちこめてきた。寝た子を起こした方がいいかなあ。いや、起こさない方がいいかなぁ。ああ、壁が燃えているようだ。どうしよう。でも、せっかくいい夢をみてい・・・・・・・・・・・・・・・。
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