もしも全国の人に不評だったら貴女のせいですからね。(阿部寛)
ちょー、ちょわっちょっちょっちょーの最終回なわけだが、このセリフの前に『ダンドリ。』で国分太一が数学教師のくせに「数学が皆さんの人生に何の役に立つかわかりませんが・・・」と言う。これを受けて『結婚できない男』では阿部が自分が出演する予定のテレビ番組の視聴率15%を見て、視聴率×全国の総世帯数×1世帯あたりの平均人数=視聴者人数を電卓で計算し「1102万5千人かよ」とつぶやくのである。数学も数学的思考も必ず役に立つのだ。
統計学的には視聴率の精度のために充分にサンプル数が足りているのだが、某ビデオリサーチの広報担当者は数学のできない人には「味噌汁の味を確かめるためになべを全部飲みほす必要がないのと同じです」と昔、説明していた。そのたとえって微妙だと思うけどな。数学って大切だな。
連休明けで気になっていた視聴率が明らかになったので、メモしておく。
『タイヨウのうた』は最終回10.2%でフィニッシュ。平均10.3%である。ヒトケタでなくて良かった。ちなみに『黒い太陽(最終回)』は11.1%、平均11.2%であった。タイヨウVS太陽は主人公の血まみれ勝利だな。
『マイボス☆マイヒーロー』23.3%で『映画・電車男』12.8%を圧倒した。ま、ヤクザとおタクじゃケンカにならないということかな。それにしてもフジテレビ編成、冷静な読みだな。
『僕たちの戦争』は15.8%、『誰よりもママを愛す』が平均10.4%だったので擬似SFドラマとしては及第点かな。
『サプリ』は最終回15.3%で平均14.3%である。月9としては低いけど、最後が15のラインを越えて良かったねぇ。
とにかく、『結婚できない男』の視聴率は夏川結衣の見立てた「明るくてフォーマルなシャツ」の評判しだいなのね。
で、『ダンドリ。Dance☆Drill(最終回)』(フジテレビ060919PM9~)脚本・横内謙介、演出・小林義則を見た。要(榮倉奈々)「雨降ってチョー固まるだよ」かしこ(木南晴夏)「・・・その通り」とバカにインテリは勝てないという結論にいたるのだが、ドラマの方は勝利≠成功の論理を最後まで引きずって、目標も曖昧、勝敗も曖昧、障害もあいまいで非常にドラマチックでないドラマのまま終ってしまった感じ。ようやく、メイフィッシュのブルーのユニフォームがお目見え、躍りきった少女たちの感激のフラッシュ、菅野美穂の涙目サービスが見所である。ダンドリ娘も含めて、メンバーのエピソードが収束した最終回だったのだが、それぞれのエピソードがまったく不完全燃焼なので単に終息していた。他人を応援すること。自分たちが挑戦すること。両方を備えた体育会系ドラマにもなったはず。そういう取材力が不足していたのではないでしょうかね。青春とは命がけのサバイバルレースなんですから。
で、『結婚できない男(最終回)』(フジテレビ060919PM10~)脚本・尾崎将也、演出・三宅喜重を見た。15分延長がまったく、気にならない、よどみない展開。先週の引きである「夜の訪問者」をシカトして翌日、連夜の新聞勧誘員からスタートである。このドラマのために自民党総裁選が翌日になったのではないかと思うような、国仲涼子せっかく告白したのに「犬がきゅうりを好きなことについて」だったコント。すべては草笛光子の予言するお似合いのカップルのために。なのである。それは「テレビぐらい知ってる、俺は見ないけどな」と「はい、どうしましたぁ」特権階級のラブストーリーなのだから。おいおい、いいのか、それで。
コンビニ店員とレンタル店員の指に光る指輪。先週、不在だったのは二人で夏休みのバカンスに出かけ「フリーターだけどいいかい」「あたしだってフリーターだもの」「じゃ、この砂浜が二人の結婚式場。太陽が神父さまだぜ。結婚指輪は安物だけど」「ううん、そんなことないよ。時給にしたらダイヤモンドだよ」ってなことがあったんですね。
預言者その2高島礼子は塚本高史の陰謀を「中学生みたいでいいわねえ」とあしらいつつ、運命の三角関係突入に「実験としては面白くなった」と読みきるのである。
「ドッジボールじゃなくて、キャッチボールがしたいです」の名セリフを残して悶える夏川診療室のベッドのリフレイン。指差し確認に枕抱き込みと冴え渡るポージング。一方、阿部は「金田。いい奴だ」と記念撮影。必殺クラフト職人で大人の遊び心と優しさ、そしてKENへの決別を果たし、もはや、怒涛のクライマックスへ。
ここからおよそ2分、セリフはなくなり、一人、橋の上、一人、ベランダ、一人、音楽鑑賞。そして金魚が一匹。回想「ボール投げました」をはさんでまた2分、スケッチブックを開き、二人の家の設計を始める。そして「どうも」「どうぞ」である。
盛り上げて夏川を随喜の涙に溺れさせ、「結婚できないけど・・・」に全国視聴者がテレビの前で「ええーっ」である。まさにお手本通りのクライマックス。
そして、後味をさわやかにするデザートの時間。この間は一本とられたけど、今夜は私が責めるわよと攻守を入れ替えて夏川が「どうしても来てっておっしゃい」「どうしても」である。部屋には新居の模型と二人のネーム入りスケッチが置かれている。
そして後提供ベース。「金魚は二匹になりました」とさ。
ああ、傑作だ。これは傑作ですとも。すごく地味なメンバーの実力にものをいわせた地味な傑作コメディー。さようなら、2006年の夏。今年の夏は「結婚できない男」を残していきました。今日の東京は台風一過の残暑だけれどもさ。ちなみに最終回の視聴率は『ダンドリ。』10.2%、『結婚できない男』22.0%でした。
木曜日に見る予定のテレビ『純情きらり』(NHKテレビ)
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コメント
そんなにいいドラマだったんですか.見逃してました(涙)
最近、自分はマニアなドラマを見る傾向があるんです(苦笑)
投稿: sumi | 2006年9月20日 (水) 23時13分
sumi様。
『結婚できない男』はマニアックなドラマでしたよ。
一人暮らしの40男の理想のライフスタイルマニアには
たまらない作品という意味で。
マニアという対抗軸がミーハーだとすると
ひっかかるのはギリギリ国仲涼子ぐらい。
それで平均視聴率16.9%ということは良作だったといえるのではないでしょうか。
投稿: キッド | 2006年9月21日 (木) 05時19分