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2006年9月23日 (土)

クズがっ!あたしを誰だと思ってるの?(木下あゆ美)

クズは「ひき逃げもみけし警察官僚」でSMプレー愛好者の寺田農である。女王様に変装した怨み屋・木下あゆ美がムチを片手に「お前は自分の立場も省みず、好き勝手なことばかり。調教が必要ね」と見下ろすのだが、正体を知った寺田に逆襲され、ピンチに。で、続くである。しまった。最終回じゃなかったのかよぉ。

夏ドラマがほとんど終了し、ひっそりと取り残された怨み屋と怪しい仲間たち。コツコツと6%台を取り続け、このままでは平均視聴率が『レガッタ』(5.5%)を越えてしまう。もこみちは仮面ライダーだけでなく、デカイエローにも倒されちゃうのか。まさにふんだりけったりだな。

今回の依頼は老妻を轢き逃げで殺された老夫が「犯人を社会的に葬ってほしい」というものである。「素直に謝れば許せたかもしれないのに・・・」なんて凄くおとなしい依頼人だ。っていうか人が良すぎるっていうか。個人的趣味で仕事そっちのけで国旗や国歌に敵対する教員(教育は片手間でできる仕事じゃないだろう)や、そのような行為を認めちゃうコドモのような裁判官(幼稚園からやりなおせ)を即刻サカサハリツケにしてもらいたいキッドはこういうおおらかさを見習うべきかもしれんな。

で、『ドラマ24・怨み屋本舗』(テレビ東京060923AM0012~)原作・栗原正尚、脚本・川嶋澄乃、演出・仁木啓介を見た。二度目のレビューだし、最終回もレビューしてしまいそうだ。来週は国旗・国歌受け入れられない教師を擁護するバちくしてつやカの変な番組とドラマ『広島』の再放送のカップリングという強力なボケがあるのでそそられる気持ちでいっぱいなのだが。

半年以内に執行しなければならない死刑の執行が滞っている。100人近くの死刑囚が順番待ち中である。これは法務大臣が職務怠慢であるし、一国の大臣が国家というものをいかに蔑ろにしているかの象徴でもある。

もちろん、人を殺すのは嫌なことだ。たとえ、それが死刑であっても。キッドはドラマなどで死体を発見した人間がヒエーッというのは大袈裟だと思っていたが、ある日、夢の中で人間の死体(見知らぬ人)を発見し、ギョエーッと叫びながら走って逃げたのである。覚醒してから、タダの死体があんなに恐ろしいものだったのかと愕然としたことがある。だから、たとえば、死刑執行官が執行のボタンを押す(数人がダミーのボタンを押すという配慮があると聞く)たびにどれだけ辛い思いをしているか。それでも耐えて執行するのだと考えると涙が止まらない。同じように執行の認可を下す大臣もさぞかし辛いであろう。しかし、政治家というものはひょっとしたら国会議員になり、ひよっとしたら法相になるかもしれない。その時は人を殺すのだなあという覚悟を持ってなるものではないのか、とも思うのである。

それは一般市民が運転免許を取るとき、ひょっとしたら人をひき殺すのかなぁ。とか、一般市民が飲酒するときに、酔った勢いでクルマを運転して人をひき殺すのかなぁ。とか、なんとなく思うのと同じレベルであってはならないはずだ。

なぜなら、「ヒトがヒトを殺してはいけない」というルールを個人的な心情で破られたら人間社会というものが成立しないし、「ヒトがヒトを殺した場合は罰します」とルールが作られた以上、それを執行するのは国家構成者としての義務だからである。「だってさ、ボクはさ、希望して日本国民になったわけじゃないしさ。死刑なんてさ、ボクが始めたわけじゃないし」とか、どんだけコドモなんだ。もちろん、葛藤はある。死刑の論理は矛盾を孕んでいるし、冤罪の問題もある。それでもなお、心の痛みに耐え、なすべきことをなすのが大人というものではないのかな。

しかし、実際の社会は理想とは違う。キッドの母親は「もしも私が透明人間ならあんな奴は・・・」が口癖だが、彼女が透明人間でなくて良かったと思うのであるけれど、思わず、そのように言いたくなる出来事が世の中にはいっぱいなのだな。先進国だから死刑には限度があるという論議があるのだが、一般人が死刑にしてやりたくなる奴があふれているような国家が先進国であるはずはなく、誰もが幸福でいつまでも生きていたいと思えるようなパラダイスを構築してから考えればいい問題なのである。

そして、そういう、現状に悪夢は浸透してくる。それが「怨み屋」である。時代劇や特撮ヒーローなら正義のためにが敵を何人でも殺せるのだが、普通のドラマでそれを始めると、もう面白くて面白くてたまらないドラマになってしまう可能性があり、実際、そうなってしまったのであった。なぜなら、現実の社会にはない理想がそこにはあるのだから。

つまらなくなる可能性もあったのだが、スタッフはなかなかにテクニシャンなのである。たとえば。・・・エンターティメントの基本はトークショーである。そしてトークショーの基本はインタビューだ。このドラマは街頭インタビューから始まる。何人か答えて最後の一人がドラマの登場人物という仕掛けである。何度も使える手ではないが、忘れた頃に使えば非常に理にかなった手法である。今回は悪の権化である寺田農が「怨み・・・関係ないね。怨むのは弱者だもの」てなことを言いつつ視聴者を悪い夢へと誘うのであった。・・・素敵。

関連しているキッドのブログ『笑顔の下に般若の面。(木下あゆ美)』

つづく・・・の前にきたろうもピンチになっているのだが、なぜか、ハラハラしないで微笑んでしまうキッドだった。

世の中にはどうしようもなく「怨み」わけもなく「悲しみ」わかっているけれど「苦しむ」たくさんのヒトがいると思う。キッドにできることはただ祈ることだけだ。どうか、あなたの傷が癒え、馬鹿馬鹿しいことで笑えますように。お笑いの神様の前では人はただ笑うだけでいいのですから。

月曜日(日曜深夜)に見る予定のテレビ『スクールランブル二学期(最終回)』(テレビ東京)

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コメント

コメント&トラックバックありがとうございます。

>スタッフはなかなかにテクニシャンなのである。
これはそうですね。例に挙げられてるオープニングなんて、うまく視聴者を作品の中へ引き入れてると思います。
#あれで、現実とフィクションの壁を
#取り払ってますよね

そして、今度の放送で最終回。何気に寄木警部もピンチに陥るようですが、どんな結末になるのかが楽しみです。

投稿: あ~かいば | 2006年9月25日 (月) 00時59分

あ~かいぱ様、いらっしゃいませ。

最終回はどうなるんでしょうかね。
予想としては
怨み屋気絶は罠。
原作にはない怨み屋の過去が次々と明らかに。
新城聖美は本名なのでしょうか。
そして、寄木警部は顔にヨダレをたらされる。

本当に楽しみです。

投稿: キッド | 2006年9月25日 (月) 16時57分

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» 怨み屋本舗:特権階級 [うあぁな日記]
#いよいよ来週が最終回。と言うことで、珍しく、今週と来週の#2部構成。 #ラテ欄だと「SM官僚」なんだけどw。 今回のエ [続きを読む]

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