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2006年9月10日 (日)

なぜ、人を殺すのよ? (高島礼子)

「なぜ人を殺してはいけないのか」に対する斜め横ぐらいからの回答である。困った質問には質問で返すというのは一つの手だな。もちろん、ほとんどの第一の質問者は納得しないと思うのだが、そういう質問者を「殺しちゃえばいいんじゃね」という「怨み屋本舗」不在の世界では善意の人々は煩悶するのであるな。なんでそんな人としての基本がわからないのだ。お前たちは。なのだが。そのお前たちにもわからないフリをしているやつ、わからないやつ、わかっちゃいるけどやめられないやつなど様々あって、本当に人間って面白いよね。

「加害者」「被害者」「遺族」の三角関係はどれだけ物語を生み出せば気がすむんだ。しかも今夜は同時進行二本立てである。高島礼子チームは眞野あずさ、とよた真帆、岡本麗、日本一美しい小学生だった前田愛、第4回ホリプロタレンントキャラバングランプリ比企理恵まで揃えたそそるメンバー。犯人は募金くん(林泰文)である。そそる。

一方、募金くんと同系列の空気の抜けつつあるタイヤのような演技をする俳優グループ(架空)に属する弁護士(吉岡秀隆)を主軸とするチームは被害者に大後寿々花(劇団ひまわり)、被害者の母(永作博美)、ぬれぎぬ犯人(金井勇太)でカインとアベルが小林薫と松平健である。こちらのグループは被害者と加害者がサザンオールスターズのある歌をアカペラで歌うのだが、最後に正解がかかるまで何の歌なのか分からないという恐ろしいミステリーなのである。そこそこそそる。

で、『土曜ワイド劇場・さくら署の女たち』(テレビ朝日060909PM9~)脚本・橋本綾、音楽・村山竜二、監督・村川透を見た。音楽がふざけているので(どのくらいふざけているかというとイメージとしてホラー番長シリーズ運命人間くらい)ふざけていると思うのだが、ところどころはまじめなので気を許せない。警視庁東都署(羅生門)の伊東四郎とは別の伊東四郎がさくら署の管理職である。警視庁に伊東四朗は何人いるのか、数えてみたくなるのだが、数えない。高島礼子は過去を秘めたマイホーム女刑事である。文字通りおばさん刑事の岡本綾、プロファイルとは言わず断定する離婚刑事とよた真帆、そして怪しい音大学生に変装できるおとり刑事前田愛。設定の嵐である。シリーズ化決定!・・・視聴率しだいでは。であるか。

ああ、申し遅れましたがネタバレ満載ですから。犯罪被害者遺族刑事展開だが、被害者七歳の姉、遺族三歳の妹というところがひねりポイントである。妹の願い「お姉ちゃんを殺した犯人をぶってぶってぶってやりたいの」にキッドの目にも涙が。

あいかわらず、東映系の想像もつかない所轄署のことなのでいきなり、被害者遺族が殺害現場に乱入したり、機密情報のさりげない漏洩で被害者遺族が犯人を殺しにいったりししますが、徹夜で張り込みの高島刑事と徹夜で指紋照合の鑑識課・比企理恵の目の下の隈は非常にリアルです。村川監督こだわりの映像美ですかね。

ま、またもや玉緒さんじゃない玉緒さんを誰か演出してみてくれと言いたくなる中村玉緒(姑)さんはさておき、夫・小林すすむって。狙いすぎなんじゃないですかね。ま、いいですけどね。最後まで発砲しないが、罠の罠の罠。暗示によるコントロール。前蹴り炸裂。わはははは。女たちの遊戯シリーズ。始まったな。

で、『土曜プレミアム・秋のヒューマンミステリー・死亡推定時刻』(フジテレビ060909PM9~)原作・朔 立木、脚本・池端俊策、演出・杉田成道も見た。結局、両方、見るのかよ。どちらをオンエアでみたかは秘密。こちらはまあ、『北の国から』のような意味でまじめなスタイルである。時々、セリフがききとれなくなるような怪しい音楽がかかるが、「阿修羅のごとく」(NHKドラマ)のような演出への憧れがあるのかなあ。でもスタンダードな演出は見ていて楽なのだよなあ。そういう意味でアクセントを意識しての演出と考えると名人とも言える。空気のもれたタイヤのようなヒューマニズムは否定するがエンターティメントとしてはよくできていた。「なぜ殺すんだ」「バカだったから」という一つの問答が成立している。

「人殺し」は異物であり、「前科者」も異物である。「隠蔽体質の組織」や「組織の組織的防衛」は正常とも言える。しかし、個人は人殺しにもなるし、正論にこだわり続け暴論を吐くし、組織を守るという理由で嘘もつくのである。そして貧乏な兄弟のように愛と憎しみが混然一体となれば何が起きてもおかしくない。そういうすべてのものが一体となった『旅姿六人衆』なのであるのだろうなあ。意味はわからんけどね。

音楽好きなのに理由はいらないという考え方があり、「人を殺すのに理由が要りますか」という、次の逆質問がここにあった。相棒の二人ならブレイン「あなたの身勝手な気持ちで少女の命を奪っていいことにはなりません」ボディ(自殺しようとする犯人を抱きとめてしまう)という醒めた展開も可能ですが、空気の漏れたタイヤしかも弁護士には無理ですし、別にそういうドラマも楽しいです。可哀想なのは突然過失致死に巻き込まれたトラックの運転手ですが、目撃者・弁護士ですから。穏便に。

現実というフィクションの中では大量殺人犯の正気を問えるかどうかが問題になっている。大量殺人犯を狂気と呼ばずに何を狂気と呼べばいいのか分からないのだが、正気でないと裁けないという困ったシステムであるからな。システムは道具。人間がどう使うかが問題なのだがな。狂気だけど正気で死刑でも、狂気のような正気だったので死刑でも、限りなく狂気に近い正気で死刑でも、死刑は死刑なんだし。もうわけがわからん。そんな時、俺は波に乗りたくなのさ。さあ、行こうか、ジョニー。

火曜日(月曜深夜)に見る予定のテレビ『回路』(日本テレビ)チクシ&アズミがよほどの不始末をしない限りは。

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コメント

はじめましてm(__)m
女性刑事の二時間ドラマ見逃しました.
「死亡推定時刻」 は まあまあ面白かったです.

投稿: sumi_0083 | 2006年9月13日 (水) 13時02分

追記:南川さんちのブログから廻って来ましたぁ~ヽ(^。^)ノ

投稿: sumi_0083 | 2006年9月13日 (水) 13時23分

sumi_0083様。
いらっしゃいませ。
師匠ともどもよろしくお願いします。
『死亡推定時刻』12.8%
『さくら署の女たち』12.7%
いい勝負でしたね。
Sumi_0083様は0.1%勝ち組です。

投稿: キッド | 2006年9月13日 (水) 23時06分

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