009-1が釈由美子でうわぁと叫んだ件。
声優じゃない人が声優だと激昂する皆さん。これだけはこれだけは許してくださ~い。だって釈由美子は釈由美子はまさに009-1なんですからぁ。ただし本人にマシンガンは内臓されていない模様。だって、人間だから。
不安なので『レッド・ドラゴン』もキープしておいたが、『009-1』が予想を超える仕上がりなのでハンニバル・レクターについての記述は後の機会に譲ることにする。アンソニー・ホプキンスだけでも語れるが、「レッド・ドラゴン」→「羊たちの沈黙」→「ハンニバル」と続くレクターの物語はやはりクラリスがらみで書きたいのです。
石ノ森章太郎作品の発掘の賛否は別にして、人格の何分の一かを石ノ森で構成されている人間としては「これか~。これをやるのかあ~」と胸騒ぎを感じ、動く009-1を見て「うほっ」として、登場するキャラクターの一人一人に郷愁を感じつつ、ラインの石ノ森度の高さにスタッフの高「石ノ森」オタク度を感じ、ミレーヌ・ホフマンこと009-1が釈由美子だと気がついた時にめくるめいていたのであります。
で、『009-1』(TBSテレビ061006AM0129~)原作・石ノ森章太郎、脚本・大西信介、演出・紺野直幸を見た。1967年の作品(『週刊漫画アクション』掲載)であるから、およそ、40年前だ。美空ひばりが「真赤な太陽」を歌い「ウルトラセブン」が放映されていた頃である。そして世界は東西冷戦真っ只中であったのだ。
石ノ森の『サイボーグ009』は野球の九人から発想された(ギルモア博士は監督ね)のは有名だが、『009-1』(ゼロゼロナインワン)はストレートに『009』の女性版、しかもアダルトでセクシー&バイオレンスを増量という発想である。9-1は女と書いて「くノ一」であり、女忍者=スパイという展開。ゼロゼロナンバーという着想がスパイもの「007」や「0011」にあるのは明白で先祖帰りをしている。石ノ森としては「バストにマシンガン」のサイボーグであるところがこだわりだろう。もちろん、アトムの「ヒップにマシンガン」へのオマージュなのだろう。
女スパイしかもチームでは『プレイガール』(テレビ東京1969)や『チャーリーズ・エンジェル』(ABC1976)よりも早く、お姉さま志向の石ノ森ならではのものかもしれない。そして時代設定は果てしなき東西冷戦が続く近未来。・・・石ノ森先生、冷戦は生前に終りましたけど、また始まりそうです。
009-1はウエストブロック(つまり西側)のスパイである。冷戦が100年以上も続き、いろいろあったのだろうが、月面に中立都市があったりして、それなりに科学は進歩している世界。しかし、まだ画期的な新兵器を科学者が発明したりしているわけである。記念すべきMisson1(第一話)は「イーストブロック(つまり共産主義圏)から亡命しようとしている天才科学者と核廃棄条約をめぐるスパイの暗躍」なのだ。ナンバーゼロから指令を受けた009-1と仲間たち、009-3は電子的情報収集担当(透視眼装備うほっ)、009-4は全身武器(膝小僧から爆弾うほっ)、009-7は変身自在(コネリーだから英国系うほっ)は軍事パレードを敢行中のいかにも東側独裁国に潜入する。
そしてアダルト版なのでベッドで情報収集なのである。①冒頭、敵側スパイと全裸で朝を迎えた釈由美子は「世界はいい方向に向かっているってことかしら」と窓辺に立つ。すでに正体を見抜かれており、愛を交わした後で暗殺というスパイ映画ならではの展開に。男は冷たい目を光らせ、銃を向けて言う。「何を探りに来たのか、知らないが、その格好じゃ、隙だらけだぜぇ」・・・でも釈由美子の胸には高性能機関銃が仕込まれているわけで。ダダダダダタ・・・そんなーっ、うほっ。なのであった。
②敵側諜報機関のリーダー・ツンドラー女史はレズビアンであった。「もうエサはまいてあるの」と嘯く釈いや009-1。東側御用達娼婦の館でウフンであった。009-3に「女に抱かれた気分は?」と問われると「上々よ」と答える009-1。亡命科学者の監禁場所を寝物語に聞きだした描写も欲しかったけどね。
東西冷戦の崩壊の危機(それは平和になるということではありません)を脱するべく、敵基地に侵入したナインナンバーグループたち。しかし、それは罠だった。こうなると、もう大暴れで解決が常道である。009-1が勝負下着全開の大活躍で敵を壊滅状態に。しかし、機密情報を手にいれた009-1を乗せたままシャトルが打ち上げられてしまう。シャトルは自爆する展開。しかし、爆発直前、高空から飛び出す009-1。まったく、無傷だぁ。だって、釈由美子はサイボーグだからぁ。エピローグはストレートに『スパイ大作戦』(1966)でしたが。
1967年はKCIAが東ドイツの北朝鮮大使館に接触した韓国人194人を逮捕するといういわゆる東ベルリン事件のあった年。それがノスタルジーを感じる事件なのか。それとも、今、新たに始まろうとしているコールド・ウォーを予感させるものなのか。そう。人間はおいそれと変わりはしない。この道はいつか来た道。あなたの知らない世界で時のないホテルがスパイたちをしばし休ませる。明日は敵と味方の二人・・・なのである。
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