これでいいとは思いませんが、これしかできない長澤まさみには。
アナログテレビ民放系の戦術として大失敗した「カクレカラクリ」の展開を姑息にも小規模に繰り返しており、ヒヤヒヤする。コラボっていいものと悪いものの区別がつかないのかよぉ。たとえばだなぁ。セカチューで「誰か~助けてくださ~い」と絶叫している時に長澤や綾瀬がむくりと起き上がり「持病のある方も入れます」という保険のCMをやり、その後で本編で「誰か~」で泣けるか? 「カイカン」CMのやっていることはそういうことだ。ま、原点の角川映画もそういう部分は相似形だけどなぁ。
もちろん、たかがドラマでマジにならないでくださいよぉ。という考え方もある。しかし、キッドの経験で言うといつか痛い目みるぞ。いや、もう見てるのか。カラクリ視聴率6.1%だから。それにしてもそんな気持ちで役者に魂吹き込めるのか。
リンゴ食べるだけでこわい本田博太郎、笑うだけで妖しい緒形拳、ひたむきな堤真一、精一杯の長澤まさみたちの役者魂が哀れで哀れで泣けて来ました。
それはそうと、『松子』8.8%、『コトー』23.2%ですからぁ。TBSテレビも、オフィスクレッシェンドも、夏の反省をしないと大変なことになってしまうのでは。
で、『セーラー服と機関銃』(TBSテレビ061013PM10~)原作・赤川次郎、脚本・いづみ吉紘、演出・平川雄一郎を見た。今度は古き良き薬師丸ひろ子と比較される展開である。どちらかといえば重厚な演出の方がはまる演出家がメリハリに苦労している様子がうかがえるが、堤と長澤の心のふれあいは丁寧に描かれていて素晴らしい。
一番の難関は「女子高生が組長」というとんでも設定を視聴者に馴染ませることができるかどうか。なのだが、「幸い、組長に資格はありません」「そういう問題じゃなくて」や「誠意をこめて話せば分かってくれるとおっしゃったじゃありませんか」「私、学級委員になったこともないのに」や、そして攻守を変えて「捨てる命なら私があずかります」「必ずお守りいたします」さらに「やっばりやめます」「それはできません」まで、理詰めとエモーション、そしてユーモアで手堅くまとまっている。つまり、ゆるやかにシリアスをしているのであって、この本編にパロディーCMは非常に危険な配合なのだよなあ。
風祭ゆき、風吹ジュンに続く三代目マユミは小泉今日子である。どちらか言えば暗い役回りだが、マンハッタンラブストーリーで爆発した後なのでキッドはものすごく期待している。私立探偵濱マイクとは違う暗くて控え目の演技。あるのか、ないのか。初回はかなりありそうな予感。
星泉の歌う「セーラー服と機関銃」、BGMとしてのインストゥメンタル展開、どちらもオーソドックスだが受け入れやすい。サスペンス作品だが、元ネタはややおふざけ。映画版はペーソス。だから、「トリック」よりも「セカチュー」を貫いた方が勝ち目があり、後半はそういうラインに乗っていた。前半のような無理は抑えるだけ抑えた方が得だと思いますが・・・。役者はそろっているわけですからねぇ。
上になって守る佐久間、下になって守られる泉。家族で見ていても安心なセクシャルシーン。そして予告編では強制脱衣。寸止めでいくらでもエロスの暗喩が放てる素材であることは相米慎二が示している。このあたりのトライが希望です。
桂小金治の目高組長は落ち目でも格式ある親分。まして浅草神社(浅草寺)の縄張りを仕切るほどの人であるので、獣医が来ることはありえない。
893は合計すると20になりブタの目である。博徒(ギャンブル系)の隠語だ。テキ屋はいわば露天商。行商人(エコノミー系)である。露天の店割が縄張りである。シノギ(稼業)による分類で、テキ屋も博打をするだろうし、博徒が金貸しをしたり、あるいは土木工事などの請負をすることもあるだろう。売春や麻薬売買など「やくざ屋さん」が合法と非合法の狭間で商いをするときに暴力がからみ、暴力団となる。
どのようなシノギの組織にしろ血縁による襲名がないわけではないが、杯事でかわす親子関係が重視されることがリアルであることは間違いない。逆に血縁で世襲ができるようにお膳立てを整えることもシノギのうちなのだから。「親分が黒といえば黒」なのだが、ヤクザ好きの素人が多いとはいえ、若い視聴者もいるのだから、若頭の苦悩をもう少し説明する必要があったな。
せっかく映画『悪名』を挿入するならするで映画館のシーンはもう少し工夫があってもよかった。田宮二郎が親分を見限って杯たたき返す映画なのだしな、ま、シルクハットの親分は親分で笑えたし、もちろん、せんべいボリボリ、メガネッ娘の長澤の嗚咽は充分堪能できたのだか。
関連するキッドのブログ『第2話のレビュー』
日曜日に見る予定のテレビ『鉄板少女アカネ!! 』(TBSテレビ)・・・しかし、秋ドラマはやはりすごいラインナップだな。ここで堀北かぁ。
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コメント
こんばんは。って言うか、おはようございます。
TBどうも♪ お互い、凄い生活ですネ。
「やっばりやめます」「それはできません」って
やり取りとか、あちこちでプッと笑えました。
コミカルとシリアスの混ざり方が絶妙。
重い結末まで、どうやってパランスを取るのか、
今後が楽しみです。
セーラー服メガネッ娘の長澤まさみにも萌えました♪
投稿: テンメイ | 2006年10月14日 (土) 04時26分
テンメイ様、いらっしゃいませ。
まさにヤクザなくらしと言えるでしょう。
カタギの皆様の健康的な生活が
うらやましくもあり、
痛々しくもありです。
今シーズンはさすがにヤクザものけぞる
ラインナップですね。
月曜上野、火曜香里奈、水曜志田、
木曜蒼井、金曜長澤、土曜綾瀬、
日曜堀北って隙がありゃせんじゃあございませんか。
チュラチュラチュララ~ですか。
投稿: キッド | 2006年10月14日 (土) 04時49分
ずっとテレビをつける事なく生活していたので、久しぶりの訪問です。
10月クールのドラマは出来るだけ見ようと思っていたんですが…。
『14才の母』と『セーラー服と機関銃』しか見れていません。
『たったひとつの恋』は気合い入れて見ます!!
小心者なので友達との電話中に「見たいテレビがあるから」などとは言えません。
木曜も何も見ずに過ぎてしまいました。
今は長澤まさみなんですかね。
感謝祭も長澤ばかりぬかれていたそうですし。
『セーラー服と機関銃』は全7回なんですね。だらだら要らない話を入れるよりいいのでしょうか…。
第2話からでも見ます。
また拝見しに来ます。
投稿: さとう みお | 2006年10月14日 (土) 15時03分
さとう みお様、いらっしゃいませ!
ご機嫌はいかが?
長澤まさみは注目の女優ですね。
この世代では東京ではさっきまで「かま騒ぎ」に
出演していた石原さとみと
あずみの上戸彩、花男の井上真央
秋ドラマの七人を加えるとほぼ、
顔ぶれのそろったレースとなるでしょう。
志田はちょっと未成熟ですけれど。
まあ、大失速のハロプロメンバーや
沢尻エリカ、宮崎あおい、夏帆、タブル黒川など
も加えるとそうとうな人数です。
今、女優陣の充実ぶりは凄い状況ですね。
このちょっと上に仲間や深田、松、池脇、星野、矢田などもいて、まあ、頂点がどこになるのか、キッドにも不明です。
セーラー服が全7話なのはTBSが試行錯誤しているDVD販売戦略と関係しているような気がします。映画『電車男』とドラマ『電車男』を比較してみましょう。要する時間とだらだら感は必ずしも一致するものではないし、要る話と要らない話も作り手がどう考え、受け手がどう感じるかの問題です。
落ちる洗面器と落ちない洗面器があり、落ちない洗面器が無駄とは言えないでしょうし、落ちる落ちないをだらだらと続けることがつまらないとも言えないでしょう。
キッドにとってみお様の人生は魅力的なものですが、みお様にとってそうであるとは限りませんが・・・。
たとえばみお様が作品を作る場合、次のことを明確に。
1テーマを決める(ふつうの女の子の日常を描く)
2箱書きしてみる(ふつうでないようなエピソードをメモ)
傑作ができるかどうかは運しだいの風まかせです。
キッドはアドバイスをするだけで
何もできませんが、遠くで静かにみお様の幸福を
祈るお笑いの守護天使ではありますから。
それではまた来てね。
投稿: キッド | 2006年10月14日 (土) 21時45分