風よ、光よ、忍法獅子変化!・・・(ライオン丸G)
「2011年10月、中華人民共和国の高度成長大量消費政策により、地球は大競争社会に突入、資源の争奪による紛争は局地戦を誘発し、人類は混沌たる状況にあえぎ、黙示録の示唆する終末の予感におびえていた」(一部空耳採録)なーんてことはなくて「アナログがデジタルに変わった以外、日本では五年前に始まった景気回復の波を受け、景気のいい話が飛び交う日々。しかし、格差社会のあおりを受け、俺のようなダメホストは名前は変わっても治安状況の改善しない《ネオ歌舞伎町》の片隅でうざったく日々を過ごすしかないのであった」(ほぼ空耳採録)
語るのは新宿のタウン誌に「死ねばいいのにダメホストNo.1」と紹介される獅子丸(浪岡一喜)である。浪岡さんといえば、『電車男』(フジテレビ)のAちゃんねらー「きしわだ」であり、ある意味、大抜擢だ。ヒロインは小林恵美さんであり、元イエローキャブで現サンズエンタティメント、フットサルチームCarezzaの選手。どちらかといえばバラエティーの人なのでスライド抜擢と言える。
演出の大根仁はドラマ版『アキハバラ@DEEP』(TBS)で「アキバ系冒険活劇」を目指し、少なくとも「オレザク」というとんでもコンテンツを創作した奇才。今回は元ネタがまさに冒険活劇だけに・・・もうとんでもない作品に仕上がっている。ついでに『GARO牙狼』の雨宮慶太が企画協力しているので特撮テイストも期待できる。
で、『ライオン丸G』(テレビ東京061002AM0130~)原作・うしおそうじ、脚本・演出・大根仁、特技監修・原口智生、脚本協力・川崎ヒロユキ(他)を見た。小田あさ美、大田恭臣とフレッシュな顔ぶれなのだが実力派俳優の遠藤憲一がすべてを引き締める。
近未来のネオ歌舞伎町の顔役、ジュニア(遠藤)は躁鬱症のようにS→Mが切り替わる変態親分である。女王様スタイルで「この格好どう思う?」とタイガージョー(大田)に「・・・別に」と顔をそむけさせた後で子分にムチを打たせて「あ~イイ~」である。
キャバクラ嬢サオリ(小林)には「乳首黒いの?」で「ピンクだよっ! どピンクだよ!」と言わしめる。そして、借金返済の滞るサオリと獅子丸を敵対組織スワンキーズ(ネオ歌舞伎町の草野球チームでキッス調である。スワンキッズと読めばみにくいアヒルの子集団となる)のアジトにおとりとして送り込む。そして実は二人を見殺しにして死んだら労災で借金を回収するというドス黒い一面を覗かせるのである。
主人公・獅子丸はきらびやかでゴージャスなカプセルホテルの住人である。ここでドラマ『傷だらけの天使』(1974)のオープニングパロディー。牛乳瓶のフタ咥えてはずしてなどをやりつつ「・・・古い、それに久しぶりに見直してみたらそんなに面白くなかったし」と元ネタ批判。おいおい、『草原に黒い十字架を・・・』(監督・神代辰巳)の回を見てもそう言うのかい。あがりめさがりめぐるっとまわってねーこのめでもか。ならば、袂を分かつっ! 神代信者を敵に回すと視聴率が取れない呪いにかかりますぞぉ・・・。
ま、それはさておき、これほどダメな主人公設定がかってあっただろうか、サオリと嘘の同伴出勤をすることになった獅子丸は「うわ~。辛抱たまらん。もう大きくなっちゃった。血管浮いてきちゃった。合体しよ~っ」と欲望および馬鹿丸出しである。
罠とは知らずに乗り込んだ敵のアジト、ピンチに陥った二人の前に謎の老人が現れ、秘密のアイテム・キンジの太刀を投げ渡し。「呪文を唱えよ」展開。老人「風よ・・・」獅子丸「かぜよ?」老人「光よ・・・」獅子丸「ひかりよ?」老人「忍唐獅子変化!」獅子丸「忍法?なんだって~?」である。しかもテンポを重視する大根演出では呪文適当でいいやぁで変身開始。ライオン丸登場である。そして、つづく。
うわあ、アクション前で引くのかよ。自信満々だな。しかも石橋蓮司の正体明かさずのチラ出しかよ~。参りました。来週も見ます~。
『純情きらり』では桜子さんが死んじゃって、『功名が辻』では秀吉がお亡くなりになり、めっきり淋しい秋の夜に現れた『怪傑ライオン丸』(1972)のリメイクである。どちらかといえば婦女子向けのアニメ『金色のコルダ』とどちらかといえば男の子向けのアニメ『ギャラクシーエンジェる~ん』にはさまれて、ジェンダーもジェネレーションも無視した独自の世界が展開を始めた・・・かな?
関連するキッドのブログ『仲間由紀恵で上戸彩で岡本綾の夜。』
火曜日に見る予定のテレビ『報道ドラマスペシャル・再会・横田めぐみさんの願い』(日本テレビ)VS『アンフェアthe special』(フジテレビ)こんな日に裏番組でごめんなさい・・・だな。
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