間違いと知っていても、しちゃうんです。(長澤まさみ)
・・・それが人間なんです。「もう誰も死なせません」という八代目の願いも虚しく、若頭補佐・金造(山本龍二)も死に花を咲かせてしまいます。これで組長以下目高組は総員4人。残り2回なので1回につき2人殺せるぞ。
今回も酒井さん叔父甥拉致にからみ、暴力シーンがカットされているが、内容的にはやむをえないダイジェストと認定。
気になるのは終盤、時間が止まることなのだが、ここは心理的な描写として目をつぶることにする。
で、『セーラー服と機関銃・第五話』(TBSテレビ061110PM10~)原作・赤川次郎、脚本・いずみ吉紘、演出・加藤新を見た。映画版が1981年。25年後の今年、制作現場をめぐる状況は微妙に変わっただろう。もちろん、テレビドラマという制約はまた別物という発想もあるが、映画版も編集されたとはいえ、テレビ放映されているわけで、この「女子高校生が機関銃を撃つ」という行為について現在では奇想天外な絵空事としては捉えにくい状況があるのではないかと危惧する。それは小学生が小学生を殺傷するという現実の事件のためでもあるし、一般人による銃器の犯罪にリアリティーがあるという時代のためでもある。
しかし、フィクションがそんなくだらない現実に負けてはいけないとキッドは思う。人は人を殺すことができると言う事実。現実において人々はそれを忘れてはならない。もちろん、どんな時にも人は人を殺してはいけないというルールを人は学ばねばならないのである。しかし、同時にルールは破られるためにあるという現実を知ることも大切だ。また戦争や死刑など国家が認める例外もあるということも知っておくべきなのだ。
衝動は人間の心理的なメカニズムである。その主体は感情であり、さらにその主成分は怒りと言っていいだろう。人が人を殺すとき、怒りは必要ではないが充分な条件となる。目高組記念写真の金造の扇子に書された一家団欒の時は過ぎた。八代目は組員を殺された怒りが静かに心底からふきあがりつつあるだろう。二人の組員の死はまったく不条理なものだった。ありもしないヘロインをめぐり命を奪われた武(田口浩正)と金造。その理不尽さは殺意の形成には充分である。
星泉(長澤)は仇を討たねばならないのだ。夢で叫んだように唇は動くけれど言葉は風になる・・・って歌が違いますよ・・・重い機関銃を軽々と持ち上げて笑顔をみせるために、愛した男たちを輝きに変えるために、・・・黒木刑事(小市慢太郎)、本田博太郎他組員の皆さん、三大寺議員(緒形拳)を皆殺しにしなければならない。
テレビの前の良い子の皆さんに、人が人を怒らせるとどんなことになるか教える絶好の機会ではないか。それが泣き出すほどこわい残虐シーンであればあるほどいじめの件数が減るとキッドは考える。
友達の靴をかくしたり、トイレで水をかけたり、服を脱がしたりするたびに自分の命が危険にさらされていることを知らない子供が多すぎるのである。
とにかく、残り2回のうちで八代目が盛大に殺傷力のある銃器を悪に向かってぶっぱなすことを切に期待する。スポンサーが難色を示すので控え目にしましたなどということはいじめを助長する反社会的行為であることを制作者は自覚するべきなのである。
そういう意味で、ヘロイン密輸の元締めが現職国会議員であることが判明し、警察と暴力団がグルであり、圧倒的な勢力の前に自分たちがいじめられっ子だと組員一同自覚して総員奮起してもらいたいのである。
金造と殉職した稲葉刑事(井澤健)の死に際し、おいおい、元マル暴の刑事が何の仕掛けもなく、罠に飛び込むのか、とか、死んでも渡さないとか言うけど死んだら獲られるだろうとか、先に構えているんだから、撃たれる前に撃てよ、とか、黒木は浜口組にまかせとけば、正体ばれずで問題なかったろうとか、黒木の拳銃は官給品なのかとか、金造の体はどこを撃っても拳銃を貫通させない秘密の構造なのかとか、健次(中尾明慶)が泣かせるやりとりをするためにあれだけ立ち止まってたら絶対逃げられないだろう、とか、浜口組組員はバカなのか、足がおそいのか、とか、ツッコミは許しませんよ。八代目がおっしゃった通りなんです。人間は間違いだと思ってもやっちゃう時はやっちゃうし、いざという時にするべきことができないんものなんですから。親分が黒と言ったら黒なのです。
ま、納得できない人は音楽・河野伸・編曲「めだかの学校」のBGMでも聞いてください。脱力感ただよい、復讐なんて馬鹿馬鹿しくなるかもしれませんけどーっ。主題歌モチーフのBGMをおしのけるほどのパワーだったなぁ。
損な役回りといえば三大寺真由美こと小泉今日子さん、あんたが持ってたヘロインとっとと出せば誰も死なずにすんだろうという役どころ、おそらく来週は弁明の機会が与えられると思いますが、いやいや、言い訳なんていいですよ。キョンキョンのやることに口出しするような奴はものの道理のわからないひよっ子なんですから。キョンキョンが黒と言ったら黒なんです。なんてったって。イエーイ。
関連するキッドのブログ『第四話のレビュー』⇔『第六話のレビュー』
さあ、ポンポコ組の金玉攻撃はどうだったのかなーっ。組ついでに八人組のモーニング娘。の新曲『歩いてる』、久しぶりのオリコンデイリーランキング1位ってマジかよ。それにしても『歩いてる』ってすごいタイトルだなぁ。ああ、世界バレーの関連曲なのか・・・。
日曜日に見る予定のテレビ『鉄板少女アカネ』(TBSテレビ)
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コメント
映画が流行った当時は内容を全然知らなかったので、
薬師丸さんの歌う「セーラー服と機関銃」も
ただの流行歌として耳にしてただけでした。
そして作詞作曲の来生さんの事を知ったげに
「らいせいさん」と言ってた友人の事を思い出します。
このドラマを見るようになって
何だか歌詞がしみてきますわぁ。
投稿: まこ | 2006年11月11日 (土) 11時44分
●chocolate●まこ様、いらっしゃいませ●chocolate●
主題歌としての『セーラー服と機関銃』(1981)は
薬師丸ひろ子さんのデビュー曲でもあります。
作詞・来生えつこ、作曲・来生たかお。
キッドも「きすぎ」を読めなかった記憶があります。
来生たかおさんの歌で『夢の途中』(82)という
ほぼ同じ曲があるわけです。
『セーラー』では「夢のいた場所に未練残しても心寒いだけさ」が
『夢の』では「現在(いま)を嘆いても胸を痛めてもほんの夢の途中」
と変わっています。
『セーラー』は失われた夢に執着するのはつらいことだ。
『夢の途中』はつらいことがあっても夢だと思えばいい。
いわば現実直視と現実逃避の双子の姉弟なのですぅーっ。
ふつうに考えると「松子」の理容師の心の主題歌なのですが
「いつまでも君を待っている」なんていって
意外と待たないのが人間なのでしゅー。
はうぅん。
投稿: キッド | 2006年11月11日 (土) 12時51分
音楽担当の河野伸さんは、
私が一目置いている存在なんですよ。
特にTBS系の金10ドラマで良く関わるんですけど、
メイン曲等は常に印象に残るんですよね。
今回このドラマでも、それは同じでした。
そのせいか、あの「めだかの学校」も素晴らしく思えたり・・・。
投稿: ads(あず) | 2006年11月12日 (日) 02時16分
❍❍Orange❍❍ads(あず)様、いらっしゃいませ❍❍Orange❍❍
TBS系といえばシドニー五輪のテーマソング
『I WISH』モーニング娘。(2000)の編曲が河野伸さんでしたね。
それから最近では『百夜行』が印象深いです。
『ALL HAND TOGETHER』中島美嘉(06)とかも。
めだかの学校のメロディーラインで
哀愁というのはかなりタイトロープだと思うのですが
・・・今回はギリギリセーフだったように思います。
キッドはさすがにちょっと笑ってしまいましたが。
夏ドラマと違って、秋ドラマのスコアは
結構、キッドには受けています。
『14才の母』(沢田完・高見優)『たったひとつの恋』(池頼広)
という日本テレビ系が特に。
あ、のだめは別格ということで。
投稿: キッド | 2006年11月12日 (日) 05時23分