「他人と違うことをするものに世間は冷たい」と志田未来は言われた。
「じゃ、どーすんだよ。生むのやめちゃうのかよ」と志田未来は言われた。とどちらにしようか迷うところだが、思ったほど世間がものすごく冷たくないので発言者15才の父の母(室井滋)の連続登場である。
っていうか、もはや、世間の冷たさを一身にあびているのは父の母だけである。息子にまで冷たくされている。おいおい、お前が震源地だろうが、という気分がないではないが、母子家庭としては大変だろうが、息子の精子の管理を怠った母親が責任を問われるのは仕方がない。盲点というか、危機管理が甘いというか、失敗を成功に変える意識の切り替えの甘さは経営者として雪印から何も学ばなかった証拠だな。・・・たとえが一般的でないか?
とにかく、サッカーやバレーボールが敵か?と思っていたら、地震&津波かよ。しかも、警戒区域が北方領土周辺って・・・。ドラマも天変地異には勝てないぜ。CMが勝つのは企業がまだまだ温いってことだけどな。「あのCMを見てたら波に飲み込まれました」という事態を想像する力が不足しているのでは・・・という指摘です。今のところ大事なくて良かったけど。
で『14才の母・愛するために生まれてきた・第六話・私にも母子手帳くれますか』(日本テレビ061115PM10~)脚本・井上由美子、演出・佐久間紀佳を見た。「飢えて死ぬ子供や戦争する子供にとらわれるあまりに近所の幸せな子供を憎む」波多野という異常人格の雑誌編集者(北村一輝)の記事によって「14才の母と15才の父」が有名人になり、マスコミから取材が殺到という展開にはならず、・・・近所や学校や家族の職場などに波紋をなげかけた程度では発行部数が伸びないのではないかといらぬ心配をするキッドだった。
娘はヒソヒソと近所でうわさされるのだが、別にデブだったり、ブスだったりしてもあの程度はヒソヒソされる。頭のおかしな少女妊娠フェチがつきまとうぐらいはあってもいいと思うのだが。また、15才の父は学校でノートにいたずら書き「今度はコンドームを忘れるな」とかをされるのだが、そんなのただナイスアドバイスじゃん。嫉妬に狂ったクラスメートが「おめえばっかりいい思いしやがってーっ」と下腹部をナイフで刺すなどという展開も欲しいところだな。14才の母の弟は学校でシカトされるらしいのだが、パンツ脱がされて「小学生でおじさんと呼ばれます」くらいおしりに書かれてしまうのではないか。
・・・まあ、キッドの妄想はさておき、14才の母内世間、冷たくなさすぎ、それでは14才の母なんてきれいごとで甘ちゃんでおしりペンペン同盟の自分の思っている世間じゃなきゃやだやだとダダをこねる良妻賢母強夫雄父がガッカリするではないか。もっと世間て奴のおそろしいほどの冷たさがなくていいのかしら。
罪悪感の消失した世界におけるモラルハザード進行中の日本としてはすでに、異質への攻撃力も減退しているのではないかとふと思う。
たとえばキッドなどは義務教育中に通知表に最高評価しかもらったことがなく、そのためクラスメートに罪悪感を抱き、なにしろ相対評価だったので、キッドのできのよさは他人のできの悪さをどうしたって形成することを頭がいいから気がつくわけである。好成績を維持するためにはまずこの罪悪感を消滅させなければならない。
おそらく、戦後長期安定競争社会が進行する段階でこの罪悪感の撲滅は早期に進行したのであろうな。この罪悪感から、エリートは使命感を生む。他人に迷惑をかけて指導的立場に立つのだからそれなりに弱者に対して責任を負うという心のシステムである。しかし、罪悪感がないので使命感も生まれず結果として無責任なエリートが続々と生産されているわけである。
結局、合理的な利己主義ではないのだ。利己主義は社会全体の強化による利益のフィードバックを含まなければならず、社会を崩壊させる方向に向かう利己主義は単なる愚者の欲望に過ぎないのである。
多数決絶対の民主主義ではいじめは悪になりえない。仲間はずれが多数者による少数者の排除であればいじめられた者こそが悪だからである。そういう宿命を背負った問題の特異な例を一個人が解決できるはずもなく、自殺という最悪の結論を招くのは当然の結果と言える。民主主義の最大の弱点、全体で戦うということの否定がこのジレンマを招く。これを解決するには全体で他の組織と戦うことが望ましい。その時は「仲間同志で争っている場合じゃない」という正義が共有されるのである。クラスのレベルアッブ。学校のレベルアップ。国家のレベルアップという連鎖で相互扶助が実現する。問題はそうなると全体主義の匂いが漂い始めるのだが。まあ、物事ほどほどがいいのだなあ。
そういう意味で仔犬を拾ったら預けられる便利なおじさんに身を預けようとする子供の論理を14才の母の母は優しく諭す。「一度逃げたら逃げ続けることになるのよ。オウム真理教の指名手配犯のように」ということなのである。職場での中傷が気になる母の父もついに軍門に下り、このままでは家族という社会の中で孤立するから正しい判断。弟は「シカトされてどうしたって・・・シカトするなって言ったって・・・オチてねーじゃねえか」となかなかの根性を発揮する。家族一丸となって冷たい世間と戦う覚悟なのだ。だからもう少し世間が冷たくしてくれないと燃えないだろう。
学校では山口紗弥加(この教師役がハマリ役になったな)が退学を休学にしようと運動。「私学には選ぶ権利があるが選んだからには責任がある」という言葉の遊びで学校を説得する勢い。労働者の解雇の自由を保障する資本主義の根底を覆す論理だが、ま、それはそれで。
こうなると攻撃は15才の父へ。狂人北村がキリちゃんにインネンをつける。「あなたは戦っているのか」と切り返すキリちゃん。狂人にそんなことを言っても無駄だが、案の定、北村は自己反省はせずに「見せてもらおうか、連邦軍の新兵器の実力とやらを」発言である。
そして、すべての世間の冷たさは父の母へ向かう模様。彼女こそ、世間と違うことをやってのし上がった社会の敵なのだからな。しかも「みんなやってることなのよ」と自らを欺いて。・・・後はいつ、彼女が頭を下げるかだが・・・場合によっては我が子を道連れに心中という選択もあるわけだが。
一足早く14才の母の町には雪が舞う。母子手帳をもらいにきた志田に対する役場の職員の反応はやや過剰という意見もあるだろうが、人間、珍しいものには弱いという特性があるのだ。志田未来が母子手帳もらいに来たら写メールするに決まっているではないか。来週、路上に倒れる14才の母。流産流産詐欺かよっ。
視聴率↘16.7%。やはり「いじめ」が不足なのかな。
関連するキッドのブログ『第五話』
金曜日に見る予定のテレビ『セーラー服と機関銃』(TBSテレビ)なんとか、後二回ですからーっ。薄ーく引き伸ばした七週間のーっ。
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コメント
変な表現。狂人北村????
北村さんの言ってることは正論であり常識。
金持ち息子のグダグダ甘えた態度は見ていて腹が立つよ。
世界には食えなくて死んでいく子供や銃を持って戦っている子供が大勢いるのに豊かな日本の平和ボケで視野が狭く自分の幸せしか考えない馬鹿な子供には何の共感も覚えない。
近所の幸せな子供を憎む異常人格者?ってドラマを見る見方がゆがんでるし浅いと思う。
人生経験乏しい?
波多野は昔戦場で正義感に燃えてジャーナリストとして平和日本に悲惨な世界があることを報道し続けた。
今はゴシップ記者でも日本を憂い子供達の将来を心配する気持ちは心の底に残ってると思う。
ドラマの鍵を握る人物だね。
投稿: sa | 2006年11月16日 (木) 04時24分
狂人北村を前に、尻尾を巻いて逃げ出すのかと
思いきや・・・
桐ちゃんの眼力もなかなかたいしたものでした~d(>∀< )Good!
唯一【松子】では穏やかな表情を見せてくれてた一輝
ですが、やっぱギラギラしてる彼の方がしゅてきです♪
はぅ~ん・・・♪~( ̄ε ̄)
投稿: まこ | 2006年11月16日 (木) 10時50分
??キタムライッキハ??~sa様、いらっしゃいませ~??シャーニムチュウ??
イスラム聖戦主義者は同時多発テロをUSAは民主主義のためにイラクを攻撃。
どちらも正義であり、どちらも狂信。
子供が飢えて死ぬ国を作ったのは誰?
子供が銃をとり戦う国を作ったのは誰?
北村(さんの演じる役)は自分の言葉で中学生に何を伝えたの?
北村は「大衆は世界の悲劇を見ようとしない」と
ダダをこねる視野のせまい狂信者のひとり。
正義があることを信じることは大切なことですが
何が正義なのかは常に疑う姿勢を身につけましょう。
(俳優としての)北村(さん)はシャー(シャア・アズナブル=アニメ『機動戦士ガンダム』の登場人物の一人、腐敗した連邦を粛清するために地球上の人類を抹殺しようとする狂信者)の大ファンであるので最近、演技の端々にお遊びでシャーモードをのぞかせます。キッドはちょっとそれに反応しただけですけれど、マニアックでしたか?
金持ち息子をねたむのはネガティブな感情。
そういうひがみ根性も人間の一面ですから否定はしませんが
金持ち息子を肯定していつか、自分もそうなろうとするのも
大切ですよ。
お金持ちでしかも世の中のことをよく知り
善意でおだやかな改革をする人間になれるといいですね。
ちなみにここ(キッドの密林)では常識には何の価値もありません。
キッドの知識に比べれば常識など
間違いだらけに決まっているじゃありませんか。
sa様もしっかりと目を開いて視野を拡げてくださいね。
井上脚本は緻密ですので
登場人物の一人一人がしっかりとカギをにぎっているようです。
たとえばいわば狂人として視野狭窄に陥っている北村も
真摯な態度を持っており
取材元はきちんと訪問したりする。
まあ、さらなる取材も狙っているのですが。
・・・といった巧みな構成を持っているわけです。
そんなこともわからんのか? ・・・それともボケなのか?
投稿: キッド | 2006年11月16日 (木) 16時08分
●chocolate●まこ様、いらっしゃいませ●chocolate●
桐ちゃんはあの母の子ですから
男の子だからちょっと立ち上がりはにぶいけど
結構、やり手になることは間違いなしですよね。
それにしても北村さんは
ここにまでシャーを持ち込むとは。
・・・あ、まこ様はアキハバラ@DEEPを見てるんでしたよね。
松子ではトル・・・特殊浴場の従業員管理人(=ある意味ヤクザ)なのに心優しい男。
14才では戦場取材経験を持つ雑誌編集者(=ある意味カタギ)なのにどこかすね者。
本当にひねくれた役をやらせたらトレビアンでしゅー。
ま、かかかかかか風間くんと共演したあの役を見ちゃうと
どんな役をしていても自宅に帰ると
オレ様ザクが飾ってあるような気がしてならないのですが。
ヽ(゚∀゚)ノアチコチデジークジオン・・・はうぅん。
投稿: キッド | 2006年11月16日 (木) 16時49分
キッドさん、こんばんは!
母の家族一致団結は美しく拍手喝采でしたがその敵は北村でしょうかね?戦場の子供を撮ったという北村は一面でしか見てないですし、日本にも違う闘いがあることを知る必要があります。
ですから、ある意味闘いの違いを理解したら今度は援護に回る可能性もあるのではと期待してもいます。
ただ、母が産み育てることを無意味に賛歌してはなりません。あくまでシャープな視線でと伝えてほしいですね。
よろしくどうぞ。
投稿: かりん | 2006年11月17日 (金) 00時52分
✿❀✿❀✿かりん様、いらっしゃいませ✿❀✿❀✿
このドラマは
「もしもあなたの中学生の娘が妊娠したらどうしますか?」
「もしもあなたの中学生の息子が誰かを妊娠させたらどうしますか?」
という質問が発端にあると思います。
もちろん、娘や息子がいない人は想像で答えなければ
ならないのですが、
その場合は自分が中学生で妊娠したりさせたりしたらどうするか?
という質問が相応しい年齢の人もいるでしょう。
いずれにしろ、質問の答えは様々なものになるのでしょう。
ドラマでは一ノ瀬家と桐野家という答えが示されます。
その答えが自分の答えと違うことへの逆上が
ブログに散乱して、
キッドはちょっと面白かったのです。
キッドとしてはそういう年齢の子供を持つ親が
自分の家の状況をふまえて
じっくり話し合うにはいい機会だと思いますけどね。
現実的には中絶賛成派の核心には
一ノ瀬家は「きれいごと」という信念があるようです。
しかし、この程度のことが
きれいに思える人たちはどれだけきたない世界に
住んでいるのかを想像すると
キッドはちょっとかわいそうな気持ちになったりします。
道に倒れている誰かを見て見ぬフリするのははたやすいこと。
でもそれが家族だったら「助ける」というのは
もはや「きれいごと」なんでしょうか。
もちろん、現実的には中絶賛成派の皆さんは
「長い目でみればそれが娘を助けることになる」と
信じていらっしゃる。
本当にそうなんでしょうか。
キッドにはどうもそれは
「自分もこの世になど生まれてきたくなかったのだ」
という気持ちの片鱗のような気がしてならないのですが。
間違いとして生まれて来た子は幸せになんかなれない。
と断言する人がもしもいるとしたら
キッドはこう言いたい。
「あなたはあなたが思うほど幸せではないかもしれない」と。
「子育てが大変」と実感できる親が
自分もそうして育てられたと思えるとは限りませんが、
できればそう思い、子供にもそうであってほしいと思う。
キッドはその流れは賛歌に値すると考えます。
かりん様もどうか、最後まで安易な生命賛歌に対する警鐘を鳴らし続けていただきたいと考えます。
それもまた人の子の生きる道ですから。
投稿: キッド | 2006年11月17日 (金) 02時21分
キッドさん、こんにちは~♪♪
またまた泣かせてくれました~「14歳の母」。
ていうか、「のだめ」でも泣いてるし、
今週、泣いてばっかじゃん!!!
ヤマトは本日、これからお酒を飲みに行ってきます。
今日もまたぐでんぐでんになるのです。
でも二日酔いにはならないんだよなぁ、
どんなに飲んでも。
それにきちんとおうちのベッドで
きちんと眠るの、洋服も綺麗にたたんであるの
(記憶は一切無い)、
どんなに飲んでもね。不思議。
前回、同僚に真顔で、
「なんでそんなに飲むんすか?
帰り、どーしてるんすか?
ちゃんと、帰れてるんすか?
タクシーちゃんと乗ってるんすか?」
とすかすか責めされた為、
大変自己嫌悪に陥りましたが、
一週間経てば忘れる、あぁ人間の脳みそって便利。
16歳女子は結婚してOKというのが日本国の法律、
父も姉も法学部出身、法律大好きなヤマト一家なのですが、
たった2歳足りないだけで、世間は大騒ぎ。
たとえば、30歳と32歳なんて、どーでもいい違いですが、
14歳と16歳って、これまた体の発育加減に大きな
問題があるのでしょうねーーー。
でもあーゆーのって個人差あるし、なんだかよくわからん。
16歳なら子供産もうとそう世間は騒がないだろうに。
相手の男子も教科書に落書きされないだろうに。
家族たちも村八分にされないだろうに。
ハイエナ記者もブンブン飛び回らないだろうに。
ていうか、「ロミオ」ナンバー1「聖也」、
老けたなああぁぁー。
「夜王」では、忍成修吾君が好きだったああぁぁー。
もう ロリコン という宿命から逃れられないと
肩を落としていたら、
彼は以外にももう20代半ば・・・。
ちょっと胸をなでおろしたヤマトでした。
投稿: ヤマト | 2006年11月17日 (金) 17時20分
☆*⋄◊✧◇✧◊⋄*ヤマト様、いらっしゃいませ*⋄◊✧◇✧◊⋄*☆
30前後、一番、遊びたい盛りですよね~。
キッドは酔って記憶がなくなったことが
ないのですが、
シラフでは自分が自分でなくなることが
日常茶飯事ですからーっ。
月のタクシー代が30万円。
「乗りすぎデス!」
飲食費が天文学的数字に。
「おごりすぎデス!」
ゲイバーの領収書が気が遠くなるほどの額に。
「小指たてすぎデス!」
と家のものに叱られていた頃がなつかしい。
まさにうたかたの夢。
仕事をしただけ遊ばなければならないという
強迫観念。
体力が無限ではないと気がつかないほどに。
しかし、楽しいだけではつまらないという
やっかいな性格ですので
そういう日々はやがて終わります。
映画『ブレードランナー』で言うと
「オレはお前の見たこともない世界を見た。
燃え盛る炎の海、凍てつく氷の急流を・・・。
しかし、それもまもなく終焉を迎える。
流した汗やこぼした涙が乾くように」
という気分です。
そんな未来のあれやこれやを
何も知らないで母になる14才はなんと切ない存在か。
しかし、14才で母になる体験は
それをしたものだけが味わえる貴重な体験。
14才で母にならなかったものが知らない世界。
ま、なろうとしてもキッドはなれませんが。
それを気高いと考えるか、
愚かと考えるか。
それはそれぞれの自由。
そうせずに
心の闇を抱えて生きるのも一つの人生。
人間には忘れるという能力があるそうですから。
つまり、記憶がなくなるっていうことですよね。
しかし、闇の記憶は忘却処理がなかなかに
困難なものですからねー。
瞬間記憶→再生回想→短期記憶→再生回想→長期記憶
のメカニズムが闇の記憶を永久保存しますから。
どちらがリスクが大きいか。
キッドは個別の吟味が大切だと考えます。
人間の都合を抜きにすれば
女性が子供を生むのは自然なことで
女性が子供を堕胎するのは不自然なこと。
ナチュラリストの対極に位置するキッドが
そう考えるのですからもう間違いないでしょう。
波多野(北村)の家庭はまだ秘密ですが
気のない恋人に堕胎を命じて
「オレには世界の悲劇を伝える使命がある」
と戦地に向かった過去があったりすると
キッドとしてはうっとりできるのですが。
ま、波多野もグルグルシルキーベッド(子宮のシンボル?)
の一員ですから、ただの傍観者にはならないでしょうけど。
ショタコンやロリコンが
永遠の愛を誓えるのは
相手が『ポーの一族』(萩尾望都)だった場合のみですよ。
人間は皆、時の虜囚で全員老けますから~。
それが嫌なら、さあ、薔薇のエッセンスを・・・。
投稿: キッド | 2006年11月17日 (金) 19時37分