「きゃー、水がない」(内山理名)VS「きゃー、カミナリ!」(蒼井優)
20%を割ることなくここまで来たものとなかなかフタケタに届かないものとのそれなりに過酷なバトルの繰り広げられる木曜日の十時台。サオリンはアカネに続いて松子も救えるのだろうか。
今回、松子はなんだかさわやかな回で、コトーは重苦しい回なのである。松子、さわやかでどうすると思うのだが、人間、いつも楽しいばかりではいられないように、苦しいばかりでもやってられないのである。
もっとも、松子の場合、前回、人を殺して、全国指名手配となり、逃亡中である。覚醒剤中毒の禁断症状でときおり、ガクガクブルブルである。・・・これでさわやかに感じるところが松子。波乱万丈だ。
で、『嫌われ松子の一生・第五話』(TBSテレビ061109PM1015~)原作・山田宗樹、脚本・成瀬活雄、演出・酒井聖博を見た。のだめと同じ九州女の血を騒がせながら、松子は東へ東へ。同棲していた小野寺(吹越満)を殺害した松子は玉川上水にたどり着く。太宰治の故事にならい自殺を試みようとしたのだが、あいにく堰によって急流は止められ、水がなかったのだった。そこへ通りかかったのが理容室経営者の島津(杉本哲太)である。いわば哲太が今回のゲストキャラ。交通事故で妻子に先立たれて三年。知り合った女は逃走中の殺人犯。そうとは知らず、松子に惹かれるものを感じた哲太は松子を家に泊め、優しさに包まれたならきっと~の勢いで寝込みを襲う松子。二人はたちまち燃え上がり同棲生活を始める。
ああ、哲太。本当にいい役者になったよなあ。エキセントリックな役もでき、朴訥な役もできる。ロックンローラー出身者としては異色だ。で、今回は傷心の松子にしばしの憩いの場を与えるミスター・グッド・バーである。松子も癒され同郷のよしみもあって郷土料理のがめ煮を披露したりするのだった。ほのぼの松子である。
どうして最初から二人は出会えなかったのか、神様の意地悪~状態である。しかし、迫る警察の捜査の手。松子は所詮、つかのまの幸せと自首を決意。即座に自首しないのが女心。最後になんかしたいのは14才の母・並木道別れの挨拶に通じるところか。松子は赤木(北村一輝)に連絡をとり、トル・・・特殊浴場の先輩・綾乃(鈴木蘭々)の墓参りをする。かけつけた赤木は「あのとき、どうしてお前を無理矢理連れていかなかったのか」と過去を悔やむのだが、まあ、大抵の人間はそうなんですから。
教会でピアノを弾いている松子を背にして赤木は去る。松子の目に涙である。哲太はつがいの小鳥を買って松子を待っていた。そしてプロポーズ。しかし、そこへ警官乱入。情景としては軽いコントだが、もちろん笑える場面ではありません。「待ってるから~。シャバに出てくるのをここで待ってるから~」哲太の声に送られて松子はパトカーに。次週は「女囚松子」である。視聴率を稼ぐならここだ。
現代編は北千住署刑事(羽賀健二)がなんで刑事なんだぁと思う意外に特に言うこともないのだが、「松子おばさんはただ女として幸せになろうとしただけ」と鈴木えみが語れば語るほど非現実感に襲われ、小池栄子(52歳)の設定に違和感を覚えるのにももう慣れましたーっ。
で、『Dr.コトー診療所2006・第五話』(フジテレビ061109PM10~)原作・山田貴俊、脚本・吉田紀子、演出・平井秀樹も見た。原・父(時任三郎)子(富岡涼)がそれぞれに問題を抱えつつ島に帰ってくる。西山(大塚寧々)と安藤(泉谷しげる)は成り行きで原・父の事故を知り、手を差し伸べるが、『ふぞろいの林檎』以来、助けることはあっても助けられるのは柄じゃないキャラなので拒み、一悶着起こる。トラブルはトラブルで解決する常套手段によって低気圧が呼び寄せられ、今回、アピールポイントの少ない蒼井優は雷鳴に絶叫するのであった。当然の如く、子供中心の船が遭難、海の男が救助に向かう。手当てしたらたいしたことのない傷なのに操縦不能になるのはドラマだからである。一難去った後、父の財政的危機の事情を知った息子は父に遠まわしにやりなおしを持ちかけるが、父は断固として拒否するのであった。なぜなら、ふぞろいの・・・だからである。とにかく、そういう話を淡々と語り最後に中島みゆきでしめれば20%なのだから楽な作業といえば楽な作業ですよ~。しかし、王道というものはそういうものなのだなぁ。
水曜日に都会の少女のある意味、優雅な問題作があり、木曜日に問題なく育った女が大人になって大問題になる話と、島の子供には島の子供の生き方があるだろうという話。精神衛生上は実にバランスがとれるのだが、肉体的には非常にバランスをくずしやすい展開なのだった。・・・じゃあ、バレーボールを見るのをせめてやめればぁ。・・・だってながら仕事ができるしー。いいじゃんかぁ。そうこう言っていると密林の階下で若い女の絶叫、コンビニショッピングに出るととなりのビルのエレベーターホールで若い男が若い女を殴る蹴るである。仕方なく、警官を呼ぶ。この子らの親たちは今自分の子供が殴ったり殴られたりしているとは夢にも思わないのだろうなぁ。キッドは駆けつけた警官たちにあいまいな微笑みを浮かべつつ現場を去るのだった。
視聴率「コトー」22.3↘21.9マイナス0.4% VS「松子」*8.5↘*8.4マイナス0.1%・・・おお、0.3%差がつまった・・・。
関連するキッドのブログ『第三話』VS『第三話』
土曜日に見る予定のテレビ『たったひとつの恋』(日本テレビ)江口洋介のドラマもたけしさんで教育問題もそそるのだがもうこうなりゃとことん『たっ恋』で。
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コメント
杉本哲太さんよかったですよね~
ばかを感じさせるほどの素朴な愛情が感じられました。
しかし・・明日香役のお嬢さん・・・もうちょっと考えてほしいものです。
あの表情を見ると冷めます~
投稿: きこり | 2006年11月10日 (金) 14時21分
❆❆シバレルノ?❆❆きこり様、いらっしゃいませ❆❆シバレルサ!❆❆
哲太は映画『キリコの風景』(98)の頃から本当にいい役者に育ったと思いますデス。
明日香役は男女入れ替え技のため、ある意味オリジナル。
今はモデルメイクのギャル=現代の娘という設定のようです。この辺がスタッフのなんだかダサいところ。
キッドはもう少し九州人の田舎っぽさを強調して
素朴な感じの演出をすればいいのにーっと考えます。
原作ではこのポジションは男の子で
松子の人生を追体験することで心に深みを感じる役。
明日香はなんだか解説者のようで・・・。
お前が解説するなっという気持ちになってしまうキッドでした。
投稿: キッド | 2006年11月10日 (金) 16時53分
未だに不良キャラの嶋大輔さんに比べ、哲太さんてば
すっかり普通のおっさ・・・いや、役者さんになられましたよね~♪
映画版でのこの役は荒川良々さんだと知り、あまりにイメージが
違い過ぎてびっくり!
でも見た目、理髪屋のおやじっぽいのは良々さんの方かも~。
投稿: まこ | 2006年11月11日 (土) 01時20分
●chocolate●まこ様、いらっしゃいませ●chocolate●
元気になりましたか。
治り際も肝心といいますからね。
ご用心。
かって100円ライターのキッドと呼ばれていた頃から
嶋大輔も杉本哲太も
愛しいロックンローラー。
二人が厳しい芸能界を
それぞれの持ち味をいかして
泳いでいるのを
見守っているのがうれしいのです。
大輔も大人のドラマだとあのまんま役になりがちですが、
ウルトラマンコスモスでは隊長だったりしますから
ちょっと微笑ましいのです。
・・・確かに哲太より良々さんの方が床屋さんっぽい?
そして寝床に松子が侵入するのも
情にほだされた感が強いかも。
映画だと相手もエルメス中谷ですから
女性の好みにもよりますが
キッドには
その落差は相当な感じ。
う・・・あぶない。この展開は内山ファンに刺される展開。
まこ様、危険です~。
まこ様には全国床屋のオヤジ連合から刺客が来ますーっ。
はうぅん。
投稿: キッド | 2006年11月11日 (土) 03時57分