おかん・・・どげんしたと?(速水もこみち)
いつかこんな日が来ると分かるのは何才ぐらいなのだろうか。もちろん、人間の平等の問題。人間が平等である唯一のこと。それは「いつか必ず死ぬ」ということだ。「死」についてはわからないことが多い。その最大の原因は生きている人間は「誰も死んだことがない」からなのである。
人間にとって最大の謎「死んだらどうなるの?」は永遠に謎であろうところが素晴らしい謎なのである。もちろん、他人の「死」を目撃することにより、人は少しづつ、「それ」があることは理解する。「死」というものはある。しかし、それがどんなものであるか、経験者がいないというのはすごいことだ。
「死ぬかと思いました」とか、「死ぬほどの苦しみでした」とか、言うのだが、どの人も「死んでいない」のである。謎のあるところには物語がある。神話はほとんどが「死」を説明する物語だし、最近だって『デスノート』とか『地獄少女』とか『しにがみのバラッド。』とか、「死」についての妄想の物語は絶えることなく、続いている。
そして、おそらく、多くの人がこわいので「死」からは目をそらしていて、時々、どうしても目をそらせない状態になるとゾッとするのである。こわくて、不安で、せつなくて、名前を呼ぶのは誰ですか。愛しいその人の名は? そしてその人が「死」に包まれてしまったら、人間はもうどうしようもないのです。
で、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン・第四話』(フジテレビ070129PM9~)原作・リリー・フランキー、脚本・大島美里、演出・谷村政樹を見た。若者は多くの人々に囲まれている。基本は家族であり、両親や兄弟姉妹、祖父母、親類、場合によっては子供(ヤンママヤンパパの場合)である。また、同性の友人がいて場合によっては異性の恋人がいる。いや、異性の友人や同性の恋人がいても良いのですが。それから、周囲の人々である。近所とか、学校とか、職場とかいろいろとある。それぞれに人間関係とそれに関連する情がある。肉親への愛情、友への友情、恋人への恋情、周囲の人々への人情。これらの情はそれなりに質量があるので、時には煩わしくなったりする。孤独という、自己への愛情にどっぷりひたりたくなるのである。何度も書くが、「孤」とは「幼くして親のない状態」、「独」とは「老いて子のない状態」であり、「孤独」とは「子もないのに親もないという虚しさ」を著わしているのだが、「情」の重さに耐えかねるととても魅力的な状態にもなる。人間の基本は「ないものねだり」だから。
ともかく、親を失った人や、親の愛情に恵まれなかった人から見ると腹立たしいほどの「愛」に甘やかされた「ボク」(速水)なのだが、ついに「死」によって「祖母の愛」の継続が断線してしまう。この損失により、立ち直れないタイプの人もいるのだが、「ボク」は立ち直る。オトンとオカンが微笑むほどの立ち直りである。「甘える」のにもエネルギーはいるので「甘えられなくなった」分、他に転化したのである。それは「バイトを真面目にやる」「掃除をする」「洗濯をする」「食事をする」「光熱費を払う」「家賃を払う」さらには「イラストを描く」までになる。つまり、それだけ「ボク」は「甘え」に情熱を捧げていたのである。すごい「甘えん坊」なのだな。
普通でない「甘えん坊」体質に周囲の目は優しい。人間は「ないものねだり」だからだ。その代表は鳴沢(平岡祐太)である。金を貸し、仕事を紹介し、彼女を譲り、そして主人公が迷えば自分の恥をさらしつつ、適切なアドバイス。鳴沢ーっ。キッドにも甘えさせてくれーっ。である。ま、一将功成りて万骨残るなのですね。
そして恋人(香椎由宇)も優しい。鳴沢と逢っても「ボク」の話、「ボク」が奢ってくれるなんていえば、天国にも昇る気持ちで、しかもラーメンで満足、「ボク」がむせたらティッシュである。鉄仮面も笑みくずれるのである。ボクも「いいことあったら教えてね」という母をさておき、「恋人」を優先して「いいこと」を教えちゃったりしている。マザコンがテーマの物語に相応しく、恋人の顔立ちは「母」の面影を感じさせるキャスティングになっている。(もっともキッドは顔の区別には自信がないので無理して断言しています)・・・笑顔が特にかぶると考えます。ともかく、この世の春である。いい感じで「東京タワー」に登ろうとするとそうはいかない物語なのであった。
母(倍賞美津子)は甲状腺にレベル5の腫瘍(ガン)ができ、声帯への転移のために要手術状態に。叔母(『じゃあまたね』(作詞・安井かずみ)でおなじみ浅田美代子)から状況を聞いた「ボク」は母をなじる。「なんね。そんなにボクが頼りにならんとね。なんで相談してくれんの」「もう、決めたことじゃけん」「命にかかわるとよ」「声帯ばとったらマー君と、電話でしゃべれんようになるけん。それはできんと。大丈夫ったい。ガンぐらいじゃ死にゃあせんからね」・・・・・・ああ、もう涙で前が見えません。
関連するキッドのブログ『第三話のレビュー』
『しにがみのバラッド。』では幼くして死んだ姉が弟に死神を通じてメッセージを送る話。メッセージは「(いつか)死ぬよ」というものだった。もちろん、意地悪でなくて美談なのである。
恒例の週末の視聴率チェーック。「わるいやつら」↘10.1%(週末に巨悪があるからなぁ)、「花より男子2」↗23.1%(爆上げーっ。華麗に肉薄押し倒せ元祖俺様)、「只野」↘14.4%(わるいやつらやられる)、「演歌の女王」↘*8.5%(唯一のヒトケタドラマだけどキッドは応援っ、今いじめられている人の何の役にも立たないところが爆笑)、「風林火山」↗21.9%(ミツーっ、今度は日向更、幸せになれるといいなーっ)、「華麗なる一族」↗23.5%(アンナ様~気を楽に~)・・・ちなみに「金曜ロードーショー・赤い月」*9.6%(だなーっ。常盤貴子を生かす物語ではないものなーっ。ロト6を越えないとなーっ)でしたーっ。
水曜日に見る予定のテレビ『ハケンの品格』(日本テレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
内緒だよ。
今クール一番好きなドラマがこれ(シッー)
コブクロがコブクロがコブクロがぁーーーー!
この曲におかされてる。
視聴率が16%まであがってきた!
やったね、もこみち♪
花男2すごいね~華麗を抜いてしまう。
スゴーイ!今クールTBSはウハウハだね。
投稿: アンナ | 2007年1月30日 (火) 14時33分
そっか視聴率上がってきたんだ。絶対打ち切りだと思ったのに・・・。花男2の面白さは、まだ理解出来ないけど、華麗がつまらないのでは・・・?
投稿: お気楽 | 2007年1月30日 (火) 18時49分
オカンが恐れるのは死よりもマー君と話が出来なくなる事…
う~ん、これほどまで愛情あふれる母親をあたしは知らんばい!
それこそ死んでしもーたら、マー君と会えんようになるとばってんですたい!!!
オカンに毎週泣かされて、こっちのノドの奥がごろごろするばい・・・
マー君は「ひとりが好きなのひとりっこ ほんとはうそなのあまえっ子」なのですか~???
じゃぁまたね♪
投稿: まこ | 2007年1月30日 (火) 20時56分
死は誰にもわからないものですが
遺された者にその死の重みが分かるのかもしれません。
特に自分の親愛なる者であればある程に
重くなるのでしょうね。
分かり易い展開ではありますが
人前で自分のつらさを見せる事なく
笑って、たとえ自分の命が短くなろうとも
息子と繋がっていたいというオカンの思いに
K.O.です(;∀;)
次回は息子がその思いに応えるようですね。
今のとこ、連続泣き更新中(;∀;)
投稿: ikasama4 | 2007年1月31日 (水) 00時06分
☁Building☁アンナ☆ラン様いらっしゃいませ☁Building☁
アンナ様、かりん様、そしてまこ様。
お嬢様が三人そろって泣き虫状態に。
アンナ様は「泣いてスマスマ」ですか~。
それなのに~お気楽社長はーっ。
人間なのかーっ。
時々、違うけれどーっ。
それにしてももこみち、
16%でなんかすごく「とったな」
という気持ちになるのは
レガッタの印象が強すぎるからーっ。
でも、キッドは役者として成長している
と思うの。
今回は編集者とのやりとりの表情が
すごくよかった。
そーですねー。
きらきらスタッフの肩身のせまさを
想像すると
涙が止まらなくなりますーっ。
投稿: キッド | 2007年1月31日 (水) 14時13分
✞✞エコエコアザラク✞✞お気楽様、いらっしゃいませ✞✞エコエコザメラク✞✞
お気楽社長ーっ。そういうところが好きーっ。
しかもアンナ様の直下で
「華麗つまらない」「華麗つまらない」「華麗つまらない」
じいやは卒倒しそうになりましたよ。
いまだにエコーが続いています。
ま、でもそういう人もいなくちゃ、
世の中面白くならないものね。
ああ、お気楽様の乗れるドラマは
もうないのですね。
今年の大河はかなり面白いけど
時代劇はお好きではないみたいだし。
仮面ライダーの新シリーズは
キッドは爆面だったんですけど・・・。
どうですかね。
仮面ライダープラス銀鉄999みたいな話なんですけど。
投稿: キッド | 2007年1月31日 (水) 14時23分
●no choco●まこ☆ミキ様、いらっしゃいませ●no choco●
お嬢様ーっ。すぐに主治医をお呼びいたします。
ああーっ。ごろごろなんて。
ごろごろなんて大変でございます。
まさか、猫に変身するとかいった奇病じゃないでしょうね。
ねこ☆ミキ様になってしまうのではーっ。
ふう。宇宙アメごっこでビー玉が
のどにつまっていただけでしたか。
お嬢様、かようなものを
お口にしてはいけないと
じいやはご幼少のみぎりより・・・。
あ、もういない。
投稿: キッド | 2007年1月31日 (水) 14時31分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
そうですね。連続ドラマでこれって
大丈夫なのかと
思ってましたが、
毎週あの手この手で泣かしてくれますね。
もう中盤だから
たいしたものだ。
もこみちの印象がどんどんよくなっているので
視聴率がこのまま右肩上がりなら
大成功のドラマになるかもしれません。
ikasama4様も連続泣きですと
キッドもいれてH☆Cで
五人。
月曜日に泣き続けることが
できるのか。
楽しみです。
そしてお気楽様が最後まで泣かないのかどうかも・・・。
かりん様も泣いているので
AB型でも泣けるはずなのですがーっ。
投稿: キッド | 2007年1月31日 (水) 14時42分
キッドさん、おはようございます~♪♪
おかん・・・とうとう、
宣告されてしまいましたね。
そして、おかんが一人ぼっちで
「入院のご案内」片手に
病院に向かうとき、
まー君は女の子とイチャイチャ
なのですね・・・。
「大切な話なんよ」の
電話もガチャ切りで、
女の子の元へ向かうんですね。
そしてラーメンのどにつかえて
咳き込んで女の子に
口元を拭いてもらう。
それはおかんの役目だったのに。
ヤマトは切なかったー。
いつか子供は、恋だの愛だのに
目覚めるのですねー
親の気付かぬうちに。
ヤマトも今好きな人がいますが、
ママと過ごす時間が大きく減りました。
ママは気付いているのかしら。
母親と娘ってのは、そこらへん
何でも話しちゃうもので、
うちは、事細かになんでも話す派
なのですが、
あまりにもママとべったりだった最近、
何故だか話しずらい。
結婚しろ結婚しろうるさいってせいが
大きいのですがー。
ママが命に関わる病気になるなんて、
考えただけでヤマトの脳細胞は壊れます。
でも好きな人のそれも
やはり考えるだけで脳細胞が壊れる。
大切なものが増えるということは、
失うと耐えられないものが増えることなのですね。
平岡裕太君は、「ステキな友達」の役
をすると、右に出るものナシですね。
ステキです。友達思いの男子って、ステキ。
投稿: ヤマト | 2007年2月 2日 (金) 08時56分
☆*⋄◊✧◇✧◊⋄*ヤマト様、いらっしゃいませ*⋄◊✧◇✧◊⋄*☆
男の子と女の子のマザコンは
かっては思春期で分岐して
女の子は擬似母性へと
男の子はマザコンの恋人への投影へと
変転していって
いわゆる恋愛を形成していくのですが
男女同一化の進む現代社会では
そのあたりが
微妙に。
ま、「私はあんたの母ちゃんじゃない」
と女の子が怒ったりするのは
ある意味健全で
「君はママみたいに優しくない」
と男の子がブーたれるのは
ある意味病的と
男女間には微妙な差異があるのですがね。
男女差別主義のフェミニストとか
ジェンダー無視の博愛主義とか
もう、複雑にしようとすれば
いくらでも複雑になっちゃいますから。
ま、基本的に
赤子笑うな来た道だ
年寄り笑うな行く道だ
ってことで
少なくとも母親は覚えていれば
娘の気持ちは心の内にあり
ということでおりあいつけるのが
理想です。
でも忘れちゃう人は忘れちゃうし
時代によってはまったく予想外の青春が
ありうるので
ジェネレーションギャップで理解不能ということも。
ま、でも人として
共感しあえる母と娘であることは
甘酸っぱい甘酸っぱいことですものねー。
それを一瞬でも感じることができれば
人として幸せなんですものー。
脳細胞はどんどん壊れますがーっ。
もうすぐ金で脳細胞が買える時代がーっ。
きっと、キッドは間に合わないがー。
ヤマト様は間に合っちゃう世代かもーっ。
もちろん、きっと貧富の差がそこにもー。
ああ、もう少しお金があったなら
あと10グラム、脳細胞が増量できたのにーっとか。
その日のために少しは貯金しておきましょうねーっ。
平岡裕太くんが友達ならばー。
脳細胞も分けてくれたしてー。
少ないけど使ってくれ。
返すのはいつでもいいから。
キッドは返さない!
投稿: キッド | 2007年2月 2日 (金) 18時38分