信じていいんか・・・本当に信じていいんか(貫地谷しほり)
ああ、「演歌の女王」のひまわりとヒトシとくらべたら、なんてまともな二人なんだ~。と思わざるを得ない山本勘介(内野聖陽)とミツ(貫地谷)・・・。しかし、まさか、来週は、そんな・・・でつづくである。今年の大河ドラマ、面白すぎる。もちろん、こちらの二人にだって分岐点はあるのだが、けなげな愛の形がなんだか新鮮に思える最近のドラマって・・・。
物語は再び、甲斐へ。山梨県の県知事が横内氏に決まったりしたのだが、横内氏は清和源氏でも信濃(長野県)の衆。物語では逆に甲斐(山梨県)の衆が信濃に攻め入る算段である。甲斐の衆も基本的には清和源氏である。甲斐源氏の棟梁としての武田家の歴史は古い。源頼朝の挙兵に従い戦功のあった武田信義の一子信光が甲斐守護を安堵されている。それから十三代目が武田信虎(仲代達矢)だ。一族繁栄して武田だらけになるので与えられた土地によって新しい名を名乗るのが一種の通例になっている。武田も元は逸見の分家の出身である。板垣も古い分家で信光の兄弟の代で分かれている。板垣信方(千葉真一)はその末なのだな。甘利家も同様で武田一條氏の分家。甘利虎泰(竜雷太)はここに属す。分家山縣氏の分かれに原氏があり、原虎胤(宍戸開)。坂東平氏の流れも汲む小山田家の信有(田辺誠一)、他に有力な分家として穴山家がある。この他に同じ清和源氏でも多田氏系もあって諸角虎定(加藤武)、多臣系の飯富虎昌(金田明夫)など、要するに一族がうじゃうじゃいるのである。それが縁を結び合い武田家臣団を形成している。一枚岩のようであって流動的、それが戦国時代の守護大名家だった。
そこに流れ者である。山本勘助なのである。駿河の庵原は吉備氏だが、もはや土豪化して清和源氏足利家の分家今川家の家臣にすぎない。そのさらに末端に山本家があり、そして勘介はその家さえ継げないのだ。そんな人間が武田家で将となり、軍師となる。まさに伝説のロマンなのだなぁ。だからこそ、勘助とミツのロマンスにはリアルがあり、そしてせつない。
で、『大河ドラマ・風林火山・第三回・摩利支天の妻』(NHK総合070121PM8~)原作・井上靖、脚本・大森寿美男、演出・清水一彦を見た。三河の養家の実子に手柄を奪われ、駿河の実家の兄に殺されかけ、勘助は甲斐に戻る。そこではお尋ね者の身だ。まさに八方塞の様相である。そしてそこに待っていたのは妊婦となった土民の娘ミツ。傷心の勘助をミツが優しく包む。飢饉のさなか、一杯の雑炊。それが持つ慈しみの心をさりげなく示す演出がまた素晴らしい。
一方、地位あるものたちの間でも時が流れていく。やがて勘助の主人となる武田家の嫡男(後の武田信玄)は父親(信虎)に疎まれ、その原因である父をしのぐ器量を隠すためにうつけを演じている。叔父を討ち甲斐統一を果たした父にとってたとえ我が子といえども心を許せなかったのである。しかし、その好戦的一途な性格は周囲に敵を作り、今川、北条、諏訪と三方から攻められ、領土拡張は妨げられていた。今もまた信濃(諏訪氏支配)侵攻を計画中なのである。傅役の板垣(千葉)はその心中を察し、歌に託して来るべき謀反を約する。
さらに、隣国の今川家では福島(くしま)家を中心とした陰謀が渦巻き始める。福島が武田への寝返りを約束してきたのだ。信虎はこれに乗る。
そうした世の流れとは別にミツと勘助には別の時が流れていた。臨月に近付くミツ。勘助は野望をもてあましているようで、ミツは思いつめる。ミツは「こんなところにいたくないのでねえか」と勘助に問う。しかし、勘助は「俺は誰からも求められず、生きてきた。戦をして人を殺した。しかし、それは本当の戦ではない。戦とは何かを守るためにするものだ。俺には守るものなどなかった。だが、ミツ。お前は俺の城だ。俺が生まれてはじめて得たまもるべきものだ・・・」愛の告白である。
そんなミツと勘助の愛の暮らしに暗雲が漂い始める。最初は武田長男の侍女募集。そして武田父の狩猟ゲームである。放たれた矢は、まさか。このキャラは生かしておいた方が・・・。そして次週タイトルは「復讐の鬼」・・・えーっ、そげなーっ・・・でつづくである。
先は長いのに貫地谷とはお別れなのだな。それにしても公式ページ、信虎に惨殺って・・・ネタバレすぎるだろう。これでは「花より男子2」をレビューしなければならなくなるではないか・・・。
関連するキッドのブログ『第一話のレビュー』
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
続いて『華麗なる一族』のレビューをお届けします。
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コメント
ようやくコメントができるようになって何よりです(笑)
そういえば、先程、甘利明って国会議員の名を見たのですが
彼のご先祖は甘利虎泰さんらしいですね。
称する人も多い中、これは本当らしいです。
さてさて
貫地谷さんの存在感は抜群ですね。
彼女との時間が今後の勘助に
変化を与えてくれるのでしょうね。
>公式ページ、信虎に惨殺って・・・ネタバレすぎるだろう。
ネタバレの具合なら大河ドラマ・ストーリーって本は
その上を言ってます(笑)
もう大河ってこんな感じなんで慣れっ子になってしまいました(;・∀・)ゞ
投稿: ikasama4 | 2007年1月23日 (火) 19時39分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
誠にご迷惑をおかけしましてすみません。(恐縮)
滅びるようで滅びない家名と一族。
女性の持つ強さの象徴ですよね。
これを破壊しようとする現代の政治倫理なのですが
結局は性の力がまた復権していくだろうと
キッドは考えます。
人民は弱し、官吏は強し、されど母はなお強し。
です。・・・ま、そうであってほしいという願望をこめて。
さて、貫地谷しほり。
これはスタッフの意図を越えた
強烈なキャラクターになってしまったのではないか
とキッドは思っています。
だって、現在のドラマの中で萌え度ナンバーワン。
石原静御前をもしのぐ勢いです。
キッドは基本的に
周辺情報を得ても動揺しないタイプなのですが
さすがに、このフィクションの登場人物「ミツ」は
「殺すなかれ」
と神に祈りたい気分です。
そこまで読んで
「殺す」というのなら
スタッフに脱帽したいと思いました。
投稿: キッド | 2007年1月24日 (水) 02時31分