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2007年2月11日 (日)

底辺に生きる人々をトップスターが演じているわけですがそれが何か?(福田麻由子)

今回、前髪をちょっと足らした信友幸子(福田=ひまわりの少女時代の擬似人格)はかわいい。とお気楽社長とキッドは認定したわけだが、幸子は今回、ワイドショーのレポーターごっこをしているのだが、「ひまわりが不倫したラブホテルなのです」って中学生に何をさせてるんじゃあーっ・・・と眉をひそめる方も多いのではないだろうか。しかし、キッドはいいと思う。モラルは大切だが、表現はモラルになんかしばられなくてもいい。しかし、商品としては制約があるし、演技者だって人間だ。そんな恥ずかしいセリフを言わされて心に傷を負うかもしれない。ま、それでつぶれるならそれまでの役者だったのだっと冷徹にふるまってもいい。しかし、そこまでするからには命懸けのドラマにしてもらわねばなるまい。ただの視聴者として心の底からそう思う。

ひまわり(天海祐希)を下痢にした上でトイレットペーパーがないのでレシートで処理をさせるというとんでも描写をトイレにすわっているシーンつきで挿入するというスターの立場を無視した演出が確信犯なのか、それとも無能の結果なのか、激しく問われるこの回。キッドの好みもあるが、演出力では岩本>大塚>木内という評価の演出でギリギリ、セーフティーゾーンに飛び込んだと思う。

惜しいのは「演歌」というものに対する尊敬や、それに伴う理解が相変わらずもうひとつ感じられないこと。

で、『演歌の女王・第五話』(日本テレビ070210PM9~)脚本・遊川和彦、演出・大塚恭司を見た。前回、ブタのパンツを履いたヒトシ(原田泰造)と不倫関係の肉体交渉を持ってしまったひまわりはラブホテルの廊下で確率的にはありえない実母・信友星江(高畑淳子)とその彼(ホスト)との遭遇を果たす。そして・・・ヒトシは星江に「不倫なんですけど」と初対面の挨拶をするのだった。人間に上下があるとすると、妻が妊娠中に昔の女と不倫する男、その相手の女、その女の母でホストに入れあげる女、ホストがラブホテルで顔を並べているのは・・・まあ、底辺の人々だと推定します。ラブホ代があるだけ、経済的には最底辺ではないけれど、ま、底辺に位置すると。この前提で今回は話を進めることにします。そうです。これは底辺の人々をめぐる物語なのです。

人間に上も下もないだろうという意見もありますが、すると向上心はどこへ向けばいいのか迷います。幸せを探すのも難しい。上に天国、下に地獄の感覚もなくなってしまいます。ひまわりは売れない演歌歌手。レコードの売り上げにだって上下があるのです。レコード売り上げ的に底辺です。そしてヒトシは呉服屋の跡取り息子ですが商売に熱を入れている様子は皆無。商売繁盛から底辺です。しかも、子育ては放棄するは、新婚なのに浮気するは、中学生と援助交際するはで公序良俗的に底辺です。もちろん精力は平均のやや上に位置しているようなのでそこが少し底辺脱出の兆しであるほどの底辺なのです。そしてひまわりの母はホストに入れあげ、タコヤキ屋を売り払うほどの底辺。なにしろ愛をお金で買うほどの底辺で、そのお金もなくなるほどの底辺です。ホストは・・・まあ、口にするのもはばかられるほど底辺なので、この際、人間の枠組みからは隔離しておきます。

そんな母親からの借金を拒否するひまわりの弟(父親違い)。彼はどうやらハッカーらしい。しかもネット取引で億単位の金を動かしている。経済的には底辺とは言えない高層マンション暮らし。母にも姉にも金を貸すほど。しかし、彼の周囲には他人の気配がない。まったく人間関係がないらしい。もちろん、それが底辺とは限らない。ひとりぼっちでいることがたまらなく快感である人間はいるので、ここは彼の心理に踏み込む必要があります。彼が他人を求めているとしたら、「一人ぼっちは淋しいよぉ・・・」なので底辺になります。さあ、どうでしょう。彼は底辺なのか、そうではないのか。

例によってひまわりの動きは間が悪く、いい仕事の誘いには携帯電話の電源を切っていて興行師のユーの人(段田安則)には嘆かれ、エレベーターは調整中、伝説のチョコレートは売り切れです。そんなひまわりの希望の光は・・・実は貞子(成海璃子)なのです。いじめられっ子でブサイクな男子にもふられてしまう貞子ですが、ひまわりに何か特別なものを見出し弟子としてつきまとううちに何か生きがいのようなものを見出したようなのです。いわばひまわりは命の恩人。何一つ善いことをしていないように見えるひまわりですが、それが好きな男にかかわりのある相手だからという不純な動機によるものであったとしても、結果として一人の人間を救い、そこに底辺からの脱出の萌芽が感じられるのです。

それにしてもヒトシのような底辺の人間を幻を見るほどに恋焦がれるひまわりは世間の人々から見れば愚かそのもの。普通なら見ても見ないフリをしたい相手なので視聴率は相当に底辺です。今回も、「一人でいい」という弟や、「お前なんかいらない」という母親にまとわりつく様がなんだか気持ち悪く感じられる時代になっていますので、どんどん底辺になってしまうのではと危惧するほどです。

底辺の人々の親はほとんど底辺です。親の親も底辺であり、親の親の親も底辺でしょう。ひまわりは「女の分かれ道」で「家族をほっとかない」を選ぶのですが、この決断の時に使用される高速回転による人の声も手法としてかなり底辺です。しかし、幻想のビジュアルはなかなかおしゃれでこのあたりのちぐはぐさもなんとも底辺なのです。幻覚の幸子も本来のかわいさから言えば底辺で可哀想なくらいです。

ここがつらいところなのですが、底辺のヒトシの希望の光は底辺ではない母(池内淳子)の存在。しかし、ヒトシを育ててしまったので底辺といえば底辺です。そして嫁(酒井若菜)は底辺からはいあがり幸せになろうとしているものの手法が底辺なのです。靴に画鋲。画鋲に瞬間接着剤くらい底辺です。靴とくっつかないのか・・・とツッコミも底辺になってしまいました。ああ、その家庭に生まれようとしている嫁の胎児。お前はなぁ。お前は生まれついて底辺だ。しかも、母を襲うアルツハイマーの病。母は底辺への恐れで心が底辺に至るのです。

この母のマジな底辺がひまわり一家のバカな底辺ととても折り合いが悪いのですが、でもまあ、他人の関係とはそういう底辺なアレですから。

今回、「おふくろさん」(森進一)なのですがサイズチェンジは前回より底辺を脱出。「おふくろさんよ、おふくろさん、空をみあげりゃ空にある」ああ、底辺より空へ。母なる神に捧げるラブソング。献身の詩でございます。

さて、底辺ならではの意地。情報収集にすぐれた貞子(ウルトラQで楳図かずおのイメージ拝借の底辺)によって母が騙されていると知ったひまわりは情報なくても分かるのだけれども、パートナーとしては底辺なヒトシとともにホストクラブへ。ガイドはゾンビです。底辺だからな。さて、ホストと対決したひまわりを押しのけるのは母。しかし、母もまたホストにおしのけられる。取り出すはキチガイに刃物でございます。ああ、これぞ底辺の極み。そして底辺のお約束で母の刃の前に身を挺するひまわり。

もちろん、傷害罪、場合によっては殺人未遂でございますから、現行犯逮捕なのですが、底辺の人々による底辺の出来事なので警察は介入しません。そして例によって志田医院。病院名が志田なので14才の母が半海一晃の娘として登場するのでは・・・と底辺なりに望みがわくところですが、それはさておき「今度こそは危篤であってほしい」という医師の底辺な願いもむなしく息を吹き返すひまわり。そして、輸血をしたのは犯人の・・・いや、母です。底辺を流れる底辺の血液の交流・・・そして金づるになるからと踏んでの行動かもしれないがヒトシとしてはよくやった弟(黄川田雅也)の登場。そうです。彼も底辺だったのです。「金はあるが心はなかった」のでした。しかし、今、姉・ひまわりの病院への借金を支払い、老いた母を支えて病院を出て行く弟は「お金で買えない愛」を得たのです。それが底辺からの脱出なのか、底辺への身投げなのか・・・微妙なところがこの作品の底辺ぶり。しかし、今回はよくできた。底辺だってなあ。生きているんだよぉ。幸せになりたいんだよぉ。悪いかぁという叫びが聞こえてきましたからーっ。

底辺のホストの看板にいたずら書きをするヒトシ。石をぶつけて破壊するひまわり。そして温水刑事登場。二人はラブホテルへで底辺のリフレイン。そっかーっ、これはこれで底辺の『傷だらけの天使』なのだったのだなーっ。ヒトシの母のアルツハイマー状態を暴露しつつ、つづくです。

お笑いドラマとしてはついに不発の模様となっておりますが、いろいろな意味でボーダーラインを試しているドラマなのですね。そういうことはもう少し余裕があってするといいのですが、ま、できる時にやろうという気持ちも大事ですからね。底辺のプリントメディアが「打切り」を匂わす季節ですが、局としてはやっちゃった以上、最後まで面倒見てもらいたい。ま、テレアチャにくらべればこの局は我慢強いと定評があるのですけれども。

関連するキッドのブログ『第四話のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(フジテレビ)

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コメント

>局としてはやっちゃった以上、最後まで面倒見てもらいたい
まあ、「女王の教室」の時も反響の中でもきちんと採取会を迎えましたから・・
って、あの時とは何もかもが違う状況のようですが・・
このドラマを最後まで見られたら・・
何か一線越えたっていうか・・やり遂げた感があるかも・・?

投稿: きこり | 2007年2月12日 (月) 12時12分

見てる最中に、何度か「今週でもう見ない」
「最終回まで見届ける」との「女の分かれ道」に立ちつつ、
ひまわり同様、行ってはいけない方に・・・ゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ

麻由タンと璃子タンのかわゆさも、
あたしを引き止めてしまうデス、はぅ~ん♪

投稿: まこ | 2007年2月12日 (月) 15時27分

❆❆コタツミカン❆❆きこり様、いらっしゃいませ❆❆チョコレート❆❆

いよいよ、視聴率的には惨敗傾向なのですが
キッドはドラマとしてはまあまあの出来だったと
思っています。
いろいろ冒険してことごとく失敗して
まあ、なるべくしてこうなったということですが。

たとえば今回、「おふくろさん」
なのですが母親がテーマだから
「おふくろさん」にしたみたいな・・・。

雨の降る日は傘になり
お前もいつかは世の中の
傘になれよと教えてくれた
・・・部分はどこに行ったんだ
と思わず嘆いてしまいます。

演歌に対するオマージュが
あまりにも不足しているのが
残念なのだなぁ。

それでも今回はマシだったかも・・・。
きこり様に見捨てられたら
終わりだと考えます。

●no choco●まこ☆ミキ様、いらっしゃいませ●no choco●

善良なドラマブロガーを苦しめて・・・。
困ったドラマでございます。

まこ様をそこまで追い詰めるとは
どんなくそっと呼ばれるドラマなのでしょうか。

いや、確かにいきなりくそっなシモネタですものねーっ。
スターの皆さん、もう精一杯ですよーっ。

子役の皆さんもできる限りのことをしているのに・・・。

とにかくー、なんとかー、最後まではーっ。

投稿: キッド | 2007年2月13日 (火) 21時51分

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