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2007年3月22日 (木)

学校って何ですかーっ・・・って書いたら怒られますか?

ああ、ものすごく久しぶりにドラマじゃない番組のレビューである。もうどこから何を書いていいのか。分からない。ゲシュタルト崩壊寸前である。学校はなぁ。難しいのだよなぁ。キッドは教壇には何度か立っている。「先生」と呼ばれるとああ、オレが、オレが人に何かを教えていいのだろうかっと罪悪感に責められつつ、できるだけ悪いことを教えてやろうと仄暗い喜びに燃えるのである。

もっとも学科の教育は高校へ教育実習に行き、社会科を教えただけで、後は専門学校で怪しい専門知識を教えただけなのだが。だから、少なくとも、教育の難しさを感じる入り口くらいには立っていると思う。

基本的には学校とは「情報伝達の場」である。だからメディアの一種なのである。基本的には教師が送り手で、学生・生徒・児童が受け手である。しかし、ワンウェイ・コミュニケーションではなく、受け手からの情報のフィードバックは可能なのである。当然、このメディアを語ることは非常に複雑になるのだな。

で、『NHKスペシャル・学校って何ですか?第一部』(NHK総合070321PM0730~)MC・武内陶子、木村功二を見た。安倍総理の主導する教育再生会議を意識しつつ、現状の公立小中学校の現場のスケッチである。第二部には討論会があるのだが、そのための知識の共有としての側面を持つ。第二部については触れない。人の意見なんてそれぞれだし、いちいち解説していると一生が終ってしまう。

大きく分けるとレポートは三部構成でスタジオのMC二人が受けてまとめるという段取りである。最初に言っておくが、この二人はお勉強ができたことではおそらくチャンピオンクラスである。当然、その視点は上から見下している・・・と思う。

第一VTR「東京都の公立学校選択性の波紋・江戸川区の二つの中学」である。ここで問題とされるのは「公立学校の学力の低下」である。そのために「競争原理」を取り入れたのが「学校選択制」なのである。「選ばれてしまう」ので「やる気をだす」だろうという国民的美少女コンテストに学んだ政策なのだな。そして、当選者と落選者という格差が生れたのである。人気のある学校は定員の四倍の応募があり、人気のない学校は定員割れを起す。さあ、どうするか。抽選である。運だめしかよっ。

ところが恐ろしいことに単なる運で左右に分かれたにも関わらず、人気校は学力が向上し、不人気校は低下するのである。人間って不思議だなぁ。もちろん、ここには私学の存在がある。大人気は私学なのであり、私学には運だけではなく、学力や財力が要求されるのは言うまでもない。格差社会において私学↘人気公立校↘不人気公立校という三段階が生れつつあるというか、まあ、実際にはもう生れているのだが、不人気公立校のレッテルをはられてしまってはもうつらいのだよな。生徒がっ。

しかも、恐ろしいことに番組では人気校の生徒は優秀、不人気校の生徒は劣等を取材するのである。わははははは。そりゃ、人情もクソもないわな。人気校と不人気校に分かれた姉妹が紹介され、もはやドロドロになっている。スタジオでは「公立校は私立校に圧迫されているのでこれもやむをえない」と解説する。シビアというのか、恐れを知らないというか。NHK。さすがだっ。

第二VTR「兵庫県では落ちこぼれを出さないことを最優先している尼崎の義務教育」である。つまり、底辺の底上げを目指すわけだ。基本的主張は「教育に熱心ではない親の子供は宿題をしないので学力が低下する」である。それを防ぐためには「教室でのカリキュラム進行速度を減速するのもやむなし」なのである。そして、教師は落ちこぼれを重点的に指導し、「できる子はできる子で自主的にお願いします」体制である。それでも「落ちこぼれ」は必ず発生するので「さらに減速」である。できる子の不満はつのり、スタジオでは「このためにできる子は尼崎の学校には進学しない傾向がある」と結論する。つまり「尼崎の子供はみんなバカなのだ」ということだな。NHK。すごいぞ。

第三VTR「福島県の郡山では2002年の学習指導要領にのっとって少ない学習時間(ゆとり教育)で高度な学習内容(学力向上)を目指すために教師がギブアッブ寸前の中学」である。ま、基本的には教師はがんばっているけどもう無理という内容なのである。基本的にはNHKもがんばっているけど受信料は値下げしないし、義務化しないと無理と言っているのである。ここではまず国語の授業で「意見文を三時間でマスターしよう」という学習内容が紹介される。

そんなことでマスターされてたまるかっというキッドの気分はさておき、これは生徒の考える力を伸ばすための授業なので先生はがんばってプリントを作りました。

①意見を決めよう。②意見の賛成理由を考えよう。③意見の反対理由を考えよう。④反対意見に反論しよう・・・という四段階の空欄を埋めて骨組みを作るというスタイルである。

親切にも最初の意見の例が挙げられている。①ドラえもんの存在はのび太にとって好ましい。②中学は弁当がいい。③中学生にも運転免許を許可する・・・である。ちなみにNHKは③を選んだ生徒をとりあげました。えーっ①だろーっ。もちろん、これはたとえば死後の世界を信じるものと信じないものの二重人格を脳内に仮想配置し、一方を主観として論理を展開する高度に知的な行為なので誰にでもできることではない。結局、時間内に意見文の提出を果たした生徒は全体の一割程度であった。

しかし、文科省の要望には答えなければならない。もちろん、教師はそこに全力をそそげるわけではない。文科省の要求は果てしない。学力を向上させ、同時に心を成長させ、さらに社会で暮らせる力を教育せよなのである。ついでに給食費の未納者からの取立ても教師まかせである。テストの採点一つとっても普段の授業態度からレポート内容まで細かく採点基準が設けられ、教師は常に生徒を評価し続けなければならないのだ。たとえ、0.0001%でも社会的な問題児を発生させると文科省がマスコミにたたかれるからである。

ま、基本的には教師に同情的な内容になっているのだが、競争社会はエスカレートするし、格差社会の底辺が拡大し、腐りきるか、社会と社会が衝突して戦争が起こり、暴発するかしなければとまらないのであり、それまではとりあえず、それぞれがベストをつくすしかないのであるな。

ああ、いたいけない子供たちよ。不公平で不平等な社会に生れ出ずる子供たち。みんな、がんばれ。天は自らを助くものを助くなのだからっ。と昔の偉い人の言うような気持ちになったキッドだった。

関連するキッドのレビュー『初恋はこんな色かもかき氷

金曜日に見る予定のテレビ『彼女との正しい遊び方』(テレビ朝日)テレ朝・・・久しぶりだなぁ。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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