個人情報を秘匿しようとしたんですーっ。(加藤あい)
「成長しましたね」と大前(篠原涼子)に褒められる森(加藤)。そうですか。いつまでたっても成長しない森はお仕舞いですか。ま、もう来週、最終回だから仕方ないですね。で、成長して邪念(恋愛)を森が捨て去ったと同時に大前は邪念(恋愛モード)に突入。もちろん、小学生のようなツンデレなので、その恋は犬をしつける指導員の愛情である。
子供の国の会社では欠席中の児童を同級生たちが「ほっとけないよ」と案じる展開である。一人、「大人」の顔をした転校生は「ほっといてもそのうち帰ってくるよ」と口に出しては言わないが、万一の場合をちょっぴり心配する。ま、小学生の話だから、視聴している子供にもある程度分かるのであろう。
でも、もっと幼い子供がやってきて退屈しないように「本物の犬」投入である。名前は「クルクル」である。このことから大前が東海林(大泉洋)を「クルクルパーマ」と呼ぶ度にかって愛した犬を思い出し、親しみを感じていたことが分かる。その犬が会社見学に来た情実入社の新入社員(斉藤祥太)に連れられて来社するという設定を運命と感じるか、ご都合主義と感じるかは視聴者の人生の運不運にも大きく左右されるだろう。
ま、小学生の話なので恋愛モードといっても、「好きだから」と言って「一緒に暮らし始めたり」はしないのである。せいぜい「チューしてみる」「エッチーッ」ぐらいの話である。もちろん、現実の小学生はセックスに関してはもっと前衛的になっているという統計もあるが、あくまで精神年齢の話ですから。
ついでにゲストとして加藤のぞみ(石田ひかり)が登場する。彼女が10年前に別の小学校で大前に会っていることから、大前は小学校を卒業している可能性は高いのである。とにかく、キッドとしては学級委員タイプの黒岩(板谷由夏)が幸せになってもらいたいと思うのである。校長先生の白川由美は「問題児」を贔屓することがバランスだと思うタイプで、ある意味、そのことが問題を複雑にしてしまう困ったキャラでもあると思う。
で、『ハケンの品格・第9話』(日本テレビ070307PM10~)脚本・中園ミホ、演出・吉野洋を見た。「寝首をかく」という言葉がある。もちろん、人が寝ている間に殺すという意味である。そのため、戦国の武将は作法として、寝る前に布団の位置を毎夜、部屋の中に一定させなかった。寝る前に「今日は北側で西枕にしよう」とか、「今日は思い切って中央で寝てみるか」とかズルズルと布団を動かしたのである。暗殺者が侵入したときにターゲットを捜す手間をかけさせることによって生死が分かれることがあるからだ。まあ、「気休め」といえば「気休め」なのだが、そういう戦国時代の習慣がバカにできない時代になっている。大前の携帯番号を守秘しようと森が努力したことが「成長の証」として褒められる時代なのである。
もちろん、「持てるもの」が「持たざるもの」から狙われるのは世の常なのだが、「格差拡大」とはその危険性の増大を伴うのである。その象徴として投入されるのが「持てるが故」に「スポイルされたアホ」になったコネ入社の新入社員である。小学生たちに「常識がない」とあきれられるほどの幼児なのだが、世の中が「複雑なもの」である以上、めぐりあわせで「無能な上司」と「有能な部下」という組み合わせはいくらでも発生する。
成長したとはいえ、まだまだ発展途上の森は「なんで世の中は不公平なのでしょう」とこぼすのだが、大前は「くだらない質問」と例によって切り捨てる。しかし、大前が森の成長を認めている印として以前の「くだらない質問はおやめなさい」ではなくて「くーだらない質問なーんだからー」と親近感のこもったセリフになっている。大前のうちとけ度を見抜くのはある程度の注意を要するのである。基本的に里中(小泉孝太郎)がハケンを見つめる視線は「日本人が開発途上国に生まれたアジア人」と同種である。「同じ人間に生まれたのにラッキーに生まれた日本人で申し訳ないけどそれはそれで仕方ないもんね」なのである。これは一歩間違えば「不運なアジア人のくせに」という視線になってしまうので注意が必要だ。大前のように「アジア人だけれど日本人よりも有能だし、いつだって寝首はかけますよ」というような優秀なハケンが悪意を持った場合、非常に危険だからである。
ともかく「善意であろうとつとめる日本人的な正社員」である限り、「悪意のない有能なアジア人的なハケン」が助力してくれる可能性がある。もちろん、すでに「悪意のあるアジア人的なハケン」と出会えば「無防備なゆえに寝首をかかれる可能性は大」なのであるが。結局、運命に左右されるので、「善かれ」と思うことは一種のギャンブルなのであるな。
もちろん、このドラマは偽善的世界の神が支配するので、善意がある限りそれほどひどい目には遭わないことになっている。小学生はある程度は保護されないと殺伐もすぎると批判の対象になってしまうので。ともかく、大前にしつけられ、コントロールされたクルクルパーマ東海林は「友情を大切にすればご褒美がもらえるかもしれませんよ」という暗示を受け、ルールを無視した行動をとって、小学生社会から脱落しかかる。それも自発的なのでいわば自殺行為である。それを最後まで放置はしないのだ。
また「ハケンをかばう」という善意を示し続けた里中(小泉孝太郎)は成績向上のチャンスを与えられる。里中はまだまだ子供なので「好きな子に好きになってもらうこと」よりも「成績が上がること」よりも「みんなと仲良くできたらいい」と思っている。大前にとっては餌の選択の難しい手のかかる犬なのだが、とにかく、競争することの喜びを感じさせる段階までは調教が済んだのである。
しかし、大前の任期の期限は迫っている。成長しはじめた森の指導を続行してくれないかと犬たちにせがまれる大前。
何もかもお見通し気分の老犬は「お前だって仔犬だったことがあるんだから、仔犬を助けてやれば」と意見するのだが、「人間と犬を一緒に考えるなんて困った犬だな」と大前は思うのであった。
「人になるか、犬になるか、それは個人的な問題」と大前は大局的な判断を下している。しかし、やれることはやるのである。願望達成能力という超能力を使って、かって指導した犬を呼び寄せた大前はとりあえず、里中と森のための教育プログラムをアシストした後で、野良犬になりかかった東海林を捜索する。すっかり途方にくれていた迷子の東海林はもはや大前の言うなりである。「ここで待ってなさい」と言われたら死ぬまで待っているのである。放置プレーの後、すっかり調教のすんだ里中が迎えに来るまでその場を動かない。ロケスケジュールの都合で夜になってしまったのではないのだな。
もちろん、里中の原稿は読まないのに東海林の原稿は読み、弁当マスクもかぶるのはすでに「東海林を愛している印」と恋愛モード中心で見ることもできるが、一応、「品格差」のドラマなので、人の品格と犬の品格の差異を扱ったドラマとして見た方が好ましいとキッドは考える。さらに「東海林を愛している里中のためにしている好意なので大前の本命は里中」と深読みをすることもできるし、加藤に対して大前が冷たいのは加藤の結婚相手が大前の初恋の人でいまだに愛しているという妄想に突入してもかまわない。しかし、就業前に大前が存在した異国のことを考えると、来週は「訓練した犬たちに多少の別れ難さを感じつつ、指導任務の単身赴任の任期を終了して人の世界へ帰っていく大前」の方がキッドには好ましい。本当は犬前という名前なんだよね。春子ちゃん。
関連するキッドのブログ『第8話のレビュー』
気の早い話だが、冬ドラマ(1月~3月期ドラマ)の視聴率順位は「華麗」「花より男子2」「ハケン」のベスト3で決まりだろう。二つが原作付しかもリメイクであるのに対し、「ハケン」の「品格」という流行語のプラスフルファだけででっちあげた企画がすべりこんだ。どちらがいいという問題ではないが、企画者としてはもちろん後者に感情移入する。「ハケン、やったな」である。
金曜日に見る予定のテレビ『花より男子2』(TBSテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
なんだかんだあっても「ハケンをかばう」
ってのは大人の事情もあったりして・・
番組スポンサーが派遣会社なだけに。^^
里中賢介と愉快な仲間達は
この3ヶ月で結構成長しましたね。
来週は最終回ですが、有終の美で終わると
カッコええですね~。
投稿: ろーじー | 2007年3月 8日 (木) 23時28分
出演者ありきでドラマが形成される。
するとドラマがちょっと歪な様相を呈してくる。
まぁ要はそれだけスタッフや
演出、脚本の力量が足りないという事になるのでしょうが(バッサリ)
そう考えるとドラマありきで出演者が形成していく
カタチはハマると見事な程に面白いですね。
あくまでハマればですが(笑)
里中と東海林のコンビはいいですね。
最初はどうかなぁと思ったりもしたのですが
互いの足りない部分を補って丁度いい感じです。
二人揃ってようやく大前春子と戦える感じがします(笑)
>「なんで世の中は不公平なのでしょう」
3月17日が近付くにつれ篠原さんの映画の宣伝をしてるのでは
と思うのは穿った見方なのでしょうかね(;・∀・)ゞ
投稿: ikasama4 | 2007年3月 9日 (金) 00時12分
☎aiko☎~ろーじー様、いらっしゃいませ~☎aiko☎
しゃとなか君にも困ったもんだねー。
しゃとなか君だからしょうがないがねー。
ハケン会社の社員教育ビデオなのかもねーっ。
昔、面倒みた犬に似ていたってオチは好きです。
すべてが胸に落ちる。
東海林格上げだなーっ。
ハエから犬に。
いや、ことさらハエが下等というつもりはないですが。
嫌なやつだけどクルクルに似ているからなー。
しょうがないなーっ。
だったのでございます。
パーマではなくクルクルにひっかかっていたんだなーっ。
ちまたでは
東海林派と里中派で最後はどっちだ論争もあるようですが
森ちゃんはワリバシを上手に割れないけれど
春子はパチッと割って去って行くような気が
キッドはしています。
投稿: キッド | 2007年3月 9日 (金) 22時37分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
アネゴでアンフェアでハケン。
まあ、冷たく見えて暖かい。
頼りになりそうで本人不安。
固そうで柔らかい。
基本的に篠原涼子はツンデレ的要素が強いのです。
篠原涼子がブーちゃんになるのはボクマホだけかと
思っていたのですが
今回はなぜか時々ブーちゃんに。
これで視聴率がとれたのは
よかったのではないでしょうか。
キッドは弁当マスクの大前に
なぜか萌えるのです。
それはブーちゃんだから・・・。
人間、どこに萌えるか、わかりませんね。
今回、天海、米倉、仲間と
いわゆる視聴率女優がそろったのですが
篠原の一人勝ち。
これを作品に恵まれたととるか
女優の底力と見るかは
色々でしょうけれども
キッドとしては加藤あいが
がんばったからだと思うのです。
投稿: キッド | 2007年3月 9日 (金) 22時50分
こんばんは!
このドラマが終わってしまうのは惜しいですね♪
篠原さん輝いてます☆
映画もヒットですかね~。
投稿: みょうがの芯 | 2007年3月10日 (土) 00時13分
キッドじいやちゃま。
今回は、賢ちゃんの口説きにすっかり萌え~でござんした。
あの切々とした訴えは、オバちゃんの胸にも陣割染み渡って、しゅてきでした♪
春子は、颯爽と次の派遣先へいってほしいなぁ。
投稿: mari | 2007年3月10日 (土) 00時15分
♡♡♡♥♥♥みょうがの芯様いらっしゃいませ♡♡♡♥♥♥
キッドにはアンフェアは微妙なんですよね。
「ドラゴン桜」以外はことごとくくそっな
ドラマを書いてしまう人が原作者(つかこうへいの弟子)
なんですが
う、撃たないで・・・。
ドラマも映画も脚本家で映画監督の優秀な佐藤嗣麻子
(映画「エコエコアザラク」ドラマ「南くんの恋人」監督)
が脚本を担当していてギリギリセーフの出来ではないかと。
しかし、原作のどうしようもなく破綻しているところが
覗くのであまり期待していないのです。
もちろん、アナログテレビに乗った時は見ますけれど。
映画はそこそこヒットするのではないでしょうか。
春休みだし・・・。
投稿: キッド | 2007年3月11日 (日) 00時40分
❁~✾~❁~~✾mari様、いらっしゃいませ✾~~❁~✾~❁
しゃとなかに萌え~でございますか。
mari様も浮気組の仲間入りなのですねーっ。
平岡祐太
小泉孝太郎
小栗旬
今季のドラマはいろいろかぶりまくっていますが
アユタ大賞を贈りたい人がゾロゾロです。
基本的にイイヒト。
主人公の親友。
三角関係になりそうになるが失恋。
主人公カップルを応援する。
非ジャニーズ俳優であることが多い。
しゃとなか~、いいのか~、それでいいのか~。
とじいやは思うのでございます。
投稿: キッド | 2007年3月11日 (日) 00時46分