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2007年4月30日 (月)

戦に敗れるとは恐ろしいことだということだ。

戦に敗れるということはおそろしいことなのである。なぐれてもけられても子供を奪い取られてもただひたすらに土下座をしつづけるように頭と地面を瞬間接着剤で接合されても文句を言えないのだ。

しかも、戦の後に生れた子供たちも地面に接着される定めを負う。

そんなバカなことがあるかと思う人と、頭など地面にくっついていても生きていければそれでいいじゃないかという人がいるこの国の決まりがどのようにできたのかを知ることは大切だと思う。

で、『NHKスペシャル・日本国憲法誕生』(NHK総合)を見たのだがちょっとスペシャルな仕事が入ってついに記事を書く余裕がないのです。これは月曜日の夜中まで続く模様。火曜日以後、タイトなスケジュールから解き放たれて更新できるかどうかも未定ですが、できる限りがんばりますのでよろしくお願いします。またTB返しやコメントの応答もおくれる模様ですのでご了承くださりませ。

火曜日に見る予定のテレビ『セクシーボイスアンドロボ』(日本テレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2007年4月29日 (日)

女ですかと訊かれたからハイと答えた。(戸田恵梨香)

だからー、そうじゃなくてー・・・と言いたいところだが、もうバカサギコンビってそういうものなのですねーっ。

で、『ライアーゲーム』を見たのだが、ちょっとスペシャルな仕事が入ってついに記事を書く余裕がないのです。これは月曜日の夜中まで続く模様。『NHKスペシャル』と『H☆Cムービー』さらに『プロポーズ大作戦』と『P祭り&Pごっこ』もタイトルのみのアップになります。

火曜日以後、タイトなスケジュールから解き放たれて更新できるかどうかも未定ですが、がんばりますのでよろしくお願いします。

月曜日に見る予定のテレビ『プロポーズ大作戦』(フジテレビ)

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2007年4月28日 (土)

・・・もらっていくよっ。(麻生久美子)VS皆さん、それはないんじゃないですかっ。(小出早織)

今回、残念なことはいくつかあって、まず、小出の出番というか、セリフが激減。そして、冒頭で三日月の妄想がない。さらに熊本課長がさりげなく、「二人で・・・」と意味深いセリフを言った後の三日月くん(麻生)の「ぇー・・・二人で・・・ですか・・・そんな・・・困っちゃう・・・てへへ」みたいなリアクションがなかったことである。

まあ、目先を変え、ファンを裏切るというのはじらすというテクニックなのだが、キッドはじらすのもじらされるのも嫌いなのである。しかも・・・霧山(オダギリジョー)は時効じゃない事件を解決しちゃうし、プライドってぇものがないのかーっ。

で、ただ今、急用のため、以後の

更新は

後ほど・・・・・・。

・・・・・・というわけで中途半端な投稿をしたわけだが、通りすがりの人も入れると10時間ほどの間に数百人の人がじらされてしまったわけで、誠に申し訳ないのである。しかし、じらした結果、続きが大したことないとみんなの怒りは並大抵ではないので、非常に危険なテクニックと言えるだろう。

で、『帰ってきた時効警察・第三話』(テレビ朝日070427PM1115~)脚本・演出・園子温を見た。前作の4話、6話を担当した脚本&演出家が登場である。とにかく、今回は三日月くんの妄想は控え目である。その分を演出家本人の妄想で使っていて、乗れない人は激しく乗れないのではないだろうか。

その妄想とはトップシークレット組織妄想である。もちろん、時効管理課がすでに妄想なのであらたなる組織が妄想されてもまったく問題がないのであるが、やっぱり、「二人でぇ」の後の三日月くんのあらぬ妄想を思い描くところもみたかったな。プクー。

トップシークレット本部のウルトラトップ本部長(黒部進)は内偵者6と9にキャラクター造形者の女王ミツコ(杉本彩)周辺を内偵させる。シンクロニシティーとしてライバル「ニコロボ」の視聴率ががらむのだが、それは単に偶然というか、演出家の色ボケである。

全国的に愛されるキャラクター「プクーちゃん」による千葉県内のプクーランド建設にからみ、某国某ランド(おそらくディズニーランドのことであろう・・・ってわざわざ解説するかっ)の経営的問題が国際紛争の火種になることを怖れているらしい。「ニコロボ」がスパイ組織でありながら国家の色を見せぬことに業を煮やした態度とも言える。キッドは少し煮やしている。どうせ、時事ネタいれるならくまぇりではなくて、朝鮮総連のガサ入れとかの方がおちょくりにも気合を感じることができるのにだ。

さて、本部長はウルトラマンなのだが、時効事件の被害者はミツコの仕事のパートナーだったみつよ(満島ひかり・元Folder5)であり、もちろん、「ウルトラマンマックス」のエリーである。ハヤタとエリーの共演なのであるが、もちろん、本筋とは無関係と思われる。

ちなみにミツコみつよというコンビ名は藤子不二雄を連想させる。キャラクターをめぐって二人の間には・・・無関係なのでやめておく。

今回は「みもふたもない」という言葉にこだわった事件なのであるが、「実もフタもない」ならば残るのは容器ということだし、「身もフタもない」なら中身だけということである。正しい使い方がどちらかはなんたらかんたらなのであるが、物語の中でその意味は二転三転している。ミもフタもないのは「飾り気がない」「あけすけである」「そのまんまだ」という意味なのでウルトラマンの説明がしどろもどろになるのがボケなのだが、ほとんどスルーされているのではない加藤あいである。

そのぐらい、我が国の国民の国語力は落ちていると思わせる今日この頃である。

ともかく、今回は三日月くんと容疑者・ミツコが霧山の争奪を行うのであるが、ま、最近はいつもそうだが、今回はミツコが公然と霧山を誘惑にかかるので、「バッチグー」されないように三日月くんが実力で阻止する。そうなると三日月くんの妄想が現実化してしまうことになり、結構、ヒヤヒヤするのである。

一方、真加出(小出)はトップシークレット本部の内偵対象となった霧山に対し、みんなが冷たく接するのに対し「霧山さぁん」と唯一かばうそぶりを見せたりする。

このあたり、真加出は三日月くんの理解者であり、恋敵であるという微妙なポジションは継続されているのである。

ちんちん・・・だもんで(熱かったものだから)は杉本は京都生まれなので演出家が愛知県出身というところがポイントである。杉本も頭が痛くなかったら美女なのにといういつものキャラを演じつつ、色ボケの演出家と見事なダンスを踊りました。

ま、かわいそうなくらいおっちょこちょいなみつよを演じた浦島とプクーの産みの親である蘭ちゃんを演じた三津谷葉子とどっちが萌えるかと言われるとどっちもどっちなのだが。ってなんのこっちゃ。

今回は「フタがあいているのでしめてきてください」と霧山が締め、十文字(豊原功補)は「沈みがち」になる。みんなは霧山のお手柄で手のひらをミモフタモナク返すのであったが表現としてはくどいよな。半分かぶっているところが面白いのだが。

ま、言葉遊びではあるけれど、今回は本当に事件を解説し、蘭ちゃんの身を守った霧山。本当はキリコ(不二子)をまぜたレズビアン的要素が漂っている物語なのだが、そちらにはあまりふみこまない演出である。それだけに「権利って分かる」と蘭にアプローチするキリコのセリフが一番宙に浮いていた。ま、ミもフタもない指摘ですけれど。

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スパイターマン2が強力に通り過ぎていった金曜日。あぶなく時効を忘れるところだった。「生徒」はマキマキが前面に出たり、「特急」は田中(一郎)がますます無理矢理な展開で転覆しているのだが、どんな数字になっているか恐ろしい限りである。ちなみに目下の最下位は「孤独」で「ニコロボ」は小数点以下の争いで最下位を脱出している。まさにドロドロの春ドラマなのである。

日曜日に見る予定のテレビ『NHKスペシャル・日本国憲法誕生』(NHK総合)

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2007年4月27日 (金)

・・・それで・・・いじめたのは誰なの・・・・・・・?(菅野美穂)

前の夫の連れ子・明日香(志田未来)の死の原因を探るために弁護士・珠子(菅野)は明日香の同級生・朋美(谷村美月)に尋問を開始する。・・・でつづくである。もちろん、裏でレクターが「醜いもの」を容赦なく食べてしまうのにくらべれば生ぬるい対応であるが、「正義」が「独善」である限り、どのような戦いも「孤独」に彩られ、そして最後は「滅び」に至るのであり、そういう役柄は菅野の魅力を引き出すと確信する。

そこそこ不幸で愛に飢える菅野よりも美しくない社会に牙を剥く菅野の方がキッドにとって魅力倍増である。

「疑わしきを罰せず」のバランスをとる社会を突き崩す破壊の女神が彼女の本質だから。「善悪をスイッチする人間」の「一瞬の悪」を許容しない暗黒神。果たして、悪の側に傾斜する淫靡な学園で彼女はものいわぬ明日香の復讐を完遂できるのかどうか。いよいよ、幕は開いたようだ。

で、『わたしたちの教科書・第三回』(フジテレビ070426PM10~)脚本・坂元裕二、演出・葉山浩樹を見た。義務教育の場を舞台にするので、日本国民の12歳から12歳を過ぎて戦後を過ごした70歳を過ぎた人々まで、なんらかの共通体験、共通認識がある。

逆にケースパイケースという言葉を使えば、このような「中学」は実在が疑わしいと考える人も多いのである。しかし、「いじめ」は社会的な生物である人間の宿命だし、「復讐」は意志を持つと信じるヒトにとっては避けては通れない道程なのだな。

つまり、「いじめ」は常にあるし、「いじめられて死ぬもの」も常にあるし、それを「許さないもの」がたまにいても全く問題はない。しかし、「いじめ」が人間の本質である以上、「いじめたもの」は敵としては強い。そうたやすく制裁を受容するはずはない。その敵を消滅させるべく、ヒトが全身全霊をあげて戦いを挑む。この物語が美しいものになるのかどうかはレクターであり、同時にクラリスである菅野が最終的に美しく融合されるかどうかにかかっていると思う。

弁護士は代理人である。この戦いを「大人と子供の戦争」と診療内科医(小市慢太郎)は分析するのだが、実は死者の代理人である珠子と生者との全面戦争こそが本質であるべきだ。法律が死者のためではなく、生者のためにあることは明白で、人を殺しても死刑にできないより精密な社会の制度がそれを明示している。当然、死者の代理人は反逆者であり、勝ち目のない戦いを強いられる。白熱するためには菅野が超人であればあるほどゲームとしては面白いのである。

敵①副校長(風吹ジュン)は明日香が「いじめによる自殺」をした可能性を示す「辱められた教科書」を隠匿する。敵②理科教師(伊藤淳史)は「いじめを放置した」罪の意識から副校長にポーズの抗議をするが、証拠隠滅には目をつぶり、生者である生徒の保護を免罪符としてたやすく態度を変える。彼は無自覚の悪として今後も描写されていくだろう。敵③社会科教師(真木よう子)は愛欲に溺れ前の学校を追放になった負け犬であり、副校長の飼い犬で、証拠隠滅に加担しつつ、それを担保にとった昔ながらのビッチであり、眞鍋かおりのようにアクネ菌を退治するともっと美人と言えるだろう。敵④英語教師(酒井若菜)は「私だってセクハラされている」といじめが社会の真理で人間の本質ある以上、そこに罪は問えないと仄めかす。敵⑤数学教師(水嶋ヒロ)は「自覚のない悪だって悪だ」と妙に良い声で距離を置く作戦。敵⑥体育教師(大倉孝二)は「いじめ」について理解する能力がない。敵⑦国語教師(佐藤二郎)は「じゃれあいでケガをしたり死んだりすることもあるがそれがどうだっていうの」と本質からひたすら目をそらす。職員室には当然だが味方はいない。

敵⑧恋人(谷原章介)は「いじめを立証するのは難しいし、法律は弱者だろうが強者だろうが生ある者のためにあるのであって、優秀な弁護士は学校側の弁護に立つのがビジネス」と主張するのでおそらく正面の敵になる。

敵⑨女生徒ポー(鈴木かすみ)は「小学生時代に同級生を殺した児童」のパクリであるから本質的に危険である。敵⑩男子生徒給食費滞納者の倅サノバビッチ(登野城佑真)は「快楽殺人者」の傾向を示していて、明日香の死が自殺でも事故でもない場合の容疑者となるだろう。敵⑪透明人間朋美は「ラフマニノフが弾けなくなった挫折者」であり「政治家の娘」であり「ともだちではなくいじめられ仲間と主張する者」であり、「もっとも親しい生存者」であることから主犯、もしくは実行犯である可能性は最も高い。

復讐の女神の狩りは始まったばかり、大猟となりますように。

来週は敵⑫明日香の実父(河原雅彦)が登場。「下北サンデーズ」の脚本家であるだけに視聴率がヒトケタになる怖れもあるが、がんばれ、女神様。

関連するキッドのブログ『第二話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム』(フジテレビ)

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まこ☆ミキ様のわたしたちの教科書

かりん☆スー様のわたしたちの教科書

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2007年4月26日 (木)

・・・・いやです。いやだ。いやですーっ・・・まだ、やれますーっ。(松本潤)

ほらほら、九州男児が通りますよーっ。危険ですから、道をあけてくださいーっ。それにしても伴(松潤)、演技に力入りすぎ、感情移入の激しいキッドは視聴後、肩こりになってしまいます。

緊張過多ですからーっ。はい、大きく深呼吸してーっ。すってーっ、はいてーっ。それにしてもサンマルツァーノのシェフ(山本圭)、もう少し、仕込まんかーっ。

春だなーっ。ドラマは新入りもので満ちている。「バンビ~ノ」は「勇気を出して初めての東京料理修行」である。「特急」は「勇気を出して初めての大学生活」、「P大作戦」は「勇気を出して初めてのタイムトラベル」、「教科書」は「勇気を出してはじめてのいじめ裁判」である。各所で新生活を乗り切るための知恵をお届けしているのである。

まあ、実際の世間の方は新入りも新入りを受け入れる方もてんてこ舞いなのであって、実際、ドラマなんか見ているヒマはないのである。昔、教養を身に着けるためには読書がもっとも手っ取り早かったのだが、それは教養を身につけるのが一部のエリートだけで事足りたからである。現在は相当、底辺まで教養が要求される時代だ。読書のできない人はせめてドラマでも見てもらいたい。実際、ドラマを理解する能力も大切ですから。なぜなら、人生はドラマのようなものなのですよーっ。

で、要求に答えるべく、主人公たちは基本的にバカであることが求められる。しかし、バカは死ななきゃ直らないので・・・自分たちがバカだと思っていないバカは、主人公たちのバカが自分たちのことだと気がつかない恐れもあるのですが・・・まったく、バカにつける薬はないですからねーっ。

で、『バンビ~ノ!・第二話』(日本テレビ・070425PM10~)原作・せきやてつじ、脚本・岡田恵和、演出・大谷太郎を見た。20才を過ぎると人間は生物としては完成しているので軌道修正は難しい。「敬語を使えない」「好き嫌いで仕事をする」「叱ると泣く」「叱ると家に帰る」「叱ると銃撃する」というような人間として完成していると、おいおい、こりゃー、困っちゃったなーっ。と周囲の人間は困るのである。

人間は自分自身を正しく知るのは難しい。鏡でさえ、左右は逆なのである。たとえば身長155cmぐらいの男子高校生が「オレってチビじゃないよなー」などと友達と話しているのを聞いたことがあるキッドだが、「お前がチビでなかったら誰がチビなんだよっ」と言いたくなるのをこらえるために奥歯を傷める事態である。

「お前はバンビ(赤ちゃん)だっ」と名付けられた伴で「くそ、オレは何にもできねーっ」と前回、思い知ったはずなのに、今回はまたも「オレって本当はビッグなんだぜー」に気持ちが戻っている。もちろん、ここには「今はまだ慣れてないけどな」が付属しているわけだが、「慣れていない」「だからできない」は付属品であり、本体は「オレってグレート」である。しばらくすると「慣れていな・・・」「だからできな・・・」「オレってグレート」となり、数分で「慣れ」「だか」「オレってグレート」となり、あっという間に「オレってグレート」という本体だけになるのである。

この店の新人研修スタイルを見て、指導マニュアルなさすぎ・・・とか、もっと口で説明するべきだと考える人々も多いと思うが、この店は「言われたことができる」「頭で理解しようとする」人材は必要としていないのである。「自分で考え」「体で覚える」人間を養成する気らしい。ま、適材適所なのでこの教育法が常にベストと言うわけではないのだが、少なくとも高級で特殊なイタリア料理店を運営する以上、こうするしかないのであろう。

吹石一恵を口説くにあたって伴が邪魔だと思った山本圭が東京に伴を追い払ったわけではないのだ。伴は男(人間のこと。九州では選ばれた男だけが人間になるシステムで運営されている)になれる可能性があると見抜かれた男なのだ。

しかし、まだまだ道は険しいのだった。・・・それにしても山Pは「好きな女に好きと言えない」根性なし、田中(聖)は「自分がバカだと気がつかない」田中(一郎)、そして、松潤は「メニューを覚えるためにはメニューを見る必要があると思いつかない男」と筋金入りのバカの役をやっている今季の主人公たち、なんだか、見ている方までバカになってしまうような気がしてこわいぞっ。なんなんだ? ジャニーズの方針なのか・・・「喰いタン」の主人公より頭のいい役をやってはいけないとかそういう先輩後輩的アレなのか。・・・まさかな。

ともかく、「なんだか、オレが使えないヤツみたいじゃないか」とちょっと落ち込む伴。しかし、「オレってグレート」本体があるので、上司の香取(佐藤隆太)のアシスタントも満足に務められない。「お前なんかいるだけ邪魔だ」という厨房のムード。

グレート本体の気分はおそらくこうであろう。「バカチンがっ。本当のオレを知らんくせに。なんば言うとっとかっ。料理ができるっとが、そんなに偉かね。料理が出来たって人間として出来とらんごたるね。あんたらなんか尊敬できんったい」なのである。よく、「仕事はできるが人間としては間違ってるから好かん」というようなセリフがあるのだが、このセリフが根底からいただけないのは「仕事場で仕事ができる以上に好感の持てることがあるようなヤツは使えないヤツに決まっている」という鉄則が理解できていないということである。「職人は職の能力の高さがすなわち人間としての高さ」なのであるから。

しかし、ここからはさすがに根は優しいシリーズである。まずはあすか(香理奈)が「あんたはいらつく」とアドバイスを始める。有無を言わさぬ美味しさのまかない「ソーセージとブロッコリーのパスタ」で「うまかっ」と伴を屈服させておいて「あんたは憧れのパスタアシスタント。アシスタントなら香取にどうしたら仕事を気持ちよくさせることができるか考えろ」とコマンド入力である。「命令されないと何一つできない若者」に育ってしまった伴はようやく「まず、メニューをおぼえなくちゃ・・・」ともう、一番最初に受けた指導をようやく飲み込むのだった。・・・いわゆるひとつの飲み込みの悪いやつと言う表現ですね。

この基本中の基本を実行し、ようやく、作業の流れに乗った伴。こうなると「グレート」は勢い増幅である。しかし、バカが調子に乗ると危険だと知っている香取は「なに勝ったような顔してんだ。できて当たり前だろう」と戒める。しかし、「グレート」増強中の伴には届かない。アスパラ切ってエビ切ってカニ切ってついでに自分の指切った・・・のであった。

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」とニュータイプの集団である従業員一同は店内の異変を感じる。「コロニーを落しちゃダメー」なのである。

かけつけるバッカーナのシェフ(市村正親)は「すぐ病院へ行け」と指示。その時のグレートの心境は。「いやじゃ、いやじゃ、病院はいやじゃ、大体、東京にきたばっかで病院がどこにあるかもしらんとよ。それより、冷たい人ばっかでもちょっとでも知っている人と一緒におりたいんよ。東京の人はつめたかって聞いとったけど、ケガ人を追い出すほど、ひどかね。そりゃ、あんまりじゃ、もう、指が痛くて痛くてしぇらしかーっ」・・・ではなくて「ケガぐらいなんでもないのです、オレのグレートが立たんのです」と九州男児ならではのダダをこねるのだが、お姉さんはそんなことは許さずビンタをくれる。桑原(佐々木蔵之介)がムチを受けてアメを与える。「厨房は戦場のような忙しさだが、オレたちは軍人でなく料理人なんだ」である。「だから、衛生兵は呼べない。オレが病院までの場所、教えてやるから・・・」なのであった。(一部、表現不足の点を妄想で補完してお届けしています・・・)

今日のこずえ(小松彩夏)「まだ、わかりませんよ・・・ディナーまでは」

「やめない方」に賭けている与那嶺(北村一輝)、さすがは狂人・北村である、負けない手はすでに打ってあったのだなぁ。

病院で手当を受けた伴は里心がついて携帯を取り出す。そこには恋人(吹石)からのメールが。思わず電話する伴。「えーんえーん」である。九州の女である恋人は「よかよか、辛かったら帰ってくればよかとよ」なのである。しかし、さすがは男の中の男になる可能性を秘めた九州男児「辛くなんかなかっ。そげなーっこつはなかっ。じゃあな」である。「そしたらねー」じゃないのかよっ。

もう、ガッカリだよ。

与那嶺からのアドバイスで月に吠えた伴は「逃げないという才能」を発露するのだった。あしたのジョーか・・・。

みんな同じ月を見ていた・・・なのだったが、ドルチェの織田(ほっしゃん)、なんか素敵。

ま、新人の皆さん、そして新人教育係の皆さん。ご苦労様ですーっ。

関連するキッドのブログ『第一話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『帰ってきた時効警察』(テレビ朝日)

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まこ☆ミキ様のバンビ~ノ!

かりん☆スー様のバンビ~ノ!

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2007年4月25日 (水)

あなたが美しい人だから死なないでほしいのです・・・。(松山ケンイチ)

まあ、今回の最大の脱落ポイントはここか。それはもうテレビでは禁句であり、言ってはいけないセリフナンバーワンだからな。これはある意味「ブスは死ね」と意味同じである。

・・・まあ、もちろん、大爆笑のシーンなのでマジで脱落する人がバカなのだが、やはり、世間というものは美しくない人によって構成されていますから、「それを言っちゃあおしめえだよっ」という部分です。こういう毒のある回こそ、演出力が問われるのですが、プロデューサーあがりの「瑠璃の島」の人・・・。何だ、何があったのだっ。すばらしい部分も多かったのだが、スタイリッシュさのかけらもないぞっ。しかも、視聴率↓*6.9%って、セクシーか、体位がセクシーなのか・・・失礼しました。

今回はシチュエーションコメディーとしては「セクシーボイス」が未使用など、普通に脱落するポイントもあるのですが、名もないスパイのよっちゃんが片手車椅子の妙技を披露したことがファンタスティックだったにもかかわらず、その後の衝突のカット割があまりにもチープだったのも脱落ポイントに。

つまり、もはや、良かろうが悪かろうがとにかく脱落する水準に達したのです。ブラボーッ!

で、『セクシーボイスアンドロボ・第三話』(日本テレビ070424PM10~)脚本・木皿泉、音楽・中塚武、演出・池田健司を見た。ちなみにこの視聴率で「特急」「生徒」を抜き、平均で視聴率最下位となったニコロボ。もはや陰謀の匂いも漂うのだがスパイものなので当然なのである。今回のゲストは香椎由宇だが、ロボットではなく妖怪だったのだ。わはははははははははははははははは。そしていきなり、この妖怪「お歯黒女」がニコの母(片桐はいり)を襲撃するのである。はいりを襲うなんて・・・しかし、案の定、肉をとられたはいりは逆襲に転じる。しかし、お歯黒女の逃げ足は速いのだった。悔しがるはいりのジャンピングポーズに悩殺されそうだ。お歯黒は虫歯予防のための昔の化粧法だが、水木翁系の妖怪には「お歯黒べったり」というのがいる。暗がりでエッチなことをした男が相手の顔を見ようとすると目も鼻もなくお歯黒だけがニターリというお化けである。痴漢対策用に町内に一人は配置したい妖怪なのである。

一方、ロボは自殺志願の女に出会う。そうとは知らずに「アイスミルクをご一緒しませんか」とナンパするのだがあえなくふられてしまうのだった。

さて、そろそろ、原作についてふれたいのだが、まず、原作にはマキ(浅丘ルリ子)はいない。だから、浅丘の語る言葉はドラマ世界のものである。当然、ニコの応答はそれに準ずるのである。冒頭、ニコが「同調性と個性」についての矛盾を述べ、「大人はどちらを私に求めているのか」で始まる今回もキッドは「どちらもさ」と答えたいのだが、とにかくなんらかの答えに誘導するのがマキの役割。昔、生意気な子供だった大人が今、生意気な子供に昔の自分を見ながら教えを説くというスタイルである。

もちろん、それは独善であるから、マキの言い分には納得しかねる答えも多い。今回など「やりたくないことをするくらいなら死んだ方がマシ」と考えるキッドには到底承服できない「やりたくないことでもやりたいようにやるしかない」という金言を押し付けるのである。キッドはマキにうまいこと言わせるためにニコの設定がやや思慮の足りない子供の方に傾いていて、原作の持つ個性を消しそうなところを危惧している。ま、老婆心ですけど・・・。

ともかく、お歯黒女というキャラクターもほぼオリジナルなのである。

妖怪の噂をする時にニコの姉・一海(村川絵梨)がいて、顔パックをしているのだが、姉はニコよりも知能は劣っているが働き者なのである。そして、彼女は仕事を選ばない。ニコの父の月給らしきものは三十万未満である。ニコはお金に不自由を感じないタイプだが、お金というものをよく理解している。それは給与明細を見たことを父親に隠していることで伺えるのである。

お歯黒女に肉を奪われると、買いなおすことのできない貧しい家庭。肉抜きのすきやきを囲むニコの夕餉。お歯黒女に肉を奪われたことを信じてもらえないために亀裂の入る夫婦の絆。またしても家庭崩壊の危機である。

しかし、ロボはそれよりも貧しかった。道端で雑草を食べるロボ。せめて洗ってからにしてもらいたい。しかし、お歯黒女と遭遇。ロボはお歯黒女の残した肉をゲットした。

だが、そんな幸運は稀であり、翌日は喫茶「銀座」の店頭でコーヒーの匂いを嗅いでパンの耳を食べるロボ。店から出てきたメイド服のウェイトレスは自殺志願の女だった。

「具がはいってる」とメイドに一食おごられ、感激のロボ。ついでに「死ぬなんてやめてほしい」と頼む。メイドは「死ぬと決めたらおだやかな気持ちになれた」と言うのであった。そして「やめてほしかったら100万円くれ」と理不尽な要求をする。

もちろん、ロボは100万円もってたら即座に出すのだが、持っていないのである。

ニコの家に白羽の矢が立つ。矢文で地蔵堂に呼び出されるニコ。いよいよ、スパイ?探偵?便利屋?活動が本格的に開始されるのだ。

マキ「人探しよ。お金になるの」ニコ「お金になんて興味ない」(金額にもよるわね)マキ「前金で100万円、探し出して連れて来たら成功報酬として400万円。しめて500万円よ」ニコ「ま、とりあえず、ひとつあずかっておくわ」(引き受けたわよ)である。中学生の労働にスタッフが抵抗あるのか、まどろっこしい手続きの表現になっているが、ようするに超能力者であるニコはついに才能を見出されたということなのだ。

相棒はロボである。ロボの反応を探りながら、様子を伺うニコ。そして分け前200万円で手を打つ。四分六なので順当なところだろう。

こうして捜索が開始され、声により簡単に居所をつきとめるニコロボ。ここで突然、ロボが高性能のトレーサーを所持していることが明らかになる。おそらく、ガオガイガーにガイと呼びかけるフィギュアおタクは仮の姿、ロボは本当は大陸か、半島のスパイなのかもしれない。

そして、ただものではない車椅子走行を見せ付ける名もない秀吉だけどよっちゃんはトレーサーの取り付けに成功する。見事な走りだったぞ岡田義徳。

そして、ターゲットのアジトをつきとめたニコロボ。マックスバズーカの威力を見せる時がきた。ま、ここからのアクションは日本がっかり大賞ノミネートは確実だ。

もちろん、相手は、お歯黒女で、自殺志願者で、メイドの月子だったのである。

ここで完全に隠匿され、脱落の主原因と考えられる月子を妄想プロファイリングしておく。

とある地方の名家・山野家に生まれた月子。もって生まれた美貌で蝶よ花よと育てられ、地方のミスコンで優勝したりする。調子にのった月子は親の反対を押し切り、スターになるために上京。しかし、美人すぎるのが災いして、思ったようには売れず、所属事務所の社長は金を持って逃げ、マネージャーは彼女名義の借金を残し逃げ、ついにはウェイトレスをしながら返済の日々を送る。こんなはずじゃなかったとしだいに精神はむしばまれていく。このまましょぼく生きるなら死んだ方がまし。そしてどうせ死ぬのならタレントに憧れて放火した女の子の事件をヒントに世間を騒がす妖怪になってやろうと決意したのである。そして子供を殺して埋めると脅し、その子の声をテープにとって埋めたりしているのだった。

ちなみにこのテープはニコの両親によって回収され、夫婦の絆は修復される。どんなことが人のためになるかわかったもんじゃないのである。

地方に残った彼女の父親は彼女の捜索を探偵社に依頼。その仕事が回りまわってマキのアルバイトになったのである。おそらく、報酬は一千万円であり、五分五分なのでマキが意外といい人であることが推定される。もちろん、これは日活時代からのファン心理のなせる願望によって補強されているのだ。

子供なので他人の手紙を平気で読むニコ。月子が忘れていた魔法の電池を入手する。「生きていないと奇跡を見逃すぜ」とロボが決めて、月子は狂気から覚めるのだった。警官隊より常に速いロボよりも足が速いのだから・・・しかも裸足だ・・・陸上選手になるべきだったお歯黒女。いや、彼女は時々、テレポートしている・・・はいりの前に回りこむ、人生ゲームの紙幣を残して消える・・・ので、ニコと同様に超能力者だったのかもしれない。しかし、その能力はコントロールできる便利な能力ではなかったのだろう。人より優れた能力を持っていること、それを生かしきる才能に恵まれなかったこと、それが彼女の鬱屈を深めたのだろう。

こうして、ニコの最初の任務は完了した。ロボはフィギュアをお腹いっぱい買ってもらいご満悦。安月給の父親に気をつかい、ニコは残金を恵まれない子供に寄付してしまう。

能力とは無関係に地味な仕事をする月子。お歯黒女のコスプレでキャンギャルをする一海。そして恵まれない子供からお礼の手紙をもらうニコ。「ありがとう」の連鎖が社会を明るくするのである。このオチについていけない反逆的傾向のある人々が脱落するのはガチである。ともかくロボはまたしても号泣するのだった。・・・だって生きていれば彼女があいしてくれる可能性はゼロではないのだから・・・ね。

関連するキッドのブログ『第二話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『わたしたちの教科書』(フジテレビ)

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まこ☆ミキ様のセクシーボイスアンドロボ

かりん☆スー様のセクシーボイスアンドロボ

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2007年4月24日 (火)

大事な人がすぐ隣の席にいた。(山下智久)

「好きだ」と一言云えずに俯いていた。・・・というタイプの少年である。恋愛力という数値があるとするとそこには身長や体重という率直な数値があり、容姿という絶対と相対の狭間の数値化の複雑ものがある。他にも運動能力や家庭環境があり、さらに恋愛知能指数というものも含まれているだろう。まあ、恋愛力などというあやしい言葉を使ってみたのは・・・異性に対する魅力といった方が素直だからな・・・この恋愛知能指数というさらに怪しい造語をひねり出したかったからなのである。

知能指数にも様々な数値の出し方があるが、単純にテストできるタイプの知能においてたとえは10才で知能指数が200なら、およそ20才の人の平均的知能を有するということになる。人間の知能も生物的な限界があるとすると脳細胞の発育が停止する20才前後に一つのピークがあるわけである。

しかし、実際には知能はその後も発達していくように見える。それはハードが決定した後に情報を蓄積することで、意識される知というものがさらに増幅していくからだと考えることもできる。いわゆる「天才は死ぬまで成長する」というのは天才的頭脳というものにそういう特徴があるということである。

まあ、ここでは普通の人の恋愛知能指数のことを考えるのでこれ以上、複雑な論述はさけることにする。

「男性」と「女性」では「恋愛知能指数」に差異があることは明白だが、ここではその差異は無視する。あくまで「異性と親密な交際を可能にするための情報処理能力」を問題にする。ハンディキャップは重大な要素となる。容姿が醜く、財力がなく、運動能力が低い・・・こういう人間にとって可能であれば、恋愛知能指数の向上は必要不可欠のものである。

そういう意味で山下智久が恋愛知能指数が低い役を演じるのは仕方のないことだと思う。

本題に入る前に恒例の週末視聴率チェック。「生徒諸君」*9.4%(まあ、当然の結果かしら)、「特急田中3号」↘*8.7%(まあ、当然の上にも当然の結果だな)、「帰・時効」↘11.9%(フタケタ維持が目標かな)、「LOL海猿」20.6%(ダイスケタン、カンナタンさすがねー、ラブコメ万歳なのねー)、「ウソゲ」↗12.8%(あげたーっ。ここまで二回目で唯一のあげ海猿万歳)、「風林火山」↘19.4%(ミツが助けても姫の言動シュールだったからな)、「冗談」↘14.7%(だから当然の当然の当然なんだよなーっ、もっと下げてもおかしくないよーっ)

で、『プロポーズ大作戦・第二話』(フジテレビ070423PM9~)脚本・金子茂樹、演出・成田岳を見た。自称・結婚式場の妖精(三上博史)のスーパーナチュラルパワーにより、結婚式場の写真から過去に遡ることができるらしい健(山下)なのだが、その目的はどうやら不明なのだった。はっきりしているのは「この結婚式が成立するのは嫌だ」ということなのである。このあたりが明確になってくると健はすごくダメな奴になると思う。

つまり、「自分が何をしたいのか、その目的を達成するためにはどうすればいいのか」という認識力に欠けているダメさである。いろいろな言い方があるが、たとえば「頭が悪い」という言い方であればその通りなのである。「特急」の主人公も同様なダメさを抱えているのだが、田中(一郎)の場合はさらに学力や財力、そして容姿においてもハンディキャップを抱えており、ダメに拍車がかかっている。健の場合はまだ背景があいまいになっているので、救われている。それになんといっても美の絶対値という必殺技がある。

しかし、あまりにも御伽噺だと神通力も失われるので注意してもらいたいなぁ。

過去への旅は写真の撮影時間から数時間前より撮影の瞬間までらしい。この数時間は一回目が試合の最終回から試合後の記念撮影まで、二回目が文化祭の後片付けから誕生会の記念撮影まで・・・三時間程度ではないのか。この辺の時間制限も非常にアバウトであり、妖精のさじ加減のようだ。二回で得た情報をフィードバックする能力は健に要求するのは難しいのだが、ドラマ的には締め切りがあるという切迫感を逃しているとも言える。

少なくとも、そろそろ、戻った時点で「時刻」を見て自分が回帰するまでの残り時間を想定するぐらいのことはしてもらいたい。

ここまで、本人は「未来」を知っているという絶対的な有利さをまったく活かしていないようにも見えるのだが、それは恋愛知能指数にも深く関わっている。

「異性は基本的には恋愛対象を求めているという認識」「異性の恋愛対象として自分がどうであるかの認識」「自分が異性の恋愛対象となるような誘導」「恐怖を克服して選択」といういくつかの知能システムは連動しているのであるが、基本的には「恋愛は成功することもあるし、失敗することもある」という「認識」の有無は大きい。

しかし、この認識がだから失敗を怖れてはいけないという方向になるのか、だから行動に制限をかけておくという方向になるのかは、恋愛知能指数の高低によると言っていいだろう。最終的な勝利を得るためには「前者」の選択が有利なのである。人間は「失敗」から学ぶからである。つまり恋愛知能指数の向上は「失恋」を糧とするのである。

今回、戻るのは蝉の声がする文化祭の終了後の時間。夏服である。いつなんだと思うような設定だが、「夢叶う」が収録された「MESSAGE/MONGOL800」(2001年9月16日リリース)が登場し、それが新譜という設定である。遡った過去や健のいる現代が視聴者の歴史を共有しているとは限らないのだが、おそらく、晩夏なのであろう。

例によって健はしばらくはパニックになる。これは過去の意識と現在の意識の混合によるものらしく、同調に時間がかかる。人間の記憶と意識の問題についてはまだ微妙な要素を含んでいる。意識が記憶の蓄積により生ずる一種のノイズなのか、それとも別のものなのかという問題である。ここでは記憶の蓄積が進行している方が主体性を確保しやすいという前提で話が進行していく。

ここで、タイムラグは6年前後であることが分かる。健が神のルールすなわち自然に逆らっているのは明白であり、それはかなりアンフェアな印象を視聴者に与えるだろう。たとえば小学一年生の中に一人だけ小学六年生がまじってテストを受けている姿を連想してもらえればいいだろう。

さて、ここで「恋愛」には「弱肉強食」のルールがあることを確認しておかなければならない。特に一夫一婦制の元での「結婚」という勝負の場合は基本的にはゼロサムゲームであり、「敵」が勝った場合は「自分」は負けるのである。

だから健がプレーする場合には「相手の結婚を阻止して自分が結婚する」という目標を認識する必要がある。ところが恋愛知能指数が低いとこの認識が不能になる場合がある。

「とりあえず相手の結婚を阻止し、現状維持でもいい」という発想である。これは戦略としては非常に有効な場合もあるのだが、しかし、勝利ではなく、ドローを目指している消極さが必勝を期す相手には通じないこともある。

さあ、ここで「敵」哲也(藤木直人)に目を移す。いかにも彼は不利な状況に置かれているようだ。しかし、「目標」は明確であり、その証拠に「ターゲット」あるいは「トロフィー」(長澤まさみ)をほぼ手中にしている。いや、挙式が終了しているので宗教的には勝利しているのである。現在は披露宴という社会的な勝利の確認であり、場合によっては入籍という法的勝利もすでに達成している場合さえある。

高校三年の時に教育実習にくる学生は基本的に四年の差があるとすると、いよいよ、過去に姿を現した哲也は22才。実は健は24才なので内面的には22才の哲也VS24才の健という戦いになる。

「先手必勝」という言葉がある。哲也が礼(長澤まさみ)と初めて出会うのがこの時だとすると、健は小学校からおよそ10年、先行しているのである。その十年を無駄にした健がこれからの6年で哲也に追い抜かれたのが最初のゲームだった。この場合は後手だが22VS18という実年齢的恋愛知能指数がものを言ったのである。

ついに「告白」も「失恋」もしないまま、「24」になってしまった健は過去に戻っても、ろくな行動ができない。しかし、彼には「二度目」という絶対有利な特別ルールがある。最低でも「逆」を試すことができるのだ。しかし、「性格」は直らない。「特別な時を待ちすぎて失敗した」という反省はたちまち失われてしまう。

最初の歴史では「ラブレター」に気がつかず、バースのバースディプレゼントを逃した健だったが、今回はそれを克服することができた。しかし、まだ「性格」を克服できない健は結局、間接的な告白を選択してしまう。またもや「特別な時を待とう」としたのである。もうしょうがないなぁ。

黒板に書いた「健の愛の告白」を消し去る過去の哲也。その表情はいかにも無表情だったが、それなりに怪しい無表情であった。はたして、彼が22才の哲也であるのか、キッドはちょっと疑問に思っている。戦いが白熱して、さらに健を応援したくなるためには22才の哲也の中に28才の哲也が存在していた方がいいのである。

18(実は24才)の健VS22(実は28才)の哲也。この構図にならなければ礼と健のハッピーエンドには到達しないだろうとキッドは思うのだった。

どうやら、健以外のメンバー平岡祐太、濱田岳、榮倉奈々は「礼が健を好きだ」と知っているようだ。そして圧倒的に不利なことに24才になった健は「にぶくて」それに気がついていないのである。どんだけ・・・恋愛知能指数が低けりゃ気がすむんだよーっ。

関連するキッドのブログ『第一話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『バンビ~ノ!』(日本テレビ)『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日)も一応見るけど前編だからな・・・。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

Hcinhawaii0136_1 健がもたもたもたもたしている間にも恋愛知能指数には自信のある皆様がP祭りを開催。Pごっこレポートをお届けします。アンナ☆ラン「ハックション。風邪気味だけどがんばるのっ。今回はすでにまこ☆ミキちゃんが過去に戻っているのね」まこ☆ミキ「先週に戻ってフジッキーロイドをゲットしたのデス」ろーじー「森本ろーじーですねん」

Hcinhawaii0137_1 アンナ「本物はどこにいるの~! 妖精さんをさがせーっ」まこ「やはり妖精ミカミも捨てがたく・・・」みのむし「そんな~、私なんか遠慮したのに~」ミマム「皆さん、邪です。もっと心から妖精を信じないと・・・」

Hcinhawaii0138_1 アンナ「妖精さんは帽子に隠れていますよ~。選んでくださいね~」

Hcinhawaii0139_1 アンナ「ミマムさん正解!」ads(あず)「正解って・・・」お気楽「泣くのね」

Hcinhawaii0140_1 ミカミ「ドンペリよろしいですかっ」

ミマム「妖精の国ってホストクラブ・・・?」

Hcinhawaii0141_1 ads(あず)「しまった、海老フライはもはや時代おくれなのかっ。まるでXPユーザーみたいなのでは・・・私としたことが」お気楽「ローストビーフなのね。すると来週はもう少し野菜とかもとらないとダメね。奈々のアップが少ないのは気にしないでね。まだ慣れてないだけだから・・・」

Hcinhawaii0142_1 アンナ「おやおや・・・」かりん☆スー「mari様も礼の座を狙っていますのね」mari「ふふふ、そうですよーっ。山Pと聞いては黙っていられませんからーっ」ぷっち☆翠「それにしてもまさみも奈々も野球部のマネージャーよりもバレーボール部でレフトとセンターやればいいのにっ」

Hcinhawaii0143_1 アンナ「あらあら・・・」結城美里「実況中継です。報道魂なのです」三人「はううぅぅぅぅん」

Hcinhawaii0144 ぷっち☆翠「バースでバースデイなんちゃってデス」

Hcinhawaii0145 mari「ふふふ年の差が縮まるのよね」

Hcinhawaii0146 かりん☆スー「ここまでやってツメが甘い・・・そういうところがまた可愛いのよん」

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2007年4月23日 (月)

街には夜でも光があふれていて歩いていると足元が輝いているように美しい。それが日本です。

アフガニスタン・回教共和国から来た少女は1年間を日本に留学し、16才から17才になった。帰国した少女は故郷の子供たちに日本のことを話した。50人の少女が暮らす施設にあるたった一つの蛍光灯の下で。

もちろん、少女が見た日本がすべてではないし、アフガンの少女が皆、彼女のようであるわけではない。

しかし、1979年のソ連によるアフガン侵攻からアフガニスタン戦争(2001)まで、そして現在もまた内戦の続く国家の少女と平和を60年以上謳歌した日本の現実との落差を示す小さいがいいレポートだったと思う。

で、『NNNドキュメント'07・夢のかけ橋アフガン少女と日本のお母さん』(日本テレビ070423AM0050~)ナレーター・村田博美、ディレクター・金沢佳美を見た。制作は中京テレビ。2006年4月、愛知県安城学園高校に留学したアフガニスタンのマリヤム・シャラボディン。彼女は日本の支援によってなりたつアフガンの施設・自立教育センター・ウミードから将来を期待されて海を越えてきた。戦禍は彼女から父親を奪っていた。日本で彼女がホームステイしたのは一人暮らしの汐満房江(65)という未亡人の家。彼女は二人の息子と夫を事故や病気で失っていた。家族を失った者同志の同居生活が始まる。

「アフガンと日本の若者の架け橋になりたいです」およそ25年続いた侵略戦争と内戦と報復戦争。彼女が生れた時からアフガンの戦争は続いている。彼女は難民だった。しかし、学習能力は高い。春に来日し、みるみる上達する日本語。得意科目は数学。笑顔があどけない。しかし、胸のうちには大いなる悲しみが宿っていた。日本のクラスメートと話していた彼女は「父親」の話題になって涙がとまらなくなってしまう。

スカーフを巻いたマリヤムはタコは苦手だが、おにぎりは好きになった。彼女は学習することに貪欲だった。「夜はヨルでヨですか」 そんな彼女にクラスメートたちは驚く。「アフガニスタンと日本はとても違います」タリバン時代の女性差別についてベールの衣装で説明するマリヤム。「数学なんてくそくらえって思ってるし、でも勉強ができるのってかっこいい」「日本がどのくらい恵まれているかわかったー」という日本の少女たち。マリヤムの話す日本語の方が美しいと思ったのはキッドだけではないと思う。

夏。短冊に七夕の願い事を書く少女たち。「女優になれますように」「運命の人に逢えますように」そしてマリヤムの願いは「祖国に平和がもどるように祖国の役に立つ人になれますように」そういう願いを持てる人は幸せなのかもしれない。

日本のお母さんとなった汐満の目にはマリヤムのけなげさが好ましく映る。日本の料理を教え、一緒に弁当を作り、夜は日本語の家庭教師。「マリヤムを見ていると自分も負けてはいられない」と思うようになった。汐満は自動車の運転免許を取る決意をする。やや唐突な感じのするエピソードだが、マリヤムが学科試験に落ちた汐満を慰め、励ます姿がまたいたいけないのである。

秋、マリヤムは日本の中学校で講演を依頼される。日本語の上達ぶりは凄まじい。ちなみにディレクターのインタビューを受ける時は英語である。彼女は「アフガンで安価な電気が使えるようになればいい・・・」と英語で語る。中学の講演では日本語で堂々と話す。

「アフガンにも平和という言葉はあります。しかし、アフガンの子供たちは平和の意味を知りません。ある日、タリバーンが来て、父親を連れて行きました。助けてくださいと頼みましたが、父親は目の前で首を切り落とされました。もう傷つけあうのも殺しあうのもたくさんです」・・・それがマリヤム自身の体験とは明示されないのだが、涙をこらえて話す彼女のなかにそれに匹敵する悲しみがあることは感じられる。彼女の話に放心する日本の中学生たち。

一年はあっと言う間だった。30分番組なので。汐満は共に暮らすうちに「マリヤムの祖国を見てみたい」と思うようになった。

「ダシャワール(ありがとう)」とマリヤムを送り出す日本のクラスメートたち。涙ぐむマリヤムを抱きしめるのが誰だったのかは映されない。

そして帰国する彼女に汐満が同行する。首都カブールは復興に向けた賑やかさがあったが戦禍の跡は隠せない。いたるところが廃墟である。マリヤンの暮らす施設へ向かう二人。彼女はそこで指導的立場になることを期待され、留学したのである。つまりすこぶる優秀でひたむきだったのだ。同胞に囲まれ、本当の自分を取り戻すかのようなマリヤム。その姿は自信にあふれる。汐満は何故かそれを誇らしく思う。

頼れるお姉さんとして施設の子供たちに日本のことを語るマリヤム。「日本の学校では誰もが自由に音楽やスポーツを学び、男や女に関わりなく一生懸命に働き、そしてみんな仲がいい・・・」そんな理想的な国家は世界のどこにもないだろうが、マリヤムの祖国がずっと理想から遠いのは確かなことなのだろう。

汐満は一人、日本へ帰る。その心は寂しさでいっぱいだ。涙ぐむ彼女にマリヤムが言う。「また逢えるから、それまでかんばろう」汐満はようやく言う。「うん、お互いにがんばろう」汐満には海を越えた国に住む自慢の娘ができたのだった。

関連するキッドのブログ『NHKスペシャル・学校って何ですか?』

案の定『冗談じゃない!』(TBSテレビ)は残念なドラマになりつつある。『ワシントン・レポート』は3月のインタビューだがボルトン元国連大使。「北朝鮮との取り決めで唯一良かったことはあまりにも不完全なので合意が必ず崩壊することだ」と予言。是非はともかく、世界で二番目に豊かな国と世界で一番貧乏な国が海を隔てて対峙していることを日本人はけして忘れてはいけないと思うのである。

火曜日に見る予定のテレビ『セクシーボイスアンドロボ』(日本テレビ)

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Newimage1hcmpr8 ←クリックするとTVスポットCM版『H☆C THE MOVIE アイドル戦士キャンディー☆ムーン』第5弾アリマス。(ロボット工場襲撃の巻・後編デス)お気楽様、重すぎたらまたまた許してね。

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2007年4月22日 (日)

プロポーズだからフィアンセでチェックインなんですーっ。(加藤あい)

「ちょっと考えさせてくれ」(仙崎大輔・伊藤英明)と「花より男子2」なみにふりだしに戻るダイスケ・カンナ(加藤)、これを海洋スペクタクルと考えるとがっかりなのだが、ウジウジ男とメソメソ女のラブコメと考えると壮絶なスケールで笑えるのである。

「フィアンセですから」も「欧米かっ」、「プロポーズですから」も「欧米かっ」、「チェックイン」も「欧米かっ」、「全米が笑った」も「欧米の半分かっ」とツッコミを入れておけばもっと分かりやすいのにな。

とにかく、要救助者をほっといてプライベートな電話をし続ける二人のシーンは「救助は時間との戦いだっ」というセリフを思い出せばもう笑うしかないし、笑うのが正しい姿勢で、日本の劇場で笑いが少ないのは慎み深い国民性のなせるワザなのである。笑っていいのです。だって笑うところなんだから。

で、『土曜プレミアム・LIMIT OF LOVE 海猿(2005年公開)』(フジテレビ070421PM9~)原作・佐藤秀峰、原案・小森陽一、脚本・佐藤靖、監督・羽住英一郎を見た。日本には武士の情けという非情に微妙なエモーションがあるのだが、絶望的状況では「家族」とか「夫婦」とか「親子」とか「許婚者」には特別な配慮がなされるのである。それは地球滅亡とか日本沈没とか警官隊突入とか相当な非常事態でも尊重される。そういうことに文句を言ってはいけないのです。まして、これはラブコメですからーっ。

海上保安庁機動救難隊のダイスケは墜落旅客機での救難活動で要救護者の二者択一をせまられ、「二人救いたかったのに一人しか救えなかった」とちょっとメローな気分に。東京から鹿児島まで「花嫁衣裳」を見せにきたカンナに冷たくあたってしまうのだった。「カンナのハダカで気分転換したかったのに花嫁衣裳なんて重くね?」気分だったのである。

例によって「なんなのよっ。この海猿」とプンプンのカンナ。恋愛の神様はさっそく、カンナの乗船した大型フェリーに砂利運搬船を衝突させ、ダイスケにオシオキをするのです。

さて加藤あいといえばハケンの品格なのだが、主演は篠原涼子である。篠原涼子と伊藤英明は「ぼくの魔法使い」の夫婦役で有名なのだが、いわゆる「ルミタンとミッタン」なのである。先輩・篠原の真似はできないと甘えんぼ控え目な加藤あいなのだが、ここは「カンナタンとダイスケタン」ぐらいの呼び合いの方が分かりやすかったよなぁ。「え~ん、こわかったよう、ダイスケタ~ン」「カンナタン、今、仕事中だから、後でね」「えーっ、ひーどーいーっ」とすれ違う二人。「手荷物は持たないでくださーい」なので「花嫁衣裳」は船内に置き去り。これを回収するためにもう一回潜っても良かったのにな。

大型フェリーを一隻沈めるのだが、これが群像パニックではなく、ラブコメであるのは明白。なにしろ、ピンチになるのは妊婦(大塚寧々)とちょっと我儘(吹越満)の二人だけである。妊婦はくろーばー号の売店販売員なのだが、船内には船長をはじめクルーの姿がほとんど見当たらない。「最後に船を下りるのは船長」じゃないのである。あくまで、ダイスケとカンナのラブコメですからーっ。

そして仲をとりもつのはヨシオカ(佐藤隆太)、ヨシオカは救難隊員なのに「帰り道わかんなくなっちゃったーっ、てへっ」なのだった。おいおい、迷子かよっ。

そして刻一刻とせまる沈没の危機に。船内に取り残された四人が無駄口たたくこと。たたくこと。「女房が出ていってな」とか「年齢サバ読んでました」とか「少し休ませて」とか「じゃ休みましょう」「先に行っといて」「空気、無駄にすんな」「ちょー、こえぇ」「信じろ」「名前はダイスケにするーっ」とか、・・・おいおい、無駄口なしなら連絡できただろう。とか、おいおい、昇りきれただろう。とか、その一言が死を招くの連続・・・その結果、ヨシオカの気持ちも考えず。

「カンナタンに変わってください」「ダイスケタン」「必ず帰るからね」「うん、待ってる」「帰ったら二人でいろんなことしようね」「ま、ダイスケタンたら」「だってフィアンセだからいいじゃん」「もう、みんなに聞こえるよーっ」なのだった。その頃、ヨシオカは「ハアハア・・・ダイスケさんはきっと・・・ハアハア・・・必死で全力で・・・ハアハア・・・バディだから・・・ハアハア・・・酸素もう、残り少ねーっ」

まあ、スリリングなシーンの見せ方はいろいろあるのだが、大ピンチに場面転換して待つ側を見せるのもテクニックのうち、けしてピンチのシーンを描く、スケジュールの余裕がないとか、描き方が難しいとか、これは状況的に助からないけどりあえず助かったって編集でよろしく的なスタッフの実力不足のアレではありません。もう、日本文化のワビサビですからっ。スカシではないのです。

でも「潜って脱出ー」とか「転落したけど無事ーっ」とかそういうシーンも見たかったなーっなんていう素直な欲望は日本の観客や視聴者には許されないのですっ。

かなり早い段階で10度傾斜した船。しかし、船内はあらかじめ傾斜構造になっているのか、まったく傾斜した様子がない。あの今まで床だと思っていたところが壁に・・・という展開がありません、沈没直前、海水が入ってくるほど傾斜した煙突もまっすぐーっ、まっすぐーに立っています。まさに根性で直立です。気合の入った煙突なのですーっ。

とりあえず、カンナはあらゆる施設にフリーパス。特権的縫子さん。命の電話も即座に司令センターへ。その対応力はバツグンです。そして潜水士あがりの救難専門官(時任三郎)は何故か現場からの要請があるまで指示を出さないのである。「だってそんなことしたら、ダイスケとカンナがドキドキできないじゃん。オレなんか、一人で空見るだけなんだから」

ああ、面白かった。スタッフの皆さん、「海猿3」もよろしくねっ。

関連するキッドのブログ『ハケンの品格』『世にも奇妙な物語

で、『ライアーゲーム・第二回』も見た。金庫の金奪取は「偽手紙トリック」でした。ま、文書偽造の罪に問われますけどね。ま、「すべての時計を一時間すすめていた」とか、「家ごと移転」とか、まあ、「トリック」のような展開はなしなのです。もちろん、突然、手下登場で、あの手下は大金を目の前にして裏切らないのかどうか・・・ツッコミはやめておきますが、コンゲームはそういう点も面白いところなんですけどね。しかも、バカサギコンビは一億円を全部、先生に・・・。恵まれない人は他にも一杯・・・とか考えてもいけません。バカには目の前のかわいそうな人しか見えない。これは結構鉄則ですからーっ。そしてさらに楽しい「少数決」ゲームへ。まあ、人の見ていないところに儲けるチャンスがあるってことの基本でもあります。さてさて、バカサギは勝ち残れるか。今度はチームではなくてバカVSサギになるんですかーっ。「かわいそうだから返してあげた」戸田恵梨香ピンチーっ。渡辺いっけい前歯金歯で終わりかーっ。

関連するキッドのブログ『第一話』のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『プロポーズ大作戦』(フジテレビ)

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2007年4月21日 (土)

あきらめるって私の一番きらいな言葉。(内山理名)

ナッキーが中学生だったのは1970年代後半だったからおよそ30年前である。だから、2007年のナッキーが新任教師として中学校に帰ってきて「私にとって学校は天国だった」と語るのはものすごい違和感があり、実際に2007年のナッキーの中学生時代である1990年代後半は少年犯罪の凶悪化が叫ばれた頃である。

だから、もういきなりドラマだから・・・から始まらなければならない。もちろん、良い教師はいつの時代にもいるし、悪い生徒もいつの時代にもいる。良い教師が悪い生徒を良くするのが良い教育というものならば、そういう流れはいつだってある。しかし、大部分の悪い生徒は悪い教師にしかめぐりあえず、悪い大人になっていく。悪い大人は悪い教師になって・・・という流れの方が大きな流れだろう。

もちろん、キッドが良い悪いを判断する資格などないし、あくまで例え話である。「何もかもがだんだん良くなる」と信じている人は「常に教育は前進してきた」と考えてもよい。専門学校で十年教えて「創作意欲に燃えながら基礎学力を欠いたクリエーター志望の若者たちのとりかえしのつかなさ」をキッドは無惨な思いでみつめた経験があるだけである。まあ、そういう子供たちの中から100人に一人くらいはレスキューできるかどうかという無能な講師だった反省もあります。

で、『生徒諸君!第一回』(テレビ朝日070420PM9~)原作・庄司陽子、脚本・渡邊睦月、演出・唐木希浩を見た。『生徒諸君!』といっても今回は続編の『生徒諸君!教師編』が原作である。ちなみに主人公の北城尚子・ナッキーは世界的ホテルグループの社長の娘で全国レベルでトップクラスの成績、運動能力抜群といういわばスーパーウーマンなのである。孤独ということを計算にいれなければこれで不幸だとか言い出すことは許されないのであり、誰もが幸福にはなれないということを理解できなくても仕方のないタイプと言える。

このナッキーを主人公に中学、高校、大学と物語は一代記的に続くのであり、ナッキーの双子の姉・マール(15才で死亡)など数々の想い出とともに大量の登場人物が隠されている。校長に小林稔侍、教育委員会の実力者に椎名桔平、教師に上原美佐、渡辺いっけい、志賀廣太郎、生徒に堀北真希、本郷奏多、加地千尋、松川尚瑠輝と結構、豪華なキャスティングでお腹いっぱいにもかかわらず、他校の教師に突然、黒木メイサがゲストに出るように今後も死ぬほど友情出演の連打になるのである。・・・だ、大丈夫か?

ちなみに榊原郁恵の「ナッキーはつむじ風」は無関係です。

タイムスリップにより、80年代後半から現代にやってきたようなナッキー。憧れの教師として登校するのだが、着任早々、理科の教師がパンイチで磔にされているところに出会う。学校は謎の組織に支配され、教師さえも口を憚るのである。いやあ、すさまじい時代錯誤だなぁ。そしてナッキーの受け持つクラスこそ、謎の組織の本部らしい。そして、そこには二人の長期欠席の生徒がいて、過去のある日、何か事件が起きたらしい。

ここでもし富豪教師なら、いや、そんなものはありませんが、上原あたりを金でつり、真相を聞き出せばすむことであるが、ナッキーは自信過剰っていうか、スーパーウーマンなので正面突破である。「オレたちに教師はいらない」とシカトをする生徒たちに「私はみんなの笑顔が見たい」と執着心もあらわに切り込んでいく。

ナッキーに立ちはだかる生徒たちの姑息な罠。他校の生徒に恐喝された生徒がいたらあんたどうするには直接乗り込み直談判。しかし「お金持ちのお嬢様に何がわかるの」という長期病欠で17才の中学生・堀北には鼻で笑われ、1対全員のドッジボール。ただし、どうやら一人の生徒の心をつかんだらしい。非情に微妙だが、「ごくせん」の前例もあるし、いや、イケメン高校生はヌキなのだが、バカドラマとしてヒットする可能性もあるような気がする。・・・なんて自信のない態度なんだ・・・。

関連するキッドのブログ『嫌われ松子の一生』『鉄板少女アカネ

まあ、というTBSテレビのふたつのダメドラマの主人公ふたりが合流しているわけで・・・。幸あれと願わずにはいられないのです。

で、『特急田中3号・第二話』(TBSテレビ)も見た。まあ、これ、ラブコメとして見ると栗山千明と田中聖というありえない組み合わせがハッピーエンドを迎えるという王道を歩んでいるのです。で、今回は一流商社からハケンと栗山のグレードを下げて、だからつりあいは悪くないという方向にまとめつつあり、早くもガッカリの方向へ。組み合わせとしては秋山→加藤、塚本→紙ということらしい。後者カップルは木更津組である。もっとも紙はウッチーの彼女の元・売春婦ですけど・・・。主人公田中(一郎)があまりにもバカなのでみんなが見捨てることができない・・・それは完全な人間なんていないから・・・という意味では、『生徒諸君』の真裏に位置するわけですが、バカにも程があると感じる人には田中(一郎)のキャラ設定についていけない。オタ二人よりも明らかに妄想狂の田中(一郎)の言動にシンパシーを感じる人は少ない・・・社会であってほしいと思います。まあ、変な人とは係わり合いにならないように落し物には気をつけようという教訓は含まれているようです。オタ二人と女子三人の設定はいいだけに、田中(一郎)のキャラがもう少し魅力的だったらなあと惜しい気持ち。落ちこぼれだっていい。前向きだっていい。でも自分の置かれた状況を見つめないと何処へも出発できないってことを田中(一郎)が思い知るドラマになるのかなぁ・・・。

で、『帰ってきた時効警察・第二話』(テレビ朝日)脚本・監督・三木聡も見た。三本立てかよおいっ。警察も学校もコントの舞台として申し分ないので、「生徒」ももっとコントの方にシフトいればいいのに。「特急」は田中(一郎)抜きで進むとスムーズなのにな。ま、それが敵わぬ社会だから「時効」が輝くのだが・・・。提供ベースにそーぶくんが出てくる。スーパーマリオブラザーズのゲームのキャラクターのように。上手からキノコがやってきて、そーぶくんと重なると、そーぶくんがゲットされてキノコがむくむくとジャイアントキノコになり下手に去って行く・・・爆笑。

今日はそーぶくんが目に付く。鑑識の諸沢(光石研)もそーぶくんを握っていたし。福引の景品にもなっていた。さて・・・荷物を整理していると昔の自分のビデオを発見する三日月(麻生久美子)。今日は「想い出は未来の残骸なんだよ」と語る霧山(フォッグマウンテン・オダギリジョー)の幻覚を見る。ベランダに舞う花吹雪・・・どこにも桜はないのだが。

十年前のビデオを見せて三日月はロマンチックな気分に浸りたいのにアダムスキー型円盤を発見してしまう霧山。成立していない会話にツッコミを入れるほどプンプンである。今日も真加出(小出早織)はマイナータバコ銘柄の紙バックでご出勤。61万円のテトラポットを買おうとした理由を言わない上に思い出し笑いをしてみんなをもやもやのくにゃくにゃにさせるのだった。

今回の霧山はマジシャンである。タバコの空中浮遊。そして最後は自分が空中浮遊。

今回の犯人である綺羅(市川美和子)も対抗してグラスのウイスキーを砂に変えたりする。彼女は意外と地味なのだがキスのお値段が一千万円という高値の花ホステス・総武銀座の夜の女王である。三日月くんは全体がEmだが、高級クラブもEmなのであった。

被害者の内縁の妻のくだりで三日月くんは大喜びである。今日も妄想炸裂の三日月くん。三日月くんの可愛いところを見ているだけでもう充分満足できるのだなぁ。

トレンチコートにアザラシのポーチが定番かどうかはさておき、オカマの納豆足臭いナターシャ(堀部圭亮)は高校の時から霧山を愛していたのである。この辺りハードボイルドの定番だな。「ナターシャ・・・スネ毛処理しろよ」と言いたい。バーで綺羅と密会した霧山は深夜の買い物。三日月くんが偶然目撃して激しく嫉妬。ちなみに賞品は六等賞の意外と早く泳ぐ亀一匹が当たるといいのになぁ。世の中のやっかいごとはすべて霧山のせいだという十文字。逆実存主義である。

夜の街を行く三日月と霧山。電信柱の張り紙は「社長募集」で「スパイ募集」である。社長に変身した志賀廣太郎は「もう帰る」三日月くんに「お前はカエルだ」三日月くんは「げろげろ」である。可愛いよ、可愛いよ三日月くん。

あやしいホステス矢沢心の電話の相手はみゅうみゅうちゃんなのかっ。まあ、いろいろあるけれど、ふせえりの権現権現権現・・・(ツァラトゥストラはかく語りき)、志賀勝のごちゃごちゃごちゃからカモミール経てチーズフォンデュ、銀粉蝶のマシュマロ焼き。キッドは両方とも美味いと思いますけれど。このあたりのコネタがさわやか。

とにかく、一千万円のキスをゲットした霧山は「なんでもねぇよおおお」なのだった。

ちょっとした嫌な想い出はすべて洗い流してくれるこのドラマがあって良かったと思える金曜日の夜ですよ。

関連するキッドのブログ『第一話のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『ドキュメント07・アフガン少女と日本のお母さん』(日本テレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

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まこ☆ミキ様の生徒諸君!

アンナ☆ラン様の帰ってきた時効警察

かりん☆スー様の帰ってきた時効警察

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2007年4月20日 (金)

ヨン様はヨン様でミッチーがヨン様で上戸彩は韓国で見ず知らずの男の車に乗ってはいけません。

30年で老舗と言えるかと言えば言えないとキッドは思うのだが、最低三代は続き、75年くらいの歴史がいると思います。どちらかと言えば70年代不況の時代に成り上ったホテルでしょう。

不動産王の森本(竹中直人)は引き抜いた乗っ取り対象の人材を引き取らないのだが、・・・それって無意味なのでは。まして、突然、たたきあげの実力者がM&Aの専門家に頼るって・・・変だよな。

かってちょっとした美人局でホテル界を追われた緒形(田辺誠一)を杏子(上戸)が連れ戻しに行くのだが、緒形は拒絶、しかしシン(ペ・ヨンジュン)に説得されると決意を翻す。見つめられたからなのか。あの、優しそうな目でみつめられたら誰も抵抗できないのか。・・・説得力なーし。視聴率11.1%・・・納得。

で、『ホテリアー・第一回』(テレビ朝日070419PM9~)原作・カン・ウンギョン、脚本・江頭美智留、演出・木下高男を見た。主題歌は上戸彩が歌うのだが、微妙である。「ひと夏のパパへ」の主題歌「感傷」以外、曲に恵まれないな。ライバル後藤真希と対称的だな。後藤は死ぬほどドラマに恵まれない。本当はこのドラマの主題歌はゴマキが歌えばよかったと思う。ま、ありえないんですけど。

「下北サンデーズ」で地にまみれた上戸だが、「アテンションプリーズスペシャル」(フジ)「李香蘭」(テレビ東京)「渡る世間は鬼ばかりスペシャル」(TBSテレビ)と他局のスペシャルを渡り歩いてここである。それにしても各局ともに上戸が大好きなのだな。まだまだ人気コミックのヒロインを演じていた方がいいと思うのだが、大人の女を演じさせたい人々がいるのだなぁ。違和感たっぷりにホテルの興廃を担うホテリアー役である。

「ホテル」を巡る買収劇と再建劇に登場人物たちの愛憎がからみあう。とりあえず、最初は登場人物紹介である。これらの人物が異国である韓国ならばなんとなくごまかすこともできるのだろうが、日本を舞台にするとまったくリアリティーを感じられなくなる。これは明らかですね。まさに歴史を捏造し続ける国だから許される設定なんだよなぁ。それにしてもアメリカ留学の殺人狂が日本人でなくてよかったよなあ。日本人だってあのくらいのキチガイはいるだろうからな。それにしても最初は中国人という報道もあったりして、結局、アメリカ東部ではアジア人にチャイニーズもジャパニーズもコリアンも大差なしってことなんだよな。だから、日本人じゃなかったからってホッとしてはいられないかもよ。

とりあえず「バンビ~ノ」も登場人物多数だったのだが、さすがにホテルだけあって登場人物はさらに大幅増員されている。大杉漣の後を受けて新社長は妻の片平なぎさ。その息子がダメな後継者オーラだしまくりの佐藤祐基で、竹中の娘が怪しいサエコ。上戸とは同い年の設定だが、サエコがお嬢様で上戸が家出娘あがりってあたり、もうどうしようもなくありえない感じが漂ってます。上戸は22才で英語も韓国語もそこそここなせる家出娘でたたき上げのホテリアーっていつ勉強したの・・・。もう、途中からドラマだからの連発の気配。

この他にも小田茜だの西田尚美だの笛木優子だのもう充分だろうというキャスティング。

ああ、ミッチー(及川光博)を忘れてました。

どうやら、ミッチー(35)と田辺(37)が上戸の恋愛相手になるらしいのだが、それって誰の願望なのだろうか・・・。

ま、二度とレビューすることはない予感で一杯ですが、上戸ならではパワーでものすごく面白いドラマになったりしたら書くかもなーっ。

で、『わたしたちの教科書』(フジテレビ070419PM10~)も見た。相変わらず、弁護士(菅野美穂)の本心は謎に包まれているが、「タイヤキのしっぽ」のくだりは涙なくしては見れない。結局夫の連れ子だった子役(小野花梨)の演技も見事だったが、志田未来の少女時代という設定がかなり違和感がありましたが。それにしても水嶋ヒロはいい声だな。養護施設の高田聖子もいい味だしてる。ラストでクールな菅野が牙を剥くにあたり、「神様はいい人にご褒美を悪い人に罰を与えるとは限らない」という名セリフを残す。そうです。そういう菅野がもっと見たいのです。しかし、実際に銃を乱射して闇を撒き散らした人のフィクションが激しく視聴率を奪っていったわけですが。「たまこさんありがとう」なのであったのに。破り捨てたけどテープで止めたのであったのに。学校は異常事態であったのに。そして光と闇は・・・つづくなのである。

関連するキッドのブログ『第一話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『LIMIT OF LOVE 海猿』(フジテレビ)

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まこ☆ミキ様のホテリアー

かりん☆スー様のわたしたちの教科書

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2007年4月19日 (木)

・・・・・・・・お疲れ様でしたっ・・・・・くそっ。(松本潤)

前菜担当のあすか先輩(香里奈)に「お先に」を連発されて、伴(松潤)が頭を下げる・・・。道明寺・・・ついに敗れたり・・・である。

キッドは喫煙者に対する頭の悪い禁煙強要には断固反対なのであるが、料理人に関してだけは「美味しんぼ」に洗脳されている。いや、今だって喫煙者で凄い料理人は絶対にいるはずだと信じるのだが、基本的に味覚に関するプロフェッショナルはニコチンに弱いと思う。だから・・・山Pに続いて松潤がスパスパと冒頭からこれみよがしの喫煙をしているので・・・これはやられると思ったのだが、やっぱりやられてしまいました。

マスターじゃなくて一の皿担当の香取先輩(佐藤隆太)に鉄拳制裁されて地を這う二代目バンビじゃなくてバンビ~ノ(小鹿ちゃん)・・・。「ちゅらさん」なみに重層的な登場人物を配置して、「アカネ」の匂いをプンプンさせながら、バンビの成長物語でひっぱっていけるのか非情に微妙なスタートでした。

で、『バンビ~ノ!・第一回』(日本テレビ070418PM10~)原作・せきやてつじ、脚本・岡田恵和、演出・大谷太郎を見た。少女マンガ大好きの脚本家が、体育会系厨房劇に合うのかどうか、微妙だが・・・今回もちょっとヒステリックな暴力描写だったしな。ガツーンでいいと思いますよ。ガツーンで。早くも地方に残した彼女(吹石一恵)、あすか先輩、そしてオーナーの娘で支配人・美幸(内田有紀)、ちょろりですけどウェイトレスこずえ(小松彩夏)と誰がヒロインだかわからない群像展開。オレザクのカメリエーレ長・司(北村一輝)とラクダな二の皿担当・桑原(佐々木蔵之助)が無駄に美幸とからむ展開。ま、このぐらいならいいけれど、またグダグタになる予感は高い。ドルチェ担当のほっしゃんがいいのはセリフがないからか・・・。

「運命の扉」だとか「点火」だとか「加速」だとかどうでもいいクレジットはやめて、連発するイタリア語に字幕つけんかっ。イタリア語がわからなくてオタオタするバンビの気持ちは一回くらいでいいでしょう。

それにしてもやたらテーブル数の多い店。やたら多い従業員。それにしては厨房に下っ端少なし。山本圭のサンマルツァーノと市村正親のバッカナーレはどうやら兄弟の絆で結ばれているらしいから凝った「鼻っ柱の折り方」なのかもしれないが、コストパフォーマンス的に「井の中の蛙」を本人に分からせるために食材、無駄にしすぎだろう。もう、そういう感性は失われたのか。食べ物は無駄にしちゃいかんだろう。芸人がおでんをアチチとでもしない限りは。とはやくもグダグダ感の気配。

客層もよく分からんし・・・六本木だろう。なんか制服のOL風までいたが、ランチタイムにしろ、どんな価格設定なんだーっ。この間までハケン弁当とか言ってなかったかっ。

ま、あんな食品会社やってたワクだからな・・・そんな細部に文句言ってもしょうがないか。ともかく、やたらに客が入る店で、新人に自分の力のなさを思い知らせるためには食材を無駄にしたり、店の味とはいえないパスタを何品か出させると・・・イタめしなめてんのかっ。最初の何品か右も左もわからん大学生のアルバイトのパスタ食わされた客・・・哀れです。

料理の上手なキッドの幼馴染は「料理はね。科学なの」が口癖だが、レシピ通りに作っても火加減ひとつで変わるのが味わい。とくにパスタはスピード命だろう。バンビがダメなのは一目でわかるだろう。もうなんか、最後にシェフ、マスターをなぐる、マスター、バンビをなぐる、これがやりたかっただけなのがミエミエで・・・残念です。

まあ、「定番」で言うと「見所」があるから「博多→東京」に修行なのだろうが、なんだか、吹石狙いの山本がバンビを東京に追い払った風にも見えるんですけど・・・。こういうのって作り手の人格がでるんだよなぁ。

それにしてもエクスプローラ7使い心地わるいなぁ。そんなに悪いドラマじゃないのに記事を書いているうちにイライラしてきたではないか・・・。

なんだか、料理も美味しそうにみえないし、セリフは博多弁を含め、香理奈以外の心がまったく伝わってこない。流れるような演出でおしゃれなのだが、なんだか、浮いているのである。もうちょっと軌道修正するといいなぁ。

とにかく、今回はストゥッツィキーノ(先付けのおつまみ)のようなもの。来週からはメリハリのあるセリフと食材を展開のためだけに無駄にしないドラマをお願いします。厨房の雰囲気、「拝啓」のようであればいいけど「アカネ」になってますから・・・。

関連するキッドのブログ『花より男子2最終回

金曜日に見る予定のテレビ『生徒諸君!』(テレビ朝日)

くう様、これはツカサロイドが活躍できないので・・・ひょっとしたらロイドをPごっこに登場させるかもです・・・。

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まこ☆ミキ様のバンビ~ノ!

かりん☆スー様のバンビ~ノ!

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2007年4月18日 (水)

女は愛の深さを計るものなのっ。(松山ケンイチ)

「そうなの?」とニコ(大後寿々花)は疑わしげである。「そうなのっ」とロボ(松ケン)は言うのだが、六角精児から合コンの勝負服(グリーンの染み汚れつき)を借用するような男なので信憑性は疑わしい。

とにかく、今回も犯罪者に優しい女子中学生・ニコとロボットアニメおタク・ロボなのであった。前回、殺し屋で今回は強盗犯とお友達になってしまう。認めたくないものだな若さゆえのあやまちというものをの人がオープニングのナレーションのだが、このあたりはかなり危険な領域に踏み込んでいる。もちろん、キッドは断固支持なのだが、こういう時に限ってアメリカで韓国人が、日本で暴力団が物騒な事件を起すのである。フィクションと現実の世界は違うのであると声を大にしておきたい。現実の中学生は飛行中のヘリコプターの外で風に吹かれてたりしないのである。

今回はロードムービーである。映画『幸せの黄色いハンカチ』テイスト。ドラマ『彼女が死んじゃった』風味。トッピングに映画『おかしなおかしな大追跡』(1972・バーブラ・ストライサンドのスクリューボールコメディ・・・カバンの取り違えネタとして秀逸)だ。

とても甘口だけれども、際どい部分もあり、またまたいい味だしてるのであった。

で、『セクシーボイスアンドロボ・Voice2』(日本テレビ070417PM10~)原作・黒田硫黄、脚本・木皿泉、演出・佐藤東弥を見た。今回のテーマは「ワンランク上の恋愛」である。それはどこか、普通の恋愛を蔑んでいる趣があり、普通の恋愛をしているものは脱落する。普通の恋愛をしているものはそれほど多くはないが実在するからである。

まず、ニコは「恋愛する中学生」を理解できずに、適当に「好きな男子」を設定し、お茶を濁している。さらに「恋愛する姉(村川絵梨)」を軽視してその恋愛を破壊し、関節技を決められてしまう。

一方、ロボは合コンの予定にウキウキである。

偶然、同じ美容室でシャンプーを受けたキッドには永作博美にも見えるニコとロボ。そこへ郵便強盗を働き盗んだバイクで逃げてきた男・後藤(村上淳)が乱入し、ニコとロボは巻き込まれて警官に追われるハメとなる。おそらく、ロボはともかく、ニコが一緒に逃げて逃げ切れるというコミカルな要素でリアリティーを感じなくなった人々が脱落する。

今回、ツナギの要素として「二億円の仏像を受け取り持って帰る」使命を帯びたヨッちゃんこと秀吉(岡田義徳)、上司のマキ(浅丘ルリ子)の正体は未だに謎なのであるが、それをスカシと感じた人が脱落する。今回、ニセモノの足が絡んでくるのだが、そんなものでやくざの親分をだまそうというあたり、マキそのもののグレードはダウン。ううん、キッドはそういうところはいただけないと思う。マキがどんな組織に属しているにしろ、今回がちょっとしたアルバイトであるとしても、本当に秀吉の足を切断し、翌週からビッコあるいはチンバあるいは足の不自由な人に秀吉がなってしまうくらいのクールさが欲しい。・・・できるかっ。

ソレデコソ、わんらんくウエノレンアイナノデハ?

少なくともドラマ「傷だらけの天使」(1974)の綾部(故・岸田今日子)と辰巳(故・岸田森)にはそういう愛の気配があったからな。ただなぞるだけではつまらないのではないか。いや、皮ジャンは買いすぎてもいいし、足でグリグリも構いませんけど。生足でないので脱落する人がいる。

後藤に銃で脅されてシトロエンに乗り、ドライブをするミニモニなニコとおしゃれ泥棒ロボ。後藤は「伊豆に行きたい」と言うのだった。そこは桜の綺麗な路上なのだが、健久寺であり、もう伊豆じゃねえか。

男が女に逢いに行くと知った途端、ガードが甘くなるikasama4様がコリン星人に見えるニコとロボ。「おいおい、普通の恋愛を軽蔑する姿勢」はどうしたのだっ。それとも拳銃で脅かしながら女に逢いにいこうとするのがワンランク上の恋愛なのかっと思う人が脱落する。

結局、拳銃さえ持っていないダメ男。後藤。「強盗の後藤」のだじゃれに耐えられない人が脱落する。検問を突破するためにコスプレをするのだが後藤は「ごぼ蔵」というキャラになる。キッドは難聴なのでよく聞き取れないがニコは「アラヤシキ」、ロボは「ドルドンコ軍曹」になる。いずれも「マックスロボ」のキャラクターらしいのだが、その唐突さに耐えられない人、造形がピンとこない人が脱落する。

まあ、その前に2日連続の拳銃事件でかなりの人がニュースというフィクションの方へと脱落しているのだが、残った健気な人をそうたやすく脱落させちゃあ、視聴率とれないぞとキッドは思います。

その頃、お気楽様が加護ちゃんに見えるニコの家では凶悪な夫婦が何気ない会話を交わす。ここで中学生の突然の外泊になんら動揺しない夫婦が分からない人々が脱落する。「今夜は二人きりか」「こういう時に犯罪っておきるのかしら」「どっちが被害者になるのかな」「・・・・・・」である。焼肉がもう一つ美味しそうにみえないので脱落する。

ついでにラーメンと魚定食ももっと美味しそうにみせないとなっ。みせないと脱落するよっ。

買い物メモを見ながら桜餅を買い、たどりついた「後藤の愛する女・すずの家」しかし、そこにいたのは初対面の野口さんだった。事故死した恋人・すずの内臓を移植した野口さんの奥さんに「生きているすずにあやまりたい」というごぼ蔵。ここでそんな見ず知らずの人に下腹部を見せる妻とそれを許す夫の感性が理解できない人が脱落。

「恋人に買い物を頼まれてもろくにこなせないダメ男が恋人の死によって失われた愛に気がつき現実を逃避してしまう」というのがワンランク上の愛だと思わない人が脱落する。

ニコは留守番電話で知った「すず」の声になり、ロボの携帯電話から後藤に奪われた自分の携帯電話へ。「あなたは富士山みたいにちゃんとした人になる」と伝える。そのシュールさに脱落する人がいる。ここはもっと特徴ある声をすずにして、たとえば酒井若菜とか戸田恵子とかにしてニコの声色を際立たせないと、意味不明の人が脱落するぞーおい。

自首したごぼ蔵を見送った後、こぼ蔵とすずの愛の部屋を掃除してあげるニコロボ。片付けられない症候群の人々がうらやましさに脱落する。いや、ここはしないのか。

ま、ここまで脱落しなかった人はもう脱落しないか・・・。「とりかえのきかない人にいつかめぐりあえるのか。めぐりあえなくてもどこかにそんな人がいると信じられれば毎日が楽しい・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、それが・・・・・・・・恋愛か」この間に耐えられない人が脱落したかもしれませんが。

で、視聴率は12.5%↘*8.7%である。来週はもう少しサービスしないと営業がいい顔しないし、営業がいい顔しないと、編成もいい気分じゃないし、編成がいい気分じゃないと、プロデューサーもつらいし、プロデューサーがつらいと、現場がそれとなく暗くなるので、せっかくの面白さが半減してしまうのでは・・・とキッドは妄想するのです。ロボがニコの暗示で妄想するごとく。

来週ゲストは香椎由宇かぁ。女ロボなのか。

関連するキッドのブログ『第一話のレビュー

うう・・・録画にNEOがない、長崎の事件か・・・。ただの殺人事件にみんな注目しすぎだ。政治家が命懸けなんて当然のことだろうに・・・そうでもないのかしら。

ちなみに記事の内容についてはフランスパンの円空像レベルでキッドの妄想が責任を転嫁します。

木曜日に見る予定のテレビ『ホテリアー』(テレビ朝日)

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まこ☆ミキ様のセクシーボイスアンドロボ

かりん☆スー様のセクシーボイスアンドロボ

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2007年4月17日 (火)

長い長い長い長い長い長い・・・長い結婚式になりそうです。(山下智久)

松ケンに続いて一週間に二回も男子のタイトルが・・・。そうなると、(月)山P(火)松ケン(水)松潤と続く可能性もあるのだな。これが(木)ミッチー、(金)オダジョー、(土)東山、(日)佐藤健なんてことになったら、まるで男が好きみたいじゃないかっ。いや、そんなことにはならないですけど。

タイムトラベルものである。三上博史が妖精なんて言っているのでファンタジー展開。基本は「過去に戻ってやりなおし」なので過去改変もの。新機軸は結婚式のスライドショーの写真がタイムマシンになっているというところか。

現在、仮面ライダー電王(テレビ朝日)がオンエア中なので、タイムトラベルが流行のきざし・・・でもないか。映画『バブルへGO!!タイムマシンはドラム式』が公開されたばかりだし、『この胸いっぱいの愛を』(2005)がオンエアされたばかりだし、去年はドラマ『がきんちょ~リターン・キッズ』(TBSテレビ)があったな。

だからといって使い古された手段とは言えないな。これはジャンルだからな。小説『タイムマシン』(1895)から112年。数々の「時間をめぐる物語」が生れては消えていった。小説ならば『夏への扉』、映画ならば『バック・トゥ・フューチャー』を見ておけば、基本は理解できるだろう。「過去に行けば未来を変えたくなり」「未来に行けば過去を改めたくなる」基本的に人間はせつないのである。せつないから「時をかける少女」なのだ。・・・お前、男だろっ。

はたして、記憶に残るタイムトラベルものになるかどうか。堂本剛の「君といた未来のために~I'll be back」(1999日本テレビ)はなかなかでしたけれども。

過去への旅はまだ始まったばかり・・・。「あちらをたてればこちらがたたず」だったり、「本当の気持ちに気がついて」しまったり、「相手の気持ちに気がついて」しまったり、「気持ちそのものが変わって」しまったり、「未来が消えて」しまったり、もうなんでもありのこの世界。妖精が悪魔なのか、天使なのか・・・すこぶる楽しみである。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「特急田中3号」11.5%(まあ、田中くんが主役だと奇跡でも起きない限りこんなもんでしょう、しかし、「孤独の賭け」には勝っている)、「帰ってきた時効警察」12.8%(「セクシーボイスアンドロボ」より0.3%勝っている。まあ、10人に1人が楽しめるドラマかと)、「喰いタン2」16,2%(映画「海猿」と食い合いか。来週、「海猿2」がしのぎどころだな)、「LIAR GAME」12,3%(「セクシーボイスアンドロボ」に0.2%負けている。「デスノート」の二人ですが)、「風林火山」↗20.0%(戻しましたーっ。諏訪くん危うし)、「冗談じゃない」19.4%(「華麗」からの↘11.0%、まあ、もう1%踏みとどまれなかったのは内容?)・・・以上。

で、『プロポーズ大作戦・第一回』(フジテレビ070416PM9~)脚本・金子茂樹、演出・成田岳を見た。脚本はヤングシナリオ大賞2003のグランプリで「危険なアネキ」からここである。演出は「サプリ」からここ。「西遊記」はヒットしたけど。がんばって欲しい。そこそこおしゃれなのだが。ベンチ入りした高校球児がいくら一回戦負けレベルで補欠とはいえ、野球帽をかぶっていないという演出はダメですけど。

結婚式である。結婚するのは礼(長澤まさみ・今回フニャフニャ控え目である)と数学好きな年上の人・哲也(藤木直人「先生」らしい)。二人は幸せいっぱい・・・のように見える。出席する予定の礼の幼馴染の健(山下)は寝坊して遅刻しそうになる。

タクシーの運転手が酒井敏也では間に合うものも間に合わない。できれば亀を同乗させているとよかったのにな・・・時効じゃないからコネタはいらないか。しかし、なんとか、間に合ったようだ。しかし、健は本当は式に来たくなかったのである。なぜなら、礼は健の最愛の女性だったのだから。

ウェデイングドレスに包まれた礼はまぶしいのである。式は滞りなくおこなわれ、すでに人妻となった礼に健は「スピーチよろしくね」と念を押されたりする。

さあ、ここまでに、伏線はあるのだろうか。健はなぜ寝坊を? 健を起す携帯電話は友人たちからだけ? マラソンで渋滞するのだが、その優勝者と張り合う意味は? 特に優勝者は受付のワンセグで確認され、過去でもすれ違う。意味ありげである。そして、何度も交わされる礼と健の視線の交換。

実は、物語の本筋に入るまで、30分。結婚式から披露宴までのある意味、退屈な流れが続く。どちらかといえばセレモニー好きのキッドが退屈するぐらいだから、(キッドは「いい結婚式だったな」とか「なかなかの葬式だったな」とか言うのが好きだ)多くの人が退屈になってしまったのではないかと心配だ。

ここで、謎の男(自称・妖精・三上)と健が二人がかりで健の後悔と絶望を語っていく。「最愛の人が分かるのはその人を失った時だ」とか「結婚相手は二番目に好きな人がいいというがそれはどうしたら分かるのか」とか「奇跡の扉を開く鍵は誰の手にもあるのだが、ほとんどの人は気付かない」とか「奇跡の扉を開いたってそれが奇跡だとは気がつかないことが多い」とか、おいおい、いい加減、言葉で説明するの、やめてくれないかななのである。

ともかく、小学校の時に礼が転校してきて以来、ずーっとずーっと健は礼が好きで好きでしょうがなかったのだが、最高のタイミングとやらを捜しあぐねるうちに、ついに告白することもないまま、相手の結婚式を迎えてしまった若者の胸はせつなさでいっぱいなのであった。ま、キッドには経験のないことなのでよく分かりませんが。

とにかく、主な友人たちの先陣を切って結婚するらしい礼。女友達のエリ(榮倉奈々・奥エリである。そこをつかまえると有利なのだが・・・誰が柔道の話をしろと言った)はとにかく結婚したいらしい。尚(濱田岳)も結婚したいらしい。しかし、尚はエリとしたいのだが、エリはそうではないらしい。これも伏線だろう。最悪、尚とエリは結婚するのかもしれないし、ややバッドエンドとして健とエリが結婚するという可能性もある。男友達はもう一人いて絶対主人公の邪魔をしない男アユタではなくて幹雄(平岡祐太)である。しかし、アユタ、いや幹雄がエリと結婚する可能性はありそうだ。

どうして、そんな可能性があるかというと、この結婚式場に住み着いているらしい妖精が健にチャンスをくれるからなのである。

妖精は登場すると健を時間の流れの外へと連れ出し、つまり、二人以外には時間が止まった状態で「過去を変えたいと思うならチャンスをやろう」と言うのだった。報酬は海老フライらしい。まあ、ファンタジーを認めない人はあまりの悲しみに健が気が狂ったと考えてもいいのです。妖精が時間をとめるのと誰かが発狂することそれは基本的には同じことですから。

健がこだわったのは結婚披露宴の「スライドショー」の「高校の野球部時代の集合写真」に写る礼が悲しげだったことなのだが、妖精はその写真が撮られる直前の時間に健を送り込むのである。呪文はポーズを決めて「ハレルヤ・チャンス」なのであった。

未来の意識を持ったまま、過去の世界の自分となった健。時はおよそ2003年頃、なんでだろうの流行後の夏の甲子園大会予選。選手だった健とマネージャーだった礼にとっての「最後の試合」の最終回だった。

最初の歴史。1-0のビハインドで迎えた九回裏二死。代打に出た礼は三塁打を打つが、次打者の尚が三振。試合終了。最後の試合は終わり、礼は悲しい顔で記念写真を撮影。

新たなる歴史。代打に出た健はランニングホームランを狙って暴走。タッチアウトで試合終了。結果は同じだが、チームの和を乱した健はチームメイトと口論したり、監督(松重豊)にメガホンパンチを食らったりする。そして、礼とはどうやら、最初の歴史にはなかった会話を交わす。それは「なんで暴走したの?」「甲子園に連れていくって約束したから」というタッチな約束が実現されなかったことの確認だった。

記念写真のシャッターが切られると現実に帰還する健。しかし、写真の中の礼は微笑んでいる。そして三振したはずの岳が「あの時、お前が暴走しなければ・・・」と語りかける。歴史は塗り替えられたのである。しかし、変わったのはそれだけだった。

再び、時間がストップし、妖精登場。もっと大胆なことしないと歴史は変わらないと告げる。ま、大胆なことが苦手だからこうなっているのだが・・・。そして同じ写真には二度と戻れないらしい。ま、妖精の自分ルールなんでしょうけれど。

それじゃあ、別の写真で戻ればいいじゃないかと安易に思いつく健。その視線の先には怒っている(らしい)礼の写真が・・・で、つづくである。主題歌は「明日晴れるかな」桑田佳祐である。手を抜いてサビは子供に歌わせているがなかなかいい曲だなぁ。

敵のピッチャーをイケメンだから応援するエリや「高校球児の青春のかけら」を蒐集するソクラテス重人(渡部豪太「天使の梯子」からここ)も気になる存在ですが、最後に藤木直人がどうなってしまうかも気がかりです。ま、山下と藤木が相思相愛になることはないと断言しておきたいと考えます。この予言が外れるようなら、キッドには奇跡は無理。

関連するキッドのブログ『セーラー服と機関銃

水曜日に見る予定のテレビ『バンビ~ノ!』(日本テレビ)

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Hcinhawaii0129

ついに春ドラマのH☆C関係者(一部)の大注目する『P大作戦』がスタート。当然のようにP祭りが開催され、こちらでもPごっこレポートをお届けする。アンナ☆ラン「何をもめてるの?」まこ☆ミキ「・・・とりあえず新郎はフジッキーロイドなのでミキがまさみちゃんじゃけんねっ」ぷっち☆翠「いえいえ、オチからいって最後の新郎は山P先輩だからここは翠がポイントデス」かりん☆スー「でもね、ピーちゃんは番宣でね、制作発表でもね、ピーがピーだからピーなのよ」

Hcinhawaii0130 アンナ☆ラン「あらら、新婦の席にはみのむしさんが・・・」三人「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ」みのむし「ハレルヤー★チャンス♪キラリーン・・・」三人「ずるい~」アンナ☆ラン「奇跡は小さな結果の積み重ねなの。ダーリンは最初から奇跡だけどね」三人「そんな~~~」

Hcinhawaii0135 お気楽「変えるの? 過去も? 未来も?」アンナ☆ラン「誰?」お気楽「妖精・月の王子様なの」四人「・・・もろパクリだよねっ」お気楽「映画用のキャラなんだけどね。出番が来ないからこっち来ましたっ、とにかく、ハレルヤー★チャンス・・・結構恥ずかしいのね」

Hcinhawaii0131 「山P~」「Pちゃ~ん」

Hcinhawaii0132 「キャ~打ったーっ」「キャ~走った~」

Hcinhawaii0133 まさみ翠「山P先輩・・・最高でした」

Hcinhawaii0134 まさみかりん「うふふ~ん」

まこ☆ミキ「ちっ。ノリおくれた・・・次週、リベンジデス・・・」

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2007年4月16日 (月)

ヴィクトリーで162万馬券・・・結果として英雄になるだけなのさ・・・じゃねえよ。・・・・・・えへへー、結婚しちゃった。(上野樹里)

「華麗」が去った後の「冗談」である。「冗談」だけに取り組みにくいドラマだなぁ。メンバー構成はすごい。織田裕二で上野樹里で大竹しのぶである。もうとりあえず見るメンバー。ところが、これが、夫、妻、妻の母親で昔の恋人という関係である。あーっ、面倒くさいーっ。

一言で言うと珍しい関係のコメディーなのかな。だけど「ごく普通だけど奥様は魔女だったのです」ではないのだな。

「妻とは年の差カップル、ほんの20年だけどね、で、その母親が昔の恋人、肉体関係はなかったけどね」なのである。で、「会社はリストラされそうだし、となりの部屋には大学の同級生が偶然、住んでいるし、ストーカーっぽい飯島直子に狙われているし、妻はフランス育ちで何故か妻の母親は家出して同居を申し出る・・・妻は大学生で恋人きどりの男友達がいて・・・」ああ、いい加減にしといてください・・・。

妻の名前は絵恋(エレン・上野)なので、当然、映画「卒業」(1967・ヒロインの名前はエレーン、主人公が彼女の母親とも関係したことからドロドロになるラブコメ)を意識しているわけだが、今回はもしも二人がプラトニックだったら、そして、主人公が中年男だったらというスライドがなされている。二つ、スライドしたところが、ちょっとくどいのだが・・・まあ、誰が主役なのかってところを見失わなければいいのだが。数少ない数字のとれる織田なんだけど、キッドとしては上野中心で見たい気もして、初回としては大竹が最前線に来ているという・・・ああ。面倒くさい状態が微かに臭うんですけどーっ。

で、『冗談じゃない!・第一回』(TBSテレビ070415PM9~)脚本・伴一彦、演出・土井裕泰を見た。脚本は『喰いタン2』とかけもちである。ま、ベテランなのでどうってことないのだろう。とりあえずお茶の間にちょっとエッチなことを持ち込むホームドラマを書いて20年の人だ。子供だってセクシーなことか好きなんだよっ、おじさんやおばさんだって胸キュンするんだよーってなことが持ち味の人だ。

そういう意味でリストラとか、年の差カップルとか、海外別居とか、いろいろあってもあまり期待してはいけない。基本的には「愛さえあれば人間なんてなんとかなるもんさ」というドタバタですから。パパは年中苦労するので子供が寝たあとで誰かが彼女を愛しているからママのベッドへいらっしゃい!・・・なのである。・・・なんじゃ、そりゃあ。

で、格闘技が縁で知り合った40才過ぎて独身の圭太(織田)と大学生の絵恋は同棲。ついに結婚を決意した絵恋のフランス在住の家族に逢いに行くと、絵恋の母親は20年前に別れた年上の恋人だったのである。ちなみにブドウ作りをする絵恋の父(草刈正雄)、三人の妹(仲里依紗・菅野莉央・森迫永依)もいる。「娘は返品お断りですけどいいですか」と優しい父親。姉のために「ママのウェデイングドレスを仕立て直してくれる」妹たち。ただし、問題は母親だ。名前を聞いてもしやと思った彼女(大竹)はこっそり顔を確かめに来るし、娘に隠れて夜這いをかけに来たりする。

微妙なのだ。「娘のために男の本心を確かめに来た」のか「胸にくすぶる乙女心」なのか今のところ明確にしていない。この両者は両方本心でもおかしくないのだが、そのあたりを掘り下げていくと主役は大竹になってしまう。そうなると「知らぬは亭主ばかりなり」で男性陣はドン引きである。

かといって「もう私は枯れました」的ポジションをとると熟女の皆さんが「えーっ、いくつになったって女は女よねーっ」と不満になる。

ああ。面倒くさい。でも、この作家はそういう面倒くさいあたりをネチネチ描いていくのが得意なのである。そういう腕はある。今回も微妙なくすぐりを続けながら、『エラ嫁』とかのもうあんたたちがどうなろうと興味ないや・・・という最悪の事態は回避している。いや、もう、ギリギリでしたけどね。

となりの男寡(田口浩正)が大学の同級生で「昔のことを知っている」というあたりで、撃墜された米軍ヘリの方に行きたくなる気持ちを抑えるのに苦労しちゃいました。

・・・それにしても皐月賞で霧山が五万つっこんでいたら、単純計算で七億円強かよ・・・とかを思わず考えそうになりましたしね。大学の男友達・聡(田中圭)が絵恋が結婚したと聞いて「えぇぇぇぇぇ」と叫ぶあたりで。ちなみにさすがは脇役的あたりさわりのない男王。「僕の歩く道」で本仮屋ユイカの兄の同僚、「花より男子2」で貫地谷しほりの婚約者をやってこの役。スウィングガールズを押さえました。もうひとりのアユタと言えるのだよなぁ。

小泉孝太郎と平岡祐太と田中圭でいい人だよねトリオを結成してもらいたいなぁ。

「あなたの指定席はもうないのです」と石丸謙二郎が言うのでドラマに戻ることにする。

とにかく、いろいろあったけれど、結局、結婚式まであげて帰国。新婚アツアツカップルなのだった。本当は奥様は18才ノリでもいいのだよな。しかし、それだと上野が主役になってしまうからな。

そして、突然、母親がやってくる。しかも同居を申し出る。娘に肩をもませる。これは一種のホラーなのだな・・・。いや、このトリオだと、猿の惑星というSFの可能性も。

しかし、花嫁の母親が花婿を狙うという方向性ではないようだと思えるエンディングのアニメーション。夫婦と母親は世の中のいろいろな敵(飯島直子を含む)を乗り越えて私の青空的なマイホームにたどりつくという感じらしい。そうなるとこれはオーソドックスな日曜劇場ということであるよね。演出もかなりオーソドックスです。円熟? ・・・ここまでレビューしたいドラマの乱打だっただけに、これ・・・リストラ候補なんですけど・・・。

関連するキッドのブログ『のだめカンタービレ』『僕たちの戦争

火曜日に見る予定のテレビ『セククシーボイスアンドロボ』(日本テレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

Newimage1hcmpr7 ←クリックするとTVスポットCM版『H☆C THE MOVIE アイドル戦士キャンディー☆ムーン』第4弾アリマス。(ロボット工場襲撃の巻・中編デス)お気楽様、重すぎたら許してね。

アンナ☆ラン様の冗談じゃない!

まこ☆ミキ様の冗談じゃない!

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2007年4月15日 (日)

待っていろと言われたから待っていた。(戸田恵梨香)

準主役として様々なドラマに顔を出しているのだが、連続ドラマ初主演である。ま、「ギャルサー」はヒロインとしては主演と言ってもさしつかえなかったが・・・。「花より男子2」で史上最悪の敵キャラ・中島海をそつなくこなしてここである。何ていうか、たたきあげの大物感が漂っている。まだ、18歳ですけど・・・。バーニング系の事務所で上に広末涼子、下に福田麻由子なのである。ま、なんとなくキッドは納得の布陣。

原作はコミックだが、いわゆるコンゲームの展開。20世紀後半なら映画「スティング」(1973・ジョージ・ロイ・ヒル監督作品)を出せば例になったのだが、現在ではどうでしょうか。いわゆる詐欺とか、詐欺師の話である。犯罪の匂いがイヤなら頭脳ゲームと言ってもいい。

日本でキッドの好むその手の小説をあげると「気まぐれ指数」(星新一)、「紳士同盟」(小林信彦)、「新麻雀放浪期」(阿佐田哲也)などがある。最後は異端に感じるかもしれないが、ギャンブルというものは基本的にコンゲームなのであり、この作品はある意味、究極のコンゲームだとキッドは思っている。たとえば、ギャンブルの勝者が得た金を保持することができるかどうかもまたギャンブルなのだというあたりがまことにコンゲームなのである。

そういう様々な先達に比べれば、ものたりない部分もある原作ではあるが、「お金」の「知的な奪い合い」という点ではなかなかに特化したエンターティメントになっている。

ゲームのためのゲームという設定なので、「導入部分のありえなさ」を突破すれば、なかなかに楽しいゲーム観戦者になることができるのである。何しろ、「1億円を無担保で融資された少女」が「30日間」で「相手から自分の1億円を守りつつ相手の持つ1億円を奪う」というゲームだ。それはある種の虚しさを漂わせているが、虚しさにしか燃えられないタイプというのがそろそろ増加しているのかもしれない。

で、『ライアーゲーム・第一回』(フジテレビ040714PM1110~)原作・甲斐谷忍、脚本・古家和尚、演出・松山博昭を見た。100円拾って交番に届けるような社会性のない大学生・神崎直(戸田)、届けられた制服警官(渡辺いっけい)の面倒も少しは考えてもらいたい。バカ正直な性格だと紹介されるのだが、もちろん、想像力のないタイプの人間で、世間知らずなのである。末期がんで入院中の父がいて、なかなかおしゃれな部屋に一人住まいしている。相当にリアリティーのない設定だが、まあ、原作者・脚本家・演出家の夢の女なのであろう。主人公の生活のリアリティーなんてどうでもいいだろう。ようするにゲームが面白ければと思っているらしい。まあ、そうなのかもしれません。

そんな神崎の部屋に「一億円」が届けられる。100円拾ったら届けるのだから、1億円もらっても届けるのでは・・・という指摘はやめておく。神崎はびっくりして同梱されていた封筒を開いてしまう。そこには「これはゲームです。あなたが持っている一億円は原点。対戦相手も一億円を持っている。ゲーム期間は30日。ゲーム期間終了後に残金のプラス分が賞金となり、不足分は借金してでも返済してもらう」というルールが謎の主催者によって明らかになる。

ここで一億円を一ヶ月無担保無利息で借りられたら、あんなこともこんなことも・・・などと考えてはいけない。原作はヤングジャンプの連載なのでそのような知的な読者を想定してはいないのだ。対戦相手が中学の時の優しい教師(北村総一郎)と知り、神崎は相談に行って、教師の言うまま、全額を渡してしまう。教師は「これは新手の詐欺で主催者が全額盗みに来るかもしれないから全額、銀行の貸金庫に預けてしまおう」と説得したのである。

しかし、教師が第三者に電話で「バカな娘だ。オレはこれでたった一月で一億円稼ぐことができる」と言っているのを聞いてしまう。「ライアーゲーム」の最中にそんな大事な話を庭先でするかどうかは考えてはいけない。何しろ原作はヤン・・・もういいか。「ええーっ、どうすればいいの」と交番の警官に相談する神崎。しかし、警官は「そういうことき警察に相談されても困る。そういうのは詐欺師の領分だ」と・・・いや、やめておこう・・・ナイスアドバイスをするのである。そして、運がいいことにその日、天才的詐欺師・秋山(松田翔太)が刑務所を出所してくると情報提供するのだった。・・・おいおい。

押しの一手でついに秋山を仲間にすることに成功する神崎。ニコロボに続く、ヘッドとボディの相棒誕生である。この場合、秋山がヘッド。神崎がナイスボディなのである。うん、うまい。バカ正直な女の子と天才的詐欺師のコンビなのでバカサギと呼んでもいいな。うんうん。うまいうまい・・・失礼しました。

さっそく、藤沢調教師じゃなかった藤沢元教師の家を訪ねるバカサギコンビ。藤沢が金を返す気がないことを聞き出す。「たった一回業者にキックバックを要求したのが発覚して教師はクビ。家族は家を出ていくし、オレは金がいるんだよっ」なのであった。

騙されたと知ったバカは怒るという知的能力はないので困ってしまう。「一億円の借金なんて困っちゃう」のであった。ここでサギが「5000万円で二億円を奪ってやる」と条件を出す。バカは「1億5000万円でいい」とは言わずに契約を飲む。こうしてバカサギのコンビの絆は深まったのだった。

サギの考えた作戦は「監視」だった。藤沢から目を離さないこと。実は重労働である。二人で交代してやるにしても、家の前後の監視のためにはカメラ設置なども必要にはずだが、近所に監視にぴったりの物件があったり、バカは体力には自信があったりして、とりあえず監視は成功する。結果論だがあくまで推理のような装いで「これで金は銀行できなく、家にあることが分かった。藤沢が逃亡しないのがその証拠だ」とサギは断言。

そして、期日まで後わずかの時点で一計を案じる。音響効果による擬似火災である。教師の家に乗り込んだバカサギは教師が部屋から動かないのを見て「金はこの部屋にある」と指摘する。家宅不法侵入だけどな。下手すれば恐喝罪だ。

しかし、何故か追い詰められた藤沢元教諭は「はははは、バカめ。そんなことがわかったって金はとりもどせないぞ。なにしろ金は金庫の中なのだっ。指一本触れられん」蒼白になり泣きそうになるバカ、しかし、サギはニヤリと笑って「そんな金庫なんて問題じゃない。オレは金を奪うことができる」なのである。相当にバカバカしいのだが、つい、どうすればいいのかなぁなどと考え出したらあなたはこの番組のとりこ。そしてつづくなのだった。

ちなみに、対決相手は次々に変わり、金額も増えるらしい。対戦相手には岩佐真悠子などもキャスティングされており、翼の折れた天使たち共演である。

関連するキッドのブログ『旭山動物園物語』『ギャルサー』『もうひとつのシュガー&スパイス花より男子2』なんだかんだ言って戸田の追っかけ・・・かよっ。

月曜日に見る予定のテレビ『プロポーズ大作戦』(フジテレビ)お待たせしましたーっ。って感じなのでございます・・・。

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かりん☆スー様のライアーゲーム

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2007年4月14日 (土)

今度こそ、イタリアンのディナーをおごってよっ。(麻生久美子)VSこっちのイカの足は八本丸まってますからっ。(小出早織)

一応、ライバルらしい。新人警官・真加出(小出)にメラッとライバル心を燃やす三日月巡査部長(麻生)なのである。「えんざい」と聞いて「犯罪を捜査するときに常に注意を払わなければならない」などと先輩風をふかすのだが、「漢字で書いてみろ」と言われて「猿罪」と書いてしまう。真加出は「冤罪」と書けるのだった。怨みが残るところである。しかし、誰もそんなことは気にしないのであった。

キッドが時効警察で一番好きなところは「殺人罪」にも「時効」があるという点をサラっと述べるところだ。今回などはまだ「罪の意識」が犯人にまとわりつくフォローがあるのだが、「人が人を殺してしまう」という「ありうる事実」には実に淡々と対応している。もちろん、このドラマの作者のポジションはキッドほど悪魔的ではないのだが、その姿勢は非情にスマートだ。この着眼点だけでも賞賛に値すると考える。

もちろん、事件に対する推理と登場人物たちのやりとり。この両輪がみごとに融合して、現実を逃避させてくれる。素晴らしいエンターティメントが帰ってきたのである。

もちろん、前座としてTBSのコメディーも悪くないのだが、ちょっと霞むのだなぁ。

で、『帰ってきた時効警察・第一回』(テレビ朝日070413PM1115~)脚本・演出・三木聡を見た。いきなり、三日月の妄想からスタートする。雪国の港町で酒場「しずか」を経営する三日月。そこに霧山(オダギリジョー)が負傷してやってくる。雪の落ち方といい、変な雪ダルマといい、もう録画して何度でも楽しめる。無意味に背中に貼られる張り紙など拡大しないと読み取れないものもあり、お遊びは徹底している。

夢から醒めた三日月の部屋はこれ見よがしに引越しの片付けが終っておらず「三日月一式」や「もろもろ」などが滞積している。そして、がめた「婚姻届2」も手元にあるのだが、あれから一年。霧山と三日月の仲はまったく進展していないらしい。

総武警察時効管理課のメンバーは健在で又来(ふせえり)は重要な登場人物とさりげなく小学校の同級生だし、サネイエ(江口のりこ)は「私だって時には飛んでみたい」のであった。交通課の三日月もいりびたっているし、刑事課のトレンチコートの似合う十文字疾風(豊原功補)と上司なのに部下のような諸沢(緋田康人)も用もないのにやってくる。

そこに新人として配属された真加出。「眼鏡をはずしたら二枚目ですよね」などと発言し、三日月の心はチラッと穏やかではなくなるのだが、すかさず、熊本課長(岩松了)が眼鏡をはずし、オチをかっさらっていくのである。

趣味の未解決事件の捜査を予算不足で中止している霧山。三日月としてはものたりなく・・・三日月にとっては捜査という名のデートだからである。霧山はシャドーボクシングではなくシャドー捜査をしたりしているらしい。

着任の挨拶にみかんの缶詰を配ったりして、しかも、三日月の分がなかったりする真加出。誰も気がつかない恋のさやあてなのである。だが、真加出の「ビギナーズラック」を当てにして管理課全員で出かけた競馬場。便乗した三日月は霧山の総武銀行の封筒入り家賃五万円をつっこんでしまう。真加出は両手に持ったイカの姿焼きの足の丸まった本数で「3-8」を予言する。みんな「えー」と言うのだが乗らなかった熊本は「早めに希望を失う人はダメ」などとのたまう。「アパートを追い出されますよ」という霧山に「えへへー」とうれしそうに笑う三日月。どんな妄想が・・・。・・・引越しの荷物をほどかない理由か。しかし、当然「3-8」が勝ち馬である。みんなが熱狂し、消沈した熊本がまたまたオチをかっさらっていくのである。

こうして軍資金を獲得した「時効が来て犯人を突き止めても何の手柄にもならない」事件の捜査を開始する。霧山から「捜査につきあってくれ」と電話があった三日月は部屋で一人阿波踊りを踊り狂うのであった。

ああ・・・この調子で面白い場面を書いていくとキリがない。なにしろ、全編がこの調子で散りばめられたお笑いをひろっていくと膨大な時間を要するのだ。

だから、このくらいにしておこう。今回のターゲット・ゲストは麻木久仁子。テレビのニュースキャスターである彼女は事件によって犯人とされた温水洋一の冤罪を晴らすのだが、実は彼女が真犯人なのだった。

「この件は誰にも言いません」カードを渡す霧山。今回は怪談つきで東ちづる(第一シリーズの第一話のゲスト)が登場する。そして、殺人を犯したけれど素知らぬ顔でニュースキャスターを続ける麻木久仁子は急に老け込み子になってしまうのだった。

時効警察・・・面白すぎる。スイカの種で作った森鴎外ほどに。

関連するキッドのブログ『回路』『電車男デラックス

で、『特急田中3号・第一回』(TBSテレビ070413PM10~)脚本。橋本裕志、演出・平野俊一も見た。脚本家は「華麗なる一族」からここである。もう、宙返りであるな。

で、見所は栗山千明のバンチラだが・・・春風の悪戯なのでよろしいでしょう。しかも二回である。ただし、本人かどうかは分からないアングルになっている。

主演の田中聖は「たったひとつの恋」からここなのであるが、三枚目のまま主役を演じるというパターン。こういう場合は相当な演技力なり、おかしみを要求されるわけだが、やくざのチンピラ役の似合うキャラクターを生かして、なかなかの好演だった。西郷輝彦をちょっと連想させる。眉間にしわを寄せすぎるのだが、もう少しソフトな表情でも大丈夫だと思う。まあ、大抜擢なので力が入るのは仕方のないところだろう。

普通の男の子が鉄道おタクに魅了されていくという設定がどこまで有効なのか・・・予想不能だが、一度も蒸気機関車が登場しないので、勇気を出して栗山(一流商社への派遣社員)にアタックする田中(日本一偏差値の低い大学に二浪して入った男)が汽車ポッポになっているという描写は伝わりにくかったのでは・・・と心配になる。なかなか、名シーンだったのに。

塚本高史とロバートの秋山竜次、加藤ローサと平岩紙が脇を固め、落ちこぼれ大学生男子とハケン社員(社会人)女子の3VS3は明らかに「ふぞろいの林檎たち」である。秋山のキャラはコミック『グリーンヒル』(古谷実)の岡ミドリを連想させる。

ちなみに主人公・田中一郎(田中)が幼少の頃に乗った自転車が田中1号、ローンを組んでいきなり事故るバイクが田中2号。そして田中本人が3号であるらしい。線路にロマンを感じるのはあってもいいのだが、『ダンドリ。』の国分太一の二の舞にならないといいと思うのである。いや、視聴率的にですが。

時刻表と列車と駅舎を巡る青春。キッドとしては金子文紀の回にどれだけふざけた演出をしてくるのかもちょっと楽しみなのである。

遠藤憲一の父、吉行和子の祖母なのであるが、母・斉藤慶子は戻ってこないのであろうか。明らかに「下妻物語」をパクった冒頭のおいたちの物語。なんとか、楽しめたのは斉藤慶子の存在が大きかったな。

岡田准一や長瀬智也を支えたバイプレーヤー塚本高史、主役より二枚目で、女の子に対して奥手という、活躍しにくそうなキャラでどこまで主役をサポートできるか、ここも注目したいところでございます。

関連するキッドのブログ『木更津キャッツアイ』『たったひとつの恋』『カクレカラクリ

日曜日に見る予定のテレビ『冗談じゃない!』(TBSテレビ)

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gooブログの方のTBがはりにくいらしい。

H☆Cのお嬢様方のTBを貼ってもらえないなんて・・・。

特急田中3号・・・かりん☆スー様の記事へ。

特急田中3号・・・まこ☆ミキ様の記事へ。

映画「東京タワー」・・・アンナ☆ラン様の記事へ。オダジョーつながりです。

帰ってきた時効警察・・・アンナ☆ラン様の記事へ。

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2007年4月13日 (金)

普通です。私には親がいないのが普通だからです。(志田未来)VS私を担保に2000万円ね。(長谷川京子)

世界は連続しているから、都下の公立中学に14才の母が通い、14才の母の母が14才の母だという設定がちょっと微妙である。まあ、誰もが14才の母を知っているわけではないし、実際には珠子(30・菅野美穂)で、明日香(14・志田)なので16才の母なのだし。

脚本は「トップキャスター」「西遊記」「ラストクリスマス」とろくでもない作品を送り続けるヒットメーカーである。ろくでもないがヒットするのだから名手なのである。しかし「あなたの隣に誰かいる」は傑作であり、これはヒットしなかった。今回は傑作でしかもヒットしてもらいたい。キッドはそう思うのである。

木曜日なので第一回はVSにするわけだが、TBSは一種の病気なのか? もう、頭が60年代大好き病なのですかーっ。

で、『わたしたちの教科書』(フジテレビ070412PM10~)脚本・坂元裕二、演出・河毛俊作を見た。「あなた・・・」で失敗した脚本家がとりあえず一息ついたのは「愛し君へ」であり、そういう意味で主演の菅野との相性はいいのである。もちろん、キッドの見たい気のふれた菅野ではないのだが、それは我儘というものだからな。しかし、今回は設定が初回のままならば、かなり極限の人格となるわけであり、これはちょっと興味がそそられる。

昨日の躁を装った鬱ドラマから、鬱で鬱で鬱なドラマである。ついでに弁護士と学校といえば「ドラゴン桜」も連想する。ま、いろいろ、混ぜ込んだオリジナルドラマなのである。

加地耕平(伊藤淳史)が臨時の教師として中学校の担任となる。その赴任一日目。出席番号一番の生徒・明日香が教室にいない。校庭で読書する明日香に耕平は「世界には様々な問題がある。そんな世界を変えることはできますか?」と問われ、答えに屈する。

職員会議で「どうですか?」と副校長(風吹ジュン)に訪ねられた耕平は「ごくせんのようではなかった」と答えてから明日香の質問についてアドバイスを求める。答えは「変えられると肯定しなさい。そして勉強に関心を向かわせるのです」である。なぜなら「生徒は顧客」だからなのである。

教室には問題児はいないように見える。小学生殺人小学生を連想させる恐怖趣味のポー加寿子(鈴木かすみ)、14才の母の一つ年上の同級生(谷村美月)や、女王の教室の同級生(伊藤沙莉・柳田衣里佳)や、牧野つくしの弟(冨浦智嗣)などがいてなかなかに怪しげではある。

職員室はもっと怪しげで、何故か新人歓迎会のBGMは三人祭(加護亜依を含む)だった。英語の酒井若菜は夜はキャバクラ嬢である。黒いモー子なのだな。体育の大倉孝二は借金がありそうで、数学の水嶋ヒロはおタク。国語の佐藤二郎は娘にウザイと言われている。社会の真木よう子は処女らしい。ま、基本的に教師だっていろいろあるさモードである。

そして明日香は施設育ち。「ずっと施設だからそれが普通」なのだった。明日香は弁護士の珠子と関係があるらしい。タイヤキ・・・。「学校をやめて働きたい」と相談にくる。珠子は「義務教育だから無理」とつれない。学校を欠席した明日香を捜しに来た耕平は成り行きで珠子と三人で夕食を共にする。そこで珠子は明日香の異常行動を目撃する。その日、明日香は耕平にロッカーの鍵を預ける。

翌日、ささいなことから乱闘事件に発展した中学。雨の中、教師たちが校庭で生徒たちを沈めているときに女生徒たちの悲鳴があがる。ホラー映画のテイストで二度。明日香が四階の教室の窓から落下し重態となる。

珠子の恋人は弁護士の上司(谷原章介)である。求婚されて隠している秘密を仄めかす珠子。その吸いなれぬ演技のタバコの灰が落ち、珠子は新聞に明日香の記事を発見する。

突然、耕平を訪ね、明日香について問い詰める珠子。「手を洗い続けた、香水をつけていた、朝シャンをしていた。誰かに臭いって言われたから・・・あなた何か聞いていないの?」託されたロッカーの鍵を想起する耕平。ロッカーの中には「汚物」と書かれた教科書があった。耕平「あなた何者なんだ」珠子「明日香の母親よ」

そして明日香は死んだ・・・。

とにかく、志田未来を起用し、一回目で殺したわけである。それなりに実りあるドラマにしてほしいものだなあ。

関連するキッドのブログ『14才の母

で、『孤独の賭け~愛しき人よ』(TBSテレビ070412PM10~)原作・五味川純平、脚本・成瀬活雄、演出・生野慈朗を見た。1960年代を舞台にした小説の舞台を現代に移している。その違和感たるや、半端ではないのだが、本人たちや、原作を知らないものにはさほどではないのかもしれない。

なにしろ、貧乏の質が違うのであり・・・まあ、そんなこと言ってもムダか。

いきなり、チャーターなのかタイアップなのか、たっぷりとプライベートジェットの映像。しかし、撮り方がスタイリッシュではないのでちっともリッチな感じがしない。

青年実業家の千種(伊藤英明)とデザイナー乾(長谷川)が交通事故が縁で知り合う。乾は家族や財産を奪った叔父に復讐を誓う野望に燃える女で、体を担保に千種から融資を引き出すのである。

話はそれだけだ。井川遥だの、青田典子だの、田畑智子だの、濱田マリだの、怪しげな登場人物がわんさか登場である。まあ、「華麗なる一族」の廉価版というか、「嫌われ松子の一生」の二の舞というか、もう「こりゃダメだ」臭がプンプンしている。でも、コメディーとして見るとそれなりに面白かったりして・・・。音楽がとにかく浮かれているし。

そういう意味で一番の見所は乾の兄の親友で浮世離れした善人らしい蒔田(堺雅人)である。いきなり「ニヤニヤ」笑いながら登場すると「復讐なんて虚しいだけだ」「金を借りるな」「金を貸すな」「彼女は孤独で自信過剰なのです」「あなたはいつかお金のためにひどい目に会う」など様々なことを予言したり、断定したりするのである。もう爆笑するしかない。

関連するキッドのブログ『ヒミツの花園

土曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム』(フジテレビ)

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2007年4月12日 (木)

「M」(プリンセスプリンセス)を連想させる「人生の扉」(竹内まりや)

まあ、だからといってなんだということはないのだが。このブログを開始してから一年が経過しているのである。

06年4月7日スタートなのでもう数日経っている。驚くべきことにその間、毎日更新である。・・・普通か・・・。

で、今回はなんとなく、「人生の扉」を目指して、「その時歴史は動いた」から視聴してみた。番組の編成というものは前後の繋がりを意識しているようでしていなかったりするのだが、きっと「シンクロニシティ(素敵な偶然)」があるはずだとキッドは思う。

アイディアとか企画とかは所詮、情報の再構成にすぎない。いかに、情報を集め、いかに取捨選択をするかだ。運のいい人は結構、偶然にそれを成立させる。そうでない人は地道に収拾し、試行錯誤をしなければならないだけ。努力が報われるというのはそういうことなのだなぁ。

で、『その時歴史が動いた・第284回・所得倍増の夢を追え~高度経済成長の軌跡~』(NHK総合070411PM10~)リサーチャー・鵜藤千恵、デイレクター・山本浩二を見た。いつもは信長とか坂本竜馬とかキッドの心のヒーローの回を中心に見る番組なのだが、何故か、今回はエコノミストが主役である。しかも、知る人ぞ知る人だ。明治43年生まれの大蔵官僚である。実は奇跡の戦後復興を成し遂げた影の天才エコノミストなのである。

経済学の基礎は数学である。たとえばコストは足し算で成立するし、利潤は引き算、総額は掛け算だし、税金は割り算だ。一個の品物にかかる材料費やら人件費やらを足していく。それを価格から引けば儲けになり、個数をかければ大儲けになり、儲けからパーセンテージで税額が割り出されるのである。

しかし、このシンプルな算数では巨大な経済はなかなか思うようにはならない。予想外のことが起きるからである。そこには予想外のことをどれだけ想定の範囲にするかという情報の取捨選択が必要となり、これは複雑な結果を生じるので意見が割れる。そして多くの場合、見通しは悪いものなのである。そこに「天才」が登場する。彼は万に一つの正解を導き出し、凡人の目からはありえない結末を現出させる。

コンピューターもない時代、一国の経済というこの複雑怪奇なのものを計算しつくし、そして奇跡の結果を出した男。それが下村治なのだ。す、すげえ。

「日本経済はみにくいアヒルの子だ。アヒルの世間は信じないが美しい白鳥なのだ」というのが彼の信念。敗戦(1945)により焦土と化した日本が朝鮮戦争(1950~53)の軍事需要により、戦前なみの経済水準に戻った1956年。しかし、戦争は終結し、景気に陰りが現れた時期である。常識的な経済人は「金融の引き締め」による経済の安定を求める。彼は異端者となったのである。

そんな下村をブレーンに迎えたのが池田勇人内閣であった。下村の変数は「技術革新」である。そして海外の技術革新の成果を消化吸収できる日本の「潜在力」であった。番組的に単純化すると「需要と供給のバランス」をあえてくずし「供給過剰」にすることで「需要を増加」させるという奇想天外な発想である。その名も「国民所得倍増計画」、10年で所得を倍増させるという、いかにも怪しげなネーミングの計画だった。

ところが、誰もが知っているように「奇跡」とか「ミラクル」なことに10年を待たずして日本は驚くべき経済成長を遂げ、貧しい国から世界で二番目に豊かな国となり、その繁栄は現在にまで続いているのである。もちろん、この国の通例として世間はこういう天才には冷たいのである。だって知る人ぞ知るってあたりがそれを証明している。下村は1989年に78才でこの世を去るのであるが、「金が金を生むなどというマネーゲームはありえない。膨らんだものは破裂する」とバブル経済の破滅を予言したりしているのだった。

言っていることが前と違うと人々は怒り出すのであるが、この世は生き物であり、変転している。天才は常に正しいのであり、ゆえに前言を翻すのである。ま、凡人はそういう天才にふりまわされてヒーヒー言うんですけれど。

もちろん、ひずみはある。ありえないことが起るとき、それはやはり何かが無理をさせられているのである。国内では公害問題、海外では経済摩擦。しかし、天才のくれた冨で人々は潤った。不平不満を言う前に北朝鮮にならなかったことを喜ぶべきなのだよな。

キッドが言いたいことはただ一つ。「下村治ありがとう」なのであった。まさに「思い邪なし」である。

で、『熱中時間』(NHK総合070411PM1045~)を見た。薬丸裕英と中川緑アナが趣味に熱中する人を紹介する番組。「熱中時間忙中"趣味"あり」というBSの番組を再構成した経済的な番組である。今回のゲストは森永卓郎であり、趣味はミニカーコレクションである。これをシンクロニシティーと見るかどうか。キッドは見る。なぜなら、先週のゲストは中川家礼二というお笑い芸人なのに今回はエコノミストなのである。しかも、経済アナリストという最先端の肩書きを持つのである。そして彼は1957年生まれ。下村治が豊かにした日本でぬくぬくと育ち、おタクの先駆けとして成長した経済人なのである。

彼の自慢のコレクションは「トミーの限定品黄金のミニカー」100万円なのである。彼のコレクターとしての信念は次の三か条だ。「見つけたら買う」「迷ったら買う」「妻には買ってから謝る」なのである。

彼は上海に買出しに出かける。目的は「プロモーションモデル」予算は10万円、彼は目的のもの五台その他を購入し9万円台に納めた。さすがはエコノミストである。キッドはふと思うのだが、このエコノミストは「日本を豊かに」してくれているのだろうか。してくれているといいなぁと思うのである。・・・日本、大丈夫なんだろうか。

で、『SONGS・第一回』(NHK総合070411PM11~)取材・山之口明子、演出・柴崎哲也を見た。新しい音楽番組である。もちろん、内容はトークと音楽なので目新しいわけではない。ただし、52才になった竹内まりやの久しぶりのテレビ登場なので目玉企画ではあるだろう。彼女は1955年の生まれで、やはり下村治のおかけでゆたかになった日本に育ち、1994年のバブル崩壊の時代なのにベストアルバム『IMPRESSION』を300万枚売ったシンガーソングライターなのである。今でも根強いファンがいる。イメージビデオに出演した上野樹里は「年をとっても変わらない内面がある」と言い、楽曲を提供してもらった松たか子は「夫を立てたりしてそういう生活感はなさそうでありいいなと思ったりする」そして本人は「やりたくないこととやりたいことを知るためにはいろいろなことをしてみるといい」と語るのである。まあ、すべて下村治のおかげなのであるけどね。そして驚くべきことに「シンクロニシティー(素敵な偶然)」という歌を歌うのであった。

「人生の扉」は20代に始まり、90代に至る壮大な自分賛歌なのであるが、まあ、すべては下村治のおかげなんだと彼女にも少しは思ってもらいたいなぁとキッドは思いました。歌そのものはちょっと笑える。

ただし、アナログテレビを葬るために一連の企画が立てられていると疑うと下村マジックは利用されているのかなぁとも考えたりして・・・。

関連するキッドのブログ『すみれの花咲く頃

金曜日に見る予定のテレビ『特急田中3号』(TBSテレビ)『帰ってきた時効警察』(テレビ朝日)・・・どうする?どっちにする?キッド?

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

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2007年4月11日 (水)

女子中学生に宇宙なんていわれたらときめいちゃうだろうがっ。(松山ケンイチ)

ため息ついただけで「私にフーッて息を吹きかけたんです」と痴漢扱いのおタク青年ロボ(松山)と超能力者の中学生ニコ(大後寿々花1993年生劇団ひまわり出身)が「ありえないっつーの」と言われそうな事件に巻き込まれていく・・・。

楽しいのである。松山ケンイチはおそらく、「デスノート」ファンも「男たちの大和」ファンものけぞらせるマシュー(藤井隆)的スタイルで登場。もう、なんにでもなれるスーパースターとしての存在感をふりまく。角川春樹さすがだなぁ。見抜くのだなぁ。

楽しいのである。大後寿々花は子役あがりの演技力でとんでもない女子中学生を淡々と演じる。成海璃子、志田未来、福田麻由子とは違うタイプの天才的存在感である。

黒田三郎の詩を引用するなど、かなり知的な理解力を要求しているストーリーに「お高くとまりやがって」的反発も予想され、視聴率は「すいか」側にいくのか、「野ブタをプロデュース。」側に傾くのか・・・微妙なのであるが。春ドラマの先陣を切った「石原さとみの花嫁とパパ」(フジテレビ)と第二シリーズの「サラリーマンNEO」(NHK総合)にはさまれてキッドにとって春の楽しい2時間半を構成することは確実だ。

で、『セクシーボイスアンドロボ』(日本テレビ070410PM10~)原作・黒田硫黄、脚本・木皿泉、演出・佐藤東弥を見た。一話完結のスタイルであり、最初のゲストは中村獅童である。職業「殺し屋」、特徴「三日たつと記憶が初期化されてしまう特殊な頭脳を持つため渾名が三日坊主」・・・この設定だけで脱落するしかない知的水準のものも多いだろう。

しかも、まだ正体は明らかではないが、殺し屋のターゲット骨董屋「地蔵堂」の店主・マキ(浅丘ルリ子)は「もしもスパイに興味があるなら訪ねていらっしゃい」などと言い出すし、店では「本当にしたいことが分かる飴」を500円で販売し、しかも20円も値引きしてくれるのである。・・・値引きと聞いて何人かの視聴者が気絶から立ち直ることを祈りたい。

ついでにニコは七色の声を持ち、一度聞いた声を忘れないし、ホテルのロビーだろうが、街の交差点だろうが雑踏の中からその声を聞き取ることのできる「神の聴覚」を持っているし、厭世的で内省的でありながら異常な行動力を持つスーパーガールなのである。

まあ、父・塚本晋也(生物彗星WoOで地球征服をしようとした)、母・片桐はいり(キューティーハニーでゴールドクロー)では仕方ないのかもしれない。ちなみに姉の一海(カズミ・村川絵梨)は風のハルカである。NHK朝ドラ主役級の美少女のくせに宅配便の配達員だ。もちろん、キッドには戸田恵梨香との区別はつかない。

異常な能力を秘め、平凡な家族と平凡な学校とコンビニに囲まれ生きるニコ。「危ないことはするな」という社会の教えを守り、とある街角を曲がるまでは平凡な中学生の仮面をかぶって生きていた。しかし、角を曲がるとそこには殺し屋三日坊主がいて、謎の男(秀吉・マキの部下・岡田義徳)と殺し合いをしていたのである。

逃げ出したニコはその衝撃的事実を誰かに話したくなり、テレクラに電話をかける。運命的出会いはその電話をロボにとらせるのである。セクシーボイスでロボをひっかけたニコは姉をエサにロボをコントロールして現場に戻る。ロボの正体はロボットアニメおタクという以外は不明である。しかし、警官と空手部に追いかけられても逃走に成功するほど体力に自信があり、ドライビングテクニックもなかなかである。つまり、ヘッドとボデイの古典的コンビが誕生したのだ。すなわち「相棒」である。

現場で手に入れたものはニコに靴の中から二万円借りてロポが露天商から買ったフィギア(これによりロボはニコの忠実で卑屈な手下になったのだ)と三日坊主の忘れ物の箱である。箱の中身はホテルのコースターなどゴミのようなものばかりだった。

好奇心に導かれ、三日坊主を追跡する二人。ホテルで三日坊主の声を聞き分けたニコはついに本人と会うことに成功する。三日間で記憶を失う三日坊主は思い出の品を箱につめて記憶の替りにしていたのだった。

ロボの家でニコの手作りカレーを食べてすっかり友達になった三人。ロボは三日坊主の好きな詩を書き写すほどに意気投合する。

それは「お前には不意に明日が見える/明後日が・・・・・/十年先が/脱ぎ捨てられたシャツの形で/食べ残されたパンの形で//お前のささやかな家はまだたたない/お前の妻の手は荒れたままだ/お前の娘の学資は乏しいまま/小さな夢は小さな夢のままで/お前のなかに//そのままの形で/醜くぶら下がっている/色あせながら/半ばくずれかけながら・・・・・」(黒田三郎詩集『渇いた心』より『ただ過ぎ去るために』の5から引用)というものであった。

しかし、秀吉は下校時のニコに「三日坊主は殺し屋だから近付くな」と警告する。ニコは「三日坊主は悪い人じゃないから人を殺したりしない。鳥にエサもあげるし、鳥が好きだし、卵入りカレーも好きだし・・・」秀吉はニコの首をしめあげ「オレも牛にエサをあげたことねあるし、牛が好きだし、ソフトクリームも好きだ。オレが良い人に見えるか?」と問う。

そして荒川区南千住の殺人事件の防犯ビデオの映像が公開される。そこでニコが耳にしたのは三日坊主の声だった。

ここで唐突にオチのためのエピソードが挿入される。公園でテレビドラマの撮影があり、見物していたニコが目撃者役に採用されるのだ。「あの人が犯人だ・・・」と指差す先には三日坊主がいるのである。

悩むニコは三日坊主が殺人をしないようにロボと一緒に見張ることにする。ロボには三日坊主の正体を隠したまま。その時、ニコはターゲットの写真を発見する。それは飴を買った骨董品屋の店主だった。

しかし、事情を知らないロボは「目を離さないで」というニコの指示もむなしく、三日坊主を逃がしてしまう。あわてたニコは骨董品店に向かうが、すでに拳銃を構えている三日坊主。ニコは両手をひろげてたちはだかる。「いくら生きるためだからって。三日経って忘れるからって人を殺しちゃダメ。私はいつまでも語りつぐんだから。なしにはならないんだから」そこへカレーの匂いが。秀吉がカレーを作っていたのだった。

そこに「失われた過去とまだ来ぬ未来」を発見した三日坊主は「そうか。オレにも未来があるんだな」と殺意を喪失してしまう。・・・しかし、組織は失敗した殺し屋に爆弾をプレゼントするのであった。ニコは「私がいなければ三日坊主はまだ生きていたの」と問う。謎の女マキは「そうよ。だってあなたは世の中にかかわっているんだもの」と答える。

ドラマの映像の中に三日坊主を発見するニコとロボ。二人の間には何か絆のようなものが芽生えていた。

ま、殺人という行為を道徳的に否定しない立場のキッドとしてはオチは微妙ですけれど。言いたいことは分かります。それでも「殺し屋」に好意的ということで倫理としては冒険ですよね。キッドならさらにとってつけたようなドラマ撮影の部分はやめて、「爆弾事件の現場」のニュース映像に三日坊主を登場させますね。偽装殺人で死体は爆弾の送り主というオチです。ニコの心は悲しみから喜びに替り、ハッピーエンドです。この方が倫理的にはさらに過激になるとは思いますが。しかし、キッドは牛にエサをあげるし、牛が好きだし、そしてステーキも大好きですから・・・。

関連するキッドのブログ『原田知世と原田知世を越えると言われた松山ケンイチ

木曜日に見る予定のテレビ『わたしたちの教科書』(フジテレビ)VS『孤独の賭け・愛しき人よ』(TBSテレビ)

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2007年4月10日 (火)

実業と虚業のはざまでこの胸いっぱいの愛を・・・。(ミムラ)

原作者は熊本のガソリンチェーンの経営者である。彼は後継者として育てられたが文学者の夢捨てがたく、SF作家としてもデビューした。その作風には父との葛藤が指摘されており、この映画ではヴァイオリニストの娘(ミムラ)とそば屋の父(愛川欽也)が想起される。実生活では原作者の父は原作者の作家活動に冷淡であったと言われてり、「ボクのやることにもっともっと優しくしてくれても良かったじゃないかよぉ。あんたの理解が足りなかったからボクは苦しんだんだよぉ」という心の声が映画の中の理解ある父親像に結晶しているようだ。

この映画で、キッドはようやくミムラと吹石一恵の区別がつくようになったのだが、スターダストプロモーションという老舗に所属し、竹内結子との組み合わせで仕事をすることが多いミムラ(映画「黄泉がえり」と本作品、「いま、会いにいきます」の映画・ドラマの展開、映画「サイドカーに犬」(07年夏公開予定))における共演など)だが、この映画で共演した金聖響と結婚したこともあり、大学卒業後、活動を活発にした吹石が「華麗なる一族」(冬ドラマ)から「バンビ~ノ!」(春ドラマ)と露出が増えているためもある。どちらかといえばローカルな事務所の吹石と大手のミムラとの対決は「着信アリ」と「着信アリ2」ですれ違ったりするわけだが、どちらがどちらのそっくりさんになるのか、予断を許さない。・・・と、キッドだけが妄想しているわけですが。

監督は「どろろ」の人である。デビュー作が「月光の囁き」であり、黒沢清門下なので、変態路線であり、佐伯日菜子の「ギブス」などマニアしか見るかっ!という作品も作ってしまうのだが、前作品「黄泉がえり」あたりから、変態だけどエンターティメントというギリギリの線を見出したらしく、ついに「どろろ」に至るのである。

この映画の最大の見所は十八代目中村勘三郎(五代目中村勘九郎)と宮藤官九郎のカンクロー共演であるが、鉢を割ったことを謝りに来てまた鉢を割ったらダメじゃないかとキッドは思いました。

で、『この胸いっぱいの愛を(2005年公開)』(TBSテレビ070409PM9~)原作・梶尾真治、脚本・鈴木謙一(他)、音楽・千住明、監督・塩田明彦を見た。ジャンルとしては死後の世界ファンタジーと平行世界・多次元宇宙・時間旅行SFの融合という趣向である。なお、今回はネタバレ満載なのでご注意ください。・・・いつもだろう。

鈴谷比呂志(2006年の大人になったヒロ・・・以下デカヒロ・伊藤英明)は九州に向かう飛行機から気がつくと少年時代を過ごした祖母の経営する旅館の前に立っていた。しかも1986年にタイムスリップしたのである。少年時代の自分(1986年の鈴谷比呂志・・・以下チビヒロ・富岡涼)と遭遇したデカヒロはチビヒロが祖母の誕生日にケーキを焼こうとして失敗し火事騒ぎを起したことを思い出し、消火しに行って恩を売り、旅館の居候となる。祖母(吉行和子)は死んだ息子(ヒロの父)の面影のあるデカヒロを夫の隠し子と疑っていた。

父と死別して母と別れ祖母の家に預けられた10才のチビヒロは鬱屈していた。東京から転校した田舎の学校では友達もできず、祖母ともソリがあわなかった。そんなチビヒロの心の支えは近所のきれいなお姉さん・和美(ミムラ)であった。ヴァイオリニストとして将来を嘱望された和美はしかし、脳に腫瘍が発見され、余命いくばくもないのだった。手術をすれば助かる可能性があるのだが、後遺症を怖れた和美は手術を拒んでいた。そして、デカヒロの知る歴史では和美はまもなく死去するのである。それはチビヒロの心にさらに深い傷を残すことになるとデカヒロは知っていた。

やがてデカヒロは町でタイムスリップした他の乗客に会う。布川(勝地涼)はチンピラでこの世ではまだ出産されておらず、母(臼田あさ美・・・可憐!)の胎内にいた。彼女はレイプされて妊娠し周囲の反対を押し切って出産を決意したあげく産褥死するのである。布川はまだ見ぬ母に会いに行く。光男(宮藤)は数学教師だが、中学生の頃、他人の家の花壇を荒らしたことがあった。彼はいつか、あやまりたいと思いつつ大人になってしまったのだ。そして彼は乗客の老婆の運命を見た。盲目の老婆(倍賞千恵子)は死に目に会えなかった盲導犬を訪ね、再会すると消失したのであった。彼は「過去の清算をすると未来に戻るのではないか」と推測する。

デカヒロはチビヒロの心を秘めて和美に会う度に恋心を深めていった。そして彼女がやがて死ぬことを受け入れられなくなる。

しかし、デカヒロは海岸で焼け焦げた旅客機の座席を発見する。直後に布川に刺されるデカヒロ。しかし、傷は残らない。「俺も昨日、刺されたけど死ななかった」と布川は言い、「俺たちはもう死んでいる。飛行機事故で死んだ幽霊なんだよ」と推測する。

ここでこの作品内の死後の法則が明らかになる。「死者は時間外の存在」となる。「この世への未練を断ち切ると消滅」するのである。ま、四人の人間がほぼ同じ時間に未練の根を持っていることはややご都合主義だが目をつぶる。

やがて、美しい母に再会して「生んでくれてありがとう」を言った布川と過去のささやかな犯罪を詫びた光男は消滅してしまう。

取り残されたデカヒロは和美に手術を受けさせ、「生き続ける」ことを選択させようと説得を始める。和美に舞台でオーケストラとの共演をさせるデカヒロ。和美が「手術を承諾する」のが「音楽への未練」だったのか、「デカヒロへの恋」だったのかは明らかにされないが「なぜ、人は生き続けるのか」に明解な答えなどもともとないのかもしれない。

デカヒロがいつ消えたのか、「障害は残ったけれど手術が成功した」あたりなのだろう。それまでに和美とデカヒロが一夜を共にしたのか、幽霊もそういうことができるのかは謎につつまれている。このあたりが監督の成長というものかもしれない。

やがて、2006年。チビヒロの死体が回収される。デカヒロの歴史では死んでいた和美は生存し、その知らせを聞く。「また、生きる希望が消えた。しかし、生きろとあの人は言うのだろう」暗いキッチン。不自由な体で落とした果実を拾いながら20年後の和美は心の中でつぶやく。それは嘆きなのか・・・それとも。

関連するキッドのブログ『ドラゴンヘッド』『亡国のイージス』『学校の怪談

週末の視聴率チェック。「リア王」10.1%、「ロミジュリ」11.4%、「鬼平」15.7%、「京都花見小路殺人事件」13.7%、「あらしのよるに」10.4%、「風林火山」↘16.0%(時間枠変更の余波か? それとも男二人で温泉なんか入ってるからか)、「男たちの大和」16.8%である。キッドがもっとも心を打たれた政見放送をした桜金造は落選した。

水曜日に見る予定のテレビ『その時歴史が動いた』『熱中時間』『SONGS』(NHK総合)をなんとなく流れで・・・。

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2007年4月 9日 (月)

死ぬるんか?・・・死なんといて・・・死んじゃらいけん。(蒼井優)

オカッパ頭とお下げ。両方の蒼井優を見ることができる。この映画の皮肉なところはほぼ主人公の少年兵・神尾(松山ケンイチ)と同級生の少女・妙子(蒼井)の運命だろう。特攻作戦に出陣した神尾が戦後60年を生き、無事を祈った少女は終戦前に被爆死する。つまり、近代戦が総力戦であり、前線も銃後もなく、生死の分かれ目は天運にすぎないという象徴なのだ。

キッドは何度か書いたが、誤爆という言葉の無意味さをもう一度確認しておく。総力戦である限り、特定の軍事施設とそれ以外の目標には攻撃効果の有無があるだけであり、女性や子供だから殺してまずいというのは情報戦の項目にすぎない。誤爆という言葉は無意味なのである。正爆なんて言わないだろうから。

だからといって無能な軍人や、無能な軍事官僚が、無能な作戦を行った場合、結果から、それが正解だったのか、不正解だったのか判断することはできるのである。しかし、戦争映画は娯楽であるから、そのあたりはイージーでもおもしろければいいと思う。

で、『日曜洋画劇場40周年記念特別企画・男たちの大和 YAMATO(2005年劇場公開)』(テレビ朝日070408PM9~)原作・辺見じゅん、音楽・久石譲、脚本・監督・佐藤純彌、製作・角川春樹を見た。なんていうか、久しぶりの角川映画なのである。ちなみに原作者は製作者の実姉である。テレビのスポットCMで蒼井優が「大和は沖縄に行くんじゃろ?」と問いかける。それ以上でもそれ以下でもない映画。見せ場はたっぷりあるが、トータルすると雑然とした印象だけが残る映画。まさに角川映画ならではである。それも一つの個性であり、キッドは凄いと感じる。

たとえば、軍事機密である「戦艦大和」が一般国民に知られていたのかどうか・・・というあたりの疑問から始めると到底、容認できなくなってしまう名ゼリフなのである。しかし、記録上はそうでも、人の口に戸は建てられないので、噂としては知っている人は知っていたという憶測もできる。ポロっと一人が言えば、たちまち伝わるという場合もあるだろう。食料事情が悪くても飲酒することはあり、酒が入ると人が変わることもある。「本当は日本にはすんげー、大戦艦があるんよ。そりゃ、長門よりもすんげーんよ。大和って言うんよ」「大和ね。そうね」「武蔵もあるんよ」「大和と武蔵かーっ」「すんげーのよ」「すんげーのね」などという会話が軍機もへったくれもない状態で交わされなかったとは断言できない。まして、唯一の身内のようなものである少年兵の恋人が知っていたっていいだろうとも考える。

昭和17年、15才の神尾は海軍に志願する。同級生の妙子は「じゃけど15才の子供が戦争いかんでも・・・」と神尾の身を案じるところからドラマは始まる。海軍特別年少兵となった神尾は訓練を終えて帰郷。軍港呉に近い漁村。故郷の遠い友人・西(内野謙太)を連れて帰る。西は絵が得意で妙子の姿をスケッチする。「ぺっぴんに描いてね」と微笑むあどけない妙子。長男はすでに出征し、家には母が残るばかりの神尾家。「船があっても乗る人がおらん」とつぶやく妙子。すでに戦況の悪化が物語られるのである。

大和は昭和17年にミッドウェイ海戦に参加。その後は19年のマリアナ沖海戦を経てレイテ沖海戦となる。神尾はこの作戦で初めて実戦を経験する。戦史上の謎とされる栗田艦隊の二度の反転などがあり、帝国海軍は武蔵を含む戦艦三隻、空母四隻、重巡六隻、駆逐艦八隻喪失という壊滅的な打撃を受ける。大和も損傷して寄港するのである。

帰郷した神尾は兄が戦死し、母も空襲で死んだことを知る。昭和20年、大人びた妙子は「大和は沖縄に行くんじゃろ。死ぬるんか。いやじゃあ。いやじゃーっ。・・・死なんといて。死んじゃらいけん。・・・なんも分かっとらん。・・・死んだら、死んだら、うち、どーすんの。・・・好きじゃー、好きなんじゃー・・・」と取り乱すのである。しかし、翌日は「・・・昨日はごめんね」と気をとりなおし、「これ厳島神社のお守り、武運長久じゃ。うちも来週から広島の軍需工場に行くんよ。うちも負けんようにせんと。・・・待っちょるけんねー」と神尾を送り出す。

実際、大和の特攻が決まるのは四月五日である。連合艦隊先任参謀の神大佐のほぼ独断的発令であった。六日、第二艦隊の司令長官伊藤整一(渡哲也)はこの命令に抗したがついに説得され、午後には徳山湾を出航している。神尾と妙子の会話は成立することはまずありえないのだが、これはあくまでフィクションなのである。

海上特攻隊の陣容は戦艦大和。軽巡矢矧。駆逐艦冬月・涼月・朝霜・初霜・霞・磯風・雪風・浜風の十隻である。すでに暗号を解読されていたので、作戦計画そのものが筒抜けであり、特攻隊は出港から連合軍潜水艦に水上レーダーで補足され、敵偵察機の接触が開始される。どのような勝負も時の運に支配されるが、この作戦の無謀さは数字に現れる。四月七日。正午すぎから、敵航空機の波状攻撃が開始される。激闘二時間、目的地沖縄のはるか東で大和は爆沈する。日本軍の死者3721名。連合軍の死者16名である。残存した四隻の駆逐艦は沈没艦の生存者を救助して四月八日、佐世保に寄港した。その中に神尾の姿があった。

一説によると大和生存者は隔離されたと言われる。もちろん、大和沈没を秘匿するためである。とにかく、神尾が妙子と再会するのは終戦の前後なのである。妙子は広島で原爆投下に直面し瀕死の負傷。痛々しく血まみれの包帯姿であり、臨終の間際だった。「生きて会えたんは厳島神社のお守りのご利益じゃね。私が元気になったら二人で働いて船を買うんじゃ。名前も決めとる。明日香丸じゃ。明日に香ると書くんね。明日に咲く花という意味もあるんよ・・・・・・・・・・・・・・・」

60年後、神尾は77才なので仲代達矢になっている。悪夢にうなされ、意味不明な言葉をつぶやきながら、今日も明日香丸で沖へと乗り出すのだった。死者たちの眠る海を見つめて。すべては忘却の彼方に去って行くのだから。

画面上は他にも多数の登場人物があったり、結末は違う解釈も可能だが、レビュー内容については例によってキッドの妄想が責任を転嫁します。

関連するキッドのブログ『沖縄戦の成海璃子

火曜日に見る予定のテレビ『セクシーボイスアンドロボ』(日本テレビ)『花嫁のパパ』(フジテレビ)もとりあえず見るけどね。『サラリーマンNEOシーズン2』(NHK総合)もついでにね。

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Newimage1hcmpr6 ←クリックするとTVスポットCM版『H☆C THE MOVIE アイドル戦士キャンディー☆ムーン』第3弾アリマス。(ロボット工場襲撃の巻・前編デス)

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2007年4月 8日 (日)

だって私たちロミオとジュリエットじゃなくて広道と樹里なんだもーん。(長澤まさみ)

であるか。ふにゃふにゃっとそう言われたのではもう許しちゃうもんねーっ。やはり、ロミジュリの方が解釈楽なんだよなーっ。昨日と比べたらまったく問題ないもんなーっ。ついでに言っておくと「リア王」の正当な日本版のパクリは「恍惚の人」最近では「拝啓、父上様」の八千草薫である。繰り返すが痴呆の狂気がリア王の本筋ですから。ここをそらすといかに設定を模倣してもリア王にはならないとキッドは考える。それにくらべて心中しなくても「障害のある恋愛」がからめば「ロミジュリ」は成立します。

ま、「たったひとつの恋」でテンメイ様とさんざ、ロミジュリ話をしたので原点との比較は最小限にとどめておきたい。

そこで出演者たちのロミジュリ歴をば。まずは樹里(長澤)の父(三浦友和)である。なにしろ、彼は「百恵の夫」だ。だから実人生そのものがロミオとジュリエットなのである。彼と結婚して山口百恵は死んだのだから・・・おいおい。冗談はともかく、友和が日本中の男を敵に回したことは間違いない。その二人の共演した作品はテレビドラマの赤いシリーズを始め、どれもロミジュリ的要素を持っているのだが、ここは映画「泥だらけの純情」(1977)をあげておく。吉永小百合・浜田光夫コンビのリメイクであるが、お嬢様(百恵)とチンピラ(友和)の恋である。最後は二人とも・・・されるのだが、お嬢様は処女だったのである。ちなみに実在の友和はおまわりさんの息子だ。

次は広道(滝沢秀明)である。「魔女の条件」(1999)では教師・松嶋菜々子と生徒でロミジュリである。続いて「太陽は沈まない」(2000)で医療事故をめぐり加害者の娘(優香)と被害者の息子でロミジュリである。さらに「ストロベリーオンザシヨートケーキ」(2001)で義母の連れ子の義妹(深田恭子)とロミジュリである。三年連続のロミジュリなのでタッキーはロミオ王子なのであった。

広道の母(田中美佐子)は芸歴長いのでロミジュリ歴も長いのだが、デビューまもなくでヌードも披露した「ダイヤモンドは傷つかない」(1982)をあげておく。中年講師(山崎努)と女子大生でロミジュリである。不倫だって立派なロミジュリなのである。障害のある禁断の恋はすべてロミジュリなのですからーっ。

最後に広道の父(山下真司)なのだが、彼はどちらかといえば根性のない若者をたたきなおす役柄であった。「オレはこれからお前たちを殴るっ」と言って体罰していたのであるが、今回は「お前の根性をたたきなおさんかっ」という役柄でキッドはちょっと面白かった。ちなみに彼のロミジュリといえば「トリック劇場版」(2002)の芳本美代子との兄妹かもしれないので忍ぶ恋であろう。二人の愛の結晶で文字通りの隠し子役は成海璃子(当時・塚本璃子)だった。

で、『夢二夜・シェイクスピアドラマスペシャル・ロミオとジュリエット~すれちがい』脚本・井上由美子、音楽・菅野祐悟、演出・大谷太郎を見た。火曜サスペンスじゃないのかっという展開なのだが、長澤ジュリエットがふにゃふにゃっとぽよよんと哀愁ある女子大生を展開するので、ま、いーんじゃねっという気分になるのである。とりあえず映画『世界の中心で愛を叫ぶ』で難病がらみのロミジュリを可憐に演じ、最近では『セーラー服と機関銃』というやくざと女子高生というストレートなロミジュリを果敢に演じた。そんな長澤とロミオ王子のロミジュリである。もう何しても大丈夫だろうと思うのだが、さらにもう一つのロミジュリを内包させて、二段ごしらえのロミジュリにしてる。胸焼けしそうだぞ。しかし、昨日はちょっと辛かった井上由美子。今回はほぼよどみなく、着地している。やはり、ロミジュリの方がフリが優しいのだなぁ。

おなじみ、昭和公園(東京立川)の銀杏並木で運命的な出会いをする広道と樹里。広道は廃品回収業者。樹里は女子大生である。小道具として「ロミオとジュリエットの英文テキスト」が使用される。一目で恋に落ちた二人。「ロミオとジュリエットは四日間の話。一日目で恋をして、二日目でキスをして、三日目にはかけおちするの」という樹里の解説よろしく、二回目のデートで二人は海辺でキスをする。

銀杏は効果的に使われ、銀杏の落ち葉かけっこ(なんじゃそりゃあだが、ま、波打ち際で水のかけっこしなかった替りね)、落ち葉でしおり、落ち葉のビン詰め、落ち葉にキス、落ち葉で暗号なのである。

「オレなんか、高校中退だし、母親入院中だし、父親行方不明だし・・・」と身の上を語る広道の言葉を冗談だと思う樹里の件は秀逸である。やがて、障害が二人の前に現れる。広道の父親は医療ミスで逃亡した医者でさらに殺人事件の重要参考人なのである。そして樹里の父は逃亡者を狩る刑事なのだった。

重病で入院中の広道の母親をマークする刑事たちを指揮する樹里の父。二人の交際を知った二人の親は交際に反対する。特に樹里の父は「容疑者の息子と刑事の娘が交際するなんていうことは警察では認められないのだ」と告げるのである。「今回はあきらめるんだ」という父に「次なんかない」という樹里。

二人は駆け落ちへ。思い出の海辺に来た二人の思いは・・・すれ違う。「犯罪者の息子」として広道は樹里を幸せにできないと感じ、樹里は「それでもいい」と言っているのに「あなたの思いはそんなものなの」と落胆する。「帰れ」「帰る」である。二階からはだしで飛び出した樹里ははだしで海から家まで歩いて帰ってきたようなつなぎになっていてちょっと面白かった。いや、できればこの一時の別れは帰りの車でもうワンクッション欲しい感じ。

しかし、それが時間配分的にできないのはもう一組のロミジュリが飛び出すからなのである。樹里の父と広道の母はかって愛し合った恋人同士なのであった。病院の跡取り娘と派出所勤務の警官だったかっての二人。周囲の反対に合い、かけおちしようとしたが、待ち合わせの場所に彼女が現れなかった。駆け落ちはやめようと彼から伝言が届いた。・・・という謎の現象で二人は別れ、広道の母は共通の友人の広道の父と結婚し、樹里の父もまた死別した樹里の母と結婚したのであった。ま、こういう過去のある二人で樹里の父が捜査の指揮をとっていることはすでに問題なのだが・・・。

やがて、妻に一目会おうとして失敗した広道の父は広道に呼び出され、広道の母と樹里の父が結婚しようとして果たせず、広道の母と自分が結婚した教会にやってくる。

「オレはお前の母さんを好きになって、友達からお母さんを奪ったんだ。お母さんには友達が別れたいと言っていたと言い、友達にはお母さんが別れたいと言っていると言い、二人の仲を引き裂いた。だから、お母さんを幸せにしようと思った。友達と結婚するよりオレと結婚してよかったと思ってもらいたかった。しかし、病院の経営は思ったより上手くいかないし、無理して未経験の手術したら、患者死んじゃうし、患者の遺族から責められて、逃げたら、発見されて、逃げようとしたら、たまたま、遺族が足すべらせて死んじゃうし、これじゃ、オレが殺したみたいだし、もう、こわくてこわくて逃げるしかなかったんだよぉ。警察に行ったら友達に負けたことになっちゃうだろう」

「そういう問題かーっ」と言って殴りかかる広道。止める樹里をもつきとばす。「お前のせいで、高校やめて、家なくなって、母さん病気になって、世間から責められて、恋人とも別れさせられそうになって、・・・でもそんなみじめな親父でもオレは会いたかったんだーっ」本心かっ。広道、本心なのかっ。どれだけ父親思いなんだーっ。

張り込んでいた樹里の父が登場。広道の父を確保。「自惚れるな。お前が俺と彼女をひきさいたんじゃない。俺の愛が足りなかっただけなのさ。その証拠にここに樹里と広道くんがいるだろう。お前は彼女に選ばれたんだ。お前が勝つべきなのはお前自身だったんだ」

情にかられ、警察に連行する前に夫婦を再会させる樹里の父。妻は「あなた待ってますから」と言い、かっての恋人には言えなかった「さよなら」を言う。かっての恋人も「さよなら」と応じる。広道は「俺も彼女と待っているから」と言う。樹里は父に「事件が解決するまで彼とは会わない」と約束する。頷く樹里の父。恋人を奪った男の息子に娘を奪われているわけだが、百恵を奪っているから仕方ないのだった。

一年後。公園のベンチで目を閉じている樹里。その手には白い錠剤らしきものが。かけよる広道。「じゅりーっじゅりーっじゅりーっ」と抱き起こす。笑って目覚める樹里は錠剤らしきものを広道の口にあーんである。「ラムネかよっ」と広道。「だって、私たちはロミオとジュリエットじゃないもーん」オチである。手をつないで銀杏並木を立ち去る二人。ちくしょうこんにゃろめ的なハッピーエンドなのであった。ま、ロミジュリのパクリとしては「愛し合う二人が障害を乗り越えて結ばれる」という初歩的な逆転の発想で、もちろん、これはアリでいいと思う。

関連するキッドのブログ『長澤まさみとマシンガン』『長澤まさみとタッチ』『長澤まさみとマシュー

月曜日に見る予定のテレビ『この胸いっぱいの愛を』(TBSテレビ)

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2007年4月 7日 (土)

どんな悲劇にも希望はある。(井上真央)

どんな失敗作にもそれなりに良い所はある。・・・というところでしょうか。少なくともシェイクスピアの『リア王』の現代版としては「悲劇」にしていない点で反則負けです。では喜劇と言えるかというとそうでもない。悲喜劇でもない、言わば茶番劇である。

辛うじて「西田敏行のリア王ごっこ」が見られる。「井上真央の屍の抱擁」が見られる。「池中玄太80キロへのオマージュ」が見られるというところでしょうか。もちろん、主役・西ヤンの熱演は楽しいし、原作の引用やいただき方のチェックなど客層に応じて楽しめる作品なのですが、総体としてグダグダです。

もちろん、「何をしようが人間は所詮死ぬのだ」という視点ではこれもまた悲劇である意味、「1リットルの涙」とは対極です。

まず、池中玄太について触れておきましょう。25年前(1980~81)の日本テレビのホームドラマで池中(西田)が血のつながらない三人の娘を育てるという筋立て。長女を杉田かおるが演じていて成人して歯科医(三浦友和)と結婚したりする。やがて再婚するヒロインが坂口良子である。今回、西田の亡妻が坂口であること、次女の結婚相手が歯科医(吹越満)であることなど、ファンがニヤリとする設定がありました。今回の長女(若村麻由美)が恋愛に対して奔放な点もこれに類するものと考えます。

シェイクスピアの「リア王」とはストーリー的にはあまり結びつきがありません。本作では娘たちは男に目がくらんだり、金に目がくらんだり、夢を追いかけたりするのですが、「リア王」は老いた王が痴呆症になり、その妄執という老害により愛するものをすべて失ってしまうというまさに普遍的な悲劇なのですから。

で、『夢二夜・シェイクスピアドラマSP・王様の心臓~リア王より』脚本・井上由美子、演出・雨宮望を見た。リア王ではいきなり、痴呆になった王が国を娘たちに譲ると言い出し、最愛の娘が父に対して愛の言葉を告げないという理由だけで追放するというスピーディーな展開である。シェイクスピアはつかみのうまさに定評があるのである。それに対し、本作は現代の王様・ハジメ(年商30億円の流通業の創業者・西田)が心臓疾患となり、別居している三人の娘に頼ろうとするまでの経緯が延々と語られる。連続ドラマじゃないっつーの。

基本的に心臓疾患というあたりがすでにパクりとしては邪道だと思う。リア王は体は達者なのに頭が耄碌するところが肝なのである。心臓疾患は頭はしっかりしているのに体にガタが来た状態で、話をなぞろうとしても無理があるのであり、結局、リア王とは名ばかりの物語になってしまう。ま、それが狙いなのかもしれませんが。

「リア王」では末の娘はファザコンである。しかも夢見がちで、理屈っぽいところがあり、さらに頑固である。そういう娘が己の正義に固執するあまりに父親の寵を失い、最後には戦争まで巻き起こして、敗北し、絞殺されるという悲劇でもある。その名はコーディーリアである。ドラマでは末の娘はさくら(井上真央)である。

さくらは大学を中退し、芝居の演出家を目指して劇団の大道具係をしている。照明係・金井(福士誠治)に想いを寄せている。コーディリアは父に追放され、フランス王に嫁ぐのだが、その時、姉のゴネリルが「あなたには従順なところがこれっぽっちもない。あなたがなにもかもを失くすのは失うだけの理由があったのよ」と言いコーディーリアは自分の妄想に酔いつつ「やがて審判の時が来ます。どのような悪魔のはかりごとも、神の栄光によって裁かれる日が来るのです」などと意味不明なことを言うのであるが、このセリフはさくらと金井が「リア王」のセリフを読みあう形で引用される。この他にも長女と次女が父の財産を巡って姉妹ゲンカを始めるとさくらは「思ったより、戦争が早く始まっちゃった」というのであるが、「リア王」では引退後も老害を撒き散らす父親に手を焼いた二人の姉が父親を追放するのを見て、フランス王をたきつけて英仏戦争を開始するコーディーリアなのである。ま、思い込みの激しい人間に権力や美貌を与えるとろくなことはないという話ですから。

さて、ドラマでは一代で財を築いたハジメの財産を狙い、長女ゆり(若村)と次女あやめ(中島知子)が争い、財産に興味がないさくらを巻き込んでドタバタを展開する。父親の援助でレストランを経営するゆりにはホストの恋人(大倉孝二)がいて経営は大赤字。夫の開業を父親に援助してもらったあやめは韓国ドラマに夢中の怠惰な専業主婦で二児の母である。ハジメが「一緒に暮らしてくれた娘に全財産を譲る」と宣言したために目の色が変わるのである。さくらはお金よりも芝居という夢見る性格なのでこの話にのらず、ハジメは深く傷ついてしまう。

結局、金のことしか頭にない長女と次女に嫌気のさしたハジメは会社に戻る。しかし、社長代理を務める黒田(佐野史郎)は経理の監査をして、ハジメの放漫経営の問題点を指摘、役員会を巻き込んでハジメに引退をせまるのである。

ここから放浪を開始するハジメ。うっかり無一文で乗ったバスの運転手が石丸謙二郎なのだが次は○○に停まりますとは言わないのだった。若かりし頃を思い出し、郷愁にふける。忠義一筋の運転手剣持(リア王ではケント伯爵の役どころ・長門裕之)にせかされてさくらは父を発見し、劇団(主催者・渡辺哲)の公演チケットを同行した金井がハジメに渡す。

芝居は「リア王」である。長女次女も招待され、舞台の役者と四人の家族が入れ替わる。ここで次女は「似ているのは王様の引退と三人の娘ってとこだけ」と言い、脚本的な白状がある。

ここで三人の娘は舞台俳優としてはちょっと恥ずかしい演技をするが、年齢を考えると井上真央は堂々としたものであった。

この後は家族は大切だということで父とさくらが長女次女を、父を三人娘が、三人娘が父をと分かりにくい家族ごっこ芝居をするのであるが、突然、商売に力いれる長女とか、良妻賢母になる次女とか、明日のロミジュリの前フリをする三女とかバタバタと展開していく。

そして、父親は初心に帰ろうと店舗に立ち、安売りを始めたところで昇天するのだった。

カーテンコールでお辞儀をする井上真央、一瞬でしたが、なかなかエレガントでした。

ま、こんなもんかという、「リア王」ごっこである。西田と井上の本格的なリア王はちょっと見てみたい。ちなみにさくらが芝居を志すきっかけは「アニー」だった。日テレ自画自賛のしすぎである。

関連するキッドのブログ『花より男子の井上真央』刑事どん亀の西田敏行

日曜日に見る予定のテレビ『日曜洋画劇場・男たちの大和 YAMATO』(テレビ朝日)

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2007年4月 6日 (金)

こおなああゆきいい・・・私は脊髄小脳変性症ですか?・・・何度も押したのに・・・ワ・タ・シ・ケッ・コン・デ・キ・ル?・・・い・・・き・・・て・・・(沢尻エリカ)

・・・えーい、どんだけ泣かすんだよぉ。回想シーンっていうか、総集編が始まったあたりから泣いて泣いて泣いて泣きつくしましたからーっ。薄倖のヒロインの中でもこのヒロインは格別だなぁ。段違いだなぁ。同じ女優が主人公のタイヨウのうたと比較しても涙の量がケタ違いだろう。溺れてしまいますーッ。

もちろん、本編の方がじっくり泣けるのだな。残念なことにキッドのブログの開始前なので本編のレビューはないのでした。

で、ここはドラマブロガーのお友達。しかもH☆Cの三人のお嬢様方のブログを紹介しておきます。

まずはかりん様→コチラへ。じっくりと泣かせてくれるのです。本編全話カテゴリー→コチラへ

続いてアンナ様→コチラへ。特別な立場で泣かせてくれるのです。本編第1話→コチラヘ

そしてまこ様→コチラへ。爆笑担当のまこ様さえも泣かせてくれるのです。本編第8話→コチラへ

ああ、お嬢様方の涙、涙、また涙。そしてキッドの涙。日本全国では何トンもの涙が・・・。

で、『1リットルの涙・特別編・追憶』(フジテレビ070405PM9~)原作・木藤亜也、脚本・横田理恵、演出・村上正典を見た。主題歌はいわずと知れた「粉雪/レミオロメン」である。(※ 実は本当の主題歌は「Only Human/K」なのであり、「粉雪」は挿入歌なのであるがキッドの主観では主題歌「粉雪」、挿入歌「3月9日」(その他)である。でも、まこ様がコメントで指摘してくれたので反省して注釈をつけることにした。別に韓国で抑圧され日本で過剰解放しているアーチストに不快感を持っているわけではなく、曲が印象に残らないだけです。ついでに今回は「生まれ来る子供たちのために/オフコース」(1980)も挿入されている。やや意味不明の歌詞であり、売れなかったが、漠然としたイメージが広がるためかミスチル桜井のお気に入りだったりする。エイズがらみのレッドリボンのキャンペーンソングであり、病と人との関連では理に適った選曲なのだが曲は相変わらず地味で面白みがない。これも印象に残らない曲なのだな。大衆受けせず普遍的に魅力的でないものをいえいえこれは魅力があるんですよと言われても・・・いえ、あくまでキッドの感想ですから・・・っていうか、そういうものを時々猛烈にキッドがアピールすることもあるくせに・・・人間ってわがまま・・・)本編は2005年の秋ドラマで平均視聴率は15.3%。最終回は20.5%。ちなみに今回は17.0%を獲得している。本編においては「電池が切れるまで」の江頭美智留、「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」の大島里美も脚本を書いている。今回は本編終了後の半年前のドラマである。

実話に基づいたドラマなのだが、展開はかなりややこしいことになっている。本編は主人公の池内亜矢(沢尻)の15歳から20歳までを描いているのだが、エピローグで25歳で永眠。その一周忌が描かれる。そこから半年遡って特別編はスタートするのである。本編スタートの時15歳だった麻生(錦戸亮)は26歳になり、若き医師となっている。13歳の中学生だった妹・亜湖(成海璃子)は24歳の看護師である。・・・成海は実年齢14歳だが、10歳も老けた役なのである。思いきったな・・・。

もう一人の妹・理加は幼少なので(スタート三好杏依→後半三好結稀)から高校生となり特別編では森本更紗(「母親失格」(2007フジテレビ)版14才の母である)が演じている。「3月9日」を再現するために・・・。

ちなみに母(薬師丸ひろ子)父(陣内孝則)にはもう一人男の子(真田佑馬)がいるのだが、特別編には回想以外では登場しない。まあ、四人もいると一人ぐらいはぐれたのか。ま、時間がないっていえばないのだが。

亜也の死から半年後・・・麻生は喪失感に傷心モードである。医師としてまだ駆け出しなのである。そして、亜湖は同じ病院の看護師に。そこへ、亜也と同じ病気の少女が入院してくる。長嶋みずき(岡本杏理・「牙狼GARO」(2005テレビ東京)の三神官ベルである)はいじめに会い闘病への気力を無くしていたのだ。それに気がついた亜湖は「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」と麻生をたきつけるのだった。

麻生は「あ、そう」とみずきに亜也のことを語り出し・・・長い長い回想シーンへと突入する。

そして、健康で前向きで笑顔いっぱいの亜也が、やがて、歩けなくなり涙、恋人(松山ケンイチ)に冷たくされ涙、学校ではみんなに迷惑がられ涙、弟がいじめられて涙、不治の病と知って涙。妹にかばわれ涙、好きな人に失禁を見られて涙(特別編では回想されない)、学校を卒業できず涙、水族館でデートしても涙、電話をかけられなくなり涙、言葉を失い涙、好きな人にラブレターで別れを告げて涙。涙。涙。涙なのである。

ラストシーンで車イスだけれどまだ言葉を話すことのできた在りし日の亜也のシーンが挿入される。妹の書いた「亜也の笑顔の絵」が学校に飾られたのを見に来たという設定。ここでは亜也は涙を見せない。「私の笑顔をみんなに思い出してほしい」と言われて車椅子を押す母が泣くのをこらえ・・・もう涙でディスプレーが見えませ~ん・・・・。

キッドは中学生の時に同級生を高校の時に下級生を大学の時に先輩を喪失した経験がある。病死、事故死、自殺と死因は様々だが、若くしてその命を失うことの無念さ無惨さ無慈悲さは些少は理解しているつもりだ。そういう様々な愛のメモリーが涙を誘うのだが・・・これが泣かずにいられますかってのっ。

関連するキッドのブログ『タイヨウのうたの沢尻エリカ』『天使の梯子の沢尻エリカ』『とんねるずのみなさんのおかげでしたの沢尻エリカ

映画『クローズ・ノート』まではCMか。CMでしか沢尻エリカはおあずけなのかっ。

土曜日『ロミオとジュリエット』(日本テレビ)シェ・・・くりかえしなので長澤タッキーをあげるに止めるが深夜の『死ぬかと思った』(佐藤隆太)も見るのさ。ついでに「朝まで時効警察」も・・・レビューはしないけどね。

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2007年4月 5日 (木)

オレのダルさをなめんなよっ・・・(さまぁ~ず)

・・・かよっ。本人たちにも言ってないが高校の後輩である。そして、デビュー間もない頃、深夜のスタジオで毎週、彼らのネタチェックをしていたことがある。まあ、その頃のことは本人たちには黒歴史かもしれない。・・・バカルディだったし。その頃から抜群のセンスだった。あれからもう15年くらい経つのかな。もっとか。月日が経つのって早い。

テレ朝のこのあたりのワクは2004年の秋からか。ま、長かったなぁ。今、ようやく、冠番組である。番組のコンセプトとして「ガキ使い」のようなさまぁ~ずの番組を手に入れるまでよく生き残ってきたなぁ。ホリプロもよく見守ってきたなぁ。と感慨にふける。

でもね、面白いんだから、当然じゃない。初回、ちょっと肩に力の入った部分もあったけれど、いいじゃない。これで入らなかったら嘘じゃない。ああ、ダラダラといつまでも続きますようにと祈ります。

で、『さまぁ~ず・さまぁ~ず』(テレビ朝日070406AM0045~)構成・中野俊成、そーたに(他)、演出・飯山直樹を見た。スタジオ公開収録で客前での二人のトークショーをベースにしている。企画要素としてトークのお題がマルチパネルで表示されたり、お絵かきプログラムを使ってネタにそった落書きしたりする展開もあり、またショートコントが挿入されたりもする。エンディングはホリプロ告知枠として楽屋話となっている。

まあまあのセットで登場した二人。「バクチな番組」と三村マサカズが言い「何するの?」と大竹一樹が問う。やや上気した二人。オーソドックスに客いじりと前説(公開収録などで本番前に客を緊張緩和させつつムードを作る作業)のつぶやきシローいじりである。

「ハートウォーミングなお客さんだから、大丈夫、っていってたのにつぶやきシローが前説に出て二分でマネージャーがもう限界ですっ飛んできた。どんだけ、冷ますんだっ」でスタート。つぶやきシローは前説初体験だったらしい。

続いて高濃度酸素カプセルネタである。ここからは大竹三村の発言は総体としてのさまぁ~ずとして表現しますのでご了承ください。酸素カプセルが凄いって言うので、俺は今、いってきた。オレも行って来た。一緒に行ったんだよなぁ。しかし、一時間眠ると五時間眠ったようだって話だけど、全然効果なかったなぁ。そうなんだよ。三十歳のほしのあきがメチャクチャ元気になるって言うんですごく元気になるのかと思ったらそうでもないんだよなぁ。オレのだるさをなめんなよっていうことなんだよなぁ。でも、お前って洗脳されやすいからなぁ。オレがたいしたことないって言うとたいしたことなかったような気になるだけだろう。暗示で・・・。そうなんだよなぁ。お前、高校の時からずっとオレに憧れてたからなあ。オレみたいになりたかったんだよなぁ。だから洗脳しやすいんだよなぁ。っていうか、今、なんか、酸素の効果が出てきたような気がする。そうなんだ。オレも全身がカッカしているよ。本当に洗脳されやすいなぁ。それはそうとオレたちって言葉いい加減だよなあ。頭の回転に言葉がおいつかないっていうか、風間トオルのポスターって言おうとすると風間ポールになっちゃうし、ルパンの登場人物って誰がいたっけって思い出そうとするとジパンって言っちゃうし、アパートはデパートって言っちゃうし、名古屋は中国って言っちゃうし、もう意味わかんないし、出所もわかんない状態に。で、コンビニに行ったよ。コンビニ事件を話すよ。朝、コンビニ行ってたくさん買ったら店員が外国から来た人だったよ。しかも、新人でさあ、もう、新聞がいくらかとか、分かんないし、レジでえらく手間どった。そしたら応援の人が来て、また外国から来た人だった。二人とも外国から来た人だった・・・。

コント「コンビニエンスストア」(俯瞰で商品が多数置かれたレジのテーブル。客と店員の手だけが登場する。何故か小さい袋に商品をつめこむ店員。客は不条理さに苛立つ。パンなどは袋をパンっと割って詰め込もうとするし、ティッシュボックスは角をつぶしてつめこもうとする。ようやく、やや大きめの袋を取り出す店員。もちろん、入らない。客の苛立ちはつのっていく・・・)

スタジオ。天気情報にくわしい三村。大竹は大した情報じゃないけれどそこだけは信頼している。しかし、電話で聞くほどのことじゃないので朝、メールしてくれ。もう、お前の体感温度がオレには分かるもん。酸素カプセルでも肩のあたりが寒いんで、ああ、きっとあいつ寒がってるって心配になったもん。寒がりだもんな。オレのハダカが今、お前が服着てるくらいな感じだもん。ところで給食の揚げパンなんだけど。世代が違うと常識外なんだよな。まぶしてあるのが「砂糖」なのか「黄な粉」なのかで違うんだよ。オレたちは中間派で「砂糖」から「黄な粉」の過渡期に生きていた。だから分かる。表示は「黄な粉の揚げパン」だった。でも、今は黄な粉イコール揚げパンなんだよな。砂糖なんて知らない世代なんだ。ついでに揚げパンは全国区ではない。名古屋にはないし、九州にもない。揚げパンをみんなが知っていると思ったら大間違いだ。ま、給食の常温のカフェオレほどじゃないけれど・・・。あのいつも春雨スープとかの入っていた器に入った熱くも冷たくもない温いカフェオレ・・・うまかったなぁ。

ここで、パネルにお題「相撲の決まり手を新しくネーミングする」が出て、パネルに落書きのできる装置が黒子によって運びこまれる。相撲好きの大竹がマイナーな技を解説しながら大喜利風トーク。「突き倒し」→「こいつーっ」「首ひねり」→「ムツゴロウ」(首投げとの差異の説明が秀逸)「おくりつりおとし」→「オレ・・・もう・・・疲れた・・・」→「引退」「うしろもたれ」→「腹ぽんぽんっ」「ふみだし」→「やっちゃいやした」・・・・・・。素材的に充分になったらしく強制終了である。これから、トークの切り上げ方などに工夫をするといいだろう。受けているお客さんの前から芸人は去りがたいものだからな。

楽屋。つぶやきシローがホリプロの新人アイドル緑友利恵(30thスカウトキャラパン2005のグランプリ「しにがみのバラッド三話に出演。1991年生・跳び箱が得意。細身だが地味目の顔だちだ・・・ま、まだ子供だからな)を紹介に来たというシチュエーション。グダグダであるが、まあ、楽しいか。

関連するキッドのブログ『爆笑問題』『キングコング』『ダウンタウン

金曜日に見る予定のテレビ『王様の心臓』(日本テレビ)シェイクスピアで井上由美子で西田敏行と井上真央・・・もう闇鍋のような展開なのだが・・・。

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2007年4月 4日 (水)

好きな人だったら許します!(辻希美)

一人ダブルピースで登場した辻に「もしも、彼氏が部屋に来て下着を漁っているのを発見したらどうする?」という考え込むとセクハラ発言でスタートするこの番組。辻は軽く受け答え。歳月・・・である。

人間の幸せなんていうものは本人でなくてはわからない。その人を見て幸せを感じるかどうかも人それぞれだ。

しかし、キッドの拙い主観でいえば、ののたん(辻)は楽しいし、あいぽんは悲しいのである。

そのいずれもが少数派にすぎない、ののたんが好きな人、あいぼんが好きな人、ののたんもあいぼんも好きな人、その他の一度はどちらかあるいは両方を好ましく思ったことのある人が悲喜こもごもで見守る番組になってしまったのはきっと誰のせいでもなく、運命のなせるワザなのだろう。

で、『「ぶっ」すま』(テレビ朝日070403PM1115~)構成・すずきB(他)、演出・飯山直樹を見た。ナレーターは伊津野亮、進行役は大熊英司ときどきニュースも読むアナウンサーである。この日、関西テレビの社長の辞任が捏造問題で発表されたりしているのだが、キッドが思うにこれから、番組の最後にはすべて「この番組はフィクションです」とテロップをつければ問題はないのではないかと思う。もちろん、ニュースにもである。ドラマに「フィクション」と断りをいれることでナンセンスな笑いをとるということではなく、さまざまな問題が回避できるのであればそうすればいいだろう。すべてはフィクションなのであり、あたかもフィクションでないものが存在するようなフィクションを続けることにあまり意味はないのではと思うのである。まあ、「もっともらしいこと」が好きな人には「もっともらしいこと」を捜すよりどころが失われ困るのかもしれないが・・・。

さて、この番組もフィクションであって、基本的にはゲーム番組である。視聴者はレギュラー・キャストの草彅剛や、ユースケ・サンタマリアとゲストがプレイするゲームを観戦することで、プレイヤーとしての疑似体験をして現実逃避するエンターティメントだ。ゲームはシミュレーションゲームの一種で、「もしも若い女性の家で手料理をご馳走になるとしたら何を食べさせてくれるのか、想像しながら、想像した通りの料理が出来たら食べられる」というものだ。日常を模倣しながら勝負所を作る。これが発想の基本である。

もちろん、勝負が「やらせ」だったり若い女性が「捏造」だったりする可能性もあるのだが、そういうことを問題にするような知能に問題のある視聴者は視聴しなければよいのである。しかし、視聴する自由がどんなバカにも保障されているような錯覚のある世界では「若い女性の部屋があんなにきれいなんてありえない」とか、「アロマショップの店員が家賃20万円の部屋に住んでいるなんてとんでもない」とかクレームのつく可能性はある。だから「この番組はフィクションです」と一発入れておけばいいのにとキッドは思う。

今回のゲームは二回目だと言う。題して「彼女の家で手料理予想!ドキドキYESクエスチョン!」である。まあ、これがゲーム名ということです。

プレイヤーは二人一組である。クジ引きで「ユースケ・辻」組と「剛・細川茂樹(ゲスト・仮面ライダー響鬼であるがスカルマンの単発・実写版に出るらしい)」にチーム分けされる。くじ引きの模様がダイジェストでナレーション処理なので「仕込み」ではないかとクレームをつける大バカがいるかもしれないので「この番組はフィ・・・」・・・・もういいか。

最初の女性は「セクシーお嬢様」である。ルール及びゲーム進行は次の通り。①女の子の部屋を探索しよう。次の段階で女の子についてのクイズがあるため、部屋を探索していろいろなヒントを得るのである。チームごとに行う。先攻後攻はじゃんけんで。②ドキドキYESクエスチョン。あらかじめ女の子に質問してYES/NOが明らかになっているものを中心に(アドリブで応えるものもありクイズとしてはイージー)設定があり、「YES」と思われるものを交互に選択していく。正解すると「料理」についてのヒントがもらえる。③それぞれが何度か選択した後で「料理名」をフリップに書いて回答。正解者が出れば⑤へ。④正解者がない場合、延長戦でさらに②のクイズを行う。⑤正解者が出るとご褒美に「料理」を食べることができる。つまり「彼女のことを理解しているから」である。不正解チームは罰として彼女の欲しいものを自腹でプレゼント。「もっと愛を深めるため」である。

探索の部分は「のぞき」的な倒錯的なエロモードである。ここで、プレイヤーに女性が加わっている場合はさらに変態的なポジションになるわけでここが腕というかタレント性の見せ所となる。実は、番組全体にこのゆるやかなエロモードが娯楽要素として関係している。タレントはそれを過激にならず(嫌悪感を与えるから)、低刺激にならず(面白くないから)に塩梅しなければならない。

ここで辻はかなりの腕前を見せていく。シルキーなパジャマを見て「テロッテロしちゃって」と恥じらいながら怪しい言葉を口にする。予想外に配置されたハープを見て「吹くんじゃないの」とありえないリアクション。プリクラの彼氏の名前「たっくん」を強調。冷蔵庫を見て「きれい。いい匂い。ウチの冷蔵庫は臭う」とへりくだり、ボケる。クローゼットの広さを回転して表現。(これは某番組ハロモニであるグルメレポーターが首を回す表現を辻に学ばせたことの応用かもしれない)解答場面では「Tバック着用を確認」で「おー、あー」と叫び、「Y字バランス」ができない女性の変わりに「自分がしてみせていいですか」と実行するのだが、まず「指」でY字を作るスカシネタから入る。これはあいぼん的要素。ここでスベル(失敗)することにより、できなかった女性の立場を救いつつ、自分のステータスを一瞬下げ、実はY字バランスができる(チャーミー石川だけではなかったのか)ことを嫌味なく披露しているのである。辻、腕をあげたなぁ。

この他「写真集の水着がらみ」のエロ攻撃も軽く受け流し、「ニップレスだけのもあったよね」は間をとって否定。また、女性がエロ攻撃にさらされる時には言葉でなく、表情でセーブなと゛、実にこまやかなワザを見せていくのである。そして、極めつけは得意の分野である「食」については見事に引かず、「辻ちゃんのカルボナーラ」や「たこ焼き」などを正解し、「おいしい」食べる「おいしい」食べるという幸せぶりを見せるのである。いや、二連勝しないで「食べられない」口惜しがりという必殺技を使わずにすましているところが番組のリアリティーをさらに高めているのだな。

この他、剛たちの「おねだり」に対し辻「食べましょうか」ユースケ「食べよう」などのコンビワザもそつなくこなし、このゲームを視聴者に楽しませるツボを見事にクリアしている。

ああ、ののたんは幸せそうなのに・・・。

補足。クイズの設問例。(食材)①水商売経験あり ②外国に五年以上住んでいた ③SかMか ④前後開脚ができる。(調理法)①今Tバック着用 ②この部屋で一番大切なもの ③彼氏の携帯電話を覗いた ④バツイチだ (調理器具)①芸能人にナンパされた ②何カップだ ③パラパラが得意 ④合コンでおもちかえりされた (キーワード)①コスプレ好き ②浮気した ③100万円以上のプレゼントあり ④男性プレイヤーで一番好みのタイプは・・・というようなもの。二回戦行われ、ターゲットにより質問は変更される。

エンディンク゜は乾杯した「ホソナギ」が軽いものまねコントを完璧に滑らして終了。初登場の二人もリニューアル登板をそつなくこなし、「ぷっ」すまはゆるやかに続いていく。いつまでもいつまでも続いてもらいたい。

関連するキッドのブログ「めちゃイケ」「東京フレンドパーク」「ダウンタウンDX

木曜日に見る予定のテレビ『1リットルの涙・特別編・追憶』(フジテレビ)沢尻エリカはここを離れないのか・・・。CMで稼げるからいいのか・・・。

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2007年4月 3日 (火)

大失敗かもしれなかったサタンですが今度はちょっといいかもしれない伊崎右典。

某雑誌のがっかり映画2004の1位だった『デビルマン』のサタンを演じた伊崎。2000年のジュノンスーパーボーイで構成されたダンスユニット「FLAME」のメンバーである。サタンを演じるほどなので二枚目である。

秋山莉奈はいわずとしれた仮面ライダー電王のナオミである。もうすぐ「莉奈はオシリーナだから」という歌で歌手デビューするのだが、お尻の美しさでクイーンなのである。いや、それよりも顔立ちが抜群の美少女であり、整いすぎて敬遠されるのか、所属事務所が弱小すぎるのか、・・・マイナーだ。

監督はホラー映画ばかりの男である。「水霊 ミズチ」の監督。この枠でかって「心霊探偵八雲」を撮ったのだが、主役の演技力や脚本に相当な問題があり、映像はスタイリッシュなのにそれ以外がイモというがっかり作品になっている。

脚本は監督もからむのだが、もう一人は2003年のフジテレビヤングシナリオ大賞の一次審査に「キズのきおく」という作品名があり、二次にはその名はない。この時、佳作を獲った大島里美は「1リットルの涙」から「東京タワー・・・」とメジャーなのだ。この脚本家は月9「エンジン」(05)でリサーチをしている。下積みなのだなぁ。

なんとなく、哀愁漂うメンバーである。これに原案・監修者として渡邊文男が加わっている。ちょっと怪しい探偵社ガルエージェンシーのオーナーである。・・・大丈夫かなぁ・・・。ま、二夜連続、NHKの清く正しいつまらんドラマが続いたので、今回はどんなにあやしくてもこれが素敵に思えるはずである。

で、『のぞき屋・第一回』(テレビ東京070403AM2~)原作・山本英夫(コミック)、脚本・村川康敏(他)、監督・山本清史を見た。バンザーイっ。とりあえず一回目は素晴らしい出来。一般向きではないが、恐ろしいほどのカット数。スタイリッシュと言っていいだろう。そして「探偵行動」への徹底した拘り。盗聴、監視、尾行の技術論だけで30分をテンポよく見せてしまった。しかも、「つづきが見たい」レベルでである。

盗聴電波の飛び交う現代の東京。三人の探偵が探偵用具を満載した特殊車輌に乗っている。二人は若者で一人は聴(チョウ・渡辺哲)である。もう、これだけでキッドは少し満足した。聴は視力が弱い替りに抜群の聴力を持っている。若者の一人は先輩・見(ケン・伊崎)で、望遠鏡の見すぎで片目に分厚いコンタクトレンズをはめており、時々、スーパークローズアップでものを見る。ヒゲの剃り残しなどを見逃さないのである。後輩・スマイル(黒田耕平・・・笑顔が魅力の俳優・怨み屋本舗の第8話バカボンが依頼者の回に脇役で登場している)は見習いである。

冒頭、「屈折した社会を作っているのは個人の歪んだ欲望である」という一文があり、中年男の「あ、ダメ・・・制服は着てて・・・パンツだけ脱いで」という声といかにもギャルの「やだー、オヤジ、ヘンタイすぎだよーっ」という声が盗聴対象という設定で挿入される。

キッドは探偵については一家言持っているので、この探偵ぶりはまあまあだと考える。

ケンは仕事と趣味の混入したような態度で調査対象に肉薄するのである。冒頭、「のぞきに来ましたーっ」と言ってホテルに潜入するのはやや遊びすぎだが、この枠なのでいいだろうという演出家の声が幻聴されたのでまあいいやと思いました。

のぞき屋ののぞく世界は薄汚れた淫靡な世界だがそれだってある種の美しさはあり、そういうものが醸しだされている。まあ、たとえば聴覚ではセクシーだったものが視覚では幻滅の対象になるという真実であるとかだ・・・。

新しい仕事の依頼が来た。「父親からの愛する娘の素行調査」である。娘はレイカ(秋山・21なのでなんちゃってであるが見事に清純な高校生に見える)といい、彼らが仕事中に垣間見た憧れの少女だった。

尾行を開始する三人の探偵たち。しかし、尾行には自信のあるケンがたやすく撒かれてしまい、初日から失敗する。ここでは追跡者の超小型ビデオにより「角を曲がった対象が走ったこと」が解析される。レイカはただの高校生ではなかったようだ。

作戦を変更し、遠距離からの観測調査を行うケン。電波の逆探知により、娘の周囲に盗聴器が仕掛けられていることが判明。一つは父親が娘に、そしてもう一つは娘が父親に仕掛けている。「盗聴しあう父と娘」は珍しくないらしい。もちろん、父親の依頼も娘はすでに察知していたのである。

「あいつは俺がのぞく」のぞき屋としてのプライドである。尾行者としての意地にも燃え、テクニックを駆使して、再度、尾行にチュレンジするケン。またしても失尾(尾行に失敗)してしまう。チョウがバトンタッチ。その聴力にものを言わせ、ついに電話の内容から「売春」行為の斡旋らしき痕跡をつかむ。しかし、チョウの前に姿を見せ、微笑むレイカ。彼女はすべてを知って己の姿をさらけ出していたようだ。

ケンの心に灯がついた。「のぞいてみたい・・・あの娘の心を・・・」・・・つづくである。

そこはかとなく、主役の演技力に難が覗くのであるが、監督は前回の失敗に懲りたらしく、セリフは極めて短くしている。なにしろ、渡辺哲が一番の芸達者というレベルである。一回目は現代の闇的常識を軽く俯瞰するだけで、とにかくクリアできた。ここからはシナリオ次第だと思う。探偵のファイルと作劇、原作の魅力、ここを脚本家がどこまで統合できるかが勝負となるだろう。『エコエコアザラク』は無理にしても『ライオン丸G』や『怨み屋本舗』のレベルに到達することができるかどうか・・・。まあ、月曜日だけに『プロポーズ大作戦』のライバルとしては無理があるのだが・・・『しにがみのバラッド。』は『東京タワー・・・』に結構肉薄していたのである。・・・・期待している。

関連するキッドのブログ『ライオン丸G』『怨み屋本舗』『心霊探偵八雲

水曜日に見る予定のテレビ『さまぁ~ず・さまぁ~ず』(テレビ朝日)「正直しんどい」からこれへの流れと「カートゥン」から「あややゴルフ2」(日本テレビ)の流れはやや戦争状態になりそうだが、まあ、・・・小規模な仁義なき局地戦です。木曜「1リットル」だけに軽い記事にしたいのか・・・。うわーっ。「村上版柳生」も始まるのかーっ。しかもかぶってないし・・・。

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2007年4月 2日 (月)

話したって分かってもらえないっ。(多部未華子)

光あるところに影がある。美しいものがあれば醜いものがある。幸福があれば災厄がある。すべてを相対的にとらえればそういうことになる。

キッドはどちらかといえば、こういう相対的な考えは安易であると考える。だから、格差社会などという考え方も否定する。格差を歌う人から見れば過激でとんでもない思想かもしれない。

それは「美しいものは醜いものがあろうがなかろうが美しい」という意地っ張りな考え方であり、「場合によっては災厄こそが幸福である」という変態的な考え方であり、「影だって光ってることがあるのだ」という異常にポジティブシンキングである。

当然、このドラマの作者のような発想には真っ向から対立する。この作者は『血と骨』とか『OUT』とか『月はどっちに出ている』の脚本家なのだが、それぞれは素晴らしい作品である。しかし、そこで語られる物語は面白くもなんともないといつも思う。今回もまた果てしなくつまらない物語なのである。思わず、最後まで見てしまうほどに・・・。

で、『すみれの花咲く頃』(NHK総合070401PM1110~)原作・松本剛(コミック)、脚本・鄭義信(チョン・ウィシン・新宿梁山泊・座付き作者)、演出・落合将を見た。またもや、出所の怪しいNHKドラマである。今回の舞台は福島県である。会津磐梯山を背景に猪苗代町の女子高校生がヒロインを演じる。

君子(多部)は「宝塚音楽学校」の生徒になることを夢見ている。そのために郡山のスタジオまでバレエのレッスンに通い、放課後に音楽教師から歌の個人指導を受けている。しかし、そのことを親には秘密にしている。いや、周囲の誰にも言っていないのだ。演じる多部は宮崎あおいを擁するヒラタオフィスの秘蔵っ子的存在である。映画『HINOKIO』(2005)や『夜のピクニック』(2006)などで注目を集めている。個性的な顔立ちなので好みは分かれるだろうが、映画『西遊記』に起用されていることから大物の路線に乗っていることは間違いない。ちなみにキッドは彼女を美少女だとは思わない。しかし、田中麗奈もいまだに美人だと思わないものの言うことなので無視すると良いだろう。

だから、彼女が宝塚を受験することに無理があるという設定が微妙なのだ。

とにかく、君子の母(秋野暢子)は七年前に離婚しマーケットで働き家計を支えている。父親は音信不通である。祖父は寝たきりであり要介護者。昼はヘルパーが、夜は君子が面倒を見なければならない。君子はそのために「レッスン」の時間が思うようにとれない。休日にはスキー場でアルバイトをしたりしてレッスン料を稼いでいる。楽しげな若者たちを横目に鬱屈することも多い。

ある日、帰りの遅くなった君子は祖父の世話をしなかった。本当は食卓まで連れて行かなければならないのにベッドで食事をさせているのも母には内緒だった。母に責められた君子は「演劇部の練習が忙しい」と言い訳をする。

しかし、演劇部はとっくに止めていた。理由は「活動が不真面目で宝塚入学の役に立たないから」である。演劇部の祐介(濱田岳・・・最近よく見かける)と純一(柄本時生・・・バカボンの弟である。父譲りのボケ面は一目に値する)は君子の心を知らず、演劇部に戻るように懇願する。その理由が「宝塚」にあると知った二人はうかつにも君子を揶揄し、逆鱗にふれるのである。「何がわかるの。田舎者。田舎者でバカ。みんな、田舎者でバカばかり」と激昂する君子。

祐介もまた鬱屈を抱えていた。演劇少年である。家は自動車の修理工場だが、経営状態は思わしくない。町全体の経済が冷え込んでおり、若者が都会に出るのでさらに活気は薄れている。そして三年前、事故で母親は死に、父親は片足を失った。家のそのものが陰鬱なのである。

宝塚に憧れる若者は多いのか、珍しいのか。微妙なところだが、その入学に年齢制限があるのがミソである。18歳までに入学しなければならない。そのために少女たちは中卒か、高校中退で宝塚を目指す。今年も倍率は20倍弱という難関である。最近では有名人の娘たちも数多く受験している。そういうものは「幼少」から宝塚を目指してレッスンを積んでいる。もちろん、芸事だから天賦の才能も要求される。その中にはむろん、容姿も含まれるのである。さらにタカラジェンヌはモーニング娘。と共演したりもしたが、娘。がスキャンダルまみれなのに対してほとんどスキャンダルを起さない。これは教育方針や伝統に負うところもあるだろうが、基本的にはそういう素材を除外してしまうためだと考えられる。

・・・というような狭き門を目指す、君子。そのハンディキャップはほぽ絶望的なものなのである。「今のままでは無理」とバレエ教師に言われ、あせる君子はついに祖父の介護を放棄してしまう。風邪のために仕事を早退して君子の秘密を知った母は娘と衝突する。

「なんで言わない。なんで秘密にする」「お父さんが分かれる時に宝塚に連れて行ってくれた・・・。それから宝塚に憧れた。宝塚に入ったらお父さんに会える気がする。そんなこと、言えないでしょう」「・・・・・・・・」

君子を祐介が慰める。「父親は生きているんだろう。うらやましいや。俺なんか母ちゃんには会えない・・・」「・・・・・・・・・」である。

結局、母親は娘に頼っていたと悟り、娘の夢を応援することになる。祐介たちとも分かりあえ、君子は順調に準備をすすめ、宝塚の入試の日を迎える。そして、祖父(笑福亭松之介)さえもが君子に暖かい励ましを・・・。

祐介に見送られバスで出発した君子はバスを降りてしまう。「なぜだ。なぜ降りる」「私はこの町が嫌いだった。母も祖父も嫌いだった。逃げたかっただけ。宝塚でなくても良かった。私は汚い・・・」この結末は深い絶望への賛歌であるらしい。しかし、結局、宝塚からも逃げたとも言える。微妙である。まあ、半島の人に生れたら一生半島の人だろうともいうべき結論とも言える。このあたりがキッドがこの作者を肯定できない根本だとすると・・・非常に救いようのない偏見に基づいていると言われる可能性を今、認めます。

春が来て、受験資格を失った君子は宝塚の舞台を祐介たちと観にやってくる。通り過ぎる憧れの宝塚の生徒たち(野々すみ花・白姫あかり)・・・。「私はいつも憧れていた」と難解なセリフを残し、心の曇りを払うような痛々しい笑顔を見せる君子。まあ、「憧れていたものを自分の汚れた心で汚すことはできないという諦念と自尊心」という結論なのでしょうか。

「今の世の中」を閉塞していると見る人々には納得のストーリーなのかもしれないが、ここではないどこかに居場所を見つけること、あるいは求めることは「個人的な問題」と考えるキッドにとっては地獄の底をはいまわるほどつまらない話だと思えてならないのです。

世の中はいつだって弱肉強食であり、生きている限り敗北はない。死んだものには勝敗は無関係。つまり、世界は勝者だけで構成されていると考えますので。NHKでドラマを作っている人。脚本を書いている人。演じている人。あなた方は勝者の代表ではないのですか?

関連するキッドのブログ『夢なんか見るから凹むのよ。(板谷由夏)』

火曜日に見る予定のテレビ『『ぷっ』すま』(テレビ朝日)やぐちひとりⒸも始まりますけど。

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2007年4月 1日 (日)

夢なんか見るから凹むのよ。(板谷由夏)

途中経過だし、そのままのセリフではないが東京で挫折して故郷に逃げ帰ったヒロイン南海子(板谷)が幼馴染の徹(中村俊介)に告げるニュアンスはこんな感じだったと思う。

この世は常に過渡期である。時代というものは次から次へと移り変わっていく。

地方が冬の時代になって、春はいつまでたっても来ない。そういう気分というものも長く続いている。しかし、季節は巡っているのである。春はいつだって来ているのだが、人はそれを見ずにああ、まだ冬だと言うのかもしれない。

故郷を捨て、旅にでるものが都で翻弄されるのもいつの世にもあるらしく、夢破れて凹むのもまた一興なのである。

で、『福岡発地域ドラマ・飛ばまし、今』(NHK総合070331PM9~)脚本・金子成人、演出・吉田浩樹を見た。NHK福岡がドラマ制作能力の向上のために設けた枠である。こういう枠を作ってしまうところがNHK的な異常さだとキッドは思うが、ある意味ではNHK的村おこしの一貫であり、中央に対する地方の怨みに対するガス抜きなのかもしれない。

NHKが企業と公共物の隙間に棲息する奇怪な存在であるようにこのドラマもまたなかなかに複雑な様相を示している。

そんな風に感じてしまうのは脚本家の傾向と関係があるのかもしれない。ベテラン作家で「前略おふくろ様」(1975)や「大都会」(1976)まで遡るこの作家は「俺たちの祭」の作家でもある。「挫折」「苦悩」する地方出身者が大好きなのである。

キッドはこのドラマから映画『祭りの準備』(1975・脚本・中島丈博)を連想するのだが、三十年前から地方と都会の構図は何一つ変わっていないようにも見えるし、すごく変わったようにも見える。それにこだわるとかなり長くなりそうなので、ここからは雑感であることをお断りしておく。

舞台は柳川である。秋祭り「おにぎえ」の準備をしているある夜。四人の男女が集う。柳川の掘割をめぐる「どんこ舟」の船頭をしている徹(30)、徹の兄で海苔漁師・実(35・入江雅人)、実の婚約者・由紀(33・瑞木りか)、そして東京で写真家をしている南海子(30)である。中村俊介は群馬県出身だが、残りは福岡県出身のアクターである。それがドラマの内容に色濃く反映してくるのかと期待するとそうでもない。たとえば方言もほとんど印象的には使われない。こういうこだわりにキッドはなにか虚しいものを感じる。

もう一つ、物語の重要な要素に柳川育ちの詩人「北原白秋」の詩がかかわってくるのだが、こういうところも「中国人が日本人に漢字を教えた」式の馬鹿馬鹿しさを感じる。漢字を生み出したものも、北原白秋もただの「人」に過ぎない。柳川の人や中国の人が関係者だと思うところを嘲笑することこそが文化だと思うのである。

四人の男女はそれぞれに悩みを抱えている。実はより収益を上げるために稼業の企業化を目指すが昔ながらの仕事をしたい父親に反対される。同じ海苔漁師の娘である由紀は実と結婚することに不安を感じている。兄の結婚問題の陰に「自分が稼業を手伝わずに船頭になったこと」があると感じる徹。そして南海子は「東京で悪い男にだまされ、もてあそばれた上に仕事も上手くいってない」のであった。ああ、やっぱりである。

夢破れて帰郷した南海子。懐かしい故郷の風景に癒しを求めたのだが、故郷には故郷で様々な問題があるわけである。徹は観光を盛んにするために精一杯の努力をしているので独身なのだが、失意の南海子につけこむような真似をしない。よく見れば相手のことを思いやっているようで、単に恋愛に臆病ともとれる言動をする。あくまで受身なのである。

北原白秋の詩は「思ひ出」から「時は逝く」が引用される。

時は逝く、赤き蒸汽の船腹の過ぎゆくごとく。

穀倉の夕日のほめき、

黒猫の美しき耳鳴のごと、

時は逝く、何時しらず、柔かに陰影してぞゆく。

時は逝く、赤き蒸汽の船腹の過ぎゆくごとく。

このイメージにあふれた時への幻想を「白秋の恋」にからめた解説をしたりするのだが、徹と南海子の恋はちっとも始まらないのだった。

やがて、祭りがいつものように始まり、いつものように終わり、受身の男たちが様子見をしている間に女たちのためらいは終焉する。由紀は嫁ぐ決心をして、南海子は東京で再出発することを決意するのである。

南海子の決意を促したのは青春時代の落書きだった。それは白秋の晩年の一作「帰去来」の一節だった。

山門は我が産土、

雲騰る南風のまほら、

飛ばまし今一度、

・・・という冒頭の部分である。これが上手いのかどうか、微妙なところだな。

もう一度と言っているところが「再起」に係っているのだが、この「落書き」が最初に飛び立つ以前の落書きなので、ちょっとリアリティーがないのである。もちろん、いつか、ここに挫折して帰ってくる自分のために書いたという南海子の用意周到な性格と解釈してもいいのだが。

ついでに、「白秋」がもう一度飛びたかったのは「故郷」へである。ああ、故郷に帰ったって懐かしい奴らはもうみんなつまらない大人になっているだろうにそれでも12年前に飛行機に乗って帰ったときのようにもう一度故郷に帰ってみるのもいいかもしれないなあ・・・という心情を歌った詩なのである。

ああ、中途半端な田舎、中途半端な男女。中途半端な面白さ。こういう地方単発ドラマを見ながら、できの悪いところを発見する喜びを感じるキッドとしては大満足なんですが。

関連するキッドのブログ『痛みは我慢するが腹ペコは我慢できない

平成14年から続くこのシリーズ。「うきは-少年たちの夏-」には牧野有紗が出ている。映画「レイクサイドマーダーケース」や「愛してよ」などに出演していた子役なのだが、サンミュージックブレーンのプロフィールが消えている・・・消えたのか。

月曜日に見る予定のテレビ『のぞき屋』(テレビ東京)

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