話したって分かってもらえないっ。(多部未華子)
光あるところに影がある。美しいものがあれば醜いものがある。幸福があれば災厄がある。すべてを相対的にとらえればそういうことになる。
キッドはどちらかといえば、こういう相対的な考えは安易であると考える。だから、格差社会などという考え方も否定する。格差を歌う人から見れば過激でとんでもない思想かもしれない。
それは「美しいものは醜いものがあろうがなかろうが美しい」という意地っ張りな考え方であり、「場合によっては災厄こそが幸福である」という変態的な考え方であり、「影だって光ってることがあるのだ」という異常にポジティブシンキングである。
当然、このドラマの作者のような発想には真っ向から対立する。この作者は『血と骨』とか『OUT』とか『月はどっちに出ている』の脚本家なのだが、それぞれは素晴らしい作品である。しかし、そこで語られる物語は面白くもなんともないといつも思う。今回もまた果てしなくつまらない物語なのである。思わず、最後まで見てしまうほどに・・・。
で、『すみれの花咲く頃』(NHK総合070401PM1110~)原作・松本剛(コミック)、脚本・鄭義信(チョン・ウィシン・新宿梁山泊・座付き作者)、演出・落合将を見た。またもや、出所の怪しいNHKドラマである。今回の舞台は福島県である。会津磐梯山を背景に猪苗代町の女子高校生がヒロインを演じる。
君子(多部)は「宝塚音楽学校」の生徒になることを夢見ている。そのために郡山のスタジオまでバレエのレッスンに通い、放課後に音楽教師から歌の個人指導を受けている。しかし、そのことを親には秘密にしている。いや、周囲の誰にも言っていないのだ。演じる多部は宮崎あおいを擁するヒラタオフィスの秘蔵っ子的存在である。映画『HINOKIO』(2005)や『夜のピクニック』(2006)などで注目を集めている。個性的な顔立ちなので好みは分かれるだろうが、映画『西遊記』に起用されていることから大物の路線に乗っていることは間違いない。ちなみにキッドは彼女を美少女だとは思わない。しかし、田中麗奈もいまだに美人だと思わないものの言うことなので無視すると良いだろう。
だから、彼女が宝塚を受験することに無理があるという設定が微妙なのだ。
とにかく、君子の母(秋野暢子)は七年前に離婚しマーケットで働き家計を支えている。父親は音信不通である。祖父は寝たきりであり要介護者。昼はヘルパーが、夜は君子が面倒を見なければならない。君子はそのために「レッスン」の時間が思うようにとれない。休日にはスキー場でアルバイトをしたりしてレッスン料を稼いでいる。楽しげな若者たちを横目に鬱屈することも多い。
ある日、帰りの遅くなった君子は祖父の世話をしなかった。本当は食卓まで連れて行かなければならないのにベッドで食事をさせているのも母には内緒だった。母に責められた君子は「演劇部の練習が忙しい」と言い訳をする。
しかし、演劇部はとっくに止めていた。理由は「活動が不真面目で宝塚入学の役に立たないから」である。演劇部の祐介(濱田岳・・・最近よく見かける)と純一(柄本時生・・・バカボンの弟である。父譲りのボケ面は一目に値する)は君子の心を知らず、演劇部に戻るように懇願する。その理由が「宝塚」にあると知った二人はうかつにも君子を揶揄し、逆鱗にふれるのである。「何がわかるの。田舎者。田舎者でバカ。みんな、田舎者でバカばかり」と激昂する君子。
祐介もまた鬱屈を抱えていた。演劇少年である。家は自動車の修理工場だが、経営状態は思わしくない。町全体の経済が冷え込んでおり、若者が都会に出るのでさらに活気は薄れている。そして三年前、事故で母親は死に、父親は片足を失った。家のそのものが陰鬱なのである。
宝塚に憧れる若者は多いのか、珍しいのか。微妙なところだが、その入学に年齢制限があるのがミソである。18歳までに入学しなければならない。そのために少女たちは中卒か、高校中退で宝塚を目指す。今年も倍率は20倍弱という難関である。最近では有名人の娘たちも数多く受験している。そういうものは「幼少」から宝塚を目指してレッスンを積んでいる。もちろん、芸事だから天賦の才能も要求される。その中にはむろん、容姿も含まれるのである。さらにタカラジェンヌはモーニング娘。と共演したりもしたが、娘。がスキャンダルまみれなのに対してほとんどスキャンダルを起さない。これは教育方針や伝統に負うところもあるだろうが、基本的にはそういう素材を除外してしまうためだと考えられる。
・・・というような狭き門を目指す、君子。そのハンディキャップはほぽ絶望的なものなのである。「今のままでは無理」とバレエ教師に言われ、あせる君子はついに祖父の介護を放棄してしまう。風邪のために仕事を早退して君子の秘密を知った母は娘と衝突する。
「なんで言わない。なんで秘密にする」「お父さんが分かれる時に宝塚に連れて行ってくれた・・・。それから宝塚に憧れた。宝塚に入ったらお父さんに会える気がする。そんなこと、言えないでしょう」「・・・・・・・・」
君子を祐介が慰める。「父親は生きているんだろう。うらやましいや。俺なんか母ちゃんには会えない・・・」「・・・・・・・・・」である。
結局、母親は娘に頼っていたと悟り、娘の夢を応援することになる。祐介たちとも分かりあえ、君子は順調に準備をすすめ、宝塚の入試の日を迎える。そして、祖父(笑福亭松之介)さえもが君子に暖かい励ましを・・・。
祐介に見送られバスで出発した君子はバスを降りてしまう。「なぜだ。なぜ降りる」「私はこの町が嫌いだった。母も祖父も嫌いだった。逃げたかっただけ。宝塚でなくても良かった。私は汚い・・・」この結末は深い絶望への賛歌であるらしい。しかし、結局、宝塚からも逃げたとも言える。微妙である。まあ、半島の人に生れたら一生半島の人だろうともいうべき結論とも言える。このあたりがキッドがこの作者を肯定できない根本だとすると・・・非常に救いようのない偏見に基づいていると言われる可能性を今、認めます。
春が来て、受験資格を失った君子は宝塚の舞台を祐介たちと観にやってくる。通り過ぎる憧れの宝塚の生徒たち(野々すみ花・白姫あかり)・・・。「私はいつも憧れていた」と難解なセリフを残し、心の曇りを払うような痛々しい笑顔を見せる君子。まあ、「憧れていたものを自分の汚れた心で汚すことはできないという諦念と自尊心」という結論なのでしょうか。
「今の世の中」を閉塞していると見る人々には納得のストーリーなのかもしれないが、ここではないどこかに居場所を見つけること、あるいは求めることは「個人的な問題」と考えるキッドにとっては地獄の底をはいまわるほどつまらない話だと思えてならないのです。
世の中はいつだって弱肉強食であり、生きている限り敗北はない。死んだものには勝敗は無関係。つまり、世界は勝者だけで構成されていると考えますので。NHKでドラマを作っている人。脚本を書いている人。演じている人。あなた方は勝者の代表ではないのですか?
関連するキッドのブログ『夢なんか見るから凹むのよ。(板谷由夏)』
火曜日に見る予定のテレビ『『ぷっ』すま』(テレビ朝日)やぐちひとりⒸも始まりますけど。
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
←クリックするとTVスポットCM版『H☆C THE MOVIE アイドル戦士キャンディー☆ムーン』第2弾アリマス。記事の内容はキッドの妄想が責任を転嫁します。(ちーず様誘拐の巻・後編デス)
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コメント
通常、この時期はバラエティのSP番組を楽しんでる時期ですが
どうも今年に限ってはバタバタと落ち着かないですぅ~。
夕べもスマスマ見ようと思ってたのに見れず・・・
でも今晩は大好きなモノマネ番組があるから、朝から
張り切って予約デス♪
こんな調子なので連ドラ開始時には調子が戻るのかどうかが不安デス( ̄┰ ̄;)ゞ
予告編、すご~い♪
w( ̄Д ̄;)wワオッ、大変大変!ちーずさんがっ!
アンナちゃんのちゃぶ台攻撃がきかないとは、なんと強敵!!!
かりんさんのボケにみょうがの芯さんのツッコミ!
いいコンビでスー♪
投稿: まこ | 2007年4月 3日 (火) 15時16分
はい。悪のデビルクィーン&女子アナの美里です。
ただでさえ悪役なのに。とことん悪の限りを尽くし暴れますよ。返り討ちにして差し上げるわ。おほほほほほ。
お久しぶりです。母が退院しました。軽い脳梗塞なのでたいしたことは無いのですが今度は私が3月までの職場で風邪を貰ってきたようで風邪でなかなかその日の更新しか出来ない状況です。だから予告編1もかなり日にちたってからみました。
また落着いたら遊びに来ます。
投稿: 結城 美里 | 2007年4月 3日 (火) 22時33分
あら、進化したのね♪
名前とURL打ち込まずに済んだ(笑)
もう何度も見ちゃった♪
キッドじいや、隠れた才能があるんじゃなくて?
あっ、隠してないか(笑)
映画面白いよー
ちーずちゃんが誘拐されるのも可愛すぎるけど
卓袱台アタックって。。。(爆)
でも、でも、美里様にやられるのねアンナランは(涙)
あ~~~~れ~~~~~と
まっさかさーまーに落ちる悲しいアンナ(T_T)
でも、まこりんが助けにくるのよ!ヒーローのように!
そしてスーちゃんも冷静にお上品に登場するのよ。
こんなバカバカしくて可笑しくて可愛いムービー
どこにある?ここよ!
あーーーーー長くなるのでおしまい♪♪♪
面白かった~
投稿: アンナ | 2007年4月 3日 (火) 23時16分
●no choco●まこ☆ミキ様、いらっしゃいませ●no choco●
まこ様、母親業務は大切ですからねー。
まこ様のマーくんにオカンしてやらねば・・・。
どうか、無理をなさいませんように。
春ドラマ紹介記事ご苦労様でした。
まこお嬢様、ヤンママは早いのでございます。
まず、ご学業第一でございます。
お弁当作りばかり熱心では・・・。
お弁当はシェフがお作りするではございませんか。
あ、またお部屋を改造して・・・専用厨房を・・・。
まこ☆ミキ様、お疲れ様。
キャンディ☆アルテミスかっこよかったデス。
次はみのむし様と探偵ごっこ編になります。
そしてゴスロリラビット★翠様と初対決です。
本厚木編をはさんでの公開の予定です。
フジッキーロイドも登場します。
チラリですが。ホッホッホ。
投稿: キッド | 2007年4月 4日 (水) 01時41分
卍Wunsch卍~結城美里様、いらっしゃいませ~卍Wunsch卍
プライベートでお疲れなのに
映画の中で大活躍させて申し訳アリマセン。
心労が重なると
気持ちが沈みますので
できれば一日一回はリラックスしてくださいね。
風邪はとにかくうがいをすることです。
ひいてしまってからでも
うがいは有効だそうですから。
栄養補給もお忘れなく。
食欲のないときは野菜や果物などのジュースがいいのです。
デビルクイーンは今後も大活躍(悪だけど)
しますので気晴らしになればと願っています。
それではお大事に・・・。
投稿: キッド | 2007年4月 4日 (水) 01時43分
☁Building☁アンナ☆ラン様いらっしゃいませ☁Building☁
そうなんですか?
じいやはこれでなかなかにメカには弱いのでございます。
いえ、昔ながらのテクはあるのですが
このネットの仕組みはほとんど理解不能です。
おそるおそるブログもしておるのでございます。
アンナ様のお部屋は模様替えなされたのですが
お出迎えコメントはこのままにさせてもらいます。
じいやが馴染んでいるものですから。
妄想映画はアイディアがどんどん膨らんで
本当は収拾つかなくなっております。
アンナ様たちの活躍の場面はたくさんあるのですが
H☆Cのメンバー全員に楽しんでもらいたくもあり
出番の確保が・・・。
オールスター映画の難しさここにアリなのです。
まあ、〆切もないので、超ロングランということで
ダラダラ続ける予定です。
どうか、おつきあいくださいね。
お嬢様方に喜んでいただくことがじいやの喜びなので・・・。
ikasama4様の新コスチュームも完成していますので
感想などをお寄せくださると幸いです。
あず様のBBSで公開されています。
投稿: キッド | 2007年4月 4日 (水) 01時45分
キッドさん、こんばんは!
すっご~く面白かったデス。
ちーずさんが誘拐。
すわ~とアンナちゃんの卓袱台攻撃。
美里さんのナイスバディが目に眩しいわ~~
まこさんったらアンナちゃんをキャッチ・・すご~い!
相変わらず意味が飲み込めてないあたくし。
すっかりそのままのキャラでございます(汗
みょうがの芯ちゃんといいコンビですねえ。。
こんな楽しいのって久しぶり。
スーは今風邪にやられて熱まであるの。
じいや・・かりん酒造って~~
そうそう、さっきikasama先生の衣装を見てきました。
すてき~~かっこいい~~
嬉しくて飛び上がりました!
投稿: かりん | 2007年4月 5日 (木) 00時16分
✿❀✿❀✿かりん☆スー様、いらっしゃいませ✿❀✿❀✿
お風邪を召されましたかっ。
花冷えでございますからな。
急に寒くなるので
保温にご注意くだされ。
ただちに医師団をお呼びしまスー。
やはり、ハードスケジュールの映画撮影が・・・。
いえ、春ドラマ前に
ピーピー関係で
飛ばしすぎなのでございましょうかっ。
かりん酒お持ちいたしましたーっ。
さあ、ググッと。
新・衣装で
スクリーンを華麗に舞うその日まで
お気を確かに・・・。
次なる本厚木編ではあの方が登場しますからーっ。
投稿: キッド | 2007年4月 5日 (木) 23時57分