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2007年4月27日 (金)

・・・それで・・・いじめたのは誰なの・・・・・・・?(菅野美穂)

前の夫の連れ子・明日香(志田未来)の死の原因を探るために弁護士・珠子(菅野)は明日香の同級生・朋美(谷村美月)に尋問を開始する。・・・でつづくである。もちろん、裏でレクターが「醜いもの」を容赦なく食べてしまうのにくらべれば生ぬるい対応であるが、「正義」が「独善」である限り、どのような戦いも「孤独」に彩られ、そして最後は「滅び」に至るのであり、そういう役柄は菅野の魅力を引き出すと確信する。

そこそこ不幸で愛に飢える菅野よりも美しくない社会に牙を剥く菅野の方がキッドにとって魅力倍増である。

「疑わしきを罰せず」のバランスをとる社会を突き崩す破壊の女神が彼女の本質だから。「善悪をスイッチする人間」の「一瞬の悪」を許容しない暗黒神。果たして、悪の側に傾斜する淫靡な学園で彼女はものいわぬ明日香の復讐を完遂できるのかどうか。いよいよ、幕は開いたようだ。

で、『わたしたちの教科書・第三回』(フジテレビ070426PM10~)脚本・坂元裕二、演出・葉山浩樹を見た。義務教育の場を舞台にするので、日本国民の12歳から12歳を過ぎて戦後を過ごした70歳を過ぎた人々まで、なんらかの共通体験、共通認識がある。

逆にケースパイケースという言葉を使えば、このような「中学」は実在が疑わしいと考える人も多いのである。しかし、「いじめ」は社会的な生物である人間の宿命だし、「復讐」は意志を持つと信じるヒトにとっては避けては通れない道程なのだな。

つまり、「いじめ」は常にあるし、「いじめられて死ぬもの」も常にあるし、それを「許さないもの」がたまにいても全く問題はない。しかし、「いじめ」が人間の本質である以上、「いじめたもの」は敵としては強い。そうたやすく制裁を受容するはずはない。その敵を消滅させるべく、ヒトが全身全霊をあげて戦いを挑む。この物語が美しいものになるのかどうかはレクターであり、同時にクラリスである菅野が最終的に美しく融合されるかどうかにかかっていると思う。

弁護士は代理人である。この戦いを「大人と子供の戦争」と診療内科医(小市慢太郎)は分析するのだが、実は死者の代理人である珠子と生者との全面戦争こそが本質であるべきだ。法律が死者のためではなく、生者のためにあることは明白で、人を殺しても死刑にできないより精密な社会の制度がそれを明示している。当然、死者の代理人は反逆者であり、勝ち目のない戦いを強いられる。白熱するためには菅野が超人であればあるほどゲームとしては面白いのである。

敵①副校長(風吹ジュン)は明日香が「いじめによる自殺」をした可能性を示す「辱められた教科書」を隠匿する。敵②理科教師(伊藤淳史)は「いじめを放置した」罪の意識から副校長にポーズの抗議をするが、証拠隠滅には目をつぶり、生者である生徒の保護を免罪符としてたやすく態度を変える。彼は無自覚の悪として今後も描写されていくだろう。敵③社会科教師(真木よう子)は愛欲に溺れ前の学校を追放になった負け犬であり、副校長の飼い犬で、証拠隠滅に加担しつつ、それを担保にとった昔ながらのビッチであり、眞鍋かおりのようにアクネ菌を退治するともっと美人と言えるだろう。敵④英語教師(酒井若菜)は「私だってセクハラされている」といじめが社会の真理で人間の本質ある以上、そこに罪は問えないと仄めかす。敵⑤数学教師(水嶋ヒロ)は「自覚のない悪だって悪だ」と妙に良い声で距離を置く作戦。敵⑥体育教師(大倉孝二)は「いじめ」について理解する能力がない。敵⑦国語教師(佐藤二郎)は「じゃれあいでケガをしたり死んだりすることもあるがそれがどうだっていうの」と本質からひたすら目をそらす。職員室には当然だが味方はいない。

敵⑧恋人(谷原章介)は「いじめを立証するのは難しいし、法律は弱者だろうが強者だろうが生ある者のためにあるのであって、優秀な弁護士は学校側の弁護に立つのがビジネス」と主張するのでおそらく正面の敵になる。

敵⑨女生徒ポー(鈴木かすみ)は「小学生時代に同級生を殺した児童」のパクリであるから本質的に危険である。敵⑩男子生徒給食費滞納者の倅サノバビッチ(登野城佑真)は「快楽殺人者」の傾向を示していて、明日香の死が自殺でも事故でもない場合の容疑者となるだろう。敵⑪透明人間朋美は「ラフマニノフが弾けなくなった挫折者」であり「政治家の娘」であり「ともだちではなくいじめられ仲間と主張する者」であり、「もっとも親しい生存者」であることから主犯、もしくは実行犯である可能性は最も高い。

復讐の女神の狩りは始まったばかり、大猟となりますように。

来週は敵⑫明日香の実父(河原雅彦)が登場。「下北サンデーズ」の脚本家であるだけに視聴率がヒトケタになる怖れもあるが、がんばれ、女神様。

関連するキッドのブログ『第二話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

数字がヒトケタ?ウソでしょって思うくらい面白いのですが、重いテーマだけに見たくない人が多いのかも。
いじめの手口を公開してるようなものですしね。

私もねけっこう真剣に見てますよ。
菅野が朋美を抱きしめたあたりではもらい泣きしてましたわ。死者の代理である菅野が法律の代弁者でもある限り、その突破口は開かれると思います。
そのための手口を考えるとちょっと楽しいし。
タイトルの「わたしたちの教科書」だけど、なくなった明日香の教科書とどう掛けるのか、解釈を教えてくださ~い♪

投稿: かりん | 2007年4月27日 (金) 19時29分

今回はまさしく
「十面埋伏」という言葉が見事に当てはまりますね。

こうしてみると全てが敵にしか見えないですね。

このドラマの登場人物は殆どが
一度闇に身を沈めているようですね。

そうでない人物がいるとすれば
加地くらいのもんですかね(苦笑)
ただ彼ならば確実に
人格が崩壊してるところでしょうけど。

どちらにしても
この状況に対して如何にして
自分の価値観を保ち続ける事ができるのか
どこまで現実を直視できるのか
それが勝敗の行方を左右しそうですね。

投稿: ikasama4 | 2007年4月27日 (金) 22時15分

✿❀✿❀✿かりん☆スー様、いらっしゃいませ✿❀✿❀✿

例によって木曜日は
TBSVSフジで視聴率をとりあっているのですが
前回、コメディ対決だったのが
今回はとんでもドラマ対決かと
じいやには思えます。

「孤独」は時代錯誤だし
「教科書」は教育問題を装いつつ実は
サスペンスの色が濃いです。

まだ菅野は一度も泣いていない。

あれだけ冷たくつきはなしていた明日香を
タイヤキで受け入れたのかどうか
じいやはまだ疑っているのです。

まあ、たやすく心を見せない菅野を
期待しすぎているのかもしれませんが
とにかく「あなたの隣に誰かいる」
の作者なので
このテーマでやるなら
このあたりにしとくと
いいなぁと思っています。

やりすぎますからね。

投稿: キッド | 2007年4月29日 (日) 02時32分

✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥

まさに十面埋伏なんですけど
諸葛孔明が誰なのか?なんですよ。

こうなるとだれが犯人でも
きっと物足りなくなるので
結局、菅野がおいつめられていくという
結末になるような気がします。

まあ、月曜日まで
キッドはちょっと頭悪くなっているので
単なる直感なんですけど。

今は「ゲッターロボ」だとか、
「水の星へ愛をこめて」とかで
頭が一杯なんですよ。

それにしても菅野は
本当に明日香のための戦いを
始めているのでしょうか。
疑いすぎですかね?

投稿: キッド | 2007年4月29日 (日) 02時45分

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