街には夜でも光があふれていて歩いていると足元が輝いているように美しい。それが日本です。
アフガニスタン・回教共和国から来た少女は1年間を日本に留学し、16才から17才になった。帰国した少女は故郷の子供たちに日本のことを話した。50人の少女が暮らす施設にあるたった一つの蛍光灯の下で。
もちろん、少女が見た日本がすべてではないし、アフガンの少女が皆、彼女のようであるわけではない。
しかし、1979年のソ連によるアフガン侵攻からアフガニスタン戦争(2001)まで、そして現在もまた内戦の続く国家の少女と平和を60年以上謳歌した日本の現実との落差を示す小さいがいいレポートだったと思う。
で、『NNNドキュメント'07・夢のかけ橋アフガン少女と日本のお母さん』(日本テレビ070423AM0050~)ナレーター・村田博美、ディレクター・金沢佳美を見た。制作は中京テレビ。2006年4月、愛知県安城学園高校に留学したアフガニスタンのマリヤム・シャラボディン。彼女は日本の支援によってなりたつアフガンの施設・自立教育センター・ウミードから将来を期待されて海を越えてきた。戦禍は彼女から父親を奪っていた。日本で彼女がホームステイしたのは一人暮らしの汐満房江(65)という未亡人の家。彼女は二人の息子と夫を事故や病気で失っていた。家族を失った者同志の同居生活が始まる。
「アフガンと日本の若者の架け橋になりたいです」およそ25年続いた侵略戦争と内戦と報復戦争。彼女が生れた時からアフガンの戦争は続いている。彼女は難民だった。しかし、学習能力は高い。春に来日し、みるみる上達する日本語。得意科目は数学。笑顔があどけない。しかし、胸のうちには大いなる悲しみが宿っていた。日本のクラスメートと話していた彼女は「父親」の話題になって涙がとまらなくなってしまう。
スカーフを巻いたマリヤムはタコは苦手だが、おにぎりは好きになった。彼女は学習することに貪欲だった。「夜はヨルでヨですか」 そんな彼女にクラスメートたちは驚く。「アフガニスタンと日本はとても違います」タリバン時代の女性差別についてベールの衣装で説明するマリヤム。「数学なんてくそくらえって思ってるし、でも勉強ができるのってかっこいい」「日本がどのくらい恵まれているかわかったー」という日本の少女たち。マリヤムの話す日本語の方が美しいと思ったのはキッドだけではないと思う。
夏。短冊に七夕の願い事を書く少女たち。「女優になれますように」「運命の人に逢えますように」そしてマリヤムの願いは「祖国に平和がもどるように祖国の役に立つ人になれますように」そういう願いを持てる人は幸せなのかもしれない。
日本のお母さんとなった汐満の目にはマリヤムのけなげさが好ましく映る。日本の料理を教え、一緒に弁当を作り、夜は日本語の家庭教師。「マリヤムを見ていると自分も負けてはいられない」と思うようになった。汐満は自動車の運転免許を取る決意をする。やや唐突な感じのするエピソードだが、マリヤムが学科試験に落ちた汐満を慰め、励ます姿がまたいたいけないのである。
秋、マリヤムは日本の中学校で講演を依頼される。日本語の上達ぶりは凄まじい。ちなみにディレクターのインタビューを受ける時は英語である。彼女は「アフガンで安価な電気が使えるようになればいい・・・」と英語で語る。中学の講演では日本語で堂々と話す。
「アフガンにも平和という言葉はあります。しかし、アフガンの子供たちは平和の意味を知りません。ある日、タリバーンが来て、父親を連れて行きました。助けてくださいと頼みましたが、父親は目の前で首を切り落とされました。もう傷つけあうのも殺しあうのもたくさんです」・・・それがマリヤム自身の体験とは明示されないのだが、涙をこらえて話す彼女のなかにそれに匹敵する悲しみがあることは感じられる。彼女の話に放心する日本の中学生たち。
一年はあっと言う間だった。30分番組なので。汐満は共に暮らすうちに「マリヤムの祖国を見てみたい」と思うようになった。
「ダシャワール(ありがとう)」とマリヤムを送り出す日本のクラスメートたち。涙ぐむマリヤムを抱きしめるのが誰だったのかは映されない。
そして帰国する彼女に汐満が同行する。首都カブールは復興に向けた賑やかさがあったが戦禍の跡は隠せない。いたるところが廃墟である。マリヤンの暮らす施設へ向かう二人。彼女はそこで指導的立場になることを期待され、留学したのである。つまりすこぶる優秀でひたむきだったのだ。同胞に囲まれ、本当の自分を取り戻すかのようなマリヤム。その姿は自信にあふれる。汐満は何故かそれを誇らしく思う。
頼れるお姉さんとして施設の子供たちに日本のことを語るマリヤム。「日本の学校では誰もが自由に音楽やスポーツを学び、男や女に関わりなく一生懸命に働き、そしてみんな仲がいい・・・」そんな理想的な国家は世界のどこにもないだろうが、マリヤムの祖国がずっと理想から遠いのは確かなことなのだろう。
汐満は一人、日本へ帰る。その心は寂しさでいっぱいだ。涙ぐむ彼女にマリヤムが言う。「また逢えるから、それまでかんばろう」汐満はようやく言う。「うん、お互いにがんばろう」汐満には海を越えた国に住む自慢の娘ができたのだった。
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案の定『冗談じゃない!』(TBSテレビ)は残念なドラマになりつつある。『ワシントン・レポート』は3月のインタビューだがボルトン元国連大使。「北朝鮮との取り決めで唯一良かったことはあまりにも不完全なので合意が必ず崩壊することだ」と予言。是非はともかく、世界で二番目に豊かな国と世界で一番貧乏な国が海を隔てて対峙していることを日本人はけして忘れてはいけないと思うのである。
火曜日に見る予定のテレビ『セクシーボイスアンドロボ』(日本テレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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