« あきらめるって私の一番きらいな言葉。(内山理名) | トップページ | 街には夜でも光があふれていて歩いていると足元が輝いているように美しい。それが日本です。 »

2007年4月22日 (日)

プロポーズだからフィアンセでチェックインなんですーっ。(加藤あい)

「ちょっと考えさせてくれ」(仙崎大輔・伊藤英明)と「花より男子2」なみにふりだしに戻るダイスケ・カンナ(加藤)、これを海洋スペクタクルと考えるとがっかりなのだが、ウジウジ男とメソメソ女のラブコメと考えると壮絶なスケールで笑えるのである。

「フィアンセですから」も「欧米かっ」、「プロポーズですから」も「欧米かっ」、「チェックイン」も「欧米かっ」、「全米が笑った」も「欧米の半分かっ」とツッコミを入れておけばもっと分かりやすいのにな。

とにかく、要救助者をほっといてプライベートな電話をし続ける二人のシーンは「救助は時間との戦いだっ」というセリフを思い出せばもう笑うしかないし、笑うのが正しい姿勢で、日本の劇場で笑いが少ないのは慎み深い国民性のなせるワザなのである。笑っていいのです。だって笑うところなんだから。

で、『土曜プレミアム・LIMIT OF LOVE 海猿(2005年公開)』(フジテレビ070421PM9~)原作・佐藤秀峰、原案・小森陽一、脚本・佐藤靖、監督・羽住英一郎を見た。日本には武士の情けという非情に微妙なエモーションがあるのだが、絶望的状況では「家族」とか「夫婦」とか「親子」とか「許婚者」には特別な配慮がなされるのである。それは地球滅亡とか日本沈没とか警官隊突入とか相当な非常事態でも尊重される。そういうことに文句を言ってはいけないのです。まして、これはラブコメですからーっ。

海上保安庁機動救難隊のダイスケは墜落旅客機での救難活動で要救護者の二者択一をせまられ、「二人救いたかったのに一人しか救えなかった」とちょっとメローな気分に。東京から鹿児島まで「花嫁衣裳」を見せにきたカンナに冷たくあたってしまうのだった。「カンナのハダカで気分転換したかったのに花嫁衣裳なんて重くね?」気分だったのである。

例によって「なんなのよっ。この海猿」とプンプンのカンナ。恋愛の神様はさっそく、カンナの乗船した大型フェリーに砂利運搬船を衝突させ、ダイスケにオシオキをするのです。

さて加藤あいといえばハケンの品格なのだが、主演は篠原涼子である。篠原涼子と伊藤英明は「ぼくの魔法使い」の夫婦役で有名なのだが、いわゆる「ルミタンとミッタン」なのである。先輩・篠原の真似はできないと甘えんぼ控え目な加藤あいなのだが、ここは「カンナタンとダイスケタン」ぐらいの呼び合いの方が分かりやすかったよなぁ。「え~ん、こわかったよう、ダイスケタ~ン」「カンナタン、今、仕事中だから、後でね」「えーっ、ひーどーいーっ」とすれ違う二人。「手荷物は持たないでくださーい」なので「花嫁衣裳」は船内に置き去り。これを回収するためにもう一回潜っても良かったのにな。

大型フェリーを一隻沈めるのだが、これが群像パニックではなく、ラブコメであるのは明白。なにしろ、ピンチになるのは妊婦(大塚寧々)とちょっと我儘(吹越満)の二人だけである。妊婦はくろーばー号の売店販売員なのだが、船内には船長をはじめクルーの姿がほとんど見当たらない。「最後に船を下りるのは船長」じゃないのである。あくまで、ダイスケとカンナのラブコメですからーっ。

そして仲をとりもつのはヨシオカ(佐藤隆太)、ヨシオカは救難隊員なのに「帰り道わかんなくなっちゃったーっ、てへっ」なのだった。おいおい、迷子かよっ。

そして刻一刻とせまる沈没の危機に。船内に取り残された四人が無駄口たたくこと。たたくこと。「女房が出ていってな」とか「年齢サバ読んでました」とか「少し休ませて」とか「じゃ休みましょう」「先に行っといて」「空気、無駄にすんな」「ちょー、こえぇ」「信じろ」「名前はダイスケにするーっ」とか、・・・おいおい、無駄口なしなら連絡できただろう。とか、おいおい、昇りきれただろう。とか、その一言が死を招くの連続・・・その結果、ヨシオカの気持ちも考えず。

「カンナタンに変わってください」「ダイスケタン」「必ず帰るからね」「うん、待ってる」「帰ったら二人でいろんなことしようね」「ま、ダイスケタンたら」「だってフィアンセだからいいじゃん」「もう、みんなに聞こえるよーっ」なのだった。その頃、ヨシオカは「ハアハア・・・ダイスケさんはきっと・・・ハアハア・・・必死で全力で・・・ハアハア・・・バディだから・・・ハアハア・・・酸素もう、残り少ねーっ」

まあ、スリリングなシーンの見せ方はいろいろあるのだが、大ピンチに場面転換して待つ側を見せるのもテクニックのうち、けしてピンチのシーンを描く、スケジュールの余裕がないとか、描き方が難しいとか、これは状況的に助からないけどりあえず助かったって編集でよろしく的なスタッフの実力不足のアレではありません。もう、日本文化のワビサビですからっ。スカシではないのです。

でも「潜って脱出ー」とか「転落したけど無事ーっ」とかそういうシーンも見たかったなーっなんていう素直な欲望は日本の観客や視聴者には許されないのですっ。

かなり早い段階で10度傾斜した船。しかし、船内はあらかじめ傾斜構造になっているのか、まったく傾斜した様子がない。あの今まで床だと思っていたところが壁に・・・という展開がありません、沈没直前、海水が入ってくるほど傾斜した煙突もまっすぐーっ、まっすぐーに立っています。まさに根性で直立です。気合の入った煙突なのですーっ。

とりあえず、カンナはあらゆる施設にフリーパス。特権的縫子さん。命の電話も即座に司令センターへ。その対応力はバツグンです。そして潜水士あがりの救難専門官(時任三郎)は何故か現場からの要請があるまで指示を出さないのである。「だってそんなことしたら、ダイスケとカンナがドキドキできないじゃん。オレなんか、一人で空見るだけなんだから」

ああ、面白かった。スタッフの皆さん、「海猿3」もよろしくねっ。

関連するキッドのブログ『ハケンの品格』『世にも奇妙な物語

で、『ライアーゲーム・第二回』も見た。金庫の金奪取は「偽手紙トリック」でした。ま、文書偽造の罪に問われますけどね。ま、「すべての時計を一時間すすめていた」とか、「家ごと移転」とか、まあ、「トリック」のような展開はなしなのです。もちろん、突然、手下登場で、あの手下は大金を目の前にして裏切らないのかどうか・・・ツッコミはやめておきますが、コンゲームはそういう点も面白いところなんですけどね。しかも、バカサギコンビは一億円を全部、先生に・・・。恵まれない人は他にも一杯・・・とか考えてもいけません。バカには目の前のかわいそうな人しか見えない。これは結構鉄則ですからーっ。そしてさらに楽しい「少数決」ゲームへ。まあ、人の見ていないところに儲けるチャンスがあるってことの基本でもあります。さてさて、バカサギは勝ち残れるか。今度はチームではなくてバカVSサギになるんですかーっ。「かわいそうだから返してあげた」戸田恵梨香ピンチーっ。渡辺いっけい前歯金歯で終わりかーっ。

関連するキッドのブログ『第一話』のレビュー

月曜日に見る予定のテレビ『プロポーズ大作戦』(フジテレビ)

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

|

« あきらめるって私の一番きらいな言葉。(内山理名) | トップページ | 街には夜でも光があふれていて歩いていると足元が輝いているように美しい。それが日本です。 »

コメント

当事者の「婚約者」のフリーパスは絶対のようですね(笑)
ミッタンルミタンはかなり楽しめました。

ライアーゲームは
ああいう展開でくるとはなかなかですね。
ただ、賞金の1億円は全部あの先生に支払った訳で
秋山がかかった経費についてはどうなったんだろう?
(1ヶ月の部屋代&偽の手紙の作成&人を雇う)

まぁここでも伝家の宝刀が炸裂です(笑)

それから
イラストに色がつきました。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~dessin-ikasama/ikasama/h_c/staff/gll/dimg/g0062.gif
http://www7a.biglobe.ne.jp/~dessin-ikasama/ikasama/h_c/staff/gll/dimg/g0072.gif

とりあえずこんな感じですかね(; ̄∀ ̄)ゞ

投稿: ikasama4 | 2007年4月22日 (日) 14時20分

✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥

低視聴率番組のおっかけネタは
虚しい自己満足が多いのですが
受けてくれた方がいらっしゃると
マジでうれし~でございます。

ライアーゲームはもう
変なゲームの発想の妙を楽しめばいいと思うのです。

それにしても戸田はどんな役でも
淡々とこなすなーっ
でございます。
これだけ浮世離れした
おバカちゃんを演じることのできる
美少女って貴重だな~。

まあ、第三者を使ったオチっていうのが
もう反則ですからね。
サギが変装していたって方が
キッドとしては許せるのですが・・・。

ま、これは本来が奇想天外なので
ドラマだからっは使ってもいいかな。

真面目なドラマでやられると
ショックが大きいのですよね。

イラスト、ご苦労様です。

mari様、再登場はまだ先ですが
ろーじー様は早ければ次回登場させたいと
考えますーっ。

場所は東京タワーあたりかと。
ロージオングVSイカサマザクの
対決なんてのもしたいのですが
どうなるか・・・(; ̄∀ ̄)ゞ

投稿: キッド | 2007年4月23日 (月) 19時59分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: プロポーズだからフィアンセでチェックインなんですーっ。(加藤あい):

» 「LIMIT OF LOVE 海猿」 [テレビお気楽日記]
伊藤英明はかっこ良かったけど・・・ [続きを読む]

受信: 2007年4月22日 (日) 11時40分

» 中村MVPとLOVE海猿 [別館ヒガシ日記]
7時前に起床してケーブルGAORAでビデオしたOz興行の前半を見て 8時過ぎに背中の消毒ために出掛けて9時前にに帰宅して ビデオしたOz興行の後半とLIMIT OF LOVE 海猿を見たりしながら でセルティック連覇して中村俊輔MVPの事を本館ブログに更新や ブログ... [続きを読む]

受信: 2007年4月23日 (月) 20時31分

» LIMIT OF LOVE 海猿/伊藤英明、加藤あい、佐藤隆太 [カノンな日々]
前作も観ました。ハマったわけじゃないけどなんだかんだと続編のTVドラマ版も完視聴してたので、なんだか当然の義務のように劇場へ足を運んでしまいました。まぁ映画としてはさほど期待せず娯楽作品として楽しめたらいいなぁなんて気軽に思ってたら・・・何なんでしょう、一....... [続きを読む]

受信: 2007年4月24日 (火) 10時34分

» 「LIMIT OF LOVE 海猿」 [てんびんthe LIFE]
「LIMIT OF LOVE 海猿」ニッショーホールで鑑賞。 伊藤君が苦手なのですが評判がいいようなのでみてしまいました。恋愛ものというよりヒューマンドラマというよりパニックムービーとしてなかなかので出来栄えでした。とはいえ、ツッコミどころがたくさんあって、加藤あいがどうも相当マヌケな女の子で必要な役柄以上に作品を邪魔していました。これは彼女を汚く見せてはいけないとか監督の思惑とか色々あっての事だと思いますが、どのシーンも突っ立ているだけでもう少しまともでも良かったのでは?いきなりネタバレです... [続きを読む]

受信: 2007年4月24日 (火) 17時38分

» シネマ日記 LIMIT OF LOVE 海猿 [skywave blog シネマな独り言]
前作の出来からみて、ぜんぜん期待していなかったのですが、これがどうして、手に汗握り、涙ウルウル、大満足の作品でした。 ハリウッド映画の典型的ともいえる、ちょっと大げさ [続きを読む]

受信: 2007年4月24日 (火) 23時21分

« あきらめるって私の一番きらいな言葉。(内山理名) | トップページ | 街には夜でも光があふれていて歩いていると足元が輝いているように美しい。それが日本です。 »