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2007年5月11日 (金)

5月10日は公式に私の誕生日なんですけど世界は変わりそうですか?(志田未来)

忘れられた少女。明日香(志田=小野花梨)・・・。その誕生日を知っていた敵①の副校長(風吹ジュン)・・・好きな花は白いスミレ。敵②理科教師(伊藤淳史)は「明日香の笑顔」が見たいという気持ちよりも自己憐憫に負け、その病的な心の弱さを露呈する。敵⑪透明人間朋美(谷村美月)は「いじめたものを殺せないなら証言はできない」と逃走。再び、明日香の継母・弁護士・珠子(菅野美穂)は孤立無援となった。膠着状態である。

死者たちは忘れ去られていく。生前から親に忘れられた明日香・・・それはある意味、不可抗力だったのだが、その惨めさはすでに忘れ去られかけていることだろう。

他人の言葉にたやすく支配される理科教師は移ろいやすい生ある者の象徴である。いつだって人は「嫌なことを忘れて生きていく」動物なのだから。それでいいじゃないかという考え方もあるよなぁ。

で、『わたしたちの教科書・第五話』(フジテレビ070510PM10~)脚本・坂元裕二、音楽・岩代太郎、演出・河毛俊作を見た。異端者排除のための圧力を理科教師・加地にかける教員一同。「これはいじめじゃないですか」と副校長に問いかける加地。「なぜ、いじめの調査をしないのです?」「生徒が死んで悲しくないのですか?」加地は質問を続ける。教師でありながら、答えを自らは見つけようとしない男。その弱さがむき出しになる。そして、副校長は沈黙で答える。代弁者・社会科教師・大城(真木よう子)は饒舌だ。しかし、それはまた質問なのである。「立場を考えないのですか?」「どうしてそんなことを言うのですか?」「なぜ、お止めにならないのですか?」まさに断言をさける社会がそこにある。

教師は言葉が商売道具だからな。いじめの記者会見などで指導的立場にあるものがいかにも頭が悪そうにしゃべるのだが、それは保身でがんじがらめになった場合、道具としての言葉をよく知っているがゆえに言葉を失っていくのである。

それはまた弁護士も同様である。「今は情報を共有するのは得策ではない」と求婚者(谷原章介)が言えば「許可なく証拠保全をしたことは謝罪する」と珠子。しかし、求婚者は「謝る必要はない。君はいつもそうだから」と告げる。一筋縄ではいかない人々の会話である。敵か味方か、どころか、どんな意味があるのかも不明になりかねないコミュニケーションである。

おそらく、高度情報社会において言語能力の退行は必然なのである。

次々に提示される謎は答えを見出されないまま、さらに謎を生んでいく。もはや、すっきりした回答などありえないのだと思うほどだ。

羅列してみよう。明日香は本当に死んだのか。死んだとすれぱ、それは事故なのか、他殺なのか、自殺なのか。他殺だとすれば犯人は誰か? 動機は? 自殺だとすれば原因は何か? いじめなのか? 衝動的なものなのか? 失恋の可能性だってある。明日香の死を巡る事実は何一つ解明されていない。まさに誰が殺したクックロビンは藪の中状態なのである。・・・どんな状態?

副校長は事件を隠蔽しているのか。だとすればなぜ証拠物件を保管しているのか。副校長の息子はどんな事件を起して服役もしくは収監されているのか。そんな事件を起した親がなぜ教育の現場で指導的立場にあるのか。副校長はすべてを読んでいるのか。それとも偶然の連鎖が幸運な結果をもたらしたのか?

証拠物件である「わたしたちの教科書」には「好きな花は白いスミレですと書かれていたのか」「本当に明日香は白いスミレが好きだったのか」「副校長は本当に墓参りに行ったのか」「副校長は明日香の実の家族とどんな会話をしたのか。謝罪の言葉はあったのか・・・」「白いスミレは花屋で買ったのか・・・・・・・・・・」

タイヤキに続いてバースデーケーキを購入した加地。ロマンチックなことが大好きな加地は怪しい宗教を信仰したりしていないのか。その宗教では死後の世界で自殺者が笑ったりするのか。なぜ「同志」なのか。「やめません」なのか、「教師にはむいてません」なのか、加地は広い意味で「正気」なのか。差し出したライターを受け取り、火をつけられるほど風はなかったのか。

ふつうにストーカーの兼良(冨浦陸)は声変わりが遅いのか、ハスキーボイスなのか。なぜ、主将候補なのに竹刀を右に置くのか。女(高瀬リエ)の写真を撮っているわけではないと言いながら撮っているのは何故か。撮ったときになぜうれしそうなのか。父親が援助交際していることといじめ疑惑には何か関係があるのか。「すべては映っているのに興味がないから見えない」というのは意味あることなのか、でまかせか。誰が、いじめ疑惑を示唆したのか。「わたしたちの教科書」を持っている加地の前に現れたのは故意か、偶然か。すると女と父親もグルなのか。大人が不潔なのは「父親が自分を抱かないで他の女を抱いているからなのか」・・・その可能性は低いと思うぞ。涙はウソなのか、心の汗なのか。

「アラブの人がサンキューしか言葉を知らず、アメリカに行きました。アメリカで強盗に刺され、助けを求めました。お腹から血を流しながらサンキュー、サンキューと言いました」という話の意味は何ですか。「明日香をいじめた人は死刑になりますか」という質問の意味は何ですか。朋美と明日香は本当に仲間だったのですか。二人が「14才の母の裏表」だったこととは関係がないのですか。・・・それはもういいだろう。

生徒にも教師にも透明人間化された加地に「私たちの教科書」を渡した空とぶ象は誰ですか。彼を保健室に運んだのは。ポー(鈴木かすみ)は普通ですか。そして、B.G.M.に和解調の音楽まで流して視聴者まで騙しつつ副校長をグレイに見せかける演出意図は何ですか。加地を洗脳する手法から考えて副校長が残留孤児を偽装した中国の工作員である可能性は何パーセント?

珠子はうかつにも加地を信用しかかったのですか、それとも想定の範囲内だったのですか。珠子は朋美に踊らされているのですか。それともまだ珠子は仮面をかぶっているのでしょうか・・・。その指摘は好意ですか。悪意ですか。それはヒミツです。

「いじめはありません」・・・加地、それで明日香の未来は笑ったのかいっ。と月並みにツッコミをしてもいいですか?

関連するキッドのブログ『第四話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『めぞん一刻』(テレビ朝日)高橋由美子の朱美さんが見たいからぁ。『ライアーーゲーム』(フジテレビ)も見るけどね。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

まこ☆ミキ様のわたしたちの教科書

かりん☆スー様のわたしたちの教科書

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コメント

多分、兼良はあの少女の事が好きだったけど
父親が援助交際していてその相手が自分が好きだった
あの子って事でニクさ100倍なんでしょうかねぇ。

突如降って沸いたように出てきた学校の裏切り者。

こうして、学校に隠されてた秘密を賭けて
副校長と珠子が火花を散らす戦いが繰り広げられるようです。

唯一とも言える手駒を失った珠子にはイタイですが
裏切り者が新たなる手駒になるのかもしれないですねぇ。


大人の世界と子供の世界にある壁とは。

純粋って何なのか。
汚れてるって何なのか。

このドラマが言いたい事って何なのか。
制作者の意図がわかるまでにはパズルのピースは
まだまだ足りません。

投稿: ikasama4 | 2007年5月11日 (金) 23時23分

✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥

裏切り者は誰でしょうかね。
無難なところでは大城でしょうか。
副校長の二重人格までは
想定内なのですが・・・。
子供の事件で分裂した
黒副と白副(空飛ぶ象)。
副校長は自ら加地に証拠をあずけ
そして受けとる。

自分では処理したつもりでも
白副が回収してしまうという
副校長の恐怖。
爪をかむと人格スイッチです。
・・・妄想が過ぎました。

淡々とエビソードを積み重ねても
なかなか視聴率に返ってこないので
そろそろあせっているかもしれません。

今回のドラマの中では
実は一番、見応えあるのですが
ちょっとフリすぎですかね。

どうもすでに
何ピースか
紛失してしまった
ジグソーバズルを
やっているようです。
確信犯なら良いのですが・・・。

投稿: キッド | 2007年5月13日 (日) 01時02分

今頃のコメントですみません。
教科書は再び雨木のもとに渡ってしまいましたね。
あまりにも狡猾で強いので、この技を私もほしいくらいです。もちろんできないんですけど・・
アラブのサンキューは「自爆テロ」だと言う人もいてびっくりでした。スーの脳みそでは全然理解できませぬ。
謎がたくさんありすぎてあの晋也という少年(青年?)の登場も謎でしたし。。さっぱりですわ。
だからなのか絶対に目が離せなくなってきています。
それも計算のうちだとしたら制作の勝利かもね。

投稿: かりん | 2007年5月14日 (月) 12時12分

✿❀✿❀✿かりん☆スー様、いらっしゃいませ✿❀✿❀✿

前回は菅野にスポットがあてられ
今回はどちらかというと伊藤くん。

そのあたりもこのドラマ見難い要素になっています。

たとえば明日香を思い出すとき
菅野は小野花梨の幼女時代を
伊藤は志田未来の少女時代を
思い出すのですが
これも丁寧といえば丁寧
解釈が難しいといえば難しい。

風吹ジュンも狡猾で充分なのに
さらに影を作り
もう少し複雑にする気配。

そうやって次から次へと
設定を追加していくという手法なので
最後はもう混迷のままに
終ってしまう可能性があります。

それはそれでキッドは
面白いと思うのですが
エンターティメントとしては
失敗してしまうかもしれませんね。

かりんお嬢様が
その手にのせられたなら
最後がっかりしないように
スタッフにはがんばってもらいたいと
じいやは願うばかりでございますよ。

投稿: キッド | 2007年5月15日 (火) 11時31分

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