とりかえしの・・・とりかえしのつかないことをしてしまった・・・(菅野美穂)
そりゃ、アムロだろーっ。「ガンダム」とか「アニメ」に興味のない皆さん申し訳アリマセン。
キッドの耳には珠子(菅野)の心の叫びがそう、聞こえ、これまで、疑ってきた菅野のポジションをここで固定しようと思ったものですから。
これ以上の設定の逆転は「やりすぎ」と認定します。
ここで最初のアムロのセリフについて解説しておきます。アムロは巨大人型兵器ガンダムのパイロットなのですが、運命の人と宿命の対決をします。つまり、渡世の義理で愛するもの同士が戦うことになるわけです。決着のついた後に生き残ったアムロのセリフが「とりかえしのつかないことをしてしまった」というものになります。それはもう歴史に残ってほしい名セリフです。
今回、やや、唐突であるものの主人公・珠子の「失われた過去」が明らかになります。今さらですがネタバレなのでご注意ください。さらに、何もガンダムをたとえに出さなくても思われる方も多いでしょうが、諸事情により、キッドの灰色の脳細胞は99.99999%アニメになっているのでご容赦ください。
前の夫の連れ子の中学生・明日香(志田未来)が学校で転落死してしまい、「真実の解明」に乗り出した珠子は前の妻の子供を残し、出奔した元・夫を探し出します。そして夫が「私の頭の中の消しゴム」状態であることを知るのである。明日香の明日を消すために計画された不幸の連鎖。「なんでいってくれなかったの、なんで明日香を頼むと言ってくれなかったの、なんで・・・なんで・・・なんで・・・」そして、すべてはとりかえしのつかないことになったのである。志田未来ファンがなんで一回目で死んじゃうのーっ。誰が殺したクックロビンなのーっ。なのであった。
で、『わたしたちの教科書・第四話』(フジテレビ070503PM10~)脚本・坂元裕二、演出・葉山浩樹を見た。こわれた男をかばう男の演技には定評のある山本學(「沙粧妙子-最後の事件-」だけだろ)が、若年性認知症で「こわれた」、明日香の実父にして珠子の元夫・河原雅彦(下北サンデーズの脚本家・低視聴率のショックで壊れたのか)が登場して、もはや、逃げ道のなくなった弁護士・珠子。大人として明日香の死をつぐなわなければならない立場に追い詰められたのである。なぜなら、P大作戦と違い、過去はやり直せないし、失われた命は取り戻せない。もはや、珠子も罪人の一人になったのである。
そして、その前途には仲間由紀恵の使えない夫から一転、クールな弁護士・谷原章介が立ちふさがる展開。信長に殺される前に愛人いじめを展開するらしい。一部、大河ドラマが混入していますが、ご容赦ください。
ジェットコースターのようなドラマというものがあったが、このドラマはフリーホールのようなドラマと言えるだろう。毎回、淡々と上昇していき、最後で一気に落下するアトラクションである。ここまで毎回、そうなのでもう狙いだと思う。
視聴率的に苦戦するのはその性質によるものだろう。だって落ちると分かって昇るという仕組みが浸透してないとね。
ふたりの主役、愛に裏切られた(と今回まで誤解していた)珠子と臨時教師・加地(伊藤淳史)がついに孤立する今回。結果としての殺人者たちは異端者たちを排除する牙を剥き出しにする。
「誤解したとはいえ母と慕う少女を見放した弁護士」と「力が及ばなかったとはいえ教え子の少女を救えなかった教師」が「私達にも罪があったのでは?」と言い出した瞬間、当然の如くむき出される社会の牙。社会は「なぜ、死んだ?」という問いかけに「甘ちゃんだからさ」と答える模様なのである。
生あるもののこの残酷な答えにたじろぐ二人。ああ、そうですよ、復讐なんて、虚しいのですよ。でもね、私はやりますよ、そうでないと、明日香があまりにもかわいそうで涙が止まらないからです。
汚れちまった悲しみに今日も桜吹雪が舞うのである。
弁護士事務所、職員室、教室が三つ巴のバトルを展開する模様のこのドラマ。失われた教室の命。守るべきなのに守れなかった教師。守るべきなのに見捨てた弁護士。このとりかえしのつかなさを見過ごした学校や法に戦いを挑む二人の滅びは必至なのである。なぜなら、世界は生者のためにあり、死者の声は常に響かないものなのだから。
果たして、復讐の炎は聖なる業火となって世界を焼き尽くすことができるのか。キッドは今にもコロニーが落下してくるような予感に震えるのだった。
関連するキッドのブログ『第三話のレビュー』
土曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム』(フジテレビ)『土曜プレミアム』プラスワン作戦は今回もそこそこか・・・?
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
| 固定リンク
コメント
中原中也が今日も小雪がふりかかると泣いていましたが、季節はすでに桜吹雪?今日辺りは花粉症もかくやとくしゃみを引き起こす風の清清しい陽春。
季節はこれほどに明るいけれど、どこにも希望の陽が見えず
ましてや、人格が壊れていたとはただ重苦しい、まさに汚れ放題で悲しみばかりの展開でした。
孤立するのは加地と、珠子と。
しかし、きっと負けないでほしいと二人の性格に期待してしまうのです。脚本の坂元さんが結構好き。でもこの人、明るい終わり方のしない人でしたよね・・・
投稿: かりん | 2007年5月 4日 (金) 23時17分
なかなかキテますねぇ。
加地がアムロとするならば
副校長はさしづめシャアといったとこでしょうか。
でも、加地にはニュータイプの能力はないようですけど(笑)
今のところ、
ドラマの主軸は珠子と副校長との争いに向けられていますが
今後は生徒達が抱える「闇」にいつ焦点が当てられるのかが
このドラマの最たるトコロなんでしょうね。
個人的にはやたら
先生の理想像を求め、生徒との信頼ばかり強調する
加地の態度も実は歪んでいるような気もするのですが。
良薬も過ぎれば毒になりますから。
それにしても河原さんの事をそんなにイジると
奥さんに催眠をかけられて色んな事をされてしまいますよ(  ̄ノ∇ ̄)
投稿: ikasama4 | 2007年5月 5日 (土) 02時40分
✿❀✿❀✿かりん☆スー様、いらっしゃいませ✿❀✿❀✿
さすがはお嬢様、中原中也に反応していただき
じいや感激でございます。
気がつくと初夏の気配でございますね。
昨日までまだちょっと寒いかも
と思っていたのがウソのような
按配でございます。
明日香の死もきっと置き去りにされていくのですが
生あるものがそうはさせじと
がんばる姿はじいやには
とても胸を打つものがあるので
ございます。
演出上というか、脚本的にというか
ブラックユーモアの味わいを持つ
作者なのですが
明日香の死をそちら方向に誘導しないで
ほしいなと考えていたので
今回の真相は非常に素晴らしい展開だったと
思うのです。
これで珠子は自分の中の
言い訳を失い、
幼子を死においやったものの一人。
そしてそれを悔いるものの一人として
顔をそむけるものに戦いを挑むことが
できるのです。
父親の病状に無理があるという方もいるかと
思いますがキッドとしては見事な
答えだったなぁと思います。
すでに緑の葉の茂る桜の木。
そこに幻のように散る明日香の花びら。
キッドはいつまでも散り終らぬ桜が
見えるようなドラマであってほしいと思うのです。
そして最終回は梅雨時ですが・・・きっと
たいやきのぬくもりが・・・蘇るのではないかと。
投稿: キッド | 2007年5月 7日 (月) 03時47分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
ikasama4様、遅いコメントで申し訳ありません。
ようやく、ここまでおいついてきました。
今回は珠子の追い詰め方が見事でした。
まだ、半信半疑だった珠子が
自分も「完全に黒」になってしまった瞬間。
キッドは「おう」と思いましたよ。
このドラマからガンダム的世界の
影響を強く感じたのはアニソンのせいばかりでは
ないような気がします。
ひょっとするとガンダム、Z、ZZ、そして逆襲まで進むストーリー展開になるのでは。
アムロは加地であり、珠子であり、そして明日香
なのかもしれません。
ま、ネーミング的にはエヴァもそこはかとなく
かいまみえているんですけど・・・。
カジくぅ~んとか、アスカとか、葛城と赤木に対して大城と雨木とか・・・。
さて、キッドは
これからロケンローラーとして
全国ツアーそして全米ツアーに
出かけなければ
そして玉乗りしながら
火の輪をくぐりジミヘンになるのです。
ロッカーの花子さんがゲストに(@д@)
・・・・・・ハッ!
ここはドコ、私はダレ。
投稿: キッド | 2007年5月 7日 (月) 04時10分
今晩は、キッドさん。
結構このドラマは、菅野さんの目に重きを置いて見ています。夫がともさかさんの旦那さんだったことにビックリしてましたが・・・
さて、この場をお借りして。
このたび、H☆Cに申し込みをいたしました。
なにぶん不束者ですが、宜しくお願いいたします。
I appreciate in your usual cooperation. Best Regards,Chablis
投稿: シャブリ | 2007年5月10日 (木) 01時01分
▯▯black rabbit▯▯シャブリ様、いらっしゃいませ▯▯black rabbit▯▯
シャブリ様、H☆Cワールドへようこそ。
ま、基本的には妄想ですから
妄想をこよなく楽しみたい
妄想を何より愛してくださる方は
誰もが参加していただきたいと考えています。
ご意見、ご希望などありましたら
遠慮なくおっしゃってくださいね。
じいや経由でキッドの妄想が膨らみますので・・・。
菅野さんは明らかにコスプレモードですよね。
・・・っていうか、次のオンエア
もう終ってるのですが
0101のコメントってなかなかマジカルです。
いよいよ、世界を敵に一人戦うモードに。
サタンを呼び出したくなる日は近し・・・。
そりゃ、エコエコアザラクですが・・・。
投稿: キッド | 2007年5月11日 (金) 00時23分