結果オーライじゃ悪かとですか・・・。(松本潤)
店を見てみろよ。アベックばかりだぜ。いい服着てここに来たんだろう。従業員は着たきりスズメ。制服だからだけどな。閉店時間が決まってるんで残業はあまりないよ。仕込みとかに凝れば別だけどね。出張パーティーとかでさらに稼ごうとか渡る世間のようなお店じゃないしな。昔はあなたの知らない世界みたいなお店だったと思うね。選ばれた人しか来れないみたいな。ま、イタ飯なんて言葉がなかった頃、イタリア料理なんてナポリタンとミートソースとピザぐらいしか知らないのが普通だったしな。
今は普通の人ならイタ飯ぐらい食べるものな。そういう店の下働きが客としてその店に来るのが夢のまた夢の時代ではないもんな。そういうのってオレの目から見たらパレードさ。今の時代はパレードさ。みんな、きれいに見えるものね。お金がまわってまわってしょうがないんだろうな。だけど、こんな時代にだってひがんでるやつはいるんだろうな。高級車で店に乗り付けて、毎晩、イタ飯食べるマチルダさんなんか見たら、それだけでムカつくやつがさ。
そういうヤツってたまに無理して贅沢もできないほど底辺なんだろうな。フトコロ具合を気にするどころか、フトコロが何なのかも知らなかったりして。心から楽しむなんて生れてから一度もなかったりして。人を憎むことしか頭になくて貧乏なのに睡眠薬とかスタンガンを買ったりしてな。仕事のことなんかこれっぽっちも気にならないのだな。ま、そういう救いようのないヤツにくらべたら、バンビはまともだよな。仕事場で仕事仲間に気をつかう。仕事仲間に迷惑をかけるのは嫌なのさ。だって居心地悪いものな。馬鹿にされたくないから。だから一番、大切なことが分からない。自分よりお客様が大切だっていうことを。だってお金をくれるんだからさ。何かをあげなきゃならないのさ。せめて見せ掛けだけでもいいからさ。店はパレードさ。店はパレードさ。だけどバンビはサービスしないから北村一輝に初めて叱られた・・・。そしたら誰も誘いに来ない。
で、『バンビ~ノ・第六話』(日本テレビ・070523PM10~)原作・せきやてつじ、脚本・岡田惠和、演出・佐久間紀佳を見た。サービスする心を教えるのは難しい。なにしろ、人間はまずサービスを受けてしまうからな。抱っこされて、ミルクもらって、紙おむつ替えてもらって、あやしてもらって、高い高いしてもらって、おんぶしてもらって・・・なぜ、そんなにサービスしてもらえるかっていうと・・・まあ、愛があるからなんだろう。与那嶺(北村)が言う「愛」ってそういうことなんだが、与那嶺の妖しい瞳で見つめられたら違う種類の愛かもしれない・・・って思う人もいるかもしれません。
でも、それ以前に「お客」が喜んで帰ったんだからそれでいいじゃんって思う人が結構いる時代になったと思う。いい時代だ。だから・・・赤ちゃんをバイクのヘルメット・ケースに詰め込んだり、病院の植え込みに放置したり、山の中に埋めたりしても仕方ないのだろう。でも、それって愛のないことですからーっ。
しかし、いきなり奉仕の精神を教え込もうとしても無理なのです。自己満足でボランティアするなっていっても無理だしね。
基本は幼い頃から「サービス」させること。そこでサービスする快感を覚えさせること。これは親の責任なのですが、なかなかねえ。サービス精神を仕込むのは難しいことなのですねぇ。サーカスの子供なら「客に受ける」のはいいことだって体に叩き込むことができるんですけど。
サーカスの子供でない上に九州男児のバンビにとってサービスされるのが当たり前で他人にサービスするなんて想像したこともないことです。驚きなのです。
そこに立ちはだかる常連客・野上(戸田恵子)。先週、やる気のなかったバンビをチェンジして絶望の淵に追いやったのですが、今回は本格的にバンビの調教を開始します。なぜ、そんなサービスをするのかは謎ですが、まあ、客がお店を育てるのは基本ですからね。だって愛なんですから。
そのあたりは阿吽の呼吸らしい与那嶺と野上。バンビの成長を見守りながらアメとムチをふるってまいります。全編、調教モードです。またもバンビをチェンジした野上。しかし、与那嶺には「ちょっときつかったかしら」と店外で調教の打ち合わせ。与那嶺は「いえいえ、お客様がご意見してくださるのはありがたいこと。黙って捨てられるのが一番つらいですから」とパパとママの会話である。
今回、給仕技術の未熟さに躓くバンビ。自分の足にも躓く始末。つ、つかえねー。でも、しょうがないのです。赤ちゃん人間ですから。バブバブバンビです。アドバイザーあすか(香里奈)がいつものアドバイス。「特訓だよ。稽古だよ。反復練習なのだよー」・・・バンビ、そろそろ、それくらい自分で思いつけ。
特訓の甲斐あってお皿ガチャガチャは卒業したかに見えたバンビ。そこでマチルダ野上は第二段階へ。「少年、さあ、火の輪をくぐってごらん」ではなくて「料理について能書きたれてみなさい」です。
バンビは言葉につまってしまうのですが、コックモードになり「この料理はものすごーく、美味しいです。レシピは・・・(中略)・・・なのです」と長々と作り方を紹介。「長いよ」と怒り出すかと思った客は「美味しそう」と食欲を誘われた模様。バンビは初めて野上に名前を尋ねてもらい、「自分」が認められたと大はしゃぎ。
しかし、みるみる険しいモードに入る与那嶺。ここだ。ここが勝負どころなのだとサービスのプロとしてバンビの勘違いを見逃しません。幸運は長続きしないのがセオリーだからです。
「それは愛じゃないだろう」とサービス精神のかけらもないサービスです。ま、恥かしがりやさんですから。もちろん、バンビが理解できるはずもありません。
ついにツンデレ香取登場。「厨房は客においしい料理を作る、ホールは客においしく食わせる。それだけだろっ」・・・空振りです。だから、バンビにそんな難しいこと言っても無理なんだってばあー。アバアババーッて言ってやんないと。
思い悩むバンビ。思い出すのは恵理の働くキッチン姿・・・えーっ、違うだろう。違うことをいろいろ思い出すだろう。・・・という人はバンビの純粋さが分かっていません。アーリオ(にんにく)・オーリオ(オリーブオイル)・ペペロンチーノ(唐辛子)一筋なんですからーっ。それはそれで臭くて、ぬるぬるして、ピリリと舌を刺す刺激なのですけれどーっ。・・・失礼。
サンマルツァーノ・シェフ(山本圭)「恵理ちゃん、オレの料理はないがしろって、ハハハ・・・バンビめっ」
バッカナーレ・シェフ(市村正親)「バンビになりたいなーっ」
次週はお約束の料理勝負展開なのか? バンビは愛を知ることができますか?
関連するキッドのブログ『第五話のレビュー』
金曜日に見る予定のテレビ『帰ってきた時効警察』(テレビ朝日)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
| 固定リンク
コメント
毎回キッドさんの妄想には笑わせてもらってます。
面白いわ~。(笑)
マチルダ野上ね!ぶぶ。ツンデレ香取にも大爆笑!
これからもネーミングに期待しています。
それにしてもバンビは成長しませんね。
浮き沈み激しすぎ!
投稿: みのむし | 2007年5月24日 (木) 16時48分
*simple*life*みのむし様、いらっしゃいませ*simple*life*
バンビは成長しない。
山Pは告白できない。
この二つはスタッフの譲れない一点
なのでございましょう。
譲るとドラマが終りますし。
バンビはたちまち原点に戻ってしまうし
山Pも結婚式場に戻る。
なかなか歯がゆい展開です。
ま、キッドは
両方ともそこそこ楽しんでおります。
基本的にイタリア料理は好きですし
甘いドラマはツッコミも楽ですしね。
今夜はしいたけのペペロンチーノを
作ってみました。
さっぱりしておいしいのです。
ペペロンチーノは
いわばかけそばのようなもの。
北部イタリアの貧しい農民食ですからね。
粗食が美味というのは不思議なものでごさいますよ。
・・・そりゃ、根が貧乏だからだろっ。
投稿: キッド | 2007年5月24日 (木) 19時29分
序盤は伴の成長の過程と
伴の成長にかつての自分のバンビーノ時代を
振り返るオーナーシェフと中間管理職の呟きがメインになっていましたが、
いつのまにか
そこに若い部下に対してどう接していくべきか
それぞれの中間管理職のあり方が出ていますね。
大きな視点から時に厳しく時に優しく諭すオーナーシェフ
カミソリのような切れ味で率直に物事を忠告する桑原
真綿を押しつぶすかのようにやんわりと忠告する与那嶺
デコピンのように単純明快な回答をする単純ツンデレ香取
鞭のように的確に至らない点を忠告するツンデレあすか
日本刀で袈裟斬りにするかのような忠告をするスーパーツンデレ美幸
この辺はそれぞれ好みがありますね(笑)
今回のもうひとつのポイントはやはりお客様って事ですね。
お客様に接する事で一番自身の仕事でのスキルが磨かれて
いくって事でしょうね。
そうやって伴の成長はしてないようでしているんでしょうね。
頭ごなしのマニュアルよりかは
自分自身で何がいけないのか気付く事ってのが大事ですからね。
ホント、かなりの職人気質が感じられる職場です。
投稿: ikasama4 | 2007年5月25日 (金) 00時46分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
このワクは適齢期を過ぎた女性を
テーマにしたドラマとかを
やってたかと思うと
突然、中学生の妊娠を真正面から
やったりして
そこから
ハケン。
今回は新人研修と
とりとめないようでいて
なんとなく「人生の教科書」要素を
やっているようです。
まあ、このあたりは
テレビの重要な要素だと思いますけど
他人からのアドバイスを
求めている部分と
他人を見下している部分が
同居する
奇妙な現代の視聴者層を
満足させるのは
なかなかに至難のようですね。
今回は「職場」としては
「ハケン」より
かなりまともなのですが
視聴率は思ったより伸びない。
「誰もテレビに説教なんてされたくないんだよ」
という声が聞こえてきそうです。
難しいよなぁ。
若者をどうすれば
「つかえるヤツにするか」
みんな悩んでいるのでしょうね。
特に最初の頃の
ツンデレ香取に対する拒絶反応なんて
面白いほどでしたからね。
使えないヤツは
なぐって教えないとダメだよな
と普通に考えてしまう
キッドはちょっと驚きましたよ。
まあ、冗談はさておき、
理想の指導者は
相手に指導されていると気がつかせないで
指導することだとキッドは思います。
この方法の弱点は
ちっとも感謝されないことなんですが・・・。
ま、使えるヤツが増えると
自分が楽になるという
共同作業の職場では
有効ということです。
あんまり育ちすぎると
自分の職場を奪われる場合もありますけどね。
ま、人間は自分一人で大きくなったわけではない・・・
と気がつくことが一つの成長の証ですから。
バンビも早く、その時を迎えてもらいたいものです。
ま、その時は最終回なんでしょうけど。
いや、案外、最後まであの調子なのかもしれないですね。
オレザク+マチルダVSバンビ
は来週も続くのかしら?
今回のままだと
ちょっとものたりないのですが。
投稿: キッド | 2007年5月25日 (金) 18時03分