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2007年6月30日 (土)

エリートヤンキー三郎に登場する占い師は仲間由紀恵にそっくりな声だがおゆきなさいと云ったりします。

久しぶりにタレント名のないタイトルになったな。・・・「おゆきなさい」って私のセリフじゃありません。(仲間由紀恵)・・・でも良かったのだが、最後までクレジットは○▽□×?だったので自主規制しました。ちなみに主演の石黒英雄は17thジュノンスーパーボーイGPなのだが、ドラマ『ごくせん』(2005日テレ)の赤西仁の弟役でデビュー。事務所は仲間由紀恵と同じプロダクション・尾木所属である。

キッドは喜多嶋舞と仲間由紀恵の顔の区別がつかないので占い師のベールに覆われた顔からは判別ができないが声は・・・仲間由紀恵としか思えないし、クレジットのモザイクもスロー再生で見ると仲間由紀恵にしか見えないのだった。ま、とにかく、キッドとしてはそれだけが気になってつい毎週、見ていたので・・・・・・・釣られていたと云われても過言ではないのだった。

で、『エリートヤンキー三郎・最終回スペシャル』(テレビ東京070630AM0012~)原作・阿部秀司、脚本・小池竹見、監督・白川士を見た。監督は仲間由紀恵・主演のドラマ『ナイト・ホスピタル』の演出家である・・・もう、いいか。

原作はコミックであるから、作者はおタクである。世間一般のイメージからおタクと対極の存在にあるのは番長だろう。しかし、『夕やけ番長』(1967)の時代から・・・どこまで遡るんだよお・・・番長はコミックの重要なキャラクターである・・・つまり、ないものねだりだ。

で、番長、不良少年、暴走族、ヤンキー、硬派はおタクの憧れの存在であり、数々の名作を残している。もちろん、ジャンルを越えて遡れば「清水の次郎長」とかにも遡ることができる。そうなると堅気の侠客へのあこがれも類似品であるが今回はやめておく。

もちろん、「夢」の話であるから、コミックの番長たちはトルエンの横流しをしたり、同級生に売春行為を強要したり、女子高生コンクリート殺人を起したりはしない。「悪」で「ケンカ上等」だが「人情厚く」「堅気に迷惑をかけない」場合によっては「手芸」が得意だったりするのである。

そういう系列、「男組」とか「湘南爆走族」とか「魁!!男塾」とかの延長上にひとつのジャンルがある。このジャンルを代表するのはどおくまんの『嗚呼!!花の応援団』(1975)だろう。主人公の青田赤道は「圧倒的な暴力でオチを構成する」というある意味古典的な存在だ。バカな評論家にはその存在価値が分からなくてもおタクなコミック作家にはその存在意義が理解できるのだな。

さて、その後継者は多数あるのだが、下品さを強調したのは「工業哀歌・バレーボーイズ」や「ころがし亮太」の村田ひろゆきがある。

そして、その系統に「エリヤン」が位置するのは間違いないのだった。

主人公の三郎(石黒)は15才の高校一年生。勉強ができず、趣味ギャルゲーで気弱な男の子だが、実家は凶悪な組織・大河内家であり、実父は服役中。そして兄の一郎(小沢仁志)と二郎(小沢和義)はその暴力性で千葉県を支配下に置くというど迫力の高校生なのである。ちなみにドラマでは一々年齢がクレジットされるが、一郎と二郎が16才と17才には見えない。ヒロイン・浅井春菜(15)は倉科カナ(19)である。三郎の一の子分・石井武(15)は橋本じゅん(43)である。もはやキャスティングの常識をはるかに越えている。

しかし、三郎は恐怖などで失禁し、股間が濡れると凶暴な野獣に変身するのである。その強さはパンチで人間を衛星軌道にのせ、地球を一周させてしまう威力を秘めている。創世のアクエリオンの無限拳に匹敵する破壊力なのだ。さすがはテレビ東京である。・・・いい加減にしなさいよ。

ま、基本的にはそういうハチャメチャな話でBGMも『太陽にほえろ!』だったり、『ミスターBoo』を連想させるものだったりと時空を超越している。

さて、もう一人の重要なキャラクターが河井(インパルス・板倉俊之)である。いわば、エリヤンのねずみ男であり、三郎に忠誠を誓いながら、陰で策謀をめぐらせ、時には三郎を窮地に追いやったりする。

三郎の優しい弱い普段の姿と凶暴で強い姿はもちろん、ジギルとハイドであるが、強い姿に惹かれた春菜が三郎に「二度と会いたくない」という展開になり、大河内家は倒産、非常事態で最終回を迎えたのだった。

前半は街を彷徨う三郎。お金がないので犬のエサをあさる始末。野良人間になった元・教師・関根(池田鉄洋)に身ぐるみ剥がされてしまう。

三郎軍団の相談役の前田(虎牙光揮)にようやく発見されるが崖から転落し、消息不明になる三郎。

そして、乳酸菌飲料で酩酊できる特殊体質の守銭奴・河井は三郎の葬儀を計画。そして三郎軍団の総長の跡目を狙う。春菜を「姐御」として跡目相続させようとする石井との対立。しかし、一郎と二郎に金の匂いをかぎつけられた三郎の葬儀は一転カツアゲ地獄と化す。

そこに仲間由紀恵のような謎の占い師のサービスで復活した三郎が登場。今回のお言葉は「ありのままの自分を見せなさい」である。ちなみにこの占い師の役はドラマオリジナルである。いわば仲間のために設定された・・・もういいか。

一郎・二郎VS三郎の大乱闘が展開する。ここのアクションはライオン丸Gクラスである。一度は敗れる三郎だが春菜の涙で股間を濡らされ復活・・・もう素晴らしいお下劣さだ・・・ついには二人の兄を打倒するのだった。

学園につかの間の平和が戻り、ラッキー池田振り付けの三郎音頭が三郎の栄光を讃えるのである。

関連するキッドのブログ『ライオン丸Gのレビュー

              『怨み屋本舗のレビュー』 

日曜日に見る予定のテレビ『パパと娘の七日間』(TBSテレビ)しかし、インターバルなしなのだな・・・本当に。ファンタジーなのだが・・・中年男と美少女の組み合わせ・・・『花パパ』『冗談』と失敗つづき・・・どうなるのでしょうか。『風林火山』(NHK総合)も見るけどね。

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2007年6月29日 (金)

最後の加害者であるあなた(谷村美月)も最初の加害者である私も明日香(志田未来)と同じように自分を許して生きて行こう・・・。(菅野美穂)

だって「明日香」は「わたしたちの教科書」なのだから。

天才詩人であった明日香は逆境の中で言葉を紡ぐ。もちろん、言葉なのでそれは基本的に「嘘=虚構=フィクション」である。明日香は「嘘」を書く。「どこにもいないお母さんに宛てて」「どこにもいないトモダチに宛てて」そして「本当にいない未来の自分に宛てて」・・・そしてどこにもいない神は肉体疲労と雨と万有引力で明日香の命を吹き消した。

しかし、明日香の「嘘」は珠子(菅野)の心に水をそそぎ、朋美(佐藤未来→谷村)の心を照らす。

そして奪われた明日香の未来は今も風に吹かれているのである。

もちろん、いじめられっ子よりもいじめっ子の方が多数派であるから視聴率は平均11.2%、最終回12.4%なのであるが、ドラマとしては傑作だったと思う。おしむらくは窓際のしりとりは「ともみ→みかづき→キリギリス→すいか→カンボジア→あすかだと良かったと思う。・・・そんなユーモアはいりません。※今さらですが本レビューは妄想を主成分としてお届けしています。念のため。

で、『わたしたちの教科書・最終回』(フジテレビ・070628PM10~)脚本・坂元裕二、音楽・岩代太郎(ラフマニノフの交響曲第2番なども使用)、演出・河毛俊作を見た。今回も音楽はフェイク的要素があったようだ。技巧としてはひとつのこだわりで良かったと思う。つまり、悲しい場面が悲しいとは限らないし、楽しい場面が楽しいとは限らないという表現であろう。

最終回はやはりミラーハウス(鏡を壁として構成された迷路)だったと思う。ネーミング的にはエヴァンゲリオンへのオマージュのあった作品だが最後は乙ガンダムの香りも漂い、少しガンダムを解禁することをお許しください。

無力な母に代わり刃物に秘められた暴く力でいじめ問題に答えを出すと豪語し、いじめの実行犯で主犯格の兼良(冨浦智嗣)を人質に取った雨木音也(五十嵐隼士)が無能な教師・加地(伊藤淳史)を刺して流血させ、主要な教員とともに職員室に篭城している頃・・・。

死亡した明日香(小野花梨→志田)を被害者と考えるなら最後の加害者であることが明らかになる朋美は最初の加害者と言っていいだろう珠子に法廷で全弾発射的な攻撃を開始する。もちろん、朋美は珠子を責める意志はそれほどない。彼女の攻撃は自分に向かって照射されている。いわば自爆テロなのである。

「私が明日香と出会ったのは小学校2年の時でした。彼女が施設に入った後です」

・・・そう、私が私の心の傷を癒すのに必死で何の罪もない少女をいじめた頃のことなのね。・・・すでに朋美の言葉は凶器であり、一言一言が諸刃の剣となって朋美と珠子の心を切り刻むのだ。言わば二人は尋ねては血を流し、答えては血を流すのである。

「彼女と私はその日からトモダチになりました。消しゴムの貸し借りもしたかもしれません。明日香がともみ・・・と呼ぶので私は三日月と答えました。時効警察で三日月さんが登場するとそのことを思い出しました。すると明日香はキリギリスと答えました。私は享楽的な性格で明日香に比べたら恵まれていましたから。そこで私は水車と答えました。来る日も来る日も河の流れがある限りひっそりと回り続ける水車。明日香はそんな娘でしたから。次に明日香はシャンデリアといいました。何一つ持たない明日香にはさぞや私はゴージャスに見えていたのでしょう。そして、私は明日香の名前を呼びました。私も詩人でしたが、明日香も詩人でした。私たちは詩人の魂で結ばれていたのです。神様はバブルを崩壊させて私たち二人に秘密の隠れ家を用意してくれました。立ち入り禁止の廃墟です。そこで私たちはよろこびもかなしみもわかちあう約束をしたのです」

・・・私が自分のキャリアを積み上げる間に置き去りにした少女とあなたは遊んでくれていたのね。私のするべきことをあなたがしていた。あなたには明日香の心がわかっていた。私に「ありがとう」と言った珠子の心の真意を「英語の分からないアラブ人に置き換えて血まみれのサンキュー」と伝言するほどに・・・。

「中学生になって私と明日香の間に秘密ができたのは私が恋をしたからです。私はそれを秘密にしました。だって私が誰かに心を奪われたと知ったら明日香は一人ぼっちになったと悲しむかもしれないからです。でも結局、私は明日香を一人にしました。恋人と過ごす時間の方が楽しかったから。だって私はキリギリスでシャンデリアだから」

・・・私が傷心を隠して明日香を視界にも入れたくなくてそして自分を守るために心を閉ざしたまま愛されることに甘えていたのと同じなのね・・・。

「しかし、恋は突然終りました。恋人の兼良君の父親が援助交際をしているところを目撃した私はそうとは知らず思いのままに嫌悪感を口にしました。兼良君は泣いていました。そして翌朝から私は『雑巾女』になっていたのです」

・・・神経が高ぶっている。彼女は何を怖れているの。そして今度は笑みを浮かべている。これは危険なユーモアだわ。彼女は皮肉な運命を笑っている。汚いものを汚いと言って雑巾になってしまった自分。そして、やがて彼女は何になるんだっけ? ・・・何に?・・・そう、『透明人間』になるのね。彼女は今、見えなくなっていく自分を見ているのかもしれない。

「でも、私には夢がありました。ピアニストになる夢です。そのためにいじめに耐えられると思っていました。しかし、ある日、いじめグループに押さえつけられた私は指を一本一本折られていったのです。私はピアノの弾けない体にされてしまいました。そこで私は死のうと思いました。・・・それを明日香が止めたのです。きっと明日香はずっと私を見守っていたのでしょう。私は明日香を裏切った自分が許せず、彼女に汚い言葉を投げつけました。そしていじめられている者の気持ちなんか分からないと言ったのです。どうして彼女にその気持ちが分からないことがあるでしょうか。彼女は世界から置き去りにされているのに。しかし、詩人の言葉は過激ですし、私も本当に絶望していたのです。すると、明日香は身代わりを提案しました。昔の約束があるというのです。二人はよろこびもかなしみもわかちあう。しかし、結局、私はすべてを明日香に押し付けたのです。なぜなら明日香には悲しむ人がいなかったから・・・」

・・・そうよ。明日香を悲しむ人のいないものにしたのは私。私が世界のあらゆるものから目をそむけていたために明日香はひとりぼっちになったのよ。それはけしてあなただけの罪ではない。

「そして、明日香は兼良の父親の悪口を意図的に言いふらし・・・『消臭剤』になりました。人はくりかえしのおそろしさを時々忘れます。毎日、毎日、『臭い、臭い』と言われたら本当に『臭いような気が』してくるのです。毎日、毎日、『死ね、死ね』と言われたら本当に『死にたく』なってくるのです。そして、私はそんな明日香に手を差し伸べることも声をかけることさえしなかったのです」

・・・私だってそうしたわ。相談したかったかもしれない明日香を拒絶したし、それどころか、私はそんな明日香が心の支えにしようとした夢まで叩き潰したのよ。いじめられて苦しんでいる中学生に世界を変えるなんて逃避してないで、義務教育なんだから勉強すればいいとか言って、教科書も汚されて親の形見の時計質入して新しく買った教科書を燃やされて困り果てている・・・義理の娘によ。この研ぎ澄まされた鋭利な刃物のようなプロフェッショナルな言葉でね。丸腰の相手を嬲り殺しにするように。私はそれをした。あなたの何倍もひどいのよ。さあ。そろそろ真相を教えてちょうだいな。あなたはもう限界かもしれないけど。・・・でも私はそれを知りたいの。

「・・・あの日、明日香は死のうとしていると思いました。私はそれだったら私が死のうと思いました。本来、死のうとしていたのは私だったから。私は窓から身を乗り出し、手すりに腰をかけました。すると明日香はまたしても私を止めるのです。あなたには悲しむ人があるから死んではダメというのです。私は耳を貸そうとしませんでした。強い明日香には弱い私の気持ちが分からないと思ったのです。けれど明日香は私に言いました。自分も死のうと思った。けれどそれは間違いだと分かったというのです。なぜなら今は一人ぼっちでもいつか誰かが私が死ぬのを悲しんでくれるかもしれない。それを考えたら死ねないと言うのです。おかしな話でしょう。まだいない、いつか悲しんでくれる人のために自殺をやめるなんて・・・私はちょっと気がそがれました」

・・・すると明日香は死ぬ気はなかったのですね。あれだけの仕打ちを受けてまだ希望を持っていたのですね。くじけていなかったのですね。私を許してくれていたのですか。私を恨んでいなかったというのですか。そんな、もう涙を止めることができないではありませんか。そんな、そんな人がなぜ死ななければならなかったのよ・・・。

「私は教室に戻りました。そして、ふと目をそらした間に明日香は堕ちていたのです。視聴者は神様ですから、彼女が神に召されたのを知っているのですが、私にはわかりません。彼女はなぜ死んだのですか。死ぬ気がないというのは嘘だったのですか。それともただドジをふんだだけだったのですか。てへっと言いながら堕ちていったのですか。どちらにしろ、私は私を許せないのです。彼女が死んで私が生き残るなんて不公平すぎるのです。でも、もうこわくて自殺ができないのです。どうか、私を・・・死刑にしてください」

・・・何を言ってるの。あなたはそれ以上、自分を責めちゃだめ。明日香を捨てた私が、欲望の自己管理のできない兼良の父親が、兼良とそのとりまきが、何もしなかった学校がもっと悪いに決まっている。自分で自分を裁くことなんてできないのよ。それをしたら人間でなくなっちゃうのよ・・・カ、カミーユ・・・心をどこにやってしまったの。人格を喪失してしまったの・・・。統合失調症の初期段階を通過してしまったの・・・朋美さん。朋美さん。

その頃、兼良に「先生は悪くない。ボクが悪いのだ」と云われ、隙をつかれた今、現在、実際にいじめられていてとりあえず理屈や理想はいいから誰かいじめっ子をぶっ殺してくんないかという全国のいじめられっ子の希望や期待もむなしく、だれかを殺すくらいならいっそ私を殺しなさい的母親に刃物をにぎられ体罰さえ許してくれたらいじめをコントロールしやすいのになという雰囲気をかもしだす国語教師と体育教師にいじめっこ仕置き人は現行犯逮捕されてしまうのだった。

・・・一年後。加地は脊髄損傷で下半身不随になったが優しい夫人に毎日しごかれていた。いじめはなくならないが、とりあえず、いじめについて話せるようになった学校で議題を求められた珠子は「世界は変えられますか」という今は亡き義理の娘で早世の天才詩人の言葉を残す。

裁判は結審した。敵の弁護士(谷原章介)は「迷い」を示す珠子に「お前はよくやった。意味のないことなんてこの世にはないさ」と言う。珠子は「意味のあることなんてこの世にないさと同じ意味ね」と切り返す。しかし、珠子に浮かんだ微笑みは二人の春を予感させるものだった。裁判官の下した結論は「明日香は事故死だが、いじめがあったことは明白で学校側の責任は無視できず、精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを命ずる」というものだった。やや灰色だが公明正大なる裁判官様(矢島健一)のお裁きであった。

兼良やとりまきたち、そして副校長の息子は闇に消えた。それが現実というものだから。あなたの隣になに食わぬ顔をしてかっていじめで人を殺した人間が暮らしているのが社会というものだから。

だが、精神崩壊した少女を見捨てることはできないのだった。雨木からの伝言で珠子は「あの娘を救えるのは宇宙であなただけ」と言われて胸をときめかせ、朋美に逢いに行く。

私はあなたの中の明日香の言葉で救われた。二人で明日香に会いにいこう・・・。

名前しりとりの呪文で意識を取り戻した朋美は秘密の隠れ家へと珠子を案内する。

どこにもいない神はその全能の力を振るい、経済復興や、地上げ、所有権の移動などの度に持ち主を呪詛して、廃墟を廃墟のままにしてあるのだった。

そこには明日香の最後の嘘が残されていた。それは明日香から明日香への手紙。

「昔の明日香も明日香だし、未来の明日香も明日香だ。今日、明日香は死のうと思った。明日香は昔の明日香が嫌いだった。でも、未来の明日香は今の明日香のことを好きになるかもしれない。そんな明日香のために私は自殺してはいけないと思う。明日の明日香が見る夢のために私は思い出をたくさん残してやろうと思うのだ。未来の明日香のために明日香は生きます・・・」

本当は死のうと思っていたのでは・・・私が明日香を殺したのでは・・・と自分を責め続ける二人に残された許しのメッセージ。それは珠子の嘘かもしれないが、いや、おそらく、世界を変えようとした明日香は珠子にそれを否定され、珠子さんの言うように自分を変えて行こうという結論にたどりついたのかもしれず、そのことに気がつくと珠子は残酷な天使のテーゼを呪うのか癒されるのか微妙なわけだが・・・ともかく、珠子よりも幼くてずっとずっと弱い朋美の心の窓には暖かい陽射しが降り注ぐ。それは物質化現象を引き起こし絵に描かれた窓が光り輝くほどなのだった。もちろん、ただ二人の心の病気が一段と深まっただけなのかもしれないけれど・・・。

珠子の胸には様々な思い出が夢のように去来するのである。

・・・明日香・・・珠子も生きます。あなたのように。

そして悪意と暴力と欲望とほんの少しの幸せに満ちた世界は明日香抜きで今日も続いていく。

関連するキッドのブログ『第11話のレビュー

シャブリ様、画鋲は英語教師モー子(酒井若菜)にずーっと長谷部だと思われていた長部(新聞部員・斉藤嘉樹)の仕業ではないのかとキッドも妄想しておるのですが・・・。

★★★シャブリ様のわたしたちの教科書★★★

わたしたちの教科書 先生の座席表

根気のいるお仕事ご苦労様です。

土曜日に見る予定のテレビ『ライフ』(フジテレビ)この記事にこのドラマがリンクするとはフジテレビ攻撃の手をゆるめないな。マチベンもどうぶつ119も世界100人も美人三姉妹も押しのけるとは・・・。

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2007年6月28日 (木)

アンティパスト・・・うまか・・・プリモ・ピアット・・・うまか・・・セコンド・ピアット・・・うまか・・・ドルチェ・・・・・・・・・。(松本潤)

ワシのドルチェ・ティラミス・バンビーノ風に賛辞はないのかよぉぉぉぉ。と織田(ほっしゃん)が言ったかどうかはともかくとして、原作の段階を通り過ぎると脚本家にはもはや何のアイディアもないのだった。・・・これこれ。

とにかく、いつものように悩んで・・・とにかくいつものように乗り切って解散ってことでひとつ・・・なのかい。

行きたいところに行くのさ。何故それが悪いのかい。バンビ~ノだけに今、イタリヤに行きたいのさ。長靴。長靴の形なんてなんてふざけた国なんだろう。このかかとのあたりでふまれたい夢を見た。イタリヤ語講座がこわくて独学したのかい。カタコトでいじめられるのが楽しみなバンビなのさ。朝、目がさめて思うのさ。最近、みんなが優しすぎてさびしい。いつのまにかいじめられることが快感。快感になってしまった修行という名のプレーなのさ。痛めつけられるのがイヤなんて笑わせるじゃないか。優しくされすぎる日本を飛び出して刺激あふれる世界へ。主題歌、主題歌が桑田なら20%越えもあったのかい。でも南こうせつとかぐや姫じゃ無理だなぁ。ともかく、最終回は何もかも忘れたいほどに内容がないよう。ともかく、We can make it!/嵐はヒットしたからOK。バンビ(櫻井翔)に印税入る~。・・・元ウタ分かる人いるのかなぁ。

で、『バンビ~ノ・最終回』(日本テレビ・070627PM10~)原作・せきやてつじ、脚本・岡田恵和、演出・大谷太郎。ともかく春ドラマ平均視聴率暫定2位なので延長ありの最終回なのだが、もうただでさえ、ストーリー展開のネタが思いつかないのに勘弁してくださいよぉというスタッフの悲鳴が聞こえた気がしました。

今回、バンビ(松潤)はついにバッカナーレのシェフ(市村正親)への愛を告白。みんなにドン引きされるのだった・・・おいおい・・・ま、いいか。突然、老いへの焦燥感にかられたシェフが昔の恋人(山本圭)と出奔。突然、父に去られた娘(内田有紀)よりもはげしく凹むバンビなのだった。ま、娘も一応、嘘泣きしているのだが、えへ、冗談だよぉという感じなのである。

イタリア代表といえばサッカー・・・なんてイタリア人が祖国の代表が来ているかどうか知らないなんてありえないからどう考えても無理のあるコントなのに「ボーリングの代表なのに・・・サッカーなんて言ってないのに・・・」ってセリフを書いてしまうほど脚本家は困ってしまっていたのだなぁ。でも、そんなセリフを与えられても役者も困るわなぁ。っていうか、胸元見せておけばいいんでしょ。どうせ、みたいなノリだったのかもしれないから別に困らないのかなぁ。

ともかく、オレはオトンの味を知らんから、いつかシェフに力一杯抱きしめてもらって「パパン、パパン」って甘えて、「バンビ可愛いよ、バンビ」って言ってもらいたかったのに・・・とガッカリのバンビ。そんなバンビのいたいけない表情にカトリーノ(佐藤隆太)がムラムラッとして「ふん、お前の愛はお安いよな。お前にはオレの愛なんてわかるわけねえ。オレがぁ。オレがぁ。どんだけ、お前のこと愛してるって思ってんだっ」とばかりにオレだってバッカナーレ出て行くもんね宣言である・・・おいおい・・・もう、暴走は止まらない・・・最終回だからもういいんじゃないのー・・・ほどほどにしとけよ。

みんな、みんな、いなくなっちゃうんだ。みんな、みんなオレを一人ぼっちにするんだとメランコリーになったバンビ。

そこでよみがえる在りし日のバッカナーレシェフの言葉「世の中は広いんだー。美味しいものがいっぱいいっぱいあるんだぞぉ。もう食べても食べても食べつくせないくらい美味しいものだらけなんだぁ。食べつくそうと思ったら次から次へと食べなきゃだめなんだぞぉ」・・・なのであった。

バンビは「よーし、パパンをたずねて三千里ったい。みんなイタリアにオレがパパンを捜しにいくなんて思ってもいないったいね。ここはびっくりさせると。まずはお手紙出すと」

しかし、みんなはワリとそう思っていたのだった。しかし、書いてるうちにあて先が分からないことに気がついたバンビはイタリアの有名レストラン全部に手紙を出すことにしたのだった。そしてたくさん、手紙を書いているうちになんで手紙を書いているのか、忘れてしまったのだった。バカだからな。そして、先方の中にいろいろな意味で日本人が好きなオーナーがいたのだった。

「すみまっしぇん。オレ、バッカナーレやめます」トリオ・ザ・ノーランズ「どうぞ、どうぞ、どうぞ」「そげなーっ」・・・てなことがあって最後のツンデレに突入(カトリ~ノ抜き)である。

そうか、先週、メニュー的構成についてレビューしたのはこの前フリだったのだなと自画自賛あって・・・別れの儀式、卒業従業員にフルコースをサービス(退職金込み)なのであった。うまか三連発である。

そして日本のバンビ~ノはイタリアのバンビ~ノになりました。あんまり意味ないけど。そして老シェフはのんびり島暮らしライフです・・・。

・・・・・・・・・・・恵理(吹石一恵)は恵理はなしですかーっ? そげなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ。ああああああ。ああ。

★春ドラマえり大賞★1位奥エリ(榮倉奈々)2位エリー(吉瀬美智子)3位高橋恵理(吹石一恵)・・・な、なんの意味が・・・。

関連するキッドのブログ『第十話のレビュー

ま、新入社員のシーズンに新社員とそれを受け入れる側はどうすれば好ましいかという励ましのお便りつき手引き・・・のようなドラマだったわけだな。五月病対策なんてのも軽くもりこんで・・・。ま、そんで平均視聴率14.2%、最終回視聴率14.4%ならまずまず・・・ってこと。しかし、今回、他のドラマどれだけ空席あります・・・だったのかーっ。

金曜日に見る予定のテレビ『ドラマ24エリートヤンキー三郎・最終回』(テレビ東京)、ま、『ターミネーター3』も見るけどさ。

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2007年6月27日 (水)

ボーナスかあ。完全歩合制の人間には関係ないけど、それで幸せな気分って味わってみたいなあ。(内村兄弟)

内村光良と従兄の内村宏幸のコラボレーションによるボーナストラックであるらしい。サラリーマンNEOがスタートした時に真っ先に連想したのが小須田部長のコントなのである意味先祖がえりというか、始祖を迎えて・・・と言う感じがありました。

また逢おうと別れてもう13年か・・・。時の流れるのって本当に早いな。

レギュラーのファンの皆様には違和感を感じた人もいるかと思うが、ウッチャンと生瀬勝久との共演とか、なかなかに落ち着かない雰囲気がスリリングだったのであり、ま、三本目のコントが普通に笑えてホッとしたり、ボーナスとしてのスベシャル感覚を味わうべきなのだな。

で、『サラリーマンNEO・シーズン2』(NHK総合・070626PM11~)脚本・内村宏幸(他)、演出・吉田照幸を見た。ウッチャンをゲストに向かえ、フィーチャーした四本のコントといくつかのショートコーナーで構成されている。

一本目は「NEO EXPRESS」報道男(生瀬)と中山ネオミ(中田有紀)のニュース番組パロディー。レギュラーコーナーから入るというのが「馴染み」を作る気配りなのである。

「最近、見かけなくなったもの・・・」という中山のフリに「赤白帽子」と答える報。冷たい視線で受ける中山。この女王様コントもすっかり定番である。

キッドはこの中山を見れればほぼ満足するのである。・・・どんだけ簡単なんだ。 NNN24でニュースはちっとも頭に入らない。滅多に映らないハイヒールとかが気になるだけなのであるな。

そして、レポート部分。江戸川橋研究員(内村)が登場する。ここで微妙なズレがハラハラさせる。江戸川橋は「見かけなくなったものを保存する施設の長」なのだが、今回は自らの研究施設をレポーターとして紹介するという設定。ここでディレクターとの馴れ合いのからみをしてしまう。これは本筋に入る前の軽いジャブなのだが、「素人が通ぶってやる行動」と「素人レポーターの緊張」とがミスマッチなのである。・・・相変わらず、役をつかみきるまでに時間がかかる男なのだな。

最初に躓いたために「たいして面白くない最近みかけないもの」の紹介の件がずっと微妙なものになってしまう。「省エネルック」の袖が取れてしまうというオチなのだが、この後はセットが崩壊するほどのパニックでなければオチないので・・・ここはそういう微妙なつまらなさを作ろうとしたのだろう。

スタジオの受けに登場しなければ目を覆いたくなる展開である。この後、オチとしては「みかないものの保護と繁殖に成功」といういわゆるシュールな展開の果てに、結局、最近の便利さに溺れているという皮肉に持っていく。

その筋立て自体はハラハラドキドキものなのだが、最後に中山とのからみがあり、なんとか落ち着くのである。中山に冷たくされてウッチャンがグダクダになるわけだ。

本当は凹むぐらいでもいいのだが、さすがに相手がウッチャンなので中山の瞳にスターを見てしまったオーラが浮かんでしまい・・・まあ、軟着陸なのだな。しかし、女王様の恥じらいというものはそれはそれでいいものなので、つまり、瞬間的なツンデレであるから・・・キッドとしては充分満足なのだった。

二本目「そのままでいいから」・・・楽屋で顔をつくる芸人・・・ではなくて、結婚披露宴の余興のために泥鰌すくいのメイクをする新郎の友人のサラリーマン(内村)。ペーソスによる人情芝居である。お相手は入江雅人になる。いわゆるひとつの『劇団SHA・LA・LA』なのであった。

もうすぐ出番というところで、同僚の入江が仕事上のトラブルを伝える。それは内村のサラリーマン人生に深刻な打撃を与えるものであるらしい。激昂し、消沈する内村。出番がくるがとても宴会芸を披露する気分ではない。内村を入江が励ましその気にさせる。というもの。その気になった内村は安木節にのって会場へ。しかし、「帰れコール」のブーイングが聞こえてくる。ここは公私ともにというオチでもいいのだが、どちらかといえば歓声の方がより哀愁が漂うはず。宴会芸で一瞬桧舞台に立っても虚しい・・・というのが筋ではないでしょうか。ま、「帰れコール」が好きという人もいるので好みの問題かもね。

ここで、「ネクタイの結び方」についての提案という休憩。ついでにいとうあいこの「お坊さんが通るよ、そうかい」・・・もあります。

後半戦、「去り際」である。これは「もしもリストラ社員がうらみがましい家族を持っていたら」といったシチュエーションコントのオープニングとして秀逸。強面の部長(生瀬)にリストラされた社員(内村)が「どうしても家族が部長を一目見たいというものだから」と来社するというもの。家族は妻・宮崎美子、娘・原史奈、息子・田口浩正である。ここはレギュラーたちが部長に脅迫まがいの恨み言をならべたてるというもので、わかりやすいお笑いであり、普段のお客さんにも受けがよかったのではないかと思う。去り際にウッチャンが「怨み」を目ににじませる。こういう役をやらせたら天下一品だなぁ。狂気の凄みはある意味、地なんだよなあ。社交辞令を許さない・・・なんだなぁ。

最後は「南米のホテルにて」・・・これは南米が舞台なので不条理劇である。出張か単身赴任しているらしいサラリーマンの内村。エアコンが故障してうだるようなホテルの部屋。たどたどしい英語でフロントに電話でクレームすると、ボーイ(生瀬)がやってきて「チキン」のルームサービスをテーブルに置き「サイン」を請う。後はエスカレートしながらリフレインである。途中でカタコトの日本語をしゃべるマネージャー(入江)も登場するが、結局は「チキン」なのである。「最初から最後までベサメムーチョ」や、「うろおぼえの昴」などもあり、・・・これがもう少し本格的だとさらに不条理だったが・・・望郷の念にかられるが家路は遠いというスタンダードな流れで幕である。

ま、コントをレビューするのはちょっと気恥ずかしいけれど黒歴史担当者としては愛をこめてメモしておきたい。ご馳走さまでした。

関連するキッドのブログ『オレのダルさをなめんなよっ・・・(さまぁ~ず)』

              『その後はその後はその後はアッパー。(中田有紀)』

で、『花嫁とパパ・最終回』(フジテレビ)も見た。ストーカーのような父親と箱入り娘。そして娘の生誕と命を引き換えた母。というオーソドックスなお涙頂戴もの。石原さとみが「母からの遺言の手紙」を読むくだりがちょっと良かっただけの退屈なホームドラマである。だから普通の花嫁とパパで良いのではないか。今さら、時任三郎の歌を聞きたい人もいないだろうし、できたら、その後、結婚式で花嫁の父が必ず歌いたくなるような名曲があってからの企画だと良かったと思うよ。平均視聴率11.8%、最終回12.2%でした。

関連するキッドのブログ『花村さん! 花村さん! 花村さーん!(石原さとみ)』

で、『鬼嫁日記・いい湯だな・最終回』(フジテレビ)も見た。観月ありさもがんばっているのだが、もう良い企画はないのかなぁ。『私を旅館に連れてって』以来、当りがないような気がする。脚本もなんだか、設定にただ引きづられて・・・悲鳴をあげているような気がするのだが、もともと無理がある結婚という制度だが、それにすがってどうにかこうにか生きている男と女の哀歓をもっとしっかりと見据えて企画していくといいと思うのです。地獄とか、大失敗とか、嫌われたとか、母親失格とか、結婚サギとか、恋愛トンマとか、ダメ女とか・・・そういう謳い文句では客は呼べないのでは・・・と感じるのですが・・・。ま、うらやましいばかりの展開も嫌がられるかもしれないけれど。観月の健気な庶民の味がもったいない気がいたします。平均視聴率12.0%、最終回10.5%でした。

しかし、「わたしたちの教科書」の平均視聴率が「鬼嫁日記」より低いというのも凄いなっ。ま、誰だって一生懸命作ってるんだけどね。

関連するキッドのブログ『スリルな夜・完結編

木曜日に見る予定のテレビ『私たちの教科書』(日本テレビ)

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皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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2007年6月26日 (火)

そうですか。結局、わかっていなかったのは健(山下智久)じゃなくて私ってことですか・・・しょうがないなあ・・・私が悪者ってことでケンゾーッ。(長澤まさみ)

・・・ってことで、健も悪者にならず、多田(藤木直人)も悪者にならず、男たちがあまりにも根性なしなので・・・礼(長澤)が悪の道を踏み出すのだった。男たちタマついてんのか~。・・・ま、月9だし、最終回視聴率20.9%、平均17.3%だから、文句なしです。

つまり、多田は健がスピーチで告白するまで一切、健と礼の仲に気がつかなかったと・・・。そして気がついた途端、健と礼にとって幸せなことを最優先したと・・・そういうことなんですねーっ。

そして、健は「好きだけど幸せを祈る」っていうことで多田と礼の幸せを最優先したということなんですねーっ。

それで、結局、「礼、どうする、礼、どうするんだよ~」ってことなんですね~。

もう一度叫びたい。このタマなしどもがーっ。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「生徒諸君」↗*9.4%(ううん。がんばったと思う。普通の中学生をやればいいんだよな、結局)、「特急田中」↗*8.9%(ううん。がんばったと思う。普通の青春をやればいいんだよな、結局)、「スリルな夜」↗*8.1%(あらすじ短めだったしな)、「喰いタン2」↗14.0%(ま、前番組が演歌の女王であることを思えばまったくOKだよ)、「ウソゲ」↗13.6%(ま、やっぱりあらすじ長すぎ)、「風林火山」↘19.8%(さげたーっ、でも全然平気)、「冗談じゃない」↗12.7%(ううん、がんばったと思う。普通の結婚生活をやればいいんだよな、結局)、「ダイハード」19.4%(なんどめだ)、「新堂本兄弟」12.1%(サダヲとったな)、以上。

で、『プロポーズ大作戦・最終回』(フジテレビ070625PM9~)脚本・金子茂樹、演出・成田岳を見た。自由と言う名の悪徳の女神の呪いのかかった指輪を礼が受け取ってしまったので結局、「愛する人を選ぶ権利」という悪は礼によって為されたのである。ま、多田極悪非道魔王誕生を熱烈に待望したキッドは悲嘆にくれる結果なのだった。ええい、この不甲斐なくも情けない日和見男どもがっ。ま、指輪を女神に捧げた健も結婚式場のスピーチで新婦に愛を告白・・・というちょい悪をしたので認めてやりたいのだが、結局、祝福してるしな。あそこは呪詛の言葉で会場を震撼させねばならんのではないかっ。

しかし、会場は拍手って・・・とくに新婦の母(宮崎美子)中心に・・・ここはどよどよどよどよ・・・とするところではないのか。

けれど、まあ、アンナ様の卓袱台も飛ばなかったようだし、想定の範囲内なのかもしれない。

さて、先週、現在に戻ってこなかった健は礼を誘拐してどこへ行ったかと思えば、小学校に行ったのだった。もちろん、前回、最高の名場面を子役に取られてしまい、ダブル主演の二人が口惜しかったからである。

しかし、まあ、泣く子と動物には勝てないのだから、そんなに気にすることないと思う。

ともかく、先週からウルトラ・ハッピー・エンドに向けて走り出した二人にはもう、あまり理屈だとか、因果応報とか、起承転結とかは必要ない。なんとなく、いい感じになってきたエモーションがあるだけである。とにかく、乙女心を回転させるほどの魔法のかかった空間に二人は閉ざされました。

結局、「恋の魔法」は「現実」を変えることはできないのだと「健」は思う。「ツル(濱田岳)とエリ(榮倉奈々)」は変わったように見えるが、きっと一時の気の迷いなのだろう。

しかし、「時々大人の健」と「いつもの健」にふりまわされた「礼」の中では確実に何かが変わっていたのだ。

ということは健はやはり「恋の魔法」というファールプレイを使ったことになる。しかし、まあ、「恋」なんてフェアにやってたら始まるものも始まらないというのがこの空気である。もう、この「空気」になったらダメなんですよーっということなのでしょう。

そして、これまで「健のことをせめていた礼」がたちまち守勢にまわるのだ。「健が好きだった。健のお嫁さんになりたかった。でもそれをあきらめたのは・・・自分?」である。

恋の師匠であるミキオ(平岡祐太)は読んでいた。「恋には良いも悪いもないのさ。ただギャンブルってことなのさ。勝つことも負けることもあるけれど、賭けなきゃ勝負は始まらないのさっ」なのであった。

健「後悔はないのかい」(オレにはあるんだ)

礼「ありがとう。本当にありがとう」(なにかあったら頼むわね)

そしてエリが魔法のアイテム「どうやっても礼のところへ行くために作られた給料一か月分の指輪」を礼に渡すのだった。

さあ、準備終了である。

最後のちょっとしたファールプレイでスピーチの前まで戻る健。

「(前略)・・・礼のことが好きです・・・(後略)」

言えた。言えました。魔法の言葉が言えました。

とりあえず、現実とか、他の時間帯はともかく、月9でこの言葉が出たら、撤収です。もう、それは神をも怖れぬパワーなのです。誓いのキスとか、指輪の交換とか、もう、すべてを粉砕して、乙女心を直撃するのです。

もう、涙が止まらない・・・多田先生ごめんなさい。多田はすべてを計算しつくし、一瞬で正解をはじき出す。こりゃ、もう、だめだね。こりゃ、もう、人知のおよばない「う・ら・な・い」の世界に入ったね。こういう時、インディアンは両方当りのクジ出すね。いわばポトラッチの精神。これ、自分の心を守る唯一の方法。「運命に逆らわない」これ、一番大切。

そして、花嫁は命かけて燃えた恋が結ばれる運命の扉を開くのだった。妖精(三上博史)は別にいなくてもいいのに、一応、背中を押すのだった。まあ、つけくわえると女は最後の恋ってやつを認めないんだな。必ず、次の恋があると信じている種族なんだ。

今回のテキストは『うる星やつら ビューティフルドリーマー』(1984)である。まず、中核となるアイディアについて類似作品に触れる。過去には『しゃっくり』(筒井康隆1965)がある。処女短編集の収録作品だから、氏の時間ものでも基礎を為すものといえる。このアイディアは「時間にとじこめられる」というものだ。「しゃっくり」では主人公が十分ほどの時間に閉じ込められてしまい、時間になるとまた一からやりなおしになる。この間、記憶は継続するため、人々はムチャクチャをやり始めるのだ。最近では(といっても10年前だが)『ターン』(北村薫1997)がある。『スキップ』『リセット』という時の三部作のひとつで、こちらはある一日が終わりなく繰り返されるというものだ。『プロポーズ大作戦』を一言で言うならばスキップしながらターンである。

で、『うる星やつら ビューティフルドリーマー』もまた、この「時間のくりかえし」を使用した物語である。当然、『プロポーズ大作戦』はこの変形と考えられるのである。そして、幻想的なこの作品の魅力は「終わりなき青春」への憧れにあるといっていいだろう。登場人物たちは無限に「高校の文化祭前夜」を繰り返すのだった。

さて、この物語にはプロポーズ大作戦との共通点が無数にあるのだが、その一点が「誰が誰を好きとか決めることで青春が終ることの恐怖」というものがある。健も礼もいわば、その恐怖の呪縛から足を踏み出せなかったとも考えることができるのだ。

そういう意味で「いい人」に見える多田は・・・実は「青春」を早目に終らせようとする魔物の一種だったかもしれないと思うのであった・・・まだ、言うか。

友引高校の人々がどういう末路を迎えるのかはヒミツにしておく・・・みんな知ってると思うぞ。

関連するキッドのブログ『第十話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『バンビ~ノ』(日本テレビ)

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Hcinhawaii0214 P祭り開催中なのでPごっこレポートをお届けします。お気楽「自分で言うのもなんだけど、健っていつもの自分に似てるんだ・・・」アンナ「さすがっ社長っ。いよっ社長。とにかく、今夜はフェスティバル&カーニバルのフィナーレですからー」ads(あず)「とりあえず、奇跡は起きました。でもレビューは前回のもまだ・・・」

Hcinhawaii0215 アンナ「礼は多田さんのことが好きだったのか・・・それはこのタコヤキ争奪ゲームを見れば一目瞭然、婚約指輪がありません」「でも、これ右手ですよ・・・」アンナ「そっか・・・じい、ミスしたわね。でも左手にもしてないもん、アンナは見ました。礼は多田さんのことはちっとも愛してなかったっ。どんだけぇ~って感じで」翠「どんだけぇ~」

Hcinhawaii0216

みょうがの芯「魔法の指輪発見しました~」

Hcinhawaii0217アンナ「というわけで本当に最後の」ads(あず)「ラストの」お気楽「ハレルヤ~チャ~ンス!ふう、終った」

Hcinhawaii0218  ikasama4「ここは何ですか?」じいや「小学校です」ikasama4「こだわりですか?」じいや「いささか・・・」

 

Hcinhawaii0219_1 まこ「結末に反対!」みのむし「多田先生・・・ショックでしょうね」

Hcinhawaii0220 翠「山Pは光デス。光なのデス。はうううん」

Hcinhawaii0221  mari「Pちゃまは私が幸福にしますっ」

Hcinhawaii0222 かりん「Pちゃんが希望ですっ」

Hcinhawaii0223 mari「鉄棒くらいはできますよ。もう乙女心は恋の大車輪ですからーっ」

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翠「恋の逆上がりデスーっ。ムキャーっデスーっ」

Hcinhawaii0225

かりん「ふふふ。Pちゃんと一緒なら楽しいのよ。時よ止まれと祈るの!それが愛だからっ」

Hcinhawaii0226 運転手「ふふふ、時は止まりませんよねぇ、でも夢なら醒めんこともありますさかい・・・」

山P「・・・・・・・・妖精?」

Hcinhawaii0227 Pトリオ「みんなの思いはひとつ。思い出はいっぱい。だから・・・」

Hcinhawaii0228 翠「山P今、行くのデス」

Hcinhawaii0229 mari「運命の扉は開いたから・・・」

Hcinhawaii0230 かりん「Pちゃん、ついに主題歌通りなのよ」

Hcinhawaii0231 多田「どんだけ・・・」

Hcinhawaii0232 まこ「ま、とりあえずフジッキーはまこのものに・・・」みのむし「いいえ・・・みのむしのものに・・・」

Hcinhawaii0233 あんぱんち「ぼんばーっ」ろーじー「それ、先週でんがな」くう「とりあえずお祭り終わりですね」ちーず「みなさん、お疲れ様でした」シャブリ「今回、早目にアップしましたよ」aki「打ち上げ目当てですね?」

Hcinhawaii0234 ミマム「おみやげの宝箱を開けたらこんなところに・・・」妖精「妖精も幸せになる権利があるかな・・・と思ったのです」ミマム「まあ・・・・・」妖精「共に白髪の生えるまでですよ・・・ま、妖精の寿命はごにょごにょ万年くらいなんですが・・・」

★★★テンメイ様のプロポーズ大作戦★★★

さて、キッドが一方的に心のライバルと考えるテンメイ様が前回、自家製TB貼ってくれたのでお返しをば。人気に関してはテンメイ様の方が高しなのでそれほどお返しにならないのが心苦しい。前回はシステムエラーでランキングを逃したというし、ココログの中の人の気まぐれにも困らされ仲間である。レビューはじっくりタイプなので周辺記事をリンクさせてもらいます。

プロポーズ大作戦のノベライズ本を早くも入手

『プロポーズ大作戦』続編とノベライズ本の結末について

プロポーズ大作戦第3話の数字の相性占いを発展させると・・♪

今回はココログがシステムエラーをしでかしませんように。

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2007年6月25日 (月)

わこ(武田四郎勝頼)様~。わこさまあああああ。ずっとずっとずーっとけがれなきようにいいいい。(内野聖陽)

愛とは狂気の一種である。・・・という典型のような山本勘助(内野)の四郎への溺愛。父・武田晴信(市川亀治郎)、母・由布姫(柴本幸)、父の父・武田信虎(仲代達也)、母の父・諏訪頼重(小日向文世)というこの良血武将がやがて武田家を滅ぼすことは・・・やはり・・・ミツ(貫地谷しほり)の呪いですか・・・。

いや、そんなことはないのだ・・・と勘助は言うだろう。それは拙者の死後の出来事。もしも、拙者が生きながらえておれば四郎様をそのような目にはあわせなんだ・・・。しかし、歴史的な結果に基づき、現代の心理学をベースにスタッフたちはよってたかって「勘助・・・お前が愛しすぎたんだ・・・あまりにも愛しすぎたんだよう」という方向に持っていくつもりらしい。

生まれながらに醜い勘助を初めて愛してくれたミツ。ミツを殺した武田信虎の一子・晴信に仕え、その側室・由布姫に亡きミツの面影を見出した勘助。そして、その子は勘助にとってミツとともに失われた勘助の子の生まれ変わりに他ならないのだった。

この大河の仕掛けの素晴らしいところは主な関係者が皆、そのあたりの事情を知っているところにある。

父親が勘助の妻子を奪ったことを知っている晴信。かっての主君の悪行を知る板垣信方(千葉真一)。そうなると晴信の母(風吹ジュン)も知り、晴信の正室(池脇千鶴)も知り、今川家では寿桂尼(藤村志保)も義元(谷原章介)も雪斎(伊武雅刀)もご存知なのである。そしてそれぞれが、「なるほど」と感心したり「哀れな」と嘆いたり「愚かな」とふみつけたり「どうでもよい」とシカトしたりするのである。・・・凄いと思うよ。

、『風林火山・第25回』(NHK総合・070624PM8~)原作・井上靖、脚本・大森寿美男、演出・清水拓哉を見た。天文15年(1546)の佐久・内山城攻め(VS大井貞清)と天文16年の佐久・志賀城攻め(VS笠原清繁)の間隙である。つまり「つかの間の平和」の物語なのである。平和になると人々は争いの種を蒔き始めるのだった。

Harunobuま、例によってシナリオに即したレビューはikasama4様のレビューが面白いのである。で、今回は戦国ものとして男性ファンと女性ファンの意見が大きく変わる部分かもしれないあたりを考えてみたい。つまり、戦国武将のやりたい放題・男のロマンについてである。ま、長尾景虎のように・・・そっちかよっと言う人もいるが、とにかく武田晴信である。

本来、晴信の正室は上杉朝興の娘だった。河越夜戦で討ち死にした上杉朝定の姉妹である。しかし、上杉夫人は初子出産の際に赤子ともども死去した。晴信-上杉夫人は共に十代・・・プロデュースしたのは父・信虎である。甲斐国主の息子と武蔵国主の娘・・・まさに政略結婚である。

次に晴信が正室に迎えたのが三条夫人。藤原氏北家の三条家はいわば中央とのパイプとして考えられたわけで・・・これもまた政略結婚である。ここまでは父・信虎の描いた絵だったわけだが、この後も晴信はなかなかに父の残した過去にのっかっていく。

さて、これまでの物語の三条夫人はなかなかに悪役っぽく描かれるのだが、今回の大河では清純なお姫様モードである。これについてはこれまでにも書いたのでこれ以上はふれない。三条夫人の妹は本願寺宗家に嫁いでいる。これは武田領内の一向一揆対策や後の織田信長包囲網にも影響を与えていくわけで、晴信-三条夫人は良縁だった。もちろん、後の太郎義信謀反事件は・・・そうともいえないのだが。

その後、父が晴信の異母妹を嫁がせた諏訪家を攻め、妹婿の先妻の娘・由布姫を側室にするのである。このあたり、各種研究によれば、晴信はもっともっとご乱行におよんでいたようである。ま、戦で勝つ度にとっかえひっかえクラスである。・・・まさに男のロマンじゃのう・・・ということで、かなり戦国モードの今回の大河ドラマなのだが、お茶の間に配慮してさすがに控え目なのであった。それでも充分・・・晴信様、不潔っという後ろ指さされ展開であるらしい。

今回、物語の主軸になる寅王丸は妹の生んだ諏訪家の跡取りである。父・諏訪頼重、母の父・武田信虎なので良血だ。もっとも、史実的には寅王丸は諏訪家滅亡後、母ともども消息不明なのである。つまり、今回の物語は甘口の捏造の可能性大・・・ま、それはそれとして。ここに四郎が誕生したのである。四郎は父・武田晴信、母の父・諏訪頼重の良血である。四郎もまた諏訪家の跡取りである。ひとつの家に跡取りが二人・・・。これはもめるのである。特急田中でも弟がクリーニング屋を継ぐなんていいだすと兄が路頭に迷ったりするのである。いや、たとえとしてスケール小さすぎた。

戦国時代に限らず家督相続には騒乱がつきものだ。まず、母の実家がからんでくる。また良家の子女となると世話係も教育係もひとつの組織である。つまり、跡取りの数だけ門閥が形成されるのである。兄派と弟派の派閥争いなどは日常茶飯事なのである。兄弟仲良きことは貧しさゆえであったりするのである。

そして、四郎のバックにはこわいこわいおじさん(血縁関係はない、いわば近所のおじさん)がついたのだった。いわば、そのこわさを描写するためにとっくに歴史の闇に消えたはずの寅王丸が引っ張り出されてきたのである。こわいおじさん勘助は四郎の競争相手となる寅王丸を今川家への人質として差し出すのである。

晴信の母・大井夫人の義理の孫にあたる寅王丸はこうして駿河に去るのだが、大井夫人の夫(信虎)も駿河に去ったので、風吹ジュンとしては「家督争いなんて認めません、認めれば武田家は壊れてしまいます・・・」なのであろう。わが子の女狂いにも目を瞑るに限るのだった。甲州法度なんて役に立たない・・・と思っているかもしれない。ま、幼子との別れは定番だからお茶の間サービスなのであろう。

さて、今後、登場する第四夫人は於琴姫(紺野まひる)らしい。油川家のお姫様である。油川家は武田家の分家だが、祖父・油川信恵は信虎によって滅ぼされている。この時に油川家に組したのが小山田家である。今回の大河ドラマ冒頭で小山田信有(田辺誠一)が胸に含むものがあるのはこのあたりの事情がからんでいるのである。ともかく、晴信は父の殺した男の孫娘を愛人にするのだな。・・・まさに戦国ロマンよのう。

得るものなきことを得ると言う。

まあ、いろいろな解釈が可能ですが、無知の知でもなく、色即是空でもなく、過不足なくものを得てしまい、もはや得ることがないときに「得る」と言えるのだということです。つまり、戦国武将たちは女人も領土も得ても得ても得たりず、得ることはなかったのです。・・・・・禅問答かっ。

禰津夫人は・・・禰津御寮人はでないのですか・・・? 今、20才くらいになってるんで小県も領土化しているし・・・隠し愛人になっているのでしょうか・・・。それとも、村上追討後に禰津家が登場するのかしら。・・・ハッ。ヒサ(水川あさみ)か。なにしろ晴信はミツにも手を出そうとした前科があるからな。平蔵(佐藤隆太)・・・これは刺激的。ともかく・・・第四次川中島の戦まであと15年です。

関連するキッドのブログ『第24回のレビュー

、『冗談じゃない!・最終回』(TBSテレビ)も見たのだが・・・きっと企画書の段階ではもっと面白くなると誰もが思っていたのだろうなあ・・・そもそも、昔の恋人の娘と結婚・・・という設定がとんでもなさすぎたんだろうなあ。もしも、コメディーにするなら、結局、義理の母とも寝ちゃう、妻は友人と浮気くらいのおフランスな香りがするものにしていくしかないのに、あたりさわりのない純情潔癖モードにするから、笑いもなく人情もないただのつまらないエッセイになってしまったのだなぁ。みんな・・・かわいそうだなぁ・・・特に上野樹里が・・・のだめで築いたものを吐き出してしまったようなものだものなあ。

関連するキッドのプログ『冗談じゃない第一回のレビュー

で、『新・堂本兄弟・ゲスト・阿部サダヲ』(フジテレビ)も見たのだが、阿部サダヲの初恋の人が玉川さんだったことくらいしか、面白くなかったなぁ。『さんまのまんま』とか、阿部サダヲ・・・スカシすぎなんだよなあ。でもしょうがないよなあ。芸風だからなぁ。今度はエビちゃん狙いか・・・ま、しいて魅力もないのに妙にもてる・・・というキャラ(基本的にクドカンの設定だと思う)だからな。男の子たちの夢の結晶として今後もがんばってもらいたいなぁ。

関連するキッドのプログ『福田沙紀の新堂本兄弟

で、『ドキュメント'07・ネットカフェ難民2』(日本テレビ)演出・水島宏明も見た。ワーキングプアものである。スポットライトがあたるのは妻と娘をふるさとに残し出稼ぎにきたままネットカフェ難民化した42才の男性。現在は日雇いハケン労働者としてその日暮らしをおくる。妻子との連絡も数年間、途絶している。彼はネットで日雇いの仕事を探し、食うや食わずである。やがて、ネットカフェ→100円コーヒーのバーガーショップ→公園のベンチと生活レベルは転落していく。コムスンで企業体質の問題が表面化したグッドウィルに矛先が向けられる。日雇い労務者からデータ装備費として200円ずつ搾取した年間15億円の金の行方。持たざるものから全てを奪い取っていく社会はすでに始まっているのだな。ま、年金をちょろまかしている国家ではもはや何があってもおかしくないようだが。

関連するキッドのブログ『痛みは我慢するが腹ペコは我慢できない

火曜日に見る予定のテレビ『サラリーマンNEO』(NHK総合)、気分によっては『花嫁とパパ』『鬼嫁日記・いい湯だな』(フジテレビ)の最終回も見るかも・・・しれない。

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Newimage1hcmpr16 ←クリックするとTVスポットCM版『H☆C THE MOVIE アイドル戦士キャンディー☆ムーン』第13弾アリマス。(アイドル戦士覚醒の巻・中編デス)

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2007年6月24日 (日)

私の真似をしてはいけません。私は天使だからです。私には神様が味方ですから。ってことなのです。(戸田恵梨香)

こうして、ナオ(戸田)とアキヤマ(松田翔太)は結ばれた。・・・数年後。

アキヤマ「・・・これ、何?」ナオ「幸運を呼ぶ印鑑なんだって・・・。印相が悪いと家庭が不幸になるんだって。とっても親切な人が教えてくれたの・・・」アキヤマ「・・・いくらだった」ナオ「100万円だよ・・・ダメだった?」アキヤマ「・・・いいんじゃないか」

アキヤマ「・・・これ、何?」ナオ「ヨコヤさんが保証人になってほしいって。とても大切なことがあるんだって言ってた」アキヤマ「・・・いくらくらい」ナオ「100億円くらい・・・ダメだった?」アキヤマ「・・・・・・・いいんじゃないか」

アキヤマ「・・・お前ら」ナオ「キノコさんとチビキノコさんがどうしてもセックスしたいって・・・しないと死んじゃうんだって・・・」アキヤマ「・・・・・・・・はははははははは、ははははははははは。はははははははははは」

で、『ライアーゲーム・最終回・3時間スペシャル』(フジテレビ・070623PM9~)原作・甲斐谷忍、脚本・古家和尚、演出・松山博昭を見た。ひとつだけ言えることは石田梨恵(岩佐真悠子)の露出が少ないということである。・・・そこかよっ。

一方、エリー(吉瀬美智子)は回想シーンの追加があったりしてファンは喜んだかもしれない。どうせなら私服シーンとか、水着シーンとかも追加すればよかったのだ。

さて「あのお方」はハセガワ(北大路欣也)だったわけだが、エリーは娘だったのだ。もちろん、実子かどうかは不明だが、親孝行だったのである。もちろん、なにやら修羅場の気配も漂うので近親相姦的な関係があったのかもしれない。ハセガワは母に捨てられた子供だったわけだが、今回は父親に嫁を盗まれているのかどうかも不明である。

今回はアキヤマと「勝ったのは・・・あの娘だったな・・・」的エンディングを迎えるのだが、死期を迎えて仏心がついたからって自殺においこまれたアキヤマの母はともかく数々の犠牲者が地獄で待っていることは変わらない。地獄少女か地獄の門番が待っている可能性もありますよ・・・。

2回悪い父親で黒幕役が続くと来期も期待しちゃうが・・・まさかな。

ま、感想といえるのは・・・もうそれくらいだよ。長かったなあ、三時間。

で、残り一時間・・・まずは、アキヤマのターン。アキヤマのつぶしたマルチってのはやはり、グローバルTPSだったのかな。武蔵野支部リーダーをやっていた頃よりアキヤマはやせたように見える。犠牲になった山本博はどうなったのかなあ。

もうお前に勝ち目はない・・・と秋山が断言する。しかし、秋山の持ち主はまたしても激しい欲望に突き動かされるのであった。ナオの言動に虫唾が走ってしまう、心の汚れた人たちはどうしても「人を信じたい」というのも「~したい」のだから「欲望」なのであり、ナオはそのところをスルーしすぎなのだと思うのであろう。しかし「欲望」=「汚辱」という考え方も短絡的と言える。邪な欲望だけでなく、美しい欲望があってもいいじゃないか。美しい欲望こそが希望と言えるのだから。ま、底抜けのバカな美少女とそれに魅了された天才詐欺師という組み合わせだからこそ成立するわけですけど。

「ヨコヤ(鈴木一真)さんだけ負けてかわいそうだしアキヤマさんが復讐なんてこわいことするのやだ」というちょっと「みんなで引き分けにしよう」のナオのターンがあって。たちまち、ヨコヤのターンに「さっき、預金を引き出しておきました空のカード」作戦である。「人を信用するなんてバカですねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」なのだった。

くすんとなったナオ。ヨコヤ顔が近いのだった。アキヤマもさすがに「あのバカ~」である。そりゃ~そうですよ~。しかし、ナオの私物としては何とかしなければならない。差し押さえられてしまうからな。香港コースに乗ったら困るのである。そこでふたたびアキヤマのターン。「カードは再発行、破損カードは勝手に廃棄してくれよ」作戦である。ヨコヤ・・・チェックは契約の基本だろう。そんな初歩的ミスを・・・したのはまだまだ最終兵器を潜めていたからである。

もちろん最終兵器はキノコ(鈴木浩介)だった。キノコは最初からヨコヤの手下だったのだ。おそらく鈴木さん仲間なのだ。

最後のターン。現在引き分け中。火の国の密輸。ここでヨコヤが1億円の密輸に成功すれば均衡はくずれる。いつ、先攻後攻がチェンジしたのかっとか細かいツッコミはさておき・・・ここでついにキノコが神の電撃に撃たれてしまう。「ダウト、1億円」・・・彼はヨコヤを裏切り・・・ついに水の国に勝利のチャンスをもたらす。・・・ま、裏切るのが好きだから・・・という解釈も残ります。

ナオは「アキヤマさん、お願い、ケンカはやめて」光線攻撃・・・。アキヤマは水の国、最後の密輸へ・・・。「人は嘘つきだというのも嘘なんだよな。トランクの中は1億円だ。オレは嘘はつかない。信じるか信じないかはお前次第だ・・・」ヨコヤ「・・・・・・・・・・・・・・・・ダウト1億円」・・・1億円はあった。ヨコヤ(くそくそくそ・・・このオレが引き分けだとこの屈辱は一生忘れん。神め、神の走狗の天使め、天使の私物め・・・いい気になっているがいい、この怨み、必ずや、果たす。地獄の支配者にして闇の王、堕ちた天使の聖なる御名に誓ってええええええええ)なのだな。

四回戦進出が決まるナオたち・・・しかし、四回戦は始まらない。原作が始まってないから・・・。ナオはあいかわらず子供にもだまされている。しかし、大丈夫だろう。少なくてもアキヤマが私物化されている間は・・・あの方の気まぐれによるゲームは中断したらしい。しかし、あの方の上のお方のライアーゲームはまだ続くのである。さらにその上にいるお方が悪魔なのか、神なのかは秘密らしい。

とにかく、レロニラ(声・喜山茂雄)は坂東さんではないらしい。

今回はゲームについてもう語らない。最後に言葉のゲームを一つ書いておく。「この島には嘘つきしかいない。これは本当だ」という男は嘘つきなのか、嘘つきなのに本当のことを言っていてるのか、嘘つきでないとしたら嘘をついているのか・・・言葉など信用してはいけないという言葉である。この言葉は信用してもらいたい。

関連するキッドのブログ『第十話のレビュー

渡辺いっけいの歯が折れたシーン。前歯が折れると人間は凹むのだな。そして悪に走るのだ。

渡辺より生瀬勝久の方が2才年上なのだが、トリック2エピソード1で共演している二人。トリック2で刑事矢部(生瀬)だったのでふと連想したのだが、この二人の共演の刑事ものとかみたいなぁ。なんとなく役柄かぶりの回避が面白いよなぁ。もちろん、実際にかぶるのは生瀬で、渡辺は金歯でいいと思う。ヅラと差し歯の刑事二人・・・二時間ドラマでやってくれないかなぁ。

月曜日に見る予定のテレビ『プロポーズ大作戦』(フジテレビ)

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2007年6月23日 (土)

必殺・美人局返しってつつもたせって意味わかって私に言わせているとしたら大人ってスケベだと思います。(美山加恋)

ま、もう、大人というものは困ったものなのだな。この年からこの世界にいる運命・・・すべての子役たちに幸あれと願わずにはいられないとヒッジョウ(非常)に思うキッドだった。

だが、どんな言葉も誰もが「使って良ーしっ」のキッドとしては各自の黙認をお願いしたいのだった。

ま、相当に際どいポイントだと思いますけど。

自由と平等は常に敵対する理想だと思いますので・・・。

さて、お笑いというものを考えるときにフリオチの二分割に視点を置くと、今回は当然オチであり、そこにはオチとはこういうものだというパターンがいくつもある。

たとえば「悲劇の女」というフリならば「喜劇の女」がオチになる・・・だとか、「純情な少年」がフリならば「スケコマシでオカマ泣かせの少年」はオチになる・・・だとか、「ちょっとコメディタッチな根岸季衣」がフリならば「どシリアスな根岸季衣」がオチになるのである。これらはまあ「キレイに落ちている」と言えるだろう。今回は最終回、三本立てであるが、あくまで本題は「スリルな夜」と言うことです。

で、『生徒諸君!最終回』(テレビ朝日・070622PM9~)原案・庄司陽子、脚本・渡邉睦月、演出・田村直己を見た。死ね死ねドッジボールで始まり、涙の別れのドッジボールで締める。ま、そのフリオチは「なんとなくキレイにまとまったかな」くらいのオチですかね。ここで、もう、この先生と生徒たちの一人一人と別れるのがつらくてつらくて前が見えなくなるという人はそれはそれで幸せだと思う。・・・まさかな。

そうならないのは生徒たちにリアリティーがないとか、事件にリアリティーがないとか、そういうリアリティーのない事件さえ、無難に解決できないナッキーとか、もう、なんか、そういう情けない感じ。そりゃ、紙飛行機もまっすぐ飛ばないよ・・・と思うのです。

同じ、中学生の教室もので・・・最初は「なんじゃこれ度」の高かった「教科書」とのこの落差ははっきりいって実力の差だな・・・。でも、誰の・・・? キッドはまあ、企画者かと思いますが・・・。

「教科書」でいじめっこ処刑者が「教師なら命がけで生徒を守れ」と刃物を振り回す皮肉が挿入されています。学校プラス裁判というややキワモノの「教科書」よりも、ずっとオーソドックスに「教室もの」を出来たはずの「生徒」がそうならずにさらにキワモノになってしまった原因は「3年B組」をパクるという意識の低さにあったと思われます。

まず、ナッキーは原作を完全に無視すること。できれば、可能性は度外視して、大塚愛とか、aikoとか、宇多田ヒカルとかのシンガーソングライター系を持ってくるべきだった。もしも、内山理名だった場合には内山をアーティストとして考え、その素の要素を前面に出すような脚本・演出がなされるべきだった。つまり、「演じるものの理想の教師」が「現実的な教室の不条理」に遭遇し、結果として「熱血」になるという構造的なパクリを目指すべきだったのです。

そうすれば「堀北真希」が「いとこにレイプされそうになって困ってる」場合の「教師・内山」の苦悩がもっと立ったのになぁ・・・とキッドは考えます。暴論ですけど。

関連するキッドのブログ『第一話のレビュー

で、『特急田中3号・最終回』(TBSテレビ070622PM10~)脚本・橋本裕志、演出・金子文紀も見た。今回だけ見ると、どうしてヒトケタドラマなのか、不思議なのだが、結局、最後の田中(田中聖)がまだ発展途上だからということになるのかもしれない。一流商社のOLと三流大学の男子学生との恋は「たっ恋」のヴァリエーションであった。さらに隠されているが「鉄道オタク」の美女と「そういう知的な趣味を趣味としない」植木等的ダメ男という場合によっては「ないものねだり」の可能性をさらに拡大している設定である。ところが、2回目で一流商社がハケンに格下げになったあたりでキッドは離脱した。だってコメディーとして中途半端なんだもの。

途中で一流商社の社会人が三流大学の一年生に啓発されてしまうというシーンがあり、それはあってもおかしくない出来事なのだが演出がグダグダだった。あまりにもありえない描写だったのである。

こういう設定がオタッキーなコメディーの場合、ディティールはものすごく大切なのだなぁ。無責任男は時代もあるけれどそういうディティールはそこそこ徹底していたのである。何よりも、まず、学歴もコネもなくても一流の会社にもぐりこめた時代の産物なのだな。

で、そういう途中経過があって、中小企業の跡取り息子である田中がベンチャー企業を決意するまでのドラマである。しかも、先輩二人を巻き込み、その恋人たちも巻き込んでいくわけだ。とてもハッピーエンドとは思えない終り方だ。もうかなりの確率で路頭に迷うだろう・・・この人たちなのだった。

しかし、まあ、ハケンの女の子と三流大学生との底辺の青春は「鉄道」とそれを利用するだけの財力(給料とお小遣い)によってなんとか彩られている。

最後で田中と栗山千明がキスをしないのがきっとご愛嬌なのだな。そしてその中途半端さと「夢のエンディング」がもう少し、素早く展開していれば・・・よかったのではないだろうか。でも、せっかく「時刻表はすべて頭に入っている」という千明がオチとして機能したのだから、あの後で塚本高史が語るセリフは千明に回すと良かったと思うよ・・・。

とりあえず、最終回はいい最終回だった。

関連するキッドのブログ『第1回のレビュー

で、『スリルな夜・子育ての天才・完結編(次週総集編)』(フジテレビ070622PM11~)脚本・松井洋介(他)、演出・渡辺琢を見た。今回はほぼドラマと言っていいだろう。もうフルだけフッてオトスだけオトシました・・・という感じである。

すべての悪の根源は「夫の浮気」にあるらしい。

大黒鉄男(原田泰造)と金太(ゴリ)の長女(高部あい)の浮気を知った妻・夏子(相田翔子)はお茶の間に灯油、本当はガソリンを撒き、焼身無理心中を図るのだが、実は水だった。

「木蓮の涙/スターダストレビュー」のテーマを残したまま、家出の夏子が訪れたのは・・・心療内科後藤クリニックである。もうこれ以上なく怪しい・故・伊丹十三タッチの後藤(品川徹=風林火山の北条氏綱)が相談に乗る。「浮気をされたら嫌ですが、そういう場合は浮気を仕返すしかないのです。私も妻に浮気されましたが浮気を仕返し、今では週三回です」

一方、「本当はとってもいい人なのに殺人犯と幼女誘拐犯の濡れ衣を着せられたサラリーマン」(篠井英介)は金太の一家にかくまわれ、死に装束で棺桶の中にいるが美々(美山)に「救出したお礼の感謝状」を授与されるが悪徳刑事であるカツ丼刑事(大鷹明良)に発見されてしまう。

夏子を捜す鉄男と息子の慶太(冨浦智嗣)はラブホテルから出てきた夏子と後藤を発見。後藤は白衣のくせに異常に神経を尖らせている。明らかに強迫神経症である。

夏子の所へ行こうとする鉄男は慶太に止められる。「お父さんもお母さんに同じ仕打ちをしたじゃないか・・・」ここでニヤリとする慶太。「あの先生はどんなことをお母さんにしたんだろう。お父さんよりもっとスケベなことをしたのかも。汚れを知らないお母さんの体を何度も何度も弄んで・・・」息子の胸に飛び込んで泣き崩れる鉄男。木蓮の涙のスライド。

一方、ゴリたちは刑事に迫る。「警察は人殺してもいいのかよ」悪徳な笑みを浮かべて「いいにきまってるだろう。お前も言葉に気をつけないと放火するぞ」・・・しかし、その一部始終は美々が仏壇の中で盗撮していたのだった。「仏壇返し」ではなくて「美人局返し」なのだった。(カツ丼刑事は美人局の常習犯を殺害している)

第三の家族「沢田家の嫁姑」は「SM」ではなくて「SMプレー」だった。後藤の指示によりセックスレス治療のためにプレーしていたのだが、ある意味、夫・嫁・姑の三輪車というか、乱交だろう。子供もまきこんだら・・・そりゃパカじゃねえのと言われるさ。ともかく、「SM」と「SMプレー」の違いを知りたい人はまず、自分の恋人を縛ってみるといいだろう。今、キッドがニヤリとしています。

汚い極悪非道のスニーカーの男ではなくて、極悪非道の汚いスニーカーの男ではなくて、汚いスニーカーの極悪非道の男(上地雄輔)は真面目だけど整形マニアの看護師・良江(根岸季衣)に逃走資金を用意させる。しかし、男の正体を知った良江は「やせても枯れても整形しても私は産婦人科の看護師。母親にとっては子供は宝。その宝を傷つけるような男に惚れるなんて不覚だったのさ」とやくざから手に入れた拳銃で自らを撃ち、逃げ出した男を射殺。女の意地を通すのだった。

美優(高部)の子供の父親は元カレ(細田よしひこ)でも鉄男でもなく、ナンパされた白人男性だった。美優、気持ちのいいことし過ぎだった。

夏子は後藤と結婚(おそらく二人とも重婚・・・浅草だからな)・・・競馬でもうけて後藤総合病院を大黒産婦人科の前に建て、夫を見下ろす日々。

そして慶太は美緒(志保)と交際しつつ、同性のカノジョともラブラブという性のゆらぎを満喫(マンガ喫茶の略ではない)というよりも両刀使いに成長した。

さらにサラリーマンはグラビアカメラマンになった。

ついでに金太はまた浮気して妻(美保純)にバッサリ斬られたが一命はとりとめ、鉄男と同居するようになった。まあ、おそらく、二人は夜になったらお互いを慰めあっているのだろう。・・・おぞましい。

美々のその後があかされないのはものには限度があるということだと思う。

関連するキッドのブログ『第十話のレビュー(あらすじつき)』

日曜日に見る予定のテレビ『風林火山』(NHK総合)『冗談じゃない・最終回』(TBSテレビ)『新・堂本兄弟・阿部サダヲ』(フジテレビ)『ドキュメント'07・ネット難民』(日本テレビ)も見るけどね。・・・見すぎだろう。

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2007年6月22日 (金)

・・・私が知りたいのは・・・死人に口なしというもっともなことではなくて・・・明日香はあなたにウソをついたのかどうか・・・それだけです。(菅野美穂)

「明日香は嘘をつきましたか?」という珠子(菅野)の質問に副校長・雨木(風吹ジュン)はついに首を横に振る。無力の死者を冒涜することはできる雨木は生きている珠子をそれ以上傷つけることはできなかったらしい。そしてなぐさめとしてついに明日香の汚された教科書を珠子に返すのだった。もちろん、雨木が狂気の嵐の中で激しく苦悩していることに変わりはないのだが・・・。

すべてのパズルのピースが順調に埋まり、傑作としての輪郭をあらわにした瞬間。もはや、場面のひとつひとつが答えであり、どの場面も見逃せない視聴者に緊張感を要求するドラマである。

よく耳にする疑問「校長先生はいないのですか?」イラッとしながらの答え「います。今回も職員会議に出ていました。無能でお飾りでお荷物なのでセリフがないだけです」

で、『わたしたちの教科書・第十一話』(フジテレビ・070621PM10~)脚本・坂元裕二、演出・葉山浩樹を見た。結局、いじめは犯罪になりつつあるし、犯罪である以上、やがて裁かれるものになるだろう。しかし、犯罪である以上、冤罪はあるだろうし、やがて手口は巧妙になっていくのである。大切なのは「いじめ」をコントロールすることなのだが、それもマニュアル化してしまう。つまるところは真摯な態度と・・・明日香(志田未来)が常に見ていると一人一人が自己暗示できるかどうかなのだな・・・違う気がします。

よく耳にする疑問2「菅野美穂さんの演技ってどうなんですか?」ムカッとしながらの答え「映画『エコエコアザラク』と映画『富江』と映画『催眠』を見なさい。菅野は演技者として天才です」

法廷で雨木が証言台に立つ。「明日香さんは二面性を持っていた。繊細な感受性を持っていた。私は明日香さんとはむせかえるようなキンモクセイの香りに包まれてよく話しました。しかし、彼女は同時に虚言癖を持っていたのです。子供たちは天使であると同時に悪魔でもあります。私たち教師は子供たちの言葉に潜む真偽をよく吟味しなければなりません」

よく耳にする疑問3「珠子は生前の明日香に冷たくしてたのになぜ他人を追及できるのですか?」青ざめながらの答え「人は皆罪人であり、罪あるものは罪なきものにそれを知らしめるのです」

明日香を貶め、珠子を「盲目」と辱める雨木の猛攻。しかし、味方の弁護士も、裁判官もその言葉を信用していない。雨木だけは信念に従い自己の無謬性を強調する。彼女の信念とは「信じるものは報われる」なのであろう。「いじめがあったと認めても認めなくてもいじめはなくならない。息子が犯罪者であると認めても認めなくても息子は犯罪者である。だったら、いじめはないと信じるし、息子は汚れなき天使であると信じるの、信じて信じて信じぬくのよ。そうすれば世界は必ず守られる。人は間違いを犯すけれど、私は間違わない。なぜなら私はそう信じているんですもの」・・・誰かいい医者を紹介してやってくれ。

よく耳にする疑問4「いじめっこを勝手に刺したりしたらいけないのじゃないかしら?」遠くを見つめながらの答え「やり方としては未熟です。しかし、死ぬまで正義の人であり続けるには相手を殺さないことが大切です。いじめはなくならないのでいじめっこを刺す→服役の永久運動が可能です。いわば政府がいじめ対策の一環としていじめっこ刺傷癖のある異常者を税金で保護するというシステムです。ある意味、聖職についていると言えるでしょう。もちろん、家族は崩壊します。より優秀で自立したタイプとして証拠を残さず、いじめっこを処理し、普通に自活して余暇を利用して行動するというものが想定されますが理想的すぎると言えるでしょう。多くを望んでも無理というものです」

そして、雨木の信念も虚しく、ショートサーキットで独善的な死刑執行人のリストにはカネヨシリクが記されてしまう。

「積木」はあくまで搦め手から攻めて行く。「雨木」の心の闇を暴きたい。「雨木」の「息子」との接触に成功するが、「息子」は「母はいじめを明らかにしようとして失敗した。そして今度は隠そうとしている。私はいじめッ子を刺した。そして罪を償った。すべては過去のことです。あえて言えば、私が刺せばいじめは終わるのです」と最後通告をしながら、決定打を与えない確信犯ならではの言動である。おそらく静かなイカリのゲンドウなのであろう。

情報が足りないと感じた珠子は加地の立会いのもと、兼良の事情聴取を行う。

「雨木先生は明日香の相談に乗っていた。証拠の手紙も見た。それは悪戯で埋めた筆箱の中にあった。雨木先生はボクに注意もした。雨木先生はすべてを知っていた・・・」

珠子たちは土中を掘り始めた。その作業を見つめる兼良の目におそらく真の後悔の涙が落ちるのだった。この罪人(珠子)はつぐなえぬ罪のつぐないをしているのだ。その悲しさ。その哀れさ。兼良の知能は人として新たな段階に入ったようだ。

「ボクはボクのしたことを教室で話したい」兼良の言葉に加地の中で何かが壊れた。

雨木副校長に叛旗を翻す加地。「いじめは職員室で起きてるんじゃない。教室で起きてるんだ」攻撃である。そして、主要な教師たちは加地についに味方する。「もう、これ以上、犠牲者を出すことはできません。この作戦は失敗なんだ。それでいいじゃありませんか。国旗掲揚や国歌斉唱に反対するなんていう頭の悪い問題じゃなくて、実際にいじめられて自殺するかもしれない子供を救うための緊急避難です。外圧に潰されるより先に自壊したんじゃ無意味でしょう」なのだった。雨木は教師たちの自立にある意味、感動するのだった。

ついに罪の意識が芽生えた雨木。隠し持つ明日香の汚された教科書の重みを支えきれなくなっていた。これを弁護士に預けよう・・・しかし、珠子はまるで誰かに誘導されるように筆箱を発見し、誰かに誘導されるように雨木を捕獲する。

「私はあなたがウソをついていたと思っていた。でもそれは誤りだった。あなたは明日香を助けようとしていた。手紙まで書いていた。しかし、あなたは無力だった。いじめを認められないあなたはいじめに対処できないから・・・」

「そんなのあなたの勝手な想像でしょう・・・」

「私が知りたいのは・・・明日香がウソつきだったのかどうか・・・それだけです」

「・・・明日香さんはウソをつくような子ではありませんでした・・・」

珠子は金木犀の押し花を雨木に渡す。それは明日香の思い出の品だった。そこに秘められた霊的なパワーの呪縛に雨木は抗することはできなかったのだ。雨木もまた「救いのない気休めのウソに満ちた手紙」の書き手だったのだから。雨木の心のバリヤは破れ、汚された教科書は珠子の手に渡る。それを抱きしめる珠子。失われた愛し子を抱くように・・・。

珠子は泣かないが画面は涙で見えないんですけど・・・。

最後に残された謎のピース。朋美(谷村美月=生物彗星WoO)と半自立的制裁システム・息子(五十嵐隼士=ウルトラマンメビウス)と特撮ドラマの二人が夜の教室で出会う。兼良の教科書を丁寧に引きちぎる息子。「いじめっこは死刑になるべきだろう」と問う息子に朋美は賛同しない。彼女の隠された心も変貌しているのだ。あくびをするほどリラックスした息子。この状況で朋美に何もしないということは性的不能の可能性を暗示している。

彼の独善がそうした機能不全に依存もしくは癒着している可能性は大きい。

特異なシステムが特異なコンプレックスに裏打ちされているのは必然だからな。

フリーホール開始である。当事者の任を解かれついに裁判の部外者となった雨木。彼女が帰宅すると息子のメッセージが「幼いころの無力を象徴する猿の玩具とともに罪人を刺す告知」である。どうしても母親には言っておきたいことがある・・・なのだった。

法廷では「汚された教科書」が証拠として提出される。敵の弁護士(谷原章介)の表情から察するに「勝利の確信」要素はすでに揺らいだ模様。すると・・・兼良の父親の逮捕が大きかったのか。それとも元教師(市川実和子)のダメぶりが根拠だったのか、いずれにしても唯一やや喰い足らず。

そこへ、朋美が登場する。「私に証言をさせてください・・・今すぐに」

一方、職員室には刃物を持った息子が兼良を人質にとって乱入。加地は刺された・・・。

法廷では朋美が「私は明日香と一緒に教室にいました・・・」衝撃の発言。

珠子が息を飲み・・・つづくである。す、すげえ落下速度だな。こりゃあ。

関連するキッドのブログ『第十話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム』(フジテレビ)

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2007年6月21日 (木)

今の自分にしかできないことと今の自分にできることと今の自分のやるべきことと今の自分って何なのかとかもう何が何やらねー・・・・・・。(松本潤)

・・・念願叶う・・・すると目標を見失う。なぜ昇るの・・・? そこに山があるから。・・・山がなかったら? 山を作る。・・・あなたは神様? ・・・違うけど。

ま、人間というか、人の心はノイズのようなものだし、幸福感とかはそのちょっとした断片にすぎないので、ええーっ、オレってなんか間違ってるの? と疑問に思うとどこまでも「幸せな気持ち」から遠ざかるということですね。ええ、昔からこの手のことは「贅沢な悩み」と識別されますよ。オレって現役のアイドルが彼女なんだけどもうちょっと飽きてきちゃった・・・みたいな。

何がパスタアシスタントだ。ポモドーロ担当だ。それも幸せか。フライパンは一つか、鍋は二つか、それも幸せか。いやだー、仕事ばっかで。いやだよー、人生が終るなんて。仕事は仕事で割り切るが、オフの楽しみが何より大事。趣味に生きたい俺のゆとりライフ。笑っちゃうよ、仕事人間。笑っちゃうよ、情熱大陸。何のために生きているんだこの俺は残業なんてしていると短いぜ、自由な時間。あー、遊んでやるっ。

ま、仕事に情熱を見出せない人が、情熱を見出している人に説教しているというのが笑えるし、その説教で情熱が少し醒めるというのがまた笑えます。人間って面白いなーっ。

で、『バンビ~ノ!・第十話』(日本テレビ・070620PM10~)原作・せきやてつじ、脚本・岡田恵和、演出・佐久間紀佳を見た。二年目の春が来てバンビは厨房にたった。ラクダ、ロバ、ラバ、ポニーなど偶蹄目、奇蹄目の入り乱れるヒヅメな厨房にバンビ参戦である。厨房入りを記念してイタリア料理のメニュー的にレビューを調理してみます。・・・なぜ?

アンティパスト・・・。前菜である。ま、オーダー的にはその前にアペリティーヴォ(食前酒)とストゥッツィキーノ(先付け)があるわけである。あすか(香里奈)がアンティパスト担当であり、先付けのおつまみなんかもきっと作っていたのであろう。ブルスケッタ(ガーリックトースト)やクロスティーニ(カナッペ)だとか、いわしのマリネやグリーン・オリーヴだとか、ちょろっとしたものが先付けである。前菜は生ハムメロンだとか、トマトとチーズのサラダとか、アーティチョークの詰め物とか、ちょろっとしたものにさらにちょろっと一手間かけました風のものになる。今回は新体制の発表があり、バンビがドルチェでなくて織田(ほっしゃん)ががっかりするところまでが前菜と言えるだろう。

新体制では、カトリーノ(佐藤隆太)がメインデイッシュ。あすかがパスタ。バンビがパスタアシスタント。下っ端(向井理)がアンティパスト。セーラーヴィーナスこずえ(小松彩夏)がアンティパストアシスタントとなる。こずえ、いいのか、それで。イタリア人たちも納得なのか。

プリモ・ピアット(一の皿)・・・。このドラマでは主にパスタ担当としてイメージされているのだが、一の皿は一般的に三種類あると言える。パスタとリゾットとズッパ(スープ)である。スープはお店によってはミネストラと呼ぶし、パスタ・リゾット・ズッパをまとめてミネストラという場合もある。イメージとしては炭水化物系をスープと合わせた料理なのである。つまり、スパゲテイーにミートソースをかけ、焼き飯をイカスミで煮込み、ミネストローネにコメやパスタをぶっこむということだ。まあ、イタリアンなお茶漬けなのである。あるいはイタリアンなママの味です。

昔、パスタがスパゲッティーと呼ばれていた頃から、パスタといえばイタリアンっぽいのでこのドラマでもパスタは前へ前へと出てくるのである。だから、とにかくバンビはパスタアシスタントなのだった。新体制スタート。っていうか、いきなり、フルモデルチェンジではないのかっ。大丈夫なのか。・・・で、案の定、ギクシャクしてしまう厨房なのだった。この場合は中学生を指す中坊ではないので念のため・・・誰だ、誰が誤解するというのだ。もちろん、馬系の動物がひしめく厨房なのでバンビが蹴られるのは必然なのだった。

ここで話し合いがもたれるのであった。フルモデルチェンジのギクシャクだから、いろいろな問題点があるのだが、焦点は絞られる。バンビの出世である。アシスタントからポモドーロ係長に格上げなのだ。ここでパスタ・ソースについて知っておく必要があるだろう。パスタにもペンネ・リガーテやらスパゲッティやらラザニアやら様々な種類があり、パスタソースにも様々な種類があるのだが、基本中の基本であるペペロンチーノは別として、バジリコのジェノバ風ソース、ミートソースのボローニャ風、そしてトマトソースのポモドーロがポピュラーなのである。バンビはこのポモドーロ系担当に抜擢されたのだ。・・・しつこいようだが、こずえ、これでいいのか。ま、キャスティング的なアレだからな・・・。

そして、新体制のマイナーチェンジ始動。パスタ改は有効に機能し始める。大人になったバンビは先輩あすかをたてることもできるようになった。ツンデレ陣としては面映いのである。ツンデレについてはも説明しておくべきか。ツンツンデレデレの歴史は古く、解釈は様々だが、主に内面如夜叉外面如菩薩の逆パターンであるとするものと、時間経過によって最初は馴染まなかったが最後は別れんが悲しくなるほど親密になるものが王道というものがある。前者は星一徹であり、後者は風の又三郎に対する在校生一同と言っていいだろう。パンビーノは全員がバンビに対して星一徹というありえない世界なのだ。それはともかく、ついにバンビの作ったトマトソースのパスタがお客様の口に・・・。

閉店後、オレザク与那嶺(北村一輝)に一番聞きたいことを聞くバンビ。ホールのシャー「うん。君の愛はボクの手を経てお客様に伝わったよ。それは素晴らしい愛だったさ。みせてもらったよ。君の愛の性能とやらを」・・・バンビ、分かってるのか・・・ホールでの仕事があって・・・このコミュニケーションができるってこと。っていうかガンダム禁止だってば。

セコンド・ピアット(二の皿)・・・。ファーストガンダムより、ゼータの方がメインだというのかっていうか・・・禁止だってぱ、いわゆるひとつのメイン・ディッシュである。イタリアンは肉食人種であるから、基本的には肉料理である。もちろん、魚肉だって肉だし、ダイエット嗜好が強まると魚だっておろそかにはできないが、やはり肉なのである。肉といえば、牛だが、イタリアンは羊だってウサギだって小鹿だって食うのである・・・バ、バンビ。・・・ああ、ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ(Tボーンステーキ)が無性に食べたくなってきたぞ。ウーノ!お願いします。

ここで仕事が半人前なのに趣味は一人前かもしれない先輩と遭遇するバンビ。・・・まあ、たとえば書くことが好きで作家になって朝から晩まで書いてる時に、先輩作家から、一日中机に向かっていて・・・幸せかい?なんて聞かれたりすると、答えにつまるっていうか、困っちゃうことってあるよな。ま、人それぞれだって言えばすむ問題だけど。

職人仕事っていうか、スキルを磨くことは達成感があるし、熱中しやすいムードはある。もちろん、いや、本当はどんな仕事にだってそれはある。お百姓さんは自然と格闘するわけだし、販売員は顧客と格闘するわけだ。相手を殺すワザを磨く喜びはどんな職種にもあるはずなのだが、人間は飽きる動物だからな。仕事バカになったらつまらないという考え方はあってもいい。バンビがホールで厨房でプラスになることを学んだように。しかし、歯医者のくせに古武術に熱中して治療技術がちっとも向上しない歯医者は客を失うけどな。

・・・すっげえ、極私的なたとえすぎないか。ま、いいか。この他にも家族サービスとかも大切だっていう考え方もあるしな。だけど、仕事に情熱を傾け、オフはクルーザーで外洋に乗り出し、夏休みにはディズニーランドに入り浸り・・・そんな人生は滅多にないと言える。ま、普通の人はほどほどでいいんでないかい。

人はなぜ、夢中になるのか。キッドの回答の一つは「いつか死ぬことをひととき忘れるため」である。そういう意味で「愛」もまた現実逃避にすぎない。最高に愛しい人と最高の愛の営みをしている時、人は我を忘れるものだから。

だが、そのひとときが過ぎ去ったときに「ねえ、私たち、こんなんでいいのかな?」とか言われると「いいのかって・・・よくなかった?」と心が騒ぎ出すこともあるのである。・・・脱線しているだろう。

ゆらぐ、バンビの心。たちまち、いつものバンビに・・・。せっかく、ほっしゃんが愛のエモーション、誘いのモーションをかけてトレイントレイン走って行け、トレイントレインどこまでも・・・曲違うぞ・・・でもカラオケパプで本人の生歌聴いたまだまだ青春時代の思い出の曲だから・・・いいか・・・と歌い「作戦成功に犠牲はつきものだ」と諭されても気が晴れない。

そこへ、恵理(吹石一恵)登場。

チーズ・・・。メインディッシュの後はドルチェ(デザート)でもいいのだが、まだお腹に余裕があるイタリア人はチーズを食べるのだ。ホールにいた頃のバンビはよく、パンをお客様に補充していたのだが、これはチーズをオーダーしたお客様へのサービスだったりするのである。ゴルゴンゾーラ、パルメザン、ペコリーノ、フォンティーナ、タレッジョ、モッツァレッラ、マスカルポーネ・・・チーズはいいよね。チーズとパンで暮らせるよ。

もちろん、あの愛のときめきを濃厚なチーズの香りとともに・・・と期待するのだが、職業がんばらなきゃドラマの色合い濃いこの作品・・・無理だった。あくまで、職業的な問題で悩むもの同志の励ましあいなのである。「仕事のことが不安たい」「オレだって・・・不安たい」「でもがんばらんばならんとね」「がんばらんばならんたい」「そうったい・・・仕事ばせんと」「・・・仕事は仕事ったい」「・・・あればせんとね?」「・・・あればしてもよかね?」「特別ったい・・・あ・・・上司から呼び出しかかったごたある」「そげなあああああああああああああ・・・」

で、ドルチェ・・・なのだが・・・バッカナーレのシェフとサンマルツァーノのシェフのパンナコッタ(生クリームの煮込み)かよ。後味重すぎ・・・。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『スリルな夜』(フジテレビ)「生徒諸君」と「特急田中」も最終回だからチェックはするけどね。

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2007年6月20日 (水)

もしもあなたが自分が死んでいると感じたらそれはフィクション・・・生きていると感じたら・・・それは・・・。(松山ケンイチ)

ついに最後までスパイというものにリアルを見出せないまま、去って行くニコロボ。つまり、ロボットも幽霊もニコロボにとってはメルヘンなのである。ま、それはそれでファンタスティックなのだが、もう少し、リストカットすれば血は流れ、金のために国を売り、飛行機で一時間の場所で子供が大量に飢えて死ぬ・・・そういう現実というフィクションの凄みも見せて欲しかった・・・。ま、贅沢なのでしょうが、視聴率を考えるとそういう努力を促すのは見当ハズレじゃないのです。

くりかえしで恐縮だが、原作者がなんと言おうと原作レイプな作品だったし、セクロボではなく、ニコロボだったのだと思う。コンテンツとしては魅力的だったが、とても許容できない部分もあり、せめてDVDがそこそこ売れるといいなあと思う。そうすればもういちどロボとニコに会えるかもしれないからなあ。

見世物だから、客が大入り満員であればどんな小さな笑いも誰かに受ける可能性がある。しかし、選ばれた客が小さな笑いを見逃さないというステージはどこか歪なものである。だって、所詮、娯楽なのだから。

ニコが小心者でロボが小林聡美以外とはセックスしない。そういうニコロボもあってもいいが、セクシーボイス使われなさすぎだし、ロボは弱すぎである。事件はいつも2/3ぐらいで解決し、1/3ぐらいは後日談という異常な構成も一時間(実質45分)番組のツボをはずしているだけと見えてしまう。・・・残念だなぁ・・・。でもね、毎週、とっても楽しみだったの。それだけはホントなの。毎週楽しみで見終わるとガッカリ。それはすごいことだよね。きっとそうだよね。

で、『セクシーボイス アンド ロボ・最終話』(日本テレビ・070619PM10~)原作・黒田硫黄、脚本・木皿泉、音楽・中塚武、演出・佐藤東弥を見た。原作は未完、ドラマは一話放映中止・・・つまり、世界に人知を越えた「なにものか」が存在するとすればそれが嫌がっている気配は感じられる。このストーリーにはなんらかのタブーが含まれているらしい。

もちろん、それは「人知」を越えているので人がコンタクトすることはできない。うっすらと気配を感じるかもしれないが、それもいわば錯覚である。よく、「人知」を越えたコンタクトの話をする「人」がいるのだが、そういう「人」は「人知を越えている」ので基本的に「人でなし」である。まあ、中には単なるビョーキの人もいるわけです。

もちろん、フィクションに関わるものは「先人」の功績をムダにはしないものだ。どれだけのものが「人知をこえたなにものか」について空想し、「不思議」を積み上げてきたか。充分に敬意を払わねばならない。しかし、その知識は魅力的なので魂を奪われないように覚悟も必要である。キッドはそういう時、とりあえず眉にツバをつけておく。

「サイキック」という言葉がある。ストレートに日本の言葉にすると「超能力者」である。しかし、同時に「精神異常者」もまったく同じ意味である。たとえばテレパシーという由緒正しい超能力があるわけだが、「人の心がわかる」などと言い出す人間はちょっとおかしい人なわけで、たとえば細木さんや江原さんが「見えないものが見えない」と言い出すときはおかしなことを言っているのがおかしくて面白いのであり、つまり精神病患者の芸能化なのである。美輪さんなどはウルトラスーパーデラックス精神病芸なのであり、人というよりも神に近いワザの持ち主なので尊敬に値するのであるよ。・・・う、ギリギリかなあ。先生、低次元を彷徨うキッドの言うことですから怒んないで。

ま、以上のことを踏まえて三日坊主(中村獅童)の霊に会いにいくことにしよう。もちろん、幽霊なんていないと信じてるし、夜中に一人でトイレに行ける人はふまえなくてOKです。

逃げた鳥(セキセイインコ)が帰ってくる。しかし、鳥が見えるのはニコ(大後寿々花)だけである。貧乏でいさかいの耐えない両親(片桐はいり・塚本晋也)、男狂いで暴力的な姉、イヤになる家族。学校では成績も悪く、しかし、特殊な能力があるために浮いてしまう・・・馴染めない。何もかもがイヤになったいい子のニコは精神に異常をきたしたようである。

そんな、ニコの心の支えはロボである。ロボットオタであるロボはずっと前からもっと激しく病んでいて、当然、見えない鳥は見えるのだった。

ニコ「どうしてみんなには見えないのかな」ロボ「・・・きっと幽霊だからだよ」

二人の心が病んだ中学生と社会人はさらにずっと心が病んだ二人がやって来る。一人は元スパイだと思っている老女・マキ(浅丘ルリ子)、一人は現役のスパイだと思っている青年・ナナシ(岡田義徳)である。四人は「三日坊主」という自分が殺し屋だと思っているキチガイを縁に出会ったのだ。

マキ「幽霊が出るらしいの」ニコ「・・・見てくる!」

そして、ニコロボは三日坊主(の幽霊)と再会するのだった。もちろん、殺し屋やスパイの実在を疑わないキッドにとってはすべてはリアルな話だが、作者も多くの視聴者も馴染みのない出来事なので「なんだかなぁ」と思うことは必然である。殺し屋の幽霊に会ったことのある人手を挙げて・・・・はーい・・・俺だけ?・・・なのではあるまいか。

こうして、現実を逃避しようとするニコと世界とはスパイ映画のカーアクションで車体をこすりあって火花を散らせる二台の車のように敵味方となるのだった。

そんなニコの前にどちらかといえばセクシーボイスな転校生(岡本杏理・1リットルの涙・特別編からここ)が現れる。「言いたいことをはっきり言う」転校生にニコは「言いすぎするといじめられる」と忠告したりする。もちろん、本来のセクシーボイスはどちらでもない。群れから離れ、「やりたいことをやる」悪い子供なのである。そういう子供をどうしてもヒロインにできない意地が誰かにあるらしいことは明白だ。もちろん、「言いたいことを言う」転校生は「やりたいことをやる」セクシーボイスに「何事もあわせる」ニコよりは近い。

ニコは内なるセクシーボイスの魂が疼き、転校生にときめくのだった。ひどいことにむーちゃん(梶原ひかり)は善意の全体主義者の仲間入りである。・・・キッドは本来のむーちゃんの魂・・・ゴッドハンドでニコの親友・・・に涙しましたっ。だめだよーっ。そんなアレンジしちゃ、ダメーっ。・・・む、虚しい。

三日坊主の幽霊は現世を彷徨う。神出鬼没である。三日坊主は前世の記憶を失っていたが、ニコやロボと行動を共にするうちに次第に記憶を取り戻すのであった。まあ、ニコやロボが生前の三日坊主を思い出すということです。三日坊主はポルターガイスト現象を引き起こしたりするが、基本的には死者の無力からは逃れられないという設定。自分を殺した相手(北見敏之)を呪殺することも不可です。まあ、ニコが念力の持ち主だったという考え方もあるわけです。超能力ものではありふれたお話ですが。ニコが犯人の顔を知らなかったのが幸いだったということです。

三日坊主の幽霊のディティールが弱いのは現実世界ではロボは智恵遅れの障害者であり、ニコはふつうの中学生。ロボにとって過去はいつも曖昧だし、ニコにとって二ヶ月前ははるかな過去なのだという解釈もできます。

やがて現実世界で直面する問題を解決するたびにニコは霊界と縁が切れていく。鳥が見えなくなり、三日坊主が見えなくなるのだ。つまり、正気に戻っていくのである。

その頃、マキの恋人が死ぬ。近親者の死は精神異常のきっかけとしてはありふれたものだ。マキの病は一段進み、三日坊主が垣間見えるようになる。

三日坊主「任務があり、燃えて、人を殺し、それはある意味ゲームで、楽しかった」

マキ「そうね。世間はそう思わないかもしれないけれど・・・」

マキは旅立ちを決意する。現役に復帰しようと思ったのだ。

マキ「あなたは現実にもどってもいいのよ」

ナナシ「私はどこまでもお供しますよ・・・」

マキ「あの娘のことはいいの?」

ナナシ「堅気には堅気の幸せがありますから」

こうして一海(村川絵梨)の恋は人知れず終った。

そして地獄耳ばかりでついにセクシーボイスにはなり得なかったニコ。きっとスパイのことを何も知らないこの国の人々にはすべては絵空事だったのだなぁ。彼女はまた普通の女の子に戻っていく。あなたのとなりにスパイのいない世界。好きでもない男の子を好きと言ってなんとなくその気になっていく世界。

その世界には智恵遅れの他人であるロボは面倒くさいばかりなので疎遠になっていく。力のない正義、快感のない恋は・・・物足りないのだから。ロボは久しぶりの白痴美キャラ・・・素晴らしかったなぁ。

そして、いやだけど家族だからと家族に埋もれながらいやだけどこれが社会だからと社会に没して・・・ニコは世界で自分を救えるのは自分だけ・・・という夢も希望もない言葉を残し、去って行くのだった。星の降る夜・・・受験勉強やら、円安やら、品質管理やら、合コンやら、携帯電話の新機種交換やら、日常生活につまらなさと紙一重の喜びを見出し、時々、スパイとしてロボをパートナーに冒険を繰り広げ続ける夢を見るだけの・・・空虚な現実に向かって。

ニコ「とても面白い夢を見たけれど・・・どんな夢だったか思い出せない」

クリスチャン(バテレン)はリボルバー(レンコン)で血まみれ(トマト)で爆散した(はマックス)・・・そういうテイストのセクロボも見たかったなぁ。とキッドは思う。

関連するキッド『第十話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『私たちの教科書』(日本テレビ)

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2007年6月19日 (火)

・・・忘れてた・・・よろしくお願いしますって・・・言われてた。俺、お願いされてたのに・・・何やってたんだぁぁぁぁ。(山下智久)

子供の頃の約束なんか関係ないのか。子供の頃の約束も約束なのか。どっちにしろ・・・そんな大切な思い出を今頃思い出すのかーっ。・・・ま、ドラマだからな。

さあ、巨乳アイドル女優の名を伝説に刻むためのファイナル・ハレルヤ・チャンス・・・違うだろっ。

も、盛り上がってきたーっ。しつこいようだが、多田(藤木直人)悪なんだろーっ。いい加減、正体見せてくれーっ。

ロマンスとしては幼馴染・初恋の人・一心同体のカレか、高学歴・高収入・守ってくれそうなカレか・・・どっちを選ぶという古典的月9の世界へ。もう、答えは決まっているじゃないかーっ。やだなぁ。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「生徒諸君」↗*7.9%(このドラマの失敗っていろいろありすぎるけど・・・ナッキーをやらなかったことかな・・・ある意味「孤独な賭け」と連結)、「特急田中」↘*6.8%(斉藤慶子をもっと出して心理的な夫婦、親子の葛藤を描きつつやればよかったのだな)、「ラピュタ」19.9%(次はアナログTVサヨナラ祭りの頃かな)、「スリルな夜」↘*6.2%(ま、ほとんどあらすじだからな、「時効」までの前座・・・でなくなったし)、「喰いタン2」↘13,3%(みんな長い最終回が好きなのだな)、「ウソゲ」↘11.4%(構成の破綻がやや下げでよかったね)、「風林火山」↘20.3%(景虎でるでるサギが叱られないといいのですが)、「冗談」↘12.0%(平均視聴率順位①プロポーズ16.9%②バンビ14.3%③夫婦道13.7%④喰いタン13.6%⑤副署長13.5%⑥冗談13.4%・・・なんか3位争いすごいね)、「POTA猿の惑星」14.1%(だからなんで猿にできる着陸操作が・・・)以上。ちなみに「P大作戦」↘17.2%、「月曜ゴールデン・示談交渉人」17.5%・・・なるほど。最終回20%越え楽観できないのか・・・。

で、『プロポーズ大作戦・第十話』(フジテレピ・070618PM9~)脚本・金子茂樹、演出・成田岳を見た。音楽・吉川慶なのだが、ピアノのイントロが長いテーマがちょっとフェイクなのではないかというシーンがあった。もちろん、多田と礼(長澤まさみ)がお互いの意志を確認しあう場面である。

ここは不安なイントロから明るいテーマへと抜けていくのだが、どうも、多田と礼の心情がすれちがっていく演技になっていたのである。ま、「わたしたちの教科書」で多用されたのでちょっと神経質なのかもしれないが・・・。

多田「ボクと結婚するのが不安になってたりして・・・」礼「答えがあるかどうかわからないけど答えを探しにいくのもありだって多田さんが教えてくれたから・・・」多田(え・・・ということはボクとの結婚に幸せ感じてないのか)多田「えらそうに言ったけどボクも昔はいろいろあったからね」礼「多田さん、涙の理由をききませんでしたね」多田(それを聞いたら健と君の中がそうなんだって分かってしまうから素知らぬ顔ができないだろう。うかつで何もしらないからいい人ってイメージが維持できないじゃないか)「まあ、昔よりも未来が大事だからね。君が過去にどうだったか・・・よりもこれからボクとどうなるか・・・だろう」礼(そうね。そういえば私って過去のこの人のことを何も知らない。連続婦女暴行犯だったり、いじめで同級生自殺の主犯だったりしたらどうしよう)「・・・はい?」・・・こうして二人の間に初めて亀裂が入ったのである・・・入るかーっ。

フリーターカップルのツル(濱田岳)とエリ(榮倉奈々)はついにキスシーン。ツルの両手にソフトクリームを持たせて行動の自由を奪っておいてキスしたエリ。ちょっと舌なめずりしていたぞ・・・。なんか・・・肉食っぽいのですが。ツル、気をつけろっ。

そんな、エリのアルバイト先、バーガーショップのインテリアとしてマスター(菊池健一郎)が仕入れてきたものは・・・。ミラクルなのか。そこがミラクルなのか。サイズぴったりだから抜けなくなっちゃったのかーっ。

さて、ラスト・ハレルヤ・チャンスで過去に戻った健(山P)は妖精から次のようなアドバイスを受ける。①奇跡の扉を開く鍵はお前の中にある。②奇跡の扉の開く場所にいなければならない・・・なのだった。どこですかーっ。どこにあるんですかーっ。

しかし、戻った過去はブライダルサロン。礼はウェデイングドレスを選んでいた。だから、絶対絶命だろう。しかも、夜には多田のなにやらステータスをあげる授賞式があるらしい。それをお手伝いする約束まであるらしい。例によって過去健・・・グダグダである。ま、時々、半日ぐらい記憶がなくなったり、給料全額消えたりしたら、おかしくなっちゃってもおかしくないけどねーっ。むしろ、日常生活を維持できてるのが偉いのかも。

「お互いの知らないことがどんどんふえていくねー」高校時代の友達たちが少しずつ疎遠になっていく。もちろん、あまり仲がいいのは考えものだ。特に美人のヨメをもらったりすると同窓会などという話を聞くと夫は探偵社に電話したくなるものだ。もちろん、美男美女のカップルだと夫がかけるその電話を妻の雇った探偵に盗聴されているわけだが。

ここで、ドッキリカメラ展開。本人たちに内緒で関係者のインタビューである。テレビがいつもやっていることなのでこの部分、突然、リアリティーが増加したような気がするのだった。

花嫁の父(森本レオ)の話をいただくミキオ(平岡祐太)・・・今回はまだ未来健には気がついていない。父の話は「娘の知らない部分を知っている男なんて許せん」というエッチな話でした。ダメ男の匂いをかぎつけるチビ。一方、母(宮崎美子)は「おじいちゃんも婿は健だって死ぬまで言ってた」「礼も高校一緒がいいとか言ってた」「特別な存在だと思っていた」「女の勘では結婚相手は健」「だって子供の頃にすっごいインパクトあったでしょ」・・・もう貴重な情報の乱射である。嫁の母の心をつかんでいるじゃないか。健。

「オレが一生面倒みますから・・・」「よろしくお願いします」

全国の小学生とキッドが泣いた・・・笑っただろう。このシリーズ最高の名場面だ・・・まさみも山Pもでていないだろう。・・・いや、これまでの積み重ねがね・・・。

そして、相変わらず健と礼が話していると「礼、ちょっといい」と礼を引き離す多田。・・・怪しいだろう。怪しいだろうって言ってんだよおおおおおお。

しかし、ついに眠っていた補助エンジンに火が入ったらしい。走り出す健。礼をつかみ、さらに二人で走り出す。流れ出す桑田。おーっ、そうきたか。本当に最後のタイムスリップか。でも二人はどこに。ともかく、男性視聴者はもう揺れている乙女心のことしか記憶にないまま、つづくである。

今回のテキストは『高い城の男』(P・K・ディック)である。まあ、ディックには「去年を待ちながら」とか、時間テーマの作品は多いのだが、この作品はまたしても純然たる時間旅行ものではない。後期になるともうほとんど神学論争というか、怪しい宗教と紙一重のディックなのだが、この作品はそういう形而上文学と娯楽作品の中間ぐらいにある。

主人公はいない。ま、あえていえば高い城に住む男がそうだが、彼をめぐる周辺の人々が物語の軸である。第二次世界大戦で枢軸側が勝利した世界。アメリカ合衆国はドイツと日本に分割統治されている。つまり、作品全体がある意味、逆転した社会。さかさまの世界なのである。

厳しい文化的な抑圧・・・日本サイドに住むアメリカ人は「わび」「さび」とかを理解しないとてんで話にならないのである。まあ、自虐的と言ってしまえばそれまでだが、こういうのをアメリカ人が書くというのが「おつ」なのですなあ。

アメリカ人たちはなんとか支配階級の心をつかもうとする。たとえば「易」だ。いや、易は中国伝来だろうとかいう話はさておき、白人の旦那にはチャイニーズとコリアンとジャップの区別なんてどうでもいいことなのでがんすよ。

当るも八卦当らぬも八卦である。つまり、それは未来を予測するという人の願いの象徴である。

ニセモノの過去とニセモノの未来・・・ディックらしいテーマが展開していく。

それは「昨日までのあなたの愛は本当ですか、明日からのあなたの愛を信じてもいいのですか・・・」という人間の哀れでしかもやわらかい部分を描いていく。誰がどう見てもケンゾーの愛は不合理で、非合法で、勝ち目なしですが・・・それでもいいじゃないかという結論が津波のようにやってくる予感がします。とりあえず高い城の男の正体はヒミツにしておきます。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『バンビ~ノ』(日本テレビ)

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Hcinhawaii0203 P祭り開催中なのでPごっこレポートをお届けします。お気楽「だから、健は写真に写らないように逃亡すればいいのにーってずーっと言ってるのにーっ」アンナ「もう、最終回だけ見ればいいよね。もう最終回しかないけどね」ads(あず)「私は奇跡を信じる派・・・少数派ですが・・・チャンスは必ずありますから・・・」みょうがの芯「私は・・・冗談じゃない派・・・」かりん☆スー「健ーっ。私の健ーっ。だからレビューたっぷりー。いつもだけど・・・」

Hcinhawaii0204 お気楽「まっとりあえず、ボンバーってことで・・・」アンナ「ボンバー」ads(あず)「ボンバー、イェーイ」aki「ボンバー、気分はもう夏ドラマイェーイ」ろーじー「ボンバー、パンビ~ノは→こちら」シャブリ「ボンバー、帰ってきた時効警察も終わり、セクロボも今夜で終わり・・・淋しい・・・でもアントニオ小猪木・・・ウフフ」ikasama4「Bomb A Head!カモーン、エリー・・・マイ・ラブ・ソー・スイート・・・70%」

Hcinhawaii0205 まこ☆ミキ「しまった・・・出遅れたのデス。そうこうしている間になんだか急展開デス。自分でいうのも何なのデスが、もう、礼はフジッキーでええんじゃないかのぉぉぉぉぉ」みのむし「最終回だと思って早目に家を出たのに健が意外な行動に・・・ま、それならそれでフジッキーはいただきですが、フジッキーファンも納得の最終回になるのかしら・・・」

Hcinhawaii0206 ちーず「最終回直前なのでスペシャルゲストしてまーす。よろしくお願いします。もうすぐ一千万アクセスなのです」お気楽「ラストーっ」アンナ「ハレルヤーっ」ads(あず)「チャーンスっ」

Hcinhawaii0207 かりん「待ってました~」

Hcinhawaii0208 かりん「Pちゃんっ」

Hcinhawaii0209 mari「Pちゃまっ」

Hcinhawaii0210 ぷっち☆翠「山P!」

Hcinhawaii0211 翠「もう、いいのです。このまま、どこまでもゆくのです。世間体とか、辻褄とか、関係ないのデスーっ。ぎゃぼーなハッピーエンドでぼぎゃーんデス!」mari「一発逆転よ~、求めよ、さらば与えられんなのよ~♪♪」かりん「いけっ、ケンゾー、もう、どんどん、走ってーーーーっ」翠「・・・ちょっと変な看板」

Hcinhawaii0212 ミマム「あらあら、なんか、世界的なナイスボディーな感じに・・・。こ、これはコーヒー焼酎の飲みすぎ・・・?」

妖精「いえ・・・お別れの時が近付いているのです・・・今、おみやげタイムです・・・」

♡♡♡♡岡田ひとみ情報♡♡♡♡

で、『嵐の宿題くん』(日本テレビ・070618PM1155~)も見た。後半の新コーナーに本物は誰だのバリエーションあり。ここで「フェイクのごちそう」として岡田ひとみ作品が使用されました。メイキング映像あり・・・編集担当D様、できれば完成ニッコリの絵入れてくれよ~。ねんドルなんですから~。でも相葉くんとマナ・カナ騙したからいいか。

Hcinhawaii0213 三人を騙した作品はねんどのフォアグラのソテー。ひとみュータント、また腕をあげたな・・・。岡田ひとみのプロフィールはコチラです

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2007年6月18日 (月)

種子島なんて馬糞ほどにも役に立たないなんてオレが教育したから勝頼様はあんなことになっちゃうのか?(内野聖陽)

かもね。そうかもね。でも、それを知らずに逝っちゃうんだから。ま、いいじゃん。ともかくそれは遠い先の話だ。

まだまだ、勝頼は生れたばかりの赤子である。それは天文15年(1546年)のことだった。

このドラマでは山本勘助(内野)は河越夜戦で銃創を負い真田幸隆(佐々木蔵之介)に救われる。このため、1546年の武田家は勘助不在で進行して行く。

なかなかに劇的であることよ。

で、『風林火山・第24回』(NHK総合・070617PM8~)原作・井上靖、脚本・大森寿美男、演出・清水一彦を見た。サプタイトルは『越後の龍』なのだが、この年、長尾景虎(Gackt)は17才である。すでに天才的武将として頭角を現している。半端でないのだ。二年後には正式に越後守護代になってしまうのである。しかし、今回はほんのちょっぴり顔出しである。ま、戦国の中にあって相当の変種なので、もうかなり際立ってます。

ikasama4様のレビュー越後の虎イラスト付はコチラです。

さて、今回は見せ場たっぷりである。まず、「真田幸隆が武田傘下に入ることを決意し妻(清水美砂)は恩讐を乗り越えて夫に従う」の場。関東管領・山内上杉氏の保護下にあった幸隆だったが、関東管領軍が北条に敗れたので主家を見限るのだ。

本来、真田幸隆の出自は諸説あるのだが、海野氏の一族であるのは明らかで、妻の実家・河原家はその家来筋。義理の兄がなんだか偉そうに幸隆を責める場面があるのだが、これは本末転倒である。家来の分際で何をかいわんや・・・なのだが、ま、下克上ということで・・・。「非力な関東管領よりも領地を取り戻せるなら親の仇の武田家に組するのも可」という苦渋の選択が内助の功の真田妻の見せ場なのだった。後の長篠の戦いで戦死する信綱・昌輝兄弟もいい味だしている。運命は四郎勝頼の周囲ですでに動いているのだなあ。

一方、軍師山本勘助、死亡説の流れる武田家。由布温泉で原作者が執筆したために由布姫と名付けられた名もない諏訪御料人(柴本幸)の長男誕生を見舞う武田晴信(市川亀治郎)がまた見せ場を。「妻も頼りにしている軍師の不在を隠しているうちに話が妙な方向にいっちゃった」の場。ここでの晴信の心の動きは見る人によってかなり変わるのではないか。

「妻が勘助を頼りすぎるのでちょっと嫉妬」説。「妻が勘助の死亡を知らないのがちょっと哀れ」説。「勘助は情け知らず、晴信は情け厚い人という評価に甘くみられている可能性があると自己批判」説である。

まあ、人間は一筋縄ではいかないから、「嫉妬」やら「哀愁」やら「自己批判」やら様々な情念が入り乱れて常と変わらぬ動きをしたという展開です。

それが内山城攻めの戦の仕方に現れる。長窪城攻め(1543)の残党討伐戦であり、佐久の地の支配戦の前哨戦でもある内山城攻め。翌年(1547)の志賀城攻めと並んで、佐久での晴信は残虐と称される。つまり、根きりをするのである。どのように占領統治を行うかは大きく分けて二つ。許して使うか、根きり(殲滅)をするか。である。平氏は源氏を許し、源氏は平氏を根きりしたわけだ。どちらがいいというわけでなく方法論である。晴信はどちらかと言えば平氏タイプに分類されるのだが、佐久では「源氏」としてふるまう。そこがミステリアス。このドラマでは「勘助が不在だったから」という大胆な設定をしている。

もちろん、戦略としては「何をするかわからない」というリスク分散のテクニックと考えられる。いつも許していては「なめられてしまう」し、いつも根きりでは「敵が降伏しない」のである。どちらも「やる」という手を見せることで選択肢を増やすということだな。

Shinano1547 とにかく、佐久内山城の大井貞清をつぶして、佐久の関東管領勢力は笠原清繁の志賀城のみになる。志賀城には平賀の娘(真木よう子)がいるのだが、電車男の後はダンカン経由で紫のバラの人でごにょごにょなのだな。ダンカンのヨメが平賀の娘だったかどうかは諸説あるのだが、どういう展開にするつもりかしら。

それはそうとして、武田家の二人の知将が足並みそろえて誕生するのである。一人は勘助と密偵仲間の教来石改め馬場信春(高橋和也)、そして勘助が連れ帰った真田幸隆。

晴信にとって真田が降ったのは相当に利があったと言えるだろう。ごらんの通り、真田松尾城は最前線。しかも、旗色不鮮明な佐久の地が背後にある。

刻一刻と晴信の初めての負け戦が接近している。板垣信方(千葉真一)の一言一言が哀愁を帯びてくるのである。「お館様はまだ若い。慢心はいたしかたなかろう・・・」なのであった。とはいうものの、来週は正妻、側室、嫁姑展開かな・・・。板垣、一週は命拾いなのか・・・。いや、タイトル的には夏休み直前くらいまで大丈夫かな。

関連するキッドのブログ『第23回のレビュー

で、『猿の惑星』も見ましたよ。ティム・バートンはいつでも爆笑だから。それにしてもいつも思うのだが、あの宇宙船、どんだけ高性能なんだっていうことと、マーク・ウォールバーグは操縦下手すぎじゃないか・・・ということである。

♡♡♡♡岡田ひとみ情報♡♡♡♡

久しぶりに岡田ひとみ様情報である。

6/18(月曜日)
深夜23:55~24:26
日本テレビ「嵐の宿題くん」で、ねんドル岡田ひとみの作品がゲームに使用されます!?お時間ありましたら、是非!ご覧ください。・・・なのだな。

ゲストは三倉茉奈・佳奈さんだが、本物とニセモノを見極める晩餐会という企画なので、ここで岡田ひとみのねんどアートが炸裂すると思われます。

マニアはお見逃しなく。岡田ひとみについてはコチラです。

火曜日に見る予定のテレビ『セクシーボイスアンドロボ』(日本テレビ)

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CM版バックナンバーはお気楽プロで一目瞭然でアリマス。

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2007年6月17日 (日)

空だと言われたからパスした・・・カードを渡せと言われたから渡した。(戸田恵梨香)

さあ、帰ってまいりました。素直な直(トダエリ・・・この略一字しか略されておらず・・・でもサトエリとなんとなくそろえたい・・・なぜ?・・・じゃ、沢尻はサワエリかよっ)です。バカです。「脱げ」と言われたら脱ぎそうです。そしてえーんえーんと泣くのです。なんじゃーそりゃあああああ。ま、原作が底をついて突然、グダグダになり始めたこのドラマ。もはや、来週、最終回だし、このまま、逃げ切ってみせるぜぇぇぇぇぇという気満々です。

来週、15-20%を獲得すればこの番組はかなり成功ということになりますが・・・さあ、どうでしょうか。

ドラマはここまで*8,2%~12.8%の視聴率で平均11.2%を獲得。時間帯を考えると好成績です。そして「大金争奪ゲーム」という話題性で認知度も高まっているようです。それは同じ新枠のドラマとして午後10時台のニコロボの倍近い成績が物語っています。

逆に午後9時台の「スペシャルドラマ」の予告編を10週に渡り、毎週一時間近く、繰り広げてきたという考え方もできます。その告知効果はなかなかに予想外のパワーを秘めているような気がします。ジブリの再放送の破壊力を考えると周知されるというのはなかなかにあなどれないことですから。

キッドは「価値観の多様化」という概念をいつも半信半疑で受け止めることにしています。「誰もが知らないことを知りたい」という欲望と「みんなが知っていることを知りたい」という欲望は情報に対する人間の欲求の二面性を示していると思うからです。理想は「みんなが知っていて」「誰もが知らない」情報を送り出すこと。え、そんなことがあるのかって。たとえばかってはプロ野球中継の巨人戦ですとか、ワールドカップの日本戦ですとか、最近では踊る大捜査線の新作とか・・・は・・・ね。

さあ、そういう意味で来週の視聴率は楽しみです。チャレンジですからね。もちろん、テレ朝の「トリック」や「特命係長」や「スカイハイ」がやってきた手法ですが・・・いきなりスペシャルというところがアイディアでギャンブルでゲームなわけですから。

で、『ライアーゲーム・第10話』(フジテレビ・070616PM1110~)原作・甲斐谷忍、脚本・古家和尚、演出・大木綾子を見た。「密輸ゲーム」の中盤戦。敵チームの火の国ヨコヤ(鈴木一真)が検査官として「透視能力」をスバリ当てましょう・・・と思ったら味方チームの水の国チビキノコ(坂本真)が検査官として必勝法がわかった・・・と宣言。

ま、誰がどう考えても怪しいのですが、当事者になっていると人間、「何がなにやらわからなくなってしまう」ということはあるものであのキノコ(鈴木浩介)までもが「キノコの王国の王様はチビキノコ様、どんな命令もこのキノコおおせのままに従いましょう」という始末です。もちろん、直の私物である秋山様(松田翔太)はお見通しなのですね。

さて、「密輸ゲーム」はかなりギャンブル性の高いゲーム。もちろん、ゲームとしては心理戦の要素もあるし、途中経過によって作戦が変わってくるフレキシブルな側面もあります。

こういう場合のオーソドックスな戦略は様子見なのですが、「奇策」はそういう時にこそ成立します。まあ、ある意味、反則ですから。

前回、各段階における金の移動を記録すると、すでにドラマがそういう細かいところにこだわっていないことが判明しました。まあ、人によっては「穴」とか「設定ミス」とか言うかもしれませんが、まあ、フィクションのやることだから、他の要素が面白ければいいのです。

今回は要するにチビキノコがヨコヤとつるんで、水の国を裏切っていた・・・ということが伝わればいいわけです。もちろん、その後の推移はさらにグダグタ゛ですが、ま、ドラマとは基本的に主役に有利にできているものですから。

とにかく「そろそろ、白状したらどうだ、チビキノコ」・・・と秋山が決める。

ここが大切なのです。「いよっ、松田っ」「翔太っ」「二代目っ」「なんじゃこりゃああ」とか声がかかるところです。

そして、その後で最近、賢くなって可愛くないというバカファン(バカなファンにあらずバカのファンなり)のために敵役であるヨコヤが「支配者というものがどんなものかみせてあげましょう。私を信じなさい・・・ははは、信じるなんてバカですね~」で、バカが「まただまされた」え~ん、え~んとなるのを見せる。これも見せ場というものですから。前半でバカサギ、そろい踏みです。

そして、その後、「ヨコヤ」が「私こそが秋山の母親を殺した犯人ですよ」と「サギ師」を挑発するのもいわば「お約束」です。この後、「ヨコヤ」は「秋山は怒りに我を忘れている、つけこむなら今だ」とのたまうのですが、失敗を反省しないというのが、この手の悪役の鉄則ですから・・・。だってかって「ヨコヤ」は「怒りに燃えた秋山に詐欺グループをぶっつぶされている」わけで・・・反省していれば同じ轍は踏まないのですけれどね。悪は反省が苦手なのです。

「バカ」直をエサに「サギ」秋山を釣り上げたつもりの「悪」は自分が釣られてしまう模様。

それにしてもこの後、怒りに我を忘れたフリをした秋山が「めちゃくちゃ」をやるシーンがとてつもなくグダグダ。「負け続けた秋山」が全員のカードを集めるわけですが、視聴者をだまそうとするあまり、演出はやりすぎています。「渡せ」と言われたら「渡す」バカ直はともかく、キノコ、チビキノコ、ヤンキノコが自暴自棄状態の秋山にカードを渡すとはとても思えません。ここは「実は味方チームに作戦を指示」するのが自然、もちろん、そこをみせる必要はありません。どうしてもというのなら、直だけは知らないという演出で良いのです。つまり、直が税関にいた時間にすべての打ち合わせができていたということで。

つまり、二回目の中間報告、20ゲームの終了まで、ヨコヤをだませばいいのですから。

秋山が笑ったときに、キノコチームも、敵チームもバカと「悪」以外は全員「ニヤリ」という演出でよかったのじゃないかな。ま、今週はこうしておいて、来週、説明でもいいですけど。

バカ「じゃ、私だけ、何も知らずにいたんですか・・・」キノコ「だってさあ、直ちゃんに相手を騙すような演技ができるわけないじゃああああああああん」ですから。

ともかく、預金残高は水の国チーム>火の国チームに。しかも、カードはすべて秋山がにぎり、ヨコヤの残高は元金に足りない状態。さらに逃亡者の1億円が自動的に借金になっていると確実にマイナス1億円である。

そしてしかし、ここでダウトに成功したらと秋山相手に裏を読んだ一発勝負に出るヨコヤはギャンブルに失敗し、さらにマイナス5000万円・・・。

秋山の優位は不動のまま、密輸ゲームは後半戦に突入したのである。

予想される結末としてはヨコヤを除く火の国チームの負債ゼロで水の国チームの勝利になるところだが、おそらくバカが「このままじゃ、ヨコヤさんがかわいそうですーっ」と言い出すのだろうなぁ。うんうん、優しい。どこまでも優しいよ直。「優しさバカ一代」だよーっ。さあ、その場合サギ兼直の私物はいかなる決断を下すのか、スペシャル最終回なのだなーっ。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

ゲームとルールについては先週もふれたが、さらにもう少し補足しておこう。基本的にはゲームとはルールをさぐりあうものだとも言える。たとえば、今回のゲームでは味方チームを裏切って敵チームのスパイになってはいけないというルールはなかったのであり、チビキノコはルールに従って行動したのである。しかし、全員がそのルールを発見するとそのルールは禁止されたりする。場合によってはなかったルールでペナルティーを払ったりすることもあるのだ。こういう時、よく「知らなかったではすまない」という言葉が使われるのである。よく、常識について懐疑的な意見を抱く人がいるが、常識というものには畏怖を抱くべきなのである。思いもよらないことが常識だったりするから。ゲームには「同時ゲーム」と「交互ゲーム」という考え方がある。まあ、「サッカー」と「野球」のような差別化と考えてもいい。「野球」も「サッカー」も「戦争」をゲーム化したものと考えた場合、世界の戦争は「サッカー」のようなものなのか、「野球」のようなものなのかと考えることもできる。基本的に戦争は先制攻撃が絶対に有利というセオリーがある。たとえば、野球のように戦争した場合、1回表に相手を全滅させてしまえば、裏の攻撃はなく、コールド勝ちなのである。これがかなり悲惨なので、現在は「サッカー」のようなゲームにしようという暗黙の了解があり、しかも「試合開始」の笛は吹かれないのが理想なのである。しかし、「武力」で解決したいという欲望はなかなか収まらない。時々、「野球」のようにゲームを始めて、バッターボックスに入る国もある。始められてしまうともう戦争を避けるためにピッチャーはキャッチャーのサインに延々と首をふりつづけるしかなかったりするのだ。イライラしたバッターが「お前の母さんデベソ」と言ったりすると乱闘になることがあり、そうなるともう、野球だか、サッカーだか、戦争だか、なんのたとえだかハチャメチャなので・・・キッドは退場します。

月曜日に見る予定のテレビ『プロポーズ大作戦』(フジテレビ)

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2007年6月16日 (土)

スルリな夜じゃなかったり、ラピュタが裏だったり、宮崎あおいが電撃入籍したり、・・・でも、そんなの関係ねぇ。そんなの関係ねぇ。はちょっと受けちゃいました。(美山加恋)

もしもテレビが一台しかなかったら、録画する術もなかったら、どうしていたのだろうか。いや、もちろん、世の中にはテレビのない人だっているし、その人が貧乏とは限らない。でも、テレビが一台しかない人はきっと貧乏だ。そうであって欲しい。先週まで、「帰ってきた時効警察」(テレ朝)があって、これがPM1115~である。「スリルな夜」(フジテレビ)はPM1100~1130なのである。そしておそらく「スリ夜」を見たい人は「帰・時効」も見たい人だろう。迷う。「スリ夜」を15分まで見て、「時効」に移動するか。「スリ夜」を最後まで見て「時効」に途中参加するか・・・。これはつらい・・・。つらいですなーっ。中には一週間交代で、スリ半分→時効、スリ全部→時効頭欠けなんてローテーションを組んだ人がいたりして・・・、どちらにしろ・・・すげぇぇぇぇぇぇ中途半端なのである。でも、まあ、創作を志す人には意外にいい機会なんだよなあ。「スリルの前半だけ」・・・後半を想像する。「時効の頭欠け」・・・オープニングを想像する。そんなことがトレーニングになるはずだ。まあ、慰めてるわけですが・・・誰を・・・?

そして、「帰・時効」が先週、最終回を迎えたので今週は「スリ夜」を最後までみるぞーっと思っていると「天空の城・ラピュタ」(日テレ)である。「スリ夜」を見たい人は「ラピュタ」も見たい人なのだ。ラピュタPM1134まで延長である。もう、心を鬼にして「特急田中」(TBS)を見ることにしたりして、すると久しぶりに田中の母・斉藤慶子が登場したりしてちょっと得した気分になったりして、なんとなく、そのまま「ハニカミ」を見ちゃったりして・・・ハッと気がつくと「スリ夜」見損なったりしたりして・・・貧乏な人ってかわいそう・・・でも、そんなの関係ねぇ。そんなの関係ねぇ。はい。おっぱっぴー。(小島義雄・・・太平洋に平和を・・・)

で、『スリルな夜・子育ての天才・第10話』(フジテレビ070615PM11~)脚本・松井洋介、構成・石原健次(他)、原作・監督・渡辺琢を見た。ドラマなのか、バラエティーショーなのか、ジャンル分類不可能な番組であるが、バラエティーショーは本来、歌あり、踊りあり、トークあり、寸劇ありのバラエティーなショーという意味なので・・・バラエティーショーには違いないのだな。

しかし、ドラマ本編は、スラプスティックでブラックコメディーな要素満載のサイコ・スリラーなのである。もう、本編はひたすら面白く、前後をはさむゲストを迎えたトークショーの部分がもどかしく感じるほどだ。しかし、まあ、よく考えると、前後のこれがないときっともたないのだなあ・・・とも思う。・・・何が?・・・原田泰造とゴリのステータスが・・・であるか。

舞台は浅草である。最初のレビューなのでざっとあらすじをふりかえる。

ちなみにドラマでは高部あいがナレーションでその役をになっている。

大黒産婦人科の院長・鉄男(原田)は妻・夏子(相田翔子)と長男・慶太(冨浦智嗣)を愛しているが、親友の娘の女子大生・美優(高部)と不倫している。

妻はちょっぴりエキセントリックでトルエンを一気飲みしたり、夫を包丁で切ったりする。

長男は同級生の男の子に片思いしている。性別に自信のないタイプである。

美優の父は仏具店経営の金太(ゴリ)であり、鉄男とはストリップのまな板ショーを争うライバルでもある。妻・陽子(美保純)は元・ヤンキー。浮気なんかする夫は殺しかねないのだった。美優には中学生の妹・美緒(志保)と小学生の妹・美々(美山)がいる。

第三の家族は喫茶ルマンドのマスター(小木茂光)とヨメいびりが好きというか嗜虐的というか、根っからのいじめっ子っていうか、サディストの姑(新藤恵美・美しきチャレンジャー)とアルコール依存症の嫁(山下容莉枝)というSMコンビ、そして小学生の孫娘・香(三好爽)で構成されている。

この街では殺人や誘拐は日常茶飯事だ、なにしろ、浅草なのだ・・・冗談ですから・・・念のため・・・っていつもはことわらないキッドがことわるほどこわいところです・・・いい加減にしとけよ・・・まず、鉄男と美優の不倫をネタに強請をしていた悪女・与田惠(久世星佳)が殺されます。犯人は刑事です。浅草ですから・・・通称・カツ丼刑事の森田はとにかく誰かに罪をなすりつけようと画策します・・・浅草・・・ドスっ。・・・もう言いません。

ここで、怪しいサラリーマン(篠井英介)が引っ越してきます。彼は小学生のいる家に関心を持っていたり、自宅に小学生を監禁したりしているようで・・・いかにも変質者なのですが・・・これはミスリードを誘う演出で実は実の娘を監禁された父親。娘も妻も事件で精神を病んでしまったのに犯人は刑期を終え釈放・・・。彼は犯人を追ってこの街に来ていた。新たな犠牲者を出さないために。

少女暴行の常習犯である極悪非道の汚いスニーカーの男・松山(上地雄輔)は飲み屋でバイトしながら次の犠牲者を物色中。そしてついに美々は誘拐・監禁されてしまう。

ベテラン看護士・良江(根岸季衣)はそうとは知らず松山に恋をして松山好みの顔にプチ整形をしたりする。

そして・・・サラリーマンは美々を救出するが、松山に刺されて重傷・・・しかし、松山は逮捕される・・・けれど取り調べのカツ丼刑事が殺人犯であることを知っていたために釈放される・・・カツ丼刑事はサラリーマンにすべての罪を着せようと決意する・・・もう、とんでもない展開ですが浅・・・なんでもありません。

ま、こんな感じで前回までのあらすじを語っているともうほとんど残り時間がありません。

今回の見所は夫の浮気を知った夏子が夫と長男に灯油をかけ無理心中をはかろうとするところ。姑が嫁をワイン風呂に入れて氷責め。金が必要となった良江がダイナマイト腹巻でヤクザの事務所を襲撃・・・。そしてサラリーマンを助けるためにゴリが大西ライオンを大技で仕留める・・・以上です。もう何も心配ないのです。「木蓮の涙/スターダストレビュー」は空へと旅立つのです。

ま、来週はほぼ完結編らしいので・・・見逃せません。しかも、来週は金曜ロードショーが延長なしだし、ジブリじゃないし、テレビが一台の人も安心して視ることができるのでございます。

関連するキッドのブログ『がきんちょ~リターン・キッズ

日曜日に見る予定のテレビ『風林火山』(NHK総合)ティム・バートンの『猿の惑星』(テレビ朝日)も見るけどね。

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2007年6月15日 (金)

私もあなたと同じことをした。あなたが罪を背負って生きれば・・・私はそこにいる。(菅野美穂)

珠子(菅野)はそう言うのだが、兼良(冨浦智嗣)が許されることを許せない人々もいるだろうし、兼良が心の中で舌を出していない証拠はどこにもない。しかし、珠子にできることには限界がある。

珠子は罪を背負って生きていくのだし、罪人が増えようが減ろうが罪の重さは変わらない。

なにしろ、珠子はとりかえしのつかないことをしてしまったのだし、自覚がある以上、それは苦しみに耐えることに他ならない。涙を流すことは彼女にとって自分を許すこと。自分を許しそうになるのをこらえるのはもう苦行だ。

珠子は罪から顔を背けるものに自分の犯した罪を突きつけていく。さあ、見なさい。これが人の命を奪った人の顔。あなたも同じ顔をしているのよ。

で、『わたしたちの教科書・第十話』(フジテレビ・070614PM10~)脚本・坂元裕二、演出・河毛俊作を見た。いじめの実行犯で少年をどのように処理するのか。一番デリケートな部分である。たとえば女子高生コンクリート殺人事件の被害者が加害者の生存を許せるかどうかという問題だ。もちろん、許せないのである。だって彼女ができることはもはや何一つないのである。それに対して明日香(志田未来)はまだ死因さえ、ドラマの中では明らかになっていない。もしも、自殺だとすれば、彼女はすでに許したという考え方もできる。兼良の生存を許し、自分の命を絶ったのだから。事故や他殺だった場合にはまた別の考え方もできるだろう。もちろん、結論は一つに集約される。明日香はもはや無力なのである。

だから、明日香の全てを奪った世界に自分を含めて罪を問う珠子が兼良に対してどうふるまうかは相当にデリケートな部分だ。明日香サイドに身を置くものは冷酷に見守るからである。スタッフは細心の妄想力でなんとか乗り切ったと考える。

思慮深くもなく、想像力もない哀れな人妻で兼良の母親を渡辺典子が演じる。角川三人娘の一人、原田知世が神がかった妖精モードのCMを連射する中で、年相応の母親役が板についてきた渡辺典子。もう、不幸な中年女性役専門になってしまったか・・・。

いじめ放置を告白した教師・熊沢(佐藤二郎)の証言を傍聴していた兼良の母は珠子に挑戦状をたたきつける。「息子は無実です。息子に証言台で身の潔白を証言させます。息子はそこらの子供とは違いますから・・・私は息子を信じています。あなたのように子供を捨てたりする母親じゃありませんから」なのである。

すでに兼良の非行事実を確信している珠子は少年の心身を思って忠告するが、相手は聞く耳を持たない。珠子はわが子を殺した義理の母親だが、相手にはクラスメートを殺した子供の母親の自覚は皆無なのである。もちろん、視聴者には兼良の母は死んだ方がマシな存在として映る描写になっている。典子、熱演である。

珠子の元婚約者で敵の弁護士(谷原章介)は「いじめが明らかになった以上、裁判の戦術を変更すべきだ」と副校長(風吹ジュン)にアドバイスするが、副校長はかたくなに拒否。あくまでいじめはなかったと強弁する指示を下す。熊沢の発言は誤解による事実誤認だと主張するのである。・・・ビョーキだからな。もういい加減、周囲が気付いてやれよ。

珠子は「生徒と戦うつもりはない」と主張するのだが、「これは母親と母親の戦いだから、君が譲れないように彼女も譲れない」と元婚約者は反論する。

加地(伊藤淳史)と妻(真木よう子)の負け犬・ビッチコンビは激しく動揺する。裏切りものの体育教師(大倉孝二)に吠えかかるが、くすぶる人の魂が「ああ、やっぱ、オレたち、悪者なの、もう見てみぬフリはできないの」とささやきかけるのだ。

加地「もうね、ボクね。トホホなの。教師やめたくなっちゃった」妻「ずるい。私だってやめたいわよ」加地「だって生徒たち本当はいじめっ子だったんだからコワイよ」妻「私だってこわいわよ」・・・ああ、哀愁の犬夫婦である。

一方、ポー様(鈴木かすみ)は親にいじめを告白。学校は欠席である。人間宣言をした熊沢先生はポーのいじめも察知していたので担任の加地に忠告する。「あなたのクラスにいじめがある」・・・さらに動揺する加地。恐怖に耐えながらポーに電話をすると電話に出たのは珠子だった。

「ポーちゃんに何の用?」である。

加地が珠子の事務所に行くと突きつけられる衝撃の新事実(加地専用)。ポーはクラスでカスって呼ばれていた。ポーの親は転校のために引越しをするという。すべてはおそかったのよである。へたりこむ加地。影法師になったポーは「できれば絵本の主人公のようにアカプルコに転校したかったのに隣町だなんて最後までつまらないわ、ホホホ」なのだった。加地の教師成績。一年目、一人死亡。二年目、一人転校である。ダメ教師ですわ。

うなだれた加地。もはや教壇に立つのも恐ろしいのだった。

ついに兼良が法廷に登場。生者に許される一方的な証言で死者を冒涜する。「明日香はね。ボクに惚れて、ボクにつきまとったんですよ。ボクが拒否すると、悪質ないやがらせをはじめました。クラスのみんなが知っていることです。みんなが彼女をさけるようになると、明日香はいじめを捏造し始めたんです」・・・見守る副校長によぎる不安の影。その真意は不明だが、ある意味、いじめスレスレの言動だし、いじめがないことを主張した副校長にとっては明日香が問題児であってもやはり問題なのであるからな。最後に警察権力が味方であることを誇示する元フィアンセ。「君がいじめをしないのは誰の教えかな?」「父です。父は世間に恥ずかしいようなことはするなとボクに教えてくれました」・・・・・・・・裁判長「原告側代理人・・・反対尋問を」珠子「反対尋問はありません」

元婚約者「なぜ、戦わない」珠子「いじめは全員がグルだから・・・生き残りの言うことはすべて欺瞞だから・・・でも彼を生贄にするつもりはない」そして兼良は一人・・・嘔吐していた。

まさに自分自身に吐き気のする状態。自立神経の失調である。悪が自らを罰するというパターンである。もちろん、悪魔的には例外はあると思うのだが。

辞表を手に副校長の下へ向かう野良犬志望者の加地。それを存在感薄めの英語教師(酒井若菜)が呼び止める。「新聞に加地の父親の買春行為の告発が・・・」そして加地の携帯電話には珠子から呼び出しがかかる。

加地とともに兼良の家を急襲する珠子。目的は共犯者の保護である。まだ仮面をかぶり続けようとする母親をコントロールする珠子。「子供部屋の明かりがついているか消えているか家の中では分かりませんが、外から見れば一目瞭然なのです。父親の悪事を子供が知って悩んでいるのに見てみぬフリをしていたら守れるものも守れませんよ。父親を売ったのは子供かも知れない」

そして、異音発生。たまりかねて子供部屋に向かう加地。どんな悪い子だとしても加地にとって兼良はいいご主人様だったのだ。ついに母親に舌を出す兼良。彼はいじめられっ子に転落していた。吐き出されるプリントはさらしの記事だった。狂乱する母親。

「こうなるのが望みだったんでしょ」と嘯く兼良に珠子は正面から向き合う。ポーに影響された珠子はすっかりポエムにおかされていたのだった。

「想像しなさいよ。明日香はかわいい高校生になったかもしれない。スタイルだってすごくよくなったかもしれない。いろんな美味しいものを食べて、素敵な夕焼けに包まれて、誰かと恋をしたりして、おしゃべりしたり、笑ったり、とんだりはねたりしたかもしれない。そんななにもかも、明日香の未来にあったかもしれないすべてはもうないの。あなたは生きてそれがどうしようもないことだと思い知って欲しいのよ。私は今、そうしている。あなたのしたことを私もした。あなたがそれを思うことができれば私はいつもそこにいるのよ」

涙をこらえわななく珠子。加地に見せたのとは別の涙を流しているように見えた兼良。演出的にはこれが限界だと思う。

最後に加地に気配る珠子。「あなたは明日香が私を見てくれていると言った。忘れないで・・・明日香はあなたも見ている」・・・見ているのか。明日香。ここで志田未来を出さないのは大人の演出だが。単に予算とスケジュールの問題かもしれないとも思う。

加地は激しく身震いすると人間に戻った。犬ではなく本当は人間だからな。ちょっと知能指数が低いだけなんだから。

生徒に向き合う加地。「先生、ウソついてました。ポー様はよろこんでこの学校を去っていたわけじゃない。きっとみんなのことを忘れようとしているでしょう。みんなのことを思い出すのもいやなんだ。その理由はみんな知っていますよね。それでいいのかな。いやな学校。いやなクラスメート。いやな教師。みんないやないやないやな世界です。そんなんでいつか幸せになれるのかな。先生は幸せになれない気がする。だから、書きたいと思った人だけでいいです・・・彼女に手紙を書いてください。ポー様は文学好きなので内容がなんであれ、ちょっぴり喜んでくれると思うから・・・」加地は校庭を見る。明日香が木陰で本を読んでいたあの場所を。生徒の何人かは手紙を書いてくれた。その中には透明人間・朋美(谷村美月)もいた。いじめっ子死刑制度の主張者である朋美が今後のフリーホールのスイッチ担当者らしい気配である。

手紙を届ける加地。ポー様は戻ってきた下僕を優しく抱擁する。「妄想世界ではいつか再会する私とあなた。私は「ランジェリーショップ・サイコ」とか「スナック・チェーンソー」とかの経営者になっている」加地「こわいね」ポー「そして私は言うでしょう。まだ教師なんかやっていたの・・・ちっともむいてないのによくがんばったね・・・と」そして別れのヒザカックン。明日香といい、ポーといい加地は可愛いらしい。やっぱり犬属性だからか。

キッドがともかく泣いた。

しかし、ポーの車にはフダムスファミリーのパパとママのような人が乗っていると妄想してしまったので半笑い含みです。

さて、フリーホール落下開始である。ついにベールを脱ぐ副校長の息子(五十嵐準士)である。彼はいじめっ子に対する死刑執行人であるようだ。いじめという悪を天に代わって裁くことは選択肢としてありえるし、それが反社会的行為であるという皮肉な面白さを兼ね備えているのである。いわば、珠子には不可能な選択肢であり、珠子の影とも言えるのである。そうすると雨木副校長の兼良証言中の不安は過去からの連想によるものなのだろうか。副校長の息子はゆっくりと校舎外を徘徊し、ターゲットを捜索しているらしい。ヘビメタなメタリカの「聖なる怒り」の「ある種の怪物」をギンギンに身にまとって・・・そして法廷では珠子と雨木副校長が対峙。激しく落下しつつ・・・つづくである。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

土曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム』(フジテレビ)

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2007年6月14日 (木)

うまか・・・けどありきたり・・・敵前逃亡・・・くやしか・・・負けるよりよかね・・・。(松本潤)

・・・いや、脚本、演出の意図はそうじゃないと思うぞ。今までは自分のことしか考えなかった男が優しさに包まれていることに気付き、一歩引くことを覚えたと、そういう展開だっただろう・・・でも、すっげえメニューが思いつかなくて、このままだとツンデレカトリ~ノ(佐藤隆太)はまだしもアドバイザーあすか(香里奈)やセーラーヴィーナスこずえ(小松彩夏)という女性陣にまで負けるかもしれないという「女に負けるなんて金輪際ありえん」九州男児パワー発動したのではと思えないでもないじゃん・・・素直じゃなさすぎる・・・だから、ダメな年下の先輩(向井理)の「いい線いってたのに」じゃなくて「夏パスタ・バンビ風」は完成・・・でも「コンペ」は参加しない・・・というスタイルの方がスカッとしたと思うの・・・お前、最近、スカッとしたがっているな。

バンビもあすかもこずえもみんな好きだよ。新作パスタが。みんなトントン食材を切って涙を浮かべてタマネギも切って。バカだな、バカだな、ついでに自分の手も切って・・・なんてこともあったよね。僕はすわってテレビを見ているよ。誰かが年金を浪費しちゃったって、誰かが老人介護をお立ち台にしちゃったって、誰かが朝鮮総連がらみで売国奴になっちゃったって、誰かがNHKの受信料を徴収している間に奥さんを殴り殺しちゃったって、誰かがお寺の坊さんを刺し殺しちゃったって、誰かが宝石店から二億円相当盗んじゃったって、誰かが大量殺人の死刑判決が不服で最高裁に上告したって・・・う~ん、とっても事件が多すぎるんだよね~。うふふ~ん。新作パスタ。うふふふーん。新作パスタ。

君と猫はちょっと甘いのが好きで、ボクはうんと辛いのが好き。味付け一々変えるの面倒くさい~。

で、『バンビ~ノ!・第9話』(日本テレビ・070613PM10~)原作・せきやてつじ、脚本・岡田恵和、演出・大谷太郎を見た。夏の新作パスタのアイディアを従業員一同から募集するコンペ展開である。萌えるバンビ(松潤)である。審査員トリオ(内田有紀・佐々木蔵之介・北村一輝)の発表をメモするあすかやこずえをにらみつけるバンビ。「女になんか負けたくなかと~」根性炸裂である。その証拠にいまだにホールの先輩であるこずえをチャン付けだ。「こずえさん」だろ、バンビ~。しかも「お客様が幸せになるようなパスタ」とオレザク与那嶺が説明しているのに聞いていもしない。バンビーっ。バンビー。もうバカなんだからっ。

しかし、世間を騒がす使えない公務員集団とか、悪意あふれる家族の話はどこ吹く風である。バンビは優秀でウルトラ面倒見のいいスタッフに囲まれているのである。とくに前回、禁断の愛を交わしたドルチェ織田(ほっしゃん)は「ガンバレ」と激励。トイレの中で親指立てる展開である。なんじゃああああ、そりゃあああああ。そして、味見はオレにまかせろと使えない年下の後輩も応援を申し出る。そして、また、二人は一夜を共にするのである。誰だ。誰の願望なのだ。しかもバンビキックをお尻に受けたいのか?

だが、今回の目玉はセーラーヴィーナスの私服解禁である。口紅プリントのTシャツである。口紅でっかすぎ~の絶叫が全国に響き渡るのだった。後半、シェフスタイルも披露され、「準備は整っている」とか「本当ですか・・・うるる」とかセリフも出番も多めである。セーラーヴィーナスファン待望の巻だったのだなあ。自宅キッチンで調理するセーラーヴィーナスに健全なあらぬ妄想を抱いたのだろうなぁ。エプロンとかも欲しかったのだろうなぁ。

一方、あすかは姉妹で住んでいるのでバッカナーレの厨房で研究中。・・・ええーっ。羽山(池内博之)と同棲してないのかよーっ。ウソだろうーっ。

もちろん、料理勝負はスカシである。まあ、このぐらいはもうあきらめるしかないな。なにしろ、オレザクに「争いごとはキライなんだよね」と言わせちゃう脚本だから。

パスタ勝負に夢中になるあまり、ホールの仕事がおろそかになるバンビ。お客様に「夏に食べたいものって何ですか?」と質問を始める。そして、ついにうっかりオーダーミス・・・。

ここでホールの職人たちが甘く優しくさわやかにバンビをフォロー。ソムリエ永井(佐々木崇雄)・カメリエーレ高梨(佐藤祐介)・カメリエーレ柴田(麻生幸祐)らが「ホールの失敗は俺たちがフォローする。大変なんだろ、パスタ勝負。応援するからがんばってね」なのだった。うわあああああ、願望か。願望全開なのか。

そして、バンビの心に変化が訪れる。成長とはゆっくりとけれど確実にやってくるものなのだなあ。「ああ・・・みんな、オレのことば、こげん気にかけてくれとるとね・・・こげん優しくしてくれるっとね・・・それなのに・・・オレは・・・・オレんことばっか、考えとった・・・オレん夢ば叶えるためなら・・・なんでも許されるちゅー了見だったと・・・なんだか、辛かーっ・・・幸せと言う字と辛いという字が似てるのは・・・この胸の苦しさのせいなんかねーっ・・・みんなの優しさがうれしくて幸せでこげん辛いとは・・・・思いもよらんとよ・・・まさに・・・そげなあああああああああああ・・・って感じ」なのである。

「ホールで認められるまでは厨房のことを忘れる」宣言をするバンビ。そして走り出す。ラクダ「なんで走るんだ」オレザク「青春だからでしょ」キャッツアイ三女「青春か、・・・・プロポーズ大作戦の後輩に走り方を見せているのかと思ったわ。それとも平均視聴率二位のボジションに満足してないことのアピールとか・・・」

そして、パスタ勝負の決着。受賞者は繊細さも身につけたツンデレ・カトリ~ノ。そして、あすかを飛ばして「ワイン・ヴィネガー(冷たいペペローニ)のパスタ」をエントリーしたこずえ・・・だった。しかも、こずえは厨房入りが決定・・・。一瞬、表情を曇らせたあすかがにっこりと「おめでとう」を言いこずえを祝福。

バンビは・・・・こわばっていた。長いバンビのアップ。「うわっ、女に負けたと。いや、オレは勝負しとらんから、負けたわけじゃなかと。それにしてもくやしか~。でも、勝負しとったら明らかに勝てる気がせんかったね~。恥かかずにすんでよかったとね。それにしてもくやしか~。でも、ここで笑わんかったら、負けを認めることになるとね。それは絶対いかんと。ええい、笑うったい。男の笑いを見せんといかんと~」・・・笑った~。

バンビ「おめでとう」こずえ「ありがとうございます」・・・・・・違うだろう。バンビ「おめでとうございます」こずえ「ありがとう」だろう・・・・・・ま、いいか。だってそれがバンビなのだから。そしてツンデレカトリ~ノ、そんなバンビにななめ後姿で微笑むという神業なデレデレぶりを披露。最後を持って行きましたーっ。

そしてアッと言う間に一年経過だ。髪型の変化、微妙すぎーっ。ま、可愛くなったのか。願望か、誰かの願望なのかっ。

そしてバンビ待望のホール卒業、きっとまた皿洗いからだな~。そして、惠理(吹石一恵)再登場だ。「私、プロポーズされちゃった」展開なら爆笑できるのだか。・・・まさかな。焼肉屋で「結婚してくれ」「いや」「じゃ、つきあって」「いいよ」も可。・・・ないない。

関連するキッドのブログ『第8話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『スリルな夜』(フジテレビ)

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2007年6月13日 (水)

ガンバスター、お前の一番のお気に入りじゃないか・・・田舎に帰っても・・・トップをねらえよ・・・・。(松山ケンイチ)

ロボ(松ケン)のロボヲタ仲間であるケロヤマ(六角精児)が田舎に帰る。ロボットも持って帰ればいいのにと思うのだが、現金が必要なのかもしれない。田舎で父親が病に倒れ面倒を見なければならないケロヤマ。ロボはケロヤマ・コレクションの中から「トップをねらえ!」(1988OVA・エヴァンゲリオンの庵野秀明監督のデビュー作)に登場するガンバスターを餞別として渡す。二人に流れる魂の交流・・・友情に距離は無関係なのだった。

ああ、今夜もしっとりとしたテーマがグダグダと展開される予感いっぱいである。

まず、「孤独」について念を押しておこう。「孤独」の「孤」とは「幼くして親のない状態」つまり「孤児」の「孤」である。「独」とは「年老いて子のない状態」つまり「独居老人」の「独」である。二つあわせて「孤独」・・・「一人ぼっちは淋しいよ・・・・」状態なのである。

人間の幸せの漠然としたイメージに「孤独でないこと」があるのは言うまでもないだろう。もちろん、たとえば、「孤高」という言葉のように一人険しく修羅の道を気高く極める幸せもあるだろうし、独立し、独自で、独力な人生を歩む幸せだってある。・・・と一応言っておく。

友情は孤独な人のオアシスだ。しかし、本当は孤独でないケロヤマは老いた親のために故郷に帰っていく。彼は独身のようだから、親が死ぬまでは孤独にはなれないのだ。そして、友情はケロヤマの心を支えるが孤独を埋めることはできないのだ・・・と一応言っておく。

ドラマ「14才の母」や「女は生む機械」発言がややヒステリックに糾弾されるのも、現代の抱える孤独の闇が大きく関わっていると思う。

今回の「セクロボ」は巧みに隠蔽されているが、「孤独」が不幸だと言い切れなくなってしまった社会に対する素描なのである。ま、心のスケッチですから、それをどうこうではなくて、ただありのまま、感じるままに描いたものなので・・・視聴率は*6.5%しかとれない。ま、芸術って基本は死後に評価されるものですからぁ。

で、『セクシーボイスアンドロボ・第十話』(日本テレビ・070612PM10~)脚本・木皿泉、演出・池田健司を見た。テーマは「孤独と幸福」であり、「永遠と不幸」であり、「夢と孤独」である・・・どれなんだ。ま、「幸子(さちこ)」ということで・・・。

原作レイプにより、スーパーヒロインとしての魅力を削がれた代償として「どうでもいいことに諍う家族」を手に入れたニコ(林二湖=美しい水のような心を持つ女の子になりますようにと命名・・・大後寿々花)は子供が生れたら死んだ犬の名前「幸子」をつけようと考えているリリカルな中学生である。ニコの家族は「貧しいけれど、清く、優しく、ちょっとバカ」である。噛むとナンコツのような音のする肉の入ったカレーを作る母(片桐はいり)は安い肉のせいにするのだが・・・それは料理の腕もあるだろう・・・しかし、料理の腕を磨くのには時間を要するし・・・貧しさゆえにゆとりがないとすれば・・・貧乏のせいにしてもいいか・・・みんな、貧乏のせいや、お母ちゃん、ちっとも悪うない、チューリップのアップリ・・・おーい・・・失礼しました。父親(塚本晋也)は世界平和を希望する小市民で友達の保証人になったりするろくでなしである・・・きっと「ナニワ金融道」を未読・・・そして、ニコの姉・一海(村川絵梨)はアルバイトに励む女子大生で恋愛中毒症であるが・・・最近はやや病状が安定している・・・というニコにとっては大切な家族であり、そのためにニコは「孤独」ではないのだから、ニコの幸福の基盤なのである。

そこへ謎の女・地蔵堂の女主人で元女スパイのマキ(浅丘ルリ子)が手下のナナシ(岡田義徳)と現金・1億円を持ってやってくる。もちろん、同じドラマ新枠仲間としてスタートしたのに視聴率が倍あるライアーゲームをいただいているのである。別に視聴率がいいからいいドラマだとは断言しないが、負け惜しみは残念なことだよな。これは表面的なテーマである「金持ちが幸せだとは限らないだろうが・・・」という貧乏人の歯軋りに近いものだからな。もちろん、「幸」とは「海の幸」「山の幸」のことであり、貧乏な林家では「犬の幸」をいただいてしまった悲しい過去があるのかもしれない。だから、残りもののカレーをぶっかけるカレーうどんだって美味しければ幸せなのである。キッドの妄想世界で「ステーキ・ハウスドナドナ」のBGMが「ドナドナ」であるよりも明らかなことだ。

そして、マキはニコの平穏な心に波紋を投げかけに来るのである。それは「ニコを二億円で売らないか」という提案だった。1億円は前金である。キッドが美少年だった頃、ある美しい男の人で宮殿のような家に住むアーティストから「養子にならない?」と誘われたときに真面目な父と優しい母の顔がキッドの脳裏でぐるぐるまわったような衝撃がニコとその家族を覆う。援助交際を持ちかけられた中学生が「二万円じゃいやだけど1億円だとちょっと考える」ような衝撃であろう・・・どんなたとえじゃ・・・あ、映画「バウンスKo GALS」(1997)か・・・と思われる。

マキは言う。「年を取って来たので老後が心配・・・だからニコが欲しい」と。そのうえ、籍を入れる以外は現状維持でいいと言うのだった。ニコは「そんなバカな」と半信半疑なのだが、家族は別の意味で半信半疑なのだった。「ニコの戸籍」が二億円かぁ~・・・もやしの特上も買えるし、保証人になったおかげの借金300万円も返済できるし、1億8000万円のリッチなマンションもお安く感じるのである。

それに一海がいるので林家は孤独にならない。ニコも孤独にならない。マキは孤独じゃなくなる。悪い話じゃない・・・しかし、ニコは家族が心の支えの中学生なのでちょっとアンニュイになるのだった。「お金だけがすべてじゃない・・・じゃなかったのかよ~」である。

もちろん、話には裏があったのだ。真相や黒幕は解明されないが、100%怪しい占い師(絵沢萌子)を使った集金システム的陰謀が廻らされているのである。ターゲットは得意な才能と運で大金を握ったちょっと頭の防御力の低い億万長者である。ニコに「あ、そーゆーの信じているんだ」と鼻で笑われるようなことをたやすく信じてしまう人間は掃いて捨てるほどいることは偽の霊能力者が跋扈する芸能界を見るまでもなく明らかなのである。ま、霊能力者がいないという立場に立つと、全員、真の霊能力者だとも言えますが。

ターゲットの一人、資産50億円のコミック作家・信田コーン(篠井英介)もちょっとおバカなのだった。大金を投じて水族館を作ったりするコーンの財産を狙った謎の組織は「コーンは来世はニコの子供」というお告げでニコに全財産を振り込ませようと画策しているのである。そして、マキの狙いはその横領であるらしい。手先なのか、黒幕なのかは謎だ。

「二億円で売られてしまうのか・・・」とニコはちょっと口惜しい気持ち。ナナシに「家族の心は動いているよ」と煽られると顔面パンチを食らわせるほどである。ナナシ「やつあたりすんなよぉ。家族にあたれよぉ」である。ナナシは孤独な男だ。少なくとも孤児である。彼はニコの幸せを知らない。ニコは思いやりを忘れたな。原作のセクシーボイスはもう少し思慮深いのである。

しかし、思慮の替りに直感を強化されたニコは「私の知らないところで私をいいようにしようとしている奴がいる。子供だと思ってなめてんだ」と真相を喝破するのだった。

陰湿ないじめをする中学生・・・っていうか青空の下、ツマブキをいじめてた子供たちは陽気で渇いているんじゃないのか・・・もズルズルすべりおち、行列のお店では特別予約席、ニコは明らかにチヤホヤされているのである。久しぶりにむーちゃん(梶原ひかり)が登場するがゴッドハンドはなしである。彼女こそが真の霊能力者(福引で絶対ハズレを引かないという超能力者)なのに・・・。

来世の母であるニコを金の力でガードするコーン。ロボは誘拐されてコーンの元へ。「ニコと別れてくれ」というコーンに「なんで・・・?」というロボ。ロボにとってニコは「トモダチ」っていうか、親分っていうか、年下のアネゴだからな。「常識もないけどお金もないんだろう。二、三百万円でニコと縁を切ってくれ」というコーンにロボは「いやだ。お金ならあるもん」と1億マックス札を投げつけるのだった。ロボの器用さを知ったコーンは臨時のアシスタントに採用するのだった。ズルズルと。

ついに真相をつきとめたニコ。「迷惑です」とコーンを一喝。「だって遺産相続で絶対もめるでしょ」なのである。その時、「コーンの水族館の魚」に対して「サカナミナゴロシ」の脅迫状が届く。大好きな寝袋で水族館にロボと「お泊り」にたちまちウキウキのニコだった。

サカナたちは泳ぐ。彼らにも認知のドーパミンはあるが、テレビが好きなために四角い箱まで好きになってしまうほどの屈折はない。故郷の海から誘拐されて、水槽の中で暮らそうともそれほど不幸にはならない。サカナたちは泳ぎ、捕食し、運が良ければ産卵し、また泳ぐのみである。泳げ、泳げ、サカナよ、泳げ。時々、食卓にのぼってくれ。

神秘的な水槽の明かりに照らされて・・・なにしろ、停電でも耐えることのない神秘の明かりである・・・ニコはロボとの添い寝トークを楽しんでいたが、地獄耳は不審な音を捉えるのである。もちろん、今回もセクシーボイスはなしだ。だぁかぁらぁ、視聴率がとれないんだってばぁ。・・・失礼・・・・とにかく・・・ずるずると。

音は電流コードを引きずる音だった。サカナ大量逆殺未遂犯人はサカナ電撃殺戮を目指すコーンの妻(澤田育子・劇団・拙者ムニエル所属の女優)だった。

「昔、若かった頃、二人は幸せだった。貧乏だけれど恋愛があった。未来があった。砂場のトンネルの先には暖かいコーンの手のぬくもりが。あなたは安定した生活で不幸になった。だから、私がみんな壊してあげる・・・」

もう、愛の狂気だから、お魚さんピンチである。

そこでプロフェッショナルな仕事をするナナシ。彼は孤独な(どちらかに原因があろうとなかろうと子供のいない中年夫婦)人間よりもお魚さんが大切なのか・・・それとも、孤独なものの愛の行為なのか・・・それは謎である。停電作業帰りのナナシに物語世界の神様は配偶者をめぐり合わせる。彼がスパイ作業中に弁当を届けてくれる一海とめぐりあい、子供を得て、独から脱するかどうかは神様だけが知っているらしい。

停電により、サカナたちは泳ぎ続ける。ピンチだったことも知らないし、気にならない。サカナたちは泳ぐことが生きることだから。もちろん、孤独なんて知らないし。

子供ができない夫婦を不幸だと断言できない社会になっている。それが行き過ぎると「子供がいること」が幸福とは言えなくなってしまう。

子供がいようがいまいが、親がいようがいまいが人間は「孤独だ」と考える人もいるが、言葉として、それは間違っているのである。

もちろん、いい加減でいいじゃないかとニコロボの神様は言うだろう。「タダ」でもらえない子供が1億マックス札を取り出し、ロボがマックス小切手でおつりを払う・・・それもまた貨幣経済だし、高度情報社会の成果なのである。

ドラマ版のニコは「孤独」を極端に嫌う子供である。すでに老いる前に「幸子」を手にいれることを考える中学生だ。そこには生殖行為への健全な欲望が満ちているのである。ロボは当然、ニコにターゲットとして狙いをつけられているのだが、ロボの好みのタイプは年上の看護婦さんなのだった。そのあたりがちょっと不満なニコなのである。

孤独な中年夫婦は「孤独」に耐える道を見出す。友情はいつだって孤独のオアシスなのだから。街の灯り、チラチラ、孤独なものもそうでないものも「時々、幸せ」「概ね、面倒」ならそれで満足するべきなのだ。街の灯りはサカナのようなものだから・・・。

そして、お別れはもう一度、三日坊主とらしい・・・作者はプロとして制作スケジュールを守った方がいいと思うよ。下っ端に迷惑がかかるんだもん。かって迷惑をかけた皆さん・・・申し訳ないことです。・・・誰に言ってるの?・・・ずるずると。

関連するキッドのブログ『第9話のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『私たちの教科書』(日本テレビ)

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2007年6月12日 (火)

オレと結婚しろよ・・・オレはわからんちんなのさ・・・どうしたらいいの、ねえ、どうしたら?(山下智久)

人間はなぜ分かるのか? それは単なる妄想ではないのか? これもまた大問題である。もちろん、理解は美しい誤解に過ぎない・・・という考え方もある。

たとえば100年前の世界のことは分からないし、100年後の世界のことも分からない。今、南極の氷の下に魚がいるかどうかも分からないし、アンドロメダ星雲にかえるちんがいるかどうかも分からない。人はほとんど何も分からないのである。

今、あなたの隣にいる人に恋人がいるかどうかも分からないし、ひょっとしたら自分が誰かを愛しているかどうかも分からない。いや、自分が誰なのかも分からない。・・・おーい、戻ってこーい。

まして、「こんなに長く一緒にいるのにケンゾー(山P)は私のことが何にも分かってない」という礼(長澤まさみ)の言葉の真意なんて分かるわけないのだ。ヒ、ヒントをくださ~い。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「生徒諸君」↘*7.3%(堀北真希の捨て身の攻撃も・・・逆効果か?)、「特急田中」↗*9.7%(亀ちゃんでプラス0.6%・・・微妙、展開は良かったけどな)、「帰・時効警察(最終回)」13.5%(平均12%達成。帰ってこいよ~次は時効警察タローか?・・・時効警察08かな?)、「喰いタン2」↘13.6%(平均13,7%で単独3位に)、「県庁の星」22.6%(柴咲コウの実力・・・というか・・・底力というか・・・すげえな・・・佐伯日菜子のそっくりさんだったのに)、「ウソゲ」↗12.3%(もう、充分だよ。逃げ切ったよ。大成功だよ、戸田恵梨香の勝利だよ)、「風林火山」↗20.8%(やはり原作逸脱コースが正解か・・・有名戦だしな)、「冗談じゃない」↗12.8%(CXのアシストで微上げ・・・しかし、平均視聴率は13.6%と微下げ・・・この客を逃すかどうか・・・内容がなあ・・・)、ついでに「プロポーズ大作戦」↘18.1%(スキャンダルの影響はあまりなかったようだ)以上。

で、『プロポーズ大作戦・第9話』(フジテレビ・070611PM9~)脚本・金子茂樹、演出・初山恭洋を見た。健(山P)の長い夢路も終盤である。愛しい人の別の相手との結婚式場。妖精による魔法。思い出の写真にアバウトな一定時間のタイムスリップ。憑依によるのっとりでタイムスリップ中の記憶は過去の自分に残らない。しかし、歴史はマイナーチェンジ可能である。このルールを守り、ここまで技巧的にはまずまずだったと思う。そして今回は軽くひねって「最後の写真」という歴史をマイナーチェンジした。これで最終回はちょっと趣向が変わってもやりきった感はあるだろう。

「どこにでもいそうな若者の恋」はドラマの定番だか、最近はこれだけでは視聴率が取れない。・・・という事実を前提にファンタジーに仕立てたチャレンジは春ドラマ単独首位ということでまずまず成功だったと言えるだろう。

最近では「世界の中心で愛を叫ぶ」で現在と過去の対比という手法があったので、それをやるためにこうひねるというのはなかなかのアイディアだったようだ。しかも、ここまでのところは「恋人の死」というお涙頂戴抜きである。まあ、若者にとっては「恋人が自分以外の人と結婚」=「世界の終焉」なのかもしれないですけど。

「いくらなんでもそこでは言えるだろう」とか「いくらなんでも腰抜けすぎるだろう」とか「どんだけ長い婚約期間なんだ」とか全国から不平不満が寄せられるとしても「最後はどうなるんだよおおおおおおおおおおおおおお?」という釣りは大成功である。月末に弱い「P大作戦」の視聴率だが、最終回はまずまずの視聴率になるだろう。

さまざまな憶測の乱れ飛ぶ、最終回予想。キッドにもまったく読めない。なにしろ、タイムスリップはなんでもありですからねーっ。

そこで不純物を排除していく。まず、他の誰かもタイムスリップしている・・・という展開。やるなら・・・今回だと思ったが・・・やらなかったな。キッドはまだ多田犯人説・・・犯罪なのか・・・を否定していないが・・・その場合の仕掛けの説明はかなり大変なので時間的に無理と思われる。ここまでで最大の謎は「中学の時に礼が健にラブレターを渡せなかった理由」の不明である。多田がやっているとしたらここかな。

次になんらかの理由で「ケンゾー」と結婚できない「礼」がタイムスリップしている場合・・・たとえば「結婚すると健が死ぬ・・・結婚式場に来る途中とか、新婚旅行先で事故に逢うとか」とか言う理由だ。この場合は「ドアの前の告白」前後で礼の行動に矛盾があり、・・・つまり、それまでは健に片思い、それ以後は健を遠まわしに拒絶なので、礼のタイムスリップは途中参加ということになる。ただし、この心境変化はタイムスリップ抜きでも説明できる。その場合は「いつまでも子供の健に大人になった礼が心を失う」という青春ものとしてはドライな要素がかなり臭ってくるのだが。

ここで今回の重要要素は健の「結婚しろよ」の礼の受け取り方になるのだなぁ。あれは「愛の告白」としてOKなのか、どうかである。セリフとしてはかなり困難だったが・・・健の幼さは表現されていた・・・「プロポーズされちゃった」「相手のこと何も分からないのにそんなのバカだよ」「でもうれしかったの」「なんでだよっ」「長い間一緒にいても分からないでしょ」・・・「いかないで・・・オレと結婚しろよ」「どうして・・・そんなこと言うの?」「・・・・・・」・・・ま、ギリギリ納得できる展開は「どうして?」に健が答えなかったのが押しが弱かったということになるのかな。ここで「愛しているからに決まってるだろう」・・・かなんか言っていれば歴史は変わったという可能性大であるものな。今回も心の中で健は「好きだ、好きだ、大好きだ、オレは礼が大好きなんだーっ」と誰に言ってんの?というほどモノローグのサービスがあるのに礼には「あなたのことが好きだからぁ」とは言わないのである。

だから、とにかく「好きだ」と言ったら最終回で大逆転ということになるのだろう。

・・・という予測をしてみた。まあ、なんでもありなので、どうなるかは分からないが、少なくとも魔法で歴史をやり直している健が「卑怯者」と後ろ指さされない礼とのハッピーエンドは難しいのである。たとえば、タイムスリップによってツルエリ(濱田岳・榮倉奈々)やメリーゴーランドペア(平岡祐太・原史奈)の幸せに健が一役買っていたとしても、それはたまたまだからな。

逆に健と礼との仲をずっと見ていても何も想像しない多田(藤木直人)が「プロポーズしちゃいました」と悪気なく言ったりして、どう考えても怪しいだろおまえってキッドがいくら思っても、鈍感なだけだからと言われれば納得なのである。

だから、ちょっと痛いハッピーエンドになる可能性は大きい。多田の幸福を犠牲にして健と礼のゴール。もちろん、その場合、結婚式は最初からになるだろう。目覚めると「礼と健の結婚式」だ。多田は後悔でいっぱい。「なぜ、ボクは礼と結婚できなかったんだろう・・・」すると時間が止まり、腹をすかした妖精が「なんかちょうだい」と微笑みかけるのである。

ま、ありふれた結末だと言われればファンタジーはネバーエンディングストーリーなのだと言うしかないですよーっ。後は平行線の問題か、交われば遠ざかる直線、平行線ならずっと一緒・・・礼も怖がりだから・・・。その結論はちょっとね。

今回のテキストは『モンゴルの残光』(豊田有恒)である。歴史改造テーマとしては不朽の名作と言っていいだろう。人種差別という言葉が「死語」という忌まわしいジャンルに判別されかねない現代の我が国ではひょっとしたら伝わりにくいのかもしれないが、白人が絶対優位に立ち、有色人種を支配下に置いていた20世紀中盤に書かれたSFとして今もかなり素敵な一面を持つと思う。

話は簡単である。モンゴル帝国が世界征服を完成した歴史上の未来。黄色人種の絶対支配体制は揺るがず、白人の若者シグルトは迫害されて、未来には夢も希望もない。彼はタイムマシンを盗み出し、過去へと旅立つ。モンゴル帝国を崩壊へと導くために・・・。

なのである。ま、シグルトに崩壊させられた方の歴史に住む我々としては最初から結果の分かったお話なのである。しかし、イギリスが日本に、日本がイギリスになっているもうひとつの未来はなかなかに魅力的なのである。だってビートルズは日本から生れることになるのだな。世界地図のシンメトリーさに気がつくだけでも一読の価値があるのだ。

そして、本書のもうひとつの魅力は「歴史」は変えられるが「人間」は変えられないという主題である。たとえば「人が人を憎むこと」、たとえば「人が人を愛すること」ということである。「歴史の書き換え」という偉業をなしとげながら、シグルトが最後にとった行動。それはヒミツにしておくが、まあ、その「美学」には涙を禁じえないのですよ。

ま、たとえ、どんな結末になるとしても、「健」も「礼」も「多田」も「いい奴だったなぁ」で終ってほしいとキッドはちょっぴり思うのでございます。

関連するキッドのブログ『第8話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『バンビ~ノ』(日本テレビ)

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Hcinhawaii0194_1 P祭り開催中なのでPごっこレポートをお届けします。お気楽「これは痛いよなー」アンナ☆ラン「かなり痛いよね」ads(あず)「確かに痛そうですな」山P先輩「そりゃ、痛いですよ」三人の妖精「だよねー」まこ☆ミキ「フジッキーの指輪ゲットです。ケンゾー、給料丸々ぶちこんで過去健は一ヶ月どうする気デスカ!・・・ちゃんと質屋で換金しないと飲まず食わずデス」

Hcinhawaii0195 かりん「辛い一週間だったのよーっ。それなのに今週もPちゃんは・・・クスンクスン・・・翠ちゃん、大丈夫・・・?」ぷっち☆翠「対閃光ショック防御ですよ。パイレーツ・オブ・カリビアンに逃避するのデスーっ。でも山Pーっ、山Pーっ愛してる~」mari「うちの母はね。Pちゃまはウジウジしずぎって言うのです。は、反論できない・・・Pちゃま、がんばってーっ」

Hcinhawaii0196 みのむし「まあ、ここはひとつ、皆さん、あすなろ抱きっていうことで・・・一番みのむしいきまーす」

「ボクと結婚してください」

Hcinhawaii0197  Hcinhawaii0198 「オレと結婚しろよ」

「オレと結婚しろよ」

Hcinhawaii0199「オレと結婚しろよ」 

Hcinhawaii0200 ぼぎゃーん。

Hcinhawaii0201 みょうがの芯「でましたーっ、ひさしぶりのぼぎゃーんですっ」お気楽「おいおい、大丈夫か、山P先輩、ロイドじゃないだろう」アンナ「乙女心は複雑なのレスねーっ、うきゃ~なのレス。卓袱台確率高まってます」ads(あず)「・・・」Hcinhawaii0202

ミマム「ああ、ついにあすなろ抱きまで・・・」

妖精「あすなろタイムですから・・・」

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2007年6月11日 (月)

あなたを死なせるわけにはいかんってオレが撃たれちゃいました。(内野聖陽)

種子島か・・・。結構、しびれるのぉぉぉぉ・・・。衝撃のラストシーン、主役じゃなかったらよもや・・・でございます。真田幸隆(佐々木蔵之介)、逃げ足速過ぎ・・・。

河越夜戦に山本勘助をからませるあたり、去年だったら、またかよ・・・と非難轟々なのだが、今年は全体がしっかりしているのでいいねーっの大合唱になるのである。人間って不思議だなぁ。

今回はくのいち大活躍である。真田忍群の葉月(真瀬樹里=千葉真一・野際陽子の娘)、風魔の遊女(吉井有子)とさりげなく登場。もっともっと登場してもいいのだーっ。衣装ももっともっと奇抜でいいのだーっとキッドは叫ぶのだった。

で、『風林火山・第23回』(NHK総合・070610PM8~)原作・井上靖、脚本・大森寿美男、演出・東山充裕を見た。「河越夜戦」である。戦略的には国境を接する武田・今川・北条が同盟を結び、周囲への侵攻を可能にする流れへの途中経過なのである。昨日の敵は今日の友の戦国時代だが、地形的にそれがもっとも妥当な選択だとしても、紆余曲折はあり、この同盟はゆっくりと進展していく。ともかく、前回、武田を仲立ちに今川と北条が休戦したことより、武田は信濃へ。今川は東海へ。北条は関東へ。それぞれが背後を気にすることなく、侵攻する足がかりを得たのだった。ストーリーそのものは例によってikasama4様のレビューが楽しいですよーっ。

とりあえず北条氏康(松井誠)は最悪の危機を脱した。そもそも、この休戦の出発点は旧勢力の河越城包囲に端を発している。それが1545年の秋である。

地縁・血縁で結ばれる武士社会では実力者の死は動乱のもとである。氏康も父の死によって、この混乱を招いている。北条家が制覇しつつあった武蔵を失いかけるのである。

本来、武蔵の国を治めるのは扇谷上杉氏であった。実力者・太田一族を配下に、江戸、岩槻、河越、松山などに拠点を設け、坂東武者が割拠する武蔵の国を緩やかに統治していたのである。そこへ相模一国を統一した戦国タイプの北条家が侵攻してきたのである。武蔵の国は統一されていないため、各個撃破され、勢力を後退させていた。そこへ北条の代替わりがあり、統制の乱れを見た旧勢力が巻き返しをはかったのだった。

Musashi1546c 旧勢力の支配秩序は古河公方足利家(室町幕府に裏付けられた関東の武家の宗家)、それを補佐する関東管領上杉家というシステムになっている。本家といえる山内上杉家が関東官僚となり、分家の扇谷上杉家がそれを補佐するという建前だ。しかし、実際には下克上が進み、そもそも北条の侵攻を許したのも、公方家が分裂したり、公方家と関東管領家が争ったり、関東管領家が内紛を起したりしたためなのであった。

ともかく、山内上杉は上野・下野(群馬・栃木)に勢力を張り、古河公方家は下総・常陸(千葉・茨城)に、扇谷上杉は武蔵(埼玉・東京)にと言う具合に分割統治を開始していたのであった。ここで、北条が相模(神奈川県)から侵略をかけてきたのである。

天気予報で言うと関東甲信越地方は大荒れなのである。

で、ごらんのように武蔵の国をめぐり、上野・下野・下総・常陸・武蔵連合軍と相模一国が戦うという様相を呈したのだった。戦力比は資料によってことなるが、大袈裟にいって、河越篭城兵三千人に対して、関東管領軍八万人である。

関東管領・山内上杉憲政(市川左團次)が「わが軍は圧倒的じゃないか・・・」といいたくなる気持ちは分かるのである。

しかし、前述の通り、管領軍の指揮力は低い。いわば烏合の衆なのだ。その証拠が三千対八万の城攻めを半年間、包囲してだらだら続けるのだった。戦意が乏しいのである。そして1546年春、今川と休戦条約を結んだ北条軍八千は河越包囲陣に接近するのだった。

すでに、諜報活動により、寝返り工作なども進んでいたはずである。一国をあげた風魔忍軍に一族単位の真田忍者は敵対できない。山内上杉には長野信濃守、扇谷上杉には分裂したとはいえ大族の太田一族などがついているのだが、指揮系統は乱れている。扇谷上杉などは太田一族と確執があったりするのである。また古河公方に義理立てして遠征している常陸、下総の軍勢も使命感はまったくないのである。

勢力差逆転の要素を詰め込む北条氏康。戦意喪失の偽装。遊興の誘い。奇襲で夜襲で一点突破の頂上作戦である。

狙いは管領軍トップの山内上杉と、武蔵の旧支配者・扇谷上杉朝定(竹本純平)である。

2000名を後詰に残し、氏康は本陣に突入する。まさに油断しきった管領主力はたちまち、壊滅し、敗走した。そして、河越城の篭城勢力も出陣。扇谷上杉の陣を急襲する。

包囲線は円形である。実力者の太田一族は戦闘からもっとも遠い地点に配置されていた。また、山内上杉家の戦力も後方配置されていたのである。

管領軍の戦傷者は一万人を越え、北条軍はほぼ無傷。上杉憲政は平井城に逃げ帰り、上杉朝定は首を獲られ、古河公方はやがて囚われの身に。

こうして、一夜にして関東は北条の支配下に入ったのである。・・・それは過言だろう。

関連するキッドのブログ『第20回のレビュー

火曜日に見る予定のテレビ『セクシーボイスアンドロボ』(日本テレビ)

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2007年6月10日 (日)

チャンスが五倍ならリスクも五倍になると言われなくても分かるようになりました。(戸田恵梨香)

・・・成長したなぁ・・・直(戸田)・・・からっぽのトランクを重そうに見せるウソもつけるようになったんだな。もう、ビュアな直じゃないんだああああああああ。

ま、それはそれとして・・・「密輸ゲーム」のスタートである。

ダウトといえば「ズル=ファールプレイ(反則)」を発見するゲームである。この場合は「反則=密輸」なので「密輸」をダウトできれば「勝ち」、見過ごせば「負け」となる。ただし、お手つき(密輸していないのにダウトしてしまうこと)をすると「半負け」となるのである。

最初に言っておきたいことがある。ゲームにはルールがつきものだが、パーフェクトなルールというものはない。たとえば、「将棋」や「チェス」のルールはパーフェクトだと思いがちだが、相手を買収してはいけないというルールさえ決まっておらず、不完全なのだということをである。負けそうになったら相手を殺してはいけないというルールさえ、ないのである。そんな不完全なゲームが楽しめるかっ・・・おいおい。

しかし、ゲームを楽しむ人は多い。それは楽しもうという姿勢があるからなのだ。そういう意味で直が「人を不幸にするゲームなんてイヤだ」と言いながらゲームを続けるのはもう、ちょっとゲームの虜なのである。

で、『ライアーゲーム・第9話』(フジテレビ・070609PM1130~)原作・甲斐谷忍、脚本・古家和尚、演出・松山博昭を見た。・・・というわけで、今回のゲームのポイントは密室で繰り広げられる会話にあるのである。つまり、密輸人と検察官は敵と味方でありながら、パスの場合はフルタイム、ダウトの場合はコールするまで密談ができるのである。つまり、様々な売国行為が可能なのだな。ここに気がつかない人は直レベルということになる。さらに言えば役割中のメンバーを仲間はずれにする密議を同じチームでできるのだな。

つまり、自国民を裏切っても自分が損をしなければ何をしてもいいという暗黙の了解があるのである。これは八百長をしないとか、負けそうになっても相手を殺さないといった暗黙の了解と同じなのである。

さて、核心に入る前に、ざっと表面的な前提ルールをおさらいしておく。

水の国のメンバーは直、秋山(松田翔太)、キノコ(鈴木浩介)、チビキノコ(坂本真)、ドブス(中込佐知子)。

火の国のメンバーはヨコヤ(あの人=あのお方ではない=鈴木一真)、ヤセオヤジ(大高洋夫)、ガリヒョロ(森下能幸)、小太り(泉政行)、ババア(畠山明子)である。

ゲームには先攻後攻があるのだが、その有利不利は吟味されず、いきなり、水の国の密輸で始まる。これを1回表と考える。表裏で1ゲームなのか、どうか、説明は曖昧だったが、直のセリフから判断してそうであるとする。

すると30回の密輸のチャンスと30回の摘発のチャンスがあるということだ。

各自の持ち金は5億円だがそのうち4億円は敵側金庫に。チーム全体では5×5=25億円、密輸可能なのは4×5=20億円である。場全体には50億円ある。

1億円ずつ密輸が成功すれば20回で敵側金庫は空になる。相手も同様なら、すべての密輸が成功で全員が5億円を得て、ドローである。その場合の説明もないのだな。前回の直の戦略の目指すところはこれである。最初の密輸で直がこの戦略をとらないということは直にも迷いが生じていることになる。

次に1億円ずつ密輸成功で1億円ずつ摘発成功の場合、勝利チームは50億円を得ることができる。つまり、味方はダウトし続け、敵はパスし続ける場合である。

で、勝負はその間の様々な可能性で推移するのである。

この場合、各人の選択には次のようなものがある。①自分も勝利、チームも勝利。②自分は敗北、チームも敗北。③自分は敗北、チームは勝利。④自分は勝利、チームは敗北である。これに裏取引を加えると⑤自分が敗北に見えて勝利というものがある。この場合は味方チームからの利益の再配分と敵チームからの裏金という要素がからんでくる。

・・・まあ、もう少し複雑な考え方もあるが、これが基本ということで話を進めよう。

1回表。直は0円を密輸し、ガリヒョロはパスである。両国の資金の移動はなし。

1回裏。キノコはパスをしてヤセオヤジは1億円の密輸成功。火の国+1億円。

2回表。ドブスは0円を密輸し、小太りはパスである。

2回裏。チビキノコはパスをしてババアは1億円の密輸成功。火の国+2億円。

ここまでで、直・ガリヒョロ、キノコ・ヤセオヤジ、ドブス・小太り、チビキノコ・ババアという4組のペアがあり、密約が交わされている可能性がある。そして、水の国に個人的損失はないが、チームとしてはマイナス2億円のビハインドなのである。そしてゲームは残り28回になっている。このまま続くと、20回目で火の国は20億円を回収し、水の国は30回まで5億円をキープ。火の国は45億円の勝利となり、水の国は一人4億円の負債を残して敗北になるのだ。

密約の例としては「見逃し」というものがある。キノコはヤセオヤジの一億円を見逃す。その代わりに自分が密輸の時は見逃してくれと頼む。つまり、相手を見逃す代わりに5億円の密輸を確保するというもの。この場合は先に検察官を五回、相手全員と契約を結べると有利である。その後はとりあえず密輸をして負債はゼロになる。当然、仲間はその傾向を疑うのである。

チビキノコとババアも同じ密約を交わした可能性があるのだ。

直は気がつかないが、秋山はその程度のことは読むだろう。

3回表。キノコは0円を密輸し、ババアはパスである。

ここでキノコ・ババアペアができる。ゲームの中でババアはキノコペアと、チビキノコペアを持っているのだ。そしてキノコはヤセオヤジペアを持っている。ゲームの中でツーペアはこの二人だけ。ノーペアは秋山とヨコヤである。

3回裏。秋山はダウト1億円でガリヒョロは密輸失敗。火の国+1億円である。

ここで、密輸成功との違いを考えておく。密輸成功は国境の移動があるのみで密輸者の資産5億に変動はない。1億の密輸成功なら、自国に2億、相手国に3億という状態だ。ところがダウトが成功すると秋山は資産が6億円となり、ガリヒョロは4億円になるのだ。ここで初めて負債が生じたのである。密約を抜きにして、ガリヒョロは一人だけ負債者になったのだ。逃げ出したくなっても・・・おかしくはない。密約を抜きにしてだが。

4回表。ドブスは0円を密輸して、小太りはダウト5000万円の失敗。火の国+5000万円。

ドブス・小太りペアは2回目であり、「見逃し」の密約をしなかったことが分かる。ここで小太りは-2500万円の負債。ドブスは2500万円の資産の増加をした。

4回裏。チビキノコはパスで、ヨコヤは1億円の密輸成功。火の国+1億5000万円。

ここから、キノコが金額の提案をはじめる。キノコの行動は着替えたりして不審。ここでペアの中に誰かの手下がいるという発想がある。たとえばババアがヨコヤの手下なら、キノコ、チビキノコはババアを通じてヨコヤと密約した可能性があるのだ。この場合、ヨコヤ、ババア、ダブルキノコがグルになる可能性がある。

5回表。直は5001万円を密輸。ヨコヤ。ダウトで阻止。火の国+2億1万円。

5回裏。なぜか、描写されない。編集ミスか。演出意図かは今のところ不明。

6回表。キノコは5002万円を密輸。ヨコヤ。ダウトで阻止。火の国+2億5003万円。

6回裏。チビキノコはダウト1億円。なぞの男の密輸を阻止。火の国+1億5003万円。

7回表。なぜか、描写されない。

7回裏。チビキノコはダウト1億円、小太りの密輸を阻止。火の国+5003万円。

とにかく、チビキノコが「教えるわけないじゃああああああああん」で調子に乗ったことは分かるがドラマの描写としては5回裏からグダグダである。まあ、きっと演出意図なのだ・・・と信じたい。ふふふ、半信半疑ですよぉぉぉぉぉ。

関連するキッドのブログ『第8話のレビュー

合理的なブタのゲームというゲームがある。オリの中に大ブタと小ブタがいる。オリの一方にエサの出口があり、反対側にエサを出すレバーがある。エサは二匹分出るのだが、小ブタがレバーを押してエサの出口まで行くと、大ブタは二匹分食べてしまっている。大ブタがレバーを押すと、大ブタが来るまでに小ブタが食べられるのは一匹分だけである。さあ、二匹のブタはどうするか。というゲームである。この場合、小ブタは待機。大ブタはレバーを押すのが合理的なのである。両方が押さないと両方が食べられない。小ブタが押したら小ブタが食べられない。大ブタが押せば二匹とも食べられるのだ。小ブタは待つことによって得をするし、大ブタは押すことで損をしないのである。・・・もちろん、キッドが大ブタだった場合は小ブタを食べて、それからレバーを押しに行くとお腹いっぱいだよね・・・と考えたりもします。その場合のキッドは「見えた、見えた」と言われたから見られたと思いました。(戸田恵梨香)というタイトルを推したりするのだが、人格統合本部に下ネタなので却下されるのである。

月曜日に見る予定のテレビ『プロポーズ大作戦』(フジテレビ)

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2007年6月 9日 (土)

私のこと、どう思っているの?(麻生久美子)VS・・・男と女が間違わないなんて・・・がっかりです。(小出早織)

物語作者たちはふと「千夜一夜物語アラビアンナイト」のことを思うときがある。「もっとおもしろい話を」と要求され、ちょっと疲れた時とかにね。

ちょっと面白い話をして、「もっともっと」とせがまれたときに次の話がないのはせつないものだ。

今回は最終回なので、そういう愚痴のような部分がある。

「千夜一夜物語」は夜のお相手を殺してしまうシャーリアール王に愛妾シェヘラザードが御伽噺をして「この話のつづきはまた明日・・・」と言い、つづきを聞きたくなった王が殺せなくなるという骨格を持っている。語られるお話は「シンドバッド」とか「アリババ」とか「ランプの精」の物語である。今回、「話がつまらないから殺されそうになる男」の話なので「アリバイとアリババ」は似ていたり、そーぶくんはランプの精だったりするのである。

1001夜は気の遠くなるような長さだが、ブログも基本は「ちょっと面白い話」だ。連日更新するとおよそ2年と9ヶ月である。ブロガーは一年は続けようと思ったりするのだが、それを過ぎたら次の目標はそのあたりなのかもしれません。ま、面白くなくても殺されないから続けるだけなら続けられますけど。

で、『帰ってきた時効警察・第9話・最終回』(テレビ朝日・070608PM1115~)脚本・演出・三木聡、音楽・坂口修を見た。エンディング近くにテーマソングを霧山(オダギリジョー)がスパニッシュギターで披露する。本当になんでもできるな。

やはり、広大な領土を誇る総武市。南総武まで電車で二時間なのだ。そして三日月くんは今回、食べすぎです。出前で満漢全席、駅弁二回、元カレの九紋竜(神保悟志)とお食事二回、枝豆、もなかなどである。三日月くんはサルなのだが、今回はサルのポーズ、猿は犯罪を犯しません(サネイエ=江口のりこのセリフ)、そしてラスト近くの猿の惑星とそこそこ尽くされていた。

今回、霧山はいかにも三日月くんを受けいれている。九紋竜にちょっと嫉妬したり、来てくれない三日月くんにすねたり、「夫婦」みたいって言ったり、乗馬シーンで背後から犯すポーズをしたりと大胆である。もちろん、淡いムードを壊しては第③シリーズがぶちこわしなので夜の地震は二人のムードを壊すのである。

真加出(小出)は今日は煙草銘柄紙バックを多数持つのだが、「ゴールデンバット」のグリーンは素敵。煙草は安くてまずいのだが。マンホール、餃子井戸、主のツボとつづくミステリも尽くされていた。

フランスの二本の足であるスペインとイタリア。青の洞窟は交差する下半身である。キッドはイタリアのオリーブオイルより、スペイン産の方が美味しいのである。

スズメにつづく、電線の遠き山に日は落ちて。諸沢(光石研)ネタは他の演出陣は軽視なのだが、この演出家はこだわるのだな。

今回は「米は米蔵に隠せ」ということで「フラメンコにフラメンコ」「前衛舞踏に白塗り」「除虫菊のひよこまんじゅうに十文字」である。ダンサーにご注意なのである。真加出くんは「かわいい新人」として「真似したり」「食べられたり」「おつゆをこぼされそうになったり」「ちょっと心配だけど」「くんできて」「がっかり」なのである。初心に戻ったのだなあ。初々しく初々しいというのは本当に困難なものだ。マイムマイムマイムで三日月くんと真加出の心の交流がひそやかに交わされるほどに。

さて、このドラマはおそらく「へんてこ」なのである。「へんてこ」は初歩的なボケなのですぐに「へんてこ」でなくなる。「へんてこ」であり続けるのは難儀なのである。演出家を変えて、やり続けるのはそういう計算があるのだな。一周回って「へんてこ」なので「安心して」「新鮮な」「へんてこ」を楽しめるわけなのである。

被害者が清助(岡元次郎)でスケキヨ(犬神家の一族)のように死に、金田一耕介のような第一発見者だったりするのも、昔のアングラ劇団ごっこで「時の番人」や「幻想売り」が登場しプロポーズ大作戦をおちょくるのも三日月くんと真加出くんが劇団のヒロイン一番手、二番手っぽいのもなんだかとても爆笑できるのであるよなぁ。

「話が面白い」のと「話がつまらない」の境目はとても難しい。熱賀(室井滋)と雪谷(升毅)とが水と油なのに対し、雪谷と九紋竜は「アメリカンジョーク」なのである。そして三日月くんを「ブースっ」と言うエンドー(松尾スズキ)は「二等辺三角形のように美しい」という雪谷よりも淡いカップルには楽しいのである。蜂須賀(緋田康人)のバミューダパンツトライアングルは謎の消失点だしな。

「時効」では「残念にならないようなお約束」がある。十文字(豊原功補)は「残念だから」面白いのである。残念でなかったら不死身のヒーローになってしまう。話を思い出して飛んできてもその話はのらないのだ。

熊本(岩松了)も「つまらなさ」には定評があるが、熊本は「つまらなさ」の自覚がある。それが年輪なのだな。「あんたは面白いけど、オレにもそういう時代があったよなぁ」という感じである。だから、一番「面白い」霧山をそう仕向けるのは熊本なのである。熊本が頭の後ろで腕を組み、時効課職員が次々に「すぐやる」中で三日月くん、霧山と主役たちがいつ、やるのか、やらないのか・・・もう、そんな単純な面白さなのである。「まちがい」は「面白い」のでいつか「終る」ものなのだなぁ・・・。

霧山が三日月が面白すぎるのを止める言葉は「また、よけいなことを」「そんなことはいいから」「うるさい」なのであるが、これを各人が使いまわして、独特のノリを作っていくとき、「なつかしい珍しさ」が形成される。

たとえば「フーテンの寅さん」は果てしないリフレインである。役者もスタッフも「いつまでもこれでいいのか」と悩む。しかし、時にはそれでいい時はある。湾岸署の青島以外に織田裕二が面白くなくなるのは本人にとっては困ったことだし、オダギリジョーがいつまでも霧山くんでないと言われたら困るのである。しかし、もうそうするしかない役柄というものはあるのであり、そうするべきなのだが・・・だってあたり役なのである・・・しかし、本人がそう思えないところが・・・幸せというものの難しさなのだな。

ま、キッドとしては忘れた頃に戻ってきてくれたらいいよ・・・霧山・・・という他はないのだな。ま、言っちゃいますけどそういうことなのだな。足元が片足おろそかな林田巡査(笹野高史)・・・。そして、つまらない男は自分のつまらなさに耐えて生きていくしかないのだ。そこが面白さのポイントなのだから・・・。ボケは楽しいさ・・・それに対してツッコミは痛みを伴うし、意味のないツッコミは時には致命的という物語なのである。

又来(ふせえり)のかえるちんは微妙だが、真加出の「アチュー」は可愛かったりするものだから・・・。

関連するキッドのブログ『第8話のアチュー

日曜日に見る予定のテレビ『風林火山』(NHK総合)

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2007年6月 8日 (金)

涙は希望があるから流れる・・・だから私は泣けない。(菅野美穂)

珠子(菅野)には希望はない。義理の娘(明日香=志田未来)にはもはや苦悩もなく、幸福もない。苦痛もなければ歓喜もない。始まりもなければ終わりもない。彼女にはもはや何もないのだから。

ポー(鈴木かすみ)は全てを失わずに済んだ。珠子の電話はつながった。

ポーの猫の命もついでに助かった。道連れにならずにすんだのだった。

命を救った珠子にポーは言葉のナイフをつきつける。

「いじめられるのは恥ずかしいことでしょ」・・・そうだな。辱めを受けることは立派ないじめだからな。

「でも私は黒いニワトリが好きよ。明日香もこんな気持ちで心の中で叫んでいたのかもしれない」

「でも、あなたは明日香をつきはなした」

「ええ」

「あなたは明日香に冷たくした」

「ええ」

「だから、罪ほろぼしをしたいんだ・・・」

「・・・・・・・・・・・」

珠子に希望はない。しかし、まだ生きている。生きている限りは何かをせずにはいられないのだ。

Hcinhawaii0189 で、『わたしたちの教科書・第9話』(フジテレビ・070607PM10~)脚本・坂元裕二、演出・西坂瑞城を見た。ついに音楽のフェイクは終ったようだ。今回は音楽と視聴者が感じるべきエモーションは一致しているように思えた。これがさらにフェイクならやりすぎである。

それでもまだ、いくつかのダミーは投げられる。しかし、今回のごまかしは分かりやすく、視聴者の理解の手助けを意図していると思われる。それでも、まだ、珠子の心情を理解できない幼い視聴者も多いだろう。フライングエレファントが国語教師(佐藤二郎)だったことに驚く人や、彼と娘のエピソードが裁判にむすびつかない人もいるかもしれない。しかし、解題に入った裁判編はこれまでの伏線を急ぎ足で回収し、そしてまたフリーホールを展開する。今回の落下は優雅だったと思う。

Hcinhawaii0190 裁判が有利に展開することで平静を取り戻した加地(伊藤淳史)は妻(真木よう子)に謎の告発者の存在を告げる。もはや、良心は消え、保身が残るのみの犬夫婦は謎の存在に怯えるのだった。

珠子の使徒となった体育教師(大倉孝二)はこれを盗聴して珠子に報告する。「いじめの証拠を加地に託した存在」・・・手かがリは一枚のコースター。そこには空飛ぶ象がえがかれていた。「この教師は切り札になる・・・」珠子はコースターの店をつきとめ張り込みを開始する。

Hcinhawaii0191 一方、飲んで踊れる店「フライングエレファント」には英語教師(酒井若菜)と数学教師(水嶋ヒロ)の姿があった。しかし、これはフェイントである。いわば、英語教師はミッシングリング。珠子はミスリードのまま、英語教師にコンタクトする。

Hcinhawaii0192 一方、加地は国語教師と夜の街にいた。行方不明の国語教師の娘を捜していたのだ。そして国語教師の謎がようやく明らかになった。教師からセクハラを受け、暴力に訴えた娘、そして加害者でもあり被害者でもある教師に謝罪した父親。「私は一緒に殴ってほしかったよ・・・」と云われ国語教師は加地に問いかける。「どっちが正しいと思いますか?」

加地の答えは「大人としての判断です。彼女もきっと分かってくれますよ」・・・国語教師は夜の闇に叫ぶ。「そんなこと、分かってほしくないっ」

珠子の気がかりはポーだった。

校内で国語教師はポーを見る。明らかに不自然な不揃いに切られた前髪・・・。「髪・・・どうした?」「自分で・・・切りました」

再びポーは階段を昇る。珠子はポーからの電話を受ける。珠子は声の変調を聞き逃さない。ポーは非常階段の途中でまた救助される。

「あれは自分のことだった。明日香を私も助けなかった。見て見ぬフリをした。ごめんなさい。ごめんなさい。そして今は私がいじめられている。でも、みんな大変なんだ。誰かをいじめなきゃ、やっていけないんだ。学校は助けてくれない。親はきっと悲しむ。誰かに気付かれるのはこわいし、誰にも気付かれないのもこわい。変だよね」

ポーを抱きしめる珠子は「親はきっと好きだから泣くんだよ。涙は希望があるから流れるんだよ。もう、学校に行かなくていいよ」とポーに告げる。珠子には希望はないのだが。

珠子も学校もキーマンと考える英語教師。学校側は英語教師を囲い込んだ。体育教師はなだめすかして、彼女を法廷に出廷しようとするが、彼女はかたくなに拒否する。しかし、彼女は重大な手がかりを明かす。

フライングエレファントは娘を捜索中に国語教師が訪れた店だったのだ。

Hcinhawaii0193 珠子の逆襲が始まる。・・・公明正大な裁判官様(矢島健一)なのだった。「学校にいじめはありましたか?」「教師がいじめにおびえるから生徒はいじめを告白できないのではありませんか」「あなたの心の声を聞かせてください」

国語教師「私は明日香が裸足で下校するのを目撃しました。私は誰かに靴を隠されたのだと悟りました。私は声をかけませんでした。私は靴を捜しました。それは給食室裏のゴミ箱にありました。残飯まみれで汚れていました。私はそれをハンカチで拭い、下駄箱に戻しました。私が明日香のためにしたのはそれだけです。・・・副校長はいじめを隠蔽するために書類の改ざんを命じていました。私は告発すれば二の舞になると思いました。当校にはいじめがございます。私はそれを見過ごしてまいりました・・・心よりお詫び申しあげます・・・」

犬たちは動揺を隠せない。落胆する敵の弁護士。そして、迷惑そうな顔をする副校長(風吹ジュン)、敵意をみなぎらせる珠子・・・熱演である。ワンダフルである。今シーズン、もっとも見逃さなくてよかったと思えるシーンがここにあった。しかし、話はまだまだ続くのである。

関連するキッドのブログ『第8話のレビュー

視聴率に苦しむ本番組。まあ、国民の大部分が老後の生活を搾取されているこの国では致し方ないのかもしれない。かって年金未納で熱くなった国。しかし、納めてもなかったことになってしまうのでは未納者が正解だったのではないか。という世の中だけに。・・・しかし、5回*9.0%、6回↗10.1%、7回↗10.2%、8回↗11.0%、9回↗11.9%・・・このジリジリ上昇感は一応フリーホールしてます。

土曜日に見る予定のテレビ『ライアーゲーム』(フジテレビ)

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2007年6月 7日 (木)

あなたの愛はわからないけれどあなたのレシピは素敵。(松本潤)

お菓子作りの好きな無口な男の子。・・・彼は大好きな先輩のためにバレンタインデーのチョコレートを作りました。相手は女の子でも男の子でもいいとして・・・男の子の愛は受け入れられなかったのですが・・・チョコレートの味は褒めてもらいました。・・・ま、常識的に考えて織田は同性愛者(ほっしゃん)・・・と。

たばこはすわないんだ。菓子職人だから。いつでもつまらなそうだけど。たばこはすわないんだ。菓子職人だから。もちろん部屋に一人。ぼくの好きな先生。ぼくの好きな織田しゃん。ミルクとチーズの匂いのあの部屋にいつも一人。たばこはすわないんだ。菓子職人だから。使えない僕を叱らないんだ。表情も読めないし、無口なんだ。ぼくの好きな先生。ぼくの好きな織田しゃん。

・・・バンビ。あぶなーい。うしろ、うしろーっ。

で、『バンビ~ノ!・第8話』(日本テレビ・070606PM10~)原作・せきやてつじ、脚本・岡田恵和、演出・佐久間紀佳を見た。ドルチェ(イタリアンのデザート)担当の織田がケガをしたのでアシスタントをすることになったバンビ(松潤)、無口な上に、指示もなく、何かしようとすると怒られるので悶々である。

バンビ(一体・・・どうすれば・・・)織田(一体・・・どうすれば・・・)ということか。

もちろん、

バンビ(一体・・・どうすれば・・・)織田(どうせ、女としてみてくれないんだろ・・・)

という場合もあるのだな、オレザク与那嶺(北村一輝)的には「愛だよ」だからな。かといって九州男児の熱い魂をぶちこむ・・・という展開はありえないのだが。

バンビとしては「何もさせてくれない」のでストレス貯蔵である。やさしくかまってあげる管理職トリオ(北村・佐々木蔵之介・内田有紀)・・・「ねえ、やっちゃうのが早いけどねえ」「でもできないよねえ」「とにかくがんばりなよー」・・・完全、外野である。

ついに年下のダメな先輩であることが明確になるマウス妹尾(向井理)、「辛抱してさぁ、目をつぶってればぁ、終っちゃうから・・・」・・・おっ、意外にストレートなアドバイスだ。そしてアドバイザーあすか(香里奈)は「私の彼は元気になったし・・・あんたもがんばりな」である。のろけているだけでアドバイス料はきっちり取る気らしい。ま、男と男の問題では口を挟みづらいからな。・・・いや、遠まわしにとりあえず「抱いちゃえばっ」て言ってるのか。

そしてツンデレ香取(佐藤隆太)は男女の機微にはうといので、ただシカトされているバンビが心配で心配で手元がおろそかになるのであった。・・・おいおい。

例によって「俺ってグレート」発動のバンビ。勝手にメレンゲを作ってしまう。た、たまごがーっ。貴重なたまごがーっ。と食べ物を粗末にするな連合会が阿鼻叫喚に陥るのを軽くスルーしながら、次々と廃棄されるバンビのメレンゲ。

「一体、何が悪かと・・・」またもやバンビは途方にくれるのだった。もはや、抱くしかないのか・・・。そんなバンビの手に「織田のレシピ」が・・・。こんなに貴重なものをそんなところに・・・。

「私だって愛されたいの。私だって見てほしいの。そうよ、私は醜い女の子、でも私の心はこんなに美しい・・・」なのか? ドルチェ織田。

バンビの心に衝撃が走る。「計量か、オレに足りないのは計量なのか」「そうだ、ジョー、計量をパスしなきゃ、リングには立てないんだ。力石はもうお前と同じリングに立つのは無理な体格になってるんだよ・・・」・・・おいおい。「そうか、ドルチェは目分量じゃダメなんだ」

そこにツンデレ香取登場。「先輩、計量、計量なんですよ」ツンデレ「バカね。そんなこと初歩中の初歩じゃない・・・あんたったってば本当にバカなんだから。フフン」である。ああ、香取がどんどんデレデレ度高しになっていくーっ。

ついに織田レシピ計量メレンゲに到達したバンビ。オトメチック織田もそれを受け入れる。

バンビ「体の関係は無理だけど・・・プラトニックなら」織田「・・・プラトニックでも・・・愛されないよりはいいかもね・・・後で苦しむことになるかもしれないけど・・・」

バンビ「織田さ~ん、お買い物一緒に行きましょうよ」織田「・・・プラトニックね。でも一緒にいられるなら、それでもいいわ。だって・・・うれしいんだもの」

ついにバンビと織田のプラトニックな関係が幕をあげたのである。一般的にはヘビの生殺しだが、織田にとってはささやかな幸せなのかもしれないじゃないかっ。「彼」とお買い物。「彼」とお料理。大丈夫。このささやかな幸せがあればいい・・・。

オトメチック「握り方はそうじゃないわよ」バンビ「こうですか」オトメチック「・・・そう・・・・」

織田は幸せだった。鼻からバスタが出そうなほどに・・・。

しかし、織田のケガは治ってしまうのだった。

バンビは卒業制作を作ることにした。プラトニックな関係だけど、心をこめて織田さんのためにお菓子を作るの。ここは定番のティラミスよ。ティラミスの意味は「私を昇天させて」です。プラトニックな関係だけど「愛の到着点」としては相応しいでしょ。主役はマスカルポーネチーズ・・・絶品と叫ぶチーズなのよ・・・二人の愛はプラトニックだけど「最高」って叫びたいものだったの・・・。さあ、どう、あなたのレシピで作ったオレのティラミス。あなたの「愛」に精一杯答えたよっ。

オトメチック織田はバンビの愛を受け止めた。「ティラミス~バンビーノ風」がメニューに載った。・・・バンビはうれしかった。バンビはお礼を言った。「グラッチェ・・・」

二人をひきあわせたワイルドキャット女支配人(内田)は言った。「織田さん・・・あなたとの関係をもっと深めたいって言ってるんだけど・・・」バンビ「そ、それはちょっと・・・」

ティラミスはドルチェ(甘い)だけれどエスプレッソコーヒー(ほろ苦い)なのである。

関連するキッドのブログ『第七話のレビュー

金曜日に見る予定のテレビ『帰ってきた時効警察』(テレビ朝日)

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2007年6月 6日 (水)

人殺しだって愛してる・・・だけど硝煙の残り香は悲しい香り。(松山ケンイチ)

あなたの隣にスパイがいるのだが・・・人はそれをどこか信じない。実際に知り合った大陸なまりの怪しい日本語を話す女が重要機密を盗むように指示して中国大使館に出入りしたりしても、そんなまさかなあ。・・・と思うのが日本人の悲しい性なのである。

もちろん、日常とはいい加減なものだ。キッドの頭の中にも死後の世界を信じるキッドと死後の世界を信じないキッドが同居していて、前者によれば、神だとか、幽霊だとか、自殺のタブーとかは超越的なものだ。「どんな理由があっても人が人を殺していいわけないんだ」と言うロボ(松ケン)はその一派なのである。ところが後者にとっては神も幽霊も自殺のタブーもフィクションだし、人が死ぬと周りの人には迷惑だが、死者にとっては全世界が消滅しているのでまさに関係ないだろうと思うぱかりだ。「死なないで」とニコ(大後寿々花)が願っても人はいずれ死ぬし、人が一人死ぬたびに一つの世界が消滅するだけで世界は星の数ほどもあり、どうということはないと思う。

でも・・・大切な人には長生きしてもらいたいよね。ずっとずっと生きててもらいたいよね。

ニコ「なんで部屋に帰らないの・・・」ロボ「浮気して帰るみたいで・・・気がひけるっていうか」ニコ「・・・誰に?」ニコ「・・・だから、ロボットたちに」ニコ「・・・ああ・・・」ロボ「ニコのことを忘れて大人恋に走ってごめん」ニコ「・・・もう、いいよ」ロボ「やっぱり、おばさんより、中学生の方がいいにきまっているよね」ニコ「・・・どうしてあの人のこと・・・好きになったの?」ロボ「・・・あの人は・・・ニコに似ていた・・・」ニコ「・・・そっか・・・エクササイズだったんだ・・・ねえ・・・ロボ」ロボ「・・・ん?」ニコ「私がおばさんになっても・・・愛してくれるの?」ロボ「・・・・・・・・・・・・・・・」

で、『セクシーボイス アンド ロボ・第9話』(日本テレビ・070605PM10~)脚本・木皿泉、演出・佐藤東弥を見た。視聴率6.4%である。完成度の高さからいってももう少し視聴率があってもいいような気がするが、この程度の水準になると好き嫌いも半端じゃなくなるのでまあ、仕方ないのかもしれない。たとえばこの脚本家は男女ペアの共作家という建前であるのだが、実際は女性かもしれないし、男性かもしれない。そういう想像を抜きにして女性だと考えている人もいるだろう。

今、キッドは別ブログで出版社が倒産したために絶版になってしまった小説を投稿スタイルで公開しているが90年代と今では明らかに違うことは多い。たとえば携帯電話などは恐ろしいほどの普及でもはや中世と近代くらいの落差がある。

携帯電話のない時代ならロボの「緊急通信」は「地獄耳」というシチュエーションはこれほどには輝かなかっただろう。

40女と20男の恋愛と20男と10女の恋愛とをからめておくる今回の趣向。それも世代によって受け取り方は別々だ。女の殺し屋が「洗濯機に拳銃を隠す」のが大胆かどうかは「家事をしない男」の時代では繊細だったようにも見え、「家事もする男」の時代には迂闊のようでもある。それが40女の悲しさという表現であるかもしれない。

マキ(浅丘ルリ子)が中学生女優だった頃や、夜霧よ今夜はありがとうだった頃、2丁目3番地だった頃を知っているものと知らないものとではその神がかった永遠の美の受け取り方が違うのである。

番組が商品である以上、「買い手」に届かなければ意味がない。しかし、現在は放送だけでなく、二次使用による利益というものも意識される。オンエア作品としての価値が低くても熱狂的な支持者を得ればいいという考え方もある。

おおまかな図式でいえば、大衆=買わない、マニア=買うというものとなる。

視聴率を1%=100万人と単純計算すると、6.8%は680万人である。およそ、DVDなどは1万本売れればペイはできるので、680人のうち、1人が買ってくれればいいのである。もし、10人が買うようなことになれば万歳なのだ。

金持ち=利口者、貧乏人=おばかさんという図式にすると、利口者にシフトした番組作りという狙いも考えられる。

キッドはこういう図式に禍々しいものを感じないではないが、そういう身過ぎ世過ぎはあってもいいと思う。

そういういやらしいものを排除しながら、完成度の高い、この番組を純粋に楽しむというのはかなり困難なのだよなぁ。

たとえば、今夜は「生きる」ことを過剰に肯定した筋立てである。かって「仲間を裏切ったマキ」はそれを「なかったことにできず悩む」・・・悩むのには様々な理由があるが、この場合は宗教的なものであるといえよう。つまり、後生大事なのである。

死後の世界を信じるものと信じないものの葛藤は普遍的なものだが、死後の世界がないと証明されていない以上、「もしや」という気持ちは誰にもある。もちろん、「ウソをついた」から「閻魔様に舌を抜かれる」とは限らないが、その可能性がないわけではないという「恐怖」なのである。

キリスト教は自殺を禁じている。プッチーニにはそういう宗教的タブーを犯したものの葛藤をテーマにした作品が多い。たとえば神に対する罪を犯したものがいるが、情状を酌量して許され天国に受け入れられる・・・といったものだ。これを冒涜的と考えることもでき、そこにユーモアを見出すこともできるし、神への賛歌と捕らえることもできるのだ。

原作をレイプし、独特なニコを作り続けた作者はここにきてついに原作に回帰する。マキが指導してきたニコにマキが指導される構造はまさにそれだろう。「犯した罪」はなかったことにならないというニコは「罪なんていうものがこの世にあるだろうか」という雰囲気の懐疑的でクールな原作ニコを逸脱するのであるが、マキがニコの言葉に惑わされ、危地に追いやられる構造はまさに作者の懺悔なのである。「勝手にニコ像を書き換えてごめん」という土下座が伝わってくるようだ。しかし、そうでありながら「生」を肯定するのは悪いことじゃないでしょうという命根性の汚い往生際の悪さもあるのであるが・・・。

「正義」という信仰を持つロボ。彼は愛欲に溺れ、一度は信仰を捨てる。しかし、「愛欲」という幻想は破れ、彼は信仰に戻ってきた。ニコはロボの宗教などどうでもいいのだが、家出したペットが戻ってきたのはうれしいのである。ロボを迎える「正義の神々」・・・彼は自分の写真は捨てない。なぜなら、彼もまたロボだからだ。ニコはペットにお気に入りの骨(マックスロボ)を返してあげるのである。

ロボと昭子が別れる必然性は皆無だがゲストだからな。

宗教に奇跡はつきものだから、一郎(マイク真木)は許しを与えるために階段を降りてくる。バラが咲いた。そして帰るのだ。ゲストだからな。

もたいまさこもともさかりえも出番少なめだがゲスト多めだからな。

一人ハードボイルドの名梨秀吉(岡田義徳)、名なしとはコンチネンタル社のオプ(探偵)というハードボイルドの原型の一つである「名前のない探偵=名無し」である。知らない人はいないと思うが時代の恐ろしさを考えて付け加えておこう。彼らのモットーは「暴力で解決するのは最低だが、暴力を禁じて解決しないよりずっとマシ」というものだ。

それがプロフェッショナルというものなのである。彼こそが偽善的なこの作品世界の良心なのだと思う。

関連するキッドのブログ『第八話(プッチーニ・前編)のレビュー

木曜日に見る予定のテレビ『私たちの教科書』(日本テレビ)

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2007年6月 5日 (火)

忘れられないけど忘れようあなたを・・・でもやっぱり無理、忘れられません。(山下智久)

人間はなぜ忘れるのか? それは思い出さないからだ・・・という記憶のメカニズムがある。愛はメモリーだというキッドはここを強調したい。人間の記憶は思い出すことによって強化される。いつもの例だが暗記のことを思い出してください。それは反復だ。覚えて思い出す、覚えて思い出す、覚えて思い出す・・・この繰り返しによって人は忘れなくなる。短期記憶が長期記憶に変換されるのである。

「辛い記憶」は忘れにくいものだ。「思い出す」からである。「忘れようとすればするほど忘れられなくなる」のである。それはメカニズムだからだ。

「この愛を忘れることなんてできない」というのは「真理」なのである。しかし、また、人間は「忘れる生き物」である。これは「経験」という奴だ。「最初の恋」は忘れにくいものだが、「恋が二度目なら少しは上手に」なったりするのである。そして「最初の恋」は薄れるのである。刺激は今、現在の方が強いからである。

「刺激」ということで言えば「恋の刺激」への依存というものはまた別の問題である。常に「恋の刺激」がないと辛くなってしまう「恋の依存症」というものがある。それは「タバコ」や「酒」と同じようなものとして「恋」を感じるわけだが、これはこの作品では触れる必要がないだろう。なにしろ、主人公たちはそれ以前のところを漂っているのだから。

本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「生徒諸君!」↗*8.1%(すごいな、特に面白かったわけではないのに)、「特急田中」↗*9.1%(どちらかといえばこちらが面白かったか・・・)、「帰・時効警察」↘11.2%(お、面白かったのに・・・誤差の範囲だが)、「喰いタン2」↗13.9%(女子大生としょう油・・・か)、「ウソゲ」↘11.4%(戸田がシクシクしなかったからか・・・)、「風林火山」↘18.9%(原作に近いと落すな・・・)、「冗談じゃない」↗11.3%(ねばるな・・・ギリギリでフタケタ死守か)・・・・春ドラマ平均視聴率では①プロポーズ大作戦16.8%、②バンビ~ノ!14.4%なのだが、③が「冗談」13.7%、「夫婦道」13.7%、「喰い2」13.7%と凄い争いになっている。『ひみつな奥さん』15.5%、『テレサ・テン物語』15.6%、『座頭市』17.3%、ついでに「プロポーズ大作戦」は19.1%である。以上。

で、『プロポーズ大作戦・第8話』(フジテレビ・070604PM9~)脚本・金子茂樹、演出・成田岳を見た。「やめる」って言ったけど「やめない」・・・「キャビアはあげたくない・・・」・・・・「忘れる、ふっきる、結婚式に来ないようにするという選択肢もある」・・・このあたり・・・もう、ふざけているのだが、まあ、いいか・・・と思う。特に最後の妖精の言葉は「過去の健(山P)が現在の健の記憶を継承しないのだから・・・たとえば自殺といった強硬手段でも使わないと健が結婚式に来なくなるようには出来ないだろう・・・」と思いましたけどね。でも、そういう細かいことは言わないって決めたから。・・・言ってるだろう。

もはやどうしていいのか分からないままに健は過去に戻る。「礼(長澤まさみ)と多田(藤木直人)の結婚」を「阻止する」とか、「礼に健が告白する」とか、そういう問題じゃなくなっているのだが、過去で幹雄(平岡祐太)が味方になってくれるかも・・・という淡い期待でやってきたのだ。だが、「健が礼を愛しているかどうか」も怪しいぞ、こりゃ。である。

いきなり、年末である。夏から冬へワープなのだが、時々、健の胸元がものすごく寒そうなのはキッドが年老いているせいなのでしょうね。まあ、真冬でもミニスカートの女の子のことを思えば、師走に胸が冷えるくらいなんでもないのかっ。

さて、「礼」に関することは「まったくできない子の健」だが、幹雄に「未来からやってきた、礼に気持ちを伝えるの手伝ってくれ」は非常にスムーズに達成されるのだった。もはや、その手際の良さに唖然とするのだが、これは「礼への想い」というのは「単なる恋」とかそういうのではないような気がしてきたぞ。いや「恋」がそれほどにスペシャルなものであるという考え方もできますが。

そして礼と二人きりにしてもらえる健。「話がある」「私も話があるの・・・私、多田さんとつきあってるの・・・私、健がずっと好きだった・・・でも、多田さんのストレートな告白でこの人とつきあってみたいと思ったの・・・」・・・健、お前の話はどうしたのだ。

ここで、必要のないときには散々あるモノローグがない。たとえば「礼に先手打たれたー」とか「ええーっ、礼ってオレのこと好きだったのかよー」とかがないのである。礼が健を好きなことを未来の健は知っている?なのか。知っていて・・・これまでの数々の行動なのか・・・それって変だな。

こうなると、健には「何か隠された秘密がある」のかもしれない。つまり、単なる、臆病で、鈍感で、根性なしで、バカだから、「礼に告白できない」のではなくて、なにか、大いなる理由があるような感じである。それは繰り返し回想される「夜の公園のシーン」が「謎めいている」のも関係しているのかもしれない。健は礼の「何」を分かっていないのだろう。そして、そうなると礼も健の「何か」を分かっていないかもしれないのだ。

それは「犯人」のようなものだな。「犯人」が登場していない「誰か」というのは王道ではないのだが、これはミステリではないので「あり」なのかもしれない。

そうなると視聴者も意外に「健」のことを知らないのである。たとえば「家族」のこととか。礼の家族は両親が式場に来ているし、今は故人となった祖父まで登場している。一方、健は一人暮らしで・・・高校時代はほとんどが学校とあの店・・・銭湯もあったが・・・「家族」についてはほとんど情報がないのではないか。ふりかえってみよう。試合。誕生日。教育実習、卒業式。祖父来訪。コンペ。花火。・・・健の家族はどうしてしまったのだろう。なぜ、健は一人ぼっちなのだろう。

ひょっとして健はとんでもない秘密を持っていて、だから、「好き」と言えなかったりして。どんな秘密なのか・・・たとえば宇宙人だったりして・・・。

ま、妄想はともかく、健は仲間たちプラス多田の初日の出ツアーから離脱する。ここで礼はともかくとしてチビ(濱田岳)とエリ(榮倉奈々)は妙にクールである。前回から気になっていたのだが、彼らは仲間として何か、微妙な距離感を持っているようだ。たとえば幹雄は恋人・優子(原史奈)に「折り返す」のだが、恋人と過ごさず仲間と初日の出ツアーのドライバーを務める。ま、そういう関係もあってもいいのだが、なにやら謎めいていないこともない。そういう意味でチビとエリはすべてを知っていてクールにふるまっているようにも見える。

単純に恋愛ベクトルで言うと、チビ→エリ、エリ→健、ミキオ→礼、そして健→礼、礼→健という相関関係がノーマルである。こういう構図ならチビ、エリ、ミキオは健と礼の恋愛にクールにならざるを得ないだろう。それぞれが「恋」と「友情」を秘めているのである・・・。

やがて仲間たちの車でエリの手によって「健の思い出の歌」がかかり、「ふっきるタメにと言いながら礼のタメにD.K.N.Y.のバッグを獲るタメに夢中の健」と「礼とその他の皆さん」は「家族が秘密にされている健の家」で合流するのだ。

健は「何か清々しい気持ち」になったようなのだが、それがどんなものなのか。そして最終回でもないのに「ラストショット」ってミエミエのフリはそうなのか、そうではないのか・・・つづくなのである。

今回のテキストは『時間旅行者は緑の海に漂う』(1995パトリック・オリアリー)である。これもまたタイムトラベルものとしてはかなり異質の小説だ。10年以上前の小説だが主人公はセラピストである。日本ではまたまだセラピーというものがそれほど馴染んでいない時代だったが、欧米ではすでにそれが日常の題材としてSFにアレンジされていたのである。

おおよそ、精神分析というものは「神経症」には有効であると信じられている。一方で「精神病」には効かないとされる。しかし、「神経症」と「精神病」の境界線は実に不透明なのである。もちろん、マニュアルには明確な境界が引かれるのだが、「ボーダーライン」の上に乗った人は・・・キッド的に言えばほとんどそうなのだが・・・多いのである。

主人公であるセラピストは異常な患者と出会い、やがて、過去の自分やら、未来の自分やらと遭遇する。やがて彼は悩み始める。あきらかに狂人であると思われた患者が正気であるらしいと感じられた頃から、自分の正気を疑い始めるのである。

自分が狂っているのか、それとも世界が狂っているのか。

これは「自分」というものを考える上でかなり重要な質問だろう。この主人公がどんな答えを得るのかは秘密にしておく。この物語で主人公はこうつぶやくのである。「未来は変えられない。変えられるのは過去だけだ・・・」

この言葉の意味はこうである。「未来は何が起こるか分からないのだから変えようがないが、過去はどのようにでも変えられる・・・何しろ、もう起こってしまったことだから・・・」というのである。もちろん、この場合、「過去」とは「記憶」のことなのです。

関連するキッドのブログ『第七話のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『バンビ~ノ』(日本テレビ)

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Hcinhawaii0180 P祭り開催中なのでPごっこレポートをお届けします。お気楽「健のことが好きだったって礼が言ったとき、どうして健は礼が好きだぁぁぁぁぁぁぁって言わないの?・・・ま、言ってもムダなんだけど」アンナ「まあまあ、今回はなんかもどかしさが逆にいい感じ?」ads(あず)「・・・逆になるほど」

Hcinhawaii0181 お気楽「ハレルヤ~チャ~ンス!」かりん☆スー「おんどりゃあ~!・・・今夜もね、健がね、キュンッとせつないのよね。恋にやぶれた健がね。街をさまようの、もう胸元が無防備なの、もうね、せつなくてせつなくてせつなくてせつなくて泣くのよ」

Hcinhawaii0182 ads(あず)「ikasama4先生、ごくろう様です」ikasama4「大河ドラマの次の日はきついです」くう「そろそろ盛り上がってきたのでバンビと遊びに来ました」みょうがの芯「なんか、エリとツルが気になりますの」お気楽「みんななんだかんだ言って好きなのね」アンナ「社長もね」

Hcinhawaii0184_1 みのむし「礼と健の線はもう消えました。フジッキーと私でいいのです」まこ☆ミキ「ちょっと待ったーっ、過去健の三万円・・・

Hcinhawaii0185 まこ☆ミキ「初日の出、夜明けのコーヒーを二人で飲もうとフジッキーに言われたら・・・はううううううん」みのむし「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁ仲間は大切に」

Hcinhawaii0183かりん「うう、Pちゃん・・・悲しすぎる・・・一人ゲームセンター・・・」ぷっち☆翠「山P、この仇は必ず、翠がとりますからー・・・とりあえず翠の胸で泣くのデス・・・」 mari「Pちゃま、Pちゃまにはmariがついていますから。大丈夫よ。う、涙が止まりません・・・」

Hcinhawaii0186お気楽「合流・・・朝日だよー」アンナ「やっぱり最後はこうなるのね・・・」

Hcinhawaii0187Pトリオ「お・み・や・げ、おそろいゲット~!」

Hcinhawaii0188 ミマム「ああ、いくらでも歌えるの~」妖精「恋の魔法はカラオケエンドレスですよ・・・」ミマム「明日ハレルヤ~」

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2007年6月 4日 (月)

いくら目ん玉ひんむいても見えねえものは見えねえ・・・。(ビートたけし)

北野武の映画は評価しにくい。タレント・ビートたけしによりかかった部分があると同時にそのために曇る部分もある。海外の評価が高く、日本での興行成績がそこそこというのも頷ける気がするし、かといって海外の客がお目が高いというものでもなく、日本の客が目がないというわけでもない。

「冗談じゃないよ~」と場末の江戸弁で話すビートたけしと「芸術映画」を撮る「北野武」の空隙をみんなもてあましているのではないだろうか。

そういう中で『座頭市』はそこそこヒットしたし、銀獅子賞も獲得している。なんとなく発言が許される映画のような気がするのだな。

で、『日曜洋画劇場特別企画・座頭市(2003劇場公開)』(テレビ朝日・070603PM9~)原作・子母沢寛、脚本・監督・編集・北野武を見た。もちろん、勝新太郎の「座頭市」があっての作品である。たけしさん本人が「勝さんは越えていない」と語ったそうだが、まあ、そうとも言えるし、「勝負してたのか・・・」という気持ちにもなる。

いくつかの差異があるが、まず、勝の市は「本当に目が不自由」、北野の市は「ニセメクラ」と言う点が決定的だろう。付随して「カラーコンタクト」で「金髪」である。あ、申し遅れましたがネタバレが基本となっています。

たけしさんにもオーラはあるが、生前の勝さんのオーラはとんでもない輝きを放っていた。・・・いえ、別に見えるとかそういうものではなくて、話の綾ですから。勝さんはオーラを放ちながらとぼけているのである。とぼけることに全力投球のたけしさんとは明らかに・・・違うと思う。

だから、北野の市は金髪でカラコンなのであり、勝の市は本当に人を殺してしまうのだと考えてもよい。たけしさんの歌はろくでもないが、勝さんの歌は聞きほれるぐらいの差があるのだなぁ。

しかし、実質においてその天衣無縫さはいい勝負だと思うし、パンツの中に麻薬を隠したり、出版社に殴りこみをかけたりして凡人たちをあたふたさせるはた迷惑ぶりも似たもの同志なのである。・・・そして魅力的なのだな。

どうしても勝市と北野市を比較してしまう。だから、たけしと武の違和感を忘れることができる。やや、屈折しているけれどそういう意味で見やすい映画なのだった。

殺陣はすばらしい。特に「刃物は凶器になる」という哲学は徹底している。「刀を抜くだけで人を斬ってしまう」と云うか「人が斬られてしまう」シーンが二回ある。一回はニアミスだが。「こわくておかしい」というエモーションが沸きおこる。特に最初の「やくざものがあわててドスを抜いたのでとなりの奴を抜きながら斬ってしまう」シーンが凄い。二回目はやりすぎなのだがニアミスにしているところが計算だ。

ここで圧倒的な実力差があるためにやくざものたちが逃げ出すのだが、逃げ出す前にタメを作りたくなるところを作らないのも計算だろう。タメ(放心)、きっかけ(気付き・・・誰かが腰を抜かすなど)、逃走(行動)というダンドリではなくて、驚愕、逃走というスピード感を選択する。耕作、大工仕事、祭りのタップダンスと続く、リズムが通底しているのだな。

狂言回しとして進吉(ガダルカナル・タカ)が善良な庶民を演じるのだが、ちよっとコントな部分のさりげなさ不足はともかく、おきぬ(吉田絢乃-大家由祐子)とおせい(早乙女太一-橘大五郎)の身の上を知り、昔を思い出して暗い表情になったおきぬにほだされて泣いてしまうシーンは名場面である。もちろん、フリとしておうめ(大楠道代)の抑えた演技がものを言っているのだが・・・とにかく忘れられない素晴らしい部分であろう。

一方、浅野忠信演ずる浪人とその妻(夏川結衣)はやや、ものたりない。彼と彼女は偶然、心中するというたけしさんの主題ともいうべきものを負っているのだが、ちょっと解釈不足だったのではないか。たとえば夏川は喜びに満ちた顔で胸をついたりしてもいいのだが。ま、たけしさんはやりすぎないのだな。

勝の座頭市VS用心棒は相手がミフネだけにすでに爆笑なのだが、浅野でも弱いと感じるのが巨匠すぎる男の悲劇なのだな。

後半、悪党一網打尽というか、ボスキャラ連続征伐で、岸部一徳が逃げられないのは座頭市が盲目ではないからなのだが、筋が通っているのか、ふざけているのか分からないのである。

そしてラストシーン、もう転びたいから転ぶのであるが、石でよかったのか、バナナの皮がよかったのではないか・・・とささやくものがいる。もちろん、世界のキタノなのでそれはしないのだな。やりすぎないのである。やりすぎと思う人は開きメクラだと思う。

関連するキッドのブログ『この胸いっぱいの愛を』『THE 有頂天ホテル

火曜日に見る予定のテレビ『セクシーボイスアンドロボ』(日本テレビ)

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2007年6月 3日 (日)

8億5千万円で私は恋を買いました・・・。(戸田恵梨香)

・・・ついに直(戸田)は自分を獲得したらしい。「棄権しろと言われたから棄権した」というタイトルにならなかったのがその証拠である。「帰ってきた時効警察」の場合は無理矢理「恋愛もの」として妄想レビューしているのだが、この番組の場合、明らかに「恋」である。

直はその手に「10億円」持っていた。そのうち1億5千万円をライアーゲーム事務局にもどせばゲームから抜けられる。しかし、そうすると「秋山様」(松田翔太)とは無関係になってしまうのである。

いや、秋山さんと別れるなんて、絶対いや・・・8億5千万円よりあなたと一緒にいたいのです。

・・・なのである。お、おそろしい女なのである。直の中には神戸美和子(「富豪刑事」=深田恭子)が入っているのか・・・。乙女に大金を預けてはいけないというありがたい教訓なのだな。

で、『ライアーゲーム・第8話』(フジテレビ・070602PM1110~)原作・甲斐谷忍、脚本・古家和尚、演出・大木綾子を見た。残り、9、10と来て最終回が三時間SPなのか・・・あんまり総集編だと・・・いやだな。そこそこにしてもらいたい。原作に対しオリジナルなラストにするそうだけど・・・続編もにらんでの対応なのか・・・どちらにしても楽しみだ。

敗者の没収金賞金山分け制度がどうなったのか・・・ちょっと疑問だがとにかく、直は「秋山さんとはなれたくない」気持ちとちょっぴり「みんなが損をしないことが大切」という好みでついに自分を獲得するのである。

さて、前回最後の投票を前に直80票、フクナガ(鈴木浩介)、メガネ大野(坂本真)、ヤセオヤジ木田(大高洋夫)が40票で最下位。その他の5人が41票で並ぶという展開。直は七人から四億九千万の借金をしているという設定。

しかし、その借金の返済期限は10回目の投票前までなのである。

状況を飲み込めない人々に直と直の私物秋山は「金は払うしかし、最下位のみんなこのままでいいのかな・・・」と自由になる30票(勝利狙いなら29票)プラス5票(最後の直の投票それ以外の者の投票はすでに契約済み)をちらつかせるのである。

メガネとヤセオヤジに商談を持ちかける秋山。

「一千万でどうだ・・・」「バカか」「じゃ、いくら・・・?」「七千万・・・しかも二票な」「えーっ」しかし、選択肢はなく商談成立。なにしろ、独占市場なのである。完全なる独占禁止法違反だ。まるでNHKのようだ。

「おいおい、単独最下位になっちゃったぜ」と秋山はフクナガをいたぶる。フクナガには「2票8千万円」で売りつけました。まさに水飢饉の水商売です。しかもまだ6票しか売ってないのです。

こうして残りの五人が最下位に。こうなるともう買うしかありません。「値上げしました」の看板が出て「2票1億円」です。これで直の借金はゼロになり、五人から三千万の利益まであげる始末。しかも票の在庫はまだあるのです。

直の心が痛み出します。「私のせいで誰かが不幸に・・・そんなのイヤ」これに対して「君を貶めようとした奴らだ。これは罰だよ」という秋山。さらに「最終的には全員から一億円、しめて8億円をいただく。君は賞金1億円のうち五千万円を返上して8億五千万円もってリタイヤしろ」・・・直はガッカリしてしまいます。今回トホホはなしですが、ガッカリはありです。「好きな人からもう関係ない」と言われたのがショックなのです。それから他の人を不幸にするのは直の趣味ではありません。「どうしたらいいんだろう・・・」乙女です。乙女心です。とにかく好きな人と一緒にいたいの。それだけでいいのでか。・・・たまらんなっ。

途中、負けて儲けて逃げようとしたりするものもあらわれますが、秋山の情報戦略で失敗。最後まで主導権は直の手の中に。直は売買も自分でやり、乙女の思いを秋山に伝えることにします。

ついに8人から8億円巻き上げての最終投票。直は首位を獲得、賞金1億円をゲット。なるほど、賞金は1位だけに与えられるのか・・・ボーナスとか言ってた気がしたが・・・違うのだな。つまり、同率1位二人なら五千万円でリタイア料は2千500万円ということか。

とにかく、直の結論は「誰も欲張らなきゃ、誰も損をしない」っていうか「時間の無駄」はあるけどな・・・ということで一人だけ優しかった江藤(和田聰宏)をリストラして2億円をプレゼントして救済・・・二回戦の借金は残るけどな・・・他の人にも一億円を丸返しなのである。

ライアーゲーム事務局「リタイア料が払えなくなりますよ」

直「私、棄権しませんから。だって秋山さんともっともっと一緒にいたいんだもん」

・・・である。だめー、そっちにいっちゃだめーという全国の声に応援されて直は地獄行きの車に乗り込んだらしい。

関連するキッドのブログ『第七話のレビュー

さて、今回のゲームは「投票のパラドックス」を背後に控えている。これは選挙が投票者を幸せにするかどうかという問題である。この場合、三人がいると考えてみよう。一人は「自由主義者」であり、一人は「平等主義者」、一人は「自由平等主義者」である。その前に自由と平等は両立しないことを定義しておく。自由にすれば弱肉強食は必然であり、平等にはならないし、平等にすれば計画経済は必然であり、自由にはできない。ということは自由平等主義者というのはかなり頭のおかしい人なのだが、まあ、時々、自由、時々、平等といういい加減な人と考えてください。

この三人がそれぞれの候補者に投票すると永遠に決着がつかないので勝ち抜き選挙が提案される。まず、「自由主義者」と「平等主義者」で選挙をして、勝った方が「自由平等主義者」と決戦投票するというものだ。仮に「平等主義者」が勝ったとする。そこで「平等主義者」と「自由平等主義者」主義者の選挙になる。さあ、どちらが勝つと思いますか・・・ということである。そして「自由主義者」が勝ったとする。さあ、その場合は・・・ということである。どちらの場合もどう転んでも自由平等主義者が勝つということになるのです。

もちろん、最初に「自由平等主義者」とどちらかが決戦投票をやっても同じなのです。こうして世の中はどんどんいい加減になっていくのです。(実際の投票のパラドックスは本質的には違います。この理論はあくまでキッドの妄想ですので・・・念のため)

月曜日に見る予定のテレビ『プロポーズ大作戦』(フジテレビ)

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2007年6月 2日 (土)

私って神秘的なオーラにつつまれた美人なの・・・でへへ。(麻生久美子)VS一人暮らしの女の幸せを落しちゃいますよ。(小出早織)

トム・ジョンイルはやめたのか。オダギリジョー。・・・ま、天は二物を与えずというがこれは「目を閉じている時には目を開けていられない」という意味なのであって、「美人薄命」とか「巨乳はバカ」とか「色男、金と力はなかりけり」とかいう、持たざるものが「美人に長生きされてたまるか」とか「乳もあって知恵もあるなんて許せない」とか「ハンサムのくせに金持ちで力持ちなんて犯罪だろう」というせつない希望を託したことわざのことではないのだ・・・と思うことがある。

つまり、菅野美穂が演技派女優であると認められないのは美人で演技がうまいなんてずるいという潜在意識がなせるワザなのであり、菅野美穂の演技力は抜群なのである。

オダギリジョーが二枚目俳優なのかどうかは別として、とにかく色男である。彼が脚本・監督もこなすとなると色男でもなく脚本も監督もできない人は「こんちくしょう精神」爆発のおそれがあるのだが、実にそつなく、時には演出過剰に、時にはあえて期待に応え、今シリーズの最高傑作といってもいい作品を仕上げている。

そして監督特権で特上ビーフ・ステーキを食べ、監督特権で三日月くん(麻生)とのシェイクハンドなのだった。オダジョー才能ありすぎ特権使いすぎである。

で、『帰ってきた時効警察・第8話』(テレビ朝日070601PM1115~)脚本・監督・オダギリジョーを見た。主演・監督なのでパートナー中心の作品となり、三日月くんファンにはこたえられないサービスになっている。もう三日月くん出血大サービス。三日月くんファン感謝デー。バルタン星人ふぉっふぉっふぉっふぉっ(真加出=小出の紙きり作品・推定)なのである。

作品全体はキッドにとっては抱腹絶倒の仕上がりだったが、眉をひそめる心のせまい人もいるだろう。

①怪奇趣味が大袈裟で馬鹿馬鹿しい。

②キャラクターが芝居がかってわざとらしい。

③ドタバタがすぎて目がまわる。

④無理なトリックが多すぎる。論理性や必然性がない。

・・・というような批判である。これはミステリ作家ジョン・ディクスン・カーを批判する人の特徴をとある評論家が皮肉ったものをキッドがパロったのであるが、まあ、好みの問題ということです。

とにかく魅力的なのでオープニングの「三日月くんの夢」なんかはもう十回くらいリピートしてしまいました。時効管理課ラインダンスで三日月くんと同じタイミングで頷けるほどだ。

よくドラマ『トリック』と比較される『時効警察』だが、『超常現象』を偽装したトリックを見破る前者の主題に対して後者の今回は「予知夢」という「スーパーナチュラル」で事件を解決してしまうのである。もちろん、毎週、これだと誰もついてこないと思うが、「知ったことじゃないよー」とピンポイント攻撃で爆撃機は去って行くのだな。破壊力は抜群だ。

まあ、ストレートに言えば『ロッキーホラーショー』なのである。不気味な洋館。デートの後に訪ねるカップル。そこに待つダンシングチーム。そして嵐。雷鳴が響き、雨は・・・ウソをつくと低気圧を呼び込むのだった。もはや・・・なんでもアリなのだ。

今回は三日月くんが全開バリバリなので真加出くんは控え目なのだが、ピリリと辛いのである。一人暮らしの女の風呂後の紙きりで「無理なのりつっこみ」でつっこむ。

熊本(岩松了)「それじゃ野菜の気持ちが分かるのじゃないか」十文字(豊原功補)「そうそう・・・オレたちが熟してる・・・ってなんでやねん」に対してである。

今回、三日月くんは「霧山くん」に甘かったり「ま・か・で~」と真加出くんに敵意まるだしだったりともはやラブラブモード全開。「二人で一緒に住みたいな~」と逆プロポーズまでしてしまうのだった。もちろん、それをそのまますべてリアルととってしまうと最終回を前にしてあんまりなので半分くらいは「三日月の妄想」として処理しておかねばなるまい。なにしろ、なんでもありだからな。象はエサをもらい、ヤギは股間に頭突き、メロンは転がり、イヌは噛み付き、ゴリラはたたきつけられる。正しい動物虐待に○をつけなさい。

さて由緒正しいシンメトリーの問題である。「美」の基準にシンメトリーは関係している。一説によれば半島ではシンメトリーと「美」の一致性は高く、列島では「逆にアシンメトリー」に「美」を見出す傾向があると言われる。しかし、キッドはそれは時代性の問題にすぎないと考える。「シンメトリー」を賛美する時代の後にはそれを「くずす」時代が来る。そして「くずれ」が支配的になれば「整合」が希求され始めるのである。

もちろん、絶対的な「美」の存在を信じるキッドとしては「シンメトリー」だろうが「アシンメトリー」だろうが美しいものは美しいと考える。「美」という字だって基本はシンメトリーだがいくらでもくずせるしくずしても「美」だったりするのだな。

だから河原さぶの伝説が極悪であるようにさわやかハウスがさわやかでないように、前髪そろえた三日月くんもいつもの三日月くんもビューティーなのは否定できないのである。孫娘役の手塚裕紀もビューティーである。

もちろん、役柄としての三日月は天は二物を与えないのでおバカだ。

「認印」を「水戸メイン」=「納豆っぽい」と理解している疑いあり。

話の構造も時間的シンメトリーになっている。

「三日月の夢」が「現実の事件になる」

「犯人(加藤治子)の夢」が「事件解決後に現実になる」

だったり、

三日月が治子に「すみません、ありがとうごさいました」

治子が三日月に「ありがとう、ごめんね」

と感謝と謝罪をリフレインしたりである。

非対称の「ビニール」と「紙」は「ピースする人」から「ザリガニ」となり、赤くなるのは「テレ」でトマトもリンゴも「テレ」で自作自演のオダジョーもちょっと「テレ」なのだろう。いつしか対称的になっていくのである。名人芸ではないか。

ああ・・・来週は最終回なのかぁ・・・早目だったなぁ。きっとみんなもそう言ってるのだろうなぁ。

関連するキッドのブログ『第七話のレビュー

日曜日に見る予定のテレビ『日曜洋画劇場特別企画・座頭市』(日本テレビ)

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2007年6月 1日 (金)

ボクはみにくい黒いニワトリだ・・・ヤマダ・カスコ・・・?(菅野美穂)

「また、誰かがいじめられているかもしれない」と珠子(菅野)は恐怖を感じる。それは杞憂ではなかったのだが、その結果はまだ秘密にされている。フリーホールドラマとしては第一部開始と同時に明日香(志田未来)を墜死させているのだが、第二部はフリーホールの連続で見せ場だらけ。登場人物たちの狂気も全開である。ゴトッという異音が墜落したポー(鈴木かすみ)の体から発せられたのか、珠子の電話がポーの電話に接続された音なのかは不明だが、老人たちは首をつり、母はゴミ箱に赤子を捨てたり、首をしめたり、子供は墜落するという現実の中でブラフならやりすぎだろう。

もはや、誰が正気なのか、見失いそうな展開。

あれだけ謎に包んでいたのにいきなりいじめっ子たちは「いじめてたっちゅーの」である。

兼良(冨浦智嗣)は「いじめなんて見たことありません」で「ばっかじゃねーの」である。

結局、いじめはなくならないのだが、いじめられて自分を殺すくらいなら相手を殺せばいいのになとキッドはいつも考える。それは恐ろしい考えだが、そういう考えでいじめが抑制されることはありえると思うのである。所詮、安全保障とは疑心暗鬼の緊張感の上に成立するものだ。もちろん、いじめに耐えて文句も言わずに生きていくという選択肢だって悪くないと思うよ。そんな殺伐な世界はいやだと現実逃避するのも手段としては認めます。

で、『わたしたちの教科書第二部・第一話(第8話)』脚本・坂元裕二、演出・葉山浩樹を見た。音楽のフェイクは続いているが、もはや、それが当然になってきた。いじめをテーマにした番組が不利なのはいじめはいけないという人が多数派で、いじめはよろしいという人が少数派であるとしても、実際はいじめているのが多数派で、いじめられるのは少数派であるという点である。本格的にいじめを断罪すれば人々は自分が責められている気分になりかねない。あるいは加地(伊藤淳史)のように狂気によって自分の無実を信じるしかないのである。

このドラマの場合、追求する側の珠子が罪なき罪を背負い、自らを激しく断罪しながら、共犯者の罪を追及していくというアクロバットな展開でこの問題を解消しているように見える。「一人の少女の死」は全世界に責任があるとも言えるし、誰の責任でないとも言える。しかし、その中間のどこかに責任の所在を明らかにしなければ少女の怨念は晴れないだろう。願わくば誰もがそう思ってほしいのである。

しかし、世の中はそういうものではない。加地を応援する人も、下手すれば兼良を応援する人もいるのである。そうでなければ明日香は死ななかったはずだから。

裁判の争点は①いじめの有無 ②自殺か事故か ③学校側の責任の有無の三点。

珠子は明日香の形見の時計を腕に裁判に臨む。相手はかってのフィアンセ(谷原章介)、そして雨木副校長(風吹ジュン)である。雨木の謎の息子は出所し、母子家庭らしい家で雨木は血痕のついた衣類を洗濯する。とにかく何でも隠すのだな。

宣戦布告から一年、裁判は本格的に始動したのだった。珠子は積木法律事務所を自宅に構え、番犬・加地は「この戦争が終ったら結婚しよう」とビッチ(真木よう子)に空虚な自信で語りかける。訴訟開始から時がたち、すでに沈静化している校内。

「いやなことは忘れてがんばってきた」という番犬にビッチはふと違和感を覚える。「教師だって人間なんだ」という人間らしさが消え、ロボット化した加地にビッチは不安を感じるのである。「この人はただのバカではなく何か恐ろしいものに変わりつつあるのではないか」と悟り始めたのだった。

切り札・プッツン三澤(市川実和子)がヨガの発表会で欠席。裏切り者の加地を証人席に招いた珠子は「人手不足で経験不足の加地」「副校長からの明日香の情緒不安定の指摘」「明日香からのいじめ告発の疑い」「証拠物件の紛失」「いじめがあったと発言する加地の肉声」などで加地を追及する。そうしながら加地に一縷の希望を託す珠子。しかし、それは裏切られる。かすかに肩を落す珠子。

しかし、元・フィアンセは「明日香の心の問題は家庭環境にあった」と切り返す。加地も珠子が「義母として育児を放棄し、冷たい言動をしていた。しかし、自分のはげましで彼女は立ち直った。よってあれは事故だった」と証言をつらぬく。

珠子は唇をかみしめ、爪がくいこむほど手をにぎり、相手の攻撃と自責の念に耐える。これは想定内の出来事なのだ。クールに視線を交し合う珠子と元・フィアンセ。珠子と副校長。第一ラウンドはドローだった。しかし、それは原告の不利なのである。

学校では新たないじめが発生しつつあった。告発分が寄せられる。そこには消去した落書きの写真が添えられていた。ふたたび調査を開始する副校長。「いじめなんてない。あれば自分が責任をとる」と言い出す加地。ビッチの顔は曇る。強化がすぎたな・・・なのである。

ポーは半信半疑であった。情熱に燃えた加地と洗脳された加地の二重の姿に迷う。彼女はいじめられており、捨て猫をおしつけられ、遺書を書いていた。それを加地に託そうとして拒絶される。

文学を理解しない国語教師(佐藤二郎)はかって「私が女子生徒から相談を受けるキャラに見えますか」と言っていたが自分をよく理解しているらしい。「いじめられてる奴は手をあげろ」などとジョークも痛々しい。彼が空飛ぶ象なのか。

そして「授業」「受験のための指導」「生活のしつけ」「生徒の心のケア」「書類の提出」と仕事の多さのプレッシャーにめげる数学教師(水嶋ヒロ)はついに授業放棄。かけつけた番犬は吠えかかる。ついにビッチが「あなたおかしいわよ」発言である。狂気がより大きな狂気に出会い正気を獲得したのだ。「生徒が自殺したら責任なんてとりようがないわ」数学教師は皮肉を言い出す。「加地先生は神様だったのか。じゃ、明日香を生き返らせてくださいよ」明日香の死は数学教師の心に傷跡を残していたのだった。「はははは、もう大丈夫だ、生徒が何人死んでも神様が責任をとってくれるから・・・」

その頃、二回戦を前に珠子の前に姿を見せるポー。遺言のポエムは珠子の手に渡った。そうとは知らずにプッツンの証人尋問に望む珠子。記録の改ざんを証言させることには成功したが、プッツンが指導力不足の烙印を押され、副校長に怨みを持っていたことを暴露されてしまう。まさにプッツンであり、孤立無援の珠子は大きく肩を落とす。二回戦もまたドローであるが、被告には大きな有利であったようだ。すべては裁判官に与える心証なのである。敵には失笑、微笑、嘲笑が浮かぶ。笑いの基本は勝利の笑いだからな。

あっけらかんと裁判所を後にするプッツン。しかし、彼女はポーの本名を覚えていた。ヤマダカズコ・・・。珠子は体育教師(大倉孝二)から得た情報の断片を連想する。「カスコといういじめられっ子がいる」・・・ヤマダカスコ。

ポエムの冊子を開く珠子。

ボクは醜い黒いニワトリ。みんなはお前はトリじゃないという。クジャクもインコもツグミもお前はトリじゃないという。お前は飛べないから。お前は飛べない。お前は・・・。

不吉な予感におびえて冊子にあった番号に電話をする珠子。その頃、ポーは一人。ビルの屋上に・・・不気味な音を残して・・・つづくである。

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ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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