最後の加害者であるあなた(谷村美月)も最初の加害者である私も明日香(志田未来)と同じように自分を許して生きて行こう・・・。(菅野美穂)
だって「明日香」は「わたしたちの教科書」なのだから。
天才詩人であった明日香は逆境の中で言葉を紡ぐ。もちろん、言葉なのでそれは基本的に「嘘=虚構=フィクション」である。明日香は「嘘」を書く。「どこにもいないお母さんに宛てて」「どこにもいないトモダチに宛てて」そして「本当にいない未来の自分に宛てて」・・・そしてどこにもいない神は肉体疲労と雨と万有引力で明日香の命を吹き消した。
しかし、明日香の「嘘」は珠子(菅野)の心に水をそそぎ、朋美(佐藤未来→谷村)の心を照らす。
そして奪われた明日香の未来は今も風に吹かれているのである。
もちろん、いじめられっ子よりもいじめっ子の方が多数派であるから視聴率は平均11.2%、最終回12.4%なのであるが、ドラマとしては傑作だったと思う。おしむらくは窓際のしりとりは「ともみ→みかづき→キリギリス→すいか→カンボジア→あすかだと良かったと思う。・・・そんなユーモアはいりません。※今さらですが本レビューは妄想を主成分としてお届けしています。念のため。
で、『わたしたちの教科書・最終回』(フジテレビ・070628PM10~)脚本・坂元裕二、音楽・岩代太郎(ラフマニノフの交響曲第2番なども使用)、演出・河毛俊作を見た。今回も音楽はフェイク的要素があったようだ。技巧としてはひとつのこだわりで良かったと思う。つまり、悲しい場面が悲しいとは限らないし、楽しい場面が楽しいとは限らないという表現であろう。
最終回はやはりミラーハウス(鏡を壁として構成された迷路)だったと思う。ネーミング的にはエヴァンゲリオンへのオマージュのあった作品だが最後は乙ガンダムの香りも漂い、少しガンダムを解禁することをお許しください。
無力な母に代わり刃物に秘められた暴く力でいじめ問題に答えを出すと豪語し、いじめの実行犯で主犯格の兼良(冨浦智嗣)を人質に取った雨木音也(五十嵐隼士)が無能な教師・加地(伊藤淳史)を刺して流血させ、主要な教員とともに職員室に篭城している頃・・・。
死亡した明日香(小野花梨→志田)を被害者と考えるなら最後の加害者であることが明らかになる朋美は最初の加害者と言っていいだろう珠子に法廷で全弾発射的な攻撃を開始する。もちろん、朋美は珠子を責める意志はそれほどない。彼女の攻撃は自分に向かって照射されている。いわば自爆テロなのである。
「私が明日香と出会ったのは小学校2年の時でした。彼女が施設に入った後です」
・・・そう、私が私の心の傷を癒すのに必死で何の罪もない少女をいじめた頃のことなのね。・・・すでに朋美の言葉は凶器であり、一言一言が諸刃の剣となって朋美と珠子の心を切り刻むのだ。言わば二人は尋ねては血を流し、答えては血を流すのである。
「彼女と私はその日からトモダチになりました。消しゴムの貸し借りもしたかもしれません。明日香がともみ・・・と呼ぶので私は三日月と答えました。時効警察で三日月さんが登場するとそのことを思い出しました。すると明日香はキリギリスと答えました。私は享楽的な性格で明日香に比べたら恵まれていましたから。そこで私は水車と答えました。来る日も来る日も河の流れがある限りひっそりと回り続ける水車。明日香はそんな娘でしたから。次に明日香はシャンデリアといいました。何一つ持たない明日香にはさぞや私はゴージャスに見えていたのでしょう。そして、私は明日香の名前を呼びました。私も詩人でしたが、明日香も詩人でした。私たちは詩人の魂で結ばれていたのです。神様はバブルを崩壊させて私たち二人に秘密の隠れ家を用意してくれました。立ち入り禁止の廃墟です。そこで私たちはよろこびもかなしみもわかちあう約束をしたのです」
・・・私が自分のキャリアを積み上げる間に置き去りにした少女とあなたは遊んでくれていたのね。私のするべきことをあなたがしていた。あなたには明日香の心がわかっていた。私に「ありがとう」と言った珠子の心の真意を「英語の分からないアラブ人に置き換えて血まみれのサンキュー」と伝言するほどに・・・。
「中学生になって私と明日香の間に秘密ができたのは私が恋をしたからです。私はそれを秘密にしました。だって私が誰かに心を奪われたと知ったら明日香は一人ぼっちになったと悲しむかもしれないからです。でも結局、私は明日香を一人にしました。恋人と過ごす時間の方が楽しかったから。だって私はキリギリスでシャンデリアだから」
・・・私が傷心を隠して明日香を視界にも入れたくなくてそして自分を守るために心を閉ざしたまま愛されることに甘えていたのと同じなのね・・・。
「しかし、恋は突然終りました。恋人の兼良君の父親が援助交際をしているところを目撃した私はそうとは知らず思いのままに嫌悪感を口にしました。兼良君は泣いていました。そして翌朝から私は『雑巾女』になっていたのです」
・・・神経が高ぶっている。彼女は何を怖れているの。そして今度は笑みを浮かべている。これは危険なユーモアだわ。彼女は皮肉な運命を笑っている。汚いものを汚いと言って雑巾になってしまった自分。そして、やがて彼女は何になるんだっけ? ・・・何に?・・・そう、『透明人間』になるのね。彼女は今、見えなくなっていく自分を見ているのかもしれない。
「でも、私には夢がありました。ピアニストになる夢です。そのためにいじめに耐えられると思っていました。しかし、ある日、いじめグループに押さえつけられた私は指を一本一本折られていったのです。私はピアノの弾けない体にされてしまいました。そこで私は死のうと思いました。・・・それを明日香が止めたのです。きっと明日香はずっと私を見守っていたのでしょう。私は明日香を裏切った自分が許せず、彼女に汚い言葉を投げつけました。そしていじめられている者の気持ちなんか分からないと言ったのです。どうして彼女にその気持ちが分からないことがあるでしょうか。彼女は世界から置き去りにされているのに。しかし、詩人の言葉は過激ですし、私も本当に絶望していたのです。すると、明日香は身代わりを提案しました。昔の約束があるというのです。二人はよろこびもかなしみもわかちあう。しかし、結局、私はすべてを明日香に押し付けたのです。なぜなら明日香には悲しむ人がいなかったから・・・」
・・・そうよ。明日香を悲しむ人のいないものにしたのは私。私が世界のあらゆるものから目をそむけていたために明日香はひとりぼっちになったのよ。それはけしてあなただけの罪ではない。
「そして、明日香は兼良の父親の悪口を意図的に言いふらし・・・『消臭剤』になりました。人はくりかえしのおそろしさを時々忘れます。毎日、毎日、『臭い、臭い』と言われたら本当に『臭いような気が』してくるのです。毎日、毎日、『死ね、死ね』と言われたら本当に『死にたく』なってくるのです。そして、私はそんな明日香に手を差し伸べることも声をかけることさえしなかったのです」
・・・私だってそうしたわ。相談したかったかもしれない明日香を拒絶したし、それどころか、私はそんな明日香が心の支えにしようとした夢まで叩き潰したのよ。いじめられて苦しんでいる中学生に世界を変えるなんて逃避してないで、義務教育なんだから勉強すればいいとか言って、教科書も汚されて親の形見の時計質入して新しく買った教科書を燃やされて困り果てている・・・義理の娘によ。この研ぎ澄まされた鋭利な刃物のようなプロフェッショナルな言葉でね。丸腰の相手を嬲り殺しにするように。私はそれをした。あなたの何倍もひどいのよ。さあ。そろそろ真相を教えてちょうだいな。あなたはもう限界かもしれないけど。・・・でも私はそれを知りたいの。
「・・・あの日、明日香は死のうとしていると思いました。私はそれだったら私が死のうと思いました。本来、死のうとしていたのは私だったから。私は窓から身を乗り出し、手すりに腰をかけました。すると明日香はまたしても私を止めるのです。あなたには悲しむ人があるから死んではダメというのです。私は耳を貸そうとしませんでした。強い明日香には弱い私の気持ちが分からないと思ったのです。けれど明日香は私に言いました。自分も死のうと思った。けれどそれは間違いだと分かったというのです。なぜなら今は一人ぼっちでもいつか誰かが私が死ぬのを悲しんでくれるかもしれない。それを考えたら死ねないと言うのです。おかしな話でしょう。まだいない、いつか悲しんでくれる人のために自殺をやめるなんて・・・私はちょっと気がそがれました」
・・・すると明日香は死ぬ気はなかったのですね。あれだけの仕打ちを受けてまだ希望を持っていたのですね。くじけていなかったのですね。私を許してくれていたのですか。私を恨んでいなかったというのですか。そんな、もう涙を止めることができないではありませんか。そんな、そんな人がなぜ死ななければならなかったのよ・・・。
「私は教室に戻りました。そして、ふと目をそらした間に明日香は堕ちていたのです。視聴者は神様ですから、彼女が神に召されたのを知っているのですが、私にはわかりません。彼女はなぜ死んだのですか。死ぬ気がないというのは嘘だったのですか。それともただドジをふんだだけだったのですか。てへっと言いながら堕ちていったのですか。どちらにしろ、私は私を許せないのです。彼女が死んで私が生き残るなんて不公平すぎるのです。でも、もうこわくて自殺ができないのです。どうか、私を・・・死刑にしてください」
・・・何を言ってるの。あなたはそれ以上、自分を責めちゃだめ。明日香を捨てた私が、欲望の自己管理のできない兼良の父親が、兼良とそのとりまきが、何もしなかった学校がもっと悪いに決まっている。自分で自分を裁くことなんてできないのよ。それをしたら人間でなくなっちゃうのよ・・・カ、カミーユ・・・心をどこにやってしまったの。人格を喪失してしまったの・・・。統合失調症の初期段階を通過してしまったの・・・朋美さん。朋美さん。
その頃、兼良に「先生は悪くない。ボクが悪いのだ」と云われ、隙をつかれた今、現在、実際にいじめられていてとりあえず理屈や理想はいいから誰かいじめっ子をぶっ殺してくんないかという全国のいじめられっ子の希望や期待もむなしく、だれかを殺すくらいならいっそ私を殺しなさい的母親に刃物をにぎられ体罰さえ許してくれたらいじめをコントロールしやすいのになという雰囲気をかもしだす国語教師と体育教師にいじめっこ仕置き人は現行犯逮捕されてしまうのだった。
・・・一年後。加地は脊髄損傷で下半身不随になったが優しい夫人に毎日しごかれていた。いじめはなくならないが、とりあえず、いじめについて話せるようになった学校で議題を求められた珠子は「世界は変えられますか」という今は亡き義理の娘で早世の天才詩人の言葉を残す。
裁判は結審した。敵の弁護士(谷原章介)は「迷い」を示す珠子に「お前はよくやった。意味のないことなんてこの世にはないさ」と言う。珠子は「意味のあることなんてこの世にないさと同じ意味ね」と切り返す。しかし、珠子に浮かんだ微笑みは二人の春を予感させるものだった。裁判官の下した結論は「明日香は事故死だが、いじめがあったことは明白で学校側の責任は無視できず、精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを命ずる」というものだった。やや灰色だが公明正大なる裁判官様(矢島健一)のお裁きであった。
兼良やとりまきたち、そして副校長の息子は闇に消えた。それが現実というものだから。あなたの隣になに食わぬ顔をしてかっていじめで人を殺した人間が暮らしているのが社会というものだから。
だが、精神崩壊した少女を見捨てることはできないのだった。雨木からの伝言で珠子は「あの娘を救えるのは宇宙であなただけ」と言われて胸をときめかせ、朋美に逢いに行く。
私はあなたの中の明日香の言葉で救われた。二人で明日香に会いにいこう・・・。
名前しりとりの呪文で意識を取り戻した朋美は秘密の隠れ家へと珠子を案内する。
どこにもいない神はその全能の力を振るい、経済復興や、地上げ、所有権の移動などの度に持ち主を呪詛して、廃墟を廃墟のままにしてあるのだった。
そこには明日香の最後の嘘が残されていた。それは明日香から明日香への手紙。
「昔の明日香も明日香だし、未来の明日香も明日香だ。今日、明日香は死のうと思った。明日香は昔の明日香が嫌いだった。でも、未来の明日香は今の明日香のことを好きになるかもしれない。そんな明日香のために私は自殺してはいけないと思う。明日の明日香が見る夢のために私は思い出をたくさん残してやろうと思うのだ。未来の明日香のために明日香は生きます・・・」
本当は死のうと思っていたのでは・・・私が明日香を殺したのでは・・・と自分を責め続ける二人に残された許しのメッセージ。それは珠子の嘘かもしれないが、いや、おそらく、世界を変えようとした明日香は珠子にそれを否定され、珠子さんの言うように自分を変えて行こうという結論にたどりついたのかもしれず、そのことに気がつくと珠子は残酷な天使のテーゼを呪うのか癒されるのか微妙なわけだが・・・ともかく、珠子よりも幼くてずっとずっと弱い朋美の心の窓には暖かい陽射しが降り注ぐ。それは物質化現象を引き起こし絵に描かれた窓が光り輝くほどなのだった。もちろん、ただ二人の心の病気が一段と深まっただけなのかもしれないけれど・・・。
珠子の胸には様々な思い出が夢のように去来するのである。
・・・明日香・・・珠子も生きます。あなたのように。
そして悪意と暴力と欲望とほんの少しの幸せに満ちた世界は明日香抜きで今日も続いていく。
関連するキッドのブログ『第11話のレビュー』
シャブリ様、画鋲は英語教師モー子(酒井若菜)にずーっと長谷部だと思われていた長部(新聞部員・斉藤嘉樹)の仕業ではないのかとキッドも妄想しておるのですが・・・。
★★★シャブリ様のわたしたちの教科書★★★
根気のいるお仕事ご苦労様です。
土曜日に見る予定のテレビ『ライフ』(フジテレビ)この記事にこのドラマがリンクするとはフジテレビ攻撃の手をゆるめないな。マチベンもどうぶつ119も世界100人も美人三姉妹も押しのけるとは・・・。
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
キッド様 またお邪魔いたします。
先日お言葉いただきまして大感激でございます。。
うれしいかったー
今期は胸キュンイケメン楽しくを 期待して見ておりましたら
「わたしたちの教科書」に心を持っていかれちゃいました~
前の「ワシズさん」の時のように
見ごたえ物はひょっこりあるものですね~
主なキャラクターの性格も短いながら
台詞も最小限で 画できっちり描かれていて
なんといっても
エンディングのWater Meと画面が私はお気に入りでございます。
見ごたえ物と視聴率はつながらないですねー・・・なんで?
まだ余韻のこっておりますが
今が旬君と玉ちゃんと二宮君を わくわくしながら
来週の始まりを待ち望んでおります
おばちゃまなので・・・イケメン狙いで(笑)
キッド様のレビュー楽しみにしておりまーす。。
投稿: ice | 2007年6月29日 (金) 18時30分
ジョーダンジャナイヨオオオ~ice様、いらっしゃいませ~ノダメカワイソス
よくドラマとかで
死体を発見した人とかが
びっくりして腰を抜かす描写があると
そんな大袈裟な・・・
と思うことがあるのですが、
ある時、夢の中で
死体を発見したキッドは
100メートルくらい
走って逃げました。
夢の中で。
ですから、人によっては腰を抜かすことも
あるのだと思います。
経験のないことを人が想像するのは
難しい。
そういう意味で
義理の母親になり
夫が脳の病気を発症し
そうと知らず
育児放棄し
義理の娘がいじめられたあげく
死んだ弁護士の気持ち・・・
というのはきっとなかなかに伝わらないものでは
ないかと
キッドは思うのです。
その上、視聴者にかなりの深読みを
要求する描写の数々・・・。
なかなかにハードなドラマだったと
キッドは考えます。
イケパラに牛願に山田ですか・・・。
火曜日は探Q、金曜日はスシに
なりそうだけど・・・。
基本的には面白いかどうかなのでございます。
ひどい場合キッドの罵詈雑言に
誰もついてこれないと思いますので・・・。
投稿: キッド | 2007年6月29日 (金) 18時57分
キッドじいや、お疲れ様でした。
明日香の事件の真相が、殺人でも、自殺でもなかったのは
すくいでした。でも、やり切れなさが残ります。天才詩人の明日香の心が、朋美を救いました。それは珠子も同様に救われたと考えていいのですよね。
投稿: mari | 2007年6月30日 (土) 02時33分
❁~✾~❁~~✾mari様、いらっしゃいませ✾~~❁~✾~❁
そうですね。
それでいじめた罪が消えるわけでも
幼子に優しくしなかった罪が消えるわけでも
ないのですが
珠子にも朋美にも
「私はもっと生きたかった・・・
だから、あなたも・・・」
というメッセージが
伝わったことは確かだと思います。
このドラマは
「自責の念」
というものをテーマにすえていました。
珠子は「自責の念」から
訴訟を起すのですし、
「いじめられっこ」たちは
「いじめられている」ことに
「自責の念」を持つ。
そして、「自責の念」を持たないものたちに
「あなたに非はないの?」
と問いかけるという構造。
これはある意味、
「余計なお世話」
ですから、視聴率は伸び悩む。
しかし、「表現」に
たまにはこういう「信念」がなければ
つまらないとキッドは思います。
罪あるものが他人を責め、
罪なきものが自分を責める。
それは歪んだ世界・・・と言えるでしょうから。
投稿: キッド | 2007年6月30日 (土) 10時41分
ごめんなさい どうしても 言い足りなくってまた出てきました。
主役でないキャストの人物像も
きっちり描かれ
みんなが 主役的ないい出来だと思いました。
(はじめてERを見た時の感覚です)
こういうドラマこそ 皆にみてもらいたいな~と感じます ほんとうは。
菅野さんをはじめ
若い俳優さんの未来ちゃん 美月ちゃん 冨浦くん みなさんいい役者さんですね
「目力!」あって。
脚本・演出の方々のこのドラマに対する真剣さ
そして 若い俳優さんを大事にあつかっているのが
見ていてよくわかります。
内容はつらく 無数 無限にあるでしょう事柄のドラマですが
心に響くいいドラマを見れたことがよかったです。。
投稿: ice | 2007年6月30日 (土) 12時52分
ジョーダンジャナイヨオオオ~ice様、いらっしゃいませ2~ノダメカワイソス
ふふふ。言葉はいつも不足していますからね。
逆境ゆえに強く育った明日香。
その明日香でも自殺を考えるいじめ。
明日香を救ったのは
どちらかといえばおバカで
薄っぺらい若者であった「加地」の
「ともだちのたすきのたとえ」
だったという皮肉。
成長した加地が得たのは身体障害。
いわばあるがままの世界です。
しかし、加地が成長していなかったら
加地は「人は人を裁けない」
という言葉にたどりつかず
ひょっとしたら
事態を動かせないまま
出血多量で死亡していたかもしれません。
「ER」は緻密で臨場感あふれるドラマ。
誰もがそこにいるような気持ちになる
一種のアトラクション。
キッドは「わたしたちの教科書」を
ずっとアトラクションにたとえてきたのですが
まだまだ「ER」の水準には及ばなかったかな?
もう一つの別の世界を
空想することは虚しい面もありますが
キッドはそれでもイメージします。
夫に去られた後、
珠子が明日香に夫の裏切りを見出さず
捨てられた自分の悲しみを見てとったら
こんな悲劇は起きなかったのかも。
二人は慰めあい、励ましあい
暮らして
血の通った親子よりも
濃い関係になったのかもしれません。
そして、瀬里と幸せな三人家族に・・・。
しかし、そうなると明日香は転校することもなくて
朋美の自殺をとめることもなかったのです。
人々の暮らしの中にある
ささいな思い。
ささいな出来事。
ささいな失敗。
それを再現することも
味わうことも
ドラマの楽しさだと
キッドは思います。
もちろん、そういうものに出会うのは
ささいな幸せにすぎないのですけれど。
投稿: キッド | 2007年6月30日 (土) 13時38分
この最終回は全て仁科朋美が持っていきました。
仁科朋美は
吉越先生であり
八幡先生であり
熊沢先生であり
加地先生であり
雨木副校長であり
積木珠子であり
そして藍沢明日香だった。
私はあなた。
あなたは私。
そして仁科朋美は「自分が藍沢明日香を殺してしまった」という
罪の意識からカミーユになってしまいましたねぇ。
でも結果的に
朋美の心が傷つけてしまったのが明日香であり
朋美の心を癒してくれたのは他ならぬ明日香だったのも
藍沢明日香は
ララァ=スンであり
フォウ=ムラサメなんでしょうねぇ。
ちなみに画鋲については
私は長部説も考えられますし
加地先生説も捨てがたいと思ってます(笑)
投稿: ikasama4 | 2007年6月30日 (土) 20時23分
画鋲事件??ええ~~なんで今頃なんでしょうか?
あれは私も長部だと思ってました。自分に振り向いて欲しいがための行動。皆、自分に気づいてほしいものなんですよ。
加地?あれ?加地は確か画鋲拾いをさせられてましたからね。もし自分で蒔いてたら爆笑モノデスね。
とうとうこのドラマで春号はおしまいでした。
私的に内容はわた教が一番好きでした。
キャラ的には月ようでしたけど。。てへ・・
そんなわけでしたが、裁判はてっきり一部を除いて棄却。
ほぼ珠子の敗訴だったと思っていたのでしたが、慰謝料ありました?だとしたら珠子、認められましたね。良かった!
珠子の目的は金銭じゃなくていじめを表にだすことだったので目的は十分に達せられていたからそれで満足でしたけど、裁判官がその姿に多少のご褒美もあげたのですね!!
どうもありがとう。珠子に代わって感謝です!!
投稿: かりん | 2007年6月30日 (土) 21時28分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
・・・はぁ、はぁ、息苦しいな
この窓開かないのかな・・・
という朋美の断末魔が聞こえてきましたね。
しかし、明日香はシロッコではない・・。
すると雨木の息子だったのでしょうか。
珠子はハマーンでもあり
ファでもあったのかもしれません。
それともアムロ。
エヴァとガンダムをつなぐのは
レイですからね。
このドラマの面白さは
明日香、ポー、朋美という
三人のいじめられっ子が
全員知的で詩人だったということです。
中学生があんなに語れるか・・・という疑問と
ホームルームでの発言の平坦さへの疑問は
明らかに釣られている状態。
個人差といういじめ発生の
根本的な原因を表現していると考えることもできます。
なにしろ
出る杭は打たれるというお国柄ですからね。
キッドはミラーハウスが
大好きなのですが
自分の中に他人がいて
他人の中に自分がいる・・・
という抽象的なことを
面白おかしく表現しているからなのだと思います。
そして時には自分が歪んだり
のびたり縮んだり・・・。
谷村美月をずっと見てきてよかったな・・・
と思える最終回でしたが
キッドはこの最終回に少し
魂を持っていかれてしまったようです。
朋美は誰かのモップで
指が折れたと証言していますが
キッドの頭の中ではそれは
きっと嘘だろうと思ったり
裁判の基本は藪の中ですからね。
兼良のとりまきたちを
一人ずつ幽霊屋敷に
誘い込んで
骨の髄まで恐怖を味あわせてやろうと
考えたり・・・。
もう、飽きることなく妄想が続くのでございますよ。
なかなかにおしゃれで罪なドラマだったと思います。
加地は画鋲を撒き、加地は画鋲を拾う。
うーん、そうなると画鋲を撒くのは鬼かな・・・。
なかなかに幻想的で素敵でございます・・・。
投稿: キッド | 2007年6月30日 (土) 22時44分
✿❀✿❀✿かりん☆スー様、いらっしゃいませ✿❀✿❀✿
ふふふ、新人のシャブリ様が
ためていたレビューを
おっかけで連続投稿しているのですが
シャブリ様、自身も流れで
長部とは読んでいるのに
第11話でも画鋲は誰が・・・
と言っているので
肩を抱いて
もう・・・いいじゃないか・・・
もう・・・そのことは・・・
という意味です。
そういう曖昧なところも
このドラマはあえて・・・だと思いますので。
わた教はドラマ好きには
たまらないドラマでしたよね。
この水準を見せられると
この脚本家のトップキャスターとかは
何だったのか・・・と思いますです。
一部の中にいじめの事実を認めて
その精神的苦痛に対する慰謝料を
管理責任のある学校に科したのです。
キッドの記憶では100万円だったように思いますが
妄想かもしません。
ある意味、裁判官は原告にとってアタリだったし
司法の限界を感じるところでもありますね。
地獄の沙汰がどうなるのか・・・楽しみです。
雨木と珠子の最後のシーンも
お互いの逡巡が描かれていて
芸が細かかったですよね。
朋美の居場所を知らせてもいいかどうか・・・
雨木は迷う。
しかし、伝えると
今度は「あの娘を救えるのは・・・」と言う。
トレビアンでございます。
探偵学園Qは明らかにお子様向けなのですが
それでも明日香の無事な姿を確認したくて
じいやはきっと見てしまうのでございます。
積木珠子 第二の事件
も見てみたいのです・・・。
投稿: キッド | 2007年6月30日 (土) 23時05分
kidさんのわたしたちの教科書レビューを久々に読みたくなって遊びに来ました
罪の意識を忘れることなど自分に許さない生真面目な珠子に、キリキリと胸が痛みます
Water me
名曲ですね
カラオケで歌える曲ではありませんが
今月来月と日テレプラス(CS)ではMothr、Woman祭りなんですが、先夏のマルモスペシャルで芦田愛菜ちゃんが福くんと同じくらい順調に背が伸びているのを確認して、親戚のおばさんに似た喜びを感じたり、ごめんね青春で満島ひかりさんの回し蹴りがステキで幸せを感じたり、ドラマでもって現実世界で気を紛らわせている今日この頃です
とりとめないですが、お邪魔しました~
投稿: mi-mi | 2014年10月27日 (月) 00時32分
「わたしたちの教科書」から七年。
時の流れるのは早いですねえ。
妄想で書いているレビューなので
読み返してみると原点が
どうなっていたのか・・・思わず見返したくなってしまいます。
しかし・・・とにかく坂元裕二が
kidにとって凄い脚本家として意識される
原点の作品となったことは間違いないようです。
少なくとも坂元しか書けないとも言える
名作をこの後、続出させるわけですからねえ。
世界の痛さを反映して・・・
詠い続ける作家・・・。
素晴らしいことだと思います。
坂元ワールドの住人たちが
別世界で輝いたりそうでなかったりするのも一興ですねえ。
まあ・・・クドカンワールドにくれば
だれでもそれなりに輝くわけですが~。
基本的に・・・このブログそのものがとりとめないので
問題ありません。
いつでも遊びにいらっしゃってください。
投稿: キッド | 2014年10月27日 (月) 05時00分
キッドさん、また遊びにきました
7年もたつんですね。早い
私事ですが最終話は引っ越しだったため宿泊先で観たのであります。ティッシュ箱片手に涙腺決壊でした。ティッシュ足りなくてタオルも餌食に
私の場合、わた教以前の坂元氏はあの「東京ラブストーリー」しか知らないので(東京ラブもだったとはwikipediaで知りました)、私もある意味わた教が区切りです
わた教は人数が多いので、実は序盤はちょっと我慢が必要だったんですが、以後は常に序盤戦から観る人を引き付けてやまない凄さに達したのではと激賞しております
「最高の離婚」でコメディもイケると証明してみせてくれたのにも感激でした☆
本当にすばらしいですね!
投稿: mi-mi | 2014年10月28日 (火) 23時46分
そうですねえ・・・。
脚本家はそんなに泣かせようとは
思わなかった風なのに
結果・・・お茶の間の号泣を誘うということになり
なにか・・・開眼したのかもしれません。
原作ありとは言いながら「東京ラブストーリー」で
二十世紀に爪跡を残した脚本家が
「わたしたちの教科書」で爆発。
しかし・・・その後はいくつかはずしてます。
それが・・・「Mother」で来ると・・・
もう「それでも、生きていく」
「最高の離婚」
「Woman」
とハズレなしの状態に。
「わた教」から「Mother」に
行かないところが・・・人生の妙というか・・・
ポエムなのでございましょう。
「猟奇的な彼女」や「太陽と海の教室」で
終わらなくて良かったと思うのでございます。
投稿: キッド | 2014年10月29日 (水) 03時55分