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2007年7月 3日 (火)

昔のあなたもあなたよ・・・上半身も下半身もあなたなのよ。時々下半身しか見えないけど。(秋山莉奈)

結局、高見沢レイカ(秋山)と聴(ちょう・渡辺哲)と他の演技者の落差が難だったなぁ。もちろん、脚本も根底に流れる思想もものたりなかったのだが。

「傷だらけの天使」(日本テレビ)以来、久しぶりに臀部を丸出しにした男が腰を振るう性行為の描写があり、そういうことばかりに情熱を傾けているとバランスを欠いたとんでもない仕上がりになるのであり、「ふっざっけるんじゃねーよ、てめえの善人面を・・・ふっざっけるんじゃねーよ、いつかぶっとばしてやらあ」と頭脳警察が虚しく吠える展開になっちゃったなぁ。・・・ま、いいか。そーゆーことがやりたくてやってるんだろうから。

そしてまた・・・見(けん)を演じる伊崎右典は演技力の伸び悩みを露呈する。きっとプライドが高いのだろうな。演じることの基本はモノマネであるということがどうしても理解したくないようだ。いろいろな人の真似をして自分に帰っていくという修練をつまないとこれ以上伸びないのではないか。

もちろん、ショーケンとか、松田優作とか、最近では長瀬智也とかキャラクターの個性で勝負できる役者がいないわけではない。しかし、彼らの器は大きいのである。ちょっと揺らせばとてつもない魅力があふれるのだ。そうでない人にはそうでないと言ってあげるのが演出の基本だと思うが、この演出家はさらに細い道を行くのかもなぁ。なんか・・・もったいないなぁ。

で、『のぞき屋・最終回』(テレビ東京・070703AM2~)原作・山本英夫、脚本・村川康敏(他)、監督・山本清史を見た。結局・・・一回目を越えられないまま終了した・・・とキッドは思うが断言はしない。そうでないと感じた人もいるかもしれない。これは細い道だからな。

「のぞき屋」は要するに探偵チームである。最終的なメンバーは見・・・(片目だが視力抜群)、聴・・・(盗聴のプロフェッショナル)、スマイル(黒田耕平)・・・(見の子分)、高見沢レイカ・・・(謎の女子高生)、小野田リン(倉内沙莉)・・・(謎のゴスロリ少女)という五人。

キッドは小説『おタクの恋』の作者であるから、この手のテーマには少し、うるさい。のぞく行為はけして「純粋な悪」ではないと思うし、まして、それが「孤独」を生むとも考えない。ピーピングトムであることは人格の一部に過ぎないし、それを「秘密」にする必要があるならば「秘密」にすればよいだけの話だ。

このドラマは「屈折した社会を作っているのは個人の歪んだ欲望である」という主題が掲げられるのだが・・・このとってつけた感がたまらなくゲンナリである。だってドラマの中には屈折した社会も歪んだ欲望も描かれていない。キッドとしては月並みな社会を作っているのはありふれた個人の欲望である。・・・というぐらいの内容だと思うのである。もちろん、孤独というものを語るならもう少し深く言葉を味わってもらいたいのだな。キッドはこの監督は孤独というものを理解しそこなっているように思えてなりませんでした。

これまでの歪んだ欲望。①高見沢レイカの父親は高見沢レイカを監視盗聴するように依頼してくる。実は娘をいろいろな意味で愛していたのたが、父親は基本的にそうだと思う。まして秋山莉奈クラスの父親ならそうであろう。②アイドルが体を張って営業。それのどこが悪いのだ。③引き抜き工作のために身上調査をする敵の盗聴者がすご腕。情報化社会の基本だし、敵より腕を磨かなければ敗れるのも基本だろう。④家出中の少年男子がその気もないのに売春して嫉妬した客が無理心中。そんなの普通だろう・・・ということでこのドラマに歪みを発見できないキッドはやはり・・・歪んでいるのでしょうかーっ。

そして、最終回は見の失われた過去と失われた片目の秘密が明らかになる。「男たちの心中」に自失してしまった見。何故か自信を喪失して「チーム」の解散を宣言。そんな「見」のもとに「見を覗け」と依頼の電話が・・・。ネットには「監禁されたエリカの画像」・・・もう少し緊縛サービスがあってもよかったな。

見は目を背けていた「過去の自分」を覗く。そこで彼が目撃したのは母親が見知らぬ男と山里の橋の下で最後の性行為におよび心中した姿だった。驚いて錯乱した過去の見は自分の片目を自分の手で掘り出してしまうのだった。それは痛いだろうなあ。普通、気絶するぞ。

記憶をたどって昔の場所にたどりついた見は自分の目玉を洗った水飲み場に見知らぬ少女がいたことを思い出す。過去の幻影の少女を追った見はついにエリカの監禁場所にたどりつく。そこにはおなじみの壁に貼られた「見」の写真の数々。

そして、犯人はリンだった。彼女こそがあの幻影の少女。その実態は見知らぬ男の娘だったのだ。彼女は「失われた父親の仇の息子である見に逆恨み・・・ともいえないが・・・復讐」を果たそうとしていたのだった。・・・というごっこなのだな。一服もられた見。「解毒剤を飲まないと一時間後に擬似エボラ出血熱的死いたるクスリ」ってどんなクスリだ。

そこへ駆けつけたスマイルと聴。見は発信器付だったらしい。腕がおちたな。逃げ出すリン。見は一錠しかない解毒剤を口移しでリンに服用させる・・・なんのこっちゃ。

しかし、どうやらすべては茶番であったらしい。日常に戻り、五人は仲良くチームを再開する。こんどの相手はデパガである。ちなみ出歯亀ではなくデパートガールである。

・・・ま、これ以上でもこれ以下でもなく、テレビ東京の深夜ドラマにまた黒い1ページが加わったということです。ブラボー!

関連するキッドのブログ『第1回のレビュー

水曜日に見る予定のテレビ『夏のスペシャルドラマ・新幹線ガール』(日本テレビ)吉澤ひとみ主演でいいじゃないかっ。・・・ま、いいか。

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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