真紅の薔薇を身に纏いフランクフルト食べ放題なのです。(深田恭子)VSこの弾力のあるムレムレでムラムラの綿菓子乳女め~。(伊東美咲)
これほど脚本と演出で毎回テンポが変わるドラマって久しぶりだな。ま、原作作品世界が地味で、狭くて・・・だけど意外と大衆的という・・・微妙なもの。これが企画者の目にとまったのは巨乳VS貧乳ってわかりやすそうじゃないかっていう安易さとしか思えない・・・一つの証明でもあるよ。
で、実際に動き出すと、いろいろと不足が目につき、継ぎ足していって、なんだかわからないものができたっと。
今回、最大のヒットは小池栄子をキャスティングしていたことなのか。50万人くらい稼いだな。(視聴率↗12.3%)
今回の脚本はアニメ「ドラえもん」や、昼ドラマ「病院へ行こう!」からここである。・・・ま、そういう感じ。
キッドは最初から「サザエさん」的世界を連想していたこのドラマ。今回ほど音楽が「たたんたんたたんたたんたんたたん、うーっ、たたんたたんたたんたんたたんたたんたたん、はーっ」という感じなら笑ったのにと思った回もなかったな・・・。大きな胸を見ていたら貧しい胸が痛かった・・・という感じなのか。まあ、キッドがもうひとつと感じるテーマ音楽にも「うーはー」は入っているけどね。
で、『山おんな壁おんな・第9話』(フジテレビ・070830PM10~)原作・高倉あつこ、脚本・五十嵐暁美、演出・佐々木祥太を見た。サザエさんをどのように考えるかは人それぞれだが、キッドとしてはあのテーマが聞こえるだけでウイークエンドの終焉を連想し、鬱になる人が多いほどの国民的なものだということだ。だから、本当は「日曜劇場」でこそこのテイストは活かされると思います。例→「パパムス」・・・まあ、日曜日の「山おんな壁おんな」の方が見たかったと思うのです。局を越えて・・・。
つまり、二番煎じていない・・・ということです。
キッドは「構成」の基本は「分割」にあると考えます。
たとえば、最も有名な「起承転結」は四分割ということです。
で、「一括」でということになればそれを「ダイジェスト」と呼びます。
ちなみに三分割で有名なのは「序破急」ということになります。
さあ、そうなると二分割という基本中の基本になりますが、それを「フリオチ」という言葉で考えてみます。つまり「フリ」と「オチ」の二分割です。
まあ、起承転結や、序破急と比べるとだいぶ怪しい言葉です。まずカタカナだしな。
実は、フリは三分割の第一段と考えられます。これは江戸の廓(吉原)言葉の発展系で、初回の客を「ふり」というのです。「ふりで入る」とこのように申します。二回目になると「裏を返す」です。そして三回目には「馴染みになる」のです。実はこのなじみという部分が構成の目的である「意味を伝える」と密接に関係しているのですが、それは今回は触れません。
とにかく「フリ」は最初の・・・とか、導入部分ということです。さて、オチの方はずいぶんと周知されていますが、落とし話・・・つまり落語のサゲの部分や、ジョークの結論部分という意味があります。そういうわけで「はじまり」と「おわり」の二分割が「フリオチ」ということです。
「サザエさん」をヒントに何かを生み出そうとする作業で「サザエさん」がフリなら「山おんな壁おんな」はオチです。二分割するとそうなります。そこでこれが「オチ」ているかどうかが作品の美しさの要になってくるのです。ねえ、どうですか。
さて、すべてのものは構成されているので、基本的にはフリオチの積み重ねで巨大なフリオチが完成されるわけです。起承転結も、起承転と結とか、起承と転結とかにフリオチ化ができるのです。
たとえば「第1話から第8話までがフリで第9話はオチ」というように考えることができます。冒頭で井口(西島秀俊)が薔薇の花束をもって恵美(伊東)を訪問する。これはこれまでの井口と恵美の関係をフリとしたひとつのオチなのです。
しかし、それは「意外な展開に驚くちょっとうれしい恵美」というフリとなり、「実は復讐の為に井口は水鉄砲を隠していた」というオチになるわけです。
で、この復讐劇は「二人は乱闘となり怒った恵美が鼻をふくらませようとするのを井口がつまんで妨害する」というオチのフリとなるのです。・・・「鼻つままれもの」はちょっとステキです。・・・今回はラストで「これまで単なる田舎ものだと思っていた井口が実はカリスマアーティストだったことが判明」というオチがつくので、冒頭の部分はすべてこのフリになっている・・・これが構成というものの基本です。
まあ、受けとる方(視聴者)はそれほど理論的に受け取らないし、送り手(作り手)もそれほど厳密に作っているわけではありません。こういうのをひっくるめて「流れ」と言い換えます。「そういう話の流れで」とか、「話の流れは変えないで」とか、まあ、いい加減に話を進めるわけです。
ただし、出来上がりをチェックするときはある程度の分析力が必要になります。「なぜ話がスムーズにすすまないか」「なぜ話がギクシャクするのか」原因を探る必要があるからです。
まあ、大抵はあるべき部品が最初からはめこまれていないとかが発見されるわけです。
それから組み立て順の間違いとか。撮影してしまってから発見するともうえらいことになりますから、脚本が設計図と呼ばれる所以です。
さて、今回の主役部長代理に出世した温水洋一です・・・おいおい、ひどいな。その部長が器の小ささを示すシーンが冒頭に来ます。今回はあくまで構成の話ですから、ひとつひとつのネタが面白いかは吟味しません。
イントロの井口と恵美のフリオチをフリとしてまりえ(深田)が恵美に付着した薔薇の花びらを発見、それが「恋のおまじない」ネタに発展します、結論が出ないのがオチですが、三十路の恵美のそれなりの切実感がかもし出されます。ここまでをフリとして次のフリオチ(オチ)がスタートします。ここでは部長・恵美・まりえが展開するコント(フリ)を見守る矢沢心たち女子社員がリアクション(受け)をしながら見守る(オチ)という構成です。
「副部長じゃなくて部長代理なんだよ」「すみません。部長代理」(フリ)→「訂正させたよっ。小さいね」「背が」「器だよっ」(オチ)・・・笑い作りの素人にありがちですが、つめこみすぎて本筋があやうくなりかけます。しかし、まあ、この程度は「遊び」の範囲内で「部長代理と副部長ってどっちが偉いんですか」というまりえのセリフもここまでのまりえのボケとしてのキャラが充分に振られているからセーフです。
問題は次のパート。
「書類の決裁にはこの印鑑が必要なのさ。この印鑑が目に入らぬかっ」「入りませんっ」(フリ)→「水戸黄門かよっ」(オチ)・・・これはアウトです。だってまりえの「入りませんっ」というセリフをスルーして、「目に入らぬか」→「黄門かよっ」で流れを無視したフリオチになり、キッドはおいおい、深田恭子スルーかよっとまったくドラマから逸脱してしまいましたからっ。このように「違和感」を感じさせることは禁じ手なのです。だってドラマの基本は「現実逃避」ですから、その夢を醒めさせるような流れを作ってはダメなんですよ。
このつまずきにより、キッドとしてはクーラー故障してまりえがムレムレとか、氷の祭典で夏を涼しくとか、部長と恵美と訪問謝罪とか、まりえと花火大会とか、小池栄子・屈辱のヘッドハンティング(ブルガリ怒らないのか?)とか、井口の意外な正体とか・・・中々に盛りだくさんだったそこからの内容が鬱々として楽しめなくなってしまうのです。
まりえの「入りませんっ」・・・スルーかよっ。まりえの「入りませんっ」・・・スルーかよっ。まりえの「入りませんっ」・・・スルーかよっ・・・ああ、このとらわれた心をいかにとやせん。・・・世界でお前だけだと思うぞ。
関連するキッドのブログ『第8話のレビュー』
土曜日に見る予定のテレビ『受験の神様』(日本テレビ)・『ライフ』(フジテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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