お嫁入りのために時には安く売るのも必要なのです。(深田恭子)VSこの取り分三倍娘め~。(伊東美咲)
今回は脚本がたまらなく催眠効果があったのだなぁ。どうすればこれだけ眠たい脚本が書けるのか・・・眩暈を感じるよ。でも演出がそこそこだったから視聴率は↗11.7%である。ま、目は醒めませんけどね。
で、『山おんな壁おんな・第8話』(フジテレビ・070823PM10~)原作・高倉あつこ、脚本・前川洋一、演出・葉山浩樹を見た。まず、音楽・石田勝範のスコアに相変わらず馴染めない。なんか、一昔前のAVを見ているような気になるんだよなあ。どうしてなのかしら。次にこの作品には脚本協力として鈴木おさむ、立見千香、五十嵐暁美の三人の名がある。おそらく、ギャグ、方言、リサーチ・コネタという分業があるはずだ。
デパート業界ならではの職業ネタとか、巨乳と貧乳のお笑いネタとか、主人公が津軽出身という設定ならではのネタとか・・・こういうのをアイディアメモにして、脚本家に渡す、脚本家が取捨選択して脚本に仕上げるという作業工程だろう。
こういう作業には実はコーディネーターが必要で、それもかなり、プロフェッショナルな能力を要求されるのだが、いわば、その要(この場合はプロデューサー)が際立った仕事をしていない感じが強い。
まず、原作がある。マンガ→ドラマは翻案作業であり、脚本家はアダプター(翻案家)能力を問われる。それに加えて、ギャグやら、方言ネタやら、業界ネタやらのデータが上がってくるのである。脚本家としてはてんてこ舞いの可能性はある。
だから相当出来が悪くても脚本家を責める気にはなれないのである。
とりあえず、「深田恭子ネタ」を考えてみよう。まずは巨乳ネタである。いくつかの基本がある。①「巨乳だからバカだという先入観でバカにされる」②「巨乳ということだけで巨乳好きにセクハラをされる」③「巨乳という物理的条件によっておこるアクシデント」④その他
このようなベースがあるわけである。アイディアマンや、データマンはこのそれぞれについて発想や調査を行わなければならない。
これまでのところ、①については基本キャラクターとして「バカではないのに軽く見られる」というムードは保持している。しかし、まりえ(深田)の弟以外にそれを実践しているものはいない。出来れば主役が「あんなに胸があるのに頭に血が回るわけがない」とつい思ってしまった方がいいのだが、それも軽く1回で終である。バカにする→反省のくりかえしのギャグにするべきなのだができていない。実はビンクのブタはまりえのシンボルなのであるが、そのニュアンスを打ち出す演出にはなっていない。だから、結局、主人公周辺の「迷信好きな人々をめぐる話題」にしかなっていないのである。この世に神や仏がいるなどという妄想を信じる人々を徹底的に茶化すでもなく、たたる神の恐ろしさを妄想的に表現するでもない実に中途半端な提示である。
②についてはミッチーや、川田、温水、場合によっては佐藤二郎などがそこそこ展開しているのだが、「巨乳フェチ」や「アンチ巨乳」というニュアンスがかもし出されないので、「ま、オッパイはそこそこあった方がいいんじゃないの?」的なぬるい展開になっている。もう、まりえの胸に顔を埋めるのに執念を燃やす男とか、家の中は巨乳写真だらけとか、そういうベタな展開さえないのである。つまり「巨乳」で「セクハラ」への「こだわり」が不足しているのである。そんなものにこだわってどうするという人は「お笑い」というものが解っていないというしかないのだが。
③については「胸のボタンがはじけ飛ぶ」と「重いのでテーブルに乗せる」ぐらいしか印象がない。もちろん、周辺では矢沢心のエアブラとその爆発や、主人公のミルフィーユ水着などがあるのだが、これはどちらかといえば貧乳ネタである。だから、冒頭のネタを最低でも全10回なら最低十個は確保しなけれぱならないのだが、それができていない。で、たとえば「ボタンとばし」が秀逸ならば、この展開も全10回用意しなければならない。
最初はお披露目として「ボタンがとぶほどの巨乳」でいいのだが、ようやく第8話で「ボタンをとばして客と客のケンカをさらにエスカレートさせる」では遅いのである。「ボタンを飛ばして玉突き追突事故発生」「ボタンを飛ばしてガメラ死亡」「ボタンを飛ばして社長飲み込む」「ボタンを飛ばして女子バレー惨敗」「ボタンを飛ばして中央線ストップ」「ボタンを飛ばして阿部総理内閣解散」などと毎回とんでもないことが起きる展開でないといけないのだ。
④については「巨乳なので大食漢」というあまり面白みのない展開が定着している。出発点として「痩せの大食い」ほど意外性がないのである。しかし、「食いしん坊」というのはアイドル女優としてはハードル低いので安易に定着しているのだ。ここまで「大盛りでお願いします」や「食べ放題で食べ放題」とか派生して「あぶないクスリでハッスル」とか唯一、まあ、ネタを尽くしてはいるのである。今回でいえば「気がつけばチーズ食いつくし」とか「中華テーブルでとりわけたら山盛り」である。しかし・・・薄いのだなぁ。チーズならワゴンに山盛りだったのが一瞬で消えるとか、中華だったらまりえを愛しているはずの川田ととっくみあいのケンカになるほど食べるとか・・・そういうたっぷり感がないのである。
つまり。コメディーというものはもっともっとディティールをつめないと成立しないという話である。もともと、爆笑のネタなんか、こういうアイディア千個に対して一個ぐらいしか成立しないものだ。少なくとも十回笑いを取ろうとしたら一万アイディアは必要なのだが、このドラマにはそういう気配は一切ない・・・と思う。もちろん、主人公の貧乳についてはもっともっと練りこむ必要があることは言うまでもない。
ま、そういうわけで恵美(伊東美咲)が上海支店の部長に出世するとか、結局ダメになるとか、田村(谷原章介)が店長になるとか、恵美が井口(西島秀俊)の壁塗りっぷりに突然、ボーっとなるとか。そんなこと突然言われてもクスリともできませんともっ。
バッカじゃないのーっ。
ま、「ふざくんな」よりも「へばっ」はキッド的には定着しているのでございますけれどーっ。
せめて東京支店の部長は恵美・・・温水がっかりぐらいは見せてくれても・・・。何のためにトイレで万歳したのか・・・ハゲのぬか喜びの前フリじゃなかったのかよっ。第一、出世したくらいじゃ喜べないというこのドラマの本質「たいしたことじゃないのに本人にとっては一大事~貧乳の悲しみとあがき」という本質を理解していないのでは・・・。場合によっては原作者も含めて。
関連するキッドのブログ『第七話のレビュー』
土曜日に見る予定のテレビ『受験の神様』(日本テレビ)・『ライフ』(フジテレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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