折れた煙草の吸殻でL<>VEと書いてみました。(オダギリジョー)
もう、盛りだくさんなのであった。しかし、恒例の「細もの」チェックも「逮捕しちゃうぞっ」についてもいささか時間が不足しているので、レビューは映画「イン・ザ・プール」に絞ることにした。最近、記事の誤記が多くて皆さんにご迷惑をかけることも多いのだが意図的な場合もあり・・・すべて妄想としてお許しください。
さて、2005年はオダジョーがひとつのピークを迎えていて、本作品もあれば、「メゾン・ド・ヒミコ」もあり、「パッチギ!」とか「SHINOBI」とか、いろいろありました。ま、前年の大河ドラマ「新撰組!」の余波ということもあります。
で、この作品からドラマ「時効警察」シリーズが展開していく・・・という観測もあります。そして、映画としては「転々」に継承されていく模様。ま、途中で松尾スズキとかが「イエーイってカウントダウンTVかっ」などと時代と寝てしまったギャグも入って古典には一歩及ばないのですが・・・小劇団テイスト映画としてわかりやすいテキストといえるでしょう。「イン・ザ・プール」→「時効警察」という流れを考えると舞台「歌姫」→ドラマ「歌姫」というアレンジを考察するときのヒントになるかもしれません。
で、『イン・ザ・プール(2005年公開)』(テレビ東京・071005AM0315~)原作・奥田英朗、脚本・監督・三木聡を見た。まず、例によって頭の不自由な人の問題になるのだが、キッドは全人類は基本的に頭不自由論者であることをおことわりしておきます。で、機知外の人と基違いの人は微妙に違うのですが、前者は愚鈍の要素が強く、後者はボケの要素が強いわけです。もちろん、この映画で扱われるのはどちらかといえば後者ですが・・・愚鈍的要素がまったく皆無というわけではありません。
最初に森本レオのインチキ教授が性的嗜好の錯誤について説明します。女子高校の校門前に置かれたクッキー。「女王様のハイヒールで袋入り糸こんにゃくをぐにぐにすると快感系」の阿部サダヲ風の男が電柱の上で女子高校生によるクッキー踏み潰しに身悶えするわけです。ま、どうみてもヤラセです。次には女子高のプールの水を飲み、汲んでペットボトルでお持ち帰りの荒川良々風の男が登場して「女子高生のおいしい水」で学生がお追従笑いをするのですが・・・これもヤラセくさいな・・・映画のイントロだよっ。
さて、主人公はいかにもどっぷりとビョーキにつかった神経科の医師・伊良部一郎(松尾スズキ)です。地下で神経科を開いているのですが・・・病院の経営者でもある・・・というあたりが趣味人を感じさせます。
基本的に精神病は伝染しますから、精神科医であろうと、心療内科医であろうと、カウンセラーであろうと心の暗部に踏み込む職種の人が精神を病むことはさけられません。しかし、たくさんの患者に触れることで心の抵抗力が養成される場合があり、おそらく、伊良部はそういうタイプ、つまり、正常な人よりは狂っているが異常な人よりはまともというポジションです。
秘書のような無口な看護師マユミ(MAIKO)はいかにもサディスティックです。伊良部は雨に濡れた白衣でチッと舌打ちし、実家から大量にカブトムシを送ってくるマユミちゃんが患者に保険点数を稼ぐための注射をした時に逆流する血液のモワモワをこよなく愛するのです。
さて、第一の患者は泌尿器から回されてきた上司がきたろうの若いサラリーマン田口(オダジョー)です。彼は三日前から連続勃起状態で脱ぐと●がトレードマークです。かなり、立派な男性器らしく、それを見る人々はみんな財宝を目にした海賊のように恍惚となるのです。もちろん、泌尿器科の看護師サネイエ(江口のりこ)はポーカーフェイスですが一回転しても注視です。
日常生活で勃起が続くのは大変、支障があります。田口は本当に困っているのです。しかし、周囲の人々はうらやましい感じがしてしまいます。そういう意味で言葉はいい加減だが、伊良部は真摯な態度で患者に接します。基本的に患者たちが伊良部を愛しているのがこの映画の隠し味です。まあ、人柄に惚れるというやつですね。
実は継続勃起症の田口は心にある悩みをかかえています。男ができて田口を捨てたアボガト納豆丼の得意な元・妻(藤田陽子・野田秀樹の現在の妻)を夢の中でクルクルまわしているのです。
「女性に対して怒りを表すことができない」・・・それが田口の病巣なのです。
伊良部は病的な直観力でそれを悟りますが・・・安易に解決したりはしません・・・そんなことをしたら病院が儲からないからです。
ともかく、田口は勃起し続ける自分に耐え・・・温泉旅行で裸になりたくないばかりに火災警報器のスイッチを押したりしてしまいます。
・・・全身整形サイボーグ美女の妻と離婚し慰謝料を請求されている伊良部は田口の妻にやつあたりをしに出かけます。「どうして怒らないの。私のことのぞきにきていたでしょ。私はあなたにも幸せになってもらいたいの」という田口の妻に「このクサレ売女めが硫酸と塩酸で溶かしてやりたい」と逆上する伊良部。田口はあわてて退散します。
ああ、そうですよねー。男作って逃げた女に対して未練だとか逆上だとかどちらかでも表現しないと勃起がおさまらないってすごーく胸にしみますねーっ。ま、キッドならば男も女も人知れず消去しますけれどーっ。
一人・・・枕を涙で濡らし勃起し続ける田口。
しかし、泌尿器科医師によって学術的興味から自分が研究対象としてあつかわれた時、田口の怒りがついに爆発するのです。大暴れして器物破損して警察に逮捕される田口。しかし、勃起は収まったのです。高らかに伊良部とうたう「学級閉鎖の歌」・・・。
第二の患者は強迫神経症と自己診断するルポライター岩村(市川実和子)です。まあ、彼女の場合・・・外出時に部屋のガスを消したかどうかが気になるわけです。ちなみに上司っぽい編集長は又来(ふせえり)です。そのためにせっかく便所臭いマーガレットの花束を持って取材に行こうとしても家に戻るしかありません。だって・・・もしも火事になったら大変です。もちろん・・・ガスはしっかり消えています。
こうしてルポライターなのにあらゆるアポイントメントがキャンセルという最悪な女になってしまいます。
もちろん、伊良部は「何か大切なことを忘れているから・・・どうでもいいことが気になる」と即座に看破するのですが・・・遠回りです。だってそうでないと病院が儲からないからです。
岩村の病状は進行し・・・アイロンが気になり、クーラーの漏電が気になり、鍵が気になり、ついにはカブトムシの発火現象が気になります。そして、駅から自宅前へ。自宅前から玄関へと行動範囲は縮小し・・・ついに家から一歩も出られなくなってしまうのです。そして焼肉店の火の始末が気になってガラスを破って不法侵入です。
彼女を助けたのは伊良部ではなくて又来でした。ブスだけど本当にイイ人なのです。
ついに「子供の時に友達の西川くんを冷蔵庫に閉じ込めた」ことを思い出した岩村は髑髏という字を「四に釣り針虫田中串刺し女骨骨」で書ける好奇心旺盛で刑事になりたい伊良部とともに現場へ向かいます。そこは社会派ルポの定番産業廃棄物の拠点でした。
靴にはさまった石が気になって坂道を転げ落ちる伊良部と偶然にも「冷蔵庫の中の腐乱死体」というスクープを発見した岩村はついでに西川くんの無事も確認・・・心の病も快方へと向かうのでした。
そして、第三の患者は上司が岩松了のエリート・ビジネスマン大森(田辺誠一)。彼はプールで泳がないことには心の安定が保てないプール依存症。1500メートルをターンすると涅槃を感じる男です。しかし、いろいろな妨害が入って彼は泳ぎを禁じられ・・・真夜中の貯水タンクを覗き込む危険な領域に。
彼には妻(ちはる)も愛人(真木よう子)もいるのですが・・・両方とも性病持ちで彼もまた性病になって水泳を禁じられてしまいます。彼も人並みにセックスをするのですが・・・彼を癒すのは何よりもスイミング・プールなのです。
万引きをして逮捕された妻のバックから抗生物質の青いカプセルを発見した時。彼はもはや大それた大会開催中の深夜のプールのドアを叩き壊し背広で高飛び込みするしかなかった・・・水が入っていてよかったよ。
ともかく・・・割ってはいけないガラスを割ったらビョーキだったりビョーキが直ったりするわけですが・・・大滝詠一の「ナイアガラ・ムーン」に乗って伊良部先生のところに行くのはなんだか楽しい感じなのかもしれません。キッドはいかない。
関連するキッドのブログ『帰ってきた時効警察』
で、『ちりとてちん・第四回』今日も貫地谷しほりは観測できず。B子はA子の父が祖父の技を盗んで大成功している箸メーカーの社長だと知ります。祖父はついに倒れるのですが・・・「お前はおかしな子で面白い。おかしな子が一生懸命なことをしてまるで落語や」と言ってB子を慰めます。B子は慰められた模様ですか・・・普通は傷つく展開です。ま、そういう話だということです。
関連するキッドのブログ『第三回のメモ』
土曜日に見る予定のテレビ『ガンダム00』(TBSテレビ)『フラガール』(フジテレビ)なるほど・・・土曜はガンダム→SPの可能性もあるのか・・・「ジャッジ」も・・・来週は「ドリ☆アゲ」も「ハリ系」も見るけど・・・とてもつきあってられない気が・・・。
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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