憂鬱な男たちのバラードが聞こえるのね。誰もが学問で生きていけるわけではないから・・・。(柴咲コウ)
少なくとも・・・一話、二話を通じて言えるのは・・・大学の准教授ほどの幸せを持たない・・・鬱屈した男たちのストーリーで20%を獲得するなんて・・・柴咲コウの魔力は半端じゃないってことだな。それは確かだ。サンタクロースに誓ってもいい。
しかも・・・二話は驚くべき、スカシの連打である。そして腐乱死体だけは格別にリアル。ま、スカッシュをしているくらいだからな。
これは・・・凄いな。
本題に入る前に恒例の週末の視聴率チェック。「歌姫」↘*7.5%(もちろん、内容にも問題はあるがとにかく、ラ・テ欄がすでに凹だからな。もうボコボコ)、「モップガール」↗10.7%(スシ王子にできないことができているらしい。二回目のノリは微妙に評価できる。二回目はサンドイッチガールだけどな)、「ドリ☆アゲ」↘10.0%(天国について・・・もっとでっちあげればいいのに・・・イメージが貧困)、「ハタチの恋人」↘10.4%(さげたーっ。さんまさみが思ったよりきついものなーっ)、「風林火山」↗19.0%(あがってきたーっ。死に別れても・・・妻帯しない・・・残された男の鏡、貫徹・・・ロマンですか。ロマンなのですかーっ・・・リツ・・・納得してるし)、ついでに「ガリレオ」↘22.1%(さがったけど・・・唐沢・北村↘虻川・小市・石井くらいな感じ・・・?)、どうせだし「僕の彼女を紹介します」*7.5%(韓流ブームって本当に終焉したな)、「ふくまる旅館」↘11.0%(だからハルハルがね出番少なすぎ)・・・以上。
で、『ガリレオ・第2回』(フジテレビ・071022PM9~)原作・東野圭吾、脚本・福田靖、演出・西谷弘を見た。ま、タイトルは「おしりじゃありません」だったら、妄想抜きでも良かったのだが・・・内海(柴咲)・・・通俗的な意味で善良・・・湯川(福山雅治)・・・知的なロマンチストという対比を優雅に浮かびあがらせる・・・鬱屈した男たちの連打に敬意を表してみました。
前回は唐沢寿明だったので・・・それほど気にならなかったのだが・・・技術者でボランティアで・・・殺人鬼という犯人。彼の抱える心の闇は一筋縄ではいかない日常的なものなのだな。彼だってロマンチストなのだが・・・その手に幸せがないのである。それは幸せそうな少年を抹殺することでしか入手できないものを「彼」が求めてしまったことで明らかになるのだ・・・。
そして、今回・・・嘘つき少年の父親・上村(小市慢太郎)もまた・・・言い知れぬ虚無を表情に漂わせている。彼もまた・・・何か・・・恐ろしいものを手にしようとしている。
彼はジャーナリストである。すっかり古びた表彰状が飾られている。そこで彼は「小さな命によりそって」というような「子供たちの暮らし」に関わる善良な報道の仕事をしたらしい。賞状を額に入れて飾ったのが彼なのか・・・それとも登場しない子供の母親なのかは明らかにされないが・・・彼が現在、満たされない思いを抱いているのは明らかなのだ。
彼には何もないわけではない。熱を出して寝込んでいる子供があり、その子供に食事の世話をしてくれる・・・つまり、男に好意を寄せている・・・近所の焼肉屋の女主人(虻川美穂子)がいる・・・そして仕事もある。
だが・・・その仕事は少なくとも表彰されるようなものではない。いかにも低俗な三流の知的読者とは無縁の底辺の週刊「ピーチ」の俗悪な記事の締め切りがあるということだ。麻雀ゲームの登場キャラクターの役名のような遠山カナというアイドルが性欲をあおるためにグラビアを飾るような雑誌である。
それの何が不足だっ・・・とキッドの中で思う部分もあるのだか・・・そこはこの際、無視する。
そして・・・男が書こうとしているのは・・・裏ロリコンだの、風俗コンサルタントを目指す女たちだのを扱った・・・ルポルタージュである。
そういう描写がなくても成立する話ではあるのだが・・・この男の虚無感を理解しないと・・・考えることが快楽だという湯川の贅沢感によって生じる負い目が堪能できないはずである。彼はできるならば触れたくない庶民の現実に・・・「興味深い謎」を餌に足を踏み入れてしまうことになる。
男はもちろん・・・その仕事に絶望している。熱を出している子供に誇れるような仕事ではなく、そして・・・仕事を達成しても栄光はない。それは・・・女にも言える。好意を寄せてくれる女に・・・甘えつつ・・・その女に心から感謝はしない・・・。その感謝できない自分というものが男をますます虚無に追い込んでいくのである。
だから・・・熱にうなされた子供(今井悠貴)が「幽体離脱」という幻想を話し始めたとき、男はそれに飛びつく。子供のウソに乗り、坂を転げ落ち始めるのである。その心には子供とともに滅びようとする現実逃避とも自殺願望とも言えるものが浮かび上がる。
男は今、虚無に飲み込まれようとしている。しかも供物というか生贄は我が子なのだ。
それを見守る女は自分が「それほどの女ではない」と自覚している。それは主に外見の問題であるかもしれない・・・。だから、彼女は精一杯のおしゃれであるハイヒールで父と子の家を訪問する・・・。子供はだから・・・女が来るのを耳に捕らえることができるのだ。
父親の絶望をこの子供は敏感に感じ取っている。そして、ひょっとしたら女が救いになるのではという希望も持っている。しかし、父親がそれを期待していないことも知っている。子供もまた・・・ゆっくりと現実に疲れているのだ。体調を崩すほどにだ。
女はそのすべてを知っていて・・・迷いの森でため息をつくのだ。
そこに・・・湯川は足をつっこんだのである。いやあ・・・ただ事ではない暗さであるな。だから、湯川はひたすらに何も見ないようにふるまう。
「子供が見ることのできないはずのものを見たのはなぜか」
自分が興味あるのはこの一点だ・・・他人の家庭に渦巻く虚無の底なし沼なんか・・・知ったことか・・・そういいながら・・・沼に沈みこんでゆく、子供の姿から・・・目を離せない湯川・・・素敵だ。そして・・・内海はそういう湯川を明らかに見て見ぬフリをするのである。
もちろん・・・内海には父と子の虚無は理解できない。もう少し、表面的な・・・「子供をダシにしてお金稼ぎはなんだか・・・せつない」ぐらいの部分でとらえている。そうでなければ腐乱死体を見てこみ上げてくるゲロを飲み下せないからだ。鈍感でなければやっていけない仕事はあるのである。
このドラマには三つの事件が同時進行している。
ネタバレだが、痴情のもつれによる男が女を殺害し、捜査線上に浮かんだ男が冤罪に巻き込まれようとしている事件。目撃者と被疑者の間にある障害物の工場で起った事故を隠蔽している事件。そして目撃者の少年が見えない虚無の底なし沼に沈下しつつある病状としての事件である。
刑事がいて、殺人事件が起きているのに主題がそこにはない。
というのはすごいスカシだな・・・。
そして、とにかく・・・日常を演じる女と男と男の子供が淡々と虚無とのふれあいをキッドに感じさせながら、このドラマの核心ともいうべき、とにかく蜃気楼としては卑小、蜃気楼の再現実験としては巨大な仕掛けを展開して・・・物語は終局を迎える。
蛇足だが少年の見た幻は疲れた男を乗せた赤い車だったのだ。
虚無の沼から湯川が結局はささやかな幸せへと少年を導いた。
湯川にその意志があったのかどうか・・・そして内海がどこまですべてを把握していたのかどうか・・・。
含みを持たせながら・・・救いのある展開・・・おしゃれだな。
このある意味・・・恐るべき地味さで視聴率20%って・・・。
キッドの妄想的には雪男は実在しないが、サンタクロースは実在するのであるが・・・柴咲コウは限りなく魔女だと思う。
関連するキッドのブログ『第一話のレビュー』
←クリックすると『翠の妄想・THE MOVIE 3ガリレオ編』アリマス。
『ちりとてちん・4-1第19回』なんとなく・・・おじいちゃんに似てたから・・・。直観力にすぐれた母親は素晴らしい。理屈っぽい父親があれこれ考えた末にした選択よりも、何も考えない母親の選択が正しいという場面をキッドは子供の頃、何度も目撃している。もちろん・・・結果論なのだが・・・どちらの生き方が正解かで双方の血を引く子供は悩むものだ。そしておそろしいことに人生におけるすべての選択は基本的に二者択一なのである。そしてどちらを選ぼうとも結果があまり変わらないっていうことも人生にはよくあるのだなあ。ま、キー子に対する小草若の話ですけどね。→3-6
水曜日に見る予定のテレビ『働きマン』(日本テレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
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コメント
キッドさん、おはようございますー♪
女刑事なのデスー
そうか、内海がいないとごっご遊びができないのデスね、、、
内海はそのためだけに存在するといっても過言ではない!(え
はうーん♪でほぎゃん!な湯川先生のスカッシュ姿サイコー!
でもスケベな湯川先生は、幽体離脱云々よりも大事件なのデス、、、
投稿: 女刑事 ぷっち☆翠 | 2007年10月24日 (水) 10時16分
こんにちは。
キッドさんのお名前はずっと前から存じてましたが、
勇気を持ってコメントを(笑)
虻ちゃんの存在がどうなのかと思ってましたので、
キッドさんの解釈に納得。特に、
>精一杯のおしゃれであるハイヒール
これは印象的で、なるほどですねぇ。
男性視線は冷静で面白いです(^_^;)
投稿: mana | 2007年10月24日 (水) 16時44分
☆☆✫ポイント✫☆☆翠様、いらっしゃいませ☆☆✫ピーピー✫☆☆
ネタとしては一週遅れになってしまって
すみません・・・。
しかし、それがじいやというものですからーっ。
今回だとスカッシュネタに
チャレンジしたいのですが
もう・・・凝りだすとキリがない展開。
福山・北村バドミントンペア
も楽しそうなんですよねえ。
ドラマがアレンジしてきたので
ごっこでやるという手もありますな。
VSまこ・翠ペアとかで。
スケベでスケベでスケベな湯川。
ま、キッドとしてはまさしく・・・
と思うばかりでございます。
寝ぼけた宮崎あおいに
遭遇したい・・・と思うのが男心ですからーっ。
すわられてみたいーっ。
・・・し、失礼をばいたしましたーっ。
投稿: キッド | 2007年10月25日 (木) 02時49分
|||-_||シャンプーブロー~mana様、いらっしゃいませ~トリートメント|||-_||
どうか、こわがらないでください。
エンターティメントとして親切かどうかは別として
なかなかに複雑な構造を秘めたシナリオです。
もちろん、新しい家族の誕生は
はっきり見えるのですが、
殺人事件に対し
家族の再生というところで
充分にもうひとつのドラマ。
しかし、キッドには
これから起る事件を
湯川・内海のコンビが
未然に防いだ・・・話が
見えてしまったのですね。
二人が介入しなかったら
あの父子はきっと・・・
自殺したり、心中したりしたはずです。
何事も起らぬうちに事件を解決する。
これこそが名探偵というのはキッドの信念ですが・・・。
問題は・・・探偵料が派生しない・・・
という点でございます。
またお運びくださいね。
投稿: キッド | 2007年10月25日 (木) 03時03分
キッドじいや、おはようございます!
そうですか、わりと今回のドラマの視聴率が低い中、唯一20%台を保っているんですね~。
でも、段々子供騙しっぽくなってきて、来週が心配です・・・。
投稿: みょうがの芯 | 2007年10月25日 (木) 08時54分
♡♡♡♥♥♥みょうがの芯様いらっしゃいませ♡♡♡♥♥♥
キッドとしては
複雑な構成すぎて
子供には難しすぎるのではないか
と考えたのですが
・・・逆に
子供向けに見える方も
いるのでございますね・・・。
まあ、ぜんじろう先生の
実験のイメージがあるからかも
しれません・・・。
今回は難民と
それを見捨てられぬ
遊び人との
心の綱引きの話だったと
じいやは思いました・・・。
妄想がすぎましたかな・・・。
投稿: キッド | 2007年10月26日 (金) 16時18分
東野さんの作品はどこか
善人というか悪人というか
いい人と言える人がいない世界観なのですが
このドラマになると
みんな根はいい人になってますね。
まぁそれがこのドラマの人気じゃないでしょうけど(笑)
横顔はすごい大人気ですねぇ。
来年から横顔Verでもつくってみましょうかね
(; ̄∀ ̄)ゞ
投稿: ikasama4 | 2007年10月27日 (土) 01時32分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
ま、テレビはどんどんそうなっていきつつありますね。
それが健全なのか、不健全なのか・・・。
でも、こんな風にCMと一体化した
ドラマなんか作っている場合・・・
悪に傾くのは無理ということなのです。
ま、蟷螂の斧とは思いますが
キッドなんかは
できるだけ悪ぶりたくなってきます。
ま・・・できれば
お茶の間ではこれはコマーシャルなので
いいことしか言わないのだ
という単純な現実を
たまに思い出してもらいたいものです。
悪が栄え、善が滅びるような番組
ばかりでは
困りますが・・・。
キッドはニュースで
殺人事件を伝えていると
どこかホッとするときがあります。
まだ、人が殺されたことがニュースになり
人が殺されたことを伝えることができる・・・
ということにでございます。
ドラマが善人だらけになっていると
そのうちテレビで
人殺しの話なんてとんでもない・・・
ということになりかねない・・・
とキッドは考えるのです。
横顔は構図が・・・広がりますからねー。
見つめあうという表現ができるのは
素晴らしいのです。
でもくれぐれも無理はなさらないように
お願いします。
投稿: キッド | 2007年10月28日 (日) 00時09分
こんにちは♪ 前回の倍くらい時間がかかりました^^;
過去最高って言うか、過去最悪かも。
どうしても、黒板を解読したくなるもんで。。
もちろん徹夜で、太陽がまぶしいです。
『異邦人』にはならないけど♪
視聴率、スゴイですね! 柴咲マジックなんですか?
福山マジックだと思いましたけど。。
ま、キムタクや福山と仕事できるって所が凄いわけか。
うーん、憂鬱な男に着目するとは流石ですね☆
このまま続くのかな。。
おっと、キッドさんが賞状を読むとは珍しい。
飾ったのが彼ってのが笑えます ^^
何と、ピーチの表紙まで読みましたか。
さては、見慣れてるのかも♪
いやぁ、途中から完全にノッてますね。
この記事、会心作じゃないですか?☆
僕の記事とも僕の見方とも違いますけど、
ホホーッて感じがありますよ。
虚無と負い目ね。いかにも、らしい解釈だなぁ。。
あれ、ささやかな幸せは認めるんですか。
ささやかな絶望と書く方がキッドさんっぽいのに ^^
ともかく、地味に良かったですよ。OK、OK♪
今期はガリレオに決定! 宜しくお願いします。
もちろんサンタクロースは実在でしょう。
文字通りの意味で、真実の存在。。☆彡
投稿: テンメイ | 2007年10月28日 (日) 14時05分
○-○)))テンメイ様、いらっしゃいませ。○-○)))
蜃気楼というも気象現象のひとつですからね。
ある程度条件がそろっても
見えるとは限らない。
この“ある程度”の部分がむずかしいのですよね。
犯罪ドラマの場合・・・
基本的には罪が実証される・・・
ということはまずなくて
ある程度・・・条件がそろった・・・
犯人が認めた・・・
だから幕であることがほとんどです。
「私がやりました・・・」
と犯人が言い、お茶の間が納得すれば
よろしい・・・ということですよね。
けれど、実際はウソで
演技が上手なだけかもしれないわけです。
幽体離脱よりも蜃気楼の方が
合理的な説明である・・・
というのも実は一種の詭弁と言えないこともない。
しかし、そうかといって
心霊現象とヒロシマ型原爆を
同列に扱うことは
頭おかしいと思われる可能性大で
あることも無視できないのです。
何はともあれ・・・ガリレオで
よかったーっ。
いや、テンメイ様とバトルとなれば
「医龍2」でも「さんまさみ」でも
重箱の隅をつついたり、全力をふりしぼったりして
レビューしますが
やはり「大衆の支持」を集めているものへの
独自の視点探しの方が萌えますからねーっ。
今回なんか、ほぼテンメイ様が読んでくれる
という前提がそこそこ励みになっているわけです。
また、テンメイ様が蜃気楼の謎を
解いてくれる・・・という安心感があるっ。
というのも「ガリレオ」ならではですしね。
キッドはまあ・・・文系ですが
大学では情報を扱った理と文の
中間の学科に所属していました。
ま、文も理もほどほどなら人畜無害だが
すぎれば危険というところは同じ。
その中間の人の役に立つ・・・
っていうあたりを手探りで進む
・・・それが醍醐味だと思います。
それでは秋ドラマもお互いにベストを
尽くしてまいりましょう。
・・・決着がつく頃はサンタも大忙しになるのです。
投稿: キッド | 2007年10月29日 (月) 15時32分