桶狭間に行ってはなりませぬ・・・。(内野聖陽)
謀略とは裏をかくこと・・・。裏の裏は表。裏の裏の裏は裏。表裏は一体でござる。
山本勘助の陰謀が暗いのはやはり・・・情念の強さでございますな・・・。
「愛しているなら我が策を用いてくだされ・・・」と愛のないものに策を献ずる・・・。
その策を用いなければ死地に赴くのみ。
しかし・・・罠にかけたことを寿桂尼に臭わせるあたりが・・・悪の薫りでございます。
それはやりすぎ・・・と思うお方は・・・ある意味・・・幸せと申すもの。
NHKスペシャルではヤクザマネー一兆円の株式投資の闇を広報。貨幣には黒も白もないというのもまた現実。情報が力となり、力が情報となる時代に・・・悪意もまたシステムであることを学べということですかな。
トリックの続編があるのかどうか・・・それが来週のお楽しみというくらいのことはスリットお見通しだっ。・・・ということなのですね。
で、『風林火山・第45回』(NHK総合071111PM8~)原作・井上靖、脚本・大森寿美男、演出・清水一彦を見た。義信を骨抜きにする美貌の綾姫(平田薫)をもっとはっきりゆっくりじっくり見せてもらいたいですなあ。例によってシナリオにそったレビューはikasama4様を推奨します。今回の主役、寿桂尼(藤村志保)の新作イラストと義元の進撃ルート図解解説付でございます。
で、今回はもちろん・・・桶狭間の合戦についてあれこれ妄想するのです。こればかりはどうしてもするのです。信長様がシルエットでひとさし舞うだけだったとか・・・義元が落馬しなかったとか・・・織田軍の奇襲がまるでテロリストの狙撃のようだったとか・・・そういう本編のスルーぶりはスルーします。なにしろ・・・川中島をしっかり見せてくれれば問題ないわけですから・・・しかし・・・夏すぎてからの合戦シーンのスルーっぷりはちょっとひどいけどね・・・。「功名が辻」かっ。と言いたくなるほどです。
さて、尾張の国というのは現在で言えば名古屋です。・・・愛知県と言ってもいいですが・・・やはりここは名古屋で話を進めます。江戸や東京、大阪や、京都と並ぶ大都市ですが・・・首都になったことがない。不思議な地理的特性を持った土地です。基本的に豊かなのですがね。ある意味資源に恵まれていると言えるのです。そして・・・京都から見ると田舎ですが・・・関東から見ると都会という微妙なポジションにあります。そして古くから朝廷との関係が深い土地柄です。何よりも熱田神宮には草薙の剣が祭られているのですから。そして今も熱田神宮にこの三種の神器のひとつがあるかどうかは秘密事項というほどですから。
そういう秘事があるからには秘事を守護するシステムが必要となります。それが藤原南家季範(源頼朝の祖父)の支配によりさらに発展したことは妄想に難くないのです。この血脈は足利家にも流れています。
それが熱田忍軍であり・・・織田信長はこの時点でその首領(上忍)なのです。もちろん・・・戦国大名のほとんどは各地の忍者の首領ですが・・・その由緒正しさは武の象徴である剣の守護者として段違いなのですね。位を継いでもそれを生かすも殺すも結局は個人の力量ということになりますが・・・信長がそのシステムを極めていくことは歴史に残る通りでございます。
さて・・・三河、遠江、駿河の三国を支配下におさめ石高100万石の今川義元と尾張半国20万国に満たない織田信長・・・動員兵力では五分の一ということになります。しかし、土地の豊かさによって信長にはかなりの経済力がありました。そのために、合戦の前年、信長は上洛し、禁裏と将軍家に経済的援助を行っています。そして・・・密命を下されるわけです。もちろん・・・それは今川討伐です。そして、天皇家、足利家の忍びをレンタルしてもらいます。鞍馬や高野山、伊賀や甲賀からかなりの忍びの頭領が織田家と短期契約を結ぶわけです。もちろん、その中には根来忍者もいれば百地三太夫の配下もいます。
だから・・・東海道は忍者の博覧会のような状況になっていました。もちろん・・・今川にも駿河忍者がいるわけですが・・・太原雪斎死後・・・今川家が謀略負けしていることから義元が忍者に重きを置かなかったことが窺われます。現にせっかく鳴海城主の山口氏を取り込んでおきながらこれを謀殺してしまったり・・・信長様の手に乗せられている傾向が明確です。
さて、熱田忍軍の下忍の一人、日吉丸(後の秀吉)はすでに頭角を現しています。彼は蜂須賀党との交流で有名ですが・・・木曽川周辺の野武士は本来天皇系の忍者の末裔ですからコネクションはあって当然なのです。蜂須賀党の他に梁田一族、美濃森一族、生駒一族という別系統の忍者もすでに織田忍軍として組織化されています。
それは尾張半国統一の過程が謀略と暗殺の歴史であったことと無関係ではありません。信長が主君系の親族、同胞親族さえ打倒できたのは・・・この忍者集団の存在を抜きにしては語れないのです。
熱田忍者の中忍には佐久間、前田、佐々の三氏があり、桶狭間の合戦では重要な役割を担っています。特に、佐久間、佐々は囮部隊として全滅するための激闘を繰り広げるわけです。犬千代と呼ばれた前田利家が出奔という形で野にくだっているのも偶然ではないのです。
近畿の各忍者たちは主に下忍ですが、小頭単位で熱田忍軍の支配下に入り、東海道に網を張っていたのです。
その司令官としては梁田政綱が有名ですが・・・おそらく三河領内の指揮を梁田と日吉丸が、尾張領内を蜂須賀党が担当していたと妄想できます。そして、信長様周辺には森、前田、池田(信長の乳兄弟)の手練れが常に展開していたと考えられます。
まさに、義元は5月15日に吉田城に着陣して後、5月19日に落命するまでの五日間、常に膨大な数の忍者の監視下にあったのです。もちろん、近畿の覇者である三好長慶が全面的にバックアップしている故に可能な態勢なのでございます。義元は16日に岡崎城、17日に知鯉鮒城、18日に沓掛城とゆっくりと行軍してきます。
沓掛城はもはや前線と言えます。今川の総兵力は2万5000人と言われますが少なくともこの夜の沓掛城には一万強の兵力が集結していたと考えられます。
最前線と言えるのは鳴海城で主将は岡部元信。これに織田方は善照寺砦などの付け城を対応させています。主将は佐々成吉。次に大高城があり、主将は朝比奈泰朝。織田方は鷲津・丸根砦で対応。主将は佐久間盛重です。
18日夜、三河勢の中で最強と言える松平元康率いる松平党が先発隊として大高城に物資を輸送。その後、鳴海城、大高城の増援部隊は順次進発します。
19日の未明、織田方の最前線である各砦を総攻撃するためです。
各砦は正午を待たずに陥落しているので相当な兵力が投入されているのは確実です。
ここで、佐久間忍軍、佐々忍軍という熱田忍軍の主力は全滅するまで戦います。ここが、忍軍ならではの戦法と言えるのです。城を枕に討ち死にというのは必勝の信念がなければなかなか実現しないのです。
攻撃開始とほぼ同時に後詰として義元の旗本部隊が大高城へと出発します。義元は駿河水軍はもとより熊野水軍も味方につけ、長島方面にも上陸作戦を敢行しています。いわば清洲を東西から挟み撃ちにする態勢。まさに鉄壁の布陣ですが・・・早い話が戦力の分散です。
信長様は19日未明に清洲城を出陣。熱田神宮で戦力の集中を待ちます。その数およそ、四千。そして、善照寺支援のルートをたどりながら、情報を待ちます。善照寺後方で、義元の沓掛出陣、目的地大高を知った信長軍主力は善照寺から田楽狭間に向かういくつかの間道に兵力を分散して全速力で移動を開始します。
いくつかの部隊は敵と遭遇しますがおよそ2000の兵が田楽狭間に集結します。中核を為すのは一騎当千の忍者部隊で、射撃に優れた根来忍者や、虎の子の騎馬武者がこれに加わっているのです。
田楽狭間には織田軍の各砦の陥落の報に喜び、前祝を兼ねた昼食を終えた義元の旗本隊が散開していました。
虐殺が展開し・・・今川義元は服部小平太(忍者)と毛利新助(忍者)というたろたろりんりんりーんなコンビに首を獲られたのです。
義元の首は首桶に入れられ、信長様は勝鬨もそこそこに田楽狭間を撤退します。それ以来、この地は桶狭間と呼ばれることになるのです。
忍者たちの最後の仕事は「今川義元討ち死に」を各地に伝播すること。主将の死は「褒賞の喪失」を意味します。駿河・遠江・三河の連合軍はたちまち瓦解し・・・即座に退却を開始。最前線の岡部元信は退路を失って篭城。そして松平元信は空き城となった岡崎城に入城します。そして・・・おそらく・・・計画通りに独立宣言を行います。なぜなら彼もまた三河忍者の頭領なのですから。
やがて・・・今川家は西は松平家、北は武田家、東は北条家の餌食となって消滅することになるのでした。義元の母、女戦国大名と呼ばれた寿桂尼はこれから八年・・・今川家の没落を眺めて暮らすことになります。その胸中は妄想の対象外ですが・・・彼女もくのいちのはしくれ・・・きっと忍の一字で過ごしたのでしょう。
関連するキッドのブログ『第44回のレビュー』
火曜日に見る予定のテレビ『キューティーハニー』(テレビ東京)『有閑倶楽部』(日本テレビ)
ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。
皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。
| 固定リンク
« コーラサワーどんだけ炭酸なんだっ!VS抜いたのに発砲しないプレイよ。(真木よう子)VS私には何もない。(弁護士・加藤あい) | トップページ | 口にするとかわいいかどうかは別として自殺しか解決方法がないなんて思うのは早とちり・・・ですよね。(柴咲コウ) »
コメント
スゴイですねぇ。
見渡す限り、姫武将がいっぱい(笑)
小平太&新助コンビはとっても息があいそうですねぇ。
心残りは佐久間盛重が戦死してしまう事くらい(苦笑)
こちらも姫武将で楽しんでみましたが
家名存亡の時程、家を守っていくのは
女性って事のようですね。
今も昔も女性は強いです(; ̄∀ ̄)
なんか神秘的なものをもつ忍が
いつのまにやら大衆化しておりますが
忍=隠=鬼がいっぱいいたようで
でもってそんな鬼を退治する者もいっぱいいたんでしょうね。
ここだけでも想像するのは面白い限りです。
そうなると今川家の敗因は
鬼を退治する者があんまりいなかったって事でしょうかね。
それとも己の血統の高さ故に鬼の血を嫌った事でしょうかね。
どちらにせよ
今川義元は我々の妄想の狭間に陥り
そして敗者となっていってしまったようです。
投稿: ikasama4 | 2007年11月12日 (月) 20時09分
✥✥✥ピーポ✥✥✥ikasama4様、いらっしゃいませ✥✥✥ピーポ✥✥✥
ふふふ、キッドは
桶狭間の合戦の影の主役は
盛重と思っているので
ニコを大抜擢しましたーっ。
その壮絶な最後に涙が止まりませんーッ。
実際、見せてほしいものです・・・。
一方、小平太&新助は
もはやこの二人以外には考えられぬのでございます。
太郎が斬りつけ、鈴がトドメを刺す。
ああ、義元無惨でございますが・・・。
ちょっとコミカルで周囲をホッとさせるのです。
今回は母の哀れが見事に表現されていましたな。
結局、今年の大河ドラマは
「母と子の風林火山」でございましたな・・・。
勘助は妻を求めているのではなくて
結局・・・母を求めているのでしょう。
ミツは成功したが・・・リツは
今のところ・・・攻めどころを間違えているのですな。
「勘助ちゃーん、よちよちっ」
と攻めればイチコロなのではーっ。
戦国時代は儒教教育の浸透する
江戸時代とは違い男尊女卑は
それほど強くなかったとキッドは妄想しています。
とくに関東ではその気風は強いですからな。
実力があれば男も女もない。
巴御前、北条政子、そして寿桂尼と・・・。
姫武将にはことかかないのでございます。
上州名物はカカア天下とからっ風でございますから。
義元は結局・・・
鬼に美を見出せなかった武将・・・。
今年の大河はこう描いたようですね。
おそらく・・・雪斎が有能すぎた悲劇ということに
なるかと考えます。
そういう意味では謙信はもっと
マザコン色強くても面白いのに・・・
と思ったりします。
謙信の場合は自分が鬼とは気がつかないタイプの
最強の鬼なのだと思いますので。
投稿: キッド | 2007年11月13日 (火) 00時14分