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2007年12月27日 (木)

土曜日はテロリストの日・・・なのか?・・・疫病神・・・なのか?(真木よう子)VS私はガンダムではありません。(ガンダムマイスター一同)

レビューとは関係ないが・・・水曜深夜の劇場作品バトルの影響で自我崩壊に近い状態になっている。スタートはホラー映画の「輪廻」(2006)で今が旬の小栗旬(Ⓒアンナ様)が香里奈の恋人役で出演している。廻る因果なのである。次に実話アレンジミステリの「深紅」(2005)・・・殺人事件の被害者の娘と加害者の娘がシンクロしていく展開。被害者の娘が堀北真希→内山理名である。監督は今平の門下生なので時代を越えて汚れたエロスが香る。そして最後に「イノセンス」(2004)である。攻殻機動隊のシリーズ作品であるが・・・夢と現実の差異化の否定はいつもの如しで・・・草薙素子は声のみの出演。それなのに田中敦子→山口智子というキャスティング変更を企画したプロデューサーは常識を越えた何かを持っている気がする・・・まあ・・・単にバカなだけかもしれない。

意識というものが記憶なのか情報なのかゆらぎなのか・・・それは科学的に定かではないわけだが・・・その認識に立てば・・・この世に善悪はなく・・・生死もなく・・・自他もなくなってしまう。

しかし・・・その「面白さ」は非常につまらないという・・・ものすごい矛盾を内包しているのである。

キッドはどの作品も素晴らしく面白いと感じるのだが・・・人々がそうとは限らないと思うと心が寂寥感で埋め尽くされる。・・・それはどうかな。

で、『SP・Episode φ』(フジテレビ071222PM1120~)脚本・金城一紀、演出・本広克行を見た。悪というものを描くのはこわいことだ。悪というものが現実に存在するとしたら・・・その主体は意識であり、情報であり、ゆらぎである可能性がある。そして・・・悪を描くということはすなわち・・・描いた本人に悪が存在するのである。夢と現実の区別がつかない人間にとっては悪の夢を描く人は悪人であり、極悪を描けば極悪人である。

もちろん・・・空想の世界で悪を楽しむことと現実の世界で悪を実行することは全く別の事柄である・・・はずなのだが・・・この認識のないものには・・・それが通用しないことがある。人の欠点を指摘することは考えようによっては悪である。だから・・・現実と夢の区別のつかない人を愚か者と呼ぶことは悪事に違いない。

そういう愚か者とかバカとか非常識な人間にあたるちょっと頭の悪い人々は時々・・・この映画は人が人を殺したりするので悪い映画です・・・と言い出すことがある。

非常にバカバカしいことだが・・・そういう人間が多数派になったり・・・権力を握ったりすることはままあるので恐ろしいのだな。

現実の世界では弱者は虐げられ、人は人を殺し、食物に毒が混入していても・・・創作の世界でそれを描くことが許されないとしたら・・・それは非常に危ういはずなのである。

まして・・・ほとんどの創作はウソなのであり・・・ウソがいけないなどと智恵の不足した人々が言い出す危険はすぐそこにあると思う。

そして・・・そういう現実に人々はもう足を踏み入れているとキッドは時々感じる。

SPは要人警護の物語である。今回は特殊な能力を持った警護員である井上(岡田准一)の生い立ちを振り返る形で構成された番外編だ。

これまで語られることのなかった・・・暗示はされていた・・・物語の暗部がかなり立ち上がってきた。今まで要人警護の情報を流していたのは上司の飯田理事官だった・・・意図は不明・・・とか・・・さりげなく重要な前フリが行われている。

いつもの警護チームの序列が石田→笹本→山本(ただし二ヶ月)→井上(ただしドラフト1位)だったとか・・・井上の両親を殺害した山西(平田満)が無期懲役で・・・しかも出所した・・・とかである。

しかし・・・ついに・・・井上の中に闇があることを臭わせたのが今回の白眉であろう・・・。

尾形(堤真一)「なぜSPになろうと思った・・・」

井上「自分と同じ境遇のものを生み出さないため・・・」

尾形「オレは正義を守るためだ・・・」

井上「・・・ウソなんですね」

このやりとりの中に・・・麻田総理大臣(山本圭)の暗殺の目論見を秘めた井上の悪が見えてくるのだ。彼の中ではすでに・・・超感覚的に両親殺害の主犯が誰か・・・解っている可能性があるからである。

殺意に殺意で報いることを正当防衛と呼ぶのだが・・・それは常に生命というものの絶対的価値観との綱引きである。殺されそうになったから殺した・・・という事柄に過剰防衛という言葉が生じるのはそのためである。

まして・・・復讐はこの世界では罪なのである。

つきつめれば要人警護という目的に沿えば一般人は警護の必要なしという論理も成立する。要人の警護のために・・・要人でない警護員が命を張る・・・という教育はその意味を持つのだな・・・。その延長線上には一般人を巻き込んだテロに対し・・・守らなければならないのは警護対象だけという葛藤も生じるはずである。

悪と悪との戦い・・・ここに物語の醍醐味はあるはずだ・・・出所してきた刑期を務めた殺人者(悪ではない)と殺意を秘めたSP(悪ではない)の邂逅・・・二人が新たにどのような悪を行うのか・・・それがこのドラマの神髄であってほしいものだ。・・・そして、つづくなのだ。

で、『機動戦士ガンダム00・第12回・教義の果てに』(TBSテレビ071222PM6~)脚本・黒田洋介、演出・角田一樹を見た。最近は同じ日にテーマがかぶるのだが・・・金曜日の「記憶を失った男」に対して土曜日は「テロの犠牲者の家族」が主人公なのである。もちろん・・・群像劇なのでいろいろな立場の人間がいるわけだが・・・少なくともガンダムマイスター刹那は・・・紛争地帯の申し子で・・・テロの犠牲者であり・・・そして今は自らがテロリストなのである。

広いカテゴリーでは「SP」のぶっさん(井上)と刹那は同じところに属していると言えるだろう。

だから・・・トラウマを持っているところもまったく一緒だ。

ガンダムが無敵だからいいのだが・・・刹那がトラウマを刺激されると・・・茫然自失となって・・・固まる・・・という演出はなんとかならないのか・・・同じ・・・トラウマをかかえながら・・・任務遂行に支障をきたさない井上を見習ってほしいものだな・・・。

ま・・・子供が主人公のものに文句を言っても始まらないか・・・。

さて・・・宗教的な不一致で紛争というのは・・・日本人にとっては縁のないことだ・・・という認識はあるのかもしれない・・・そういう人はオウム真理教のことをもう忘れてしまったのだろうか。

そして・・・宗教的不一致などというものは幻想であり・・・基本は利害の不一致なのである。

オウムだって麻原が他人より美味しいものが食べたい・・・不細工でも性的欲望を満たしたいという欲望によって成した犯罪である。

宗教が企業である以上・・・中東で起っていることも基本的には既得権益の保護や・・・縄張り争いなのである・・・という認識を持つべきだ。

そういう意味では今回の描写はやや甘いし、教条主義的だったな。

それにしても・・・早くも影の国連軍の様相を呈してきたSB・・・。それは・・・底が浅いのでは・・・。ま・・・ガンダムワールドなので・・・ラブコメ展開中の沙慈と彼女とそのお母様がこのまま無事に済むとは思わないけど・・・。

日本でも・・・成績の順位を上げるためにライバルを殺しあう時代はすぐそこまで来ているはずである。

かって・・・ジョンの魂は「オレは今死んだ」とキッドのところにやってきた。ジョンの魂に従って・・・世界はだんだんよくなる・・・という心情を持つキッドだが・・・そうはならないのかもしれない・・・と最近思うことがある。そういう「悪しきイマジン」が今・・・世界を覆いつつあるというのがどうかキッドの妄想でありますように。

今回、修羅と化した刹那の虐殺の模様をすかす演出・・・創作家たちは何を怖れているのだろうか。

関連するキッドのブログ『先週の土曜日のレビュー

ところでSPAMコメントが一日50件を越えたのでしばらく、承認制度に移行します。

皆様には不自由とご迷惑をおかけして本当に申し訳アリマセン。

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コメント

TBありがとうございます!
あらあら・・
コメントレスは、おまとめで結構ですわ。
ちりとては、壁を蹴り破ったところで読みに来ますわん。

来年もよろしくお願い致します~~

投稿: シャブリ | 2007年12月27日 (木) 21時10分

▯▯black rabbit▯▯シャブリ様、いらっしゃいませ▯▯black rabbit▯▯

コメントありがとうございます。
ようやくここまで復帰しました。

もしも・・・ドラマの最終回ラッシュ前だったら
と思うとゾッとする四日間の空白になってしまいました。

基本的にキッドは下書きしないので
もうアクセスできないと致命的なんですよね。

とにかく・・・年末番組はかなりパスしてしまいましたが
平常体制になりました・・・。

ちょうど草々が壁をぶちやぶって
レギュラーものもすべて正月休みになりましたし・・・。

ハッと気がつけばもう・・・今年も残りわずか。

来年もお世話になります。

どうか、よいお年をお迎えくださりますように。

投稿: キッド | 2007年12月29日 (土) 09時52分

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